説明

熱風炉の燃焼制御方法および燃焼制御装置

【課題】より少ない投入熱量で珪石レンガの温度を下限温度以上に保持すること。
【解決手段】燃焼制御装置105が、送風期終了時の珪石レンガ下部の温度を計測し、計測された珪石レンガ下部の温度が下限温度未満である場合、蓄熱室への投入熱量を変化させることなく、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させる。これにより、蓄熱室への投入熱量を変化させることなく、珪石レンガ下部の温度を下限温度以上に保持することができる。また、蓄熱室への投入熱量を一定に保持しているので、燃焼期終了時のドーム部の温度が上昇することを抑制できる。さらに、熱風炉全体として必要な熱量は珪石レンガに付いているために、所望温度の熱風の送風を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉に熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法および燃焼制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱風炉は、燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の蓄熱部を昇温させて熱エネルギーを蓄積し、燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して蓄熱部との熱交換によって熱風を生成し、生成された熱風を高炉に供給する設備である。このような熱風炉では、燃焼期には、引き続く送風期の間、所望の熱風温度を確保するために必要な熱量を蓄熱部に投入する必要がある。しかしながら、省エネルギーと炭酸ガス排出量の削減とを実現するためには、蓄熱部への投入熱量を極力抑えることが望ましい。
【0003】
一方、蓄熱部を構成する珪石レンガは、変態点温度である573℃より温度が低下すると急激に膨張し、崩壊する可能性がある。このため、蓄熱部への投入熱量は、送風期の末期においても珪石レンガの温度が変態点温度以上になるように調整する必要がある。また、設備保護の観点からは、熱風炉の炉頂部であるドーム部をある温度以上に加熱することはできない。このような背景から、従来の熱風炉の燃焼制御方法では、上述の制約条件の下で蓄熱部への必要投入熱量を決定し、燃焼ガスの流量又はカロリーを制御することによって蓄熱部への投入熱量を必要投入熱量に制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−57628号公報
【特許文献2】特開昭58−177406号公報
【特許文献3】特開2009−84636号公報
【特許文献4】特開2009−84620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の熱風炉の燃焼制御方法では、珪石レンガの温度が変態点温度に基づいて定められた下限温度に近づいた場合、オペレータは、燃焼ガスの流量を増加、換言すれば、蓄熱部への投入熱量を増加させることによって、珪石レンガの温度が下限温度以上になるように制御していた。しかしながら、蓄熱部への投入熱量を増加させた場合には、より多くのエネルギーが消費されることになるために、熱風炉の熱効率が低下する。このため、より少ない投入熱量で珪石レンガの温度を下限温度以上に保持可能な技術の提供が期待されていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、より少ない投入熱量で珪石レンガの温度を下限温度以上に保持可能な熱風炉の燃焼制御方法および燃焼制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、蓄熱室への投入熱量を変化させずに燃焼ガスの流量およびカロリーを調整することによって、燃焼期終了時における燃焼ガスの流れ方向の珪石レンガの熱分布が変化することを知見した。具体的には、本発明の発明者らは、蓄熱室への投入熱量を一定にした状態で燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させた場合には、燃焼ガスの流速が増加するため、主燃焼ポイントが燃焼ガスの流れ方向下流側に移動し、珪石レンガの下部側に熱が付きやすくなることを知見した。
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る熱風炉の燃焼制御方法は、燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の珪石レンガを昇温させて熱エネルギーを蓄積し、該燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して珪石レンガとの熱交換によって熱風を生成し、該燃焼期および該送風期を繰り返し実行することによって高炉に熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、前記送風期終了時の珪石レンガの温度を計測する計測ステップと、前記計測ステップにおいて計測された珪石レンガの温度が下限温度未満であるか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにおいて珪石レンガの温度が下限温度未満であると判別された場合、珪石レンガへの投入熱量を変化させることなく、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させる制御ステップと、を含む。
