説明

熱転写記録装置及び熱転写記録方法

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、熱転写記録装置及び熱転写記録方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の記録装置は、特開昭60−38181号公報に記載のように、記録紙の搬送手段として、剛体かつ円筒状キヤプスタンローラ(以下、搬送ローラと呼ぶ。)を用いている。搬送ローラ表面には、タングステンカーバイト等の硬くて磨耗しにくい材料をプラズマ溶射等の加工法で強固に付着せしめてある。また記録紙は、記録紙を巻回してある供給ローラ(以下、記録紙ロールと呼ぶ。)から供給され、記録紙搬送中は、プラテンと記録紙ロールの間で常に張力が働いていることになる。なお、待機状態において記録紙は、サーマルヘツドとプラテンの間を通り、先端部を搬送ローラとピンチローラ(以下、押圧ローラと呼ぶ。)に挾持されて静止している。一般にサーマルヘツドの発熱素子部の近傍は平面であり、記録持に押圧される記録紙は、発熱素子部では曲率を持つことになる。言い換えれば、発熱素子部の近傍では、記録紙の搬送経路を直線にできないのが一般的である。本従来技術においても、サーマルヘツドの発熱素子部に対向して押圧される部品が円筒形のプラテンであるのは、この為でもある。以上のことから待機状態において記録紙には、プラテンの曲率でカールさせる拘束力が作用していることになる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、待機状態における記録紙の拘束力に対して配慮がされておらず、待機状態が続くと記録紙がカールするという問題があつた。
本発明の目的は、記録紙のカールを防止することにある。また他の目的は、サーマルヘツドの損傷防止,色ずれの防止及び低減,記録画像の色むら防止である。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、待機状態が所定時間続いた場合、記録紙の拘束力が解除されるまたは非常に小さくなる位置まで記録紙を巻き戻す戻し動作を行うか、さらにヒートローラを具備することにより強制的に記録紙のカールを修正したものである。
〔作用〕
戻し動作は、待機状態が続いた場合、記録紙を巻き戻すものである。それによつて、記録式をカールさせる拘束力を解除するかまたは非常に小さくできるので、記録紙がカールすることがない。
また、ヒートローラは、記録紙を加熱しながら回転する。それによつて記録紙のカールは、強制的に修正される。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図ないし第10図を参照して説明する。
まず第1図は、記録用に昇華染料インクを用いた熱転写記録装置の全体構成を示す図で、記録装置の制御装置のブロツク図と、記録装置の記録機構のブロツク図を示す。第1図に示す制御回路310において、デイジタル信号入出力回路318は、コンピュータ等の画像処理装置312のデイジタル信号入出力回路316から画像信号(階調を有するデイジタル信号で、以下階調データと呼ぶ)を入力する。RGBビデオ入力回路317は、カラーCRTデイスプレイ等の表示装置313の、RGBアナログ・ビデオ信号をデイジタル信号に変換して、入力するアナログビデオ入力インターフエイスである。階調データは、これら入力インターフエイス回路317,318によつて取り込まれ、データバス327に出力される。なお、階調データとは記録すべき色の濃淡の度合いを表す濃度レベルを示すデータをいう。中間調制御回路320は、デイジタル信号入出力回路318からの階調データを入力するか、メモリ319の階調データを入力し、この階調データからサーマルヘツド8の発熱抵抗体を発熱させ、所定の記録濃度を得るための通電データ及び通信パルス等のヘツド制御信号を作成する。記録に用いられる昇華染料インクは、印加するエネルギー量の多少によつて転写濃度を連続して制御できるため、1階調ごとに発熱抵抗体の発熱時間tを制御する。n階調ならば、t1,t2,tnのパルス幅からなるn個の通電パルスによつて制御する。サーマルヘツド8は、発熱抵抗体をライン状に多数並べたものであり、各抵抗体の発熱量それぞれ制御して、インクシート6に塗布してあるインクシート6のベースフイルム側より加熱し、記録紙7へインクを浸透させる、または付着させる。このサーマルヘツド8の発熱量は、ヘツド制御信号の通電時間と電源301のヘツド電圧値で制御する。そしてサーマルヘツド8のヘツド基板の温度は、図示しないヘツド温度センサにより測定される。機構制御回路314は、デイジタル信号入出力回路318から入力される外部指令信号あるいは入力スイツチ322から入力される記録開始指令や画像サイズ等の記録条件に従つて、記録機構311の駆動モータ、表示321および電源301を制御する。機構制御回路314は、記録機構311の記録紙7の有無を検出する光センサ36,38、カム18の移動位置を検出するセンサ(図示せず)、インクシート6のインクの色を示すマークを検出するインクセンサ37、インクカセツト(図示せず)が装置にセツトされたかを検出するセンサ(図示せず)、記録紙ロール12が装着されたかを検出するセンサ(図示せず)、インクシート6を繰出す繰出しロール53及びインクシート6を巻取る巻取りロール54の回転を検出するセンサ(図示せず)等のセンサ信号を入力し、動作手順に従つて駆動モータを制御する。なお、第1図の記録機構311に記載の駆動モータ及びセンサは、第2図以降に記載の主モータ10、モードモータ83等の各モータ及び光センサ36,38、インクセンサ37等の各センサを総轄している。また、機構制御回路314は、データバス327に、RGBビデオ入力回路317、デイジタル信号入力回路318、メモリ319、中間調制御回路320を制御するための、ページ印字指令,1ライン印字指令,色指定信号を出力する。
次に第2図に示す機構制御回路314について説明する。また、第3図には、記録機構311のモータとセンサの位置を対応して示した。
第2図の機構制御回路314は、CPU323(中央演算処理装置)とROM324(リードオンリーメモリ)RAM325(ランダムアクセスメモリ)と出力ポート328と入力ポート329とそれから接続する内部信号バス315からなるマイクロコンピュータと、主モータ10を駆動するステツピングモータ駆動回路330,DCモーチ駆動回路331,332,333,334と、センサの検出信号を入力する信号レベル変換回路335と表示回路341と入力スイツチ回路342と、外部バス入出力インターフエイス326から構成される。第2図の機構制御回路314は、画像処理装置312のデイジタル信号入出力回路316から、制御回路310のデイジタル信号入出力回路318へ転送され、データバス327に出力される印字指令信号か、入力スイツチ回路342からの印字指令信号によつて記録動作を開始する。機構制御回路314の動作は、ROM324にあらかじめ記憶してある動作手順を示すプログラムに従つて制御される。CPU323は、このプログラムを解読し、データの演算と出力ポート328の制御と入力ポート329からのデータの入力を実行する。
