説明

熱転写式プリンター及び熱転写式プリンターの電源ユニット

【課題】 熱転写型プリンター装置であって、小型化、低コスト化されていていながら電池を電源部として使用する装置全体の熱の問題に対して効率良く対応した装置を提供する。
【解決手段】 加熱素子がライン状に並んだ加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該冷却手段から排出される被冷却媒体の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写式プリンター、熱転写式プリンターの電源ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から印画用紙に感熱型の用紙を用い、主走査方向に配列された複数個の発熱体を選択的に駆動して、用紙を副走査方向に搬送することで、用紙にドットライン上に印画を行うライン熱転写方式のプリンターが存在する。
【0003】
近年入力側としてのデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、またはスキャナなどの画像を扱う入力機器の進歩に伴い、熱転写方式のプリンター装置も注目されている。
【0004】
それはインクジェットプリンターが、液滴を飛ばすか飛ばさないか、という2値の選択しかないために、小さな液滴を用紙へ着弾させて、誤差拡散等の手法でみかけの解像度と階調性を得ようとするのに対して、熱転写方式のプリンターの場合には、一つの画素に制御可能な熱の値を容易に変更できるため、一つの画素に対する階調性が多く取る事が可能になるので、インクジェットプリンターに比べて滑らかで高画質な画像を得ることができるという点が上げられる。またサーマルヘッドの性能や用紙材料の性能も向上したために、仕上がり品位で銀塩写真にも見劣りしない画像プリントを得る事が可能になっており、近年のデジタルカメラの進歩に歩調を合わせるように特に自然画像用のプリンターとして注目されている。
【0005】
こうした昇華型プリンター装置は、加熱手段を用いるため、熱の発生という問題があり、小型化や印画速度の向上の阻害要因になっていた。
【0006】
たとえば、特許文献1では、昇華型プリンター装置のヘッド熱冷却について述べられている。これはヘッドを含むキャリッジ部材に冷却ファンを具備したものでヘッドの熱対策として有効なものである。
【0007】
また、特許文献2では、サーマルヘッドと一体に設けられ凹部と凸部とが交互に配列された放熱部を有する放熱器と、この放熱器の近傍に位置して前記凹部と前記凸部との配列方向と直交する方向に送風する送風機とが本体カバーで囲まれたサーマルヘッド放熱装置において、前記送風機の下流側の前記本体カバーに前記放熱部の各凹部と前記送風機を結ぶ延長線上に位置して外気へ通じる複数のスリット状の通気孔を形成したものである。これによれば、サーマルヘッドから除去された熱を効率よく本体外部に逃がす手段を提供しようとするものであり有効なものである。
【0008】
また、特許文献3では、プリント用紙に画像を印写する印写機構部と、この印写機構部を制御する制御部とを備え、他の機器内に組み込み可能なユニット型プリンタにおいて、前記プリント用紙を直線的に搬送する搬送路を設け、この搬送路に沿って直列的に前記印写機構部と前記制御部を設けたプリント基板とを配列する構成としたものである。これによれば、他の機器に組み込み可能なプリンタの小型化を図るのに有効である。
【0009】
また特許文献4では、ケースを薄型箱状に構成し、このケース前面にカラー感熱記録材料の挿入口を挟むようにして上下の一方に設けた空気入口、及び他方に設けた空気出口と、カラー感熱記録材料搬送部の搬送路に沿って配置され、空気入口と空気出口とを連通するように前記ケースを断面コ字状に仕切って空気流通路を形成する仕切部材と、この空気流通路に配置した送風機とを備えたものである。
【0010】
これによれば装置構成をコンパクト化し且つサーマルヘッドの放熱が効率良く行えるようにしたものであり有効である。
【0011】
また、特許文献5では、サーマルヘッドを含むメカニズム部と、印画情報の処理を前記メカニズム部の動作を制御する回路を有する回路部と、前記メカニズム部や回路部を有する駆動するための電源を供給する電源部を融資、前記メカニズム部と電源部との間に前記電源部周辺の空気を前記サーマルヘッドに吹きかけるファンモーターを設けたものである。
【0012】
