説明

熱転写記録媒体

【課題】受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、熱転写時の画像の不均一性を防ぐことができる熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上の一方の面に、少なくとも染料、第一のバインダー樹脂と第一の添加剤を含有する熱転写層を設け、また前期支持体の前記熱転写層とは反対側の面に、少なくとも第二のバインダー樹脂と第二の添加剤を含有する耐熱滑性層を設けた熱転写記録媒体において、前記第一の添加剤と前記第二の添加剤が同種類であることを特徴とする熱転写記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱転写体上に文字または画像を形成するための熱転写層を有する熱転写記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、文字または画像等を被転写体に形成する方式として、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式等が採用されている。例えば、昇華型熱転写方式の場合、支持体上に染料やバインダー等を含む熱転写層等を設けた熱転写記録媒体の熱転写層表面と、他の支持体上に染料を受容する受容層を設けた被熱転写体の受容層表面とを互いに重ね合わせ、熱転写記録媒体の熱転写層を設けていない面から文字または画像情報により温度制御されたサーマルヘッド等により加熱することで、熱転写層中の染料を昇華させ、受容層へ移行させることで、所望の文字または画像を形成する。
【0003】
一方、溶融型熱転写方式の場合、支持体上に顔料やワックス等を含む熱溶融性の熱転写層を設けた熱転写記録媒体の熱転写層表面と、他の支持体上に受容層を設けた被熱転写体の受容層表面とを互いに重ね合わせ、サーマルヘッド等により加熱することで、熱転写層を融着させ、受容層へ移行させることで、所望の文字または画像を形成する。上記の方式のうち、昇華型熱転写方式は、文字や図表などのモノクロプリントや、デジタルカメラ画像またはコンピューターグラフィックス画像などのカラープリントに広く採用されている。
【0004】
ところで、昇華型熱転写方式の場合、受容層表面が平らでない、すなわち受容層表面に凹凸が存在する場合、サーマルヘッド等で加熱する際に、熱転写記録媒体の、被熱転写体への追従性が悪いためにムラとなり、画像が不均一になるという問題が生じる。
【0005】
上記のような問題を解決するために、熱転写受像シートの、2層の樹脂コート層の曲げ弾性率を設定することで、白抜け・ざらつきの少ない印画物を得る方法が報告されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−234762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像均一性は主に、受容層の平滑性起因の問題であり、これまでに受容層・受像シート側の改善はいくつか報告されているが、熱転写記録媒体側による改善の報告はない。
上記の問題に鑑み、熱転写記録媒体において、受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、熱転写時の画像の不均一性を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、熱転写層及び耐熱滑性層に、同種類の添加剤を含有させることで、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の発明は、支持体上の一方の面に、少なくとも染料、第一のバインダー樹脂と第一の添加剤を含有する熱転写層を設け、また前記支持体の前記熱転写層とは反対側の面に、第二のバインダー樹脂と第二の添加剤を含有する耐熱滑性層を設けた熱転写記録媒体において、前記第一の添加剤と前記第二の添加剤が同種類であることを特
徴とする熱転写記録媒体である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記第一の添加剤が、前記第一のバインダー樹脂に対して1〜10重量%の範囲であり、かつ前記第二の添加剤が、第二のバインダー樹脂に対して0.5〜15重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記第一の添加剤及び第二の添加剤の融点が50〜150℃の範囲であり、かつ第一の添加剤と第二の添加剤の融点の差が20℃以内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱転写記録媒体である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記第一の添加剤及び第二の添加剤が、脂肪族カルボン酸、リン酸エステル、金属石鹸のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る熱転写記録媒体を用いることにより、受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、熱転写時の画像の不均一性を防ぐことができるという効果を発現する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の熱転写記録媒体の一実施形態の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る熱転写記録媒体の一実施形態についてさらに詳細に説明する。図1は熱転写記録媒体1の断面模式図である。熱転写記録媒体1は、支持体2と、前記支持体2の一方の面に、少なくとも染料、バインダー樹脂からなる熱転写層3、前記支持体2の前記熱転写層3とは反対側の面に、バインダー樹脂からなる耐熱滑性層4で構成される。
