説明

燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置

【課題】簡単な構成で、容易に且つ確実に燃料電池とその検査装置にそれぞれ設けられた連結部材を互いに自動的に連結することができる装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動連結装置は、燃料電池側連結部材10に設けられた係合部12と、検査装置側連結部材11を進退移動させまたは検査装置側連結部材11を燃料電池側連結部材10から離れるように後退するのを規制する駆動手段13と、燃料電池側連結部材10の係合部12と係合可能なチャック部材14を有しており、チャック部材14を燃料電池側連結部材10の係合部12に対して係合させて燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11に近接移動させまたは燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11から離れるように後退するのを規制するチャックユニット15と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置に関し、さらに詳しくは、複数のセルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池の検査装置とにそれぞれ設けられて、互いに連結されることにより電気的に接続される連結部材の自動連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では一般に、複数のセルを積層して構成されており、このセルを積層して組み立てが完了した段階で、規定の電流や電圧で発電しているかなど、その発電量の検査を検査装置によって行っている。組み立てが完了した各燃料電池と検査装置とには、互いに連結されることにより電気的に接続される連結部材がそれぞれ設けられている。そして、従来の技術では一般に、手作業によって連結部材を接合・離脱させていた。
【0003】
また、両連結部材の着脱を自動的に行うための従来の技術として、特許文献1が知られている。特許文献1は、接栓の着脱時における位置ずれ誤差を低減して位置精度を向上させることができ、接栓を破壊することなく電気性能寿命が高められ、製品の流れを中断させずに接栓の着脱を自動的に行うことができる接栓の自動着脱装置を提供することを目的としたものである(0006)。
【0004】
特許文献1には、予め配線パターン(5)の一端に電気的に接続された電子機器(4)を載置した状態でベルトコンベアにより順次搬送されるパレット(3)と、該パレットの停止位置(P)に対する搬入を検出するパレット搬入センサ(26)と、前記パレットに固設され、両側に一次ガイド穴(11)が形成された固定ブロック(10)と、前記配線パターンの他端に電気的に接続された状態で前記固定ブロックに固設され、接続部(7,8)の両側に二次ガイド穴(9)が形成されたパレット側着脱接栓(6)と、前記パレットの停止位置で前記一次ガイド穴と対応する位置に該一次ガイド穴に挿入する一次ガイドピン(21)が設けられた可動ブロック(20)と、該可動ブロックに固設され、前記パレットの停止位置で前記二次ガイド穴と対応する位置に該二次ガイド穴に挿入する二次ガイドピン(24)が設けられた移動側着脱接栓(14)と、両側にガイドロッド(19)を介して前記可動ブロックが接続された本体(16)に設けられ、前記パレット搬入センサの検出に基づいて前記可動ブロックを前記ガイドロッドに沿って移動制御するエアシリンダ(17)と、該エアシリンダの移動量に基づいて前記パレット側着脱接栓に対する前記移動側接栓の抜差状態を検出する接栓抜差センサ(18)とを備えたことを特徴とする接栓の自動着脱装置が開示されている(なお、特許文献1に関する記述については、特許文献1に表記されている符号をそのまま記載する)。
【0005】
そして、特許文献1には、エアシリンダ(17)により移動される移動側着脱接栓(14)の移動方向と、パレット側着脱接栓(6)が設けられたパレット(3)の移動方向とが直交するように配置された接栓の自動着脱装置が記載されている(図1および図2などを参照)。
【0006】
また、特許文献1には、以下のことが記載されている。エアシリンダ17が駆動して可動ブロック20がパレット側着脱接栓6側に前進移動した際には、まず、一次ガイドピン21が固定ブロック10の一次ガイド穴11に挿入され、続いて二次ガイドピン24がパレット側着脱接栓6の二次ガイド穴9に挿入された後、検査側着脱接栓14がパレット側着脱接栓6に接続される。また、エアシリンダ17が駆動して可動ブロック20が本体16側に後退移動すると、2組のガイドピン21,24は二次ガイドピン24、一次ガイドピン21の順にガイド穴9,11から抜かれる(0016)。
【0007】
