説明

熱転写シート形成フィルム

【課題】 1種類のジャンボロールとなる熱転写シート形成フィルムを用意するだけで、Lサイズ等の種類に応じた熱転写シートを、提供でき、ジャンボロールとして共通の検知マークを有していても、プリンターで上記種類に応じたマークを識別できる、少なくとも2以上の熱転写シートが一体となって配置された熱転写シート形成フィルムを提供する。
【解決手段】 熱転写シートは、基材シート上に、少なくとも3色以上の染料層からなる染料層ユニットが、繰り返し連続して形成され、前記の染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対し略垂直な方向に、全て一定の長さ(A)、又は一定の長さ(A)とは異なる一定の長さ(B)を有し、熱転写シート形成フィルムは、前記略垂直な方向に前記熱転写シートが配置され、互いに隣接する前記染料層及び前記染料層ユニットの間に、検知マークが形成され、前記染料層の間に形成された検知マークは全て第一のパターンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2以上の熱転写シートが一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から感熱昇華転写方式、あるいは感熱溶融転写方式を用いてフルカラー画像を形成することが行なわれている。このうち、感熱昇華転写方式は、色材として用いる昇華性染料をバインダー樹脂に溶解、あるいは分散させた染料層を基材シ−トに担持させた熱転写シートを受像シートに重ね、熱転写シート上の染料層中に含まれる昇華性染料を受像シートに移行させて画像を形成する方法である。また、感熱溶融転写方式は、基材シート上に顔料等の着色剤およびワックス等のビヒクルを含有する熱溶融性インキ層を設けた熱転写シートを受像シートに重ね、軟化した熱溶融性インキ層成分を受像シートに転写させて画像を形成する方法である。
【0003】
従来のフルカラー画像の形成方法では、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3原色が面順次に形成された熱転写シートを、熱転写受像シートに重ね、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像の色分解データに応じたエネルギーを印加することにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色毎に印画して1画像毎に形成していた。
【0004】
上記の熱転写シートを用いて、受像シートに印画する場合、受像シートに印画する長さは熱転写シートの各色の長さに依存し、例えば、Lサイズ、ポストカードサイズ等の所定の大きさの印画物を形成する場合、熱転写シートは、そのLサイズ、ポストカードサイズ等の所定の寸法に応じた大きさをもたせ、かつ熱転写シートのサイズや各色に対応した検知マークが設けられ、その検知マークをプリンターで読み取り、所定のサイズの印画物を形成している。
【0005】
例えば、特許文献1には、インクリボンの種類データを記録したRF−IDチップの記憶素子を用いて、その記憶素子を検出して、受像シートのロール駆動やインクリボンの駆動を制御して印字記録するプリンターが記載されている。このような印字記録する際に、熱転写シート(インクリボン)は、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類毎に、長尺で、広幅の巻取り原反、いわゆる「ジャンボロール」を用意し、所定の幅からなる熱転写シートの巻取りを複数形成するように、ジャンボロールを切断していた。
【0006】
また、所定の大きさの印画物を形成する際、使用する熱転写シートは、そのシートサイズや染料層などの各色に対応した検知マークが設けられているので、熱転写シートの種類毎に、別々のジャンボロールを用意して、所定幅に切断する必要があり、非常に労力及び費用の負担が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−137227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、上記のような問題点を解決し、1種類の共通したジャンボロールとなる熱転写シート形成フィルムを用意するだけで、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類に応じた熱転写シートを、簡単に提供でき、またジャンボロールとして共通の検知マークを有していても、プリンターにて上記の種類に応じたマークを識別できる、少なくとも2以上の熱転写シートが一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、本発明は、特許請求の範囲の請求項1において、少なくとも2以上の熱転写シートが一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムにおいて、前記熱転写シートは、基材シートの一方の面に、少なくとも3色以上が面順次に形成されている染料層からなる染料ユニットが、繰り返して設けられており、
前記熱転写シート形成フィルムは、前記の染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、全て一定の長さ(A)、又は一定の長さ(A)とは異なる一定の長さ(B)、を有する前記熱転写シートを配置しており、前記染料層及び前記染料層ユニットの間には、検知マークが形成され、前記染料層の間に形成された検知マークは全て第一のパターンである、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2として、前記染料層ユニットの間に形成された検知マークは第二のパターンであり、前記第二のパターンは前記第一のパターンとは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート形成フィルムである。また、本発明の請求項3として、前期第一のパターンは、検知層が形成された第一の領域と、前記検知層が形成されていない第二の領域と、が配置されている、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載する熱転写シート形成フィルムである
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の構成の熱転写シート形成フィルムにより、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類に応じた熱転写シートになるように、所定幅に切断することにより、簡単に作製できる。また、ジャンボロールとして共通の検知マークを有していても、そのジャンボロールを所定幅で切断することにより、プリンターにて上記の種類に応じたマークを識別できるようになった。したがって、従来における熱転写シートの種類毎に、別々のジャンボロールを用意して、所定幅に切断する必要が無くなり、労力及び費用の負担を無くすことができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の熱転写シート形成フィルムの一つの実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5)の構成を説明する概略図である。
