燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システム
【課題】耐風性を向上させることができる燃料電池システムの排ガス排出装置を提供する。
【解決手段】この排ガス排出装置300は、燃料電池を収容する筐体50に設けられ、外気に連通する排気口401をもつ排気マフラ部材400と、排気マフラ部材400に対向するように筐体50に設けられ燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出す吹出口501をもつ吹出管500とを有する。相対表示で、排気口401の開口面積を100とするとき、排気口401および吹出口501の対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの30以下に設定されている。
【解決手段】この排ガス排出装置300は、燃料電池を収容する筐体50に設けられ、外気に連通する排気口401をもつ排気マフラ部材400と、排気マフラ部材400に対向するように筐体50に設けられ燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出す吹出口501をもつ吹出管500とを有する。相対表示で、排気口401の開口面積を100とするとき、排気口401および吹出口501の対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの30以下に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、一般的に、収容室をもつ筐体と、筐体の収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質器と、筐体の収容室に配置されアノードガスが供給される燃料電池のスタックとを有する。このような燃料電池システムを収容する筐体の壁には、改質器の排ガス、スタックのアノードオフガスを燃焼させた排ガスを排出させるための排気口が設けられている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−140165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した排気口の耐風性は必ずしも充分ではなく、外部の風等が排気口に吹き込むと、排ガスを排気口から排出させる能力が低下するおそれがある。場合によっては、排気口から外気に排出されるはずの排ガスが内部に逆流してしまうおそれがある。この場合、燃料電池システムの円滑な発電運転が妨げられるおそれがある。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、耐風性を向上させることができる燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)様相1の本発明に係る燃料電池システムの排ガス排出装置は、(i)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、(ii)排気マフラ部材に対向するように筐体に設けられ、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備しており、(iii)相対表示で、排気口の開口面積を100とするとき、吹出口の中心軸線と平行な方向において、排気口および吹出口が対面する対面重合度は、排気口の開口面積のうちの30以下に設定されていることを特徴とする。
【0006】
(2)様相2の本発明に係る燃料電池システムは、(i)収容室をもつ筐体と、(ii)筐体の収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質部と改質部を加熱する燃焼部とを有する改質器と、(iii)筐体の前記収容室に配置されアノードガスが供給されるアノードとカソードガスが供給されるカソードとを有する燃料電池のスタックと、(iv)筐体の収容室に配置され改質器の燃焼部またはスタックから排出された排ガスを外気に向けて排出させる排ガス排出管と、(v)筐体の外壁面に取り付けられ排ガス排出管に連通する排ガス排出装置とを具備しており、排ガス排出装置は、前記した様相に係る排ガス排出装置であることを特徴とする。
【0007】
(3)排ガスは、燃料電池システムの発電運転で発生すると共に排出されるべきガスである。排ガスとしては、改質器の排ガス、燃料電池のカソードガスの排ガス、燃料電池のアノードガスガスの排ガスが例示される。
【0008】
排気口および吹出口の対面重合度は、排ガス排出装置において、吹出口の中心軸線と平行な方向において、マフラ部材の排気口および吹出管の吹出口が互いに対面して重なりあっている度合を意味する。相対表示で排気口の開口面積を100とするとき、対面重合度は30以下、20以下、10以下が好ましい。更には5以下、0が好ましい。この場合、耐風性を高めるためには、排気マフラ部材の排気口および吹出管の吹出口は、互いに逆方向に指向して開放していることが好ましい。この場合、吹出管の中心軸線を挟むように、排気口および吹出口が配置されていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、次の態様が採用できる。
【0010】
・吹出管の中心軸線に沿って吹出管の中心軸線を通る断面において、排気口の中心軸線と吹出管の中心軸線とは交差することが好ましい。この場合、排気口および吹出口の対面重合度を低下させることができるので、排ガス排出装置の耐風性を向上させることができる。
【0011】
