説明

熱輸送媒体の再生装置

【課題】熱輸送媒体を濃縮する際に暖房運転を停止することがなく、外気条件に影響を受けずに連続的に熱輸送媒体を濃縮することができ、熱輸送媒体の濃縮効率が良く、熱輸送媒体から分離された水分から効率よく熱輸送媒体成分を回収できるヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける熱輸送媒体の再生装置を提供する。
【解決手段】熱輸送媒体を超音波振動により水分を主成分とするミストに霧化分離する霧化分離装置15に導き、霧化分離装置15により熱輸送媒体中の水分を除去して熱輸送媒体を再生するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱輸送媒体を霧化分離装置に導いて熱輸送媒体中の水分を脱水し、熱輸送媒体の濃度を所定濃度に再生する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける冬季の暖房運転サイクルは、熱輸送媒体をヒーティングタワー(加熱塔)に通して大気から吸熱して蒸発器に導き、それにより凝縮器において温水を得て暖房を行うようにしたものである。熱輸送媒体をヒーティングタワーに通して大気から吸熱する際に、特に大気中の湿度が高い場合には大気中の水分が熱輸送媒体中に吸収されていき、そのため熱輸送媒体の濃度が低下してしまうものである。熱輸送媒体の濃度が規定値以下に低下してしまうと凍結し、ヒーティングタワーへの霜付やヒートポンプ停止が発生し、暖房運転サイクルが停止してしまう。熱供給設備はユーティリティ設備のため、運転中断が許されない。そのため、このヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおいては、熱輸送媒体濃度が低下したら、熱輸送媒体を濃縮して濃度を回復させるための手段が不可欠である。
【0003】
濃度の低下した熱輸送媒体を濃縮するために、従来、次のような方法が行われてきた。
(1)晴天時など外気湿度が低い場合にヒーティングタワーを運転して濃縮する(特許文献1)。
(2)ヒーティングタワーを区分けしておいて、一方を吸熱用とし、他方を濃縮用として使用する(特許文献2)。
(3)暖房運転を一時中止して冷房運転に切り換えることで熱輸送媒体を濃縮する(特許文献3)。
(4)電気ヒータにより熱輸送媒体を加熱して濃縮させる(特許文献4)。
(5)真空下で熱輸送媒体を加熱して熱輸送媒体中の水分を蒸発させる(特許文献5)。
(6)別のヒートポンプを用いて熱輸送媒体を加熱して濃縮する(特許文献6)。
(7)リボイラーおよび蒸留釜によって熱輸送媒体を加熱して濃縮する(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−325624号公報
【特許文献2】特開昭63−243660号公報
【特許文献3】特公平7−72637号公報
【特許文献4】特公平5−7632号公報
【特許文献5】特開平10−38412号公報
【特許文献6】特公平7−47081号公報
【特許文献7】特開2004−209353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した方法には、それぞれ次のような問題点がある。
(1)ヒーティングタワーを運転し濃縮する方法は、外気湿度が低い時でないと濃縮できないため、熱輸送媒体の希釈が発生する外気の湿度が高い時には熱輸送媒体の濃縮が期待できない。また、濃縮時に水分とともにエチレングリコールを主とする熱輸送媒体成分も蒸発するが、蒸発した熱輸送媒体成分を回収する手段がなく、効率的な濃縮とはいえない。
(2)ヒーティングタワーを区分けする方法は、一部区間にヒーティングタワー単独運転により濃縮する方法のため(1)と同様に外気の湿度が高い時には熱輸送媒体の濃縮が期待できない。また、濃縮時に水分とともに熱輸送媒体成分も蒸発するが、蒸発した熱輸送媒体成分を回収する手段がなく、効率的な濃縮とはいえない。
(3)暖房運転を中止して冷房運転に切り換える方法は、一時的であるが暖房運転を停止することになる。
(4)電気ヒータにより熱輸送媒体を加熱して濃縮させる方法は、脱水を水分蒸発操作で行うため、大きな熱エネルギー源が必要になり、エネルギー効率悪化や熱の有効利用が出来ない。また、真空下での加熱となるため装置の気密性を保つ必要があり、メンテナンスに手間が掛かる。さらに、蒸発水分中の熱輸送媒体成分を回収する手段がなく、効率的な濃縮とはいえない。蒸発水分を凝縮して排出する場合、排出ドレン中の熱輸送媒体濃度が高いため排水の排出基準を上回ってしまう。また、装置の起動に時間がかかる。
(5)真空下で熱輸送媒体を加熱して熱輸送媒体中の水分を蒸発させる方法は、脱水を水分蒸発操作で行うため、大きな熱エネルギー源が必要になり、エネルギー効率悪化や熱の有効利用が出来ない。また、真空下での加熱となるため装置の気密性を保つ必要があり、メンテナンスに手間が掛かる。さらに、蒸発水分中の熱輸送媒体成分を回収する手段がなく、効率的な濃縮とはいえない。蒸発水分を凝縮して排出する場合、排出ドレン中の熱輸送媒体濃度が高いため排水の排出基準を上回ってしまう。また、装置の起動に時間がかかる。
(6)別のヒートポンプを用いて熱輸送媒体を加熱して濃縮する方法は、真空下での加熱となるため装置の気密性を保つ必要があり、メンテナンスに手間が掛かる。精留部の機能を維持するために充填材のメンテナンスに手間が掛かる。さらに、精留部を機能させるには装置が大型化する。また、装置の起動に時間がかかる。
