説明

熱転写受容シートの製造方法

【課題】
印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートを低コストで提供する。
【解決手段】
シート状支持体の少なくとも一面に、画像受容層を有する熱転写受容シートの製造方法において、塩化ビニル系樹脂、遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックス、架橋剤および中空粒子を含有する塗工液を塗工乾燥することにより、前記画像受容層を形成し、前記塗工乾燥工程において前記遊離脂肪酸の少なくとも一部と、前記架橋剤の少なくとも一部とを架橋反応させることを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の熱転写受容シートは、印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、シートの長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
染料熱転写方式は、染料層を有する染料熱転写シート(以下、「インクリボン」とも言う)と、この染料を受容する画像受容層(以下、「受容層」とも言う)を有する熱転写受容シート(以下、「受容シート」とも言う)を用い、染料熱転写シート上の染料層と熱転写受容シート上の受容層を重ね合わせ、加熱により染料を受容層上に転写して画像を形成する。加熱はサーマルヘッドにより行われ、多色の色ドットによりフルカラー画像を形成する。染料を用いているため画像は鮮明で透明性が高く、写真用途に利用可能な高品質画像が得られる。
【0003】
受容シートは一般に、シート状支持体とその少なくとも一面に形成された画像受容層とから構成されており、シート状支持体としては、従来から種々のフィルム基材や紙基材、およびこれらの積層基材が使用されている。
画像受容層は、主剤である染料染着樹脂に、画像受容層の強度を上げる架橋剤や、染料転写シートとの離型性を上げる離型剤等を必要に応じて添加して形成される。
【0004】
画像受容層を形成する染料染着樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の染料染着性の熱可塑性樹脂が提案されている。 中でも塩化ビニル系樹脂は、画像鮮明性の高い画像受容層が得られる(特許文献1および2)。
【0005】
一方、印画時に濃度が高く画像欠陥を少なくする方法として画像受容層とは別に、画像受容層の下に中空ポリマーを含有する断熱層を設けることが通例であった(特許文献3)。
【0006】
前記熱層表面は、中空ポリマーにより生じる凹凸や空隙を有しており、断熱層上への画像受容層の形成が難しく、断熱層表面の凹凸を埋める為、或いは空隙による画像受容層形成用塗工液の浸み込みを防ぐ為、中間層を設ける必要があった。
【0007】
しかし、中間層を設けることにより、製造工程が増え、製造コストが増加するばかりでなく、断熱層本来の機能(高感度化及び高画質化)を低下させるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−194786号公報(第1〜2項)
【特許文献2】特開2007−237619号公報(第1〜2項)
【特許文献3】特開2007−229988号公報(第1項)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)シート状支持体の少なくとも一面に、画像受容層を有する熱転写受容シートの製造方法において、塩化ビニル系樹脂、遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックス、架橋剤および中空粒子を含有する塗工液を塗工乾燥することにより、前記画像受容層を形成し、前記塗工乾燥工程において前記遊離脂肪酸の少なくとも一部と、前記架橋剤の少なくとも一部とを架橋反応させることを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。
(2)前記架橋剤がカルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、イソシアネート架橋剤から選ばれる少なくとも一種である(1)に記載の熱転写受容シートの製造方法。
(3)前記塗工液中に、前記塩化ビニル系樹脂を100質量部、前記ワックスを0.5〜20質量部、前記架橋剤を1〜15質量部、前記中空粒子を10〜100質量部含有する(1)又は(2)に記載の熱転写受容シートの製造方法の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートが低コストで製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
(シート状支持体)
本発明の受容シートに用いられるシート状支持体としては、ポリエチレンテレフタレートやポリオレフィンからなるフィルム基材、合成繊維や天然繊維からなる不織布基材、パルプを主成分として抄造される紙機材等やこれら基材を貼り合せた積層基材が使用される。
また、シート状支持体の画像受像層面側には、画像鮮明性や画像均一性を向上するために、断熱性とクッション性を付与する目的から内部に空隙を有する低密度のフィルム基材を用いることもできる。
【0013】
(画像受容層)
前記シート状支持体上に設けられる画像受容層は、塩化ビニル系樹脂、遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックス、架橋剤および中空粒子を含有する塗工液を塗工乾燥することにより、形成される。
【0014】
本発明の画像受容層が含有する塩化ビニル系樹脂は、染料染着性樹脂として使用するものであり、ポリ塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニルモノマー単位と塩化ビニルモノマー以外の1種類以上のモノマー単位との共重合樹脂である。塩化ビニルモノマー以外のモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸、エチレン等が好ましく使用できる。
また、本発明の効果を損なわない程度の範囲でその他の樹脂を使用することも可能である。併用可能なその他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂やこれら樹脂に使用されるモノマーの共重合樹脂が挙げられ、これら樹脂の中から1種類以上を適宜選択して使用できる。
【0015】
