説明

熱膨張性微小球の製造方法

【課題】熱膨張性微小球の製造方法において、重合時における凝集や重合反応器内のスケール発生を防止することである。
【解決手段】熱膨張性微小球の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の製造方法であって、水溶性金属塩(II)および/またはその水和物の存在下、重合性成分と前記発泡剤とを分散させた水性分散媒中で、前記重合性成分を重合させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱膨張性微小球の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を外殻とし、その内部に発泡剤が封入された構造を有する熱膨張性微小球は、一般に熱膨張性マイクロカプセルと呼ばれている。熱可塑性樹脂としては、通常、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体等が用いられている。また、発泡剤としてはイソブタンやイソペンタン等の炭化水素が主に使用されている(特許文献1参照)。
耐熱性の高い熱膨張性マイクロカプセルとして、たとえば、ニトリル系単量体80重量%以上、非ニトリル系単量体20重量%以下、および、架橋剤を含有する成分から得られる熱可塑性樹脂を外殻とする熱膨張性マイクロカプセルが特許文献2に開示されている。その製造方法は、分散安定剤(懸濁剤)としてのコロイダルシリカと、補助安定剤としてのジエタノールアミン−アジピン酸縮合生成物と、重合助剤とを含有する水系分散媒中で、発泡剤、重合性単量体および重合開始剤を含有する重合性混合物を懸濁重合して熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法である。
【0003】
水系分散媒に含まれる重合助剤は、得られる熱膨張性マイクロカプセルの凝集や、重合反応器内のスケール発生を防止し、粒子形状を真球状に揃わせる作用があり、特許文献2では重クロム酸カリウムが使用されている。
近年、重クロム酸カリウムの代替品として、アスコルビン酸類や亜硝酸アルカリ金属塩類等の重合禁止剤を使用して、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が知られており、特許文献3に開示されている。しかしながら、アスコルビン酸類は熱安定性が低く、重合反応中に分解して重合禁止剤としての性質が失われるために好ましくない。また、亜硝酸アルカリ金属塩類については、水質汚濁防止法を実施するための水質汚濁防止法施行規則において地下水に含まれる量の基準値が定められており、重合後の廃水処理にコストが発生する場合があるという問題がある。したがって、アスコルビン酸類や亜硝酸アルカリ金属塩類は、十分満足できる代替品とはいえないのが現状である。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3615972号明細書
【特許文献2】特開昭62−286534号公報
【特許文献3】特開平11−209504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱膨張性微小球の製造方法において、重合時における凝集や重合反応器内のスケール発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の水溶性金属塩の存在下、重合性成分と発泡剤とを分散させた水性分散媒中で重合することによって、上記課題が解決するという知見を得て、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかる熱膨張性微小球の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の製造方法であって、水溶性金属塩(II)および/またはその水和物の存在下、重合性成分と前記発泡剤とを分散させた水性分散媒中で、前記重合性成分を重合させる工程を含む。
【0007】
前記水溶性金属塩(II)は、周期表の7〜14族に属する2価金属のカチオンを含むと好ましく、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、カドミウム、白金、水銀および鉛から選ばれた少なくとも1種の2価金属のカチオンを含むとさらに好ましい。
前記水溶性金属塩(II)が、含硫黄イオン、含窒素イオン、含ハロゲンイオンおよび脂肪酸イオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンを含むと好ましく、塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンを含むとさらに好ましい。
【0008】
前記水溶性金属塩(II)および/またはその水和物の量が重合性成分100重量部に対して0.0001〜1.0重量部であると好ましい。
前記重合性成分が、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボキシル基含有単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニル、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体および塩化ビニリデンから選ばれた少なくとも1種を含むと好ましい。
重合開始剤としてパーオキシジカーボネート存在下で前記重合を行うと好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱膨張性微小球の製造方法では、水溶性金属塩(II)存在下で重合を行うために、重合時に生成する熱膨張性微小球の凝集や重合反応器内のスケール発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔熱膨張性微小球の製造方法〕
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の製造方法である。本発明の製造方法は、水溶性金属塩(II)存在下、重合性成分と発泡剤とを分散させた水性分散媒中で、前記重合性成分を重合させる工程を含む。
発泡剤は、熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する物質であれば特に限定はないが、たとえば、炭素数1〜12の炭化水素およびそれらのハロゲン化物;テトラアルキルシラン;加熱により熱分解してガスを生成する化合物等を挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0011】
炭素数1〜12の炭化水素としては、たとえば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ブタン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
