説明

熱転写受像シート

【課題】
熱転写プリンタにおいて、走行不良のさらなる減少及び印画ムラの防止ができ、かつ印画後のカールも小さくできる熱転写受像シートを提供することを目的とする。
【解決手段】
支持体と該支持体上に形成された染料受容層を有する熱転写受像シートにおいて、熱転写受像シートは染料受容層面側を凹とする幅方向のカールを有し、染料受容層面側を下にして熱転写受像シートを平らな面に置いたときの該カールの最大高さが0.5mm以上3mm未満であり、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2が、800mgf以上2500mgf以下であり、かつ、1<S2/S1≦1.6であることを特徴とする熱転写受像シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタに使用される、支持体と支持体上に形成された染料受容層からなる熱転写受像シートに関し、特に、走行不良のさらなる減少及び印画ムラの防止ができ、かつ印画後のカールも小さくできる熱転写受像シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、昇華性の染料をPET(ポリエチレンフタレート)等からなる基材上に塗布した熱転写シートと、記録用の信号に基づいて選択的に電圧を印加される発熱素子を有するサーマルヘッドとを用い、染着性が付与された受容層を基材上に配設した熱転写受像シートに対し、前記熱転写シートを介して前記サーマルヘッドを圧接させるとともに、記録情報に基づいて前記サーマルヘッドの発熱素子に電圧を印加し、前記染料を前記熱転写受像シートの受容層に転写させることにより、所望の記録を得る昇華型感熱記録方式が知られている。
【0003】
ところでこの熱転写受像シートはプリンターの種類によりロール状であったり、枚葉状片であったりするが、ほとんどの熱転写受像シートは枚葉状片で使用されている。枚葉状片の場合、給紙〜排紙までにミスフィードやジャミングなどの給紙トラブルがあり、これらは受像シート間の摩擦係数、受像シートの剛度、カール等を調整することにより防止されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、シート状支持体と染料受容層を有する、図6に示されるような長さ方向にカールが形成されている熱転写受容シートが開示されている。特許文献1では適正な剛度を有する受容シートに長さ方向に受容層面側を凸とする長さ方向のカールを形成することにより受容シートがプリンタ内のロール曲面に沿った適度の大きさのカールとなっている。これにより、図1に示すようにロールに抱かれて搬送されるようにしてジャミング等を防止していた。また印画時にサーマルヘッドからの高熱により熱転写受像シートが熱変形を起こすため、予め印画後に発生するカールと反対方向、即ち受容層側が凸となるようにカールを形成しておくことで、該カールと印画後のカールとを相殺させることにより印画後のカールを小さくし、印画時のミスフィードを防止していた。
【0005】
さらに、特許文献2には、シート状基体とシート基材と画像受容層を有する、シート基材の印画方向剛度が700mg以下である染料熱転写画像受容シートが開示されている。特許文献2では、染料熱転写画像受容シートに印画方向剛度が700mg以下のシート基材を使用することにより、プリント後の熱カールの発生を少なくしている。
【特許文献1】特許第3279724号公報
【特許文献2】特許第2574039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の形状では、走行不良の減少にはなっていたが、商業的に満足できるレベルではなかった。幅方向に印画ムラが発生しやすく、また印画後のカールも大きなものとなっていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、走行不良のさらなる減少及び印画ムラの防止ができ、かつ印画後のカールも小さくできる熱転写受像シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支持体と該支持体上に形成された染料受容層を有する熱転写受像シートにおいて、熱転写受像シートは染料受容層面側を凹とする幅方向のカールを有し、染料受容層面側を下にして熱転写受像シートを平らな面に置いたときの該カールの最大高さが0.5mm以上3mm未満であり、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2が、800mgf以上2500mgf以下であり、かつ、1<S2/S1≦1.6である
ことを特徴とする熱転写受像シートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱転写受像シートは、走行不良のさらなる減少及び印画ムラの防止ができ、かつ印画後のカールも小さくできるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、実施例および比較例を用いて、本発明を説明する。
発明者らは特許文献1の構成でなぜ走行不良及び印画ムラが発生するのか詳細に検討したところ、次のような理由により走行不良及び印画ムラが発生していることを突き止めた。