本発明の画像受容層が含有する塩化ビニル系樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であることが好ましい。この場合、塩化ビニル系樹脂のカルボキシル基と架橋剤が架橋反応することによって画像受容層の耐熱性が向上し、融着トラブルが発生し難くなるため好ましい。
塩化ビニル系樹脂へのカルボキシル基の導入方法としては、例えば、重合反応時に主剤となるモノマーにマレイン酸等を添加する方法がある。
カルボキシル基を導入した塩化ビニル系樹脂としては、例えば、日信化学社製のビニブラン278、603、700、900等が市販品として入手可能である。
【0016】
(遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックス)
本発明の画像受容層は離型剤として遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックスを含有する。ワックス中の遊離脂肪酸の含有率は、1〜15質量%であることが更に好ましい。
【0017】
ワックス中の遊離脂肪酸は、画像受容層用の塗工液を調製する際には、ワックスの分散性を良くし、均一な画像受容層の形成に寄与するが、熱転写受容シートの長期保存においては、白紙部の黄変トラブルを生じる。
【0018】
本発明の画像受容層においては、ワックスに由来する遊離脂肪酸の少なくとも一部は、後述する架橋剤と反応して架橋反応物を形成する。本発明は、この架橋反応によって長期保存時の熱転写受容シートの白紙部黄変トラブルを防ぐものである。
【0019】
ワックス中の遊離脂肪酸の含有率が20質量%を超えると架橋反応に必要なカルボジイミド架橋剤の量も増え、相対的に染料染着性樹脂の量が減り、印画濃度が低下する。また、ワックス中の遊離脂肪酸の含有率が0.5質量%未満であると画像受容層形成用塗工液の分散性が不安定となり、均一な画像受容層が形成されず、画質が低下する。
【0020】
遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナウバワックス、木蝋、モンタンワックス等の中から、遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むものを適宜選択して使用可能である。
【0021】
(架橋剤)
本発明の画像受容層形成用塗工液は、カルボキシル基と反応可能な官能基を有する架橋剤を含有する。カルボキシル基と反応可能な官能基を有する架橋剤としては、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が挙げられ、これらの中でも、カルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤から選ばれる少なくとも1種は、カルボキシル基との反応性が高く、速やかに架橋反応が進行する為、本発明の画像受容層形成用塗工液に好ましく使用できる。
【0022】
市販のカルボジイミド化合物としては、カルボジライト(日清紡社製)等が挙げられる。また、市販のオキサゾリン化合物としては、エポクロス(日本触媒社製)、NKアシストOX(日華化学社製)等が挙げられる。市販のイソシアネート化合物としてNKアシストIS100N(日華化学社製)等が挙げられる。
【0023】
尚、受容層形成後、架橋反応を促進するために加熱(エージング)処理を行うこともできる。加熱処理は、例えば、画像受容層形成直後の熱転写受容シートを40〜60℃に調温して保管する等の方法がある。
【0024】
(中空粒子)
本発明の画像受像層は、断熱性とクッション性を付与できるので、画像鮮明性や画像均一性を向上できる。中空粒子の材質、製造方法は特に限定されないが、具体的には、中空粒子の壁を形成する材料としてアクリロニトリル、塩化ビニリデン、スチレンアクリル酸エステルの重合体などが挙げられる。それらの中空粒子の製造方法としては、樹脂粒子中にブタンガスを封入したマイクロカプセルを、加熱発泡させる方法や、エマルジョン重合方式などが挙げられる。
【0025】
中空粒子の粒子径は0.1〜10μmが好ましい。中空粒子の粒子径を0.1μm以上とすることにより、中空粒子の強度を保ち、塗工乾燥工程での潰れを防ぐことができる。また10μm以内とすることにより、受容シートの表面平滑性を維持し、画像均一性が劣る場合がある。
【0026】
中空粒子の体積中空率は、50〜90%が好ましい。中空粒子の体積中空率が50%以上とすることにより、断熱性とクッション性による高感度高画質化の効果を高めることができる。また、90%以内とすることにより、中空粒子の強度を保ち、塗工乾燥工程での潰れを防ぐことができる。
【0027】
画像受容層塗工液中の前記塩化ビニル系樹脂と、前記ワックスと、前記架橋剤と、前記中空粒子との質量比は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、前記ワックスが0.5〜20質量部、前記架橋剤が1〜15質量部、前記中空粒子が10〜100質量部であることが好ましい。
【0028】
前記ワックスの質量比を0.5質量部以上とすることにより、染料転写シートとの離型性を良好にすることができる。また、前記ワックスによる離型効果は、20質量部で略飽和に達する。
【0029】
前記架橋剤の質量比を1質量部以上とすることにより、受容層の耐熱性を上げ、染料転写シートとの離型性を良好にすることができる。また、前記架橋剤による耐熱効果は、15質量部で略飽和に達する。
【0030】
中空粒子の質量比を10質量部以上とすることにより、受容シートの断熱性やクッション性による高感度高画質化効果が顕著に得られる。また、中空粒子の質量比を100質量部以内とすることにより、良好な画像受容層の塗膜強度が得られる。
【0031】
画像受容層中には必要に応じて、増粘剤、滑剤、蛍光染料、可塑剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、界面活性剤、帯電防止剤等を添加しても良い。これらの添加剤は塗工前に受容層の形成成分と混合されていても良いし、また受容層とは別の塗被層として受容層の上および/または下に塗工されていても良い。
【0032】
受容層の形成は、前記塩化ビニル系樹脂、前記ワックス、前記架橋剤、及び前記中空粒子に添加剤等を適宜加え、有機溶剤あるいは水等に溶解もしくは分散して画像受容層形成用塗工液を調整し、公知のコーターを使用して、シート状支持体に、塗工、乾燥し、さらに必要に応じて加熱キュアして形成することができる。画像受容層形成用塗工液の溶媒として水を使用すると、ワックスが画像受容層表面へ適度に偏在化し、離型効果が高くなるため好ましい。
【0033】