【特許文献1】実開平6−14975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、エアシリンダ(17)の前進駆動によって検査側着脱接栓(14)をパレット側着脱接栓(6)に押し付けるようにすることのみによって接続するものであるため、パレット側着脱接栓(6)が逃げないように、上述したようにエアシリンダ(17)により移動される移動側着脱接栓(14)の移動方向と、パレット側着脱接栓(6)が設けられたパレット(3)の移動方向とが直交するように配置されていた。つまり、特許文献1では、エアシリンダ(17)により移動される移動側着脱接栓(14)の移動方向と、パレット側着脱接栓(6)が設けられたパレット(3)の移動方向とが平行となるように配置すると、エアシリンダ(17)の前進駆動によって検査側着脱接栓(14)をパレット側着脱接栓(6)に押し付けたときにパレット(3)が逃げるように後退することとなって両接栓を接続できず、その対策としてパレット(3)の後退を規制するための手段を講じる必要が発生する。したがって、特許文献1では、上述したようにエアシリンダ(17)により移動される移動側着脱接栓(14)の移動方向と、パレット側着脱接栓(6)が設けられたパレット(3)の移動方向とが直交するように配置されていたと考えられる。その結果、特許文献1では、検査側着脱接栓(14)とパレット側着脱接栓(6)との着脱時における位置ずれ誤差を低減して位置精度を向上させる必要があり、そのために、パレットの停止位置(P)に対する搬入を検出するパレット搬入センサ(26)を必要とし、さらには、一次ガイドピン(21)と一次ガイド穴(11)、および、二次ガイドピン(24)と二次ガイド穴(9)を必要とするなど、構造が複雑となり、その制御も煩雑となるなどの問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、容易に且つ確実に燃料電池とその検査装置にそれぞれ設けられた連結部材を互いに自動的に連結することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置に係る発明は、上記目的を達成するため、複数のセルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池の検査装置とにそれぞれ設けられて、互いに連結されることにより電気的に接続される連結部材の自動連結装置であって、燃料電池側連結部材に設けられた係合部と、検査装置側連結部材を進退移動させまたはその後退移動を規制する駆動手段と、前記燃料電池側連結部材の係合部と係合可能なチャック部材を有しており、該チャック部材を前記係合部に対して係合させて前記燃料電池側連結部材を検査装置側連結部材に近接移動させまたはその後退移動を規制するチャックユニットと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、燃料電池側連結部材に係合部を設けて、検査装置側に、検査装置側連結部材を進退移動させまたはその後退移動を規制する駆動手段と、前記燃料電池側連結部材の係合部と係合可能なチャック部材を有しており、該チャック部材を前記係合部に対して係合させて前記燃料電池側連結部材を検査装置側連結部材に近接移動させまたはその後退移動を規制するチャックユニットとを設けたことにより、駆動手段によって検査装置側連結部材を燃料電池側連結部材に対して押し付けるだけでなく、チャックユニットのチャック部材が燃料電池側連結部材の係合部に係合してこれを検査装置側連結部材に向かって引き寄せ、または燃料電池側連結部材の後退移動を規制するように作動し、場合によっては検査装置側連結部材が燃料電池側連結部材の移動を規制するようにも作動するため、確実且つ容易に燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を互いに連結させて電気的に接続することができる。
【0012】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当する。
【0013】
(1) 複数のセルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池の検査装置とにそれぞれ設けられて、互いに連結されることにより電気的に接続される連結部材の自動連結装置であって、
燃料電池側連結部材に設けられた係合部と、
検査装置側連結部材を進退移動させまたはその後退移動を規制する駆動手段と、
前記燃料電池側連結部材の係合部と係合可能なチャック部材を有しており、該チャック部材を前記係合部に対して係合させて前記燃料電池側連結部材を検査装置側連結部材に近接移動させまたはその後退移動を規制するチャックユニットと、
を有することを特徴とする燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0014】
(1)項の発明では、検査装置に対して所定の位置に燃料電池側連結部材が位置するよう燃料電池を搬送し、チャックユニットのチャック部材を燃料電池側連結部材の係合部に対して係合させて、駆動手段によって検査装置側連結部材を燃料電池側連結部材に対して押し付けると共に、燃料電池側連結部材を検査装置側連結部材に引き寄せるように近接移動させ、または、検査装置側連結部材の後退を規制した状態でこれに対して燃料電池側連結部材を引き寄せ、あるいは、燃料電池側連結部材を規制した状態でこれに対して検査装置側連結部材を押し付ける。これにより、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材は互いに確実且つ容易に連結されて電気的に接続されることとなる。
【0015】
(2) 前記チャックユニットが連結部材の相対向する位置に対で設けられていることを特徴とする(1)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0016】
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、チャックユニットが連結部材の相対向する位置に対で設けられていることにより、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材が相対的に偏って当たることなく互いに確実且つ容易に連結されて電気的に接続されることとなる。
【0017】