【図3】本発明の熱転写シート形成フィルムの他の実施形態を示す概略図である。
【図4】図3に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5、11)の構成を説明する概略図である。
【図5】本発明の熱転写シート形成フィルムの他の実施形態を示す概略図である。
【図6】図5に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5、11)の構成を説明する概略図である。
【図7】熱転写シート形成フィルムにおける染料層の間に形成された第一のパターンの検知マークで、熱転写プリンターのセンサーとの位置関係を示す関係式を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の熱転写シート形成フィルム1の一つの実施形態を示す概略図であり、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の3色が面順次に形成されている染料層からなる染料層ユニット3が繰り返し形成され、該染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(A)で、3つの熱転写シート2が一体となって配置されている。また、この熱転写シート形成フィルム1は、染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(B)で、3つの熱転写シート2が一体となって配置されていて、その長さ(A)と長さ(B)は、異なる長さである。
【0014】
また、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間に、第一パターンの検知マーク4が形成され、マゼンタ染料層とシアン染料層との間に、第一パターンの検知マーク5が形成されていて、検知マーク4と検知マーク5は同一パターンである。染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、第二のパターンの検知マーク6が形成され、その第二のパターンの検知マーク6は、上記の第一パターンの検知マーク4、5とは、異なるパターンを有している。これによって、染料ユニット3の先頭を、確実に、他の位置と識別して検出することができる。
【0015】
図2は、図1に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5)の概略図であり、図2(1)で示した。図2(2)は、図2(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルム(図1のもの)を切断して、得られる一定の長さ(A)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを想定して、説明するものである。また、図2(3)は、図2(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる一定の長さ(B)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを想定して、説明するものである。
【0016】
なお、本発明における熱転写プリンターは、染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に対する長さ(以後、幅と記すこともある)が異なった複数の熱転写シートが使用可能である。この場合において、熱転写プリンターへの熱転写シートの取り付け位置は、熱転写シートの幅方向の中心を基準に決められる。例えば、一定の長さ(A)を有する熱転写シートと一定の長さ(B)を有する熱転写シートの場合、それぞれの幅方向の中心位置(A/2)及び(B/2)は、熱転写プリンター内で同じ位置となる様にして取り付けられる。
【0017】
図2(1)で示される検知マークは、第一のパターンであるが、黒ベタで示される検知層7が形成された部分と、検知層が形成されていない部分(白抜き部分)で構成されている。すなわち、第一のパターンである検知マークは、検知層7が形成された第一の領域8と、前記検知層が形成されていない第二の領域9と、が配置されている。図2(1)で示したものは、長さ(A)を有する熱転写シートがA1、A2、A3で示される3つの熱転写シートとして配置された構成であり、また同時に長さ(B)を有する熱転写シートがB1、B2、B3で示される3つの熱転写シートが配置された構成でもある。
【0018】
図2(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(A)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(A)を有する熱転写シート(A1、A2、A3)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図2(2)に示した。図2(2)で示されるA1〜A3の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表1に示した。
【0019】
【表1】

上記の検知マークとして検出できるのは、センサーの検出する位置に、熱転写シートの検知層7が形成された第一の領域8および又は検知層が形成されていない第二の領域9があるからである。
【0020】
また、図2(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(B)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(B)を有する熱転写シート(B1、B2、B3)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図2(3)に示した。図2(3)で示されるB1〜B3の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表2に示した。
【0021】
【表2】

【0022】
図2(2)で示される一定の長さ(A)を有する3つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(A)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。それに対して、同じ熱転写シートで、検知マーク6、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーb(14)で読み取り動作の際、検知I、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0023】