炭素数1〜12の炭化水素のハロゲン化物としては、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。
【0012】
テトラアルキルシランとしては、たとえば、炭素数1〜5のアルキル基を有するシラン類を挙げることができ、たとえば、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等が挙げられる。
加熱により熱分解してガスを生成する化合物としては、たとえば、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
【0013】
重合性成分は、重合開始剤存在下で重合することによって、熱膨張性微小球の外殻を形成する熱可塑性樹脂となる成分である。重合性成分は、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある成分である。
単量体成分は、一般には、重合性二重結合を1個有する(ラジカル)重合性単量体と呼ばれている成分を含み、特に限定はないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−クロルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系単量体;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル系単量体、ビニルナフタリン塩等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体については、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。なお、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。マレイミド系単量体は、窒素原子に置換基を有する構造のN−置換マレイミド系単量体であると好ましい。
【0014】
重合性成分を構成するこれらのラジカル重合性単量体は、1種または2種以上を併用してもよい。これらの内でも、重合性成分が、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボキシル基含有単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニル、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体および塩化ビニリデンから選ばれた少なくとも1種を含むと好ましい。
重合性成分がニトリル系単量体を必須成分として含むと、熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂の耐熱性や耐溶剤性が向上するために好ましい。
【0015】
また、重合性成分がニトリル系単量体と共にハロゲン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに含むと好ましい。塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系単量体を含むとガスバリヤー性が向上する。重合性成分が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むと膨張挙動をコントロールし易くなる。
重合性成分がニトリル系単量体と共にカルボキシル基含有単量体をさらに含むと、耐熱性や耐溶剤性が向上するとともに、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高くなり、熱膨張性微小球を高温で熱膨張させることができるために好ましい。重合性成分が、ニトリル系単量体およびカルボキシル基含有単量体と共にハロゲン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに含んでいてもよい。
【0016】
上記において、重合性成分がマレイミド系単量体をさらに含む場合は、熱膨張性微小球の着色が少ないために好ましい。
なお、単量体成分がハロゲン、酸素、窒素などを有する単量体を含む場合は、重合時に生成する熱膨張性微小球の凝集や重合反応器内のスケール発生を効果的に防止することができる。
【0017】
重合性成分は、上記単量体成分以外に、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合させることにより、熱膨張後の内包された発泡剤の保持率(内包保持率)の低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。
架橋剤としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種または2種以上を併用してもよい。上記で、「PEG#○○○ジ(メタ)アクリレート」と表記されている一連の化合物は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートで、そのポリエチレングリコール部分の平均分子量が○○○であることを意味する。
【0018】
架橋剤の量については、特に限定はないが、架橋の程度、外殻に内包された発泡剤の内包保持率、耐熱性および熱膨張性を考慮すると、単量体成分100重量部に対して、架橋剤の量が以下に示す1)〜7)の範囲にあるとこの順でより好ましい(前に記載した範囲よりも後に記載した範囲が好ましい)。
1)0.01〜5重量部、2)0.03〜3重量部、3)0.05〜3重量部、4)0.05〜2.5重量部、5)0.1〜2.5重量部、6)0.1〜2重量部、7)0.1〜1重量部である。
本発明の製造方法においては、重合性成分を重合開始剤の存在下で重合させることが好ましい。
【0019】
重合開始剤としては、特に限定はないが、たとえば、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド等の過酸化物;アゾ化合物等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種または2種以上を併用してもよい。なお、重合開始剤としては、ラジカル重合性単量体に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤のうちでも、パーオキシジカーボネートが好ましく、熱膨張性微小球内部に樹脂粒が生成することが抑制され、外殻の厚みが理論値よりも薄くなりにくくなり、得られる熱膨張性微小球の膨張倍率が高くなる。また、パーオキシジカーボネートの入手し易さや、重合性成分の(共)重合性、外殻を構成する熱可塑性樹脂構造のランダム化等の効果を考慮すると、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートおよびジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートからなる群より選ばれた少なくとも1種がさらに好ましく、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートおよびジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートから選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。