(3) 両連結部材の互いの衝合面に、連結部材が連結したときに嵌合される位置合わせピンと位置合わせ穴がそれぞれ設けられていることを特徴とする(1)または(2)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0018】
(3)項の発明では、(1)または(2)項に記載の発明において、両連結部材の互いの衝合面に、連結部材が連結したときに嵌合される位置合わせピンと位置合わせ穴がそれぞれ設けられていることにより、両連結部材が精度よく位置合わせされた状態で互いに確実且つ容易に連結されて電気的に接続されることとなる。
【0019】
(4) 前記位置合わせピンと位置合わせ穴が複数対で設けられていることを特徴とする(3)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0020】
(4)項の発明では、(3)項に記載の発明において、位置合わせピンと位置合わせ穴が複数対で設けられていることにより、両連結部材がさらに精度よく位置合わせされた状態で互いに確実且つ容易に連結されて電気的に接続されることとなる。
【0021】
(5) 前記複数対で設けられている位置合わせピンと位置合わせ穴が異なる種類の断面形状に形成されていることを特徴とする(4)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0022】
(5)項の発明では、(4)項に記載の発明において、複数対で設けられている位置合わせピンと位置合わせ穴が、たとえば断面円形と矩形など、異なる種類の断面形状に形成されていることにより、両連結部材の向きが間違うことがなく、精度よく位置合わせされた状態で互いに確実且つ容易に連結されて電気的に接続されることとなる。
【0023】
(6) 前記燃料電池側連結部材が、前記燃料電池を前記検査装置に搬送する搬送手段に設けられていることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。
【0024】
(6)項の発明では、(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の発明において、燃料電池側連結部材が、燃料電池を搬送する搬送手段に設けられていることにより、
検査装置に対して所定の位置に燃料電池側連結部材が位置するよう燃料電池を確実に位置合わせして搬送し、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を互いに確実且つ容易に連結し電気的に接続させることができる。
【0025】
(7) (1)〜(6)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置を備えた燃料電池の検査システム。
【0026】
(7)項の発明では、(1)〜(6)項に記載の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置を備えたことにより、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材とを互いに確実且つ容易に連結させて電気的に接続し、各燃料電池を確実且つ容易に検査することが可能な燃料電池の検査システムを提供することができる。
【0027】
(8) 燃料電池を検査装置に対して搬送する方向と、駆動手段およびチャックユニットによって検査装置側連結部材および燃料電池側連結部材を移動させる方向とが平行となるように配置されていることを特徴とする(7)項に記載の燃料電池の検査システム。
【0028】
(8)項の発明では、(7)項に記載の発明において、燃料電池を検査装置に対して搬送する方向と、駆動手段およびチャックユニットによって検査装置側連結部材および燃料電池側連結部材を移動させる方向とが平行となるように配置されていることにより、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材との位置合わせが容易となり、しかも、検査装置側連結部材と燃料電池側連結部材を無理なく互いに接合させるように移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置の実施の一形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明の燃料電池FCと検査装置2の連結部材10,11の自動連結装置1は、燃料電池の検査システムに含まれる。燃料電池の検査システムは、複数のセルを積層してなる燃料電池FCの発電電圧や発電電流などの発電量を検査する検査装置2と、燃料電池FCを検査装置2の近傍の所定の位置Pに搬送する搬送手段3と、燃料電池FCと検査装置2とにそれぞれ設けられた連結部材10、11を自動的に互いに連結して電気的に接続する自動連結装置1とを備えている。
【0030】
本発明の自動連結装置は、概略、燃料電池側連結部材10に設けられた係合部12と、検査装置側連結部材11を進退移動させまたは検査装置側連結部材11を燃料電池側連結部材10から離れるように後退するのを規制する駆動手段13と、燃料電池側連結部材10の係合部12と係合可能なチャック部材14を有しており、チャック部材14を燃料電池側連結部材10の係合部12に対して係合させて燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11に近接移動させまたは燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11から離れるように後退するのを規制するチャックユニット15と、を有している。
【0031】