受容層の固形分塗工量は1〜30g/m、より好ましくは5〜20g/mの範囲である。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m以上とすることにより、画像受容層が不連続となることを防ぎ、画質低下を防止することができる。一方、固形分塗工量が20g/m以内とすることにより、画像受容層の塗膜強度を維持し、印画時に剥がれて画質不良を招くことを防止できる。
【0034】
(裏面層)
シート状支持体の画像受容層が設けられていない面(裏面)上には、適宜、裏面層を設ける事ができる。
裏面層の目的は、走行性向上、静電気防止、受容シート相互の擦れによる受容層の傷つき防止、受容シートを重ね置きしたときの裏面への染料移行防止などである。裏面層には、その目的に応じて、樹脂、顔料、帯電防止剤、離型剤、滑剤等を含有する。
【0035】
(カレンダー処理)
受容シートにカレンダー処理を施しても良い。カレンダー処理により、得られる受容シート表面の凹凸を減少させ、均一な画像を得る事ができる。カレンダー処理はいずれの段階で行っても良い。カレンダー処理に使用されるカレンダー装置は、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、クリアランスカレンダー等の一般に製紙業界で使用されているカレンダー装置を適宜使用できる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示し、固形分量である。
【0037】
実施例1
シート状支持体として、厚さ150μmのアート紙(商品名:OK金藤N、王子製紙製、坪量174.4g/m)を使用した。前記シート状支持体の片面に下記組成の受容層形成用塗工液J1を固形分塗工量が15g/mとなるように塗工、乾燥して受容層を形成した。作成した受容シートは45℃で48時間、加熱キュア処理を行った。
【0038】
(受容層塗工液J1の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層用塗工液J1を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0039】
実施例2
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J2を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J2の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層用塗工液J2を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 50部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン603、日信化学工業社製)
オキサゾリン架橋剤(商品名:NKアシストOX、日華化学製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0040】
実施例3
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J3を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J3の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J3を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
キャンデリラワックス(遊離脂肪酸含有率16%) 6部
水 400部
【0041】
実施例4
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J4を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J4の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J4を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 8部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0042】
実施例5
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J5を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J5の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J5を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 110部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0043】
実施例6
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J6を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J6の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J6を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 0.6部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0044】
実施例7
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J7を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J7の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J7を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 18部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0045】
実施例8
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J8を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J8の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J8を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 0.3部