【0015】
支持体2は、従来から熱転写記録媒体の基材として使用されているものと同等なものを使用することができ、機械的強度、柔軟性、耐熱性などを有することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリイミド、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチックフィルム、コンデンサーペーパー、パラフィン紙等の紙類を挙げることができるが、特に好ましいのはポリエチレンテレフタレートである。支持体2の厚みは2〜25μm、より好ましくは2〜12μmである。
【0016】
熱転写層3は、熱転写記録媒体1の耐熱滑性層4側からサーマルヘッドにより加熱することで、被熱転写体上に熱転写層3に含まれる成分すなわち染料を転写する機能を持つ。本発明の熱転写層は、特に昇華性熱転写層のことを指す。
【0017】
熱転写層3は、少なくとも昇華性染料、バインダー樹脂を含有する。昇華性染料としては従来公知のものを用いることができる。具体的には、イエローとしては、カヤセットイエローAG、カヤセットイエローTDN、PYT52、プラストイエロー8040、ホロンブリリアントイエローS6GLPI等が挙げられる。マゼンタとしては、カヤセットレッドB、カヤセットレッド130、セレスレッド7B、マクロレックスレッドバイオレットR、C.I.ディスパースレッド60等を挙げられる。シアンとしては、カヤセットブルー714、セレスブルーGN、MSブルー50、TSD−44、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
昇華性染料との組み合わせで熱転写層3に用いるバインダー樹脂としては、従来公知のものが使用でき、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリカーボネート等の耐熱性、染料移行性等に優れた樹脂が使用できるが、より耐熱性、染料移行性に優れた樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
【0019】
昇華性染料との組み合わせで熱転写層3に用いるバインダー樹脂のガラス転移温度としては、50℃以上が好ましく、ガラス転移温度が50℃以下であると、熱転写時に熱転写層3が被熱転写体に融着しやすくなったり、熱転写記録媒体の保存性に問題が生じたりするため好ましくない。さらに、熱転写層3に含まれる昇華性染料とバインダー樹脂との比率は、100:50〜100:300の範囲であることが好ましい。
【0020】
また熱転写層3は、架橋剤を含有しても良い。昇華性染料、バインダー樹脂との組み合わせで熱転写層3に用いる架橋剤としては、従来公知のものが使用できる。架橋剤を含有させることで耐熱性が向上し、熱転写記録媒体の変形を防止できる。より耐熱性に優れた架橋剤としてはポリイソシアネートが挙げられ、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系のポリオール樹脂やセルロース系樹脂、アセタール樹脂等の組合せで用いられる。
【0021】
熱転写層3は離型剤を含有してもよい。離型剤を含有させると、熱転写層表面の形状によらず離型性がさらに向上する。例えば、シリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系、といった各種オイルや、界面活性剤や、金属酸化物、シリカ、等の各種フィラー等が使用できる。中でも、シリコーンオイルを使用することが好ましい。
【0022】
熱転写層3の膜厚は0.2〜5.0μmの範囲であるが、好ましくは0.4〜3.0μm程度の範囲である。0.2μmを下回ると十分な発色濃度が得られず、また、5.0μmを越えると発色感度が悪くなるという欠点が生じる。
【0023】
熱転写層3は粒子を含有しても良い。粒子としては、例えば、タルク、クレー、カオリン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムなどの無機系粒子や、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリスチレン粒子、シリコーン粒子などの有機系粒子が挙げられる。
【0024】
支持体2と熱転写層3との密着性を向上させるために、中間層として易接着層を設けても良い。その他、熱転写層3には、必要に応じて、界面活性剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加してもよく、これらの機能を有した層を積層しても良い。
【0025】
耐熱滑性層4は、サーマルヘッドの熱による支持体2の熱収縮や、サーマルヘッドとの摩擦による支持体2の破断を防止するために、支持体2の熱転写層3の反対側の面に設けられる。耐熱滑性層4に用いられるバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。耐熱性を向上させる目的で、架橋剤を併用してもよい。また、滑性を向上させる目的でシリコーンオイル等の滑剤等を併用してもよく、上記樹脂をシリコーン変性等したものを使用してもよい。
【0026】
また、支持体2と耐熱滑性層4との間の密着性を向上させるために、支持体2の上に易接着層を設け、その上に耐熱滑性層を設けてもよい。逆に、耐熱滑性層を設けない場合は、支持体2のサーマルヘッドと接する面の表面粗さを種々の方法で調整することで耐熱性や滑性を向上させてもよい。
【0027】