つまり図1に示すように特許文献1の構成では、受容層を下にして挿入するタイプのプリンタでは、受容層を凸とすると、挿入時に裏返すことにより凹型のカールとなるため、ピックアップロール付近でジャミングする原因となることを突き止めた。また、特許文献1のカールを反対にする、即ち受容シートに長さ方向に受容層面側を凹とする長さ方向のカールを形成するだけでは、結局先端部が下を向いた状態になるのでジャミングを抑制することはできない。さらに、一般的に形成されているように受容層の幅方向に凸となるようにカールを形成したとしてもジャミングはある程度減少できるものの、図2および図3のように、ロールを巻き付けた際に、カールの剛性に負けて中央部が浮いてしまい、印画ムラの原因になることを突き止めた。
【0010】
本発明の熱転写受像シートは、支持体と該支持体上に形成された染料受容層を有する熱転写受像シートにおいて、熱転写受像シートは染料受容層面側を凹とする幅方向のカールを有し、染料受容層面側を下にして熱転写受像シートを平らな面に置いたときの該カールの最大高さが0.5mm以上3mm未満であり、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2が、800mgf以上2500mgf以下であり、かつ、1<S2/S1≦1.6であることを特徴とする。
【0011】
印画前の白紙時のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さが0.5mm以上3mm未満、好ましくは0.5mm以上2mm未満、さらに好ましくは0.6mm以上1.8mm以下である必要がある。この最大高さが0.5mm未満である場合は、図2にようにロールに巻き付ける際に、引っ張った状態で巻き付けられないので、巻き付けた際に図3のように中央部が浮く恐れがある。また、この最大高さが3mm以上の場合は、印画開始時のカールが大きすぎるため、ジャミング等の原因になり易く。また、印画後のカールも大きなものとなり、印画後の見栄えが悪くなる。
【0012】
本発明の熱転写受像シートにおいては、紙こわさが800mgf以上2500mgf以下である必要がある。
紙こわさが2500mgf以上の場合は、受像シートが曲がりづらく、ジャミングの原因になる。また、紙こわさが800mgf未満の場合は印画時の熱収縮に対する反発力が小さくなり、印画後のカールが大きくなる。さらに、熱転写受像シートの長さ方向のこわさ(S1)と幅方向のこわさ(S2)において、1<S2/S1≦1.6にすることにより、給紙方向に柔軟性をもたせることによりジャミングを防止できる。又幅方向の剛度を大きくすることにより熱収縮に対する反発力を大きくなり、印画後のカールが小さくなる。又幅方向の剛度を多くすることによりロールに巻き付ける際に、中央部の押さえ付けられる力が大きくなるため、ロールに対する浮きがなく、印画ムラが発生しにくくなる。
なお、熱転写受像シートの長さ方向のこわさ(S1)と幅方向のこわさ(S2)の測定は、図5に示されるように、受像シートから長さ方向測定サンプルと幅方向測定サンプルを取り出して、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて行った。
【0013】
本発明の熱転写受像シートに使用する支持体としては、アート紙、コート紙、キャストコート紙、セルロース繊維紙、上質紙やこれら紙基材の片面或いは両面に樹脂フィルムをラミネートした合成紙等が用いられる。フィルムとしてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、等のフィルム好適に用いられ、これらフィルムは少なくとも一層が樹脂と無機顔料を主成分とする2軸延伸され、空隙を有する発泡層を有する多層構造のフィルムがより好適に用いられる。
【0014】
支持体の厚さは80μm〜300μmが好ましい。80μm未満であると必要な剛度を得るために厚さ方向の弾力性が小さくなり、印画濃度が小さくなる恐れがある。300μmを越えると厚さが必要以上に過大となり経済性に劣ったものとなる。
【0015】
支持体上に設けられる染料受容層を形成するためのバインダー樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの樹脂に必要により酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定化剤、蛍光増白剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム等の顔料や充填材を添加してもよい。受容層は樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散させたりした分散液をグラビア印刷法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法等の公知の形成手段により、基材上または中間層上に塗布、乾燥して形成することができる。受容層の厚みは任意でよいが1μm〜10μmである。
【0016】
基材と受容層の間には必要に応じて、プライマー層、導電性層、紫外線吸収層等の中間層を設けてもよい。また基材の反対側の面に滑性層、帯電防止層等の背面層を適宜設けてもよい。
【0017】
本発明の熱転写受像シートにカールを付与するカール付与手段としては、特許第3279724号公報に開示されたのと同様の以下の手段を使用できる。