RAM325は、演算結果などの記録,入力データの記憶,出力データの記憶に使用する。出力ポート328の出力信号は、ステツピングモータ駆動回路330に入力され、ステツピングモータである主モータ10を制御する。また、出力信号は、DCモータ駆動回路331,332,333,334に入力され、DCモータであるモードモータ83,巻取りモータ82,繰出しモータ81,カツタモータ78を制御する。また入力ポート329は、各センサの信号をロジツクレベルの信号に変換する信号レベル変換回路335を介して、接点スイツチであるモードカム位置センサ336(図示せず)、反射型光センサである光センサ36,38、接点スイツチであるカツタ位置センサ337(図示せず)、反射型光センサであるインクセンサ37a,37bの出力信号をマイクロコンピユータに取り入れる。なおインクセンサ37a,37bは、以下インクセンサ37と略すことにする。
次に第4図に示す記録機構311について説明する。本記録機構311には、底板30に垂直に固定した2枚の側板31,31′(31′は図示せず)がある。底板30には、給紙ブロツク1と搬送ブロツク2が、ボルトで固定されている。また、ヘツドブロツク3,カツタブロツク4,主モータ10及び冷却フアン11は、側板31,31′に取付けてある。インクブロツク5は、カセツトになつており側板31,31′に取付けた図示しないインク軸受に装着される構造になつている。また、記録紙ロール12もインクブロツク5と同様な構造で装着される。記録紙ロール12から送り出された記録紙7は、給紙ブロツク2,搬送ブロツク2,カツタブロツク4を経て本機構311から送出される。給紙ブロツク1は、給紙手段である前給紙ローラ15aと15b、同じく給紙手段である後給紙ローラ16aと16bの2組のローラ対と、ペーパーガイド17aと17bから成る。給紙レバー13が、カム18に設けた溝19に案内されてピン33を中心に回転することにより、給紙フレーム14が左右方向に移動する。これにより前給紙ローラ15b及び後給紙ローラ16bは、上下方向に移動し前給紙ローラ15a及び後給紙ローラ16aと押圧または離間する構造となつている。搬送ブロツク2は、ペーパーガイド22,23、搬送手段である搬送ローラ24と、押圧ローラ25の搬送ローラ対、プラテンローラ9,排出ローラ27と押圧ローラ28の排出ローラ対から構成されている。各ローラ及びガイド等は、ローラシヤーシ29,29′(29′図示せず)に回転可能にまたはボルトで固定されている。押圧ローラ25は、ころがり軸受を搭載した図示しない中空円筒ローラ25aと、これに挿入される図示しない偏心シヤフト25bからなる。偏心シヤフト25bの両端には押圧レバー35が取付けてある。押圧レバー35は、カム18に設けた溝21(図示せず)に案内されてピン34を中心に回転し、偏心シヤフト25bを回転する。それによつて押圧ローラ25を搬送ローラ24に押圧したり離間したりする。本記録機構311における搬送ローラ24と押圧ローラ25の押圧力は、0.9〜1.6kgf/cm2としている。押圧ローラ25は、搬送ローラ24に押圧されている時に回転する従動ローラであり、搬送ローラ24と同程度の長さのもので、記録紙の幅よりも長いものである。また、表面には、段差や溝等がないなめらかな円筒形の1個のローラである。搬送ローラ24は、ステンレス材等の剛体円筒でありその表面にセラミツク材の粒状物質をランダムに接着し、記録紙7との摩擦係数を高くしたものである。なお、粒状物質の硬度は、サーマルヘツド8の発熱抵抗体の表面の硬度(ビツカース硬さ:1600〜1800Hv)より低く、ビツカース硬さ1400〜1500Hvとしてある。また、粒状物質の大きさが不定の場合は、搬送ローラ24の真円度及び円筒度が悪くなる原因となるため、本搬送ローラ24は、粒状物質の大きさの寸法範囲を±10μm以内にしている。ペーパーガイド23に取付けた板ばね26は、押圧ローラ28を排出ローラ27に常時押圧いている。ペーパーガイド22には、記録紙7を検出する光センサ36を、またペーパーガイド23には、インクシート6の色を示すマークを検出するインクセンサ37が取付けてある。カツタブロツク4は、回転刃39,固定刃40と記録紙7を検出する光センサ38から成る。回転刃39と固定刃40の間に送り込まれた記録紙7を、回転刃39が回転して切断する機構である。ヘツドブロツク3は、ヘツドアーム41の左端部にサーマルヘツド8を有し、右端部にはヘツドブロツク3を持ち上げる時の回転中心となる軸42を設けてある。軸42は、側板31,31′に回転可能に取付けている。また、サーマルヘツド8は、回転軸46で回転可能に支持されており、回転軸46は、ヘツド取付板47に固定され、ヘツド取付板47は、ヘツドアーム41に回転可能に取付けられている。なお、ヘツドアーム41の右端に設けたコイルばね43の保持力は、ヘツドブロツク3を持ち上げることができる。ヘツドブロツク3は、ヘツドアーム41が垂直になる位置まで回転可能である。サーマルヘツド8をプアテンローラ9に押圧するヘツド押圧力は、コイル状のばね44で与えられる。ばね44は、サーマルヘツド8の上面とヘツドアーム41に固定した天板51の下面との間に設置してある。ヘツドアーム41の中間に設けたピン45は、カム18の回転に従つて溝20に案内されて上下方向に移動する。このピン45の動きが、ヘツドアーム41及びヘツド天板51を上下方向に移動させ、ばね44を伸縮させてヘツド押圧力を与えたり解除したりする。ヘツドブロツク5は、未使用のインクシート6を巻回してある繰出しロール53と使用済のインクシート6を巻取る巻取りロール54,インクシート6から構成されている。イクンシート6は、3色または4色(イエロ:Y色,マゼンダ:M色,シアン:C色,またはブラツク:B色)の昇華染料インクを面順序に塗布したシートである。