以上の熱転写層3と耐熱滑性層4は、少なくとも同種類の添加剤を含有する。本発明の添加剤は、熱転写層3と耐熱滑性層4に含有される添加剤を同種類とすることで、熱の伝わり方が均一になり、受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、熱転写時の画像の不均一性を防ぐことができる。
【0028】
熱転写層3中の第一の添加剤は、熱転写層3中のバインダー樹脂に対して1〜10重量%の範囲であることが好ましく、1重量%より小さい場合は画像を均一にする効果が小さくなってしまう。また10重量%より大きい場合には、熱転写時に添加剤が染料の移行を阻害してしまうために、転写濃度が小さくなってしまう。
【0029】
また耐熱滑性層4中の第二の添加剤は、耐熱滑性層4中のバインダー樹脂に対して、0.5〜15重量%の範囲であることが好ましく、0.5重量%より小さい場合は、画像を均一にする効果が小さくなってしまう。また15重量%より大きい場合には、耐熱性が劣ってくるために、熱転写時のサーマルヘッドの熱による支持体2の熱収縮や、サーマルヘッドとの摩擦による支持体2の破断が起こってしまう。
【0030】
前記第一の添加剤と、前記第二の添加剤の融点は、50〜150℃の範囲であることが好ましく、かつ第一の添加剤と第二の添加剤の融点の差は20℃以内であることが好ましい。融点が50〜150℃であることで、受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、より効果的に画像を均一にすることができる。また融点の差が20℃より大きくなってしまうと、熱転写時に熱の伝わり方が不均一となるため、画像を均一にする効果が発現できない。
【0031】
前記第一の添加剤、及び前記第二の添加剤の種類としては、耐熱滑性層4に含有する第二の添加剤には、滑剤としての役割も兼ねているため、脂肪族カルボン酸、リン酸エステル、金属石鹸であることが好ましい。これらの滑剤を添加することで、熱転写記録媒体とサーマルヘッドとの融着防止の効果が期待できる、あるいは熱転写記録媒体自体を保護することができる。
【0032】
なお、被熱転写体は、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート等のウェットコーティング法によって、各基材シートへ各層形成用インキを塗布、乾燥して得ることができる。
【0033】
被熱転写体は、支持体及び受容層からなる。この支持体は、通常、被熱転写体の基材として使用されているものと同等なものを使用することができ、機械的強度、柔軟性、耐熱性などを有することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルや、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルファン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミドフィルムなどのプラスチックフィルム、上質紙、コート紙、合成紙などの紙基材等が挙げられる。支持体の厚みには特に限定はないが、一般的には25〜250μmの範囲、さらには75〜200μmの範囲が好ましい。
【0034】
また、受容層としては、熱転写層に昇華性染料を用いる場合には、例えば、染着性を有するブチラール樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアセタール、エポキシ、ケトン、或いはこれらの変性樹脂やブレンド品などの熱可塑性樹脂や、これらの架橋生成物、等を使用することができる。
これらは単独でも2種以上を混合してもよい。受像層の膜厚は、薄すぎると画像の反射
濃度が低下し、十分な画像を形成することが困難になる。一方、厚すぎると色のにじみ等の画像品位の低下が生じる。従って、一般的には1〜30μmの範囲、好ましくは3〜10μmとする。
【0035】
この場合の受像層には、画像形成時の熱転写記体への熱融着を防止する目的で、種々の離型剤を含有させることが好ましい。このような離型剤としては、公知の離型剤を適宜選択して使用することができる。例えば、シリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系、といった各種オイルや、界面活性剤や、金属酸化物、シリカ、等の各種粒子等が使用でき、中でも、シリコーンオイルを使用することが好ましい。また、その添加量は、受像層の構成条件により異なるが、一般的には、1〜30重量%の範囲で配合することが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
下記組成の耐熱滑性層用インキ組成物を調整し、厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレートフイルム基材に、乾燥後の耐熱滑性層の膜厚が1.0μmになるように塗布及び乾燥を行った。
〔耐熱滑性層用インキ〕
・アクリルポリオール樹脂 15部
・2−6,トリレンジイソシアネート 5部
・アミノ変性シリコーンオイル 1部
・パルミチン酸(融点59〜62℃) 1部
・メチルエチルケトン 36部
・トルエン 36部
【0038】
次に、下記組成の熱転写層用インキ組成物を調製し、基材の耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、乾燥後の熱転写層の膜厚が1.0μmになるように塗布及び乾燥して本発明の熱転写記録媒体を得た。
〔熱転写層用インキ〕
・C.I.ソルベントブルー63 2.5部
・C.I.ソルベントブルー36 2.5部
・ポリビニルアセタール樹脂 5部
・パルミチン酸(融点59〜62℃) 0.25部
・メチルエチルケトン 60部
・トルエン 30部
【0039】