(7)リボイラーおよび蒸留釜によって熱輸送媒体を加熱して濃縮する方法は、真空下での加熱となるため装置の気密性を保つ必要があり、メンテナンスに手間が掛かる。また、蒸留性能を維持するために充填材のメンテナンスに手間が掛かる。さらに、他の方式とくらべ、装置の機構が複雑であり、大型化すると共に高コストになる。また、装置の起動に時間がかかる。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、外気条件に影響を受けずに連続的に熱輸送媒体を濃縮することができ、熱輸送媒体の濃縮効率が良く、熱輸送媒体から分離された水分から効率よく熱輸送媒体成分を回収できる熱輸送媒体の再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、熱輸送媒体を超音波振動により水分を主成分とするミストに霧化分離する霧化分離装置に導き、該霧化分離装置により熱輸送媒体中の水分を除去して熱輸送媒体を再生するようにしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、熱輸送媒体を霧化分離装置に導いて熱輸送媒体に超音波振動を加えることで、熱輸送媒体から水分を主成分とするミストに霧化分離する。このように、超音波振動により水分を主成分とするミストが熱輸送媒体から分離されることにより、熱輸送媒体中の水分が除去されて熱輸送媒体が濃縮され再生される。霧化分離装置は、超音波振動子を有した霧化槽を備えている。霧化槽には、必要なミスト発生量に合わせて超音波振動子を所要数配置することができる。霧化槽は小型ユニット化しており、複数個を直列または並列に設置できる自由度をもつ。
【0008】
本発明の好ましい態様は、熱輸送媒体をヒーティングタワーとヒートポンプとの間で循環ラインを介して循環させ、ヒーティングタワーにおいて熱輸送媒体と外気とで直接熱交換し、外気の持つ熱を吸収するヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおいて、外気との直接接触により外気から持ち込まれる水分によって希釈される熱輸送媒体の水分を除去して熱輸送媒体を再生することを特徴とする。
本発明によれば、熱輸送媒体がヒーティングタワーとヒートポンプ間で循環している間に、ヒーティングタワーにおいて熱輸送媒体と外気との直接接触により熱輸送媒体は大気中の水分を吸収することによって希釈されるため、この希釈された熱輸送媒体の一部又は全量を霧化分離装置に導いて熱輸送媒体に超音波振動を加えることで、熱輸送媒体から水分を主成分とするミストに霧化分離する。このように、超音波振動により水分を主成分とするミストが熱輸送媒体から分離されることにより、熱輸送媒体中の水分が除去されて熱輸送媒体が濃縮され再生される。
【0009】
本発明の好ましい一態様は、前記霧化分離装置の上流側に固液分離器を設け、熱輸送媒体中の固形分を除去するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、熱輸送媒体が霧化分離装置に導入される前に固液分離器を通るため、熱輸送媒体中の固形分は除去される。したがって、熱輸送媒体の固形分蓄積による品質劣化を避けると同時に、霧化分離装置において霧化分離を行わせるための超音波のエネルギーが固形分により吸収されて効率低下が起こることを防止することができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様は、前記熱輸送媒体がグリコール系水溶液の不凍液であることを特徴とする。
本発明の好ましい一態様は、前記グリコール系水溶液はエチレングリコールを主成分とする水溶液であることを特徴とする。
前記グリコール系水溶液としてエチレングリコールを主成分とする水溶液のほかに、ジエチレングリコールを主成分とする水溶液、プロピレングリコールを主成分とする水溶液、トリエチレングリコールを主成分とする水溶液、ジプロピレングリコールを主成分とする水溶液を使用することができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様は、前記エチレングリコールを主成分とした水溶液中のエチレングリコールの濃度を20〜50wt%とすることを特徴とする。
熱輸送媒体としてエチレングリコール系の水溶液を使用する場合、概ね−8℃の温度で循環運転される。該当温度においても凍結が発生せず運転可能であるためにはエチレングリコールの濃度は20wt%以上であることが望まれる。厳冬期に概ね−15℃で循環運転される場合は、エチレングリコールの濃度設定を30wt%以上として熱輸送媒体の再生装置を運転する。
【0012】
本発明の好ましい一態様は、前記霧化分離装置は超音波振動子を設置した霧化槽を備え、該霧化槽内の前記熱輸送媒体の粘度は0.5cP〜10cPであることを特徴とする。