次に第5図に示す本記録機構311の簡略図を用い、駆動構造について説明する。側板31に取付けた主モータ10は、動力伝達手段を介して、搬送ローラ24,プラテンローラ9,排出ローラ27,前給紙ローラ15a,後給紙ローラ16a及び記録紙ロール12に伝達される。主モータ10は、後述するタイミングベルト58で搬送ローラ24を回転駆動する。搬送ローラ24は、動力伝達手段を介し、ワンウエイクラツチ71及び72により、一方向(記録紙7を記録紙ロール12から送り出す方向)のみに動力を伝達する。すなわち、搬送ローラ24と同様に、プラテンローラ9及び排出ローラ27も搬送手段である。排出ローラ27は、その軸には、摩擦クラツチ74を取付けてある。この摩擦クラツチの摩擦トルクにより、記録時の記録紙に、記録と逆方向の張力を与えている。なお、この張力は、記録済インクシート6が巻取られる時の張力(フロントテンシヨン)より大きくなるように摩擦クラツチトルクを設定してある。前給紙ローラ15a,後給紙ローラ16a及び記録紙ロール12においても、駆動力を搬送ローラ24から伝達される。記録紙ロール12には、排出ローラ27と同様に、その軸に摩擦クラツチ75を取付けてある。側板31′に取付けた繰出しモータ81及び巻取りモータ82は、それぞれの動力伝達手段と摩擦クラツチ87及び88を介して、繰出しロール53及び巻取りロール54を回転駆動する。繰出しロール53から繰出されたインクシート6は、サーマルヘツド8とプラテンローラ9の間を通り、巻取りロール54に巻取られる。これがインクシートを搬送する搬送手段である。サーマルヘツド8,押圧ローラ25,前給紙ローラ15b,後給紙ローラ16bの押圧または離間を行うカム18は、側板31に取付けたモードモータ83により回転駆動される。また、記録紙7を切断する回転刃39は、側板31に取付けたカツタモータ78により回転駆動される。
次に本実施例の動作を第6図〜第15図を参照して説明する。
まず、第6図に示す本実施例の動作手順を、第9図〜第13図を参照して説明する。なお、記録紙7の搬送方向については、記録紙ロール12から送り出される方向を下流方向,記録紙ロール12に巻取られる方向を上流方向と呼ぶことにする。上流方向への搬送時には、記録紙7は、搬送ローラ24または前給紙ローラ15a,後給紙ローラ16aから搬送力を受けて搬送されるが、給紙ブロツク1内または、給紙ブロツク1と記録紙ロール12の間で、記録紙7がたるまないように、記録紙ロール12を駆動することにより、記録紙7を巻取るようにしている。まずヘツドブロツク3を持ち上げコイルばね43で保持している状態で手操作により記録紙を装着する。なお記録紙7の先端7aが、前給紙ローラ15a及び15bと、後給紙ローラ16a及び16bの間で位置するようにする。例えば第9図に示したAの位置である。これは、記録紙ロール12の中心方向に上下動自在な補助ローラとガイドを設置し、記録紙ロール12と接触する補助ローラを駆動することにより記録紙7の先端を前給紙ローラ15a及び15bと後給紙ローラ16a及び16bの間に位置するようにすることもできる。そしてヘツドブロツク3を押し下げ、装置を閉じた状態にする。この動作が第6図の350である。なお、この時前給紙ローラ15aと15bは、離間しており、後給紙ローラ16aと16bは、押圧されている。この状態は、印紙指令信号を待つている状態である。印字指令信号が、データバス327あるいは入力スイツチ322より機構制御回路314に転送されると、記録がスタートする(351)。この時光センサ36及び38は、常に記録紙7の有無を検出している(325及び353)。光センサ36が、OFF(記録紙7無し)の時は、自動給紙(356)を行い、続いて記録動作(357)を行う。また、光センサ36と38の両方が、ON(記録紙7有り)の時は、即座に記録動作を行う。光センサ36がONで、光センサ38がOFFの場合は、押圧ローラ25を搬送ローラ24に押圧し、搬送ローラ24を駆動することにより、記録紙7を、下流方向に所定長さ(例えば3cm)搬送して停止する(354)。この動作で、光センサ38がONになつた場合は、記録動作を行い、OFFのままだつた場合は、自動給紙を行う(355)。自動給紙(356)及び記録動作(357)については、第10図,第11図を参照し、後述することにする。記録動作(357)が終了すると第12図の状態になり、記録紙7の先端7aはIの位置にくる。この状態は、印字指令待ち状態である。また、この状態における記録紙7は、先端7aの付近を、排出ローラ対で挾持された、プラテンローラ9の曲率でカールされる拘束力を受けている。この状態を待機状態と呼ぶことにする。第12図は待機状態の1例である。第2図に記載したROM324に記憶してあるプログラム内には、タイマーを設けてあり、タイマーには、ある所定時間(例えば5分)をセツトしてある。待機状態に入ると、ただちにタイマーが作動し、待機状態が所定時間を経過したかどうかを常に見極めている(358)。本動作手順では、待機状態が続いている間は、印字指令信号により、記録をスタートできる(359)が、待機状態が所定時間を経過した場合は、戻し動作(360)を行うようになつている。戻し動作については、第13図を参照し、後述することにする。戻し動作を行つた後には、351に戻り、再度印字指令信号持ち状態になる。351以下の動作を前述した動作と同じである。
次に自動給紙を第10図を参照して説明する。自動給紙を行う状態は、光センサ36と38の両方がOFFの時または、光センサ36がOFFで光センサ38がONの時である。光センサ36がOFF38がONの時は、前給紙ローラ15aと後給紙ローラ16aを駆動して、記録紙7を上流方向へ搬送し、記録紙7の先端7aが、光センサ36の上を通過し、光センサ36がOFFになつた時点で停止する。ただし光センサ36と38の両方がOFFだつた時には、この動作は行わない。次に前給紙ローラ15aと後給紙ローラ16aを駆動し、記録紙7を下流方向へ搬送する。光センサ36がONになつた時点で停止する。記録紙7の先端7aが、第10図のBの位置にある状態である。続いて記録紙7を上流方向へ搬送し、記録紙7の先端7aが、前給紙ローラ15a及び15bと、後給紙ローラ16a及び16bの間の位置になつた時点で停止する。この動作時の前給紙ローラ15bは、押圧状態あるいは離間状態のどちらでも良く、記録紙7の搬送力は、記録紙ロール12の回転駆動力により与えられる。これは、送り出した記録紙7を記録紙ロール12の巻戻す動作である。この時の記録紙7の先端7aの位置は、例えば第10図のCの位置である。次は前給紙ローラ15bを押圧した状態で、記録紙7を下流方向へ搬送し、記録紙7の先端7aが、プラテンローラ9と、搬送ローラ24の間の位置になつた時点で停止する(例えば、図中D位置)。次は、カム18を回転させることにより、押圧ローラ25を押圧し、前給紙ローラ15bと後給紙ローラ16bを離間する。その後搬送ローラ24を駆動することにより、記録紙7の先端7aが、プラテンローラ9の頂点を過ぎた位置で停止する(図中Eの位置)再びカム18を回転させ、サーマルヘツド8をプラテンローラ9に押圧する。この状態で搬送ローラ24を駆動し、搬送ローラ24とプラテンローラ9の搬送力により、記録紙7を下流方向へ搬送する。記録紙7の先端7aが排出ローラ対に入り込んだ位置で停止する。カム18を回転し、サーマルヘツド8を離間し、再度搬送ローラ24を駆動し、搬送ローラ24と排出ローラ対27及び28の搬送力で、記録紙7を下流方向へ搬送し、光センサ38がONになつた位置で停止する(図中Fの位置)。これまでが自動給紙である。