・排気マフラ部材および吹出管は連結されていることが好ましい。この場合、排気マフラ部材および吹出管は一体品となり、ユニット化されている。
【0012】
・排気マフラ部材は、筐体に対して方向変換可能とされていることが好ましい。この場合、排気口の向きを変更させることができるので、排ガス排出装置の耐風性を調整させることができる。
【0013】
・好ましくは、吹出管は逃水通路を有する。逃水通路は、排気マフラ部材の排気室と吹出管の内部とを連通させ、且つ、排気マフラ部材の排気室に存在する水を吹出管の内部に逃がす。この場合、排気マフラ部材の排気室に存在する水を、逃水通路を介して、吹出管の内部に逃がすことができる。
【0014】
・好ましくは、吹出管の吹出口は排気マフラ部材の排気室に突出しており、高さ方向において、吹出管の吹出口の下端は、排気室に存在する水を排気マフラ部材の排気口の下端よりも低い位置に設定されている。この場合、排気マフラ部材の排気室に存在する水を、吹出管の吹出口を介して、吹出管の内部に逃がすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、耐風性を向上させることができる燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
図1〜図3は実施形態1を示す。排ガス排出装置300は、燃料電池システムで発生する排ガスを外気に排出させるものである。図1に示すように、排ガス排出装置300は、燃料電池を収容する筐体50の平坦状をなす水平方向に延びる取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300は、外気に連通するための排気口401をもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400と、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501をもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500とを有する。
【0017】
図1に示すように、排気マフラ部材400は、吹出管500を突出させた円盤型をなしており、空洞状の排気室410を形成するように、第1部材402と第2部材403とを溶接、接着剤または螺子止め等で結合して形成されている。ここで、排気マフラ部材400は、中央に設けられた空洞状の排気室410と、排気室410の回りに径外方向および周方向に延設された鍔状をなす取付鍔部412と、取付鍔部412に形成された複数の取付孔414とを有する。図2に示すように、取付鍔部412において、取付孔414は、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。但し2個に限定されるものではなく、必要に応じて3個以上、4個以上、6個以上とすることもできる。
【0018】
図1に示すように、筐体50の取付壁部59においても、これを貫通するように挿入口590が形成され、挿入口590の回りに複数の被取付孔599が形成されている。筐体50の収容室50xには、排ガス放出管580が挿入口590の下方に位置して設けられている。ここで図1に示すように、排ガス放出管580の先端部580aは鉛直方向に沿っており、筐体50の取付壁部59の挿入口590に対面している。排ガス放出管580の先端部580aには、リング状をなすシール保持部581が形成されている。シール保持部581には、シール材料で形成されたリング状をなすシール部材582が取り付けられている。筐体50の取付壁部59の内面側には、ナット状をなす締結具460が溶接などで固定されている。なお、排ガス放出管580の他端部は、凝縮器を介して改質器の燃焼部に繋がる。よって改質器の燃焼部で燃焼された燃焼排ガスが排ガス放出管580から放出される。
【0019】
図1に示すように、排気マフラ部材400および吹出管500は、溶接、接着剤または螺子止め等でほぼ同軸的に連結されて一体品となり、ユニット品430とされている。ここで、吹出管500の先端部580aの中心軸線PAは、排気マフラ部材400の取付鍔部412に対してほぼ直交状態に延設されている。
【0020】
上記した排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けるにあたっては、図1に示すように、ユニット品430のうち円筒形状をなす吹出管500の先端部500aを、筐体50の取付壁部59の挿入口590に挿入させる。更に、雄螺子部445cを有する取付具445を弾性シール部材440を介して取付鍔部412の被取付孔599に挿入する。これにより取付具445の雄螺子部445cを、筐体50の取付壁部59の内面59i側の締結具460の雌螺子部460fに螺合させる。これにより図3に示すように、排ガス排出装置300(ユニット品430)を筐体50の取付壁部59に着脱可能に取り付ける。
【0021】
ここで、締結具460は、筐体50の取付壁部59の内面側に固定されていなくても良く、要するに、筐体50の取付壁部59の内面側に配置されていれば良い。なお、雌螺子部を有する締結具460を廃止し、筐体50の取付壁部59に直接的に雌螺子部を形成しても良い。
【0022】
上記したように排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けるにあたり、図3から理解できるように、ユニット品430の吹出管500の先端部500aは、排ガス放出管580の内部に挿入される。このとき、吹出管500の先端部500aの外周壁面は、排ガス放出管580の先端部580aのシール部材582の内周部に当たる。よって吹出管500と排ガス放出管580とは気密状態および/または液密状態にシールされる。さらに、排ガス排出装置300と筐体50の取付壁部59との間についても、挿入口590は弾性シール部材440により気密状態および/または液密状態にシールされる。この場合、排ガスの圧力が脈動するときであっても、シール部材582および弾性シール部材440のダンパー機能により、吹出管500等の異状振動なども抑制される。
