熱転写記録方法、熱転写記録装置および記録物
【課題】接着層の転写領域全面に対して均一な転写状態を得ることができ、かつ、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができる熱転写記録方法および熱転写記録装置を提供する。
【解決手段】ライン型サーマルヘッドを用いて、中間転写リボンの受像層上にカラー画像や文字情報などを記録した後、当該受像層を通帳類の記録頁上に熱転写させるもので、その際、中間転写リボンの受像層と記録頁との接着力を向上させるために、中間転写リボンの受像層上にカラーインクリボンから接着層を転写し、その後、受像層をその上に形成された接着層を介して記録頁上に転写する熱転写記録において、カラーインクリボンから接着層を受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動する。
【解決手段】ライン型サーマルヘッドを用いて、中間転写リボンの受像層上にカラー画像や文字情報などを記録した後、当該受像層を通帳類の記録頁上に熱転写させるもので、その際、中間転写リボンの受像層と記録頁との接着力を向上させるために、中間転写リボンの受像層上にカラーインクリボンから接着層を転写し、その後、受像層をその上に形成された接着層を介して記録頁上に転写する熱転写記録において、カラーインクリボンから接着層を受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、個人認証用のカードや通帳あるいは金融機関における預金通帳などの通帳類(被記録媒体)に対しカラー画像や文字情報などを熱転写記録する熱転写記録方法および熱転写記録装置に関する。
また、本発明は、上記熱転写記録方法および熱転写記録装置によりカラー画像や文字情報などが熱転写記録された記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、個人認証用のカードや通帳あるいは金融機関における預金通帳などの通帳類に対しカラー画像(顔画像等)や文字情報(個人情報等)などを熱転写記録する熱転写記録装置は、一般的に広く知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、通帳類に記録された固有の文字情報(個人情報など)の偽造防止効果を目的として、透明な保護膜を通帳類の文字情報を記録したページの表面にオーバーコートすることが最近求められている。通帳類への画像や文字情報の記録と表面の保護膜の形成とを同時に行なう方法として、中間転写リボンを用いた熱転写記録方法が考えられる(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3465110号公報
【特許文献2】特開2003−94701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中間転写リボンを用いた熱転写記録方法は、多数の発熱体を列状に配列してなるライン型サーマルヘッドを用いて、中間転写リボンの受像層上にカラー画像や文字情報などを記録した後、当該受像層を通帳類の記録ページ上に熱転写させるもので、その際、中間転写リボンの受像層と通帳類の記録ページとの接着力を向上させるために、中間転写リボンの受像層上に無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層からなる接着層を転写し、その後、受像層をその上に形成された接着層を介して記録ページ上に転写するようにしている。
【0004】
ところが、透明インク層からなる接着層の転写は、中間転写リボンの受像層のカラー画像や文字情報を形成した面上に転写しているが、その際、一様な加熱エネルギで接着層を転写した場合、カラー画像形成上と文字情報形成上と何も形成されていない領域とでは、接着層の転写状態がそれぞれ異なってしまう。
また、被記録媒体上に表面状態が異なる物(たとえば、貼付されたシール等)がある場合、シール等がある領域と無い領域とでは、接着層の転写後の接着力が異なってしまう。
【0005】
このように、一様な接着層(透明インク層)の転写が行なわれていない記録物については、接着力が低下し、こすれ等によって受像層が剥がれたり、偽変造しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、接着層の転写領域全面に対して均一な転写状態を得ることができ、かつ、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができる熱転写記録方法および熱転写記録装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができるので、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる記録物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱転写記録方法は、インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の熱転写記録装置は、インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の記録物は、被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被記録媒体上のそれぞれ異なる状態(カラー画像形成上、文字情報形成上、シール貼付上等)にそれぞれ最適な加熱エネルギを選択できるので、接着層の転写領域全面に対して均一な転写状態を得ることができ、かつ、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができる熱転写記録方法および熱転写記録装置を提供できる。
また、本発明は、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができるので、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる記録物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る熱転写記録方法が適用される熱転写記録装置の構成を模式的に示すものである。この熱転写記録装置は、カード類や通帳類などの被記録媒体に対しカラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録と記録面への保護膜形成とを同時に行なうものである。
【0012】
図1において、熱転写記録装置1は、記録手段として機能する記録部2、および、この記録部2の下方部に設けられた転写手段として機能する転写部3を備えて構成されている。
記録部2は、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッド4、サーマルヘッド4に相対向配設されたプラテンローラ5などを備えている。サーマルヘッド4とプラテンローラ5との間には、たとえば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色からなるカラーインク層および接着層として機能する無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボン6が介在されている。
【0013】
プラテンローラ5は、カラーインクリボン6からカラーインク層の各インクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボン7を所定の速度で供給する供給手段として機能する。
カラーインクリボン6は、その一端部が送出軸8に巻き付けられ、その他端部が巻取軸9に巻き付けられている。送出軸8および巻取軸9の少なくとも一方は、正逆両方向に独立に駆動可能である。送出軸8から送出されたカラーインクリボン6の中途部は、ガイドシャフト10,11に掛け渡されている。
【0014】
転写部3は、転写ローラとしてのヒートローラ12、ヒートローラ12に相対向配設されたバックアップローラ13などを備えている。ヒートローラ12は、加熱用のヒータ12aおよび円周の一部が切り欠かれたカット面12bを備えている。そして、ヒートローラ12とバックアップローラ13との間には、中間転写媒体として機能する中間転写リボン7が介在されている。
【0015】
中間転写リボン7は、その一端側が記録部2の上部側に設けられた送出軸14に巻き付けられ、その他端側が記録部2の下部側に設けられた巻取軸15に巻き付けられている。送出軸14および巻取軸15の少なくとも一方は、正逆両方向に独立に駆動可能である。また、これら送出軸14および巻取軸15は、記録部2に向けて中間転写リボン7を供給する供給手段として機能する。送出軸14から送出された中間転写リボン7の中途部は、ガイドシャフト16〜18に掛け渡されているとともに、テンションローラ19に掛け渡されてほぼ一定のテンションに維持されている。