霧化槽内の希釈熱輸送媒体の粘度値が大きいと超音波振動によるミスト発生量は低下する為、霧化槽内の熱輸送媒体粘度は低いほどよい。熱輸送媒体としてエチレングリコール系の水溶液を使用する場合、温度50℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね1cP(センチポアズ)、50%エチレングリコール濃度の粘度は概ね2cPである。本発明における熱輸送媒体の再生装置の設計条件は60℃としており、温度60℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね0.5cPである。熱輸送媒体の再生装置の運転が開始された当初は、霧化槽内の希釈熱輸送媒体の温度が低い場合がある。この時の熱輸送媒体温度−15℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね10cPである。以上のことから、霧化槽内での熱輸送媒体の粘度は0.5〜10cPが好ましく、より好ましくは0.5〜2cPである。そして、熱輸送媒体は、エチレングリコール濃度20〜50%で運転されるのが望ましい。
【0013】
本発明の好ましい一態様は、前記霧化槽に供給される前記熱輸送媒体を加温し、該熱輸送媒体の粘度を0.5cP〜10cPにすることを特徴とする。
本発明によれば、霧化槽に供給される前に熱輸送媒体を加温することにより、循環ライン内の熱輸送媒体の温度変化に影響を受けないようにすると共に、超音波振動によるミスト発生に最適な粘度になるよう熱輸送媒体の温度を調整することができる。熱輸送媒体を加温するための熱源にはヒーティングタワー式ヒートポンプで発生する温水を利用し、熱交換器において温水と熱輸送媒体との熱交換により熱輸送媒体を加温する。熱交換器における加熱エネルギーは熱輸送媒体を介して系内に戻るため無駄にならない。
【0014】
本発明の好ましい一態様は、前記ミストを空気により輸送することを特徴とする。
本発明によれば、輸送媒体として空気を用いて、霧化分離装置で発生したミストを輸送することができる。この場合、送風機等を設けて霧化分離装置で発生したミストを輸送媒体の空気とともに誘引する。
【0015】
本発明の好ましい一態様は、前記ミスト中の水分と熱輸送媒体成分微粒子とを気液分離器によって分離し、熱輸送媒体成分を回収するようにしたことを特徴とする。本発明の一態様のように、気液分離器を設けた場合には、気液分離器は霧化分離装置の一部を構成する。
本発明によれば、低沸点側成分である水はミストの状態で気化されてガスになりやすく粒径が細かくなるため、霧化槽内で発生したミストは、水分を主成分とした粒径の細かいミストと、熱輸送媒体を一部同伴する粒径の大きいミストとで形成されている。そのため、粒径分布の相違を利用して容易に水分と同伴熱輸送媒体成分を分離することができる。ミスト中には同伴熱輸送媒体成分微粒子が混入しているため、気液分離器によって水分と同伴熱輸送媒体成分に分離し、この同伴熱輸送媒体成分は霧化槽へ返送される。これにより、気液分離器から排出されるミストを含む湿り空気中の熱輸送媒体濃度を低く抑えることができる。なお、気液分離器に流入するミストを含んだ空気を加熱することで、水分と熱輸送媒体成分に遠心分離する性能を向上することができるため、気液分離器の手前でミストを含んだ空気を熱交換器などで加熱することが好ましい。
【0016】
本発明の好ましい一態様は、前記熱輸送媒体成分を分離した後の空気中の水分を前記熱輸送媒体の循環ラインから供給される熱輸送媒体により冷却し、水分を凝縮することを特徴とする。
本発明によれば、熱輸送媒体成分を分離した後の湿り空気は循環ラインから供給される熱輸送媒体により冷却されることにより、湿り空気中の水分が凝縮して、低湿度の空気と水に分離される。湿り空気の冷却は凝縮器において熱輸送媒体との熱交換により行う。そして、低湿度の空気は霧化槽に戻り、水は排水として排出される。気液分離器によりミスト中の熱輸送媒体成分が回収されているため、凝縮器から排出される凝縮水は排水の排出基準以下になっている。
【0017】
本発明の好ましい一態様は、前記熱輸送媒体および/または空気の加温に、ヒーティングタワーヒートポンプシステムで製造した温水を利用することを特徴とする。
本発明によれば、熱源はヒーティングタワー式ヒートポンプで発生する温水を活用することができる。温水により得られた熱の大部分は、熱輸送媒体の温度変化となりヒーティングタワー式ヒートポンプの系内に戻るため、熱を回収することができ、熱回収系の熱源として利用しエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0018】
本発明の好ましい一態様は、前記熱輸送媒体の循環ライン中に濃度計を設け、該濃度計により測定された熱輸送媒体濃度が低下した場合は前記霧化分離装置の運転を開始し、熱輸送媒体濃度が目的の濃度に達した場合は前記霧化分離装置の運転を停止することを特徴とする。
本発明によれば、熱輸送媒体の循環ライン中の濃度計からの信号はコントローラに送られる。コントローラには、温度と凍結濃度の関係から熱輸送媒体の管理濃度が予め設定されており、所定の管理濃度を下回ると霧化分離装置の運転を開始し、目的の濃度に達すると霧化分離装置の運転を停止する。
【0019】
本発明の好ましい一態様は、前記熱輸送媒体の循環ライン中に濃度計を設け、該濃度計により測定された熱輸送媒体濃度に基づいて前記霧化分離装置において超音波振動をする超音波振動子への入力電圧を制御することにより熱輸送媒体を目的の濃度に保つことを特徴とする。