【0023】
図3は、排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けた状態を示す。図3は、吹出管500の中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。図3において、吹出管500の中心軸線PAは、鉛直線に沿って上下方向に延びている。吹出管500の吹出口501は横向きに指向し排気マフラ部材400の壁400wに対向しており、結果として、排気マフラ部材400の排気室410において横向きに開放されている。従って図3から理解できるように、排ガス放出管580を流れた排ガスは、吹出管500の先端の閉鎖壁502に当たりつつ、吹出管500の吹出口501から吹き出され、横方(矢印X1方向)に向けて吐出された後、排気マフラ部材400の壁400wの内壁面に衝突し、更に中心軸線PAの回りに沿って矢印XF方向に吹出管500の周壁503の回りを流れ、排気口401から外気700に向けて矢印X2方向に放出される。排ガスは吹出管500の先端の閉鎖壁502に衝突するとき、衝突性が高いため、排ガスに含まれている水分を落下させ易くなる。閉鎖壁502の内面に付着した水滴は、重力により吹出管500内を落下し易くなる。ここで本実施形態によれば、吹出口501の中心軸線をPC(図2参照)として示す。相対表示で、排気マフラ部材400の排気口401の開口面積を100とするとき、中心軸線PCと平行な方向において、排気口401および吹出口501が対面する対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの20以下に設定されている。具体的には、図2に示すように、吹出管500の吹出口501および排気マフラ部材400の排気口401は互いに逆方向に指向して開放しており、排気口401および吹出口501は互いに対面していない。すなわち、図2から理解できるように、吹出管500の中心軸線PAを挟むように、排気口401および吹出口501が配置されている。
【0024】
従って、相対表示で、排気マフラ部材400の排気口401の開口面積を100とするとき、吹出口501の中心軸線PCと平行な方向において、排気口401および吹出口501が対面する対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの実質的に0である。従って、排ガス排出装置300の耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の強風が排ガス排出装置300の排気口401に吹き込むときであっても、その風が吹出口501から吹出管500の内部に直接的に吹き込むことが抑制される。更に、雨水が吹出口501から吹出管500の内部に直接的に吹き込むことも抑制される。
【0025】
図3に示すように、吹出管500の先端部500aの先端(上端)に閉鎖壁502が設けられている。吹出管500の閉鎖壁502および吹出管500の周壁503は、排気マフラ部材400の排気口401に対面している。このため外気700の風が排気マフラ部材400の排気口401から排気室410に吹き込むときであっても、周壁503は邪魔板機能を発揮し、吹出管500の閉鎖壁502および吹出管500の周壁503は、排気口401から排気室410に吹き込む風、雨水に対向することができる。この意味においても耐風性、耐雨水性が向上している。
【0026】
かりに排気マフラ部材400の排気室410に凝縮水がたまったとしても、排気マフラ部材400の底部401rと吹出口501の下辺501dとは同じ高さである。このため、底部401rに溜まった凝縮水などの水は吹出口501の下辺501dから排ガス放出官580内に流入する。
【0027】
このように排ガス排出装置300の耐風性を向上させれば、吹出管500が連通する改質器の燃焼部における燃焼反応が良好に維持され、燃焼部の燃焼反応の安定化、改質部の温度の安定化を図り得る。ひいては改質ガス(アノードガス)の組成の安定化を図ることができ、燃料電池システムの発電運転が良好に維持される。この意味において耐風性の向上は重要である。
【0028】
本実施形態によれば、排ガス排出装置300を筐体50に組み付けるに当たり、ユニット品430の取付鍔部412を吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させれば、ユニット品430を構成する排気マフラ部材400の排気口401の方向を所定角度(180度)変更することができる。この場合、排気マフラ部材400および吹出管500は一体に連結されているため、排気マフラ部材400の排気口401の方向が周方向において変更される。すると、吹出管500の吹出口501の指向方向は、排気マフラ部材400の排気口401の指向方向の変更に対応させて変更される。従って、ユニット品430の取付鍔部412を吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させたとしても、排気口401および吹出口501は互いに対面しておらず、互いに逆方向に指向している状態が維持されるため、排ガス排出装置300の耐風性を維持することができる。
【0029】
