燃料および燃料の製造方法
【課題】輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料を簡易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】水分を含む木片に対して、当該木片を密閉状態の中において水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、流動性を有する木片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して木片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造する。
【解決手段】水分を含む木片に対して、当該木片を密閉状態の中において水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、流動性を有する木片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して木片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を原料とする燃料および当該燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間伐材や製材端材、解体廃材などの木材は、燃料用として使用されている。ただし、このような木材は、密度が0.3g/cm3程度であり、密度1.3g/cm3程度の石炭と比べると体積が大きくなり、輸送コスト、保管スペースに問題がある。
【0003】
そこで、密度を大きくするための技術として、上記のような木材に対して、粉砕工程、二次粉砕工程、乾燥工程、加熱・圧縮成形工程、冷却工程を順次行うことにより得られた木質ペレットが考えられる。
【0004】
また、非特許文献1には、木材を粉末状にし、ホットプレスにより、接着剤を用いることなく所望の形状に成形する技術が開示されている。
【非特許文献1】倉松竜平 他、「木材粉末のホットプレスによる容器の成形」、第57回塑性加工連合講演会講演論文集、p299-300、2006年10月17日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような木質ペレットを製造するためには、粉砕工程などが必要であり、相当のエネルギーを消費することとなる。また、このような木質ペレットは密度が0.6g/cm3程度と木材に比べると高いが、石炭に比べると低く輸送コストがかかる。
【0006】
また、上記非特許文献1においても粉砕工程が必要であり相当のエネルギーを消費することとなる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、水分を含む植物片(例えば木片)に対して、当該植物片中の水分を保持した状態で加圧および加熱を行うことにより、植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有することを見出すことで本願発明を行うに至った。
【0009】
即ち、本発明に係る燃料の製造方法は、上記課題を解決するために、水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造することを特徴とする。
【0010】
ここで、植物片とは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする植物材料のきれはしのことであり、例えば、木片、種子、根、茎、葉などの植物を構成するあらゆる部分が含まれる。ただし、植物片には、植物材料を粉末状に加工したものは含まれない。
【0011】
上記の構成によれば、水分を保持した状態で加圧および加熱を行うことにより植物片(例えば木材)が流動性を得るため、粘土や金属のように塑性加工によって、任意の形状に成形することができる。そして、任意の形状に成形した流動性を有する植物片の水分を抜くことにより当該植物片の流動性がなくなり固形化する。そして、常圧かつ常温に戻すことにより、任意の形状に成形および固形化された燃料を得ることができる。
【0012】
このように、本発明によれば、従来の粉砕工程が不要であり、製造エネルギーを低く抑えることができる。
【0013】
また、上記のような製造方法で製造された燃料は、例えば1.14g/cm3以上のような石炭と同レベルの密度を有しており、密度が0.3g/cm3程度の木片に比べると、輸送コストを低くすることができる。また、保管の省スペース化も図ることができる。さらに、湿度の影響を受けにくいので屋外での保管も可能である。
【0014】
さらに、体積当たりの発熱量が大きいので、例えばボイラー・ストーブへの供給がしやすく、長時間燃焼させることができる。
【0015】
さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【0016】
このように本発明によれば、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料の製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明の燃料の製造方法は、水分を含む植物片を成形型の内部に設置し、上記成形型の内部を密閉状態にして、上記植物片に対して加熱及び加圧を行う第1工程と、上記植物片が所定の成形温度及び成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にする第2工程と、所定時間だけ圧力及び温度を保持した後、冷却してから、上記成形型から上記植物片の成形体を取り出すことで燃料を製造する第3工程とを含むことを特徴としている。
【0018】
上記の構成によっても、第1工程において、成形型の内部を密閉状態にして植物片に対して加熱および加圧を行うため、植物片中の水分が保持されたまま加熱されることになる。その結果、植物片が熱軟化して流動性を有することとなり、成形型に充填する。
【0019】
そして、第2工程において、植物片が所定の成形温度および成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にするため、植物片中の水分が抜け、植物片の流動性がなくなる。すなわち、植物片が成形型に沿った形状のまま固形化しはじめる。その後、所定時間だけ圧力(成形圧力)及び温度(成形温度)を保持した後、冷却してから上記成形型から成形された燃料を得ることができる。
【0020】
これによっても、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料の製造方法を提供することができる。
【0021】
さらに、上記燃料の密度が1.14g/cm3以上であることが好ましい。これにより、輸送コストを更に抑えることができるとともに、保管の省スペース化を確実に図ることができる。
【0022】
また、本発明に係る燃料は、上記の製造方法により製造されたことを特徴とする。これにより、輸送コストを低くすることができるとともに、保管の省スペース化も図ることができる。さらに、湿度の影響を受けにくいので屋外での保管も可能である。また、体積当たりの発熱量が大きいので、例えばボイラー・ストーブへの供給がしやすく、長時間燃焼させることができる。さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る燃料の製造方法は、水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造する。これにより、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料を簡易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る燃料について、図1〜9に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態は、これまで知られていなかった植物の新たな性質、つまり、水分を含んだ状態で加圧および加熱することにより植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有することに着目したものである。ここで植物片とは、植物のきれはしのことである。また、植物片には、植物材料を粉末状に加工ものは含まれない。