【0020】
重合開始剤の量については、特に限定はないが、前記単量体成分100重量部に対して0.3〜8重量部であると好ましく、より好ましくは0.4〜7.5重量部、さらに0.5〜7.5重量部、特に好ましくは0.5〜7重量部、最も好ましくは0.8〜7重量部である。
重合開始剤がパーオキシジカーボネートと共に他の開始剤を含む場合、パーオキシジカーボネートが重合開始剤に占める割合が大きいほど得られる効果も高い。パーオキシジカーボネートが重合開始剤に占める割合は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が特に好ましく、100重量%が最も好ましい。
【0021】
本発明の製造方法において、連鎖移動剤、有機顔料、表面が疎水性処理された無機顔料や無機粒子等をさらに使用してもよい。
本発明では、水性分散媒は重合性成分および発泡剤等の油性混合物を分散させるイオン交換水を主成分とする媒体であり、アルコール等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100〜1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
【0022】
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては特に限定はないが、たとえば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、安息香酸等を挙げることができる。これらの電解質は、1種または2種以上を併用してもよい。電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1〜50重量部含有するのが好ましい。
本発明の製造方法において、水溶性金属塩(II)および/またはその水和物(以下では、「水溶性金属塩(II)および/またはその水和物」を、簡単のために「水溶性金属塩(水和物)」ということがある。)は、水性分散媒中に溶解している。水溶性金属塩(水和物)は、熱膨張性微小球の製造方法において、いわゆる重合助剤として使用される成分である。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
【0023】
水溶性金属塩(II)は、2価金属のカチオンとアニオンとから構成される金属塩であり、水溶性を有する。
水溶性金属塩(II)を構成する2価金属カチオンとしては、周期表の7〜14族に属する2価金属のカチオンを挙げることができる。2価金属としては、たとえば、マンガン等の7族金属;鉄等の8族金属;コバルト等の9族金属;ニッケル、パラジウム、白金等の10族金属;銅等の11族金属;亜鉛、カドミウム、水銀等の12族金属;ガリウム、インジウム等の13族金属;鉛等の14族金属等を挙げることができる。これらの2価金属のうちでも、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、カドミウム、白金、水銀および鉛から選ばれた少なくとも1種が好ましく、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛および鉛から選ばれた少なくとも1種がさらに好ましく、マンガン、コバルト、ニッケルおよび鉛から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。
【0024】
2価金属カチオンは、上記2価金属のカチオン以外のカチオンを含んでいてもよい。このようなカチオンとしては、たとえば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン(周期表における1族金属のイオン);ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン(周期表における2族金属のイオン);アンモニウムイオン(NH)等を挙げることができる。これらのカチオンは1種または2種以上でもよい。これらのカチオンのうちでも、カリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等が好ましい。
水溶性金属塩(II)を構成するアニオンとしては、硫酸水素イオン(HSO)、硫酸イオン(SO2−)、亜硫酸イオン(SO2−)、チオ硫酸イオン(S2−)等の含硫黄イオン;硝酸イオン(NO)、亜硝酸イオン(NO)等の含窒素イオン;ハロゲン化物イオン(Cl、Br、I等)、次亜塩素酸イオン(ClO)、亜塩素酸イオン(ClO)、塩素酸イオン(ClO)、過塩素酸イオン(ClO)等の含ハロゲンイオン;蟻酸イオン(HCOO)、酢酸イオン(CHCOO)等の脂肪酸イオン等から選ばれた少なくとも1種のアニオンが好ましい。また、水溶性金属塩(II)を構成するアニオンとしては、塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンがさらに好ましい。
【0025】
水溶性金属塩(II)としては、塩化マンガン(II)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)、塩化パラジウム(II)、塩化カドミウム(II)、塩化白金(II)、塩化水銀(II)、塩化鉛(II)等の2価金属塩化物;硫酸マンガン(II)、硫酸コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、硫酸銅(II)、硫酸亜鉛(II)、硫酸パラジウム(II)、硫酸カドミウム(II)、硫酸水銀(II)、硫酸鉛(II)等の2価金属硫酸塩;硝酸マンガン(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸ニッケル(II)、硝酸銅(II)、硝酸亜鉛(II)、硝酸パラジウム(II)、硝酸カドミウム(II)、硝酸水銀(II)、硝酸鉛(II)等の2価金属硝酸塩等を挙げることができる。