これによれば、ビデオプリンター等の転写型感熱記録装置において、1個のファンモータで、サーマルヘッドの温度を安定化させると共に、電源部の温度上昇をおさえ、印画性能の良い感熱記録装置を提供するものである。
【特許文献1】特開平11-123838公報
【特許文献2】特開平05-177906公報
【特許文献3】特開平08-230279公報
【特許文献4】特開平10-235910公報
【特許文献5】特開平08-267795公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来例ではプリンター装置の小型化や、高速化に結び付くのに十分な解決方法を与えるものではなかった。
【0014】
例えば上記特開平11-123838公報の装置ではヘッドを含むキャリッジ部材に冷却ファンを具備したことで装置の高さ方向などへの大型化は避けられない。
【0015】
業務用途用など、設置場所などにこだわらない場合は大きさは許容される場合があるが、一般家庭用を考えた場合装置は極力小さい方が好ましく、従来画質が良いのに比較して一般家庭に普及が進まない一つの理由に装置の小型化があげられると思われるので装置を小型化するのは必須の要件である。
【0016】
また特開平05-177906公報では、装置を小型化していった際、ヘッドの近傍に通風孔が必要であり、レイアウト上通風孔の位置が制約されるので、例えば上面に通風孔を設ける必要がある場合には装置をトレイにぴったり収めたり、上面に他の機器を載せてもいい様に上面が平らな装置を考えた際などに支障が出て望ましくない。
【0017】
また特開平08-230279公報及び特開平10-235910公報では、電源部について記述が無いが、電源部を装置内に有する場合には、電源部の熱の処理について考慮しないといけないのでこれを含めた小型化を達成することができない。
【0018】
また特開平08-267795公報では、電源部がメカニズム部と同一空間に無い場合についての記載が無く、電源部が着脱可能な電池である場合について述べられていない。
【0019】
また電源部の熱問題に対しては、ライン熱転写部の熱処理とは別の冷却系を設ける例がある。すなわちライン熱転写部に必要なファンなどの冷却系とは別に電源部を冷却する為のファンを設けている。しかしこの様な構成の場合、ファンなどの冷却系が2系統必要になるので、小型化、低コスト化が難しく更に騒音問題なども考えられ非常に効率の悪い装置になる。
【0020】
以上の様な各課題に加え、従来例のいずれも電源部に電池を用いた場合の電池部の冷却について述べられたものが無く、冷却したいサーマルヘッド近傍と電源部が同一空間である場合についての冷却効果については述べられていても、電池を収納して使用する場合についてサーマルヘッド近傍と電池の冷却を効率良く行う方法が無かった。
【0021】
特に近年注目されている燃料電池を電源とする場合にはサーマルヘッドと並んで発熱の問題を克服する必要があるが、この課題に対して小型化と低コストを達成しつつ冷却を効率良く行う方法が無かった。
【0022】
本発明は以上の様な問題点を考慮してなされたものであり、熱転写型プリンター装置であって、小型化、低コスト化されていていながら電池を電源部として使用する装置全体の熱の問題に対して効率良く対応した装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成する為に本発明の熱転写式プリンターは、複数の加熱素子がライン状に並んだ加熱手段と、加熱することにより記録紙に転写されるインクを塗布した色インク層と加熱することにより記録紙に印画する熱転写式プリンターにおいて、該加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該冷却手段から排出される被冷却媒体の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設したものである。
【0024】
これによれば、該加熱手段を冷却するための冷却手段によって該冷却手段から排出された被冷却媒体を、該冷却手段に対して上流もしくは下流側の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設したものである。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した様に、本発明によれば、ヘッド冷却用のファン一つで電池の冷却も可能になるので別途新たな冷却手段を用いる必要が無くコストを低減できるという効果を有している。
【0026】