【0026】
本実施形態に係る燃料の製造方法は、水分を含む植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより、密度が1.14g/cm3以上の燃料を製造するものである。本実施形態に係る燃料(植物片を原料とする固形燃料)について以下に説明する。
【0027】
(原料)
植物材料は、主成分としてセルロース、ヘミセルロース、リグニンを含む。これらは植物細胞を構成する成分である。以下に木材の成分含有率を示す(「佐道健、「木材工学」、養賢堂」参照)。
・広葉樹:ヘミセルロース20〜25%、リグニン20〜25%、セルロース45〜50%
・針葉樹:ヘミセルロース15〜20%、リグニン25〜30%、セルロース45〜50%
このように、植物の主成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンであり、その含有率が90数%に達する。その他、副成分として、灰分、樹脂、精油、タンニン、色素、含窒素化合物がある。
【0028】
そして、上記のような、植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有する性質は、植物の細胞の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに起因するものである。そのため、本発明は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする植物材料であれば適用できる。すなわち、本実施形態において、植物片には、木片、種子、根、茎、葉などの植物を構成するあらゆる部分が含まれる。例えば、もみがらなども含まれる。
【0029】
以下では、植物片として木片を用いたときの実施形態について説明するが、本発明は、上述したように、木片に限らず、植物のきれはしであればよい。また、言うまでもなく、以下で述べる木片の材質は木材の種類に限定されるものではない。例えば、杉、松、ヒノキなど様々な木材の切れ端などの木片を用いることができる。
【0030】
(加圧装置)
本実施形態では、後述するように所定の成形温度になるまで加熱を行っている間は木片中の水分が逃げないように密閉状態とし、当該成形温度に到達した時点で水分を逃がすために開放状態にする。そのため、本実施形態で用いる加圧器具は、開閉式コックを有する密閉金型を備える。
【0031】
図2の(a)(b)は、本実施形態で用いられる加圧器具の一例を示す図である。加圧器具1は、内部の空間を密閉状態にすることが可能な密閉金型5と、当該密閉金型5の内部に設置され、木片を所望の形状に成形するための成形金型9とを備える。
【0032】
密閉金型5は、円筒状の外型3と、当該外型3の内径よりもわずかに小さい直径を有する円板状の2つの加圧工具2と、外型3の内部の中空部分と外部空間との通気のオン/オフを切り換える開閉式コック4とを備えている。
【0033】
2つの加圧工具2は、外型3の内部に上下方向から嵌め込まれる。加圧工具2の側壁にはOリングが付けられている。これにより、外型3と2つの加圧工具2とで囲まれた空間は、開閉式コック4が閉状態である場合に密閉状態となる。そして、開閉式コック4を開状態にすることで、当該空間と外部との間で通気可能となる。
【0034】
成形金型9は、木片を所望の形状に成形するためのものであり、当該所望の形状に応じた形状を有している。図2の(b)は、本発明者らが始めに着目した植物片の流動性をより理解し易いように、杯型の形状に成形する場合の成形金型2の一例を示している。ただし、本発明のように燃料を製造する場合には、円柱状や四角柱状、球状、円錐状、角錐状、シート状などの単純な形状の成形金型を用いればよい。なお、図中の寸法の単位はmmである。この場合、図2の(b)に示されるように、成形金型2は、半割型7と上ポンチ6と下ポンチ8とからなる。
【0035】
加圧器具1は、成形金型9を外型3の内部に設置し、当該成形金型9を挟むように2つの加圧工具2を外型3に嵌め込む。そして、2つの加圧工具2に対して上下方向にプレス機により加圧して成形する。
【0036】
(製造方法)
次に、本実施形態の燃料の製造方法について説明する。図1は、本実施形態の燃料の製造方法の流れを示す図である。また、図3は、図1に示す各工程の状態を示す図である。
【0037】
まず、図1及び図3に示すように、木片10を加圧器具1の中に設置する(ステップ(以下、S)1)。ここで、設置される木片10は、加圧成形後の所望の体積および圧縮率を考慮して、その体積が定められる。
【0038】
また、設置される木片10は、所定の含水率(例えば10%)を有するように予め処理されている。本明細書において、含水率は、乾量基準含水率であり、全乾重量((乾燥器の中で温度100〜105℃で乾燥させ、恒量に達した時の重さ)W0、水分を含んだ状態の重量W1としたとき、
含水率(%)=(W1−W0)/W0×100
により求められる。
【0039】
なお、木片をある温度と湿度の所へ放置すると、それに見合った含水率になり変化しなくなる。通常の大気温度と湿度に平衡した状態を気乾含水率という。気乾含水率よりも小さい含水率にする場合には、乾燥状態(110℃の送風空間)の中に置けばよい。一方、気乾含水率よりも大きい含水率にする場合には、沸騰した蒸留水の中に木片を入れ、常温に戻るまで浸け込む。その後、所望の含水率になるまで乾燥状態(110℃の送風空間)におくことにより、所望の含水率の木片を得ることができる。
【0040】
次に、開閉式コック4を閉状態にする(S2)。
【0041】
続いて、図1および図3の(b)に示されるように、所定の成形圧力(例えば、100MPa)を負荷した状態で、加圧器具1の内部が所定の成形温度(例えば、160℃)に到達するまで、加圧器具1を加熱する(S3)。このとき、図3の(b)に示されるように、木片10が熱軟化して流動性を有し、金型の形状に沿って変形し始める。この変形が生じていることは、上の加圧工具2のストローク量を見ることにより確認される。すなわち、S3のときにストローク量が大きく変化する。特に、加圧器具1の内部が100℃付近のときに流動性が生じる。
【0042】
なお、加圧器具1の内部の温度と外型4の温度との相関関係については予め実験によって求められている。この実験結果に基づいて、外型4の温度を測定することにより加圧器具1の内部の温度を求めることができる。
【0043】
そして、図3の(c)に示されるように、加圧器具1の内部が所定の成形温度に達した時点で、開閉式コック4を開状態にし、上記所定の成形圧力および成形温度を所定の保持時間t2だけ保持する(S4)。これにより、木片10に含まれていた水分が外部に排出される。水分が排出されることにより木片10の流動性がなくなり、木片10は成形金型に沿った形状を保持したまま固形化し始める。
【0044】
なお、開閉式コック4を閉状態(S2)にしてから開状態にするまでの時間である開栓時間t1は、加圧器具1の大きさや成形温度によって適宜設定すればよい。なお、図2の(a)(b)に示すような加圧器具1を用いた場合、開栓時間t1は、例えば65分である。
【0045】