図4および図5、または図6および図7に示すように、燃料電池FCは搬送手段3に載置される。搬送手段3には後述するように燃料電池側連結部材10が設けられている。燃料電池側連結部材10は、燃料電池FCの出力端子と直接接続され、または、アダプタを介して燃料電池FCの出力端子と接続されている。
【0032】
図3は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11との互いに対向する面をそれぞれ示したものである。したがって、図3においては、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11の位置関係が左右対称となることに注意されたい。図3に示すように、燃料電池側連結部材10の検査装置側連結部材11と対向する面には、この実施の形態では一対の接続端子穴16が形成されている。接続端子孔16の内部には燃料電池FCと接続された接続端子が植設されている。また、燃料電池側連結部材10の検査装置側連結部材11と対向する面であって、互いに隣接していない角部近傍の位置には、この実施の形態では、断面円形と断面矩形の位置合わせ穴17,18が形成されている。さらに、燃料電池側連結部材10の側部の対向する辺には、係合部12が外側に向かって延びるように一対で形成されている。係合部12の裏面は、後述するようにチャック部材14が当接される受け面12aを構成している。なお、係合部12は、燃料電池側連結部材10の側部に外側に向かって延びるように形成されたものに限定されることはなく、チャックユニット15のチャック部材14と係合可能な受け面12aを構成することができるものであれば、たとえば段部や凹部など、他の形状とすることもできる。
【0033】
図3に示すように、検査装置側連結部材11の燃料電池側連結部材10と対向する面であって、燃料電池側連結部材10の接続端子穴16と対応する位置には、一対の接続端子19が植設されている。接続端子19は検査装置2の入力ケーブルと接続されている。また、検査装置側連結部材11の燃料電池側連結部材10と対向する面であって、互いに隣接していない角部近傍の燃料電池側連結部材10の位置合わせ穴17,18と対応する位置には、位置合わせ穴17,18の断面形状と対応する断面形状の位置合わせピン20,21が立設されている。なお、本発明は、燃料電池側連結部材10に接続端子穴16を設けると共に検査装置側連結部材11に接続端子19を設けることに限定されることはなく、燃料電池側連結部材10に接続端子19を設けると共に検査装置側連結部材11に接続端子穴16を設けることもでき、また、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11に接続端子穴16と接続端子19を一対で設けることに限定されることはなく、燃料電池FCの出力端子の数や検査装置2の入力ケーブルの配線の数などに応じて設けることができる。
【0034】
図1は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が接続されていない状態の平面図であり、図2は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が接続された状態の平面図である。図1および図2において示されたベースプレート22は、検査装置2の燃料電池FCが搬送される側の面に設けられている。ベースプレート22の背面ほぼ中央には、駆動手段を構成するシリンダ13が設けられている。シリンダ13の駆動ロッド13aは、ベースプレート22に形成された孔を通って、その先端が検査装置側連結部材11の燃料電池側連結部材10と反対側の面のほぼ中央に連結されている。さらに、検査装置側連結部材11の燃料電池側連結部材10と反対側の面の両端にはガイドロッド23が設けられており、このガイドロッド23が挿通されてこれを摺動可能に支持するブッシュ24がベースプレート22に設けられている。
【0035】
ベースプレート22の両端側には、それぞれチャックユニット15が設けられている。この実施の形態におけるチャックユニット15は、駆動ロッド25aをその軸方向に伸縮駆動することができると共にその軸回りに回転駆動することができるロータリシリンダ25と、駆動ロッド25aの先端に設けられたアーム26と、アーム26の検査装置側の面に設けられたチャック部材14とを備えている。チャック部材14は、アーム26に対してねじ結合されており、軸周りに回転させることによってアーム26に対する軸方向の位置を調整することができる。また、チャック部材14の、係合部12の受け面12aと接する先端面は、所定の曲率を有する球面に形成されている。なお、チャックユニット15とそのチャック部材14は、燃料電池側連結部材10の係合部12と係合して、燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11に近接移動させまたはその後退移動を規制することができるものであればよく、この実施の形態に限定されることはない。他のチャックユニット15としては、たとえば、チャック部材14を図1および図2の上下方向に移動させるシリンダと、このシリンダを図1および図2の左右方向に移動させるシリンダとにより構成することもでき、また、チャック部材14をバキュームカップにより構成して、このバキュームカップをシリンダの駆動ロッドの先端に設けて図1および図2の左右方向に移動させるよう構成することもできる。
【0036】
次に、燃料電池の検査システムの搬送手段3の実施の一形態について、図4および図5に基づいて説明する。なお、図4は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が連結されていない状態の正面図であり、図5は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が連結された状態の平面図である。