水 400部
【0046】
実施例9
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J9を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J9の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J9を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 23部
水 400部
【0047】
比較例1
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J9を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J9の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J9を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ポリエチレンワックス(遊離脂肪酸含有率0%) 7部
水 400部
【0048】
比較例2
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J10を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J10の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J10を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリ塩化ビニル・アクリル共重合体エマルジョン 100部
(商品名:ビニブラン278、日信化学工業社製)
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0049】
比較例3
実施例1の受容層塗工液J1の代わりに下記受容層塗工液J11を用いた以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
(受容層塗工液J11の調整)
下記組成の材料を攪拌して受容層塗工液J10を調整した。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを主成分とする共重合体からなる
既発泡中空粒子(平均粒子径3.2μm、体積中空率85%) 30部
ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、クラレ社製) 20部
ポリエステルエマルジョン 100部
(商品名:バイロナール1200、東洋紡社製)
カルボジイミド架橋剤(商品名:カルボジライトV02、日清紡社製) 9部
ライスワックス(遊離脂肪酸含有率5%) 7部
水 400部
【0050】
(評価)
上記各実施例および比較例で得られた受容シートについて、下記試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(画像濃度および画質)
市販の昇華型染料熱転写シート(商品名:UPC−R35A、ソニー社製)を装着した市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:UP−DR100、ソニー社製)を用い、常温環境下で、受容シートに白黒チェック柄のテストパターンを印画した。黒印画部の印画濃度をマクベス反射濃度計RD914を用い測定し、下記評価基準に従って評価した。
○:印画濃度が1.90以上であり、画像が極めて鮮明である。
△:印画濃度が1.80以上であり、画像が鮮明である。
×:印画濃度が1.80未満であり、画像が不鮮明である。
さらに画質を目視で下記基準に従って評価した。
○:印画画像に欠陥がなく、極めて均一性が高い。
×:印画画像に白抜けや受容層脱落等の欠陥が多数発生し、均一性が低い。
【0051】
(白紙部黄変試験)
熱転写受像シートの長期保存性の指標として以下の加速試験評価を行った。
前記画像濃度および画質の評価で使用した印画物を80℃、75%RHの恒温恒湿環境下で2日間処理し、テストパターン白部分の処理前後での色差(a値、b値)をJIS−P8150の準じ測定し、Δab値を求め、下記評価基準に従って評価した。
○:印画濃度が1未満(黄変が殆どなく、良好)。
△:印画濃度が3未満(やや黄変するが、実用上問題がない)。
×:Δab値が3以上(黄変が著しく、実用上問題がある)。
【0052】
【表1】

【0053】
表1から明らかのように、実施例1〜9の熱転写受容シートは、印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、熱転写受容シートの長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートの製造方法に関するものである。熱転写受容シートである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の製造方法により、印画濃度が高く画像均一性に優れ、画像欠陥の発生の極めて少なく且つ、長期保管時における黄変(白紙部の黄ばみ)の少ない、極めて保管性に優れた熱転写受容シートを低コストで提供することができ、実用上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状支持体の少なくとも一面に、画像受容層を有する熱転写受容シートの製造方法において、塩化ビニル系樹脂、遊離脂肪酸を0.5〜20質量%含むワックス、架橋剤および中空粒子を含有する塗工液を塗工乾燥することにより、前記画像受容層を形成し、前記塗工乾燥工程において前記遊離脂肪酸の少なくとも一部と、前記架橋剤の少なくとも一部とを架橋反応させることを特徴とする熱転写受容シートの製造方法。
【請求項2】
前記架橋剤がカルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、イソシアネート架橋剤から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の熱転写受容シートの製造方法。
【請求項3】
前記塗工液中に、前記塩化ビニル系樹脂を100質量部、前記ワックスを0.5〜20質量部、前記架橋剤を1〜15質量部、前記中空粒子を10〜100質量部含有する請求項1又は2に記載の熱転写受容シートの製造方法。