筐体50の設置場所としては、筐体50の長手方向が家屋等の建築物の壁に沿うように設置されることが多い。建築基準法によれば、家屋等の建築物と筐体50の排気口401との間の距離を確保する必要がある。距離は排気口401の向きによって異なる。建築物の壁と排気口401との距離が確保できない場合には、排気口401の向きを変更すれば、筐体50が設置可能となることがある。従って、本実施形態のように、排気口401の向きを変更できれば、設置自由度が拡大される利点が得られる。
【0030】
本実施形態によれば、図3に示すように、排気マフラ部材400の取付鍔部412は、吹出管500に対して径外方向に延設されており、筐体50の取付壁部59に対して設置面積を増加させることができる。従って、筐体50の取付壁部59に対して排ガス排出装置300の設置性および取付性を向上させることができる。故に、万一、吹出管500の吹出口501から吹き出される排ガスに脈動が有するときであっても、排ガス排出装置300の異状振動、ガタツキ等が効果的に抑えられる。殊に、排気マフラ部材400の取付鍔部412は、吹出管500に対して径外方向の他に周方向にも連続して延設されているため、筐体50の取付壁部59に対して設置面積を増加させることができる。従って、筐体50の取付壁部59に対して排ガス排出装置300の設置性および取付性を一層向上させることができる。
【0031】
更に、吹出管500の先端部500aの外周壁面は、排ガス放出管580の先端部580aのシール部材582の内周部に当たってシールされている。このため前述したように、万一、吹出管500の吹出口501から吹き出される排ガスに脈動が発生するときであっても、排ガス排出装置300の異状振動等が抑えられる。更には、排ガス排出装置300と筐体50の取付壁部59との間についても、弾性シール部材440によりシールされているため、排ガス排出装置300の異状振動等が抑えられる。
【0032】
更に本実施形態によれば、吹出管500および排気マフラ部材400は互いに連結されて一体化されている。このため、吹出管500の吹出口501および排気マフラ部材400の排気口401が互いに逆方向に指向している構造が半永久的に維持される。従って、メンテナンス時に、排気口401および吹出口501が誤って互いに対面した状態で排ガス排出装置300が筐体50に取り付けられてしまうといった不具合が抑えられる。このため耐風性を半永久的に維持できる。吹出管500および排気マフラ部材400は互いに連結されて一体化されており、ユニット品とされており、取付具445を離脱させれば、筐体50に対して容易に交換可能である。
【0033】
本実施形態によれば、図1に示すように、吹出口501の開口幅はW1で示され、排気口401の開口幅はW2で示される。吹出管500の先端部500aが延設されている方向において、つまり、高さ方向(矢印H方向)において、吹出口501および排気口401は互いに重複していない位置に形成されている。このため耐風性を一層向上させることができる。
【0034】
また本実施形態によれば、図3に示すように、円盤型をなす排ガス排出装置300の取付鍔部412の外径はDAとして示され、排気室410の室高さはHAとして示される。ここで、DA/HA=3〜20の範囲内、4〜100の範囲内、殊に4〜6の範囲内とされている。これにより筐体50の取付壁部59に組み付けられている状態における排ガス排出装置300の偏平化を実現でき、外気700への過剰突出が抑制されている。従って、筐体50と建築物の壁とを接近させたときであっても、筐体50付近に存在する建築物の器具等に排ガス排出装置300が衝突したり干渉したりすることが抑制されている。なお、図3に示すように、吹出管500の先端部500aは、筐体50の収容室50x内に向けて配向しており、この意味においても、外気700への過剰突出が抑制されている。
【0035】
なお、筐体50の取付壁部59が水平方向に延設されている本実施形態によれば、吹出管500の中心軸線PAは鉛直方向に沿っている。取付壁部59の向きが変化していれば、それに応じて吹出管500の中心軸線PAも調整される。
【0036】
(実施形態2)
図4〜図6は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、共通する部位には共通する符号を付する。本実施形態においても、排ガス排出装置300Bは、燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体50の取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300Bは、外気700に連通するための排気口401Bをもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400Bと、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501Bをもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500Bとを有する。
【0037】
