説明

熱転写プリンタ

【課題】 本発明は、インクリボンの頭出し用のリボン検出センサで、リボンカセットの種類も検出することができるコストダウンが可能な熱転写プリンタを提供すること。
【解決手段】 本発明のプリンタ1の例えば第1リボンカセット9は、内部に収納した第1インクリボン10の幅寸法が異なる複数の種類を有し、サーマルヘッド(図示せず)近傍には、カセット装着部(図示せず)に装着した第1リボンカセット9に収納する第1インクリボン10の印刷開始位置を検出(インクリボンの頭出し)可能な透過型のリボン検出センサ(図示せず)が配設され、このリボン検出センサで、リボンカセットの種類を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写プリンタに係わり、特にインクリボンの印刷開始位置を検出可能なリボン検出センサを有する熱転写プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱転写プリンタを、特許文献1に基づいて説明すると、従来の熱転写プリンタに使用するリボンカセト51は、後述するインクリボン57の一端部側を巻回した供給リール52を収納する供給リール収納部54と、インクリボン57の他端部側を巻回した巻取りリール53を収納する巻取りリール収納部55と、それぞれの収納部54、55をつなぐ連結部56とにより概略構成されている。
【0003】
また、インクリボン57は、フィルム状の基材の上に、図8に示すように、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のインクが長手方向に面順次に並んで塗布されて、YとC、CとM、MとYのインクの間には、それぞれ、インクの塗布されていない無色透明なマーク57aが形成されている。
このようなリボンカセット51は、図7に示す姿勢でプリンタ側のカセット装着部に装着可能になっている。また、リボンカセット51は、記録用紙64の幅方向の大きさに対応して、インクリボン57の幅寸法が異なる複数種類あった。
そして、この種類の異なるリボンカセット51を検出するためのカセット検出センサがカセット装着部に配設されていた。
【0004】
また、サーマルヘッド58は、回動軸59にアーム60の図示右端部側が支持されて、回動軸59を支点として左端部側が回動可能になっている。そして、アーム60が回動すると、サーマルヘッド58がプラテンローラ61に対してヘッドアップ/ダウン可能になっている。
前記サーマルヘッド58の巻取りリール53側に固着されたリボンガイド62によって、印刷時に後述する記録用紙64に密着するインクリボン57の剥離位置を規定している。
【0005】
また、リボンガイド62には、発光素子と受光素子とを有する反射型光センサからなるリボン検出センサ63が固着されており、このリボン検出センサ63によって、インクリボン57の光透過のマーク57aと、インク形成領域との出力信号を比較して、インクリボン57の色を検出し、印刷開始位置が検出(インクリボンの頭出し)されるようになっている。
そして、カセット装着部にリボンカセット51を装着すると、サーマルヘッド58とプラテンローラ61との間にインクリボン57が引き回しされ、このインクリボン57の下部には、破線で示す記録用紙64が図示左側の後述する給紙口70から右方向に給紙されるようになっている。
【0006】
また、プラテンローラ61の図示左側には、紙送りローラ65と圧接ローラ66とが配設され、この紙送りローラ65と圧接ローラ66との間に給紙口70から右方向に給紙された記録用紙64が圧接挟持されて、ヘッドアップ状態のサーマルヘッド58とプラテンローラ61との間に搬送可能になっている。
また、紙送りローラ65の図示左側には、紙ガイド67〜69が配設され、図示左端部の給紙口70から給紙された記録用紙64を紙ガイド67、68でガイドして、紙送りローラ65と圧接ローラ66とに導くようになっている。
また、印刷中の記録用紙64は、図示左方向に搬送され、紙ガイド68上を案内されて排紙口71側に導かれるようになっている。
【0007】
このような従来の熱転写プリンタの印刷動作を説明すると、まず、サーマルヘッド58をヘッドアップさせてリボンカセット51をカセット装着部に装着してインクリボン57を、サーマルヘッド58とプラテンローラ61との間に配置する。そして、巻取りリール53を回転させてインクリボン57を巻取ることにより、第1色目であるYの色をリボン検出センサ63が検出して、Yの色のインクの頭出しを行う。
同時に、給紙口70から給紙された記録用紙64は、右回転する紙送りローラ65により、ヘッドアップ状態のサーマルヘッド58とプラテンローラ61との間を図示右方向に給紙される。