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る熱風炉の燃焼制御装置は、燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の珪石レンガを昇温させて熱エネルギーを蓄積し、該燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して珪石レンガとの熱交換によって熱風を生成し、該燃焼期および該送風期を繰り返し実行することによって高炉に熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、前記送風期終了時の珪石レンガの温度を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された珪石レンガの温度が下限温度未満であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段によって珪石レンガの温度が下限温度未満であると判別された場合、珪石レンガへの投入熱量を変化させることなく、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させる制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る熱風炉の燃焼制御方法および燃焼制御装置によれば、より少ない投入熱量で珪石レンガの温度を下限温度以上に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明が適用される熱風供給システムの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す熱風炉の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、同一の投入熱量の下でベース条件により燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合とベース条件に対し燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させて燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合とにおける珪石レンガの温度変化を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御方法および燃焼制御方法について説明する。
【0013】
〔熱風供給システムの構成〕
始めに、図1,2を参照して、本発明が適用される熱風供給システムの構成について説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用される熱風供給システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明が適用される熱風炉供給システム1は、複数の熱風炉10を備えている。各熱風炉10は、燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の蓄熱室を昇温させて熱エネルギーを蓄積し、燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して蓄熱室との熱交換によって熱風を生成し、生成された熱風を高炉20に供給する。燃焼期および送風期のサイクルを複数の熱風炉10間でずらし、燃焼期および送風期のサイクルを繰り返し実行することによって、高炉操業において必要な温度および流量の熱風を途切れることなく高炉20に供給することができる。
【0015】
図1に示す熱風供給システム1では、通風期において、1つの熱風炉10のみに冷風を通風する場合と2つの熱風炉10に同時に冷風を通風する場合とがある。前者では、高炉20に冷風を供給する混冷バタフライ弁21と1つの熱風炉10に冷風を供給する冷風バタフライ弁22との開度を調整することによって、冷風と熱風とを混合して所望の熱風温度を実現する。一方、後者では、一方の熱風炉10に冷風を供給する冷風バタフライ弁22の開度を全開とし、他方の熱風炉10に冷風を供給する冷風バタフライ弁22の開度を調整することによって、2つの熱風炉10からの熱風を混合して所望の熱風温度を実現する。各バタフライ弁の開度は、送風温度計測部23によって計測される高炉20の羽口における熱風の温度(送風温度)に基づいて送風温度制御部24により制御される。
【0016】
図2は、図1に示す熱風炉10の構成を示す模式図である。熱風炉10は、燃焼室11と蓄熱室12とを備えている。燃焼室11は、燃焼期において、燃料ガス供給口13から供給される燃料ガスと燃焼用空気供給口14から供給される燃焼用空気とを燃焼させ、ドーム部15を介して燃焼によって発生した燃焼ガスを蓄熱室12に供給する。蓄熱室12の内部には珪石レンガ16が積まれており、燃焼室11から供給された燃焼ガスは珪石レンガ16を加熱する。蓄熱室12は、燃焼期に引き続く送風期において、冷風供給口17から内部に冷風を供給し、珪石レンガ16と冷風との間の熱交換によって熱風を生成する。
【0017】
〔本発明の概念〕
次に、図3を参照して、本発明の概念について説明する。
【0018】
図3は、同一の投入熱量の下でベース条件により燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合とベース条件に対し燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させて燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合とにおける珪石レンガの温度変化を示す図である。なお、熱風炉は、時定数が大きい系、換言すれば、投入熱量を変化させてから温度から定常的に安定するためには数サイクルを要するために、今回は同じ燃焼−送風サイクルシミュレーションを3回繰り返した結果を用いる。すなわち、図3に示す珪石レンガの温度変化は3回目の燃焼−送風サイクルシミュレーションの結果を示している。
【0019】
また、燃焼−送風サイクルシミュレーションは、伝熱モデルを使用する熱風炉シミュレータを用いて行った。このシミュレータは、燃焼期においては蓄熱室内部の珪石レンガと燃焼ガスとの間の熱交換計算、送風期においては珪石レンガと冷風との間の熱交換計算を行う。熱交換計算の方法は本発明の出願時点で既に公知であるので、その詳細な説明は省略する。また、本シミュレーションでは、珪石レンガの初期温度は600℃とし、燃焼ガスの流量はベース条件に対しA[kNm/h]増加させ、燃焼ガスのカロリーはベース条件に対しB[GJ]減少させた。
【0020】
図3に示す線分Lは、ベース条件で燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合の珪石レンガの温度変化を示し、線分Lは、ベース条件に対し燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させて燃焼−送風サイクルシミュレーションを実行した場合の珪石レンガの温度変化を示している。図3に示すように、ベース条件に対し燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させた場合、燃焼期終了後の珪石レンガの温度がベース条件と比較してC[℃]上昇している。