次に、基材シートとして発泡ポリプロピレンフィルム(厚み:50μm)/接着樹脂層/コート紙(坪量:108g/m)/接着樹脂層/発泡ポリプロピレンフィルム(厚み:50μm)の構成の積層シートを用い、この片方の面に下記の受容層用インキを乾燥後の膜厚が4μmとなるように塗布、乾燥を行い、その後45℃で1週間エージングを行い、受容層付きの被熱転写体を得た。
〔受容層用インキ〕
・塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
(日信化学工業社製、ソルバインA) 50.0部
・シリコーンオイル
(信越化学工業社製、KF393) 2.0部
・メチルエチルケトン 25.0部
・トルエン 25.0部
【0040】
<実施例2>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をリン酸エステル(融点70℃)1部とし、熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部をリン酸エステル(融点70℃)0.25部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0041】
<実施例3>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をステアリン酸マグネシウム(融点108〜115℃)1部とし、熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部をステアリン酸マグネシウム(融点108〜115℃)0.25部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0042】
<実施例4>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をステアリン酸(融点65〜69℃)1部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0043】
<実施例5>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をリン酸エステル(融点55℃)1部とし、熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部をリン酸エステル(融点70℃)とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0044】
<実施例6>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をステアリン酸亜鉛(融点115〜125℃)1部とし、パルミチン酸0.25部をステアリン酸マグネシウム(融点108〜115℃)0.25部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0045】
<実施例7>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をオレイン酸(融点10〜12℃)1部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0046】
<実施例8>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をリン酸エステル(融点20℃)1部とし、熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部をリン酸エステル(融点70℃)とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0047】
<実施例9>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をステアリン酸カルシウム(融点148〜155℃)1部とし、パルミチン酸0.25部をステアリン酸マグネシウム(融点108〜115℃)0.25部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0048】
<実施例10>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を0.05とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0049】
<実施例11>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を3.5部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0050】
<実施例12>
熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を0.02部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0051】
<実施例13>
熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を0.75部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0052】
<比較例1>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部をリン酸エステル(融点70℃)1部とした以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0053】