搬送手段3は燃料電池FCが載置されてこれを支持するパレット30と、パレット30を支持してこれを検査装置2に対して所定位置Pに搬入し、検査が終了したときにパレット30を所定位置Pから搬出するローラコンベア31とを備えている。パレット30には、燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11と対応する位置に支持するための支持部材32と、燃料電池側連結部材10と燃料電池FCを接続するための配線とが設けられている。ローラコンベア31は、パレット30に載置された燃料電池FCをシリンダ13およびロータリシリンダ25の駆動ロッド13a、25aの伸縮方向と平行に移動させるよう配設されている。
【0037】
次に、燃料電池の検査システムの搬送手段の別の実施の形態について、図6および図7に基づいて説明する。なお、図6は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が連結されていない状態の正面図であり、図7は、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11が連結された状態の平面図である。
搬送手段3は燃料電池FCが載置されてこれを支持し、検査装置2に対して所定位置Pに進入移動し、検査が終了したときに所定位置Pから退避移動する台車35を備えている。台車35には、燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11と対応する位置に支持するための支持部材32と、燃料電池側連結部材10と燃料電池FCを接続するための配線とが設けられている。台車35の移動方向は、載置された燃料電池FCをシリンダ13およびロータリシリンダ25の駆動ロッド13a、25aの伸縮方向と平行に移動させるよう設定されている。
【0038】
次に、以上のように構成された検査システムの、燃料電池FCの検査を行う際の作動を説明する。
組み立てが完了した燃料電池FCは、図4および図5に示した実施の形態の場合、パレット30に載置してその出力端子を燃料電池側連結部材10の接続端子穴16内の接続端子と接続し、支持部材32に支持された燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11と対向させるようにパレット30をローラコンベア31上に載置して、ローラコンベア31を駆動することによりパレット30の燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11に向かって所定の位置Pまで近接移動させる(図4)。
【0039】
また、図6および図7に示した実施の形態の場合には、組み立てが完了した燃料電池FCを台車35に載置してその出力端子を燃料電池側連結部材10の接続端子穴16内の接続端子と接続し、支持部材32に支持された燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11と対向させて台車35を前進移動させることにより、台車35の燃料電池側連結部材10を検査装置側連結部材11に向かって所定の位置Pまで近接移動させる(図6)。
【0040】
このとき、図1に示すように、シリンダ13が退縮して検査装置側連結部材11が検査装置2側に後退し、チャックユニット15のロータリシリンダ25がチャック部材14を係合部材12に干渉しないように回転させると共に退縮した状態とされている。
【0041】
燃料電池側連結部材10が検査装置側連結部材11と対向した状態で所定の位置Pまで近づき停止すると、図2に鎖線で示すように、チャックユニット15のロータリシリンダ25が伸長駆動され、続いてその駆動ロッド25aを軸回りに回転駆動させ、アーム26に設けられたチャック部材14を係合部材12の受け面12aと対向させる。
【0042】
続いて、シリンダ13を伸長駆動して検査装置側連結部材11を燃料電池側連結部材10に向かって前進移動させ、これと同時または僅かに前後して、チャックユニット15のロータリシリンダ25の駆動ロッド25aを退縮駆動してチャック部材14を係合部材12の受け面12aに当接し、燃料電池側連結部材10を検査相違側連結部材11に引き寄せる。燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11とはシリンダ13とロータリシリンダ25の駆動によって互いに押し付けられるため、両連結部材10,11の一方の接続端子19が他方の連結部材11,10の接続端子穴16に自動で確実に挿入されて、確実に互いの接続端子が電気的に接続されることとなる。
【0043】
また、本発明は、シリンダ13の駆動ロッド13aを退縮させないようにロックするなどして検査装置側連結部材11の後退を規制した状態で、チャックユニット15のロータリシリンダ25の駆動ロッド25aを退縮駆動してチャック部材14を係合部材12の受け面12aに当接し、燃料電池側連結部材10を検査相違側連結部材11に向かって引き寄せることにより、あるいは、チャックユニット15のロータリシリンダ25の駆動ロッド25aを伸長させないようにロックした状態で、シリンダ13を伸長駆動して検査装置側連結部材11を燃料電池側連結部材10に向かって前進させ、チャック部材14に係合部材12の受け面12aを当接させて燃料電池側連結部材10の後退を規制し、検査装置側連結部材11をさらに燃料電池側連結部材10に対して押し付けることにより、自動的に接続端子19を接続端子穴16に挿入して、互いの接続端子を電気的に確実に接続させることもできる。