図4は、吹出管500B(吹出口501B)の中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。中心軸線PAは鉛直方向に沿っている。但し、水平方向に沿っていても良い。図4に示すように、吹出管500B(吹出管500Bの吹出口501B)の中心軸線PAと排気口401Bの中心軸線PBとは、互いに交差する。具体的には、両者はほぼ直交状態に交差する。従って、吹出管500Bの先端に設けられている吹出口501Bは、排気マフラ部材400Bの排気室410B内において鉛直方向において上向きに開放している。これに対して、排気マフラ部材400Bの排気口401Bは鉛直方向に対して横方に開放している。このように吹出口501Bおよび排気口401Bは、互いに対面しないように、それぞれ異なる方向に開放している。更に、図4に示すように、吹出管500B(吹出口501B)の中心軸線PAが延びる方向において、すなわち、高さ方向(矢印H方向)において、吹出口501Bと排気口401Bの上端との間には、ずれ量ΔHが設けられており、吹出口501Bと排気口401Bとは、中心軸線PAが延びる方向において重複しない配置とされている。この場合、耐風性を向上させることができる。
【0038】
上記した本実施形態によれば、相対表示で、排気マフラ部材400Bの排気口401Bの開口面積を100とするとき、吹出口501Bの中心軸線PA(図4参照)と平行な方向において、排気口401Bおよび吹出口501Bが対面する対面重合度は、排気口401Bの開口面積のうちの30以下に設定されている。具体的には、図4に示すように、前述したように、吹出口501Bおよび排気口401Bは互いに異なる方向に開放しており、排気口401Bおよび吹出口501Bは互いに対面していない。従って、相対表示で、排気マフラ部材400Bの排気口401Bの開口面積を100とするとき、吹出口501Bの中心軸線PA(図4参照)と平行な方向において、排気口401Bおよび吹出口501Bが対面する対面重合度は、排気口401Bの開口面積のうちの実質的に0である。従って、排気口401Bから風が吹き込むときであっても、排気口401Bに対面する吹出管500Bの周壁503が邪魔板機能を発揮し、排ガス排出装置300Bの耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の風が排ガス排出装置300Bの排気口401Bに吹き込むときであっても、その風が吹出口501Bから吹出管500Bの内部に直接的に吹き込むことが抑制される。
【0039】
図4に示すように、吹出管500Bの吹出口501Bは、排気マフラ部材400Bの排気室410Bの内壁面460に間隔ΔKを隔てて対向している。ここで、内壁面460は、吹出口501Bに直接的に対面する衝突壁面461と、衝突壁面461の回りに形成された傾斜壁面462とを有する。衝突壁面461は、吹出口501Bの中心軸線PAに対して交差(直交)する方向に沿って延設されており、吹出口501Bから吹き出される排ガスの衝突性を高めている。また、傾斜壁面462は、吹出口501Bに近づくにつれて内径が増加するように円錐状に傾斜している。
【0040】
ここで、吹出口501Bから矢印X1方向に吹き出された排ガスは、排気室410Bの内壁面460に当たると、排気室410のうち傾斜壁面462に沿って吹出管500Bの全周囲のリング状の空間463に流れ、更に排気口401Bから矢印X2方向に外気700に向けて排出される。図4に示すように、吹出口501Bから吹き出された排ガスは、排気室410Bの内壁面460にほぼ直角状態に衝突するため、高い湿度を有するウェット状態の排ガスの正面衝突性を高くできる。故に、ウェット状態の排ガスに含まれている水分を衝突により振り落とすのに貢献できる。しかも衝突後、排ガスを傾斜壁面462に沿って排気口401Bに向けて案内できる。衝突壁面461に付着した水滴は吹出管500B内を重力により落下する。
【0041】
図5および図6に示すように、排気マフラ部材400Bは複数の取付鍔部412Bを有する。そして、筐体50の取付壁部59の外面および内面の双方にシール部材582Bを配置した状態で、排気マフラ部材400Bの取付鍔部412Bを介して取付具445Bを筐体50の取付壁部59に取り付ける。これにより排ガス排出装置300Bを筐体50の取付壁部59に着脱可能に取り付ける。
【0042】
(実施形態3)
図7は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態2と基本的には同様の構成および作用効果を有する。燃料電池システムの関係上、吹出口501Bから排出される排ガスは、凝縮器を経た後に外気700に排出されるものの、まだ高い湿度をもち、凝縮水を生成させ易い性質を有する。図7に示すように、吹出管500Bを構成する周壁において、当該周壁を貫通させるように、小孔状をなす単数または複数の第1逃水通路591が形成されている。第1逃水通路591はシール部材582Bよりも先方(上方)に位置しており、吹出管500Bの内周面と外周面とをこれの厚み方向に連通させている。従って、排気室410Bに過剰に溜まった水は、排気室410Bから第1逃水通路591を介して矢印X5方向に吹出管500Bの通路内に逃がすことができ、ひいては、吹出管500Bの他端側に設けられている凝縮器の内部の凝縮水貯留室に逃がすことができる。
【0043】
また図7に示すように、吹出管500Bの外周側には、トラップ室594をもつ容器状をなすトラップ部595が設けられている。シール部材582Bは、排気室410Bとトラップ室594とを連通させるための第2逃水通路592を形成している。従って、排気マフラ部材400Bの排気室401Bに存在する水(凝縮水)は、重力によりシール部材582Bの第2逃水通路592を流下し、トラップ部595のトラップ室594に溜まる。トラップ室594内の水は、筐体50の収容室50x内の空気により暖められて自然乾燥される。なお、収容室50xは改質器およびスタックのうちの一方または双方を収容しているため、燃料電池システムの発電運転においては暖かく、トラップ室594内の水を自然乾燥させ得る。
【0044】
(実施形態4)