【0016】
また、転写部3は、搬送ローラ対20,21を備えている。搬送ローラ対20は、ヒートローラ12よりも搬送方向上流側に配置されている。また、搬送ローラ対21は、ヒートローラ12よりも搬送方向下流側に配置されている。
【0017】
搬送ローラ対20,21は、通帳類取込口22から挿入された被記録媒体(この実施の形態では記録頁が開かれた個人認証用の通帳類)Pを搬送路23に沿ってヒートローラ12による所定の転写位置まで搬送する。すなわち、これら搬送ローラ対20,21は、通帳類Pの記録頁における転写開始位置がヒートローラ12による転写位置に整合するように通帳類Pを搬送する。
【0018】
さらに、転写部3は、中間転写リボン7の供給路に沿って配置された検知手段として機能するセンサS1,S2を備えている。センサS1,S2は、中間転写リボン7の有効領域の外側に配置されたバーマークを光学的に検知するもので、その検知信号を出力する。
また、転写部3は、通帳類Pの搬送路23に沿って配置された検知手段として機能するセンサS3,S4を備えている。センサS3,S4は、通帳類取込口22から挿入された通帳類Pの有無を光学的に検知するもので、その検知信号を出力する。
【0019】
図2(a)は、記録終了後の通帳類Pの一例を示している。この図は、通帳類Pの所定の記録頁(記録面)を開いた状態で示しており、その記録頁31上には当該通帳類Pの所持者の顔画像32がカラーで記録されているとともに、文字情報(個人情報等)33が黒色で記録されている。顔画像32および文字情報33が記録された記録頁31の全面(斜線領域)には透明な保護層34が形成されている。また、図2(b)に示すように、記録頁31上にシール35などが貼付されている場合もある。
【0020】
図3は、中間転写リボン7の構成を示している。中間転写リボン7は、たとえば、ベース層(フィルム状基材)41の一方の表面に透明な保護層42および画像が形成される受像層43が順次積層されて構成されている。なお、ベース層41からの剥離を容易にするため、ベース層41と保護層42との間に剥離層を設けた構成でもかまわない。
【0021】
図4は、制御系統を概略的に示すものである。図4において、装置全体を制御する制御手段として機能するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)51には、装置全体を制御するための制御プログラムなどを記憶したメモリ部52や、ホストコンピュータなどの外部機器から記録に必要な記録データなどを受信するインタフェース部53などが接続されている。インタフェース部53を介して受信した記録データは、メモリ部52に一時的に記憶される。
【0022】
また、CPU51には、サーマルヘッド制御回路54、記録部搬送制御回路55、ヒータ温度制御回路56、ヒートローラ回転制御回路57、転写部搬送制御回路58、通帳類搬送制御回路59、および、センサ入力回路60などが接続されている。
【0023】
サーマルヘッド制御回路54は、記録データに基づいてサーマルヘッド4の印刷動作を制御する。記録部搬送制御回路55は、記録部2における搬送機構として機能する送出軸8および巻取軸9の駆動を制御する。ヒータ温度制御回路56は、ヒートローラ12内のヒータ12aを駆動して、ヒートローラ12を所定の温度に維持するよう制御する。
【0024】
ヒートローラ回転制御回路57は、ヒートローラ12の回転駆動を制御する。すなわち、ヒートローラ回転制御回路57は、通帳類Pの記録面31に対する転写開始位置と、ヒートローラ12による中間転写リボン7上に記録された所定情報の転写位置とを整合した状態で、ヒートローラ12のカット面12bのエッジ部を転写開始位置に当接させた後、所定方向にヒートローラ12を回転させることにより、中間転写リボン7上の所定情報を通帳類Pの記録面31に転写する。
【0025】
転写部搬送制御回路58は、転写部3における搬送機構として機能するプラテンローラ5、送出軸14および巻取軸15の駆動を制御する。通帳類搬送制御回路59は、搬送ローラ対20,21の駆動を制御して、通帳類Pを通帳類取込口22から取込み、所定の転写位置まで搬送し、転写完了した通帳類Pを通帳類取込口22から排出する。
【0026】
センサ入力回路60は、センサS1,S2からの出力信号に基づいて中間転写リボン7のバーマークを検知する。また、センサ入力回路60は、センサS3,S4からの出力信号に基づいて通帳類Pの有無を検知する。
【0027】
次に、このような構成において熱転写記録装置1の全体的な動作を簡単に説明する。
まず、記録部2では、透明な保護層42があらかじめ付与された中間転写リボン7の受像層43の表面に、サーマルヘッド4とカラーインクリボン6とによって顔画像や文字情報等が記録される。このとき、中間転写リボン7の記録位置を制御するため、送出軸14から繰り出された中間転写リボン7のバーマークをセンサS1によって検知することで、所定の位置に記録を行なう。
【0028】
記録される情報はY,M,C,Kの4色重ね合わせによるカラー記録で、必要に応じてカラーインクリボン6を単色や複数色繰り返し塗布すればよい。また、文字情報の記録のために溶融黒インク、カラー記録のためにY,M,Cの昇華染料が繰り返し塗布されていてもよい。複数色の重ね合わせ記録の場合は、中間転写リボン7がサーマルヘッド4を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ記録が行なわれる。中間転写リボン7の搬送は、主にプラテンローラ5によって速度が決まり行なわれるため、プラテンローラ5の駆動は例えば5相ステッピングモータに減速機構を組合わせることにより正確に行なわれる。また、記録される情報は反転画像であるという特徴がある。
【0029】
次に、記録部2では、中間転写リボン7の顔画像や文字情報等を記録した受像層43の表面に、サーマルヘッド4とカラーインクリボン6とによって接着層として機能する無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層を転写する。
【0030】
次に、転写部3では、記録部2で記録情報が付与された中間転写リボン7の記録面(受像層43の表面で、接着層としての透明インク層が転写された面)と通帳類Pの記録頁31とを重ね合わせて、ヒートローラ12による加圧・加熱を行なうことにより、透明インク層を介しての記録情報(受像層43)と保護層42の転写を同時に行なう。このとき、中間転写リボン7と通帳類Pとの位置合わせは次のように行なわれる。
【0031】
(1) 中間転写リボン7の該当転写領域が記録完了後、中間転写リボン7はヒートローラ12の方向に巻取られ、経路途中のセンサS2によって中間転写リボン7の位置が把握される。その後、ヒートローラ12の位置に対する中間転写リボン7の移動量が決められる。
(2) 通帳類Pは、転写される記録頁31がオペレータによって開かれた状態で通帳類取込口22から取込まれて、ヒートローラ12に対して決められた位置に搬送される。
(3) 互いに位置決めが行なわれた中間転写リボン7と通帳類Pの記録頁31は、ヒートローラ12の回転と共に合わされ、加圧・加熱されることで、透明インク層を介しての転写が行なわれる。
【0032】
こうして転写が完了した通帳類Pは、記録頁31が開かれた状態のまま再び通帳類取込口22からオペレータに向けて排出される。なお、本例では、ヒートローラ12はDCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な速度で駆動されていて、回転自由なバックアップローラ13との間にはコイルバネで発生された圧力がかかるようになっている。
【0033】
図5は、中間転写リボン7から通帳類Pの記録頁31への転写動作を模式的に示している。ヒートローラ12による加圧・加熱動作により、中間転写リボン7の保護層42、受像層43、サーマルヘッド4で記録された情報(顔画像や文字情報など)44、および、サーマルヘッド4で転写された透明インク層(接着層)45が記録頁31の表面に転写される。
なお、本例(図5)では、ヒートローラ12の通過直後において中間転写リボン7のベース層41を剥離しているが、図1で示したように剥離ガイド(ガイドシャフト18)をヒートローラ12から離れた位置に配設し、中間転写リボン7をヒートローラ12で加熱した後から剥離ガイド18までの搬送時間に冷却することで、ベース層41からの剥離パラメータを変化させることも可能である。
【0034】