【0021】
上記のシミュレーション結果は、蓄熱室への投入熱量を変化させなくても燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させることによって珪石レンガの温度を上昇できることを意味している。これは、蓄熱室への投入熱量を一定にした状態で燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させた場合、燃焼ガスの流速が増加するため、主燃焼ポイントが燃焼ガスの流れ方向下流側に移動し、珪石レンガ下部16a(図2参照)側に熱が付きやすくなったためと考えられる。従って、燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量と珪石レンガの温度変化量との関係を予め算出しておき、この関係に基づいて燃焼ガスの流量およびカロリーを変更することによって、蓄熱室への投入熱量を変更することなく珪石レンガの温度を上昇できる。
【0022】
例えば、珪石レンガの下限温度をD[℃]とし、送風期終了時の珪石レンガの温度をE[℃]とすると、送風期終了時の珪石レンガの温度Eが珪石レンガの下限温度D未満になる場合には、以下に示す数式(1),(2)によって表される燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量を算出し、算出された変更量を現在の燃焼ガスの流量およびカロリーの設定値に加算することによって、送風期終了時の珪石レンガの温度Eが珪石レンガの下限温度未満になることを抑制できる。
【0023】
【数1】

【数2】

【0024】
なお、送風期終了時の珪石レンガの温度Eが珪石レンガの下限温度D以上である場合には、以下に示す数式(3),(4)のように、燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量は0とし、燃焼ガスの流量およびカロリーを現在の設定値に保持すればよい。但し、燃焼ガスの流量およびカロリーの絶対量には設備上の制約があるために、燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量には上下限値を設けることが望ましい。また、珪石レンガの温度が高すぎる場合には、逆の操作、すなわち同一投入熱量の下で燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ減少および増加させることによって、次に珪石レンガの温度が低下した時に対応可能なようにしておくことが望ましい。
【0025】
【数3】

【数4】

【0026】
〔燃焼制御システムの構成〕
次に、図4を参照して、上記本発明の概念に基づいて想到された本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御システムの構成について説明する。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、本発明の一実施形態である燃焼制御システム100は、レンガ温度計測部101、ガス流量計測部102、ガスカロリー計測部103、設定情報記憶部104、燃焼制御装置105、ガス流量調整弁106、およびガスカロリー調整弁107を備えている。
【0028】
レンガ温度計測部101は、珪石レンガ下部16a(図2参照)の温度を計測し、計測された温度信号を燃焼制御装置105に出力するものである。ガス流量計測部102は、燃焼ガスの流量設定値を検出し、検出された流量設定値を示す信号を燃焼制御装置105に出力するものである。ガスカロリー計測部103は、燃焼ガスのカロリー設定値を検出し、検出されたカロリー設定値を示す信号を燃焼制御装置105に出力するものである。
【0029】
設定情報記憶部104は、数式(1),(2)に示すような燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量と珪石レンガの温度変化量との関係を示す関係式に関するデータおよび珪石レンガの下限温度に関するデータを記憶する。なお、燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量と珪石レンガの温度変化量との関係を示す関係式は、上述の燃焼−送風シミュレーションの他に、実際の熱風炉から得られた実験データから求めるようにしてもよい。
【0030】
燃焼制御装置105は、パーソナルコンピュータやマイクロコンピュータなどの情報処理装置によって構成されている。燃焼制御装置105は、レンガ温度計測部101、ガス流量計測部102、およびガスカロリー計測部103から入力された情報と設定情報記憶部104に記憶されている情報とを用いて、珪石レンガ下部16aの温度が下限温度以上になるようにガス流量調整弁106およびガスカロリー調整弁107を制御する。
【0031】
ガス流量調整弁106は、燃焼制御装置105からの制御信号に従って燃料ガス供給口13から燃焼室11に供給される燃料ガスの流量を制御することによって燃焼ガスの流量を制御する。ガスカロリー調整弁107は、カロリーが異なる燃焼ガスAおよび燃焼ガスBの混合比を調整することによって燃料ガス供給口13から燃焼室11に供給される燃料ガスのカロリーを制御することによって燃焼ガスのカロリーを制御する。
【0032】
このような構成を有する燃焼制御システム100は、以下に示す燃焼制御処理を実行することによって、蓄熱室12への投入熱量を変更することなく珪石レンガ下部16aの温度を下限温度以上に保持する。以下、図5に示すフローチャートを参照して、この燃焼制御処理を実行する際の燃焼制御システム100の動作について説明する。
【0033】
〔燃焼制御処理〕
図5は、本発明の一実施形態である熱風炉の燃焼制御処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、熱風供給システム1の操業が開始されたタイミングで開始となり、この燃焼制御処理はステップS1の処理に進む。この燃焼制御処理は所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0034】
ステップS1の処理では、燃焼制御装置105が、レンガ温度計測部101を介して送風期終了時における珪石レンガ下部16aの温度を計測する。これにより、ステップS1の処理は完了し、燃焼制御処理はステップS2の処理に進む。