【0044】
そして、チャックユニット15がベースプレート22の両端の相対向する位置に一対で設けられて、各チャック部材14,14が燃料電池側連結部材10の係合部12にそれぞれ係合することから、燃料電池側連結部材10が検査装置側連結部材11に対して偏って当たることがなく、したがって、接続端子19と接続端子穴16との傾きによる破損を防止することができる。さらには、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11の互いに隣接していない角部近傍には、位置合わせ穴17,18と位置合わせピン20,21が対応して配設されており、しかも、断面形状が円形と矩形の2種類の位置合わせ穴17,18と位置合わせピン20,21を組み合わせたことによって、接合すべき接続端子とは異なる接続端子19を接続端子孔16に誤って接合することが防止される。
【0045】
燃料電池FCの所定の検査が終了すると、チャックユニット15のロータリシリンダ25の駆動ロッド25aを僅かに伸長駆動した後に、その駆動ロッド25aを軸回りに回転駆動させて、チャック部材14を係合部材12の受け面12aの対応位置から退避させ、必要に応じて図1に示したように、ロータリシリンダ25の駆動ロッド25aを退縮駆動して駆動ロッド25aを後退させる。また、シリンダ13の駆動ロッド13aを退縮駆動して検査装置側連結部材11を検査装置2側に後退させて燃料電池側連結部材10との連結を解除する。そして、搬送手段3によって検査が終了した燃料電池FCを検査装置2の近傍の所定の位置Pから搬出し、次に検査する燃料電池FCを検査装置2の近傍の所定の位置Pに搬入する。
【0046】
本発明では、搬送手段3による燃料電池側連結部材10の移動方向と、シリンダ13およびロータリシリンダ25による検査装置側連結部材11の移動方向とが平行となるように配置されているため、燃料電池側連結部材10が設けられたパレット30や台車35を検査装置2の近傍の所定の位置Pに対して精度よく搬入して位置決めする必要がなく、燃料電池側連結部材10と検査装置側連結部材11とを自動で確実に互いに連結して燃料電池FCと検査装置2とを電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による自動連結装置の実施の一形態において、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材とが連結されていない状態を説明するために示した平面図である。
【図2】図1の状態から燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材とを連結させた状態を説明するために示した平面図である。
【図3】燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材の互いに接合される対向面を説明するためにそれぞれ示した正面図である。
【図4】本発明の自動連結装置を含む燃料電池の検査システムの実施の一形態を説明するために示した、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を連結していない状態の正面図である。
【図5】図4に示した燃料電池の検査システムの、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を連結した状態の平面図である。
【図6】本発明の自動連結装置を含む燃料電池の検査システムの別の実施の形態を説明するために示した、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を連結していない状態の正面図である。
【図7】図6に示した燃料電池の検査システムの、燃料電池側連結部材と検査装置側連結部材を連結した状態の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1:自動連結装置、 2:検査装置、 3:搬送手段、 10:燃料電池側連結部材、 11:検査装置側連結部材、 12:係合部、 12a:受け面、 13:シリンダ(駆動手段)、 14:チャック部材、 15:チャックユニット、 17:断面円形の位置合わせ穴、 18:断面矩形の位置合わせ穴、 20:断面円形の位置合わせピン、 21:断面矩形の位置合わせピン、 25:ロータリシリンダ、 30:パレット、 31:ローラコンベア、 35:台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池の検査装置とにそれぞれ設けられて、互いに連結されることにより電気的に接続される連結部材の自動連結装置であって、
燃料電池側連結部材に設けられた係合部と、
検査装置側連結部材を進退移動させまたはその後退移動を規制する駆動手段と、
前記燃料電池側連結部材の係合部と係合可能なチャック部材を有しており、該チャック部材を前記係合部に対して係合させて前記燃料電池側連結部材を検査装置側連結部材に近接移動させまたはその後退移動を規制するチャックユニットと、
を有することを特徴とする燃料電池と検査装置の連結部材の自動連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−61831(P2010−61831A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223306(P2008−223306)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】