図6は、本発明に係るサーマルヘッド4の駆動方法を説明する模式図を示している。サーマルヘッド4の各発熱体に選択的に通電することにより熱を発生させ、カラーインクリボン6の各インクを溶かすことで記録する。このとき、図6に示すように、通電していない部分(非斜線部分)と通電している部分(斜線部分)との1組を1パルスとし、このパルス数を変えることで任意の記録濃度を再現させている。図6の例では、たとえば、中間濃度を記録する場合は3パルスの通電を行ない、最高濃度を記録する場合は6パルスの通電を行なうことで、実現させている。
【0035】
図7は、カラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録(図7(a))と、これに対するサーマルヘッド4の接着層転写時の加熱エネルギ(図7(b))の関係を模式図で示すものである。
図中、加熱エネルギE11は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に直接に接着層(透明インク層)45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
加熱エネルギE12は、中間転写リボン7の受像層43の表面上にカラー画像(顔画像等)32を記録した後に接着層45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
加熱エネルギE13(斜線部)は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に文字情報(個人情報等)33を記録した後に接着層45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
【0036】
図8は、図7のようにカラー画像32および文字情報33の記録がある場合の、接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づく処理について説明する。
【0037】
まず、接着層(透明インク層)45を転写する領域(以降、接着層転写領域ともいう)か否かを判定し(ステップS1)、接着層転写領域でなければ接着層転写領域の加熱エネルギを「0」に設定し(ステップS2)、当該処理を終了する。
ステップS1における判定の結果、接着層転写領域であれば、カラー画像(顔画像等)32を記録した画素であるか否かを判定し(ステップS3)、カラー画像32を記録した画素である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E12」に設定し(ステップS4)、当該処理を終了する。
【0038】
ステップS3における判定の結果、カラー画像32を記録した画素でない場合、文字情報(個人情報等)33を記録した画素であるか否かを判定し(ステップS5)、文字情報33を記録した画素である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E13」に設定し(ステップS6)、当該処理を終了する。
ステップS5における判定の結果、文字情報33を記録した画素でない場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E11」に設定し(ステップS7)、当該処理を終了する。
【0039】
なお、接着層45の転写順は、カラー画像32および文字情報33を記録した後(カラー画像32と文字情報33の記録順序は逆になっても構わない)、最後に接着層45の転写を行なう。接着層45の転写を行なうとき、接着層45の転写領域の加熱エネルギはE11であるが、接着層45の転写前にカラー画像32と文字情報33を記録している領域は加熱エネルギE11と異なる加熱エネルギで接着層45を転写する。すなわち、カラー画像32の記録を行なった領域では加熱エネルギをE12とし、文字情報33の記録を行なった領域では加熱エネルギをE13として接着層45の転写を行なう。
【0040】
図9は、被記録媒体P上に貼付されている第1のシール35aおよび第2のシール35b(図9(a))と、これに対するサーマルヘッド4の接着層転写時の加熱エネルギ(図9(b))の関係を模式図で示すものである。
図中、加熱エネルギE21は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に接着層(透明インク層)45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の接着力が最適な状態になるエネルギである。
加熱エネルギE22は、中間転写リボンの受像層43の表面上に被記録媒体P上の第1のシール35aと転写後重なる位置に接着層45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の第1のシール35a上の接着力が最適な状態になるエネルギである。
【0041】
加熱エネルギE23は、中間転写リボンの受像層43の表面上に被記録媒体P上の第2のシール35bと転写後重なる位置に接着層45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の第2のシール35b上の接着力が最適な状態になるエネルギである。
【0042】
図10は、図9のように被記録媒体P上に第1のシール35aおよび第2のシール35bがある場合の、接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づく処理について説明する。
【0043】
まず、接着層(透明インク層)45を転写する領域(以降、接着層転写領域ともいう)か否かを判定し(ステップS11)、接着層転写領域でなければ接着層転写領域の加熱エネルギを「0」に設定し(ステップS12)、当該処理を終了する。
ステップS11における判定の結果、接着層転写領域であれば、第1のシール35aが存在する領域か否かを判定し(ステップS23)、第1のシール35aの領域である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E22」に設定し(ステップS14)、当該処理を終了する。
【0044】
ステップS13における判定の結果、第1のシール35aの領域でない場合、第2のシール35bが存在する領域か否かを判定し(ステップS15)、第2のシール35bの領域である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E23」に設定し(ステップS16)、当該処理を終了する。
ステップS15における判定の結果、第2のシール35bの領域でない場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E21」に設定し(ステップS17)、当該処理を終了する。
【0045】
このように、接着層45の転写を行なうとき、接着層45の転写領域の加熱エネルギはE1であるが、被記録媒体P上に表面状態の異なる物(第1のシール35aや第2のシール35bなど)がある場合、第1のシール35aおよび第2のシール35bがある領域はE21と異なる加熱エネルギで接着層45を転写する。すなわち、第1のシール35aが存在する領域では加熱エネルギをE22とし、第2のシール35bが存在する領域では加熱エネルギをE23として接着層45の転写を行なう。
【0046】
以上説明した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によれば、透明インク層(接着層)の転写領域全面に対して均一な転写状態を作ることができる。また、透明インク層(接着層)の転写領域全面に対して転写後の接着力を均一な状態にすることができる。したがって、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる。
【0047】
図11は、上述した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第1の例を模式的に示すものである。図において、被記録媒体71(図2の被記録媒体Pに相当)上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層(接着層)72(図5の接着層45に相当)、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層73(画像が形成形成された受像層43に相当)、無色あるいは淡色な透明保護層74(図3の保護層42に相当)の順に形成されている。そして、接着層としての透明インク層72は、画像形成層73が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されている。
このように、透明インク層72の転写領域全面に対して均一な転写状態を作られた記録物が得られるので、画像形成層(受像層)73のこすれ等による剥がれが防止でき、偽変造防止につながる。