次に記録動作を、第7図及び第11図を参照して説明する。
まず、カム18を回転し押圧ローラ25を搬送ローラ24に押圧する。ただし、第6図に記載の動作手順354及び355または356を行つている場合は、本動作は行わない(361)。次に、搬送ローラ24を駆動し、記録紙7を上流方向へ所定長さ搬送して停止する。この所定長さは、例えば2cmである。この動作は、光センサ38をOFFにするための動作である(362)。362により、光センサ38がOFFにならなつた場合は、エラーとなり表示321に表示される。この場合は、手操作で記録紙7をセツトし直さなければならない。次は、搬送ローラ24を駆動し、記録紙7を、下流方向に搬送する(363)。この時光センサ38は、記録紙7の有無を常に検出している(364)。そして、光センサ38がONになつた時点からY色記録(365Y)が始まる。下流方向に搬送されている記録紙7を所定長さで停止する(366)。なお記録紙7の先端7aの位置は、第11図のGの位置である。前記所定長さとは、これから行う記録がA4サイズの場合は、Gの位置からプラテンローラ9とサーマルヘツド8の発熱抵抗体の接触装置までの長さをA4判の長手方向の長さにしたものである。以後、366の動作を、排出動作と呼ぶ。この排出動作と並行して、繰出しロール53と巻取りロール54を駆動することにより、インクシート6を上流方向へ搬送しインクセンサ37によりインクシート6の第1色目のY色の位置決めを行い、繰出しロール53と巻取りロール54を停止する。インクシート6の搬送速度は、繰出しロール53の径の大きさによつて決まる。従つて未作用のインクシート6が残り少なくなると、繰出しロール53の径が小さくなり、インクシート6の搬送速度がしだいに遅くなつてくる。そこで、繰出しロール53の径を検値する手段(図示せず)を設置し繰出しロール53の径を常に検値し、径の大きさにあわせて繰出しモータ81の回転速度を制御し、搬送速度を保つこともできる。次に、サーマルヘツド8がインクシート6及び記録紙7を介してプラテンローラ9を押圧する(367)。その後、搬送ローラ24を駆動し、記録紙7を上流方向へ搬送する(インクシート6は、記録紙7との摩擦力で、記録紙7と同時に搬送される。)と同時にサーマルヘツド8により、第1色目のY色を記録紙7に転写する。この時、繰出しロール53は駆動しておらず、摩擦クラツチ87によりすべつており、巻取りロール54のみを駆動し、転写したインクシート6を摩擦クラツチ88によりすべりながら巻取つている。また、排出ローラ対27と28及びプラテンローラ9は、記録紙7との摩擦力で従動回転している。特に排出ローラ27は、摩擦クラツチ74の働きにより、記録紙を下流方向へ引つ張るため、記録紙7をプラテンローラ9の近傍でたるませることなく搬送できる。Y色の転写が終了すると、搬送ローラ24と巻取りロール54の駆動を停止する(368)。次にカム18を回転させることによりサーマルヘツド8を離間し(369)、Y色記録が終了する。次は、M色記録(365M)、C色記録(365C)を行う。M色記録,C色記録とも、動作366,367,368,369を行う。C色記録後は、記録紙7の先端7aの位置が、第11図のHの位置になるまで、記録紙7を下流方向へ搬送する。第11図のHから、カツタブロツク4内の回転刃39と固定刃40による切断位置までの長さは、A4判の長手方向サイズである(370)。その後回転刃39を回転させることにより記録紙7を切断し(371)、カム18を回転させることにより、押圧ローラ25を離間し、後給紙ローラ16bを押圧(372)して記録動作が終了して待機状態となる。この時の状態が、第12図である。記録紙7の先端7aの位置は、Iの位置になる。
第14図および第15図は、主モータ駆動時のタイミングベルト58の様子を示した図である。339は、主モータ10に取付けたモータ側プーリであり、340は、搬送ローラ24に取付けたモータ側プーリである。第14図は、下流方向搬送時であり、タイミングベルト58は、下側がたるんでいる。第15図は、上流方向搬送時であり、タイミングベルト58は、上側がたるんでいる。記録動作は、下流方向の搬送(排出動作)と上流方向への搬送(記録)を、3回繰返すものである。すなわち、Y色,M色,C色のすべてに対し記録を行う前に、記録の搬送方向の逆方向に、記録紙7を搬送している。従つて本記録動作によれば、Y色,M色,C色のいずれに対しても、記録前のタイミングベルト58のたるみ側は、常に下側になる。
次に戻し動作第8図と第13図を参照して説明する。
まず、後給紙ローラ16aを駆動することにより、記録紙7を上流方向へ搬送す(373)。この時、光センサ36は、記録紙7の有無を常に検出している(374)。光センサ36がOFFになつた時点で後給紙ローラ16aの駆動を停止する(375)。この時の記録紙7の先端7aの位置は、第13図のJの位置である。その後前給紙ローラ15bを下方へ移動し前給紙ローラ15aに押圧する(376)。次に前給紙ローラ15aと後給紙ローラ16aを駆動させることにより、記録紙7を再度上流方向へ搬送し、記録紙7の先端7aが、後給紙ローラ16a及び16bを通過しない位置で停止する(377)。記録紙7の先端7aの位置は、例えば第13図のKの位置である。そして、前給紙ローラ15bを離間する(378)。これで戻し動作が終了する。こうすることにより、待機状態で記録紙7が受けていた拘束力を解除することができる。
本実施例によれば、以下に述べる効果がある。
待機状態が所定時間経過した場合に、戻し動作を行うことにより、記録紙カールを防止する効果がある。
また、タイミングベルト58の記録直前の状態(たるみ側が上か下か)を、Y色,M色,C色のすべてに対し、同じにすることにより、すべての色の記録長さを同じにすることができ、ベルト駆動による色ずれ防止する効果がある。
また、粒子物質の硬度を、サーマルヘツド8の発熱抵抗体の表面の硬度より低くしたことにより、粒子物質の離散によるサーマルヘツド8の損傷を防止する効果がある。なお、粒子物質径を限定することにより、搬送ローラ24の真円度及び円筒度を良くする効果もある。
また、搬送ローラ24と押圧ローラ25の押圧力を、一定値以下としたことにより、記録画像の幅方向の帯状色むらを防止する効果がある。