また、保持時間t2についても成形体の大きさに応じて適宜設定すればよい。図2の(a)(b)に示すような加圧器具1を用いた場合、保持時間t2は、例えば60分である。
【0046】
その後、加圧および加熱処理を終了し、図3の(d)に示されるように、常温まで冷却してから加圧器具1を分解して、成形体20を取り出す(S5)。
【0047】
このように、密閉状態で加圧・加熱を行っているため、水分を含む木片10が軟化温度に達し、流動性を保ちながら成形金型9内に充填する。そして、開閉式コック4を開状態にして水分を抜きながら加圧することで良好な成形体を得ることができる。一方、加熱中に開状態にすると水分が蒸発して抜けてしまい、木片10の流動性が不十分になってしまう。
【0048】
(燃料の評価1:硬さ、密度)
含水率約10%(気乾含水率)のスギ材の木片および図2の(a)(b)に示す加圧器具1を用いて得られた成形体のビッカース硬度および密度を測定した。なお、測定対象の成形体の成形条件は、成形圧力100MPa、成形温度160℃、開栓時間t1=65分、保持時間t2=10分である。
【0049】
図4の(a)(b)は、測定位置を示している。まず、図4の(a)に示されるように、成形体の中心断面が得られるように厚さ5mmの成形体の一部分を切り出す。その後、中心断面を1000番やすりにて研磨後にビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さは、成形体の中心断面を図4の(b)に示すように、O点からL方向に1mm間隔で測定した。なお、杯型の成形体の各部分を、図4の(b)に示すように、土台部分、軸部分、容器部分とする。木片10は、土台部分、軸部分、容器部分の順に流動する。
【0050】
図5は、ビッカース硬さの測定結果を示すグラフである。図5において、横軸はO点からのL方向への距離(図4の(b)参照)を示している。なお、図5では、参考のため同一木材の粉末(粒径300μm以下)を用いて同じ成形条件にて成形して得られた成形体の測定結果についても示している。
【0051】
図5に示されるように、木片を用いた得られた成形体のビッカース硬さの平均値は、29.4HV0.1である。これに対し、粉末から得られた成形体のビッカース硬さの平均値は、24.1HV0.05である。このように、木片から得られた成形体は、粉末から得られた成形体に比べて、わずかに硬さが強いことがわかった。
【0052】
また、ビッカース硬さの測定用に切断した厚さ5mmの成形体の一部を5mm間隔に分割し、各片について密度を測定した。
【0053】
図6は、密度の測定結果を示すグラフである。図6において、横軸はO点からのL方向への距離(図4の(b)参照)を示している。図6に示されるように、密度の平均値は、約1.36g/cm3であった。また、木片から得られた成形体と粉末から得られた成形体とでは差が見られなかった。つまり、木片を用いても密度の高い成形体を得ることができることがわかった。
【0054】
また、ビッカース硬さおよび密度ともに、土台部分、軸部分、容器部分での差はほとんど見られなかった。また、各部分の端部でわずかにビッカース硬さおよび密度が小さくなる傾向が見られるが、これは、各部分の境界での木片の移動や割型間への流出が大きいことが原因であると考えられる。ただし、全体として硬さおよび密度が高く、安定した成形体が得られることが確認された。
【0055】
(燃料の評価2:3点曲げ試験)
次に、上記成形体の評価1と同一の成形条件にて、直径5mmの円柱状の成形体を成形し、3点曲げ試験を行った。円柱状の成形体を得るためには、図7の(a)(b)に示されるような円柱状の中空部分を有する成形金型9’を用いればよい。
【0056】
なお、ここでは、試験片として、木材の粉末から得られた成形体(比較例)、図7の(b)で示されるように、成形金型9’の円柱状の中空部分の軸方向と木片10の木目11とがほぼ平行になるように設置した状態で成形することにより得られた成形体(実施例1)、図7の(a)で示されるように、当該軸方向と木片10の木目11とがほぼ垂直になるように設置した状態で成形することにより得られた成形体(実施例2)とを用いて測定した。
【0057】
なお、3点曲げ試験の試験条件は、図8に示すとおりである。なお、図8において寸法の単位はmmである。
【0058】
図9は、3点曲げ試験の試験結果を示す荷重−たわみ曲線のグラフである。図9に示されるように、比較例および実施例1・2の成形体は、いずれもほぼ同じたわみ量だけ撓むことがわかった。また、その際の荷重については、いずれも50N以上あることがわかった。
【0059】
(木片の流動性について)
含水率約10%(気乾含水率)のスギ材の木片および図2の(a)(b)に示す加圧器具1を用いて、成形圧力120MPa、成形温度160℃とした場合の時間の経過に伴う、すなわち15分、30分、45分、60分における成形体の形状を確認した。図10は、時間の経過による成形体の形状の変化を示す図である。つまり、図10は、木片を含水率約10%、成形圧力120MPa、成形温度160℃の成形条件下で成形したときの当該木片の流動挙動を示している。図10に示されるように、時間が増えるに従い、つまり、木片を含水率約10%、成形圧力120MPa、成形温度160℃の条件下で保持している時間が増えるに従い、杯型の土台部分から軸部分へ、さらには容器部分へと順に流動している様子がわかる。なお、この流動挙動は、成形条件によって異なる。
【0060】
(成形条件について)
含水率が高い場合、流動性が良好になるため低い成形圧力でも金型内に木片を充填させることができる。このように、含水率、成形圧力、成形温度は、木片の流動性を確保できる範囲で適宜設定することができる。
【0061】
なお、本発明者らは、含水率10%以上、成形圧力100MPa以上、成形温度130℃以上200℃以下において、木片の流動性が複雑な形状を成形するのに十分となり、硬さおよび密度の安定した成形体を得ることができることを確認している。
【0062】
含水率が10%未満である場合、必要な成形圧力が大きくなるとともに、流動性が不十分となる可能性がある。一方、含水率が30%を超えるような高い値の場合、木片の流動性が増大する。その結果、成形体に含まれる水分が多くなるため、開閉式コックを開状態にした後に収縮割れが生じる可能性がある。ただし、このような場合、保持時間t2を増やすなどの対応が可能である。
【0063】
さらに、成形圧力が100Mpa未満である場合、複雑な形状の成形金型に対する木片の充填性が不十分となる可能性がある。
【0064】
さらに、成形温度が130℃未満である場合、木片の流動性が得られない。一方、成形温度が200℃を超える場合、木片に熱分解が生じ、良好な成形体が得られない。
【0065】
なお、本実施形態の燃料の製造方法によれば、密度1.14g/cm3以上の燃料を得ることができる。このような密度以上であれば、間伐材や端材のような0.3g/cm3程度の密度を有する木片単体に比べて、容積を1/3以上にすることができ、輸送コストの低減、保管の省スペース化が期待できる。
【0066】
(燃料の評価3:燃焼性)
上記では、本発明者らが始めに着目した植物片の流動性をより理解し易いように、杯型の成形金型を用いて説明を行った。しかしながら、実際には、搬送しやすい形状、例えば、円柱状や四角柱状、球状、円錐状、角錐状、シート状などに成形すればよい。
【0067】
また、上記では、木片を用いた実施例について説明したが、本発明者らは、木片以外の植物片(例えば、もみがら)であっても、木片と同様の条件で製造することにより良好な成形体が得られることを確認している。
【0068】
以下に、様々な植物片から製造された、円柱状の燃料について、示差熱分析(Differential Thermal Analysis)装置(Seiko Instruments Co. Ltd製,TG/DAT6200)を用いて燃焼性を確認した。