【0048】
図12は、上述した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第2の例を模式的に示すものである。図において、被記録媒体81(図2の被記録媒体Pに相当)上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層(接着層)82(図5の接着層45に相当)、1色以上の色インクを重ねて形成された第1の画像領域83と1色以上の色インクとUV励起型の蛍光顔料を含むインクとが重なって形成された第2の画像領域84と1色の色インクから形成された第3の画像領域85とUV励起型の蛍光顔料を含むインクから形成された第4の画像領域86と画像が形成されていない非画像領域87とからなる画像形成層88、無色あるいは淡色な透明保護層89(図3の保護層42に相当)の順に形成されている。そして、接着層としての透明インク層82は、画像形成層88の中で画像が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されている。
このように、透明インク層82の転写領域全面に対して均一な転写状態を作られた記録物が得られるので、画像形成層(受像層)88のこすれ等による剥がれが防止でき、偽変造防止につながる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の本実施の形態に係る熱転写記録装置の構成を概略的に示す模式図。
【図2】記録終了後の通帳類の一例を示す模式図。
【図3】中間転写リボンの構成を示す模式図。
【図4】制御系統を概略的に示すブロック図。
【図5】中間転写リボンから通帳類の記録頁への転写動作を模式的に示す側面図。
【図6】本発明に係るサーマルヘッドの駆動方法を説明する模式図。
【図7】カラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録と、これに対するサーマルヘッドの接着層転写時の加熱エネルギの関係を示す模式図。
【図8】カラー画像および文字情報の記録がある場合の接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図9】被記録媒体上に貼付されている第1のシールおよび第2のシールと、これに対するサーマルヘッドの接着層転写時の加熱エネルギの関係を示す模式図。
【図10】被記録媒体上に第1のシールおよび第2のシールがある場合の接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第1の例を模式的に示す縦断側面図。
【図12】本発明の熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第2の例を模式的に示す縦断側面図。
【符号の説明】
【0050】
1…熱転写記録装置、2…記録部(記録手段)、3…転写部(転写手段)、4…サーマルヘッド、5…プラテンローラ、6…カラーインクリボン、7…中間転写リボン(中間転写媒体)、8…送出軸、9…巻取軸、12…ヒートローラ、13…バックアップローラ、14…送出軸、15…巻取軸、20,21…搬送ローラ対、22…通帳類取込口、23…搬送路、P…通帳類(被記録媒体)、31…記録頁、32…顔画像、33…文字情報(個人情報等)、34…保護層、35…シール等、41…ベース層(フィルム状基材)、42…保護層、43…受像層、44…記録された情報(顔画像や文字情報など)、45…透明インク層(接着層)、51…CPU(制御手段)、E11,E12,E13…加熱エネルギ、E21,E22,E23…加熱エネルギ、71…被記録媒体、72…透明インク層(接着層)、73…画像形成層、74…透明保護層、81…被記録媒体、82…透明インク層(接着層)、83…第1の画像領域、84…第2の画像領域、85…第3の画像領域、86…第4の画像領域、87…非画像領域、88…画像形成層、89…透明保護層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、個人認証用のカードや通帳あるいは金融機関における預金通帳などの通帳類(被記録媒体)に対しカラー画像や文字情報などを熱転写記録する熱転写記録方法および熱転写記録装置に関する。
また、本発明は、上記熱転写記録方法および熱転写記録装置によりカラー画像や文字情報などが熱転写記録された記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、個人認証用のカードや通帳あるいは金融機関における預金通帳などの通帳類に対しカラー画像(顔画像等)や文字情報(個人情報等)などを熱転写記録する熱転写記録装置は、一般的に広く知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、通帳類に記録された固有の文字情報(個人情報など)の偽造防止効果を目的として、透明な保護膜を通帳類の文字情報を記録したページの表面にオーバーコートすることが最近求められている。通帳類への画像や文字情報の記録と表面の保護膜の形成とを同時に行なう方法として、中間転写リボンを用いた熱転写記録方法が考えられる(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3465110号公報
【特許文献2】特開2003−94701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中間転写リボンを用いた熱転写記録方法は、多数の発熱体を列状に配列してなるライン型サーマルヘッドを用いて、中間転写リボンの受像層上にカラー画像や文字情報などを記録した後、当該受像層を通帳類の記録ページ上に熱転写させるもので、その際、中間転写リボンの受像層と通帳類の記録ページとの接着力を向上させるために、中間転写リボンの受像層上に無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層からなる接着層を転写し、その後、受像層をその上に形成された接着層を介して記録ページ上に転写するようにしている。
【0004】
ところが、透明インク層からなる接着層の転写は、中間転写リボンの受像層のカラー画像や文字情報を形成した面上に転写しているが、その際、一様な加熱エネルギで接着層を転写した場合、カラー画像形成上と文字情報形成上と何も形成されていない領域とでは、接着層の転写状態がそれぞれ異なってしまう。
また、被記録媒体上に表面状態が異なる物(たとえば、貼付されたシール等)がある場合、シール等がある領域と無い領域とでは、接着層の転写後の接着力が異なってしまう。
【0005】
このように、一様な接着層(透明インク層)の転写が行なわれていない記録物については、接着力が低下し、こすれ等によって受像層が剥がれたり、偽変造しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、接着層の転写領域全面に対して均一な転写状態を得ることができ、かつ、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができる熱転写記録方法および熱転写記録装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができるので、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる記録物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱転写記録方法は、インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の熱転写記録装置は、インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の記録物は、被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被記録媒体上のそれぞれ異なる状態(カラー画像形成上、文字情報形成上、シール貼付上等)にそれぞれ最適な加熱エネルギを選択できるので、接着層の転写領域全面に対して均一な転写状態を得ることができ、かつ、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができる熱転写記録方法および熱転写記録装置を提供できる。
また、本発明は、接着層の転写後の接着力を均一な状態にすることができるので、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる記録物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る熱転写記録方法が適用される熱転写記録装置の構成を模式的に示すものである。この熱転写記録装置は、カード類や通帳類などの被記録媒体に対しカラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録と記録面への保護膜形成とを同時に行なうものである。