図2(3)で示される一定の長さ(B)を有する3つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(B)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、B1、B2、B3の熱転写シートでは、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0024】
このように、図1、2で示したものは、上記のセンサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、複数の熱転写シートが一体となって配置された形態の熱転写シート形成フィルムを切断して得られるA1〜A3及びB1〜B3の全ての熱転写シートでは、共通している。これによって、センサーa(13)又はセンサーb(14)が検知Iとなることによって位置を検出する事とした熱転写プリンターにおいては、上述したA1、A2、A3の全てを、同一幅の熱転写シートとして認識して使用できる。また、センサーa(13)又はセンサーb(14)が検知Iとなることによって位置を検出する事とした熱転写プリンターにおいては、上述したB1、B2、B3の全てを、同一幅(但し長さ(A)とは異なる)の熱転写シートとして認識して使用できる。
【0025】
上記の図2(2)で示される一定の長さ(A)を有する3つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムと、図2(3)で示される一定の長さ(B)を有する3つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムとが、共通したものとして、図2(1)で示される熱転写シート形成フィルムが構成される。(図2の破線の矢印を参照)これによって、同一の熱転写シート製造用フィルムから、異なった幅の熱転写シートを製造できる。これによって、熱転写シートの種類毎に、別々のジャンボロールを用意して、所定幅に切断する必要が無くなり、労力及び費用の負担を無くすことができる。
【0026】
第2の実施形態>
図3は、本発明の熱転写シート形成フィルム1の他の実施形態を示す概略図であり、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の3色の染料層と転写型保護層12(OP)からなる染料層ユニット3が繰り返し形成され、該染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(A)で、5つの熱転写シート2が一体となって配置されている。また、この熱転写シート形成フィルム1は、染料層ユニット3及び転写型保護層12が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(B)で、4つの熱転写シート2が一体となって配置されていて、その長さ(A)と長さ(B)は、異なる長さである。
【0027】
また、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間に、第一パターンの検知マーク4が形成され、マゼンタ染料層とシアン染料層との間に、第一パターンの検知マーク5が形成され、またシアン染料層と転写型保護層との間に、第一パターンの検知マーク11が形成され、検知マーク4、検知マーク5及び検知マーク11は全て同一パターンである。染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、第二のパターンの検知マーク6が形成され、その第二のパターンの検知マーク6は、上記の第一パターンの検知マーク4、5、11とは、異なるパターンを有している。これによって、染料ユニット3の先頭を、確実に、他の位置と識別して検出することができる。
【0028】
図4は、図3に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5または11)の概略図であり、図4(1)で示した。図4(2)は、図4(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルム(図3のもの)を切断して、得られる一定の長さ(A)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを説明するものである。また、図4(3)は、図4(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルムの一定の長さ(B)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを説明するものである。
【0029】
図4(1)で示される検知マークは、第一のパターンであるが、黒ベタで示される検知層7が形成された部分と、検知層が形成されていない部分(白抜き部分)で構成されている。すなわち、第一のパターンである検知マークは、検知層7が形成された第一の領域8と、前記検知層が形成されていない第二の領域9と、が配置されている。図4(2)で示したものは、長さ(A)を有する熱転写シートがA1、A2、A3、A4、A5で示される5つの熱転写シートとして配置された構成であり、また同時に長さ(B)を有する熱転写シートがB1、B2、B3、B4で示される4つの熱転写シートが配置された構成でもある。
【0030】
図4(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(A)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(A)を有する熱転写シート(A1、A2、A3、A4、A5)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図4(2)に示した。図4(2)で示されるA1〜A5の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表3に示した。
【0031】
【表3】

【0032】
また、図4(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(B)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(B)を有する熱転写シート(B1、B2、B3、B4)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図4(3)に示した。図4(3)で示されるB1〜B4の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表4に示した。
【0033】
【表4】

【0034】
図4(2)で示される一定の長さ(A)を有する5つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(A)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、A1、A2、A3、A4、A5の熱転写シートでは、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0035】