本発明によれば、ミストが安定的に発生しはじめる初期電圧値を越えると超音波振動子に入力する電源電圧値と霧化槽からのミスト発生量はほぼ比例するため、濃縮運転による霧化分離量が多い場合は電源電圧を調整することで簡単に霧化分離量を調整することができる。コントローラで熱輸送媒体の濃度を目的の濃度に保つように電圧制御をすることにより、霧化分離量を調整し、熱輸送媒体濃度の制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)ヒーティングタワー式ヒートポンプと独立した熱輸送媒体の再生装置であるため、暖房運転を停止することなく、外気条件の影響を受けずに連続的に熱輸送媒体を濃縮して再生することができる。
(2)従来の蒸気や電気加熱により水分を蒸発させる場合は蒸発潜熱分のエネルギー投入が必要になるが、超音波振動により水分を主成分とするミストを発生させるために必要なエネルギーは蒸発潜熱に比べて少なく、熱効率が高い。霧化させる超音波振動への入力に対する霧化量の値は冷凍サイクルで一般的に評価基準となる成績係数COPが5以上を確保できる。また、超音波入力のおよそ6割が熱エネルギーとして濃縮液の加熱エネルギーとなりヒーティングタワー式ヒートポンプの系内へ回収される。さらに、濃縮性能を向上させるために熱輸送媒体を加熱することが好ましいが、加熱に使用する熱の大部分は熱輸送媒体の温度変化となってヒーティングタワー式ヒートポンプの系内に戻るため無駄がない。なお、凝縮器の冷熱源に利用する熱輸送媒体も空気から熱を奪い、その熱が熱輸送媒体の温度変化となってヒーティングタワー式ヒートポンプの系内に回収される。
(3)超音波振動により発生するミスト中には微量の熱輸送媒体成分が含まれるが、気液分離器により水分と熱輸送媒体成分とを分離して熱輸送媒体成分を回収できるため、気液分離器から排出され凝縮器で凝縮された排水中の熱輸送媒体濃度は低く抑えられ、排水の排出基準を満足できる。
(4)超音波振動にて濃縮操作を行う霧化槽内の環境は40〜50℃、圧力はほぼ大気圧であるため、負圧環境化で加熱するような方式に比べて構造を簡単にできる。前述のような環境下であるため、霧化槽等の使用機器および配管材料等の主要材質にプラスチック材料を使うことも可能であり、初期コストを抑制することができる。
(5)超音波振動子に電源供給することで直ぐにミストが発生し熱輸送媒体の濃縮を開始できるため、準備操作が少なく操作が簡単であると共に、起動・停止時間が短いため熱輸送媒体の希釈状況に合わせて即座に濃縮操作が可能である。
(6)装置は霧化槽、送風機、気液分離器、熱交換器、操作盤などの主要構成機器毎に分解できるため、搬入の制約は受けにくい。また、霧化槽の大きさは超音波振動子の設置個数を変えることで自由に変えることができると共に、霧化槽、送風機、気液分離器、熱交換器、操作盤は自由にレイアウトできるため、現地の設置スペースに合わせて寸法・形状をカスタマイズできる。
(7)希釈された熱輸送媒体から水分蒸発操作でなく霧化によるミストを発生させて水分を分離するため、エネルギー投入に蒸気加熱源を必要としない。必要ユーティリティは電気と温水と冷熱源であり、熱供給センターの既存のユーティリティ設備利用だけで熱輸送媒体中の水分を除去することが可能である。
(8)熱源はヒーティングタワー式ヒートポンプで発生する温水を、冷熱源は熱輸送媒体を活用することができる。温水により得られた熱の大部分及び冷熱源により奪われた熱は、熱輸送媒体の温度変化となりヒーティングタワー式ヒートポンプの系内に戻るため、熱を回収することができ、熱回収系の熱源として利用しエネルギー効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明のヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける熱輸送媒体の再生装置の一実施形態を示す系統図である。
【図2】図2は、霧化槽の一例を示す模式的斜視図である。
【図3】図3は、超音波振動子と希釈ブラインとミストとの状態を示す模式的斜視図である。
【図4】図4は、本発明のヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける熱輸送媒体の再生装置の他の実施形態を示す系統図である。
【図5】図5は、ブライン再生装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】図6(a)は、エチレングリコール系ブラインにおいてブライン再生装置に運転/停止指令を与える場合のコントローラ設定例を示すグラフであり、図6(b)は、エチレングリコール系ブラインにおいてブライン再生装置の霧化槽における超音波振動子に印加する電圧を制御することによりブラインを目的の濃度に保つ場合のコントローラ設定例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る熱輸送媒体の再生装置の実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。本実施形態においては、ヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける熱輸送媒体の再生装置について説明するが、本発明はヒーティングタワー式ヒートポンプシステムに限定するものではない。図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。本実施形態においては、熱輸送媒体をブラインとして説明する。