受容シートに染料受容層面側を凹とする白紙カールを付与する手段として以下のような各種の方法が利用できる。
最初に、染料受容層に染着樹脂の架橋剤を添加し、染料受容層塗料を塗工、乾燥後、受容シートを受容層が内側になるようにロール状に巻き取った状態で加熱しながら架橋を行い、白紙カールをつける。すなわち、受容シートを染着受容層形成面がロールの内面に来るようにしてロール状に巻取り、これに30〜60℃の温度、および75%以下の相対湿度において熱処理を施しながら染着受容層の架橋を行うことで染料受容層形成面側を凹とする白紙カールをもつ受容シートが得られる。
次に、フィルムや紙を芯材として、その表裏にフィルムを貼合した多層構造のシート状支持体の上に染料受容層を形成する。その際、染料受容層形成側のフィルムの熱収縮率を反対側のフィルムのそれより大きくする。更に染料受容層塗料塗工前にシート状支持体をプレヒーティングすることで、染料受容層形成面側を凹とする白紙カールを持つ受容シートが得られる。
フィルムや紙を芯材として、その表裏にフィルムを貼合した多層構造のシート状支持体の上に染料受容層を形成する。その際染料受容層形成側のフィルムの厚さを反対側のフィルムのそれより大きくすることで、染料受容層形成面側を凹とする白紙カールを持つ受容シートが得られる。
紙の表裏に樹脂を押し出しラミネートしたシート状支持体の上に染料受容層を形成する。その際染料受容層形成側の樹脂のラミネート量を反対側の樹脂のラミネート量より大きくすることで染料受容層形成面側を凹とする白紙カールを持つ受容シートが得られる。
2種類のフィルムを貼合積層したシート状支持体において、染料受容層形成側のフィルムを貼合せする際のテンションを反対側フィルムを貼合する際のテンションより大きくすることで、染料受容層形成面側を凹とする白紙カールを持つ受容シートが得られる。
以上、いずれの方法によっても、本発明に必要なカール形成ができるし、また、これ以外の方法によってカール形成をしても問題はない。
【0018】
本発明において、給紙方向(長さ方向)と幅方向の剛度に違いを付ける方法は、紙には縦目と横目があり、縦目と横目で値に違いがでる。値の大きい方を幅方向、小さい方向を給紙方向として受像シートを切り出すことで違いをつけることができる。
【実施例】
【0019】
実施例1
基材シートとしての三菱製紙製A−2コート(厚さ110μm、坪量127g/cm2)上に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)介して、無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績製バイロンフィルム−CT P1128、厚さ:30μm)を、ドライラミネーションにより積層させた。
次に、ポリエステル(東洋紡社製バイロナールMD1500(固形分30%))90部およびコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスO(固形分20%))10部の組成の構成材料を全固形分に対して重量比で10%のイソプロピルアルコールに分散、混合することにより受像層用インクを得た。
さらに、上記無延伸ポリプロピレンフィルム上に、上記で得た受像層用インクを塗布量が5.0g/m2となるようにメイヤバーで塗布し、乾燥し、受容シート用ロールとした。
乾燥後の受容シートを染料受容層形成面が内側に来るようにロール状に巻き取り、防湿包装し、温度50℃±5℃、相対湿度30±5%に制御された熱処理室内に3日間放置した(ロール巻径:700mm)。
この受容シート用ロールから、横目になるように幅100mmおよび長さ140mmの大きさに切り出し、受容シートとした。得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは1.5mmであった。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1000mgf、S2=1400mgf、S2/S1=1.4であった。
【0020】
比較例1
実施例1と同様にして得られた受容シート用ロールから縦目になるように同様のサイズで切り出し受容シートを得た。
得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.3mmであった(長さ方向のカール1mm)。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1400mgf、S2=1000mgf、S2/S1=0.71であった。
【0021】
実施例2
基材シートとして三菱製紙製A−2コート(厚さ90μm、坪量104g/cm2)用いる以外は、実施例1と同様にして受容シート用ロールを得た。
乾燥後の受容シートを染料受容層形成面が内側に来るようにロール状に巻き取り、防湿包装し、温度50℃±5℃、相対湿度30±5%に制御された熱処理室内に3日間放置した(ロール巻径:700mm)。
この受容シート用ロールから、横目になるように幅100mmおよび長さ140mmの大きさに切り出し、受容シートとした。得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは3.0mmであった。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=800mgf、S2=1100mgf、S2/S1=1.38であった。