これらの水溶性金属塩(II)のうちでも、塩化マンガン(II)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)、塩化鉛(II)、硫酸マンガン(II)、硫酸コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、硫酸銅(II)、硫酸亜鉛(II)、硫酸鉛(II)、硝酸マンガン(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸ニッケル(II)、硝酸銅(II)、硝酸亜鉛(II)および硝酸鉛(II)から選ばれた少なくとも1種であると好ましく、塩化マンガン(II)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、塩化鉛(II)、硫酸マンガン(II)、硫酸コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、硫酸鉛(II)、硝酸マンガン(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸ニッケル(II)および硝酸鉛(II)から選ばれた少なくとも1種であるとさらに好ましい。
【0026】
水溶性金属塩(II)の水和物では、2価金属を中心に水が配位した錯体構造をとっている。これらの水溶性金属塩(II)の水和物は、1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性金属塩(II)の水和物の具体例としては、上記で説明した水溶性金属塩(II)の水和物を挙げることができる。水和物の水和数については特に限定はなく、2価金属およびアニオンの種類によって適宜選択されるが、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜12である。
【0027】
本発明の製造方法では、水溶性化合物とともに、水溶性金属塩(水和物)の存在下で重合を行ってもよい。水溶性化合物としては、たとえば、下記の水溶性化合物(1)〜水溶性化合物(6)を挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。水溶性化合物の共存下で重合することによって、得られる熱膨張性微小球は、膨張倍率が高く、熱膨張させた場合に優れた繰り返し圧縮耐久性を有する中空微粒子となるという効果が得られる。さらに、水溶性化合物の共存下では、重合時において生成する熱膨脹性微小球の凝集や重合反応器内のスケール発生を防止する作用効果の点でさらに優れる場合がある。
水溶性化合物(1):3価金属ハロゲン化物および/またはその水和物
水溶性化合物(2):水溶性ポリフェノール類
水溶性化合物(3):水溶性ビタミンB類
水溶性化合物(4):水酸基、カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれた親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類(但し、分子量は1000未満)
水溶性化合物(5):酸素原子を含有するアルミニウム塩および/またはその水和物
水溶性化合物(6):カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれた親水性官能基が置換したアルキル基が窒素原子と結合した構造を少なくとも1つ有する分子量1000以上のポリアルキレンイミン類
【0028】
水溶性金属塩(水和物)の使用量(水溶性化合物とともに水溶性金属塩(水和物)を使用する場合はこれらの合計使用量)については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1.0重量部、さらに好ましくは0.0003〜0.2重量部、特に好ましくは0.0008重量部以上0.1重量部未満、最も好ましくは0.001〜0.07重量部である。上記(合計)使用量が少なすぎると、水溶性金属塩(水和物)や水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、上記(合計)使用量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である重合性成分の残存量が増加することがある。
重合性成分がカルボキシル基含有単量体を含有する場合は、上記(合計)使用量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001重量部以上0.1重量部未満、さらに好ましくは0.0005〜0.08重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。この場合は、上記(合計)使用量が少なすぎると、水溶性金属塩(水和物)や水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、上記(合計)使用量の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である重合性成分の残存量が増加したり、外殻を構成する熱可塑性樹脂が脆くなり膨張性が損なわれることがある。
【0029】
上述したとおり、水溶性金属塩(水和物)は、重合助剤として使用される成分であり、重合時において生成する熱膨張性微小球の凝集や重合反応器内のスケール発生(具体的には、重合性成分の重合において、重合物が熱膨張性微小球の外殻表面に強固に付着することによる凝集体や重合物による濾過時の目詰まり、重合反応器内壁への重合物の付着)を防止することができる。また、得られた熱膨張性微小球は、真球状で優れた熱膨張性を有するようになり、劣化が生じることはない。
本発明の製造方法では、水溶性金属塩(水和物)の存在下で重合するために、製造時に仕込んだ発泡剤が無駄なく有効に熱膨張性微小球に内包されるという効果も得られる。
【0030】
水性分散媒は、上記で説明した電解質や、分散安定剤や分散安定補助剤を含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、たとえば、コロイダルシリカ、コロイダル炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、蓚酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、アルミナゾル等の難水溶性無機化合物の分散安定剤を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種または2種以上を併用してもよく、得られる熱膨張性微小球の粒子径と重合時の分散安定性等を考慮してその種類が適宜選択される。なかでも、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカが好ましい。
【0031】