また、長さ(A)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーb(14)で読み取り動作の際、A1、A2、A3、A4、A5の熱転写シートでは、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。これによって、センサーa(13)又はセンサーb(14)が検知Iとなることによって位置を検出する事とした熱転写プリンターにおいては、上述したA1〜A5の全てを、同一幅の熱転写シートとして認識して使用できる。
【0036】
図4(3)で示される一定の長さ(B)を有する4つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(B)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、染料層の間の検知マーク4、検知マーク5、染料層と転写型保護層の間の検知マーク11、検知マーク6・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、B1及びB3の熱転写シートは、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。一方で、B2及びB4の熱転写シートでは、同様にセンサーa(13)で読み取り動作の際、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0037】
また、長さ(B)を有する熱転写シートのB1及びB3の熱転写シートは、検知マーク6、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーb(14)で読み取り動作の際、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。一方で、B2及びB4の熱転写シートでは、同様にセンサーb(14)で読み取り動作の際、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0038】
このように、図3、4で示したものは、上記のセンサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、複数の熱転写シートが一体となって配置された形態の熱転写シート形成フィルムを切断して得られるA1、A2、A3、A4、A5の熱転写シートでは、センサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、共通しており、同一幅の熱転写シートとして認識して使用できる。
【0039】
複数の熱転写シートが一体となって配置された形態の熱転写シート形成フィルムを切断して得られるB1及びB3の熱転写シートでは、センサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、共通しているが、B2及びB4で示される熱転写シートでは、一定の長さ(B)を有する熱転写シートの検知マーク4、5、11をセンサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、B1及びB3で示される熱転写シートの場合の逆のパターンとなっている。つまり、検知Iの場合には、検知IIとなり、検知IIの場合は、検知Iとなるものである。
【0040】
上記の図4(2)で示される一定の長さ(A)を有する5つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムと、図4(3)で示される一定の長さ(B)を有する4つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムとが、共通したものとして、図4(1)、すなわち図3で示される熱転写シート形成フィルムが構成される。(図4の破線の矢印を参照)これによって、同一の熱転写シート製造用フィルムから、異なった幅の熱転写シートを製造できる。これによって、熱転写シートの種類毎に、別々のジャンボロールを用意して、所定幅に切断する必要が無くなり、労力及び費用の負担を無くすことができる。
【0041】
第3の実施形態>
図5は、本発明の熱転写シート形成フィルム1の他の実施形態を示す概略図であり、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の3色の染料層からなる染料層ユニット3と、転写型保護層12(OP)が繰り返し連続して形成され、該染料層ユニット3及び転写型保護層12が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(A)で、5つの熱転写シート2が一体となって配置されている。また、この熱転写シート形成フィルム1は、染料層ユニット3及び転写型保護層12が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、一定の長さ(B)で、4つの熱転写シート2が一体となって配置されていて、その長さ(A)と長さ(B)は、異なる長さである。
【0042】
また、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間に、第一パターンの検知マーク4が形成され、マゼンタ染料層とシアン染料層との間に、第一パターンの検知マーク5が形成され、またシアン染料層と転写型保護層との間に、第一パターンの検知マーク11が形成され、検知マーク4、検知マーク5及び検知マーク11は全て同一パターンである。染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、第二のパターンの検知マーク6が形成され、その第二のパターンの検知マーク6は、上記の第一パターンの検知マーク4、5、11とは、異なるパターンを有している。これによって、染料ユニット3の先頭を、確実に、他の位置と識別して検出することができる。
【0043】
図6は、図5に示した熱転写シート形成フィルムの構成要素である検知マーク4(5または11)の概略図であり、図6(1)で示した。図6(2)は、図6(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルム(図5のもの)を切断して、得られる一定の長さ(A)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを説明するものである。また、図6(3)は、図6(1)で示した検知マークを有する熱転写シート形成フィルムの一定の長さ(B)を有する複数の熱転写シートが、熱転写プリンターの2つのセンサーで読み取られることを説明するものである。
【0044】
図6(1)で示される検知マークは、第一のパターンであるが、黒ベタで示される検知層7が形成された部分と、検知層が形成されていない部分(白抜き部分)で構成されている。すなわち、第一のパターンである検知マークは、検知層7が形成された第一の領域8と、前記検知層が形成されていない第二の領域9と、が配置されている。図6(2)で示したものは、長さ(A)を有する熱転写シートがA1、A2、A3、A4、A5で示される5つの熱転写シートとして配置された構成であり、また同時に長さ(B)を有する熱転写シートがB1、B2、B3、B4で示される4つの熱転写シートが配置された構成でもある。