図1は、本発明のヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおける熱輸送媒体の再生装置の一実施形態を示す系統図である。使用される熱輸送媒体は、70wt%エチレングリコールに防錆剤としてインヒビターが微量添加された原液を所定濃度に水で希釈したエチレングリコール水溶液からなるブラインであり、このブラインは循環使用されている。一般的にはオーロラブライン(東京ファインケミカル(株))が使用されることが多い。本実施形態のブライン再生装置は、ヒートポンプとヒーティングタワーとの間で循環使用されるブラインを再生するために使用するものである。
【0023】
図1に示すように、ヒートポンプ1と屋外に設置されたヒーティングタワー2との間には、ブラインを循環させるブライン循環ライン3が設置されており、ヒーティングタワー2において外気との直接的な気液接触で加熱されたブラインがヒートポンプ1に戻されるようになっている。ブライン循環ライン3にはブライン循環ポンプ4が設置されている。
ヒートポンプ1においては、圧縮機Comで圧縮された冷媒は、凝縮器Cを通った後、膨張弁Vを経てから蒸発器Eを通って圧縮機Comに戻るようになっている。ヒーティングタワー2において外気との直接的な気液接触で加熱されたブラインは、ヒートポンプ1の蒸発器Eに導くようにされ、凝縮器Cで得られた温水は温水循環ラインを介して温水槽6を循環するようになっている。温水循環ラインには温水循環ポンプ5が設置されている。
【0024】
ブラインは、ヒーティングタワー2において大気と熱交換する際、大気中の水分を吸収することによって希釈され、これによって氷点が上昇するなど品質が劣化するという不具合が発生する。同時に外気から循環系内に混入する埃や系内に発生する錆等の固形分の蓄積等により、ブラインの品質劣化を助長する。品質が劣化したブラインは、熱輸送媒体として良好に使用し得なくなるため、これを再生すべくブライン再生装置が使用される。
ブライン再生装置は、ブライン循環ライン3内を循環しているブラインの一部を分流させ、水分で希釈したブラインに対して、水分を取り除く再生処理を施した後、得られた再生ブラインをブライン循環ライン3へ戻すように構成され、これによってブライン循環ライン3を循環するブラインの濃度をヒートポンプ1が運転可能な濃度に維持するようになっている。なお、ブライン循環ライン3内を循環しているブラインの全量をブライン再生装置に導くようにしてもよい。
【0025】
エチレングリコール系のブラインを使用する場合、概ね−8℃の温度で循環運転される。該当温度においても凍結が発生せず運転可能であるためにはエチレングリコールの濃度は20wt%以上であることが望まれる。厳冬期に概ね−15℃で循環運転される場合は、エチレングリコールの濃度設定を30wt%以上としてブライン再生装置を運転する。
【0026】
図1に示すように、ヒーティングタワー2において水分を吸収することで希釈されたブラインの希釈溶液(希釈ブライン)は、ブライン循環ライン3に設置された固液分離器10を通るようになっており、固液分離器10で常時固形分の除去が行われる。固液分離器10は、ブライン循環ライン3のどの部分に設置しても良く、また、ブライン再生装置の入口ライン中に設置しても良い。固液分離器10の種類は限定されるものではないが、本発明では、少なくとも10μm以上の固形分粒子を分離できる二連式フィルターを装備した固液分離器を用いている。固液分離器10は、ブラインの固形分蓄積による品質劣化を避けると同時に、再生装置において霧化分離を行わせるための超音波のエネルギーが固形分により吸収されて効率低下が起こることを防止するためのものである。
【0027】
ブライン循環ライン3からブラインの一部を分流させてブライン再生装置に導くために取入配管8が設置されており、ブライン再生装置で水分が取り除かれたブラインをブライン循環ライン3に戻すために戻し配管9が設置されている。取入配管8と戻し配管9の交差位置には第1熱交換器11が設けられており、第1熱交換器11において再生ブラインとの熱交換で希釈ブラインを予熱する。第1熱交換器11と霧化槽15の間には第2熱交換器12が設けられている。霧化槽15は1台または複数台設置されている。希釈ブラインが第2熱交換器12を出た部分には温度指示計30’が設置されている。また、第2熱交換器12に温水を循環させるための配管には流量調節弁31が設置されている。温度指示計30’により検出された温度に基づいて温度調整器30により流量調節弁31の開度を制御して温水の流量制御を行うことにより、希釈ブラインを最適な濃縮温度に加温調整を行う。これにより、ブライン循環ライン3内のブライン温度変化に影響を受けないようにすると共に、霧化槽15における超音波振動によるミスト発生に最適な粘度になるようブライン温度を調整することができる。第2熱交換器12において加温調整された希釈ブラインは、流量調節弁32により濃縮運転に最適な流量に制御された後に霧化槽15に流入する。
【0028】
加熱媒体として一般にヒートポンプ1で発生する概ね50℃の温水を使用することで、第2熱交換器12において希釈ブライン予熱温度は概ね40℃に高められる。霧化槽15内では超音波入力のおよそ6割が熱エネルギーとして霧化槽内液の加熱エネルギーとなるため、霧化槽内の希釈ブライン温度は概ね50℃で運転される。