【0069】
図11は、スギの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で、円柱状の成形金型を用いて成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.37g/cm3であった。
【0070】
また、図12は、マツの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.23g/cm3であった。
【0071】
また、図13は、ヒノキの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.19g/cm3であった。
【0072】
また、図14は、スギの枝を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.14g/cm3であった。
【0073】
また、図15は、スギの皮を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.29g/cm3であった。
【0074】
また、図16は、複数種類の木の枯葉を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.19g/cm3であった。
【0075】
なお、図11〜16において、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果(重量基準で評価)を示す図である。(c)では、スギの木片におけるDTA測定結果を比較のために示している。
【0076】
上記のように、本実施形態では、容易に密度1.14g/cm3以上の燃料を得ることができる。そして、このような密度1.14g/cm3以上であれば、間伐材や端材のような0.3g/cm3程度の密度を有する木片単体に比べて、容積を1/3以上にすることができ、輸送コストの低減、保管の省スペース化が期待できる。なお、本実施形態に係る燃料の密度は石炭と同等であり、石炭と同等の輸送コストで済む。
【0077】
また、木質ペレットや非特許文献1のように粉砕工程のような煩わしい工程を行うことなく容易に燃料を製造することができる。
【0078】
また、各図の(c)に示されるように、本実施形態に係る燃料の発熱量は、スギの木片に比べて発熱量が大きいことがわかる。スギの木片の密度は0.3g/cm3程度であり、スギの木片と比較して、体積当たりの発熱量は約8倍であることが確認された。よって、ボイラー・ストーブ等へ利用に適しており、長時間の燃焼を維持することができる。
【0079】
さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【0080】
また、本実施形態によれば、成形温度、成形圧力、含水率、保持時間を適宜設定することにより、使用者の要望に応じた密度や形状などを有する燃料を容易に製造することができる。
【0081】
(燃料の評価4:耐湿性)
燃料は、体積が大きく、保管場所を確保する必要がある。また、燃焼させるため、なるべく水分を含ませない方がよい。上述したような木質ペレットは、湿度が高い環境に置かれると、吸湿し、膨張してしまう。そのため、屋内保管が必要となり、保管場所の確保がより難しくなる。
【0082】
そこで、本実施形態に係る燃料の耐湿性について評価した。評価対象となる燃料としては、スギの木片を、含水率:60%、成形温度:180℃、成形圧力:120MPa、保持時間t2:60分の成形条件で、円柱状に成形することにより得られた燃料を用いた。この燃料を煮沸水中に30分間入れておき、その後の形状変化および密度を確認した。図17は、煮沸前後での外観の変化を示す図である。図17に示されるように、煮沸前後で膨張による体積変化は殆ど見られなかった。そして、密度は、煮沸前後で1.30g/cm3であった。
【0083】
このように本実施形態に係る燃料によれば湿度の影響を殆ど受けないことが確認された。そのため、保管場所を屋内に制限されることがなく、屋外など、容易に保管場所を確保することができる。
【0084】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ボイラー・ストーブなどに用いられる燃料に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態に係る木材の加工方法の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態で用いられる加圧器具の一例を示す図であり、(a)は加圧器具全体の断面図であり、(b)は加圧器具に備えられる成形金型の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る木材の加工方法の各工程の状態を示す図であり、(a)〜(d)はそれぞれ図1のS1、S2及びS3、S4、S5の状態を示している。
【図4】成形体のビッカース硬さおよび密度の測定位置を示す図であり、(a)は測定用に切り出される箇所を示す図であり、(b)は切り出された成形体の一部の測定箇所を示す図である。
【図5】ビッカース硬さの測定結果を示すグラフである。
【図6】密度の測定結果を示すグラフである。
【図7】3点曲げ試験用の成形体を成形する場合の金型および木片を示す図であり、(a)は成形金型の円柱状の中空部分の軸方向と木目とがほぼ垂直になるように設置した状態を、(b)は当該軸方向と木目とがほぼ垂直になるように設置した状態を示している。
【図8】3点曲げ試験の試験条件を示す図である。
【図9】3点曲げ試験の試験結果を示すグラフである。
【図10】木片の流動挙動を示す図である。
【図11】スギの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図12】マツの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図13】ヒノキの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図14】スギの枝から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図15】スギの皮から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図16】枯葉から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図17】本実施形態に係る燃料の耐湿性評価の方法を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 加圧器具(成形型)
2 加圧工具
3 外型
4 開閉式コック
5 密閉金型(成形型)
6 上ポンチ
7 半割型
8 下ポンチ
9・9’ 成形金型(成形型)
10 木片(植物片)
11 木目
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を原料とする燃料および当該燃料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間伐材や製材端材、解体廃材などの木材は、燃料用として使用されている。ただし、このような木材は、密度が0.3g/cm3程度であり、密度1.3g/cm3程度の石炭と比べると体積が大きくなり、輸送コスト、保管スペースに問題がある。
【0003】
そこで、密度を大きくするための技術として、上記のような木材に対して、粉砕工程、二次粉砕工程、乾燥工程、加熱・圧縮成形工程、冷却工程を順次行うことにより得られた木質ペレットが考えられる。
【0004】