【0008】
そして、図示右方向に給紙される記録用紙64の左端部が、紙送りローラ65近傍まで搬送されると、記録用紙64の頭出しが行われて紙送りローラ65の回転が停止する。
同時に、サーマルヘッド58がヘッドダウンして、インクリボン57と記録用紙64をプラテンローラ61に圧接して複数の発熱素子を選択的に発熱させると共に、紙送りローラ65を左回転させると、記録用紙64が左方向に搬送されて、記録用紙64にYの色の一次画像が印刷される。
前記一次画像を印刷後の記録用紙64は、サーマルヘッド58とプラテンローラ61との圧接が外れると、紙送りローラ65の回転を停止させる共に、サーマルヘッド58をヘッドアップさせ、インクリボン57を巻取って第2色目であるMの色をリボン検出センサ63が検出して、Mの色のインクの頭出しを行う。
【0009】
同時に、紙送りローラ65を右回転させて一次画像が印刷された記録用紙64をバックフィードして、記録用紙64の頭出しを行う。
その後、一次画像の印刷と同様の動作を行うことにより、Yの色の一次画像の上にMの色の二次画像を重ね印刷する。
同様の動作で、Mの色の二次画像の上にCの色の三次画像を重ね印刷することにより、記録用紙64に所望のカラー画像を印刷することができる。
【特許文献1】特開2002−2045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の熱転写プリンタは、インクリボンの頭出し用のリボン検出センサ63以外に、リボンカセット51の種類を検出するためのカセット検出センサが必要であったので、コストアップになる問題があった。
本発明は前述したような課題を解決して、インクリボンの頭出し用のリボン検出センサで、リボンカセットの種類も検出してコストダウンが可能な熱転写プリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のプリンタは、所望の色のインクを一方の面に塗布したインクリボンと、このインクリボンを内部に収納するリボンカセットと、このリボンカセットを装着可能なカセット装着部と、前記インクリボンの前記インクを熱転写して記録用紙に所望の画像を印刷可能な複数の発熱素子を有するサーマルヘッドとを備え、前記リボンカセットは、内部に収納した前記インクリボンの幅寸法が異なる複数の種類を有し、前記サーマルヘッド近傍には、前記カセット装着部に装着した前記リボンカセットに収納する前記インクリボンの印刷開始位置を検出(インクリボンの頭出し)可能なリボン検出センサが配設され、このリボン検出センサで、前記リボンカセットの前記種類を検出するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記リボン検出センサは、前記インクリボンを挟んで互いに対向する位置に配設した発光素子と受光素子とを有し、前記発光素子は、前記インクリボンの幅方向に移動可能に配設され、前記受光素子は、移動する前記発光素子と対向する側に前記インクリボンを挟んで複数個配設されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記発光素子は、前記移動可能なセンサホルダに支持されており、前記受光素子は、前記発光素子の移動方向に沿って、前記インクリボンの異なる前記幅寸法に対応する位置の前記カセット装着部に配設されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記リボンカセットは、所定の幅寸法の第1インクリボンを収納する第1リボンカセットと、前記第1インクリボンより幅狭の第2インクリボンを収納する第2リボンカセットの2種類からなり、前記受光素子は、前記第1リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第1受光素子と、前記第2リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第2受光素子とを有し、前記センサホルダに支持された前記発光素子は、前記第1、第2受光素子間を前記移動可能になっていることを特徴とする。
【0015】