【0045】
図6(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(A)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(A)を有する熱転写シート(A1、A2、A3、A4、A5)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図6(2)に示した。図6(2)で示されるA1〜A5の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表5に示した。
【0046】
【表5】

【0047】
また、図6(1)で示した検知マークは、熱転写シートの長さ(B)の半分の位置である中央部10に設置されたセンサーa(13)と、その中央部10から、Wの間隔をおいて設置されたセンサーb(14)の2つのセンサーにより、読み取りの動作が行なわれる。その長さ(B)を有する熱転写シート(B1、B2、B3、B4)の対象を、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作を行なうことを説明するための概略図を図6(3)に示した。図6(3)で示されるB1〜B4の熱転写シートが、センサーa及びセンサーbにより、読み取り動作が行なわれ、検知層7が形成された第一の領域8を検出できるものを「検知I」と表し、検知層が形成されていない第二の領域9を検出できるものを「検知II」と表して、その検知結果を、表6に示した。
【0048】
【表6】

【0049】
図6(2)で示される一定の長さ(A)を有する5つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(A)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、A1、A3、A4の熱転写シートでは、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。一方でA2及びA5の熱転写シートでは、同様にセンサーa(13)で読み取り動作の際、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0050】
また、長さ(A)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーb(14)で読み取り動作の際、A1、A3、A4の熱転写シートでは、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I、・・・・・と繰り返される。一方でA2及びA5の熱転写シートでは、同様にセンサーb(14)で読み取り動作の際、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0051】
図6(3)で示される一定の長さ(B)を有する4つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムを切断して、得られる長さ(B)を有する熱転写シートでは、染料層ユニット3の先頭であるイエロー染料層の上に、設けられた第二のパターンの検知マーク6と、染料層の間の検知マーク4、検知マーク5、染料層と転写型保護層の間の検知マーク11、検知マーク6・・・・・と繰り返し、センサーa(13)で読み取り動作の際、B1〜B4の全ての熱転写シートで、検知I、検知I、検知I、検知I、検知I、・・・・・と繰り返される。
【0052】
また、長さ(B)を有するB1〜B4の全ての熱転写シートでは、検知マーク6、検知マーク4、検知マーク5、検知マーク11、検知マーク6、・・・・・と繰り返し、センサーb(14)で読み取り動作の際、検知I、検知II、検知II、検知II、検知I・・・・・と繰り返される。
【0053】
このように、図5、6で示したものは、上記のセンサーa(13)、2(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、複数の熱転写シートが一体となって配置された形態の熱転写シート形成フィルムを切断して得られるA1、A3、A4の熱転写シートでは、共通しているが、A2及びA5で示される熱転写シートでは、検知マーク4、5、11をセンサーa(13)、b(14)による検知Iと検知IIの認知する順序(パターン)は、上記のA1、A3、A5で示される熱転写シートの場合の逆のパターンとなっている。つまり、検知Iの場合には、検知IIとなり、検知IIの場合は、検知Iとなるものである。これによって、センサーa(13)又はセンサーb(14)が検知Iとなることによって位置を検出する事とした熱転写プリンターにおいては、上述したA1〜A5の全てを、同一幅の熱転写シートとして使用できる。
【0054】
上記の図6(2)で示される一定の長さ(A)を有する5つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムと、図6(3)で示される一定の長さ(B)を有する4つの熱転写シートが、一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムとが、共通したものとして、図6(1)、すなわち図5で示される熱転写シート形成フィルムが構成される。(図6の破線の矢印を参照)これによって、同一の熱転写シート製造用フィルムから、異なった幅の熱転写シートを製造できる。これによって、熱転写シートの種類毎に、別々のジャンボロールを用意して、所定幅に切断する必要が無くなり、労力及び費用の負担を無くすことができる。
【0055】
図1〜6で示した熱転写シート形成フィルムに限らず、例えば、少なくとも3色以上の染料層からなる染料層ユニットは、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の3色の染料層からなる染料層ユニットに限らず、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)、ブラックの4色の染料層からなる染料層ユニットであってもよく、また、染料層の間に形成された検知マークは全て第一のパターンであり、染料層ユニットの間に形成された検知マークは第二のパターンで、図示したものは、全て第一のパターンは第二のパターンとは異なるものであったが、第二のパターンを第一のパターンと同一パターンで形成してもよい。これによって、より簡便に、同一の熱転写シート製造用フィルムから、異なった幅の熱転写シートを製造できる。
【0056】
また、イエロー(Ye)/マゼンタ(Mg)間の検知マークパターンと、マゼンタ(Mg)/シアン(Cy)間の検知マークパターンとを、異なったパターンにしても良い。これによって、熱転写シートが所定の位置であることを、より確実に検知することができる。
【0057】