【0012】
図1において、熱転写記録装置1は、記録手段として機能する記録部2、および、この記録部2の下方部に設けられた転写手段として機能する転写部3を備えて構成されている。
記録部2は、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッド4、サーマルヘッド4に相対向配設されたプラテンローラ5などを備えている。サーマルヘッド4とプラテンローラ5との間には、たとえば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色からなるカラーインク層および接着層として機能する無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボン6が介在されている。
【0013】
プラテンローラ5は、カラーインクリボン6からカラーインク層の各インクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボン7を所定の速度で供給する供給手段として機能する。
カラーインクリボン6は、その一端部が送出軸8に巻き付けられ、その他端部が巻取軸9に巻き付けられている。送出軸8および巻取軸9の少なくとも一方は、正逆両方向に独立に駆動可能である。送出軸8から送出されたカラーインクリボン6の中途部は、ガイドシャフト10,11に掛け渡されている。
【0014】
転写部3は、転写ローラとしてのヒートローラ12、ヒートローラ12に相対向配設されたバックアップローラ13などを備えている。ヒートローラ12は、加熱用のヒータ12aおよび円周の一部が切り欠かれたカット面12bを備えている。そして、ヒートローラ12とバックアップローラ13との間には、中間転写媒体として機能する中間転写リボン7が介在されている。
【0015】
中間転写リボン7は、その一端側が記録部2の上部側に設けられた送出軸14に巻き付けられ、その他端側が記録部2の下部側に設けられた巻取軸15に巻き付けられている。送出軸14および巻取軸15の少なくとも一方は、正逆両方向に独立に駆動可能である。また、これら送出軸14および巻取軸15は、記録部2に向けて中間転写リボン7を供給する供給手段として機能する。送出軸14から送出された中間転写リボン7の中途部は、ガイドシャフト16〜18に掛け渡されているとともに、テンションローラ19に掛け渡されてほぼ一定のテンションに維持されている。
【0016】
また、転写部3は、搬送ローラ対20,21を備えている。搬送ローラ対20は、ヒートローラ12よりも搬送方向上流側に配置されている。また、搬送ローラ対21は、ヒートローラ12よりも搬送方向下流側に配置されている。
【0017】
搬送ローラ対20,21は、通帳類取込口22から挿入された被記録媒体(この実施の形態では記録頁が開かれた個人認証用の通帳類)Pを搬送路23に沿ってヒートローラ12による所定の転写位置まで搬送する。すなわち、これら搬送ローラ対20,21は、通帳類Pの記録頁における転写開始位置がヒートローラ12による転写位置に整合するように通帳類Pを搬送する。
【0018】
さらに、転写部3は、中間転写リボン7の供給路に沿って配置された検知手段として機能するセンサS1,S2を備えている。センサS1,S2は、中間転写リボン7の有効領域の外側に配置されたバーマークを光学的に検知するもので、その検知信号を出力する。
また、転写部3は、通帳類Pの搬送路23に沿って配置された検知手段として機能するセンサS3,S4を備えている。センサS3,S4は、通帳類取込口22から挿入された通帳類Pの有無を光学的に検知するもので、その検知信号を出力する。
【0019】
図2(a)は、記録終了後の通帳類Pの一例を示している。この図は、通帳類Pの所定の記録頁(記録面)を開いた状態で示しており、その記録頁31上には当該通帳類Pの所持者の顔画像32がカラーで記録されているとともに、文字情報(個人情報等)33が黒色で記録されている。顔画像32および文字情報33が記録された記録頁31の全面(斜線領域)には透明な保護層34が形成されている。また、図2(b)に示すように、記録頁31上にシール35などが貼付されている場合もある。
【0020】
図3は、中間転写リボン7の構成を示している。中間転写リボン7は、たとえば、ベース層(フィルム状基材)41の一方の表面に透明な保護層42および画像が形成される受像層43が順次積層されて構成されている。なお、ベース層41からの剥離を容易にするため、ベース層41と保護層42との間に剥離層を設けた構成でもかまわない。
【0021】
図4は、制御系統を概略的に示すものである。図4において、装置全体を制御する制御手段として機能するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)51には、装置全体を制御するための制御プログラムなどを記憶したメモリ部52や、ホストコンピュータなどの外部機器から記録に必要な記録データなどを受信するインタフェース部53などが接続されている。インタフェース部53を介して受信した記録データは、メモリ部52に一時的に記憶される。
【0022】
また、CPU51には、サーマルヘッド制御回路54、記録部搬送制御回路55、ヒータ温度制御回路56、ヒートローラ回転制御回路57、転写部搬送制御回路58、通帳類搬送制御回路59、および、センサ入力回路60などが接続されている。
【0023】
サーマルヘッド制御回路54は、記録データに基づいてサーマルヘッド4の印刷動作を制御する。記録部搬送制御回路55は、記録部2における搬送機構として機能する送出軸8および巻取軸9の駆動を制御する。ヒータ温度制御回路56は、ヒートローラ12内のヒータ12aを駆動して、ヒートローラ12を所定の温度に維持するよう制御する。
【0024】
ヒートローラ回転制御回路57は、ヒートローラ12の回転駆動を制御する。すなわち、ヒートローラ回転制御回路57は、通帳類Pの記録面31に対する転写開始位置と、ヒートローラ12による中間転写リボン7上に記録された所定情報の転写位置とを整合した状態で、ヒートローラ12のカット面12bのエッジ部を転写開始位置に当接させた後、所定方向にヒートローラ12を回転させることにより、中間転写リボン7上の所定情報を通帳類Pの記録面31に転写する。
【0025】
転写部搬送制御回路58は、転写部3における搬送機構として機能するプラテンローラ5、送出軸14および巻取軸15の駆動を制御する。通帳類搬送制御回路59は、搬送ローラ対20,21の駆動を制御して、通帳類Pを通帳類取込口22から取込み、所定の転写位置まで搬送し、転写完了した通帳類Pを通帳類取込口22から排出する。
【0026】
センサ入力回路60は、センサS1,S2からの出力信号に基づいて中間転写リボン7のバーマークを検知する。また、センサ入力回路60は、センサS3,S4からの出力信号に基づいて通帳類Pの有無を検知する。
【0027】
次に、このような構成において熱転写記録装置1の全体的な動作を簡単に説明する。
まず、記録部2では、透明な保護層42があらかじめ付与された中間転写リボン7の受像層43の表面に、サーマルヘッド4とカラーインクリボン6とによって顔画像や文字情報等が記録される。このとき、中間転写リボン7の記録位置を制御するため、送出軸14から繰り出された中間転写リボン7のバーマークをセンサS1によって検知することで、所定の位置に記録を行なう。
【0028】
記録される情報はY,M,C,Kの4色重ね合わせによるカラー記録で、必要に応じてカラーインクリボン6を単色や複数色繰り返し塗布すればよい。また、文字情報の記録のために溶融黒インク、カラー記録のためにY,M,Cの昇華染料が繰り返し塗布されていてもよい。複数色の重ね合わせ記録の場合は、中間転写リボン7がサーマルヘッド4を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ記録が行なわれる。中間転写リボン7の搬送は、主にプラテンローラ5によって速度が決まり行なわれるため、プラテンローラ5の駆動は例えば5相ステッピングモータに減速機構を組合わせることにより正確に行なわれる。また、記録される情報は反転画像であるという特徴がある。
【0029】
次に、記録部2では、中間転写リボン7の顔画像や文字情報等を記録した受像層43の表面に、サーマルヘッド4とカラーインクリボン6とによって接着層として機能する無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層を転写する。
【0030】