また発熱の多い電池を電源部として用いた場合の装置の過熱が低減できるので安全性が高まるという効果も有している。
【0027】
また発熱の多い電池を電源部として用いた場合の装置の過熱が低減できるので装置全体の効率向上という効果を有している。
【0028】
また複数のファンを設置する必要が無いので装置の小型化が図れるという効果及びコスト低減という効果も有している。
【0029】
また電池を収納する電池室を導風経路として用いるので、余計な導風経路を設置する必要が無く、装置の小型化が図れるという効果を有している。
【0030】
また電源部の該壁面にまたは電池室に、装置本体との送風を滑らかにするための導風形状が形成されているので、電源部の冷却効果が高いという効果を有している。
【0031】
また電池を収納する電池室を開閉する電池蓋を導風排出口として用いるので、余計な導風経路を設置する必要が無く、装置の小型化が図れるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1から図7に示す図を用いて本発明の実施例について説明する。本プリントシステムは、プリンター部に昇華型の熱転写記録方式を採用し、電子的な画像の情報を任意なプリント枚数分プリントアウトすることが出来るものである。このプリントシステムについて手順に従って説明する。
【0033】
本発明に係わる通常の熱転写記録装置の一実施形態について、以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1は実施形態に係わる記録装置の側面の構成模式図である。まず、記録装置の全体構成について説明すると、装置本体1に記録紙Pを積載した用紙カセット2から給紙ローラ3で一枚ずつ分離給送する。この際記録紙Pはバネ20によって付勢された押上げ板21によって給紙ローラ3に当接している。そして、給紙ローラ3によって搬送された記録紙Pは搬送ローラ対4で挟持搬送されて記録部を往復可能にしている。搬送ローラ対4はピンチローラ42とグリップローラ41で構成されている。
【0035】
記録部においては記録紙搬送経路を挟んでプラテンローラ5と記録情報に応じて発熱するサーマルヘッド6が対向しており、インクカセット7に収納される、熱溶融性または熱昇華性インクを塗布したインク層と印画面を保護するために印画面上にオーバーコートされるオーバーコート層をもつインクシート8をサーマルヘッド6によって記録紙Pに押圧するとともに、選択的に加熱することにより、該記録紙Pに所定画像を転写記録し、保護層をオーバーコートする。
【0036】
上記インクシートは、記録紙Pの印画領域を覆ってそのサイズと略等しいサイズでイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層とオーバーコート(OP)層が並べて設けられたものであり、各層ずつ熱転写しては、記録紙Pを記録開始位置P1に戻し、記録紙上に、順次重ねて転写される。
【0037】
このように、記録紙Pは搬送ローラ対4により、各色インク及びオーバーコート層の数だけ往復される。
【0038】
この際、各インク層の印画後の記録紙Pは装置本体1前方で反転され、用紙カセット前方部及び下部のガイド部を介して装置本体1の後方へ導紙される。装置前方で反転されるために印画途中の記録紙Pが外部に出ることによるスペースの無駄や意図せずに触ってしまったという様なことが無く、設置場所の省スペース化などを可能にしている。
【0039】
しかも用紙カセット2の下部を紙ガイドとして直接利用していることによって装置本体1の厚さを薄くすることが可能になっていると共に、記録紙Pをインクカセット7と用紙カセット2にはさまれた空間を通すことで装置本体1の全高を最小限にとどめることが可能であり小型化を可能にしている。
【0040】
25は用紙カセット2の用紙搬送ガイド部である。装置本体1前方から反転されてきた記録紙Pを装置本体後方に反転させるガイド部であり、この用紙カセット2に具備することで装置本体1全体の小型化に大きく寄与している。
【0041】
また26は用紙カセット2の上面は印画されて排紙された記録紙Pのトレイ部分を兼用しており、これも装置本体1の小型化に寄与している。
【0042】
23はヘッドカバーA、24はヘッドカバーBであり用紙カセット2交換時のサーマルヘッド6への接触防止板である。
【0043】
各インク層の印画終了後に記録紙Pは排紙ローラ1、9a排出ローラ2、9bへ案内され装置本体1後方から前方に向かって排出され記録動作が終了する。