上記に記載した熱転写シート形成フィルムにおいて、染料層の間に形成された第一のパターンの検知マークは、以下に示す関係式を満足することが好ましい。
【数1】

【0058】
上記式で使用している記号は、以下のとおりであり、図7に示す概略図を参照する。
Lは一定の長さ(A)を示すLa、または一定の長さ(B)を示すLbがある。
mは熱転写シート形成フィルムの一定の長さLの複数が配置された、熱転写シートの順の数に相当するもの。正の整数で表される。
Wは一定長さLの中心点からセンサーまでの距離
Wa 一定長さLの中心点からセンサーaまでの距離
Wb 一定長さLの中心点からセンサーbまでの距離
Vはセンサーが検知するために必要な領域の長さ
Xは熱転写シート形成フィルムの端である基準線の始点からセンサー検出領域の距離
XAa 一定長さ(A)においての熱転写シート形成フィルムの端である基準線の始点からセンサーa検出領域の距離
XAb 一定長さ(A)においての熱転写シート形成フィルムの端である基準線の始点からセンサーb検出領域の距離
XBa 一定長さ(B)においての熱転写シート形成フィルムの端である基準線の始点からセンサーa検出領域の距離
XBb 一定長さ(B)においての熱転写シート形成フィルムの端である基準線の始点からセンサーb検出領域の距離
【0059】
上記の式は、上記に記載したとおり、L、W、V、X、mは、全て複数の選択肢を有するものである。また、上記の式におけるL*mは、上記一定の長さ(A)の熱転写シートの配置された条件で、L×1は長さ(A)そのものであり、L×2は長さ(A)を2倍した長さ、L×3は長さ(A)を3倍した長さ、・・・・・であり、熱転写シート形成フィルムの一定の長さ(L)の複数が配置された、熱転写シートの順の数に相当するものがmであり、正の整数で表される。
また、上記の式におけるL×mは、上記一定の長さ(A)とは異なる一定の長さ(B)の熱転写シートの配置された条件では、L×1は長さ(B)そのものであり、L×2は長さ(B)を2倍した長さ、L×3は長さ(B)を3倍した長さ、・・・・・であり、熱転写シート形成フィルムの一定の長さ(B)の複数が配置された、熱転写シートの順の数に相当するものがmであり、正の整数で表される。
【0060】
XAaは、上記の長さ(A)の熱転写シートの検知マークを構成する検知層の熱転写シートの染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向(幅方向)で、検知層が形成された第一の領域の該熱転写シートの端である基準線からの始点から終点までの距離(mm)を示し、XAbは、検知層の設けられていない第二の領域の熱転写シートの幅方向で、熱転写シートの端である基準線からの始点から終点までの距離(mm)を示す。
XBaは、上記の長さ(B)の熱転写シートの検知マークを構成する検知層の熱転写シートの幅方向で、基準線からの始点から終点までの距離(mm)を示し、XBbは、検知層の設けられていない第二の領域の熱転写シートの幅方向で、熱転写シートの端である基準線からの始点から終点までの距離(mm)を示す。
【0061】
上記式で適用される熱転写シートは、センサーaとセンサーbの二つのセンサーを有する熱転写プリンターで使用されるもので、センサーaが熱転写シートの幅方向で、中央部からの長さでWaの位置にあり、またセンサーbが熱転写シートの幅方向で、中央部からの長さでWbの位置に設置したものとする。Wa及びWbは、それぞれ単位mmである。
また、Vは、検知層の設けられていない第二の領域の長さ(熱転写シート幅方向での長さ)である。Vの単位はmmである。
【0062】
上記の長さ(A)の熱転写シートの配置された複数の各熱転写シートと、長さ(B)の熱転写シートの配置された複数の各熱転写シートとを、センサーaとセンサーbの二つのセンサーを有する共通した熱転写プリンターで、読み取る際、長さ(A又はB)の共通した複数の各熱転写シートの検知層における第一の領域と第二の領域を比較して、各熱転写シートで重なりがないか、あるいは重なっていても、(V×0.15)mm以内であれば、その設定の通りで設定する。(Vはセンサーが検知するために必要な領域の長さ)
また上記の各熱転写シートで重なりが(V×0.15)mmより大きい場合は、第一の領域が第二の領域になるように設定し、第二の領域を第一の領域になるように設定する。
【0063】
例えば、図6(2)に示すように、熱転写シートの長さ(A)と長さ(B)を配置したものを基準としてみた場合、センサーaの第一の領域と第二の領域では、B3の熱転写シートでは、長さ(A)の熱転写シートのA3との重なりが(V×0.15)mmより大きい場合であり、第一の領域が第二の領域になるように設定し、第二の領域を第一の領域になるように設定する。
上記のように熱転写シートにおける検知マークが、熱転写プリンターのセンサーの所定の位置に調整することにより、長さの異なる、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類に応じた熱転写シートを、共通した熱転写プリンターで使用することができる。
【0064】
本発明の熱転写シート形成フィルムを構成する基材シート、染料層、転写型保護層は、従来から知られたものが使用でき、本発明で適用する上で、限定するものではない。検知マークについては、以下に詳細に説明する。
(検知マーク)
本発明の検知マークは、熱転写プリンターに設けたセンサーにより検知して、つまり染料層などの印字開始位置を示す検知マークを検知して、その染料層などと受像シートの印字開始位置を合わせて、印字を行うことが代表的な使用方法である。検知マークの検知方法としては、例えば赤外線を照射して、そのマーク部で透過せずに、マーク部以外は赤外線を透過することを利用した透過式センサーを使用する、あるいは赤外線を照射して、そのマーク部で赤外線が反射せず、マーク部以外は赤外線が反射することを利用した反射式センサーを使用することができる。
【0065】
検知マークは、上記の光学的な検知手段に限らず、電気的又は磁気的な検知手段により、マークの存在が確認できるものであれば、限定されるものではない。検知マークとしては、検知手段との関係で、例えば、使用する光源により区別可能な顔料若しくは染料を樹脂中に含有する組成物によるマークであって光学的に検知するもの、金属粉やカーボンを樹脂中に含有する導電性樹脂又は金属箔によるマークであって電気的に検知するもの、磁性金属若しくは化合物を樹脂含有する磁気組成物又は磁性金属の蒸着膜によるマークであって磁気的に検知するもの、などが挙げられる。検知手段としては、いずれのものも利用可能であるが、装置的に簡略化可能なものは光学的に検知する手段であり、本発明で好ましく使用される。
【0066】
検知マークの形成方法は、グラビア印刷やオフセット印刷等の公知の印刷方式により、検知マーク用インキを印刷して形成したり、検知マーク用の転写箔によりホットスタンプで設けたり、裏面に粘着剤付きの着色フィルム、蒸着フィルムを貼り付けることもできる。但し、本発明では、長尺で、広幅の巻取り原反であるジャンボロールの形態で、熱転写シート形成フィルムを作製する際、印刷方式で検知マークを形成することが、作業性がよく、好ましい。
【0067】