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記第1リボンカセットには、前記センサホルダを移動操作可能な操作部が形成され、前記カセット装着部に前記第1リボンカセットを装着すると、前記発光素子は、前記操作部によって前記第1受光素子と対向する位置に移動操作されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプリンタのサーマルヘッド近傍には、カセット装着部に装着したリボンカセットに収納するインクリボンの印刷開始位置を検出(インクリボンの頭出し)可能なリボン検出センサが配設され、このリボン検出センサで、リボンカセットの種類を検出するようにしたので、インクリボンの頭出しとリボンカセットの種類とを、一つのリボン検出センサで検出でき、コストダウンが可能な熱転写プリンタを提供できる。
【0017】
また、リボン検出センサは、インクリボンを挟んで互いに対向する位置に配設した発光素子と受光素子とを有し、発光素子は、インクリボンの幅方向に移動可能に配設され、受光素子は、移動する発光素子と対向する側にインクリボンを挟んで複数個配設されているので、リボン検出素子は、高コストの発光素子が1個で良く、低コストの受光素子を複数個配設しておりコストダウンが可能である。
【0018】
また、発光素子は、移動可能なセンサホルダに支持されており、受光素子は、発光素子の移動方向に沿って、インクリボンの異なる幅寸法に対応する位置のカセット装着部に配設されているので、発光素子および受光素子の取り付けが容易となり組立を簡略化できる。
【0019】
また、受光素子は、第1リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第1受光素子と、第2リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第2受光素子とを有し、センサホルダに支持された発光素子は、第1、第2受光素子間を移動可能になっているので、高コストの発光素子は1個で良く、コストダウンが可能である。
【0020】
また、第1リボンカセットには、センサホルダを移動操作可能な操作部が形成され、カセット装着部に第1リボンカセットを装着すると、発光素子は、操作部によって第1受光素子と対向する位置に移動操作されるので、交換されるリボンカセットを自動的に検出することができ、操作性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の熱転写プリンタ1の実施の形態を、図1〜図6に基づいて説明する。図1は本発明の熱転写プリンタに第1リボンカセットを装着した要部斜視図であり、図2は、本発明に係わるサーマルヘッドを取り付けたヘッド支持部材の斜視図であり、図3は本発明に係わる第1リボンカセットの斜視図であり、図4は本発明の熱転写プリンタに第2リボンカセットを装着した要部斜視図であり、図5は本発明に係わる第2リボンカセットの斜視図であり、図6は本発明に係わるインクリボンの平面図である。
【0022】
まず、本発明の1実施の形態の熱転写プリンタ1は、図示を省略した本体部側に、ヘッド支持部材2が固定されて取り付けされている。前記ヘッド支持部材2は、図2に示すような、横長状のヘッド支持部2aの長手方向に、横長状のヘッド取付台3が貫通して取り付けられ、ヘッド取付台3の図示下面側に複数の発熱素子を長手方向に整列形成したラインヘッドからなるサーマルヘッド(図示せず)が固着されている。
【0023】
前記ヘッド取付台3は、上面側がヘッド支持部2aから露出した状態になっている。また、ヘッド支持部2aの図示奥側には、所定の幅寸法と横長寸法のセンサ支持孔2bが開口形成され、このセンサ支持孔2bに、センサホルダ4が嵌合支持されて、矢印Aおよび反対方向に移動可能になっている。
前記センサホルダ4の下面側には、透過型の光センサからなるリボン検出センサ(図示せず)の発光素子が取り付けられ、この発光素子がセンサホルダ4の移動に伴って移動可能になっている。
【0024】
前記リボン検出センサ(図示せず)は、センサホルダ4に取り付けた発光素子と、後述する第1インクリボン10または第2インクリボン16を挟んで対向する側のカセット装着部に配設した複数の受光素子とからなっている。
前記受光素子は、後述する第1インクリボン10の一方の端部側(未使用部分10b)対向する位置に配設した第1受光素子(図示せず)と、後述する第2インクリボン16の一方の端部側と対向する位置に配設した第2受光素子(図示せず)の2個からなっている。
そして、移動操作可能なセンサホルダ4に支持した発光素子は、センサホルダ4が矢印Aおよびこれと反対方向に移動することにより、第1受光素子と第2受光素子との間を移動可能になっている。
【0025】
前記リボン検出センサは、発光素子から出射された光を、後述する例えば第1インクリボン10の一方の未使用部分10bを透過して、第1受光素子が受光することにより、インクの色を検出して第1インリボン10の頭出しを行うと共に、リボンカセットの種類が、幅寸法Bの第1インクリボン10を収納した第1リボンカセット9で有ることを検出可能になっている。