【0044】
排出ローラ1 9bは記録紙Pの排出動作時のみ圧接する様に構成され、印画中にはストレスがかからないように構成されている。
【0045】
なお装置本体1には記録紙Pのガイド部15が構成されていて、記録紙Pを導紙している。
【0046】
15aは搬送路切り替えシートであり、記録紙Pが給紙された後は記録紙Pは排出側の経路に導紙されるようになっている。
【0047】
また印画用のサーマルヘッド6はヘッドアーム22に一体的に具備されており、インクカセット7を交換する場合にはインクカセット7の抜き差しに支障ない位置まで退避する。
【0048】
この退避動作はインクカセット7の交換は用紙カセット2を引き抜くと可能になり、この際用紙カセット2の着脱動作に連動してヘッドアーム22は図不示のカム部によって押さえられている状態から用紙カセット2のカム部が退避していくことで上下する様に構成されている。
【0049】
通常の熱転写記録装置ではYMC3色を3回面順次で記録する為、各色の記録先端を正確に合致させる制御が必要となる。このためには、図1に示す搬送ローラ対4で記録紙Pを離さずしっかり挟持し搬送を行う必要がある。この為、記録紙Pの送り方向の端部には記録不可能な余白部が必要となる。これを鑑み、最終的に、容易に、縁のない印画物を得るために、第3図に示す様に、記録紙Pには、記録開始時搬送ローラ対4でしっかり挟持され記録できない余白部分を後で容易に手で切取り可能な様にミシン目12が設けられる。
【0050】
本発明は、上記説明したミシン目をもつ記録紙Pと熱転写記録装置をもちいて実施され、上記の記録紙に設けられたミシン目領域にはオーバーコートするものとする。
【0051】
また左下がり斜線で示す領域は印画の領域であり、ミシン目を含む領域を印画する様に制御される。オーバーコートは略印画される領域であり且つ印画される領域よりやや大きく印画される領域を含むように印画する様に制御される。
【0052】
更に以下に装置に関わる詳しい説明をする。
【0053】
図1に示す、記録装置1において、搬送ローラ対4は、ピンチローラ42とグリップローラ41からなり、このグリップローラ41は、図示しないステッピングモータの出力軸が減速機構を介してして直結され、このステッピングモータの回転制御により、正逆自在に駆動される。記録紙Pは、搬送ローラ対4によりしっかりと挟持され、往復搬送されるもであるから、記録紙Pもまた、ステッピングモータの回転制御により、正確に位置制御され、搬送駆動される。いま、一例としてサーマルヘッド6による1ライン分の記録ピッチを85μmとし、記録紙Pを1ライン分搬送するためのステッピングモータのステップ数を4ステップとするならば、記録紙Pは、ステッピングモータを4ステップで回転制御することにより、1ライン(すなわち85μm)搬送することができる。図3に示した、印画範囲は、搬送方向において144mmであるとすると、1694ライン印画可能であり、記録紙をこの分搬送するためには、ステッピングモータを6776ステップ分回転させればよい。
【0054】
図1に示す、記録装置1において、給紙ローラ3から給紙ローラ対4を見て、給紙ローラ対4の近傍の位置に、記録紙先端検出センサー10が置かれ、これにより記録紙の先端を検出し、検出後、搬送ローラ対4で挟持できる範囲で所定ラインを送り停止させる。この位置が前述の記録開始時の位置となる。ここからまず最初のYイエローからサーマルヘッドを記録情報に応じて発熱駆動し、各色インクの所定画像を記録し、またはオーバーコート層を転写する。1色が終わると次にこの位置から記録紙を排紙ローラ9bのある方向に戻して搬送し、再び所定のライン数を戻し送り、YMC各色及びオーバーコート層転写を4回繰返す。
【0055】
図1に示す記録装置1において、記録紙先端検出センサー10と、プラテンローラ5とサーマルヘッド6により記録紙Pを押圧する位置の距離は、装置内部品配置を考慮し、記録紙上の距離で20mmに設定したがこれに限られるものでは無い。
この時、図3に示す印画物は、下記の様に各色インクを転写記録し、またオーバーコート層を転写することにより得られる。
【0056】
図2のフローチャートにおいて色インク転写及びオーバーコートシーケンスを説明する。
【0057】
S1:使用者は不図示のプリントボタンもしくはデジタルカメラやデジタルビデオカメラからの印画指示などによってプリント動作を指示する。
【0058】
S2:装置本体1内部の処理回路18はプリント指示を実行した機器との通信を開始し、処理回路18ではプリント指示を実行した機器との間でプリントに必要な諸条件の確認を行う。