分散安定剤の配合量については、目的とする粒子径により適宜決定され、特に限定されないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、たとえば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種または2種以上を併用してもよく、得られる熱膨張性微小球の粒子径と重合時の分散安定性等を考慮して、適宜選択される。
【0032】
高分子タイプの分散安定補助剤としては、たとえば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
分散安定補助剤の配合量は、特に限定されないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001〜5重量部、さらに好ましくは0.0003〜2重量部である。
【0033】
水性分散媒は、たとえば、イオン交換水等の水に、水溶性金属塩(水和物)とともに、必要に応じて分散安定剤および/または分散安定補助剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、適宜決められる。重合時の水性分散媒は、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、酸性または中性が好ましく、酸性がさらに好ましい。重合時の水性分散媒のpHは、通常2〜13、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6.5、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは2〜4である。
本発明の製造方法では、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある重合性成分、発泡剤、重合開始剤、水を必須とする水性分散媒、電解質、水溶性添加剤等の重合助剤、分散安定剤、分散補助安定剤等の上記で説明した各成分を混合して、重合性成分を重合させることによって行われる。これらの各成分の配合順序等については特に限定はなく、水性分散媒に溶解または分散し得る成分をあらかじめ配合しておき、他の成分と配合してもよい。
【0034】
本発明では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように重合性成分および発泡剤等の油性混合物を水性分散媒中に乳化分散させる。
油性混合物を乳化分散させる方法としては、たとえば、ホモミキサー(たとえば、特殊機化工業株式会社製)、ホモディスパー(たとえば、特殊機化工業株式会社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(たとえば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法、マイクロチャネル法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
【0035】
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、たとえば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜85℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、0.1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0〜5.0MPa、さらに好ましくは0.1〜3.0MPa、特に好ましくは0.2〜2.0MPaの範囲である。
【0036】
重合反応終了後、所望により、分散安定剤を塩酸等により分解し、得られた生成物(熱膨張性微小球)を吸引濾過、遠心分離、遠心濾過等の操作により、分散液から単離する。さらに、得られた熱膨張性微小球の含水ケーキを水洗し、乾燥して熱膨張性微小球を得ることができる。
次に、得られた熱膨張性微小球について説明する。熱膨張性微小球は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻(シェル)11とそれに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下で気化する発泡剤(コア)12とから構成されたコア−シェル構造をとっており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。熱可塑性樹脂、重合して熱可塑性樹脂となる重合性成分、発泡剤等については、前述のとおりである。
熱膨張性微小球は、以下の諸物性をさらに有すると好ましい。
【0037】
熱膨張性微小球の平均粒子径については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、通常1〜100μm、好ましくは2〜80μm、さらに好ましくは3〜60μm、特に好ましくは5〜50μm以上である。
【0038】
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)および(2)で算出される。
【0039】
【数1】

(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xi はi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
【実施例】
【0040】
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で製造した熱膨張性微小球について、次に示す要領で物性を測定した。
【0041】
〔平均粒子径と粒度分布の測定〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製
HEROS&RODOS)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで乾式測定法により測定し、メジアン径(D50値)を平均粒子径とした。
【0042】
〔実施例1〕
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム100g、シリカ有効成分量が20重量%であるコロイダルシリカ80g、ポリビニルピロリドン0.1gおよび塩化マンガン4水和物(MnCl・4HO)の1%水溶液1gを加えた後、得られた混合物のpHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル180g、メタクリロニトリル105g、メチルメタクリレート15g、エチレングリコールジメタクリレート1.5g、イソペンタン75gおよびジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート1gを混合して油性混合物を調製した。水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(特殊機化工業社製、TKホモミキサー)により、回転数5000rpmで5分間分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度50℃で20時間重合した。重合後、重合生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。