また、押圧ローラ25を、表面に段差,溝通がないなめらかな1個の円筒型ローラにしたことにより、記録紙7を受ける押圧力の部分的な変化による記録画像の色むらを防止する効果がある。
次に第2の実施例について第16〜第18図を参照して説明する。この実施例は、前記実施例の戻し動作終了後の記録紙7の先端7aの位置が異なる。第16図は、記録紙7の先端7aの位置を前給紙ローラ15a及び15bと後給紙ローラ16a及び16bの間の位置(例えばLの位置)とした場合、第17図は、搬送ローラ24と光センサ36の間の位置(例えばMの位置)とした場合、第18図は、プラテンローラ9と搬送ローラ24の間の位置(例えばNの位置)とした場合である。これらは、すべて記録紙7の先端7aの位置がプラテンローラ9よりも記録紙ロール12側にあるもので、待機状態と比較すると、記録紙7が受ける拘束力が非常に小さいか、また拘束力を解除でき、前記実施例同様、記録紙ロールを防止する効果がある。
次に第3の実施例について第19図ないし第22図を参照して説明する。本実施例は、押圧ローラ25をヒートローラ25′としたもので、このヒートローラ25′により記録動作の直前に、強制的に記録紙7のカールを修正するものである。
第19図は、機構制御回路314′を示す。機構制御回路314′には、ヒートローラ25′に内造した加熱手段(図示せず)により、ヒートローラ25′を加熱するヒーター駆動回路338を設けてある。その他の構成は、第1,第2の実施例と同じである。
次に動作を第20図〜第22図を参照して説明する。動作手順は、第20図に示した通り358までは、第1,第2の実施例と同じであり、待機状態が所定時間内の時は、記録をスタートできる(379)。本動作手順は、待機状態が所定時間(例えば5分)を経過し、記録をスタートする(359)の場合は、加熱動作380を行つてから記録動作357を行うものである。加熱動作については、第21図と第22図を参照して説明する。まず、ヒートローラ25′を加熱して、搬送ローラ24に押圧し、後給紙ローラ16bを離間する(381)。この状態から搬送ローラ24を駆動しヒートローラ25′により記録紙7を加熱しながら上流方向へ所定長さ搬送して停止する(382)。382により、強制的に記録紙7のカールを修正する(修正動作)。なお、この時点で記録紙7の先端7aの位置は、例えば第22図中のOの位置であり第15図は382の動作中の状態を示す。その後ヒートローラ25′の加熱を停止し(383)記録紙7を下流方向へ所定長さ搬送して停止する(384)。なお、この時点での記録紙7の先端7aの位置は、例えば第22図中のPの位置である。次にカム18を回転させることによりサーマルヘツド8をプラテンローラ9に押圧し(385)、搬送ローラ24を駆動し記録紙7を下流方向へ所定長さ搬送して停止する(386)。この所定長さは、記録紙7の先端部が排出ローラ対に挟持されなおかつ光センサ38がOFFの状態になるような長さである。次にサーマルヘツド8を離間(387)し、再度搬送ローラ24を駆動し記録紙7を下流方向へ所定長さ搬送して停止する(388)。この所定長さは、光センサ38がONになるような長さである。なお、この時点での記録紙7の先端7aの位置は、例えば第22図中のQの位置である。以上で加熱動作が終了する。
次に、動力伝達手段の第23図を参照して説明する。本例は、第1の実施例の搬送ローラ24を回転駆動する動力伝達手段を変形したものである。
第23図に示したように、本例の動力伝達手段の構成は、2本のタイミングベルト58a及び58b、主モータ軸403a及び403bに固定した2つのモータ側プーリ339a及び339b、搬送ローラ軸404に固定したローラ側プーリ340からなり、これらが、互いに異なる方向に回転駆動する2つの主モータ10a及び10bの動力を搬送ローラ24に伝達している。なお、一方の主モータ例えば10aが回転駆動している時には、他方の主モータ10bは従動回転しており、従動回転している主モータ10bの軸403bには、トルクリミツタ405bにより負荷が与えられるようになつている。なお、2つの主モータは互いに異なる方向の回転駆動を行うものである。トルクリミツタ405bは、回転不可能に固定され、主モータ軸403bに設置したワンウエイクラツチ406bと接触している。ワンウエイクラツチ406bは、主モータ軸403bが回転駆動している時は、トルクリミツタ405bと接触して停止しており、主モータ軸403bに負荷を与えることがない。一方、主モータ軸403bが従動回転している時のワンウエイクラツチ406bは、主モータ軸403bといつしよに回転し、トルクリミツタ405bと接触し、主モータ軸403bに負荷を与えている。トルクリミツタ405aとワンウエイクラツチ406aにおいても、トルクリミツタ405bとワンウエイクラツチ406bと同様の構成であり、主モータ軸403aに対して同様の作用をなす。なお、モータ側プーリ339a側のプーリ比と、モータ側プーリ339b側のプーリ比は、同じである必要がない。
次に動作を説明する。例えば、モータ側プーリ339aは、主モータ10aの動力により実線矢印方向にのみ回転駆動され、モータ側プーリ339bは、主モータ10bの重力により破線矢印方向にのみ回転駆動されるものとする。記録紙7を上流方向に搬送するためにモータ側プーリ339aが、実線矢印方向に回転駆動されている時は、タイミングベルト58aは張り側が上になりたるみ側が下になる。この時モータ側プーリ339bは従動回転であるから、ローラ側プーリ340の回転が動力となり、タイミングベルト58bは張り側が上になりたるみ側が下になる。一方、記録紙7を下流方向に搬送するために、モータ側プーリ339bが破線矢印方向に回転駆動されている時は、タイミングベルト58bは、記録線7を上流方向に搬送する時と同様に張り側が上になりたるみ側が下になる。この時モータ側プーリ339aは従動回転であるから、ローラ側プーリ340の回転が動力となりタイミングベルト58aは、記録紙7を上流方向に搬送する時と同様に張り側が上になりたるみ側が下になる。以上説明した様に、上流方向搬送時、または、下流方向搬送時のどちらにおいても、タイミングベルト58a及び58bの張りとたるみの状態は大きく変化しないので、上流方向の搬送長さは大きく変化しない。