また、センサホルダ4は、箱状の内部にリボン検出センサを取り付けたセンサ支持部4aと、図示手前側から左方向に突出する腕部4bとが形成されている。
そして、センサ支持孔2bに支持したセンサホルダ4は、図2に示すように、弾性部材(図示せず)により矢印A方向に常に弾性付勢されている。
【0026】
また、図2に示す板状のヘッド支持部2aの下面側で、ヘッド取付台3の図示左側には、回転自在の剥離ローラ5が支持されており、ヘッド取付台3の図示右側には、回転自在のガイドローラ6が支持されている。
また、ヘッド支持部2aから上方に露出するヘッド取付台3の上面側には、アルミニウム板等の放熱性に優れたヒートシンク7のヘッド圧接部7aが密着して取り付けられている。そのために、印刷時に発熱するサーマルヘッドの熱をヘッド取付台3を介してヒートシンク7から放熱するようになっている。
【0027】
前記ヒートシンク7は、略クランク状に折れ曲がって形成され、ヘッド圧接部7aには、図示前後方向の長手方向の両端部を互いに対向させて上方に折り曲げた、略3角形状の取付耳7b、7bが形成され、この取付耳7b、7bが本体部側に取り付けられて、ヘッド支持部材2が固定されるようになっている。
また、図2に示すヒートシンク7には、図示右側に空洞状のカセット挿入部7cが形成され、このカセット挿入部7cに、後述する例えば第1リボンカセット9の供給リール収納部11が位置するようになっている。
【0028】
また、本体部側にヘッド支持部材2を固定すると、サーマルヘッドと対向する下方側には、円柱状で回転自在のプラテンローラ8が配設されている。
前記プラテンローラ8は、本体部側の昇降手段(図示せず)に支持されて、上下動可能になっている。
また、図3に示す第1リボンカセット9は、樹脂材料を成形加工して内部に幅広で幅寸法Bの第1インクリボン10の長手方向の一端部を巻回した供給リール(図示せず)を収納する供給リール収納部11が形成されている。
この供給リール収納部11の側壁11aの中心部には、ボビン挿入孔11bが貫通形成され、このボビン挿入孔11bに本体部側の供給ボビン(図示せず)が挿入されて内部の供給リールに係合可能になっている。
【0029】
また、供給リール収納部11と所定の間隔を有して対向する図示右側には、第1インクリボン10の長手方向の他端部を巻回した巻取りリール(図示せず)を収納する巻取りリール収納部12が形成されている。
前記巻取りリール収納部12の側壁12aの中心部には、ボビン挿入孔12bが形成され、このボビン挿入孔12bに本体部側の巻取りボビン(図示せず)が挿入されて内部の巻取りリールに係合可能になっている。
また、第1リボンカセット9には、巻取りリール収納部12の図示左側のリボン巻取り壁12cに、所定高さで直立する操作部12dが一体形成されている。
【0030】
また、供給リール収納部11と巻取りリール収納部12との間には、第1インクリボン10が露出する窓部13が形成され、この窓部13は、幅寸法Bの第1インクリボン10より幅広に形成されている。
そして、供給リール収納部11と巻取りリール収納部12とは、窓部13の前後方向の外側に形成した一対の連結桟14、14と、図示後方の連結桟14に接続して形成した連結壁15とに連結されて一体化されている。
【0031】
また、幅寸法Bの第1インクリボン10は、図6に示すように、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、オーバコート(OP)の4色のインクが長手方向に面順次に互いに隣り合って形成されている。
そして、互いに隣り合う異なる色のインクは、境目に若干の隙間が形成されるか、または互いに重なった状態となっている。
そのために、インクリボンの長さ方向のムダを無くして、1個のリボンカセット9で印刷できる記録用紙(図示せず)の枚数を多くすることができ、印刷に要するランニングコストを安くできる。
【0032】
また、インクを熱転写した使用後の第1インクリボン10には、印刷に供した使用済み部分10aが、第1インクリボン10の幅寸法Bより幅狭の2点鎖線で示す幅寸法Cで形成されるようになっている。
また、幅寸法Cの使用済み部分10aの両外側には、所定の幅寸法の未使用部分10b、10bが残るようになっている。
このような第1インクリボン10は、印刷時に巻取りリールによって、矢印D方向に巻取りされるようになっている。
【0033】