また、非特許文献1には、木材を粉末状にし、ホットプレスにより、接着剤を用いることなく所望の形状に成形する技術が開示されている。
【非特許文献1】倉松竜平 他、「木材粉末のホットプレスによる容器の成形」、第57回塑性加工連合講演会講演論文集、p299-300、2006年10月17日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような木質ペレットを製造するためには、粉砕工程などが必要であり、相当のエネルギーを消費することとなる。また、このような木質ペレットは密度が0.6g/cm3程度と木材に比べると高いが、石炭に比べると低く輸送コストがかかる。
【0006】
また、上記非特許文献1においても粉砕工程が必要であり相当のエネルギーを消費することとなる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、水分を含む植物片(例えば木片)に対して、当該植物片中の水分を保持した状態で加圧および加熱を行うことにより、植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有することを見出すことで本願発明を行うに至った。
【0009】
即ち、本発明に係る燃料の製造方法は、上記課題を解決するために、水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造することを特徴とする。
【0010】
ここで、植物片とは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする植物材料のきれはしのことであり、例えば、木片、種子、根、茎、葉などの植物を構成するあらゆる部分が含まれる。ただし、植物片には、植物材料を粉末状に加工したものは含まれない。
【0011】
上記の構成によれば、水分を保持した状態で加圧および加熱を行うことにより植物片(例えば木材)が流動性を得るため、粘土や金属のように塑性加工によって、任意の形状に成形することができる。そして、任意の形状に成形した流動性を有する植物片の水分を抜くことにより当該植物片の流動性がなくなり固形化する。そして、常圧かつ常温に戻すことにより、任意の形状に成形および固形化された燃料を得ることができる。
【0012】
このように、本発明によれば、従来の粉砕工程が不要であり、製造エネルギーを低く抑えることができる。
【0013】
また、上記のような製造方法で製造された燃料は、例えば1.14g/cm3以上のような石炭と同レベルの密度を有しており、密度が0.3g/cm3程度の木片に比べると、輸送コストを低くすることができる。また、保管の省スペース化も図ることができる。さらに、湿度の影響を受けにくいので屋外での保管も可能である。
【0014】
さらに、体積当たりの発熱量が大きいので、例えばボイラー・ストーブへの供給がしやすく、長時間燃焼させることができる。
【0015】
さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【0016】
このように本発明によれば、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料の製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明の燃料の製造方法は、水分を含む植物片を成形型の内部に設置し、上記成形型の内部を密閉状態にして、上記植物片に対して加熱及び加圧を行う第1工程と、上記植物片が所定の成形温度及び成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にする第2工程と、所定時間だけ圧力及び温度を保持した後、冷却してから、上記成形型から上記植物片の成形体を取り出すことで燃料を製造する第3工程とを含むことを特徴としている。
【0018】
上記の構成によっても、第1工程において、成形型の内部を密閉状態にして植物片に対して加熱および加圧を行うため、植物片中の水分が保持されたまま加熱されることになる。その結果、植物片が熱軟化して流動性を有することとなり、成形型に充填する。
【0019】
そして、第2工程において、植物片が所定の成形温度および成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にするため、植物片中の水分が抜け、植物片の流動性がなくなる。すなわち、植物片が成形型に沿った形状のまま固形化しはじめる。その後、所定時間だけ圧力(成形圧力)及び温度(成形温度)を保持した後、冷却してから上記成形型から成形された燃料を得ることができる。
【0020】
これによっても、簡易に製造することができ、かつ、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料の製造方法を提供することができる。
【0021】
さらに、上記燃料の密度が1.14g/cm3以上であることが好ましい。これにより、輸送コストを更に抑えることができるとともに、保管の省スペース化を確実に図ることができる。
【0022】
また、本発明に係る燃料は、上記の製造方法により製造されたことを特徴とする。これにより、輸送コストを低くすることができるとともに、保管の省スペース化も図ることができる。さらに、湿度の影響を受けにくいので屋外での保管も可能である。また、体積当たりの発熱量が大きいので、例えばボイラー・ストーブへの供給がしやすく、長時間燃焼させることができる。さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る燃料の製造方法は、水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造する。これにより、輸送コストが低く、発熱量の大きい燃料を簡易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る燃料について、図1〜9に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態は、これまで知られていなかった植物の新たな性質、つまり、水分を含んだ状態で加圧および加熱することにより植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有することに着目したものである。ここで植物片とは、植物のきれはしのことである。また、植物片には、植物材料を粉末状に加工ものは含まれない。
【0026】
本実施形態に係る燃料の製造方法は、水分を含む植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより、密度が1.14g/cm3以上の燃料を製造するものである。本実施形態に係る燃料(植物片を原料とする固形燃料)について以下に説明する。
【0027】
(原料)
植物材料は、主成分としてセルロース、ヘミセルロース、リグニンを含む。これらは植物細胞を構成する成分である。以下に木材の成分含有率を示す(「佐道健、「木材工学」、養賢堂」参照)。
・広葉樹:ヘミセルロース20〜25%、リグニン20〜25%、セルロース45〜50%
・針葉樹:ヘミセルロース15〜20%、リグニン25〜30%、セルロース45〜50%
このように、植物の主成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンであり、その含有率が90数%に達する。その他、副成分として、灰分、樹脂、精油、タンニン、色素、含窒素化合物がある。
【0028】