次に、動力伝達手段の他の例を第24図,第25図を参照して説明する。本例は、第23図の例と同様に、第一の実施例の動力伝達手段を変形したものである。第24図は、構成を示す斜視図、第25図は、主モータ軸403に設置されている部品を拡大して示したものである。本例の動力伝達手段は、2本のタイミングベルト58a及び58b、2つのモータ側プーリ339a及び339b,2つの搬送ローラ軸に固定したローラ側プーリ340a及び340bにより構成されている。なお第25図に示したように2つのモータ側プーリには、ワンウエイクラツチ400a及び400bを搭載してあり、互いに異なる方向の動力伝達を行なうように主モータ軸403に設置してある。これらの動力伝達手段が、主モータ10の双方方向の回転の動力を搬送ローラ24に伝達している。一方のモータ側プーリ例えば339aが主モータ10により回転駆動されている時は、他方のモータ側プーリ339bは従動回転しており、従動回転しているモータ側プーリ339bには、トルクリミツタ401bにより負荷が与えられるようになつている。トルクリミツタ401bは、ころがり軸受402bを搭載し、モータ側プーリ339bと常に圧されながらモータ軸403に設置してある。またトルクリミツタ401bは、モータ側プーリ339bが主モータ10により回転駆動されている時は、モータ側プーリ339bと接触して同時に回転しており、モータ側プーリ339bに負荷を与えることがない。一方、モータ側プーリ339bが従動回転している時は、図示しない固定手段によりトルクリミツタ401bを固定することで、モータ側プーリに負荷を与えるものである。トルクリミツタ401aにおいても、トルクリミツタ401bと同様の構成であり、モータ側プリ339aに対して同様の作用をなす。なお、主モータ10に近い方の動力伝達手段(モータ側プーリ339aとローラ側プーリ340aとタイミングベルト58a)をa組と呼び、主モータ10から遠い方動力伝達手段(モータ側プーリ339bとローラ側プーリ340bとタイミングベルト58b)をb組と呼ぶことにすると、a組のプーリの比とb組のプーリの比は、同じにしなければならない。
搬送ローラ24の位置は、図に示したように、ローラ側プーリ340bの図中右側でも良く、ローラ側プーリ340aの図中左側、またはローラ側プーリ340aと340bの間の位置でも良い。また、2つのローラ側プーリ340aと340bを、一つのローラ側プーリとし、それに2本のタイミングベルト58aと58bを取り付けて使用することもできる。次に動作の説明をする。主モータ10が記録紙を上流方向に搬送するために、実線矢印方向に回転駆動している時は、ワンウエイクラツチ400aからモータ側プーリ339aに動力が伝達され、モータ側プーリ339bにはワンウエイクラツチ400bからは動力が伝達されない。モータ側プーリ339aからタイミングベルト58aを介しローラ側プーリ340aに動力が伝達され搬送ローラ24は、記録紙を上流方向に搬送する方向に回転駆動される。すなわちa組では、モータ側プーリ339aが駆動する側のプーリなので、タイミングベルト58aは図に示した様に張り側は下でたるみ側が上になる。また、ローラ側プーリ340bは、ローラ側プーリ340aの回転により回転駆動され、タイミングベルト58bを介してモータ側プーリ339bを回転させる。すなわちb組では、ローラ側プーリ340bが駆動する側のプーリなので、タイミングベルト58bは、図に示した様に張り側は上でたるみ側は下になる。一方、主モータ10が記録紙を下流方向に搬送するために破線矢印方向に回転している時は、ワンウエイクラツチ400bからモータ側プーリ339bに動力が伝達され、モータ側プーリ339aはワンウエイクラツチ400aからは動力が伝達されない。モータ側プーリ339bからタイミングベルト58bを介しローラ側プーリ340b動力が伝達され、搬送ローラ24は記録紙を下流方向に搬送する方向に回転駆動される。すなわちb組では、モータ側プーリ339bが駆動する側のプーリなのでタイミングベルト58bは、上流方向の回転時と同様に、張り側が上でたるみ側が下になる。また、ローラ側プーリ340aは、ローラ側プーリ340b回転により回転駆動され、タイミングベルト58aを介しモータ側プーリ339aを回転させる。すなわちa組では、ローラ側プーリ340aが駆動する側のプーリなので、タイミングベルト58aは、上流方向回転図と同様に、張り側が下でたるみ側が上になる。以上説明したように、2本のタインミングベルト58aと58bは、回転方向が変化しても張りとたるみの状態が大きく変化しないので、上流方向と下流方向の搬送長さが大きく変化することがない。
次に動力伝達手段の他の例を第26図に示す。この例は、搬送ローラ24をローラ側プーリ340aと340bの間に設置し、2つのローラ側プーリ340a及び340bと搬送ローラ24の間には、切断,接続が可能な2つのクラツチ410a及び410bを設けている。なお、クラツチ410a及び410bは、主モータ10の回転動力を伝達しているモータ側プーリに近い方のクラツチを接続し、他方のクラツチを切断するようにしている。他の動作は、第24図の場合と同じであるが、本構成によれば、a組とb組のプーリの比は同じである必要がない。以上説明したように本構成においても、前述の実施例と同様に上流方向と下流方向の搬送長さが大きく変化することがない。
次に動力伝達手段の他の例を第27図〜第29図に示す。本例は、2本のタイミングベルト58a及び58bと2組(a組とb組)のプーリのかわりに、2組の歯車を使用するものである。モータ側歯車408aとローラ側歯車409がa組で、モータ側歯車408bとローラ側歯車409がb組である。
第27図のA部の拡大図が第28図であり、第27図のB部の拡大部が第29図である。モータ側歯車408aは、主モータ10aの動力により実線矢印方向にのみ回転駆動され、モータ側歯車408bは、主モータ10bの動力により破線矢印方向にのみ回転駆動されるものとする。記録紙7を上流方向に搬送するために、モータ側歯車408aが実線矢印方向に回転駆動されている時は、モータ側歯車408bは、ローラ側歯車409が動力となり従動回転している。一方、記録紙7を下流方向に搬送するために、モータ側歯車408bが破線矢印方向に回転駆動されている時は、モータの側歯車409aは、ローラ側歯車409が動力となり従動回転している。
なお、従動回転している歯車には、ワンウエイクラツチ406a及び406bの作用と、回転不可能に固定されたトルクリミツタ405a及び405bにより、負荷が与えられている。以上説明したように、2組の歯車は回転方向が変化しても、歯車の接触が変化しないので、上流方向と下流方向の搬送長さが大きく変化することがない。なお、本構成では、a組とb組の歯車の比は、同じである必要がない。
次に伝達手段の他の例を第30図を参照して説明する。本例における2本のタインミングベルト58a及び58bと2組(a組とb組)のプーリのかわりに、2組の歯車を使用するものである。