図8〜図11は実施形態4を示す。本実施形態においても、排ガス排出装置300Cは、燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体50の水平方向に沿っている取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300Cは、外気700に連通するための複数に分散された排気口401Cをもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400Cと、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501Cをもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500Cとを有する。
【0045】
図8に示すように、排気マフラ部材400Cは、中央に空洞状の排気室410Cを有すると共に、排気室410Cの回りに径外方向および周方向に延設された鍔状をなす取付鍔部412Cと、取付鍔部412Cに形成された複数の取付孔414Cとを有する。図11に示すように、取付孔414Cは、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。筐体50の取付壁部59においても挿入口590が形成され、挿入口590の回りに複数(2個の)の被取付孔599が均等間隔で形成されている。
【0046】
図10は排ガス排出装置300Cを組み付ける状態を示す。図10に示すように、吹出管500Cは、筐体50の収容室50xに配置されている。吹出管500Cの吹出口501Cは、収容室50xから遠ざかる方向に筐体50の取付壁部59から外気700側に突出していると共に、横方向(矢印X1方向)に指向している。排気マフラ部材400Cのリング状をなす底壁部416Cには、シール材料で形成されたリング状をなす弾性シール部材440Cが設けられている。弾性シール部材440Cは、吹出管500Cの先端部500aが挿入(圧入)される中央孔441Cを有する。
【0047】
図8は、排ガス排出装置300Cを筐体50の取付壁部59に取り付けた状態を示す。図8は、吹出管500Cの中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。図8において、吹出管500Cの中心軸線PAは、鉛直方向に沿って延びている。吹出管500Cの吹出口501Cは、排ガス排出装置300の排気室410Cにおいて横方向(矢印X1方向)に開放されている。従って図8から理解できるように、吹出管500Cの吹出口501Cから横方向(矢印X1方向)に吹き出された排ガスは、その後、排気マフラ部材400Cの内壁面に衝突し、更に排気マフラ部材400Cの複数の排気口401Cから矢印X2方向に外気700に向けて放出される。吹出口501Cの中心軸線をPD(図8参照)として示す。
【0048】
ここで本実施形態によれば、相対表示で、排気マフラ部材400Cの排気口401Cの合計開口面積を100とするとき、吹出口501Cの中心軸線PDと平行な方向において、排気口401Cおよび吹出口501Cが対面する対面重合度は、排気口401Cの開口面積のうちの30以下に設定されている。具体的には、図8に示すように、吹出口501Cおよび排気口401Cは、互いに逆方向に指向している。つまり、排気口401Cおよび吹出口501Cは互いに対面していない。従って、相対表示で、排気マフラ部材400Cの排気口401Cの開口面積を100とするとき、吹出口501Cの中心軸線PDと平行な方向において、排気口401Cおよび吹出口501Cが対面する対面重合度は、排気口401Cの開口面積のうちの実質的に0である。従って、排ガス排出装置300Cの耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の強風が排ガス排出装置300Cの排気口401Cに吹き込むときであっても、その強風が吹出口501Cに直接吹き込むことが抑制される。
【0049】
本実施形態によれば、図11から理解できるように、排ガス排出装置300Cを筐体50に組み付けるに当たり、排ガス排出装置300の取付鍔部412Cを吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させれば、排気マフラ部材400Cの排気口401Cが指向する方向を変更することができる。なお、排気室410Cの底壁部416Cに水が溜まったとき、その水は、吹出口501Cから矢印X7方向(図8参照)に吹出管500Cの内部に逃がされる。このため高さ方向(矢印H方向)において、吹出管500Cの吹出口501Cの下端500uは、排気口401Cの下端401uよりも低い位置に設定されている。
【0050】
(実施形態5)
図12は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態4と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、共通する部位には共通の符号を付する。本実施形態によれば、図12に示すように、取付鍔部412Cに形成されている取付孔414Cは、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。これに対して筐体50に形成されている被取付孔599は中心軸線PAに対して所定角度(90度)の位相で複数個(4個)形成されている。そして、排ガス排出装置300Cを筐体50に組み付けるに当たり、排ガス排出装置300の取付鍔部412Cを吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(90度)ずつ回転させて相対変位させれば、排気マフラ部材400Cを方向変換でき、排気口401Cが指向する方向を90度づつ方向変換させることができる。被取付孔599は4個形成されているが、中心軸線PAに対して45度の位相で8個形成しても良い。この場合には、排気口401Cが指向する方向を45度づつ方向変換できる。更に、被取付孔599を均等間隔で5個、6個、7個としても良い。