【0022】
比較例2
実施例2と同様にして得られた受容シート用ロールから縦目になるように同様のサイズで切り出し受容シートを得た。
得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.4mmであった(長さ方向のカール2.0mm)。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1100mgf、S2=800mgf、S2/S1=0.73であった。
【0023】
実施例3
基材シートとしての三菱製紙製A−2コート(厚さ110μm、坪量127g/cm2)上に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)を介して、多層ポリプロピレンフィルム(東セロ製NW―2、厚さ30μm)を、ドライラミネーションにより積層させた。さらに基材シートの反対側に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)介して、ポリプロピレンフィルム(王子特殊紙製POW−1、厚さ50μm)をドライラミネーションにより積層させた。
次に、ポリエステル(東洋紡社製バイロナールMD1500(固形分30%))90部およびコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスO(固形分20%))10部の組成の構成材料を全固形分に対して重量比で10%のイソプロピルアルコールに分散、混合することにより受像層用インクを得た。
さらに上記多層ポリプロピレンフィルム上に、上記で得た受像層用インクを塗布量が5.0g/m2となるようにメイヤバーで塗布し、乾燥し、受容シート用ロールとした。
乾燥後の受容シートを染料受容層形成面が内側に来るようにロール状に巻き取り、防湿包装し、温度50℃±5℃、相対湿度30±5%に制御された熱処理室内に1日間放置した(ロール巻径:700mm)。
この受容シート用ロールから、横目になるように幅100mmおよび長さ140mmの大きさに切り出し、受容シートとした。得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは2.0mmであった。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1180mgf、S2=1520mgf、S2/S1=1.29であった。
【0024】
比較例3
実施例3と同様にして得られた受容シート用ロールから縦目になるように同様のサイズで切り出し受容シートを得た。
得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.3mmであった(長さ方向のカール1mm)。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1520mgf、S2=1180mgf、S2/S1=0.78であった。
【0025】
実施例4
基材シートとしての三菱製紙製A−2コート(厚さ110μm、坪量127g/cm2)上に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)を介して、多層ポリプロピレンフィルム(東セロ製NW―2、厚さ50μm)を、ドライラミネーションにより積層させた。さらに基材シートの反対側に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)を介して、多層ポリプロピレンフィルム(東セロ製NW―2、厚さ50μm)をドライラミネーションにより積層させた。
次に、ポリエステル(東洋紡社製バイロナールMD1500(固形分30%))90部およびコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスO(固形分20%))10部の組成の構成材料を全固形分に対して重量比で10%のイソプロピルアルコールに分散、混合することにより受像層用インクを得た。
さらに上記多層ポリプロピレンフィルム上に、上記で得た受像層用インクを塗布量が5.0g/m2となるようにメイヤバーで塗布し、乾燥し、受容シート用ロールとした。
乾燥後の受容シートを染料受容層形成面が内側に来るようにロール状に巻き取り、防湿包装し、温度50℃±5℃、相対湿度30±5%に制御された熱処理室内に3日間放置した(ロール巻径:700mm)。
この受容シート用ロールから、横目になるように幅100mmおよび長さ140mmの大きさに切り出し、受容シートとした。得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは1.8mmであった。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1250mgf、S2=1650mgf、S2/S1=1.32であった。
【0026】
比較例4
実施例4と同様にして得られた受容シート用ロールから縦目になるように同様のサイズで切り出し受容シートを得た。
得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.4mmであった(長さ方向のカール0.9mm)。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1650mgf、S2=1200mgf、S2/S1=0.73であった。