【0043】
重合反応中の懸濁液の安定性は良好であり、重合後の反応混合物にも異常はなく、良好な状態であった。また、重合後に反応液を抜き出した際、反応容器内壁に重合物の付着物は観察されなかった。得られた熱膨張性微小球の物性を表1に記載した。
〔実施例2〜18および比較例1〕
実施例2〜18および比較例1では、実施例1において、表1〜4に示すように反応条件をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に重合して、熱膨張性微小球をそれぞれ得た。
【0044】
得られた熱膨張性微小球の物性等の結果も、実施例1と同様にそれぞれ表1〜4に示す。なお、比較例1では、得られた重合生成物の大半が凝集/固化したので、得られた熱膨張性微小球の諸物性は測定できなかった。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
上記表において、以下の略号が使用されている。
*1:重合後の反応混合物に異常はなく良好
*2:重合後の反応混合物の大半が凝集/固化
MnCl・4HO:塩化マンガン4水和物(和光純薬工業株式会社製)
CoCl・6HO:塩化コバルト6水和物(和光純薬工業株式会社製)
NiCl・6HO:塩化ニッケル6水和物(和光純薬工業株式会社製)
CuCl・2HO:塩化銅2水和物(和光純薬工業株式会社製)
ZnCl:塩化亜鉛(和光純薬工業株式会社製)
PbCl:塩化鉛(和光純薬工業株式会社製)
MnSO・2HO:硫酸マンガン2水和物(和光純薬工業株式会社製)
CoSO・7HO:硫酸コバルト7水和物(和光純薬工業株式会社製)
NiSO・6HO:硫酸ニッケル6水和物(和光純薬工業株式会社製)
CuSO・5HO:硫酸銅5水和物(和光純薬工業株式会社製)
ZnSO・7HO:硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業株式会社製)
PbSO:硫酸鉛(和光純薬工業株式会社製)
Mn(NO・4HO:硝酸マンガン4水和物(和光純薬工業株式会社製)
Co(NO・6HO:硝酸コバルト6水和物(和光純薬工業株式会社製)
Ni(NO・6HO:硝酸ニッケル6水和物(和光純薬工業株式会社製)
Cu(NO・3HO:硝酸銅3水和物(和光純薬工業株式会社製)
Zn(NO・6HO:硝酸亜鉛6水和物(和光純薬工業株式会社製)
Pb(NO:硝酸鉛(和光純薬工業株式会社製)
PVP:ポリビニルピロリドン(BASFジャパン株式会社製、商品名:Luvitec K17 powder)
AN:アクリロニトリル
MAN:メタクリロニトリル
MMA:メチルメタクリレート
EDMA:ジエチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製)
S(BP):ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(ルパゾール225またはS(BP)、純度50%、アルケマ吉冨(株)製)
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の熱膨張性微小球の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0051】
1 熱可塑性樹脂からなる外殻
2 発泡剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球の製造方法であって、
水溶性金属塩(II)および/またはその水和物の存在下、重合性成分と前記発泡剤とを分散させた水性分散媒中で、前記重合性成分を重合させる工程を含む、
熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性金属塩(II)が周期表の7〜14族に属する2価金属のカチオンを含む、請求項1に記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項3】
前記水溶性金属塩(II)が、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、カドミウム、白金、水銀および鉛から選ばれた少なくとも1種の2価金属のカチオンを含む、請求項1または2に記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項4】
前記水溶性金属塩(II)が、含硫黄イオン、含窒素イオン、含ハロゲンイオンおよび脂肪酸イオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項5】
前記水溶性金属塩(II)が、塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンから選ばれた少なくとも1種のアニオンを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項6】
前記水溶性金属塩(II)および/またはその水和物の量が重合性成分100重量部に対して0.0001〜1.0重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項7】
前記重合性成分が、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、カルボキシル基含有単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニル、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体および塩化ビニリデンから選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。
【請求項8】
重合開始剤としてパーオキシジカーボネート存在下で前記重合を行う、請求項1〜7のいずれかに記載の熱膨張性微小球の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2008−291067(P2008−291067A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135704(P2007−135704)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000188951)松本油脂製薬株式会社 (137)
【Fターム(参考)】