【0051】
(実施形態6)
図13は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、共通する部位には共通の符号を付する。本実施形態によれば、排ガス排出装置300Dは、燃料電池システムに使用されている燃料電池を収容する筐体50のうち、鉛直方向に沿った取付壁部59Dに設けられている。排ガス排出装置300の排気マフラ部材400の排気口401は、外気700における雨水の進入を抑制するように、下向きにされている。吹出管500の吹出口501は排気マフラ部材400の排気室410内において上向きとされている。但し、必要に応じて、排気マフラ部材400の排気口401は、上向きにされていても良い。また吹出管500の吹出口501は排気マフラ部材400の排気室410内において下向きとされていても良い。
【0052】
(適用形態1)
上記した排ガス排出装置を適用する燃料電池システムの一例について説明する。
(全体構成)
本発明の適用形態1を図14〜図16を参照して説明する。本適用形態は、一般家庭、業務店またはビル等に固定的に設置される定置用の燃料電池システムに適用している。図面はあくまでも概念図であり、細部の寸法まで詳細に規定するものではない。図14は燃料電池システムの概念を模式的に示す。まず、燃料電池システムの概略構成を説明する。燃料電池システムは、燃料原料をアノードガスとして改質して燃料電池のアノードに供給する供給路1と、アノードガス供給部として機能できる改質器2と、燃料電池のスタック3とをもつ。供給路1には、上流から下流にかけて、燃料原料源4、供給弁5、脱硫器6、第1ポンプ7(燃料原料搬送源)、弁8、改質器2、第1凝縮器9、入口弁10、燃料電池のスタック3が繋がれている。
【0053】
改質器2は、燃料原料を水蒸気改質させてアノードガスを生成させる改質部2aと、改質部2aを加熱させる燃焼部2cとで形成されている。供給路1のうち改質部2aの上流から分岐路11が燃焼部2cに向けて分岐されている。
【0054】
燃料電池のスタック3は、アノードガスが供給されるアノードと、カソードガスが供給されるカソードと、アノードおよびカソードにて挟持された高分子型のイオン伝導膜(例えば炭化フッ素系または炭化水素系のプロトン伝導膜)とをもつ。燃料電池は、シートタイプの複数の膜電極接合体を厚み方向に積層させる方式でも良いし、あるいは、チューブタイプの膜電極接合体を組み付ける方式でも良い。
【0055】
スタック3のカソードの入口にカソードガスを供給するカソードガス通路12が設けられている。カソードガス通路12は、カソードガス(空気)を吸入する吸気口12iをもつ。カソードガス通路12にはカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)が設けられている。燃料電池のカソードの出口からカソードオフガスを排出させるカソードオフガス通路14が設けられている。カソードオフガス通路14は、カソードオフガスを排ガス排出装置14pから外気700に排出させる。カソードオフガス通路14には、カソードオフガスを凝縮させる凝縮器22が設けられている。カソードガス通路12において、スタック3は加湿器15を隣接させて配置されている。加湿器15は、カソードガスをスタック3のカソードに供給させる前に加湿させるものである。ここで、加湿器15は、スタック3のカソードに流入する前のカソードガス(カソードオフガスよりもドライ)が流れる吸湿通路と、スタック3のカソードから流出した後のカソードオフガス(カソードガスよりもウェット)が流れる加湿通路と、吸湿通路および加湿通路を仕切る水分保持膜とを有する。加湿器15において、カソードガスよりも高湿度および高温のカソードオフガスは、水分保持膜に水分および熱を与える。カソードオフガスよりも低湿度および低温のカソードガスは、水分保持膜により加湿および加熱される。
【0056】
図14に示すように、供給路1のうち入口弁10の上流からバイパス路16が延設されている。バイパス路16にはバイパス弁17が設けられている。スタック3のアノードの出口3apからアノードオフガス通路19が改質器2の燃焼部2cに向けて設けられている。アノードオフガス通路19は、出口弁20と第2凝縮器21とを有する。第1凝縮器9から延設された第1排水路24は、第1排水弁23を介して水精製器28に繋がれている。第2凝縮器21から延設された第2排水路26は第2排水弁27を介して水精製器28に繋がれている。凝縮器22から延設された排水路22cは水精製器28に繋がれている。
【0057】
水精製器28で生成された水は、図略のポンプまたは重力により水タンク25に供給される。水タンク25から改質水通路40が改質部2aの入口2iに向けて延設されている。改質水通路40には、改質水ポンプ41、改質水バルブ42が設けられている。
【0058】
燃料電池システムの起動時について説明する。起動時には、供給弁5が開放されていると共に弁8が閉鎖されている状態で、第1ポンプ7(搬送源)が回転駆動する。すると、燃料原料源4のガス状をなす燃料原料は、供給路1に流れ、脱硫器6で脱硫され、改質器2の燃焼部2cに供給される。
【0059】