【0035】
ステップS2の処理では、燃焼制御装置105が、設定情報記憶部104から珪石レンガ下部16aの下限温度のデータを読み出し、ステップS1の処理によって計測された珪石レンガ下部16aの温度が下限温度未満であるか否かを判別する。判別の結果、珪石レンガ下部16aの温度が下限温度以上である場合、燃焼制御装置105は一連の燃焼制御処理を終了する。一方、珪石レンガ下部16aの温度が下限温度未満である場合には、燃焼制御装置105は燃焼制御処理をステップS3の処理に進める。
【0036】
ステップS3の処理では、燃焼制御装置105が、設定情報記憶部104から燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量と珪石レンガの温度変化量との関係を示す関係式のデータを読み出し、読み出された関係式を用いて珪石レンガ下部16aの温度が下限温度以上になる燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量を算出する。具体的には、燃焼制御装置105は、珪石レンガ下部16aの温度と下限温度との差分温度を算出し、算出された差分温度分だけ珪石レンガの温度を上昇させるために必要な燃焼ガスの流量およびカロリーを算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、燃焼制御処理はステップS4の処理に進む。
【0037】
ステップS4の処理では、燃焼制御装置105が、ガス流量計測部102およびガスカロリー計測部103を介して燃焼ガスの流量設定値およびカロリー設定値を検出する。燃焼制御装置105は、燃焼ガスの流量設定値およびカロリー設定値にそれぞれステップS3の処理によって算出された燃焼ガスの流量およびカロリーの変更量を加算した値を燃焼ガスの新たな流量設定値およびカロリー設定値として算出する。そして、燃焼制御装置105は、燃焼ガスの流量およびカロリーが新たな流量設定値およびカロリー設定値になるようにガス流量調整弁106およびガスカロリー調整弁107を制御する。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の燃焼制御処理は終了する。
【0038】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である燃焼制御処理では、燃焼制御装置105が、送風期終了時の珪石レンガ下部16aの温度を計測し、計測された珪石レンガ下部16aの温度が下限温度未満である場合、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させるので、蓄熱室12への投入熱量を変化させることなく、珪石レンガ下部16aの温度を下限温度以上に保持することができる。また、蓄熱室12への投入熱量を一定に保持しているので、燃焼期終了時のドーム部15の温度が上昇することを抑制できる。さらに、熱風炉10全体として必要な熱量は珪石レンガ16に付いているために、所望温度の熱風の送風を維持することができる。
【0039】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例、および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 熱風炉供給システム
10 熱風炉
11 燃焼室
12 蓄熱室
13 燃料ガス供給口
14 燃焼用空気供給口
15 ドーム部
16 珪石レンガ
16a 珪石レンガ下部
17 冷風供給口
20 高炉
21 混冷バタフライ弁
22 冷風バタフライ弁
23 送風温度計測部
24 送風温度制御部
100 燃焼制御システム
101 レンガ温度計測部
102 ガス流量計測部
103 ガスカロリー計測部
104 設定情報記憶部
105 燃焼制御装置
106 ガス流量調整弁
107 ガスカロリー調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の珪石レンガを昇温させて熱エネルギーを蓄積し、該燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して珪石レンガとの熱交換によって熱風を生成し、該燃焼期および該送風期を繰り返し実行することによって高炉に熱風を供給する熱風炉の燃焼制御方法であって、
前記送風期終了時の珪石レンガの温度を計測する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測された珪石レンガの温度が下限温度未満であるか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて珪石レンガの温度が下限温度未満であると判別された場合、珪石レンガへの投入熱量を変化させることなく、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする熱風炉の燃焼制御方法。
【請求項2】
燃焼期において、燃焼ガスにより炉内の珪石レンガを昇温させて熱エネルギーを蓄積し、該燃焼期に引き続く送風期において、炉内に冷風を通して珪石レンガとの熱交換によって熱風を生成し、該燃焼期および該送風期を繰り返し実行することによって高炉に熱風を供給する熱風炉の燃焼制御装置であって、
前記送風期終了時の珪石レンガの温度を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された珪石レンガの温度が下限温度未満であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって珪石レンガの温度が下限温度未満であると判別された場合、珪石レンガへの投入熱量を変化させることなく、送風期に引き続く燃焼期の際に供給する燃焼ガスの流量およびカロリーをそれぞれ増加および減少させる制御手段と、
を備えることを特徴とする熱風炉の燃焼制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96002(P2013−96002A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242680(P2011−242680)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)