また、第1インクリボン10を収納する第1リボンカセット9は、本体部側のカセット装着部(図示せず)に位置させて、ヘッド支持部材2に支持したサーマルヘッド(図示せず)とプラテンローラ8との間に、連結桟14を図示奥側から挿入して手前側に押し込むと、サーマルヘッドとプラテンローラ8との間に第1インクリボン10が位置すると共に、供給リール収納部11がヒートシンク7のカセット挿入部7c内に位置する。
【0034】
同時に、第1リボンカセット9の操作部12dによって、センサホルダ4の腕部4bが押圧され、センサホルダ4が弾性部材の付勢力に抗して矢印Aと反対方向に所定寸法移動操作可能になっている。
また、第1リボンカセット9をカセット装着部に装着すると、図示を省略した供給ボビンと巻取りボビンが、それぞれのボビン挿入孔11b、12bから供給リール収納部11、および巻取りリール収納部12に嵌入して、内部の供給リールおよび巻取りリールに係合するようになっている。
【0035】
また、カセット装着部に第1リボンカセット9を装着する途中に、第1インクリボン10の図示手前側の一方の未使用部分10bが、初期位置にあるセンサホルダ4に支持しているリボン検出センサの発光素子と対向する。
その後、更に第1リボンカセット9をカセット装着部の押し込むと、発光素子が未使用部分10bと対向した状態で、センサホルダ4が初期位置から矢印Aと反対方向の移動位置に移動操作される。
このような第1リボンカセット9を装着したカセット装着部には、第1インクリボン10の幅方向の一方の端部側の未使用部分10bと対向する位置に第1受光素子(図示せず)が配設されている。
【0036】
前記第1受光素子と対向する側に、第1インクリボン10の未使用部分10bを介して移動位置にあるセンサホルダ4に取り付けた発光素子が対向するようになっている。
そして、発光素子から出射されて第1インクリボン10の一方の未使用部分10bを透過した光を、第1受光素子が受光して検出することにより、インクの色の検出と、第1インクリボン10が幅広であることを検出してリボンカセットが第1リボンカセット9であることを検出可能になっている。
【0037】
また、記録用紙を幅広から幅狭の種類に交換する時は、第1リボンカセット9をカセット装着部から抜き取って、幅寸法Eの幅狭な第2インクリボン16を収納した第2リボンカセット17に交換するようになっている。
前記第2リボンカセット17は、外観形状は第1リボンカセット9と同じに形成されて、図5に示すように、左側に供給リール収納部18が形成され、この供給リール収納部18の手前側の側壁18aには、ボビン挿入孔18bが形成されている。
【0038】
また、供給リール収納部18と対向する図示右側には、巻取りリール収納部19が形成され、この巻取りリール収納部19の側壁19aに、ボビン挿入孔19bが形成されている。
また、巻取りリール収納部19のリボン巻取り壁19cは、第1リボンカセット9に形成したような操作部12dが形成されなく、平坦状になっている。
また、供給リール収納部18と巻取りリール収納部19との間には、第1リボンカセット9と同様の広さの窓部20が形成されている。
また、第1リボンカセット17は、窓部20の手前側と奥側に形成した一対の連結桟21と、図示奥側に形成した連結壁22とで供給リール収納部18と巻取りリール収納部19とが連結されて一体化されている。
【0039】
また、幅寸法Eの幅狭の第2インクリボン16は、第1インクリボン10と同様に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、オーバコート(OP)の4色のインク(図示せず)が長手方向に面順次に隙間なく並んで塗布されている。
また、第2インクリボン16にも、使用済み部分と未使用部分(図示せず)とが形成されるようになっている。
このような第2リボンカセット17を装着したカセット装着部には、第2インクリボン16の幅方向の一方の端部側の未使用部分と対向する位置に第2受光素子(図示せず)が配設されている。
【0040】
前記第2受光素子と対向する側に、第2インクリボン16の未使用部分を介して初期位置にあるセンサホルダ4に取り付けた発光素子が対向するようになっている。そして、発光素子から出射されて第2インクリボン16の一方の未使用部分を透過した光を、第2受光素子が受光して検出することにより、インクの色の検出と、第2インクリボン16が幅狭であることを検出してリボンカセットが第2リボンカセット17であることを検出可能になっている。
【0041】
このような構成の本発明の熱転写プリンタ1による印刷動作を、第1リボンカセット9を用いたもので説明すると、印刷前のプラテンローラ8は、サーマルヘッドから所定寸法下方側に離間した状態になっている。