【0027】
実施例5
基材シートとしての三菱製紙製A−2コート(厚さ126μm、坪量156g/cm2)上に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)を介して、多層ポリプロピレンフィルム(東セロ製NW―2、厚さ50μm)を、ドライラミネーションにより積層させた。さらに、基材シートの反対側に、ウレタン系接着剤(塗布量5g/m2)を介して、多層ポリプロピレンフィルム(東セロ製NW―2、厚さ50μm)をドライラミネーションにより積層させた。
次に、ポリエステル(東洋紡社製バイロナールMD1500(固形分30%))90部およびコロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスO(固形分20%))10部の組成の構成材料を全固形分に対して重量比で10%のイソプロピルアルコールに分散、混合することにより受像層用インクを得た。
さらに、上記多層ポリプロピレンフィルム上に、上記で得た受像層用インクを塗布量が5.0g/m2となるようにメイヤバーで塗布し、乾燥し、受容シート用ロールとした。
乾燥後の受容シートを染料受容層形成面が内側に来るようにロール状に巻き取り、防湿包装し、温度50℃±5℃、相対湿度30±5%に制御された熱処理室内に3日間放置した(ロール巻径:700mm)。
この受容シート用ロールから、横目になるように幅100mmおよび長さ140mmの大きさに切り出し受容シートとした。得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.6mmであった。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=1500mgf、S2=2300mgf、S2/S1=1.53であった。
【0028】
比較例5
実施例5と同様にして得られた受容シート用ロールから縦目になるように同様のサイズで切り出し受容シートを得た。
得られた受容シートの染料受容層面側を凹とする幅方向のカールが染料受容層面側を下にして平らな面に置いたときの最大高さは0.4mmであった(長さ方向のカール0.9mm)。また、TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2は、S1=2300mgf、S2=1500mgf、S2/S1=0.65であった。
【0029】
評価テスト
実施例1〜5および比較例1〜5について、昇華ビデオプリンタ(ソニー製社製、CVP−G7)に同プリンタ用昇華型熱転写リボンをセットして20枚連続プリントを5回行い、以下の基準で搬送性を評価した。結果を表1に示す。
上記搬送テスト時に、信号発生器(シバソク社製、C13A2)のドットパターン信号を入力して印画を行い、印画前の受容シートと同様にして印画後のカール測定を行った。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

表中、受容層面が凸の場合のカール高さをプラス(「+」表示は省略)とし、受容層面が凹の場合のカール高さをマイナス(「−」表示)とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プリンタ中の熱転写受像シートの搬送状態を示した模式的断面図である。
【図2】ドラムに巻き付けられた熱転写受像シートを示した模式的斜視図である。
【図3】図2の線A−Aの断面における熱転写受像シートの状態を示した模式的断面図である。
【図4】本発明の熱転写受像シートを示した模式的斜視図せある。
【図5】熱転写受像シートの長さ方向のこわさと幅方向のこわさを測定するための長さ方向測定サンプルと幅方向サンプルを切り出す状態を示した模式的平面図である。
【図6】従来の熱転写受像シートを示した模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 熱転写受像シート
2 受容層面
3 ピックアップロール
4 転写リボン
5 サーマルヘッド
6 ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と該支持体上に形成された染料受容層を有する熱転写受像シートにおいて、
熱転写受像シートは染料受容層面側を凹とする幅方向のカールを有し、染料受容層面側を下にして熱転写受像シートを平らな面に置いたときの該カールの最大高さが0.5mm以上3mm未満であり、
TAPPI T543pm84に記載の紙のこわさの測定方法に準じて測定した熱転写受像シートの長さ方向のこわさS1と幅方向のこわさS2が、800mgf以上2500mgf以下であり、かつ、1<S2/S1≦1.6である
ことを特徴とする熱転写受像シート。
【請求項2】
前記カールの最大高さが0.5mm以上2mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
【請求項3】
前記カールの最大高さが0.6mm以上1.8mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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