【0059】
デジタルカメラDCはプリントする画像情報を接続されているプリンター装置の機種によって最適な色やシャープネス処理を行った後、デジタルカメラDCの画素数とプリンター装置本体1から出力するプリントサイズにあわせた画素へ補間処理を行ってからプリンター装置本体1へ画像情報を送出する。
【0060】
S3:印画準備が出来たら制御手段19は給紙ローラ3に連結されたモータを駆動して記録紙Pを給紙開始する。
【0061】
この際、制御手段19はファン35を駆動し、サーマルヘッド6及び、ヘッドアーム22の冷却動作を開始する。
【0062】
S4:記録紙先端検出後、ステッピングモータを所定ステップ分回転させ、印画を開始する。このとき、印画開始位置は、記録紙先端を基準として、12.465mmとした。
【0063】
S5:引き続き、ステッピングモータを4ステップ分回転しながら、サーマルヘッドを発熱駆動し1ライン分の印画を行う。全部で6776ステップ分(1694ライン分)回転させ、印画を終了する。この時の印画終了位置は、記録紙先端を基準として、156.455mmとなる。
【0064】
この際、印画物はミシン目12によって分離可能になっており、すなわち印画動作はミシン目12の若干余白部16側まで印画して、印画されない余白部16を切り離すことで余白部のない印画領域17のみの印画物を得られるようになっている。
【0065】
したがって印画されたライン数のうち所定の量は実際の印画物には切り取られて印画されない部分があるわけである。
【0066】
S6:ついで、停止にいたるまでの減速のため、ステッピングモータを10ライン分(40ステップ分)程回転させ、停止させる。
【0067】
S7:この状態から、ステッピングモータを逆転駆動し、記録紙Pを印画時と逆方向に搬送し、所定のステップ数(6776ステップ-減速分)だけ戻して、更に減速のため、所定のライン数の10ライン分(40ステップ分)程回転させ、停止させる。
【0068】
S8:上記をYMC3色分、3回程繰返し、所望の印画像を記録紙Pに転写記録する。
【0069】
S9:その後、そして、更に一回印画面保護の為のオーバーコート層を転写する。
【0070】
S10:その後ステッピングモータを逆転駆動してそのまま排出ローラー2 9bへ導き、排出ローラー2 9bの駆動で用紙を排出して一連の動作を終了させる。
【0071】
ファン35は一連の印画動作終了と同時に動作を停止するようになっているが、もしもサーマルヘッド6の有する温度センサーによって高熱であると感知されていれば所定の温度に冷却されるまで印画動作とは別にファン35を駆動するようにしてある。
【0072】
また、上記において、制御手段19は記録紙Pの給紙時に、最初に記録紙先端検出センサ10で検知した記録紙の先端検出信号をもとに、ステッピングモータのステップ数と記録紙Pの搬送時における位置関係をもとに、ステッピングモータの回転駆動のステップ数を、全印画記録時において管理することにより、記録位置管理を行うとしたが、これにかぎらす、各YMC色及びオーバーコート層の転写記録時において、記録紙先端部に検出センサーを設けて記録紙の先端検出を行い、その信号を基準として、ステッピングモータの回転駆動のステップ数を管理することにより、記録位置管理を行う構成としても良い。
【0073】
また、上記において、オーバーコート層の転写は、サーマルヘッドの発熱駆動のON/OFFのみで行う様に記述したが、オーバーコートの転写開始時では、徐々に発熱量を増加させ、また、オーバーコートの転写終了時には、徐々に発熱量を減少させることにより得る様な制御を加える事も可能である。
【0074】
ここで前述のS2のプリント指示を実行する機器と、該プリンター装置の通信について更に詳述する。
【0075】
一例として、今プリント指示を実行するのはデジタルカメラDCとして説明する。
図4はデジタルカメラDCとプリンター装置本体1を接続してある模式図である。
デジタルカメラDCは撮影後に該デジタルカメラDC内部のメモリに画像情報が保持されているものとする。メモリはコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやスマートメデイアといった着脱自由なものが便利である。
【0076】
デジタルカメラDCのモードを設定して、今任意の画像を再生させるものとする。
画像情報の再生はデジタルカメラDCの具備する液晶表示装置によって随時確認できるので使用者は撮影された好きな画像情報を任意に呼び出すことが可能である。