検知マークの大きさに関しては、染料層の間に形成された第一のパターンである検知マーク及び染料層ユニットの間に形成された第二のパターンである検知マークとも、染料層ユニットが繰り返し設けられた方向で、検知マークの長さは、2〜10mm程度である。また、検知層が形成されていない第二の領域における、染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向での長さは、5〜20mm程度である。
【0068】
本発明の熱転写シート形成フィルムを一定の長さ(A)、又は一定の長さ(A)とは異なる一定の長さ(B)に切断して、熱転写シートを作製し、受像シートと組み合わせて、熱転写プリンターにより、記録される。その熱転写記録方式は、画像信号により制御された熱エネルギーをサーマルヘッドで発生させ、染料層等の記録材料の活性化エネルギーとして用いて記録する方式で、基材シート上に染料層などの熱転写層を設けた熱転写シートを受像シートに重ね、適度な加圧状態にあるサーマルヘッドとプラテンとの間を通し、通電により昇温したサーマルヘッドにより、記録材料は活性化され、プラテンの圧力に助けられて、受像シートに転写される。
【0069】
この方式の転写記録方式には、熱昇華型と溶融型があり、本発明では、熱昇華型が使用され、また転写型保護層を転写するような溶融型も併用することができる。また、熱転写記録は、上記のサーマルヘッド方式だけではなく、レーザー照射による加熱の熱転写手段でも適用可能である。
本発明の熱転写シート形成フィルムを切断して得られる熱転写シートの検知マークを、熱転写プリンター側のセンサーで検知し、熱転写プリンターと連動させて、熱転写シートの特定した染料層の転写する位置と、受像シート上の熱転写画像の位置とを合わせて、印画物を形成することができる。
【0070】
本発明では、1種類の共通したジャンボロールとなる熱転写シート形成フィルムを用意するだけで、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類に応じた熱転写シートを、簡単に提供でき、またジャンボロールとして共通の検知マークを有していても、プリンターにて上記の種類に応じたマークを識別できるものである。その際、プリンターでは、Lサイズ、ポストカードサイズ等の種類が異なるものに対応した熱転写シートを供給し、搬送させるときに、上記で説明したセンサーa(13)及びセンサーb(14)の位置が、各熱転写シートの長さ(A)又は長さ(B)の半分の位置である中央部10に、センサーa(13)が設置され、またそれに対応してセンサーb(14)が設置されるように、設定されている。
【実施例】
【0071】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
図1で示される熱転写シート形成フィルムを以下の条件で作製した。染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向での長さ(A)が137mm、同じく長さ(B)が159mmとした。一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーaまでの距離Waは0mm、一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーbまでの距離Wbは−45mm(中央部から、図で左方向がマイナス)、センサーが検知するために必要な領域の長さVは10mmとした場合、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間とマゼンタ染料層とシアン染料層との間に形成された検知層7を下記の表7に示す大きさとした。
【0072】
【表7】

但し、A1、A2、A3、B1、B2、B3は、m=1、2、3で表される。
また、表7におけるXAaは、上記の長さ(A)の熱転写シートの検知層7の熱転写シートの幅方向で、基準線(図1、2の左端側)からの始点から終点までの距離(mm)を示し、XAbは、検知層7の設けられていない第二の領域の熱転写シートの幅方向で、基準線(図1、2の左端側)からの始点から終点までの距離(mm)を示す。
【0073】
また、表7におけるXBaは、上記の長さ(B)の熱転写シートの検知層7の熱転写シートの幅方向で、基準線(図1、2の左端側)からの始点から終点までの距離(mm)を示し、XBbは、検知層7の設けられていない第二の領域の熱転写シートの幅方向で、基準線(図1、2の左端側)からの始点から終点までの距離(mm)を示す。
【0074】
また、検知マーク4、5、6の検知層7は、カーボンブラックとバインダー樹脂を含有するインキで、グラビア印刷により形成し、実施例1の熱転写シート形成フィルムを作製した。その熱転写シート形成フィルムを長さ(A)の間隔で、切断して、Lサイズ用の熱転写シートを用意した。また、一方で実施例1の熱転写シート形成フィルムを長さ(B)の間隔で、切断して、ポストカード用の熱転写シートを用意した。
【0075】
次に、上記のLサイズ用の熱転写シートと、Lサイズ用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するLサイズの印画物を正常に作製できた。また、上記のポストカード用の熱転写シートと、ポストカード用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するポストカードの印画物を正常に作製できた。但し、上記の専用プリンターは、センサーa、bとも、赤外線照射による透過式センサーであり、またLサイズ、ポストカードサイズの種類が異なるものに対応した熱転写シートを供給し、搬送させる際、センサーa(13)及びセンサーb(14)の位置が、各熱転写シートの長さ(A)又は長さ(B)の半分の位置である中央部10に、センサーa(13)が設置され、またそれに対応してセンサーb(14)が設置されるように、設定されたものである。
【0076】
(実施例2)
図3で示される熱転写シート形成フィルムを以下の条件で作製した。染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向での長さ(A)が134mm、同じく長さ(B)が159mm、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の各染料層及び転写型保護層における、染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向での長さは、全て115mmである。また、検知マーク4、5、6、11の染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向での長さは、全て6mmとし、一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーaまでの距離Waは0mm、一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーbまでの距離Wbは−40mm(中央部から、図で左方向がマイナス)、センサーが検知するために必要な領域の長さVは20mmとした場合、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間とマゼンタ染料層とシアン染料層との間と、シアン染料層と転写型保護層との間に形成された検知層7を下記の表8に示す大きさとした。
