説明

熱転写プリンタ

【目的】 プラテン23に対して印字ヘッド12を平行に往復移動させ、プラテン23と印字ヘッド12の間に介在させたインクリボン13を巻き取りながら印字を行う熱転写プリンタに関し、簡単な構造で見かけ上インクリボンをエンドレスとして使用することを目的とする。
【構成】 該インクリボン13を該印字ヘッド12の移動方向に応じた方向に巻き取るカセット11と、該カセット11と該印字ヘッド12を搭載し、該プラテン13に対して平行に往復移動するキャリヤ26と、該インクリボン13の端部を検出する検出部21、22と、該検出部21、22の結果に基づいて該キャリヤ26の移動方向を記憶する記憶部25を備え、該インクリボン13の端部が検出される都度、該キャリヤ26の移動方向を反転して該記録部25に記録し、該記録部25に記録された移動方向へ該キャリヤ26を移動させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱転写プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】熱転写プリンタは、プラテンに対して印字ヘッドを平行に往復移動させ、プラテンと印字ヘッドの間に介在させたインクリボンを巻き取りながら印字を行うようにしたものである。構造が比較的簡単で印字品質が良いため広く用いられているが、従来のインクリボンは、一度巻き取ると使用できなくなるためランニングコストに問題があった。これに対し最近、複数回の使用に耐えるインクリボンが実用化され、上述の問題点の解消が図られている。インクリボンを繰り返し使用する上で従来は、インクリボンが端部まで巻き取られたときにはその都度オペレータが手動で巻取り方向を反転させるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の方法では操作が煩わしくオペレータに負担がかかるという問題があった。
【0004】そこで本発明は、簡単な構成で見かけ上インクリボンをエンドレスとして使用することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決は、プラテン23に対して印字ヘッド12を平行に往復移動させ、プラテン23と印字ヘッド12の間に介在させたインクリボン13を巻き取りながら印字を行う熱転写プリンタにおいて、該インクリボン13を該印字ヘッド12の移動方向に応じた方向に巻き取るカセット11と、該カセット11と該印字ヘッド12を搭載し、該プラテン23に対して平行に往復移動するキャリヤ26と、該インクリボン13の端部を検出する検出部21、22と、該検出部21、22の結果に基づいて該キャリヤ26の移動方向を記憶する記憶部25を備え、該インクリボン13の端部が検出される都度、該キャリヤ26の移動方向を反転して該記録部25に記録し、該記録部25に記録された移動方向へ該キャリヤ26を移動させるようにしたことを特徴とする熱転写プリンタによって達成される。
【0006】
【作用】本発明では、カセット11と印字ヘッド12を搭載したキャリヤ26をプラテン23に対して平行に移動させ、インクリボン13をキャリヤ26の移動方向に応じた方向に巻き取りながら印字中、検出部21、22によりインクリボン13の端部を検出したときキャリヤ26の移動方向を反転して記憶部25に記憶させ、記憶部25に記憶された移動方向にキャリヤ26を移動させるようにしている。この際、キャリヤ26の移動方向が反転するとともにインクリボン13の巻取り方向も反転するのでオペレータはなんらの操作を行うことなく見掛け上インクリボン13をエンドレスとして使用することができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の実施例を示す熱転写プリンタの構成図である。印字ヘッド12とカセット11を搭載したキャリヤ26は、プラテン23と平行に往復移動するように設けられている。印字ヘッド12はプラテン23に対向して配置されるとともに、印字ヘッド12とプラテン23の間にインクリボン13を介在させ、インクリボン13の巻取りを行ないながら印字ヘッド12をプラテン23側に押圧して印字を行う。
【0008】カセット11によるインクリボン13の巻取りは以下のようにして行われる。図1には、キャリヤ26をA方向およびその逆方向であるA′方向に移動させた際のカセット11内に組み込まれた歯車14〜19の回転方向をそれぞれ実線および点線の矢印で示している。
【0009】キャリヤ26をA方向に移動させたとき、歯車14はプラテン23に対して平行に設けられたラック24上の平歯車(図示せず)と噛み合いながら回転する。この歯車14の回転は歯車15、16、17に伝達される。歯車15、16、17はレバー20によって結合されており、レバー20をB方向に変位させると、歯車18が歯車16と接触して噛み合いインクリボン13をC方向に巻き取る。同様にしてキャリヤ26をA′方向に移動させたときには、レバー20をB′方向に変位させることにより、歯車19が歯車17と接触して噛み合いインクリボン13をC′方向に巻き取る。