一方、霧化槽内の希釈ブラインの粘度値が大きいと超音波振動によるミスト発生量は低下する為、霧化槽内のブライン粘度は低いほどよい。エチレングリコール系のブラインを使用する場合、温度50℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね1cP(センチポアズ)、50%エチレングリコール濃度の粘度は概ね2cPである。本発明におけるブライン再生装置の設計条件は60℃としており、温度60℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね0.5cPである。ブライン再生装置の運転が開始された当初は、霧化槽内の希釈ブライン液の温度が低い場合がある。この時のブライン液温度−15℃の時、20%エチレングリコール濃度の粘度は概ね10cPである。
以上のことから、霧化槽内でのブラインの粘度は0.5〜10cPが好ましく、より好ましくは0.5〜2cPである。濃縮ブラインはエチレングリコール濃度20〜50%で運転されるのが望ましい。
【0029】
図2は、霧化槽15の一例を示す模式的斜視図である。図2に示すように、霧化槽15内には複数の超音波振動子40が配置されており、霧化槽15内に流入した希釈ブラインは超音波振動されることでミストに霧化分離される。
図3は、超音波振動子40と希釈ブラインとミストとの状態を示す模式的斜視図である。図3に示すように、超音波振動子40が超音波振動することで、希釈ブラインが超音波振動されてミストに霧化分離される。低沸点の液ほどミストに霧化されやすく、水の沸点はブラインの沸点よりも低いため、霧化槽15内では主成分が水のミストに霧化分離され、水分を主成分とするミストがブラインから分離されることにより、ブラインは所定の濃度に濃縮され濃縮ブラインとなる。
なお、エチレングリコール系のブラインを使用する場合、大気圧における水の沸点は100℃であり、大気圧におけるエチレングリコールの沸点は概ね200℃である。よって、低沸点側成分が水、高沸点側成分がエチレングリコールとなる。
【0030】
霧化槽15には、必要なミスト発生量に合わせて超音波振動子40を所要数配置することができる。霧化槽15は小型ユニット化しており、図1に示すように複数の霧化槽15を直列または並列に設置できる自由度をもっている。霧化槽15において濃縮された濃縮ブラインは、送液ポンプ16により第1熱交換器11に搬送され、希釈ブラインと熱交換を行った後、戻し配管9を経由してブライン循環ライン3に戻る。
【0031】
霧化槽15内で発生したミストは槽内の移送媒体の空気と共に送風機18により気液分離器19に誘引される。本実施形態では、移送媒体としては空気を使用しているが、可燃性ガス、毒ガス、分解ガス等以外のガスであって、人体や環境に影響の無いガスであれば条件に応じて選定することが出来る。例えば、窒素ガス、炭酸ガスを使用する場合もある。
低沸点側成分である水はミストの状態で気化されてガスになりやすく粒径が細かくなるため、霧化槽内で発生したミストは、水分を主成分とした粒径の細かいミストと、ブラインを一部同伴する粒径の大きいミストとで形成されている。そのため、粒径分布の相違を利用して容易に水分と同伴ブラインを分離することができる。ミスト中には同伴ブライン成分微粒子が混入しているため、気液分離器19によって水分と同伴ブライン成分に分離し、この同伴ブライン成分は霧化槽15へ返送される。これにより、気液分離器19から排出されるミストを含む湿り空気中のブライン濃度を低く抑えることができる。本実施形態では、気液分離器として、大容量、低圧損、分級効率の良いサイクロン式分離器を採用しているが、ミストセパレータ等の採用も可能で型式に限定されるものではない。
このように気液分離器19を設けた場合には、気液分離器19は霧化分離装置の一部を構成する。
【0032】
霧化槽15と気液分離器19との間には、第3熱交換器20が設置されており、第3熱交換器20によって霧化槽15から排出されたミストを含む湿り空気を加熱することが望ましい。このように、ミストを含む湿り空気を加熱することで気液分離器19における水分とブライン成分を分離する性能を高めることができる。本実施形態では、温水循環ポンプ7および配管を設けて温水循環経路33を構築し、温水槽6内の温水を第3熱交換器20に搬送し、温水とミストを含む湿り空気との熱交換でミストを含む湿り空気を加熱する。
【0033】
気液分離器19から排出されるミストを含む湿り空気は凝縮器21により湿り空気と水に分離され、水は排水として排出される。排水中のブライン濃度は前述の気液分離器19の作用により低く抑えられており、排出基準を満足できる。また、気液分離器19から排出されるミストを含む湿り空気は移送媒体として循環使用せず大気放出可能な場合はそのまま大気放出しても良い。
【0034】
図4に示すように、凝縮器21を送風機18の二次側に設置しても良い。熱交換器27において送風機18の断熱圧縮により昇温した空気と凝縮器21で冷却された空気とで熱交換することで、温水を使用せず空気を加温することができる。なお、空気温度を更に上げたい場合は、熱交換器を追加し温水を利用して再加温しても良い。また、図1と比べ送風機18の二次側の圧力損失が増えるため、霧化槽内の圧力を下げることができる。霧化槽内の圧力は低い方が超音波振動によるミスト発生量は増加する為、脱水性能の向上が期待できる。図4に示すシステムの他の構成は、図1に示すシステムと同様である。