次に、転写部3では、記録部2で記録情報が付与された中間転写リボン7の記録面(受像層43の表面で、接着層としての透明インク層が転写された面)と通帳類Pの記録頁31とを重ね合わせて、ヒートローラ12による加圧・加熱を行なうことにより、透明インク層を介しての記録情報(受像層43)と保護層42の転写を同時に行なう。このとき、中間転写リボン7と通帳類Pとの位置合わせは次のように行なわれる。
【0031】
(1) 中間転写リボン7の該当転写領域が記録完了後、中間転写リボン7はヒートローラ12の方向に巻取られ、経路途中のセンサS2によって中間転写リボン7の位置が把握される。その後、ヒートローラ12の位置に対する中間転写リボン7の移動量が決められる。
(2) 通帳類Pは、転写される記録頁31がオペレータによって開かれた状態で通帳類取込口22から取込まれて、ヒートローラ12に対して決められた位置に搬送される。
(3) 互いに位置決めが行なわれた中間転写リボン7と通帳類Pの記録頁31は、ヒートローラ12の回転と共に合わされ、加圧・加熱されることで、透明インク層を介しての転写が行なわれる。
【0032】
こうして転写が完了した通帳類Pは、記録頁31が開かれた状態のまま再び通帳類取込口22からオペレータに向けて排出される。なお、本例では、ヒートローラ12はDCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な速度で駆動されていて、回転自由なバックアップローラ13との間にはコイルバネで発生された圧力がかかるようになっている。
【0033】
図5は、中間転写リボン7から通帳類Pの記録頁31への転写動作を模式的に示している。ヒートローラ12による加圧・加熱動作により、中間転写リボン7の保護層42、受像層43、サーマルヘッド4で記録された情報(顔画像や文字情報など)44、および、サーマルヘッド4で転写された透明インク層(接着層)45が記録頁31の表面に転写される。
なお、本例(図5)では、ヒートローラ12の通過直後において中間転写リボン7のベース層41を剥離しているが、図1で示したように剥離ガイド(ガイドシャフト18)をヒートローラ12から離れた位置に配設し、中間転写リボン7をヒートローラ12で加熱した後から剥離ガイド18までの搬送時間に冷却することで、ベース層41からの剥離パラメータを変化させることも可能である。
【0034】
図6は、本発明に係るサーマルヘッド4の駆動方法を説明する模式図を示している。サーマルヘッド4の各発熱体に選択的に通電することにより熱を発生させ、カラーインクリボン6の各インクを溶かすことで記録する。このとき、図6に示すように、通電していない部分(非斜線部分)と通電している部分(斜線部分)との1組を1パルスとし、このパルス数を変えることで任意の記録濃度を再現させている。図6の例では、たとえば、中間濃度を記録する場合は3パルスの通電を行ない、最高濃度を記録する場合は6パルスの通電を行なうことで、実現させている。
【0035】
図7は、カラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録(図7(a))と、これに対するサーマルヘッド4の接着層転写時の加熱エネルギ(図7(b))の関係を模式図で示すものである。
図中、加熱エネルギE11は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に直接に接着層(透明インク層)45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
加熱エネルギE12は、中間転写リボン7の受像層43の表面上にカラー画像(顔画像等)32を記録した後に接着層45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
加熱エネルギE13(斜線部)は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に文字情報(個人情報等)33を記録した後に接着層45を転写する際に隙間なく接着層45が中間転写リボン7の受像層43上に転写できるエネルギである。
【0036】
図8は、図7のようにカラー画像32および文字情報33の記録がある場合の、接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づく処理について説明する。
【0037】
まず、接着層(透明インク層)45を転写する領域(以降、接着層転写領域ともいう)か否かを判定し(ステップS1)、接着層転写領域でなければ接着層転写領域の加熱エネルギを「0」に設定し(ステップS2)、当該処理を終了する。
ステップS1における判定の結果、接着層転写領域であれば、カラー画像(顔画像等)32を記録した画素であるか否かを判定し(ステップS3)、カラー画像32を記録した画素である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E12」に設定し(ステップS4)、当該処理を終了する。
【0038】
ステップS3における判定の結果、カラー画像32を記録した画素でない場合、文字情報(個人情報等)33を記録した画素であるか否かを判定し(ステップS5)、文字情報33を記録した画素である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E13」に設定し(ステップS6)、当該処理を終了する。
ステップS5における判定の結果、文字情報33を記録した画素でない場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E11」に設定し(ステップS7)、当該処理を終了する。
【0039】
なお、接着層45の転写順は、カラー画像32および文字情報33を記録した後(カラー画像32と文字情報33の記録順序は逆になっても構わない)、最後に接着層45の転写を行なう。接着層45の転写を行なうとき、接着層45の転写領域の加熱エネルギはE11であるが、接着層45の転写前にカラー画像32と文字情報33を記録している領域は加熱エネルギE11と異なる加熱エネルギで接着層45を転写する。すなわち、カラー画像32の記録を行なった領域では加熱エネルギをE12とし、文字情報33の記録を行なった領域では加熱エネルギをE13として接着層45の転写を行なう。
【0040】
図9は、被記録媒体P上に貼付されている第1のシール35aおよび第2のシール35b(図9(a))と、これに対するサーマルヘッド4の接着層転写時の加熱エネルギ(図9(b))の関係を模式図で示すものである。
図中、加熱エネルギE21は、中間転写リボン7の受像層43の表面上に接着層(透明インク層)45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の接着力が最適な状態になるエネルギである。
加熱エネルギE22は、中間転写リボンの受像層43の表面上に被記録媒体P上の第1のシール35aと転写後重なる位置に接着層45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の第1のシール35a上の接着力が最適な状態になるエネルギである。
【0041】
加熱エネルギE23は、中間転写リボンの受像層43の表面上に被記録媒体P上の第2のシール35bと転写後重なる位置に接着層45を転写し、その後、中間転写リボン7の受像層43を接着層45を介して被記録媒体P上に転写した後の第2のシール35b上の接着力が最適な状態になるエネルギである。
【0042】
図10は、図9のように被記録媒体P上に第1のシール35aおよび第2のシール35bがある場合の、接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに基づく処理について説明する。
【0043】
まず、接着層(透明インク層)45を転写する領域(以降、接着層転写領域ともいう)か否かを判定し(ステップS11)、接着層転写領域でなければ接着層転写領域の加熱エネルギを「0」に設定し(ステップS12)、当該処理を終了する。
ステップS11における判定の結果、接着層転写領域であれば、第1のシール35aが存在する領域か否かを判定し(ステップS23)、第1のシール35aの領域である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E22」に設定し(ステップS14)、当該処理を終了する。
【0044】
ステップS13における判定の結果、第1のシール35aの領域でない場合、第2のシール35bが存在する領域か否かを判定し(ステップS15)、第2のシール35bの領域である場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E23」に設定し(ステップS16)、当該処理を終了する。