【0077】
ここでケーブル27や無線手段によってプリンター装置本体1と通信可能な状態であると、所定のプリント実行ボタン(図不示)によってデジタルカメラDCからプリンター装置へ必要な情報が通信される。
【0078】
上記必要な情報としては、デジタルカメラDCとのネゴシエーションの情報や、デジタルカメラDCからのプリントすべき画像の情報や画像情報に記録時または記録後から付加された情報、等である。
【0079】
さてここで本発明に関わる内容について更に詳細に述べる。
【0080】
図5は上部から見た図、図6は斜視図、図7は電池の斜視図である。
【0081】
ヘッドアーム22はサーマルヘッド6を一体的に固定しており、サーマルヘッドの発熱によって生じた熱はヘッドアーム22に直接的に伝わるようになっている。
【0082】
ここで、ヘッドアーム22にはヘッドアームフィン部28が形成されている。
【0083】
ヘッドアームフィン部28は凸凹形状の複数の壁で形成されている。
【0084】
そしてこのヘッドアームフィン部28に対向するように、3本のヘッド導風路1 29、ヘッド導風路2 30、ヘッド導風路3 31が配設されており、この3本のヘッド導風路は導風路A 32、導風路B 33を介してファン35へ導かれている。
【0085】
ヘッドアームフィン部28の凸凹形状の複数の壁は3本のヘッド導風路に各々整流される方向に向いており、ファン35による吸気がスムーズに行くように構成されている。
【0086】
ファンは吸い込み型になっており、空気がヘッドアーム22側から吸い込まれるように構成してある。
【0087】
すなわちサーマルヘッド6によって熱せられたヘッドアーム22とヘッドアームフィン部28の周囲の空気が上記ヘッド導風路によって動かされて放熱するようになっているわけである。
【0088】
ファンの回転で吸気された空気は導風路C 34を通って装置本体1の外部へ排気されるが、ここで、導風路C 34は装置本体1を電池37で駆動するための電池の収納を兼ねている電池ボックス36にとして機能するように構成されている。
【0089】
ファン35からのヘッド冷却風は、該電池ボックス(電源ユニット)36と、電池37に設けられた、装てん時の奥であってファン35に隣接する側面が風の流れを左右に流すための流線型の形状によってスムーズに流れ、電池37の側面に設けられた電池通風溝38との隙間を通ってから電池蓋41に設けられた吹き出し口42から外部に排気される。
【0090】
このように構成されることで、電池37がファン35によって排気された空気にさらされるように構成されている。
【0091】
これによってファン35によって排気されている空気の流れが電池37を冷却するのを補助することになり、電源部の発熱を抑え、効率が高くなるように構成されている。
【0092】
ファン35の風の流れが電池35のなるべく大きな面積に接するように、本実施例の電池35においては、電池35と装置本体1を電気的に接続する電池接点40は電池35の上面側に配設されている。
【0093】
本実施例の装置のように、比較的大きな電力を消費する熱転写型のプリンター装置の場合、大きなエネルギーを供給できるリチウムイオン電池や燃料電池を電源として用いるのが好ましいが、これら電池から発生する熱によって装置が熱くなったり、効率が落ちるといった現象に対して直接排気の流れを用いて放熱させることで電池の過剰な加熱を防止でき、発熱量の多い燃料電池を用いた場合には特に有効になる。
【0094】
(第二実施例)
図8から図9に示す図を用いて本発明の第二の実施例について説明する。
【0095】
第一実施例と同様の動作を行う箇所には同様の符号をつけ、説明は省略する。
第二の実施例の装置は背面側に電源部として電池を装着するレイアウトを採用した場合である。
【0096】
この場合、電池37はファン35に対して広い側面に直接冷却風をあてられるので効率よく冷却できる。ここで、電池ボックス(電源ユニット)36内では電池はがたつくこと無く固定されるために大きな導風路C 34のスペースを設けるわけには行かない。そこで本第二の実施例においては電池ボックス36の側面に凸凹形状を形成し、風の流れをスムーズにすると共に電池のがたつきを抑えるように構成してある。排出された冷却風は電池蓋41の吹き出し口42から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第一実施例の構成模式図。
【図2】第一実施例のフローチャート1。