そして、上記のような、植物片が熱軟化して粘土のように流動性を有する性質は、植物の細胞の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに起因するものである。そのため、本発明は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする植物材料であれば適用できる。すなわち、本実施形態において、植物片には、木片、種子、根、茎、葉などの植物を構成するあらゆる部分が含まれる。例えば、もみがらなども含まれる。
【0029】
以下では、植物片として木片を用いたときの実施形態について説明するが、本発明は、上述したように、木片に限らず、植物のきれはしであればよい。また、言うまでもなく、以下で述べる木片の材質は木材の種類に限定されるものではない。例えば、杉、松、ヒノキなど様々な木材の切れ端などの木片を用いることができる。
【0030】
(加圧装置)
本実施形態では、後述するように所定の成形温度になるまで加熱を行っている間は木片中の水分が逃げないように密閉状態とし、当該成形温度に到達した時点で水分を逃がすために開放状態にする。そのため、本実施形態で用いる加圧器具は、開閉式コックを有する密閉金型を備える。
【0031】
図2の(a)(b)は、本実施形態で用いられる加圧器具の一例を示す図である。加圧器具1は、内部の空間を密閉状態にすることが可能な密閉金型5と、当該密閉金型5の内部に設置され、木片を所望の形状に成形するための成形金型9とを備える。
【0032】
密閉金型5は、円筒状の外型3と、当該外型3の内径よりもわずかに小さい直径を有する円板状の2つの加圧工具2と、外型3の内部の中空部分と外部空間との通気のオン/オフを切り換える開閉式コック4とを備えている。
【0033】
2つの加圧工具2は、外型3の内部に上下方向から嵌め込まれる。加圧工具2の側壁にはOリングが付けられている。これにより、外型3と2つの加圧工具2とで囲まれた空間は、開閉式コック4が閉状態である場合に密閉状態となる。そして、開閉式コック4を開状態にすることで、当該空間と外部との間で通気可能となる。
【0034】
成形金型9は、木片を所望の形状に成形するためのものであり、当該所望の形状に応じた形状を有している。図2の(b)は、本発明者らが始めに着目した植物片の流動性をより理解し易いように、杯型の形状に成形する場合の成形金型2の一例を示している。ただし、本発明のように燃料を製造する場合には、円柱状や四角柱状、球状、円錐状、角錐状、シート状などの単純な形状の成形金型を用いればよい。なお、図中の寸法の単位はmmである。この場合、図2の(b)に示されるように、成形金型2は、半割型7と上ポンチ6と下ポンチ8とからなる。
【0035】
加圧器具1は、成形金型9を外型3の内部に設置し、当該成形金型9を挟むように2つの加圧工具2を外型3に嵌め込む。そして、2つの加圧工具2に対して上下方向にプレス機により加圧して成形する。
【0036】
(製造方法)
次に、本実施形態の燃料の製造方法について説明する。図1は、本実施形態の燃料の製造方法の流れを示す図である。また、図3は、図1に示す各工程の状態を示す図である。
【0037】
まず、図1及び図3に示すように、木片10を加圧器具1の中に設置する(ステップ(以下、S)1)。ここで、設置される木片10は、加圧成形後の所望の体積および圧縮率を考慮して、その体積が定められる。
【0038】
また、設置される木片10は、所定の含水率(例えば10%)を有するように予め処理されている。本明細書において、含水率は、乾量基準含水率であり、全乾重量((乾燥器の中で温度100〜105℃で乾燥させ、恒量に達した時の重さ)W0、水分を含んだ状態の重量W1としたとき、
含水率(%)=(W1−W0)/W0×100
により求められる。
【0039】
なお、木片をある温度と湿度の所へ放置すると、それに見合った含水率になり変化しなくなる。通常の大気温度と湿度に平衡した状態を気乾含水率という。気乾含水率よりも小さい含水率にする場合には、乾燥状態(110℃の送風空間)の中に置けばよい。一方、気乾含水率よりも大きい含水率にする場合には、沸騰した蒸留水の中に木片を入れ、常温に戻るまで浸け込む。その後、所望の含水率になるまで乾燥状態(110℃の送風空間)におくことにより、所望の含水率の木片を得ることができる。
【0040】
次に、開閉式コック4を閉状態にする(S2)。
【0041】
続いて、図1および図3の(b)に示されるように、所定の成形圧力(例えば、100MPa)を負荷した状態で、加圧器具1の内部が所定の成形温度(例えば、160℃)に到達するまで、加圧器具1を加熱する(S3)。このとき、図3の(b)に示されるように、木片10が熱軟化して流動性を有し、金型の形状に沿って変形し始める。この変形が生じていることは、上の加圧工具2のストローク量を見ることにより確認される。すなわち、S3のときにストローク量が大きく変化する。特に、加圧器具1の内部が100℃付近のときに流動性が生じる。
【0042】
なお、加圧器具1の内部の温度と外型4の温度との相関関係については予め実験によって求められている。この実験結果に基づいて、外型4の温度を測定することにより加圧器具1の内部の温度を求めることができる。
【0043】
そして、図3の(c)に示されるように、加圧器具1の内部が所定の成形温度に達した時点で、開閉式コック4を開状態にし、上記所定の成形圧力および成形温度を所定の保持時間t2だけ保持する(S4)。これにより、木片10に含まれていた水分が外部に排出される。水分が排出されることにより木片10の流動性がなくなり、木片10は成形金型に沿った形状を保持したまま固形化し始める。
【0044】
なお、開閉式コック4を閉状態(S2)にしてから開状態にするまでの時間である開栓時間t1は、加圧器具1の大きさや成形温度によって適宜設定すればよい。なお、図2の(a)(b)に示すような加圧器具1を用いた場合、開栓時間t1は、例えば65分である。
【0045】
また、保持時間t2についても成形体の大きさに応じて適宜設定すればよい。図2の(a)(b)に示すような加圧器具1を用いた場合、保持時間t2は、例えば60分である。
【0046】
その後、加圧および加熱処理を終了し、図3の(d)に示されるように、常温まで冷却してから加圧器具1を分解して、成形体20を取り出す(S5)。
【0047】
このように、密閉状態で加圧・加熱を行っているため、水分を含む木片10が軟化温度に達し、流動性を保ちながら成形金型9内に充填する。そして、開閉式コック4を開状態にして水分を抜きながら加圧することで良好な成形体を得ることができる。一方、加熱中に開状態にすると水分が蒸発して抜けてしまい、木片10の流動性が不十分になってしまう。
【0048】
(燃料の評価1:硬さ、密度)
含水率約10%(気乾含水率)のスギ材の木片および図2の(a)(b)に示す加圧器具1を用いて得られた成形体のビッカース硬度および密度を測定した。なお、測定対象の成形体の成形条件は、成形圧力100MPa、成形温度160℃、開栓時間t1=65分、保持時間t2=10分である。
【0049】
図4の(a)(b)は、測定位置を示している。まず、図4の(a)に示されるように、成形体の中心断面が得られるように厚さ5mmの成形体の一部分を切り出す。その後、中心断面を1000番やすりにて研磨後にビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さは、成形体の中心断面を図4の(b)に示すように、O点からL方向に1mm間隔で測定した。なお、杯型の成形体の各部分を、図4の(b)に示すように、土台部分、軸部分、容器部分とする。木片10は、土台部分、軸部分、容器部分の順に流動する。
【0050】
図5は、ビッカース硬さの測定結果を示すグラフである。図5において、横軸はO点からのL方向への距離(図4の(b)参照)を示している。なお、図5では、参考のため同一木材の粉末(粒径300μm以下)を用いて同じ成形条件にて成形して得られた成形体の測定結果についても示している。
【0051】