このようなサーマルヘッドとプラテンローラ8との間に、図示奥側から連結桟14を挿入して第1リボンカセット9を図示手前側に移動させて装着途中に、第1インクリボン10の一方の未使用部分10bが、初期位置にあるセンサホルダ4に支持されたリボン検出センサの発光素子と対向する。
【0042】
その後、第1リボンカセット9を更に手前側に移動させると、リボン検出センサの発光素子が第1インクリボン10の未使用部分10bと対向した状態で、センサホルダ4が矢印Aと反対方向に移動操作される。
そして、第1リボンカセット9のカセット装着部への装着が完了すると、センサホルダ4が初期位置と反対方向の移動位置に位置すると共に、発光素子が第1インクリボン10の未使用部分10bを介して第1受光素子と対向する。
同時に、巻取りリールに本体部側の巻取りボビンが係合し、この巻取りボビンを回転駆動すると、第1インクリボン10が矢印D方向に巻取りされる。
【0043】
そして、発光素子と対向する部分のインクの色が、KからYに切り換わると、発光素子から出射した光が、未使用部分10bのYの色のインクを透過して第1受光素子がYの色のインクの先頭部を検出する。
すると、巻取りボビンの回転がストップし、インクリボンの頭出しが行われると共に、第1受光素子が発光素子の光を受光することで、カセット装着部に装着されているリボンカセットが第1リボンカセット9であるることを検出することができる。
【0044】
また、矢印Dのリボン巻取り方向におけるプラテンローラ8の下流側には、図示を省略した紙送りローラと圧接ローラが配設され、この紙送りローラと圧接ローラによって、印画紙等からなる記録用紙が矢印Dと反対方向の上流側に搬送されて、記録用紙の頭出しが行われている。
次ぎに、サーマルヘッドから離間して下方に位置しているプラテンローラ8を、昇降手段で上昇させて、それぞれの頭出しが行われた第1インクリボン10と記録用紙とをサーマルヘッドに圧接する。
【0045】
そして、紙送りローラと圧接ローラとの回転で記録用紙を矢印Dの下流側に搬送すると共に、サーマルヘッドの複数の発熱素子を印刷情報に基づいて選択的に発熱させることにより、第1インクリボン10の幅寸法Cの部分のYの色のインクが熱転写されて、記録用紙にYの色の第1画像が印刷される。
同時に、印刷に供した第1インクリボン10は、巻取りリール収納部12内の巻取りリールに巻取られる。
前記第1インクリボン10は、幅寸法Cの使用済み部分10bが、部分的にインクが剥離されてフィルム基材が露出している。
【0046】
次ぎに、Yの色のインクからなる第1画像の印刷が終了すると、プラテンローラ8をサーマルヘッドから離間させて、記録用紙を矢印Dと反対方向の上流側にバックフィードして、再度記録用紙の頭出しを行う。
同時に、第1インクリボン10を矢印D方向に巻取って、リボン検出センサでMの色のインクの頭出しを行う。
その後、再度プラテンローラ8を上昇させて第1インクリボン10と記録用紙をサーマルヘッドに圧接して、記録用紙を下流側に搬送すると共に、サーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に発熱させて、Mの色のインクを第1画像の上に重ね印刷して第2画像を形成する。
同様の動作を繰り返して、Mの色の第2画像の上にCの色のインクを重ね印刷して第3画像を形成し、この第3画像の上にOPの色のインクを重ね印刷して保護膜を形成することにより、記録用紙に所望のカラー画像を印刷することができる。
【0047】
また、記録用紙が幅狭の種類の時は、カセット装着部から第1リボンカセット9を取り出して第2リボンカセット17に交換すると、センサホルダ4は弾性部材の付勢力で矢印A方向の初期位置に移動して自動復帰する。
この時のリボン検出センサは、発光素子から出射した光がYの色のインクを透過して第2受光素子が受光すると、第2インクリボン16の頭出しが行われると共に、リボンカセットが第2リボンカセット17に交換されたことを検出することができる。
そして、第1リボンカセット9で幅広の記録用紙に印刷する時と同様の動作で、第2インクリボン16によって幅狭の記録用紙に所望のカラー画像を印刷することができる。
【0048】
このような本発明の熱転写プリンタ1のリボン検出センサは、低コストの受光素子が2個であるが、高コストの発光素子が1個でよい。
そのために、本発明は、コストアップの小さなリボン検出センサで、インクリボンの頭出しと、リボンカセットの種類も検出することができる。
尚、本発明の実施の形態では、サーマルヘッドを支持するヘッド支持部材2を本体部に固定して、プラテンローラ8を昇降手段で上下動させることで説明したが、プラテンローラ8を固定して、ヘッド支持部材2を上下動させるようにしたものでも良い。