ステップS15における判定の結果、第2のシール35bの領域でない場合、接着層転写領域の加熱エネルギを「E21」に設定し(ステップS17)、当該処理を終了する。
【0045】
このように、接着層45の転写を行なうとき、接着層45の転写領域の加熱エネルギはE1であるが、被記録媒体P上に表面状態の異なる物(第1のシール35aや第2のシール35bなど)がある場合、第1のシール35aおよび第2のシール35bがある領域はE21と異なる加熱エネルギで接着層45を転写する。すなわち、第1のシール35aが存在する領域では加熱エネルギをE22とし、第2のシール35bが存在する領域では加熱エネルギをE23として接着層45の転写を行なう。
【0046】
以上説明した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によれば、透明インク層(接着層)の転写領域全面に対して均一な転写状態を作ることができる。また、透明インク層(接着層)の転写領域全面に対して転写後の接着力を均一な状態にすることができる。したがって、受像層のこすれ等による剥がれや偽変造の防止が図れる。
【0047】
図11は、上述した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第1の例を模式的に示すものである。図において、被記録媒体71(図2の被記録媒体Pに相当)上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層(接着層)72(図5の接着層45に相当)、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層73(画像が形成形成された受像層43に相当)、無色あるいは淡色な透明保護層74(図3の保護層42に相当)の順に形成されている。そして、接着層としての透明インク層72は、画像形成層73が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されている。
このように、透明インク層72の転写領域全面に対して均一な転写状態を作られた記録物が得られるので、画像形成層(受像層)73のこすれ等による剥がれが防止でき、偽変造防止につながる。
【0048】
図12は、上述した熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第2の例を模式的に示すものである。図において、被記録媒体81(図2の被記録媒体Pに相当)上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層(接着層)82(図5の接着層45に相当)、1色以上の色インクを重ねて形成された第1の画像領域83と1色以上の色インクとUV励起型の蛍光顔料を含むインクとが重なって形成された第2の画像領域84と1色の色インクから形成された第3の画像領域85とUV励起型の蛍光顔料を含むインクから形成された第4の画像領域86と画像が形成されていない非画像領域87とからなる画像形成層88、無色あるいは淡色な透明保護層89(図3の保護層42に相当)の順に形成されている。そして、接着層としての透明インク層82は、画像形成層88の中で画像が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されている。
このように、透明インク層82の転写領域全面に対して均一な転写状態を作られた記録物が得られるので、画像形成層(受像層)88のこすれ等による剥がれが防止でき、偽変造防止につながる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の本実施の形態に係る熱転写記録装置の構成を概略的に示す模式図。
【図2】記録終了後の通帳類の一例を示す模式図。
【図3】中間転写リボンの構成を示す模式図。
【図4】制御系統を概略的に示すブロック図。
【図5】中間転写リボンから通帳類の記録頁への転写動作を模式的に示す側面図。
【図6】本発明に係るサーマルヘッドの駆動方法を説明する模式図。
【図7】カラー画像(顔画像等)および文字情報(個人情報等)の記録と、これに対するサーマルヘッドの接着層転写時の加熱エネルギの関係を示す模式図。
【図8】カラー画像および文字情報の記録がある場合の接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図9】被記録媒体上に貼付されている第1のシールおよび第2のシールと、これに対するサーマルヘッドの接着層転写時の加熱エネルギの関係を示す模式図。
【図10】被記録媒体上に第1のシールおよび第2のシールがある場合の接着層転写時の加熱エネルギを1画素(1発熱体)ごとに決定する処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第1の例を模式的に示す縦断側面図。
【図12】本発明の熱転写記録方法(熱転写記録装置)によって得られた記録物の第2の例を模式的に示す縦断側面図。
【符号の説明】
【0050】
1…熱転写記録装置、2…記録部(記録手段)、3…転写部(転写手段)、4…サーマルヘッド、5…プラテンローラ、6…カラーインクリボン、7…中間転写リボン(中間転写媒体)、8…送出軸、9…巻取軸、12…ヒートローラ、13…バックアップローラ、14…送出軸、15…巻取軸、20,21…搬送ローラ対、22…通帳類取込口、23…搬送路、P…通帳類(被記録媒体)、31…記録頁、32…顔画像、33…文字情報(個人情報等)、34…保護層、35…シール等、41…ベース層(フィルム状基材)、42…保護層、43…受像層、44…記録された情報(顔画像や文字情報など)、45…透明インク層(接着層)、51…CPU(制御手段)、E11,E12,E13…加熱エネルギ、E21,E22,E23…加熱エネルギ、71…被記録媒体、72…透明インク層(接着層)、73…画像形成層、74…透明保護層、81…被記録媒体、82…透明インク層(接着層)、83…第1の画像領域、84…第2の画像領域、85…第3の画像領域、86…第4の画像領域、87…非画像領域、88…画像形成層、89…透明保護層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、
前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、
前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録方法。
【請求項2】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、
前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、
前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、前記被記録媒体の表面が2種類以上の状態を有する場合、それぞれの表面状態に最適な加熱エネルギを設定し、この設定された加熱エネルギにて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録方法。
【請求項3】
前記インクリボンは、複数色からなるカラーインク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボンであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱転写記録方法。
【請求項4】
前記カラーインクリボンの各インクで少なくとも黒色以外のカラー画像を形成するときは、偶数番目の画素と奇数番目の画素とを記録ラインごとに交互に形成するように前記サーマルヘッドの各発熱体を交互駆動することを特徴とする請求項3記載の熱転写記録方法。
【請求項5】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、
前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、
複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、
このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、
前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項6】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、
前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、
複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、
このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、
前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、前記被記録媒体の表面が2種類以上の状態を有する場合、それぞれの表面状態に最適な加熱エネルギを設定し、この設定された加熱エネルギにて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項7】
前記インクリボンは、複数色からなるカラーインク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボンであることを特徴とする請求項5または請求項6記載の熱転写記録装置。
【請求項8】
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記カラーインクリボンの各インクで少なくとも黒色以外のカラー画像を形成するときは、偶数番目の画素と奇数番目の画素とを記録ラインごとに交互に形成するように前記サーマルヘッドの各発熱体を交互駆動することを特徴とする請求項7記載の熱転写記録装置。
【請求項9】
被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする記録物。
【請求項10】
被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された第1の画像領域と1色以上の色インクとUV励起型の蛍光顔料を含むインクとが重なって形成された第2の画像領域と1色の色インクから形成された第3の画像領域とUV励起型の蛍光顔料を含むインクから形成された第4の画像領域と画像が形成されていない非画像領域とからなる画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層の中で画像が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする記録物。
【請求項1】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、
前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、
前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録方法。
【請求項2】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンと、このインクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンと、複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドとを使用し、
前記サーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボンから前記接着層を転写し、その後、前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する熱転写記録方法であって、
前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、前記被記録媒体の表面が2種類以上の状態を有する場合、それぞれの表面状態に最適な加熱エネルギを設定し、この設定された加熱エネルギにて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録方法。
【請求項3】
前記インクリボンは、複数色からなるカラーインク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボンであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱転写記録方法。
【請求項4】
前記カラーインクリボンの各インクで少なくとも黒色以外のカラー画像を形成するときは、偶数番目の画素と奇数番目の画素とを記録ラインごとに交互に形成するように前記サーマルヘッドの各発熱体を交互駆動することを特徴とする請求項3記載の熱転写記録方法。
【請求項5】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、
前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、
複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、
このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、
前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、画像を形成した面上に転写する場合の加熱エネルギと画像を形成していない面上に転写する場合の加熱エネルギを変えて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項6】
インク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているインクリボンを供給するインクリボン供給手段と、
前記インクリボンから前記複数色のインクを転写可能な受像層がフィルム状基材の一方の表面に設けられている中間転写リボンを供給する中間転写リボン供給手段と、
複数の発熱体を列状に配設してなるライン型のサーマルヘッドと、
このサーマルヘッドの各発熱体を選択的に加熱駆動し、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンのインクを転写することにより所望の画像を形成し、かつ、前記サーマルヘッドの各発熱体を加熱駆動することにより、前記中間転写リボン供給手段により供給される前記中間転写リボンの受像層の前記画像を形成した面上に前記インクリボン供給手段により供給される前記インクリボンから前記接着層を転写するサーマルヘッド駆動手段と、
前記中間転写リボンの画像が形成された受像層をその面上に転写された接着層を介して被記録媒体の表面に転写する転写手段とを有する熱転写記録装置であって、
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記インクリボンから前記接着層を前記中間転写リボンの受像層上に転写する際、前記被記録媒体の表面が2種類以上の状態を有する場合、それぞれの表面状態に最適な加熱エネルギを設定し、この設定された加熱エネルギにて転写するように前記サーマルヘッドの各発熱体を駆動することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項7】
前記インクリボンは、複数色からなるカラーインク層および接着層がフィルム状基材の一方の表面に順次設けられているカラーインクリボンであることを特徴とする請求項5または請求項6記載の熱転写記録装置。
【請求項8】
前記サーマルヘッド駆動手段は、前記カラーインクリボンの各インクで少なくとも黒色以外のカラー画像を形成するときは、偶数番目の画素と奇数番目の画素とを記録ラインごとに交互に形成するように前記サーマルヘッドの各発熱体を交互駆動することを特徴とする請求項7記載の熱転写記録装置。
【請求項9】
被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする記録物。
【請求項10】
被記録媒体上に、無色あるいは炎色透明の樹脂を主成分とする透明インク層、1色以上の色インクを重ねて形成された第1の画像領域と1色以上の色インクとUV励起型の蛍光顔料を含むインクとが重なって形成された第2の画像領域と1色の色インクから形成された第3の画像領域とUV励起型の蛍光顔料を含むインクから形成された第4の画像領域と画像が形成されていない非画像領域とからなる画像形成層、無色あるいは淡色な透明保護層の順に形成されている記録物であって、前記透明インク層は、前記画像形成層の中で画像が形成された領域よりも大きい範囲に厚さが一様に形成されていることを特徴とする記録物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−327035(P2006−327035A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153999(P2005−153999)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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