図5に示されるように、木片を用いた得られた成形体のビッカース硬さの平均値は、29.4HV0.1である。これに対し、粉末から得られた成形体のビッカース硬さの平均値は、24.1HV0.05である。このように、木片から得られた成形体は、粉末から得られた成形体に比べて、わずかに硬さが強いことがわかった。
【0052】
また、ビッカース硬さの測定用に切断した厚さ5mmの成形体の一部を5mm間隔に分割し、各片について密度を測定した。
【0053】
図6は、密度の測定結果を示すグラフである。図6において、横軸はO点からのL方向への距離(図4の(b)参照)を示している。図6に示されるように、密度の平均値は、約1.36g/cm3であった。また、木片から得られた成形体と粉末から得られた成形体とでは差が見られなかった。つまり、木片を用いても密度の高い成形体を得ることができることがわかった。
【0054】
また、ビッカース硬さおよび密度ともに、土台部分、軸部分、容器部分での差はほとんど見られなかった。また、各部分の端部でわずかにビッカース硬さおよび密度が小さくなる傾向が見られるが、これは、各部分の境界での木片の移動や割型間への流出が大きいことが原因であると考えられる。ただし、全体として硬さおよび密度が高く、安定した成形体が得られることが確認された。
【0055】
(燃料の評価2:3点曲げ試験)
次に、上記成形体の評価1と同一の成形条件にて、直径5mmの円柱状の成形体を成形し、3点曲げ試験を行った。円柱状の成形体を得るためには、図7の(a)(b)に示されるような円柱状の中空部分を有する成形金型9’を用いればよい。
【0056】
なお、ここでは、試験片として、木材の粉末から得られた成形体(比較例)、図7の(b)で示されるように、成形金型9’の円柱状の中空部分の軸方向と木片10の木目11とがほぼ平行になるように設置した状態で成形することにより得られた成形体(実施例1)、図7の(a)で示されるように、当該軸方向と木片10の木目11とがほぼ垂直になるように設置した状態で成形することにより得られた成形体(実施例2)とを用いて測定した。
【0057】
なお、3点曲げ試験の試験条件は、図8に示すとおりである。なお、図8において寸法の単位はmmである。
【0058】
図9は、3点曲げ試験の試験結果を示す荷重−たわみ曲線のグラフである。図9に示されるように、比較例および実施例1・2の成形体は、いずれもほぼ同じたわみ量だけ撓むことがわかった。また、その際の荷重については、いずれも50N以上あることがわかった。
【0059】
(木片の流動性について)
含水率約10%(気乾含水率)のスギ材の木片および図2の(a)(b)に示す加圧器具1を用いて、成形圧力120MPa、成形温度160℃とした場合の時間の経過に伴う、すなわち15分、30分、45分、60分における成形体の形状を確認した。図10は、時間の経過による成形体の形状の変化を示す図である。つまり、図10は、木片を含水率約10%、成形圧力120MPa、成形温度160℃の成形条件下で成形したときの当該木片の流動挙動を示している。図10に示されるように、時間が増えるに従い、つまり、木片を含水率約10%、成形圧力120MPa、成形温度160℃の条件下で保持している時間が増えるに従い、杯型の土台部分から軸部分へ、さらには容器部分へと順に流動している様子がわかる。なお、この流動挙動は、成形条件によって異なる。
【0060】
(成形条件について)
含水率が高い場合、流動性が良好になるため低い成形圧力でも金型内に木片を充填させることができる。このように、含水率、成形圧力、成形温度は、木片の流動性を確保できる範囲で適宜設定することができる。
【0061】
なお、本発明者らは、含水率10%以上、成形圧力100MPa以上、成形温度130℃以上200℃以下において、木片の流動性が複雑な形状を成形するのに十分となり、硬さおよび密度の安定した成形体を得ることができることを確認している。
【0062】
含水率が10%未満である場合、必要な成形圧力が大きくなるとともに、流動性が不十分となる可能性がある。一方、含水率が30%を超えるような高い値の場合、木片の流動性が増大する。その結果、成形体に含まれる水分が多くなるため、開閉式コックを開状態にした後に収縮割れが生じる可能性がある。ただし、このような場合、保持時間t2を増やすなどの対応が可能である。
【0063】
さらに、成形圧力が100Mpa未満である場合、複雑な形状の成形金型に対する木片の充填性が不十分となる可能性がある。
【0064】
さらに、成形温度が130℃未満である場合、木片の流動性が得られない。一方、成形温度が200℃を超える場合、木片に熱分解が生じ、良好な成形体が得られない。
【0065】
なお、本実施形態の燃料の製造方法によれば、密度1.14g/cm3以上の燃料を得ることができる。このような密度以上であれば、間伐材や端材のような0.3g/cm3程度の密度を有する木片単体に比べて、容積を1/3以上にすることができ、輸送コストの低減、保管の省スペース化が期待できる。
【0066】
(燃料の評価3:燃焼性)
上記では、本発明者らが始めに着目した植物片の流動性をより理解し易いように、杯型の成形金型を用いて説明を行った。しかしながら、実際には、搬送しやすい形状、例えば、円柱状や四角柱状、球状、円錐状、角錐状、シート状などに成形すればよい。
【0067】
また、上記では、木片を用いた実施例について説明したが、本発明者らは、木片以外の植物片(例えば、もみがら)であっても、木片と同様の条件で製造することにより良好な成形体が得られることを確認している。
【0068】
以下に、様々な植物片から製造された、円柱状の燃料について、示差熱分析(Differential Thermal Analysis)装置(Seiko Instruments Co. Ltd製,TG/DAT6200)を用いて燃焼性を確認した。
【0069】
図11は、スギの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で、円柱状の成形金型を用いて成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.37g/cm3であった。
【0070】
また、図12は、マツの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.23g/cm3であった。
【0071】
また、図13は、ヒノキの木片を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.19g/cm3であった。
【0072】
また、図14は、スギの枝を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.14g/cm3であった。
【0073】
また、図15は、スギの皮を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.29g/cm3であった。
【0074】
また、図16は、複数種類の木の枯葉を、成形温度:120℃、成形圧力:160MPa、保持時間t2:40分で成形することにより得られた燃料を示す図である。なお、このようにして得られた燃料の密度は1.19g/cm3であった。
【0075】
なお、図11〜16において、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果(重量基準で評価)を示す図である。(c)では、スギの木片におけるDTA測定結果を比較のために示している。
【0076】
上記のように、本実施形態では、容易に密度1.14g/cm3以上の燃料を得ることができる。そして、このような密度1.14g/cm3以上であれば、間伐材や端材のような0.3g/cm3程度の密度を有する木片単体に比べて、容積を1/3以上にすることができ、輸送コストの低減、保管の省スペース化が期待できる。なお、本実施形態に係る燃料の密度は石炭と同等であり、石炭と同等の輸送コストで済む。