第30図中のA,B部分を拡大して示したのが第32図,第31図である。主モータ10が、記録紙を上流方向に搬送するために、実線矢印方向に回転駆動している時は、ワンウエイクラツチ400aからモーラ側歯車408aに動力が伝達され、モータ側歯車408bにはワンウエイクラツチ400bからは動力が伝達されない。モータ側歯車408aからローラ側歯車409aに動力が伝達され、搬送ローラ24は、記録紙を上流方向に搬送する方向に回転駆動される。すなわちa組では、歯車の接触状態が第32図の様になる。またローラ側歯車409bは、ローラ側歯車409aの回転により回転駆動され、モータ側歯車408aが従動回転している。すなわち、b組では、歯車の接触状態は第31図の様になる。一方、主モータ10が、記録紙を下流方向に搬送するために、破線矢印方向に回転駆動している時は、ワンウエイクラツチ402bからモータ側歯車408bに動力が伝達され、モータ側歯車408aは、ワンウエイクラツチ400aからは動力が伝達されない。モータっ側歯車408bからローラ側歯車409bに動力が伝達され、搬送ローラ24は、記録紙を下流方向に搬送する方向に回転駆動される。またローラ側歯車409aは、ローラ側歯車409bの回転により回転駆動され、モータ側歯車408aが従動回転している。なお、従動回転している歯車には、前述の実施例と同様に、トルクリミツタ401a及び401bにより、負荷が与えられている。以上説明したように、2組の歯車は、回転方向が変化しても、歯車の接触状態が変化しない。
第33図は、伝達手段の他の例を示す。この例は、主モータ軸403に搬送ローラ24を設置したものである。
〔発明の効果〕
本発明は、以上説明したように構成されているので、戻し動作または戻し動作に加熱動作を加えることにより、記録紙カールを防止できる。また、記録を開始する直前のタイミングベルトの状態(たるみ側が上か下か)をY色,M色,C色のすべてに対し、同じにすることにより、すべての色の記録長さを同等にすることができ、タイミングベルトの回転方向の変化による色ずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の全体構成を示す図で、記録装置の制御装置のブロツク図と、記録装置の記録機構のブロツク図である。第2図は、機構制御回路を示すブロツク図、第3図は機構制御回路と記録機構の関係を示す図、第4図は、記録機構を詳細に表わした側断面図、第5図は、記録機構の駆動構造を示す略図、第6図は第1図1図の実施例の動作手順を示すフローチヤート、第7図は、記録動作を示すフローチヤート、第8図は、戻し動作を示すフローチヤート、第9図〜第13図は、動作及び記録紙の位置を示す記録機構の略図、第14図と第15図は、タイミングベルトの張られ方を示した図である。
第16図〜第18図は、本発明の他の実施例の概略を示す図で、記録紙の位置を表す記録機構の略図である。
第19図〜第22図は、本発明の他の実施例を示す図であり、第19図は、機構制御部回路を示すブロツク図、第20図は、動作手順を示すフローチヤート、第21図は、加熱動作を示すフローチヤート、第22図は動作と記録紙の位置を示す記録機構の略図である。第23図〜第33図は動作伝達手段の構成を表す図である。
1……給紙ブロツク、2……搬送ブロツク、3……ヘツドブロツク、4……カツタブロツク、5……インクブロツク、6……インクシート、7……記録紙、8……サーマルヘツド、9……プラテンローラ、10……主モータ、12……記録紙ロール、15a,15b……前給紙ローラ、16a,16b……後給紙ローラ、24……搬送ローラ、25……押圧ローラ、25′……ヒートローラ、27……排出ローラ、53……繰出しロール、54……巻取りロール、58……タインミングベルト、78……カツタモータ、81……繰出しモータ、82……巻取りモータ、83……モードモータ、310……制御回路、311……記録機構、314……機構制御回路、339……モータ側プーリ、340……ローラ側プーリ、400……ワンウエイクラツチ,401……トルクリミツタ、405……トルクリミツタ、406……ワンウエイクラツチ、407……クラツチ、408……モータ側歯車、409……ローラ側歯車、410……クラツチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】記録紙をロール状に巻回してある記録紙ロールと、記録紙を搬送する搬送手段と、記録紙に記録を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドの発熱素子と対向する位置に円筒状のプラテンローラを具備する熱転写記録装置において、記録待機状態が所定時間を経過後記録紙を記録紙ロールに巻戻す手段を設けたことを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項2】前記記録紙を記録紙ロールに巻戻す手段により記録紙を記録紙ロールに巻戻す動作時に、記録紙の先端が、サーマルヘッドの発熱素子とプラテンローラの押圧点より、記録紙ローラ側に位置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の熱転写記録装置。
【請求項3】前記記録紙を記録紙ロールに巻戻す手段は、前記記録紙ロールを回転駆動させるものであることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録装置。
【請求項4】前記記録紙を加熱できる加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の熱転写記録装置。
【請求項5】前記加熱手段は、前記サーマルヘッドと、前記記録紙ロールとの間に備えてなることを特徴とする請求項4記載の熱転写記録装置。
【請求項6】前記前記加熱手段は、加熱ローラであることを特徴とする請求項5記載の熱転写記録装置。
【請求項7】前記搬送手段は搬送ローラを備えるものであって、この搬送ローラにモータを配置して回転駆動することを特徴とする請求項1記載の熱転写記録装置。
【請求項8】記録紙と、記録紙に記録を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドの発熱素子と対向する位置に円筒状のプラテンローラと、記録紙を往復に搬送する搬送手段と、イエロー,マゼンダ及びシアンの三色を備えたインクフィルムとを具備するものであって、前記搬送手段は、回転駆動するモータと、モータにより可動するタイミングベルトとを備えるものである熱転写カラー記録装置において、記録待機状態が所定時間経過後、記録紙を記録紙ロールに巻戻す手段と、記録紙へのすべての色の記録を開始する直前のタイミングベルトの張りとたるみの状態が同じように制御する制御手段を設けたことを特徴とする熱転写カラー記録装置。