【0035】
図1に示すように、ブライン循環ライン3またはブライン戻し配管9より分岐した分岐配管36によってブラインの一部を分流させ、分流させたブラインを凝縮器21に導き、凝縮器21においてブラインとミストを含む湿り空気とで熱交換する。ブラインの温度が0℃以下の場合、凝縮器21への霜付が懸念されるため、ブラインを昇温する手段として、温水循環経路33から温水を分岐すると共に熱交換器を設置してブラインを加温する方法や、ブライン循環ライン3またはブライン戻し配管9と凝縮器21の経路中に循環ポンプ、三方弁およびバイパス配管を設置してブライン温度を制御する方法が考えられる。
【0036】
凝縮器21を出た湿り空気は霧化槽15に戻り、超音波振動によるミストを搬送するガスとして循環利用される。凝縮器21を出た湿り空気は第4熱交換器24により加熱することが望ましい。すなわち、温水循環系路33から第4熱交換器24に温水を供給し、第4熱交換器24において温水と湿り空気とで熱交換を行うことで湿り空気を加熱することにより、湿り空気の相対湿度が下がり、相対湿度が下がることで霧化槽15における霧化分離性能を向上させることができる。
【0037】
希釈ブラインがブラインタンク25に貯蔵されている場合、ブライン送液ポンプ26を設置し、取入配管8にブラインを導入するための分岐配管38を設置してブラインタンク25の希釈ブラインを第1熱交換器11に導入する。そして、戻し配管9に分岐配管39を設置し、濃縮ブラインをブラインタンク25に返送する。これにより、ヒーティングタワー式ヒートポンプが停止している時でも独立して希釈ブラインの濃縮運転を行うことができる。
【0038】
図5は、ブライン再生装置の制御系の構成を示すブロック図である。図5に示すように、ブライン循環ライン3中には濃度計35と温度計41が設置されている。ブライン濃度は、該当温度においても凍結が発生しない濃度以上であることが望まれる。凍結が発生する濃度は液温との関係があり、エチレングリコール系ブラインを使用する場合、液温−15℃の時はエチレングリコール濃度30wt%以上であり、液温−8℃の時はエチレングリコール濃度20wt%以上である。
図5に示すように、ブライン循環ライン3中の濃度計35及び温度計41からの信号はコントローラ50に送られる。コントローラ50には、温度と凍結濃度の関係からブラインの管理濃度が予め設定されており、所定の管理濃度を下回るとブライン再生装置の運転を開始し、目的の濃度に達するとブライン再生装置の運転を停止する。
【0039】
図6(a)は、エチレングリコール系ブラインにおいてブライン再生装置に運転/停止指令を与える場合のコントローラ設定例を示すグラフである。エチレングリコール系ブラインを使用する場合、図6(a)の左側のグラフの斜線範囲で示すように、液温が−15℃の時はエチレングリコール濃度30wt%以上を管理濃度とし、液温が−8℃の時はエチレングリコール濃度20wt%以上を管理濃度とする。そして、図6(a)の右側のグラフで示すように、上記斜線範囲の管理濃度を下回ると、コントローラ50からの指令によりブライン再生装置の運転を開始し、目的の濃度に達するとブライン再生装置の運転を停止する。
【0040】
濃度検出方法は振動式密度計が用いられているが、これに限定されるものではなく、ブライン物性から電気伝導度計(電気抵抗率計)、屈折率計を用いてもなんら問題は無い。濃縮運転は霧化槽15内の超音波振動子に電源供給することで即座に開始されるため、迅速に運転・停止が可能である。また、ミストが安定的に発生しはじめる初期電圧値を越えると超音波振動子に入力する電源電圧値と霧化槽からのミスト発生量はほぼ比例する。濃縮運転による霧化分離量が多い場合は電源電圧を調整することで簡単に霧化分離量を調整することができる。コントローラでブライン濃度を目的の濃度に保つように電圧制御をすることにより、霧化分離量調整によるブライン濃度制御を行うこともできる。
【0041】
図6(b)は、エチレングリコール系ブラインにおいてブライン再生装置の霧化槽15における超音波振動子40に印加する電圧を制御することによりブラインを目的の濃度に保つ場合のコントローラ設定例を示すグラフである。図6(b)の左側のグラフに示すように、ミストが安定的に発生しはじめる初期電圧値を越えると超音波振動子40に入力する電源電圧値と霧化槽15からのミスト発生量はほぼ比例する。したがって、図6(b)の右側のグラフに示すように、ブライン濃度が低下した場合にはコントローラ50からの指令により超音波振動子40への電圧入力値を増やし、ブライン濃度が増加した場合にはコントローラ50からの指令により超音波振動子40への電圧入力値を減らすことにより、ブライン濃度を目的の濃度に保つことができる。
【0042】
図1乃至図6に示す実施形態においては、本発明の熱輸送媒体の再生装置をヒーティングタワー式ヒートポンプシステムに適用する場合を説明したが、熱輸送媒体の劣化や希釈が発生する他のシステムにも適用可能である。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 ヒートポンプ
2 ヒーティングタワー
3 ブライン循環ライン
6 温水槽
8 取入配管
9 ブライン戻し配管
10 固液分離槽
11 第1熱交換器
12 第2熱交換器
15 霧化槽
16 送液ポンプ