【0077】
また、木質ペレットや非特許文献1のように粉砕工程のような煩わしい工程を行うことなく容易に燃料を製造することができる。
【0078】
また、各図の(c)に示されるように、本実施形態に係る燃料の発熱量は、スギの木片に比べて発熱量が大きいことがわかる。スギの木片の密度は0.3g/cm3程度であり、スギの木片と比較して、体積当たりの発熱量は約8倍であることが確認された。よって、ボイラー・ストーブ等へ利用に適しており、長時間の燃焼を維持することができる。
【0079】
さらに、粉末やチップ状に粉砕しても、密度変化が生じないために、石炭等の混焼も可能であり、体積当たりの発熱量が大きい。
【0080】
また、本実施形態によれば、成形温度、成形圧力、含水率、保持時間を適宜設定することにより、使用者の要望に応じた密度や形状などを有する燃料を容易に製造することができる。
【0081】
(燃料の評価4:耐湿性)
燃料は、体積が大きく、保管場所を確保する必要がある。また、燃焼させるため、なるべく水分を含ませない方がよい。上述したような木質ペレットは、湿度が高い環境に置かれると、吸湿し、膨張してしまう。そのため、屋内保管が必要となり、保管場所の確保がより難しくなる。
【0082】
そこで、本実施形態に係る燃料の耐湿性について評価した。評価対象となる燃料としては、スギの木片を、含水率:60%、成形温度:180℃、成形圧力:120MPa、保持時間t2:60分の成形条件で、円柱状に成形することにより得られた燃料を用いた。この燃料を煮沸水中に30分間入れておき、その後の形状変化および密度を確認した。図17は、煮沸前後での外観の変化を示す図である。図17に示されるように、煮沸前後で膨張による体積変化は殆ど見られなかった。そして、密度は、煮沸前後で1.30g/cm3であった。
【0083】
このように本実施形態に係る燃料によれば湿度の影響を殆ど受けないことが確認された。そのため、保管場所を屋内に制限されることがなく、屋外など、容易に保管場所を確保することができる。
【0084】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ボイラー・ストーブなどに用いられる燃料に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態に係る木材の加工方法の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態で用いられる加圧器具の一例を示す図であり、(a)は加圧器具全体の断面図であり、(b)は加圧器具に備えられる成形金型の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る木材の加工方法の各工程の状態を示す図であり、(a)〜(d)はそれぞれ図1のS1、S2及びS3、S4、S5の状態を示している。
【図4】成形体のビッカース硬さおよび密度の測定位置を示す図であり、(a)は測定用に切り出される箇所を示す図であり、(b)は切り出された成形体の一部の測定箇所を示す図である。
【図5】ビッカース硬さの測定結果を示すグラフである。
【図6】密度の測定結果を示すグラフである。
【図7】3点曲げ試験用の成形体を成形する場合の金型および木片を示す図であり、(a)は成形金型の円柱状の中空部分の軸方向と木目とがほぼ垂直になるように設置した状態を、(b)は当該軸方向と木目とがほぼ垂直になるように設置した状態を示している。
【図8】3点曲げ試験の試験条件を示す図である。
【図9】3点曲げ試験の試験結果を示すグラフである。
【図10】木片の流動挙動を示す図である。
【図11】スギの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図12】マツの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図13】ヒノキの木片から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図14】スギの枝から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図15】スギの皮から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図16】枯葉から製造された燃料を示すものであり、(a)は原料の外観を示し、(b)は得られた燃料の外観を示し、(c)は得られた燃料のDTA測定結果を示す図である。
【図17】本実施形態に係る燃料の耐湿性評価の方法を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 加圧器具(成形型)
2 加圧工具
3 外型
4 開閉式コック
5 密閉金型(成形型)
6 上ポンチ
7 半割型
8 下ポンチ
9・9’ 成形金型(成形型)
10 木片(植物片)
11 木目
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造することを特徴とする燃料の製造方法。
【請求項2】
水分を含む植物片を成形型の内部に設置し、上記成形型の内部を密閉状態にして、上記植物片に対して加熱及び加圧を行う第1工程と、
上記植物片が所定の成形温度及び成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にする第2工程と、
所定時間だけ圧力及び温度を保持した後、冷却してから、上記成形型から上記植物片の成形体を取り出すことで燃料を製造する第3工程と、
を含む燃料の製造方法。
【請求項3】
上記燃料の密度が1.14g/cm3以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする燃料。
【請求項1】
水分を含む植物片に対して、当該植物片を密閉状態の中において当該植物片中の水分を保持しながら加圧および加熱を行うことにより流動性を与え、上記流動性を有する植物片を所定の形状に成形し、その後、密閉状態を開放して上記植物片の成形体中の水分を抜いたのち常圧かつ常温に戻すことにより燃料を製造することを特徴とする燃料の製造方法。
【請求項2】
水分を含む植物片を成形型の内部に設置し、上記成形型の内部を密閉状態にして、上記植物片に対して加熱及び加圧を行う第1工程と、
上記植物片が所定の成形温度及び成形圧力に達した後に、上記成形型の内部と外部とを通気可能にする第2工程と、
所定時間だけ圧力及び温度を保持した後、冷却してから、上記成形型から上記植物片の成形体を取り出すことで燃料を製造する第3工程と、
を含む燃料の製造方法。
【請求項3】
上記燃料の密度が1.14g/cm3以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする燃料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−138253(P2010−138253A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314821(P2008−314821)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(509152482)一般社団法人日越ビジネスサポート (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(509152482)一般社団法人日越ビジネスサポート (1)
【Fターム(参考)】
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