【0010】以上のようにしてC方向あるいはC′方向に巻き取られたインクリボン13の端部は、カセット11上で印字ヘッド12の両側に配置された検出部21、22によって検出される。検出部21、22は図2に示したように発光素子32、受光素子33からなり、発光素子32からの出射光をインクリボン13上で反射させて受光素子33に入力させるようにしたものである。インクリボン13の端部には、同図に示したようにインクリボン13本体と異なる反射率を有する膜を塗布したエンドマーク31が設けられており、エンドマーク31上からの反射光により受光素子33の出力は図2に示すように変化する。受光素子33の出力変化は、以下に述べるようにエンドマーク検出信号として用いられる。
【0011】図1において、検出部21、22で検出されたエンドマーク検出信号はレジスタ25に送られる。レジスタ25には、検出部22からエンドマーク検出信号が送られてきたときに“1”、検出部21からエンドマーク検出信号が送られてきたときに“0”がセットされ、レジスタ25の内容はキャリヤ26およびレバー20に送られる。
【0012】ここで、キャリヤ26は、レジスタ25に“1”がセットされているときにA′方向に移動し、“0”がセットされているときにA方向に移動するようにしている。また、レバー20はレジスタ25に“1”がセットされたときにB′方向に変位し、“0”がセットされているときにB方向に変位するようにしている。
【0013】従って、キャリヤ26がA方向に移動しリボン13をC方向に巻取りながら印字しているとき、検出部22でエンドマークが検出されるとレジスタ25には“1”がセットされてキャリヤ26およびレバー20へ送出される。そして、キャリヤ26は移動方向をA′方向へ変え、レバー20はB′方向に変位するためリボン13はC′方向に巻き取られることとなる。ついで、キャリヤ26がA′方向に移動しリボン13をC′方向に巻取りながら印字中、検出部21でエンドマーク31が検出されるとレジスタ25には“0”がセットされてキャリヤ26およびレバー20へ送出される。そしてキャリヤ26は移動方向をA方向に変え、レバー20はB方向に変位するためインクリボン13はC方向に巻き取られることとなる。
【0014】以上のように、インクリボン13の端部が検出される都度、キャリヤ26の移動方向およびインクリボン13の巻き取り方向を自動的に反転させることができる。また、上記構成によれば、検出部21、22によりエンドマークが検出されない限りレジスタ25の内容は変化しないので、印字途中で電源を切断し印字動作を停止させ、次に再び電源を投入し印字動作を再開させた場合においても、印字動作停止前と同じ移動方向へキャリヤ26の移動およびインクリボン13の巻取りを行わせることができる。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、オペレータはなんらの操作を行うことなくインクリボンを見掛け上エンドレスとして用いることができるので、熱転写プリンタの操作性向上に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す熱転写プリンタの構成図
【図2】 検出部の動作を説明する図
【符号の説明】
11 カセット、 20 レバー、12 印字ヘッド、 21、22 検出部、13 インクリボン、 23 プラテン、14〜19 歯車、 24 ラック、25 レジスタ、26 キャリヤ、31 エンドマーク、32 発光素子、33 受光素子、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラテン(23)に対して印字ヘッド(12)を平行に往復移動させ、プラテン(23)と印字ヘッド(12)の間に介在させたインクリボン(13)を巻き取りながら印字を行う熱転写プリンタにおいて、該インクリボン(13)を該印字ヘッド(12)の移動方向に応じた方向に巻き取るカセット(11)と、該カセット(11)と該印字ヘッド(12)を搭載し、該プラテン(23)に対して平行に往復移動するキャリヤ(26)と、該インクリボン(13)の端部を検出する検出部(21 、22) と、該検出部(21 、22) の結果に基づいて該キャリヤ(26)の移動方向を記憶する記憶部(25)を備え、該インクリボン(13)の端部が検出される都度、該キャリヤ(26)の移動方向を反転して該記録部(25)に記録し、該記録部(25)に記録された移動方向へ該キャリヤ(26)を移動させるようにしたことを特徴とする熱転写プリンタ。

【図1】
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【図2】
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