【0077】
【表8】

上記の表8で使用されている記号は、全て、実施例1で使用したものと同様のものである。
【0078】
また、検知マーク4、5、6、11の検知層7は、カーボンブラックとバインダー樹脂を含有するインキで、グラビア印刷により形成し、実施例2の熱転写シート形成フィルムを作製した。その熱転写シート形成フィルムを長さ(A)の間隔で、切断して、Lサイズ用の熱転写シートを用意した。また、一方で実施例2の熱転写シート形成フィルムを長さ(B)の間隔で、切断して、ポストカード用の熱転写シートを用意した。
【0079】
次に、上記のLサイズ用の熱転写シートと、Lサイズ用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するLサイズの印画物を正常に作製できた。また、上記のポストカード用の熱転写シートと、ポストカード用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するポストカードの印画物を正常に作製できた。但し、上記の専用プリンターは、センサーa、bとも、赤外線照射による透過式センサーであり、またLサイズ、ポストカードサイズの種類が異なるものに対応した熱転写シートを供給し、搬送させる際、センサーa(13)及びセンサーb(14)の位置が、各熱転写シートの長さ(A)又は長さ(B)の半分の位置である中央部10に、センサーa(13)が設置され、またそれに対応してセンサーb(14)が設置されるように、設定されたものである。
【0080】
(実施例3)
図5で示される熱転写シート形成フィルムを以下の条件で作製した。染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向での長さ(A)が134mm、同じく長さ(B)が159mm、イエロー(Ye)、マゼンタ(Mg)、シアン(Cy)の各染料層及び転写型保護層における、染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向での長さは、全て115mmである。また、検知マーク4、5、6、11の染料層ユニット3が繰り返し設けられた方向での長さは、全て6mmとし、一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーaまでの距離Waは0mm、一定長さ(A)または(B)の中心点からセンサーbまでの距離Wbは−55mm(中央部から、図で左方向がマイナス)、センサーが検知するために必要な領域の長さVは20mmとした場合、イエロー染料層とマゼンタ染料層との間とマゼンタ染料層とシアン染料層との間と、シアン染料層と転写型保護層との間に形成された検知層7を下記の表9に示す大きさとした。
【0081】
【表9】

上記の表9で使用されている記号は、全て、実施例1で使用したものと同様のものである。
【0082】
また、検知マーク4、5、6、11の検知層7は、カーボンブラックとバインダー樹脂を含有するインキで、グラビア印刷により形成し、実施例3の熱転写シート形成フィルムを作製した。その熱転写シート形成フィルムを長さ(A)の間隔で、切断して、Lサイズ用の熱転写シートを用意した。また、一方で実施例3の熱転写シート形成フィルムを長さ(B)の間隔で、切断して、ポストカード用の熱転写シートを用意した。
【0083】
次に、上記のLサイズ用の熱転写シートと、Lサイズ用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するLサイズの印画物を正常に作製できた。また、上記のポストカード用の熱転写シートと、ポストカード用受像シートを専用プリンターにセットして、熱転写記録して、熱転写画像を有するポストカードの印画物を正常に作製できた。但し、上記の専用プリンターは、センサーa、bとも、赤外線照射による透過式センサーであり、またLサイズ、ポストカードサイズの種類が異なるものに対応した熱転写シートを供給し、搬送させる際、センサーa(13)及びセンサーb(14)の位置が、各熱転写シートの長さ(A)又は長さ(B)の半分の位置である中央部10に、センサーa(13)が設置され、またそれに対応してセンサーb(14)が設置されるように、設定されたものである。
【0084】
上記の結果のとおり、1種類の共通したジャンボロールとなる熱転写シート形成フィルムを用意するだけで、Lサイズ、ポストカードサイズの種類に応じた熱転写シートを、簡単に提供できた。またジャンボロールとして共通の検知マークを有していても、プリンターにて上記の種類に応じたマークを識別できて、Lサイズ、ポストカードサイズのサイズの異なる印画物を作製することが容易であった。
【符号の説明】
【0085】
1 熱転写シート形成フィルム
2 熱転写シート
3 染料層ユニット
4 検知マーク
5 検知マーク
6 検知マーク
7 検知層
8 第一の領域
9 第二の領域
10 中央部
11 検知マーク
12 転写型保護層
13 センサーa
14 センサーb


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の熱転写シートが一体となって配置されている熱転写シート形成フィルムにおいて、
前記熱転写シートは、
基材シートの一方の面に、少なくとも3色以上が面順次に形成されている染料層からなる染料ユニットが、繰り返して設けられており、
前記熱転写シート形成フィルムは、
前記の染料層ユニットが繰り返し設けられた方向に対して略垂直な方向に、全て一定の長さ(A)、又は一定の長さ(A)とは異なる一定の長さ(B)、を有する前記熱転写シートを配置しており、
前記染料層及び前記染料層ユニットの間には、検知マークが形成され、
前記染料層の間に形成された検知マークは全て第一のパターンである、
ことを特徴とする熱転写シート形成フィルム。
【請求項2】
前記染料層ユニットの間に形成された検知マークは第二のパターンであり、
前記第二のパターンは前記第一のパターンとは異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート形成フィルム。
【請求項3】
前記第一のパターンは、検知層が形成された第一の領域と、前記検知層が形成されていない第二の領域と、が配置されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載する熱転写シート形成フィルム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−228862(P2012−228862A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100178(P2011−100178)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】