【図3】第一実施例の用紙の図。
【図4】第一実施例の構成模式図。
【図5】第一実施例の上面から見た構成図。
【図6】第一実施例の斜視構成図。
【図7】第一実施例の電池の斜視図。
【図8】第二実施例の電池ボックス(電源ユニット)の説明図。
【図9】第二実施例の電池ボックス(電源ユニット)の説明図。
【符号の説明】
【0098】
1 装置本体
2 用紙カセット
3 給紙ローラ
4 搬送ローラ対
5 プラテンローラ
6 サーマルヘッド
7 インクカセット
8 インクシート
9−1 排紙ローラ1
9−2 排紙ローラ2
10 記録紙先端検出センサー
12 ミシン目
4―2 ピンチローラ
4―1 グリップローラ
15 ガイド部
16 余白部
17 印画領域
18 処理回路
19 制御手段
20 バネ
21 押上げ板
22 ヘッドアーム
23 ヘッドカバーA
24 ヘッドカバーB
25 用紙搬送ガイド部
26 排紙トレイ部
27 ケーブル
28 ヘッドアームフィン部
29 ヘッド導風路1
30 ヘッド導風路2
31 ヘッド導風路3
32 導風路A
33 導風路B
34 導風路C
35 ファン
36 電池ボックス
37 電池
38 電池通風溝
39 風切り突起部
40 接点部
41 電池蓋
42 吹き出し口
43 フィン形状
DC デジタルカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱素子がライン状に並んだ加熱手段と、加熱することにより記録紙に転写されるインクを塗布した色インク層と加熱することにより記録紙に印画する熱転写式プリンターであって、
該加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該冷却手段から排出される被冷却媒体の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設したことを特徴とする熱転写式プリンター。
【請求項2】
前記冷却手段は回転ファンを用いることを特徴とする請求項1に記載の熱転写式プリンター。
【請求項3】
前記電源部は繰り返し充放電可能な充電式の電池であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写式プリンター。
【請求項4】
前記電源部は燃料電池であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写式プリンター。
【請求項5】
複数の加熱素子がライン状に並んだ加熱手段と、加熱することにより記録紙に転写されるインクを塗布した色インク層と加熱することにより記録紙に印画する熱転写式プリンターであって、
該加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源を有する熱転写式プリンターにおいて、
該電源着脱用に外装部品に開閉可能な蓋部材を有し、該蓋部材は該冷却手段から排出された被冷却媒体を装置の外部に放出する被冷却媒体放出口を併設したことを特徴とする熱転写式プリンター。
【請求項6】
複数の加熱素子がライン状に並んだ加熱手段と、該加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該冷却手段から排出される被冷却媒体の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設した熱転写式プリンターに用いられる電源ユニットにおいて、
少なくとも該電源部の装置本体への挿入側であって、装置本体の送風路近傍に送風を滑らかにするための導風形状が形成されていることを特徴とする熱転写式プリンターに用いられる電源ユニット。
【請求項7】
複数の加熱素子がライン状に並んだ加熱手段と、加熱することにより記録紙に転写されるインクを塗布した色インク層と加熱することにより記録紙に印画する熱転写式プリンターであって、該加熱手段を冷却するための冷却手段を有し、該冷却手段から排出される被冷却媒体の経路内部に、該熱転写式プリンターに用いられる着脱可能な電源部を配設した熱転写式プリンターにおいて、
少なくとも該電源部もしくは該プリンター内部の壁面に、装置本体との送風を滑らかにするための導風形状が形成されていることを特徴とする熱転写式プリンターおよび、電源部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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