【0049】
また、リボンカセットの種類を、幅寸法が寸法Bの第1インクリボン10を収納する第1リボンカセット9と、幅寸法が寸法Eの第2インクリボン16を収納する第2リボンカセット17の2種類で説明したが、インクリボンの幅寸法が3種類または4種類のものでも条項素子の数を増やすことで対応が可能である。
また、インクリボンは、4色のインクを塗布した物で説明したが、3色またはそれ以外の色のインクを塗布したものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の熱転写プリンタに第1リボンカセットを装着した要部斜視図である。
【図2】本発明に係わるサーマルヘッドを取り付けたヘッド支持部材の斜視図である。
【図3】本発明に係わる第1リボンカセットの斜視図である。
【図4】本発明の熱転写プリンタに第2リボンカセットを装着した要部斜視図である。
【図5】本発明に係わる第2リボンカセットの斜視図である。
【図6】本発明に係わるインクリボンの平面図である。
【図7】従来の熱転写プリンタの要部断面図である。
【図8】従来のインクリボンの平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 本発明の熱転写プリンタ
2 ヘッド支持部材
2a ヘッド支持部
2b センサ支持孔
3 ヘッド取付台
4 センサホルダ
4aセンサ支持部
4b 腕部
5 剥離ローラ
6 ガイドローラ
7 ヒートシンク
7a ヘッド圧接部
7b 取付耳
7c カセット挿入部
8 プラテンローラ
9 第1リボンカセット
10 第1インクリボン
11 供給リール収納部
12 巻取りリール収納部
13 窓部
14 連結桟
15 連結壁
16 第2インクリボン
17 第2リボンカセット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の色のインクを一方の面に塗布したインクリボンと、このインクリボンを内部に収納するリボンカセットと、このリボンカセットを装着可能なカセット装着部と、前記インクリボンの前記インクを熱転写して記録用紙に所望の画像を印刷可能な複数の発熱素子を有するサーマルヘッドとを備え、前記リボンカセットは、内部に収納した前記インクリボンの幅寸法が異なる複数の種類を有し、前記サーマルヘッド近傍には、前記カセット装着部に装着した前記リボンカセットに収納する前記インクリボンの印刷開始位置を検出(インクリボンの頭出し)可能なリボン検出センサが配設され、このリボン検出センサで、前記リボンカセットの前記種類を検出するようにしたことを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項2】
前記リボン検出センサは、前記インクリボンを挟んで互いに対向する位置に配設した発光素子と受光素子とを有し、前記発光素子は、前記インクリボンの幅方向に移動可能に配設され、前記受光素子は、移動する前記発光素子と対向する側に前記インクリボンを挟んで複数個配設されていることを特徴とする請求項1記載の熱転写プリンタ。
【請求項3】
前記発光素子は、前記移動可能なセンサホルダに支持されており、前記受光素子は、前記発光素子の移動方向に沿って、前記インクリボンの異なる前記幅寸法に対応する位置の前記カセット装着部に配設されていることを特徴とする請求項2記載の熱転写プリンタ。
【請求項4】
前記リボンカセットは、所定の幅寸法の第1インクリボンを収納する第1リボンカセットと、前記第1インクリボンより幅狭の第2インクリボンを収納する第2リボンカセットの2種類からなり、前記受光素子は、前記第1リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第1受光素子と、前記第2リボンの幅方向の一方の端部側と対向する位置に配設した第2受光素子とを有し、前記センサホルダに支持された前記発光素子は、前記第1、第2受光素子間を前記移動可能になっていることを特徴とする請求項2、または3記載の熱転写プリンタ。
【請求項5】
前記第1リボンカセットには、前記センサホルダを移動操作可能な操作部が形成され、前記カセット装着部に前記第1リボンカセットを装着すると、前記発光素子は、前記操作部によって前記第1受光素子と対向する位置に移動操作されることを特徴とする請求項4記載の熱転写プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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