<比較例2>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を添加しないように調整した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0054】
<比較例3>
熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部を添加しないように調整した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0055】
<比較例4>
耐熱滑性層用インキ組成物のうち、パルミチン酸1部を添加しないように調整し、さらに熱転写層用インキ組成物のうち、パルミチン酸0.25部を添加しないように調整した以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を得た。
【0056】
得られた熱転写記録媒体の熱転写層面と被転写体の受容層面とを重ね、耐熱滑性層側からサーマルヘッドを用いて染料を転写させ、印画を行った。
【0057】
印画後の熱転写記録媒体、及び得られた画像に対して以下の評価を行った。結果を表1に示す。
〔評価項目〕
・画像均一性
得られた画像の画像均一性を、目視にて評価した。画像が均一である場合は○、画像に多少抜けやムラがある場合は△、画像に抜けやムラが多数ある場合は×で評価した。
・耐熱性
印画後の熱転写記録媒体を目視にて観察し、熱転写記録媒体が印画部と未印画部の境目で切れを起こしたりしていないか確認した。問題ない場合は○、切れを起こしているが実用上問題ないレベルの場合は△、切れを起こし、実用上問題ある場合は×にて評価した。・印画濃度
得られた画像の印画濃度を、X−rite528濃度計(X−rite社製)の濃度測定 ステータスAにて光学濃度測定を行い、印画濃度が1.4未満を×、印画濃度が1.4以上〜1.5未満を△、1.5以上を○として評価した。
【0058】
【表1】

【0059】
以上の結果の通り、本発明によると、熱転写記録媒体において、受容層の平滑性に欠ける受像シートにおいても、熱転写時の画像の不均一性を防ぐことができた。実施例1〜3からは、画像均一性、耐熱性、印画濃度に優れていることが確認できた。
【0060】
実施例4〜6からは、同一の添加剤でなく、同種類の添加剤であれば、画像均一性、耐熱性、印画濃度に優れた熱転写記録媒体を得ることができることが確認できた。
【0061】
実施例7〜9からは、融点の差が20℃より大きくなると、画像均一性が若干劣ることが確認できた。
【0062】
実施例10からは、耐熱滑性層中のバインダー樹脂に対して、添加剤の添加量が0.5重量%未満となることで、多少抜けやムラが発生することが確認できた。
【0063】
実施例11からは、耐熱滑性層中のバインダー樹脂に対して、添加剤の添加量が15重量%より大きくなることで、耐熱滑性層の耐熱性が若干劣り、実用上問題ないレベルの切れを起こすことが確認できた。
【0064】
実施例12からは、熱転写層中のバインダー樹脂に対して、添加剤の添加量が1重量%未満となることで、多少抜けやムラが発生することが確認できた。
【0065】
実施例13からは、熱転写層中のバインダー樹脂に対して、添加剤の添加量が10重量%より大きくなることで、印画濃度が若干落ちることが確認できた。
【0066】
比較例1からは、耐熱滑性層中に含まれる添加剤と、熱転写層中に含まれる添加剤の種類が異なることで、熱の伝わり方が均一でなくなり、画像にムラや抜けが発生することが確認できた。
【0067】
比較例2〜4からは、耐熱滑性層と熱転写層のどちらか一方、または両方に添加剤を添加しないことで、画像にムラや抜けが発生することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の熱転写記録媒体は、文字や図表などのモノクロプリントや、デジタルカメラ画像またはコンピューターグラフィックス画像などのカラープリントに広く用いることが出来る。
【符号の説明】
【0069】
1…熱転写記録媒体
2…支持体
3…熱転写層
4…耐熱滑性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上の一方の面に、少なくとも染料、第一のバインダー樹脂と第一の添加剤を含有する熱転写層を設け、また前記支持体の前記熱転写層とは反対側の面に、第二のバインダー樹脂と第二の添加剤を含有する耐熱滑性層を設けた熱転写記録媒体において、前記第一の添加剤と前記第二の添加剤が同種類であることを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項2】
前記第一の添加剤が、前記第一のバインダー樹脂に対して1〜10重量%の範囲であり、かつ前記第二の添加剤が、第二のバインダー樹脂に対して0.5〜15重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項3】
前記第一の添加剤及び第二の添加剤の融点が50〜150℃の範囲であり、かつ第一の添加剤と第二の添加剤の融点の差が20℃以内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱転写記録媒体。
【請求項4】
前記第一の添加剤及び第二の添加剤が、脂肪族カルボン酸、リン酸エステル、金属石鹸のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−187848(P2012−187848A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54051(P2011−54051)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】