18 送風機
19 気液分離器
20 第3熱交換器
21 凝縮器
24 第4熱交換器
25 ブラインタンク
26 ブライン送液ポンプ
30 温度調整器
30’ 温度指示計
31,32 流量調節弁
33 温水循環経路
35 濃度計
36 分岐配管
Com 圧縮機
C 凝縮器
E 蒸発器
V 膨張弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱輸送媒体を超音波振動により水分を主成分とするミストに霧化分離する霧化分離装置に導き、該霧化分離装置により熱輸送媒体中の水分を除去して熱輸送媒体を再生するようにしたことを特徴とする熱輸送媒体の再生装置。
【請求項2】
熱輸送媒体をヒーティングタワーとヒートポンプとの間で循環ラインを介して循環させ、ヒーティングタワーにおいて熱輸送媒体と外気とで直接熱交換し、外気の持つ熱を吸収するヒーティングタワー式ヒートポンプシステムにおいて、外気との直接接触により外気から持ち込まれる水分によって希釈される熱輸送媒体の水分を除去して熱輸送媒体を再生することを特徴とする請求項1記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項3】
前記霧化分離装置の上流側に固液分離器を設け、熱輸送媒体中の固形分を除去するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項4】
前記熱輸送媒体がグリコール系水溶液の不凍液であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項5】
前記グリコール系水溶液はエチレングリコールを主成分とする水溶液であることを特徴とする請求項4記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項6】
前記エチレングリコールを主成分とした水溶液中のエチレングリコールの濃度を20〜50wt%とすることを特徴とする請求項5記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項7】
前記霧化分離装置は超音波振動子を設置した霧化槽を備え、該霧化槽内の前記熱輸送媒体の粘度は0.5cP〜10cPであることを特徴とする請求項1または2記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項8】
前記霧化槽に供給される前記熱輸送媒体を加温し、該熱輸送媒体の粘度を0.5cP〜10cPにすることを特徴とする請求項7記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項9】
前記ミストを空気により輸送することを特徴とする請求項1または2記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項10】
前記ミスト中の水分と熱輸送媒体成分微粒子とを気液分離器によって分離し、熱輸送媒体成分を回収するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項11】
前記熱輸送媒体成分を分離した後の空気中の水分を前記熱輸送媒体の循環ラインから供給される熱輸送媒体により冷却し、水分を凝縮することを特徴とする請求項10記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項12】
前記熱輸送媒体および/または空気の加温に、ヒーティングタワーヒートポンプシステムで製造した温水を利用することを特徴とする請求項2乃至11のいずれか一項に記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項13】
前記熱輸送媒体の加温に、再生装置を経て昇温した熱輸送媒体を利用することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項14】
前記熱輸送媒体の循環ライン中に濃度計を設け、該濃度計により測定された熱輸送媒体濃度が低下した場合は前記霧化分離装置の運転を開始し、熱輸送媒体濃度が目的の濃度に達した場合は前記霧化分離装置の運転を停止することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の熱輸送媒体の再生装置。
【請求項15】
前記熱輸送媒体の循環ライン中に濃度計を設け、該濃度計により測定された熱輸送媒体濃度に基づいて前記霧化分離装置において超音波振動をする超音波振動子への入力電圧を制御することにより熱輸送媒体を目的の濃度に保つことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の熱輸送媒体の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−96206(P2012−96206A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248470(P2010−248470)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(503268143)ナノミストテクノロジーズ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】