【請求項9】記録紙と、記録紙に記録を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドの発熱素子と対向する位置に円筒状のプラテンローラと、記録紙を往復に搬送する搬送手段と、イエロー,マゼンダ及びシアンの三色を備えたインクフィルムとを具備するものであって、前記搬送手段は、回転駆動するモータと、モータにより可動するタイミングベルトとを備えるものである熱転写カラー記録装置において、記録待機状態が所定時間経過後、記録紙を記録紙ロールに巻戻す手段と、記録紙へのすべての色の記録を行う前に記録時の記録搬送方向と逆方向に記録紙を搬送する手段を備えることを特徴とする熱転写カラー記録装置。
【請求項10】前記タイミングベルトは複数本備えるものであることを特徴とする請求項8又は9記載の熱転写カラー記録装置。
【請求項11】前記モータを2ケ備え、夫々のモータは互いに異なる方向の回転運動を行うものであって、夫々1本づつのタイミングベルトを介して搬送ローラを回転駆動させることを特徴とする請求項10に記載の熱転写カラー記録装置。
【請求項12】前記モータにワンウェイクラッチを搭載した2つのプーリを設け、夫々のワンウェイクラッチを互いに異なる方向の動力伝達ができるように配置し、前記2つのプーリは夫々1本づつのタイミングベルトを介して搬送ローラを回転駆動させることを特徴とする請求項10に記載の熱転写カラー記録装置。
【請求項13】記録紙を記録紙ロールから搬送手段により搬送し、サーマルヘッドにより記録紙に記録を行う熱転写装置の熱転写記録方法において、前記記録紙が待機状態で所定時間経過後、記録紙を記録紙ロールに巻戻すことを特徴とする熱転写記録方法。
【請求項14】記録紙を加熱手段により加熱しながら記録紙ロールに巻戻すことを特徴とする請求項13記載の熱転写記録方法。

【第1図】
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【第4図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第11図】
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【第28図】
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【第29図】
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【第2図】
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【第12図】
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【第13図】
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【第14図】
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【第15図】
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【第16図】
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【第3図】
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【第17図】
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【第18図】
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【第31図】
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【第32図】
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【第33図】
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【第5図】
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【第22図】
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【第23図】
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【第6図】
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【第8図】
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【第25図】
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【第7図】
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【第19図】
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【第24図】
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【第20図】
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【第21図】
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【第26図】
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【第27図】
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【第30図】
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【特許番号】第2635179号
【登録日】平成9年(1997)4月25日
【発行日】平成9年(1997)7月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−231609
【出願日】平成1年(1989)9月8日
【公開番号】特開平3−96378
【公開日】平成3年(1991)4月22日
【出願人】(999999999)株式会社日立製作所
【参考文献】
【文献】特開 昭62−211172(JP,A)
【文献】特開 昭64−56578(JP,A)
【文献】特開 昭59−17448(JP,A)