また燃焼空気用のポンプ33が回転駆動すると、燃焼空気が空気通路34から燃焼部2cに供給される。この結果、ガス状をなす燃料原料は、空気通路34からの空気により燃焼部2cにおいて燃焼される。燃焼部2cの燃焼により改質部2aが高温領域に次第に加熱される。このように改質部2aが高温領域に加熱されると、制御装置により、弁8が開放され、燃料原料源4の燃料原料が改質部2aに供給される。このとき制御装置により、改質水ポンプ41が回転駆動すると共に改質水バルブ42が開放する。このため水精製器28の水が改質部2aに供給される。この結果、改質部2aに供給された燃料原料は、改質水により水蒸気改質される。これにより水素を主要成分として含むアノードガス(水素20モル%以上)が生成する。このように改質器2で生成されたアノードガスは、第1凝縮器9で水分を低下させる。なお改質させる燃料原料は気体用燃料でも液体用燃料でも良い。具体的には、都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。
【0060】
起動当初では、アノードガスの組成が必ずしも安定していない。このため起動当初では、制御装置により、入口弁10および出口弁20は閉鎖されているが、バイパス弁17は開放されている。従って、起動当初では、アノードガスはスタック3のアノードに供給されず、バイパス路16およびバイパス弁17を介して第2凝縮器21に供給され、第2凝縮器21で水分を除去させた後、燃焼部2cに供給されて燃焼される。起動時から所定時間が経過し、アノードガスの組成が安定すると、入口弁10および出口弁20は開放され、アノードガスは入口弁10を介してスタック3のアノードの入口に供給される。
【0061】
また、カソードガスポンプ13が駆動するため、カソードガス通路12から供給されたカソードガスは、入口15iから加湿器15に流れ、加湿器15で加湿された後、スタック3のカソードの入口からカソードに供給される。このようにしてスタック3に負荷(スタック3の電気エネルギで作動させる負荷)が接続されている状態で、アノードガスおよびカソードガスによりスタック3において発電反応が行われ、電気エネルギが発生する。なお、発電反応後のアノードオフガスは、可燃性成分を有することがあるため、スタック3のアノードの出口から吐出され、出口弁20を介してアノードオフガス通路19から第2凝縮器21に流れ、第2凝縮器21で水分を凝縮させた後、燃焼部2cに供給されて燃焼され、再利用される。
【0062】
ここで、燃料電池システムの発電運転中において、第1凝縮器9、第2凝縮器21、凝縮器22等の凝縮器に凝縮水が次第に貯留される。第1排水弁23が開放されると、第1凝縮器9に溜まった凝縮水は、第1排水路24を介して水精製器28に重力により供給される。第2排水弁27が開放されると、第2凝縮器21に溜まった凝縮水は、第2排水路26を介して重力により水精製器28に供給される。凝縮器22に溜まった凝縮水は、排水路22cを介して重力により水精製器28に供給される。水精製器28に溜まった凝縮水は、水精製器28で生成されて純水化される。ここで、改質水ポンプ41が回転駆動すると共に改質水バルブ42が開放すると、水精製器28の水が改質部2aに供給される。この結果、改質部2aに供給された燃料原料は、改質水により水蒸気改質される。水蒸気改質に使用される改質水は、純水度が高いことが好ましい。
【0063】
上記したようにスタック3が発電運転するとき、スタック3は昇温する。スタック3が過剰に高温になると、スタック3の発電性能が低下する。そこで燃料電池システムの運転中においてスタック3にスタック冷却液を流してスタック3を冷却させるスタック冷却通路45が設けられている。スタック冷却通路45にはイオン交換器46(第1メンテナンス部品)が設けられている。イオン交換器46は、スタック冷却液を純水化させ、スタック冷却液の電気絶縁性を高める。なお、スタック冷却液の電気絶縁性が低下すると、スタック3から取り出される電気エネルギの取り出し効率が低下する。
【0064】
図15および図16は、燃料電池システムの筐体50の垂直断面を模式的に示す。図15は、筐体50の長手方向(L1方向)に沿って且つ鉛直線に沿って切断した状態を模式的に示す縦断面図である。図16は、筐体50の幅方向(L2方向)に沿って且つ鉛直線に沿って切断した状態を模式的に示す縦断面図である。ここで、筐体50の長手方向は、直方体形状をなす筐体50のうち水平方向に沿った方向において、最も長い寸法が延びる方向を意味する。筐体50の幅方向は、直方体形状をなす筐体50の水平方向に沿った方向において、筐体50の長手方向と交差する方向を意味する。
【0065】
本実施形態に係る燃料電池システムは、図15に示すように、筐体50と改質器2とスタック3とをもつ。筐体50は底壁部50b、天井壁部50u、側面部50tをもつ。図15において、筐体50の水平方向に沿っている底壁部50bまたは天井壁部50uに沿った方向において、最も長い寸法が延びる方向を長手方向(矢印L1方向)とする。
【0066】
図15に示すように、筐体50の収容室50xは、大容積の主収容室51と、主収容室51よりも低温に維持され且つ主収容室51よりも小容積の隔室53と、主収容室51および隔室53を仕切る隔壁55とを有する。隔室53はメンテナンス部品を収容するメンテナンス室として機能するものであり、主収容室51の側方に位置している。筐体50を形成する壁は、仕切壁として機能するものであり、金属製の壁体50fと、壁体50fの内面に設けられた断熱材料で形成された断熱層50sとを備えている。断熱層50sは断熱および防音作用を奏する。なお、筐体50は四角箱形状をなしているが、これに限定されるものではない。
【0067】
図15に示すように、隔室53は筐体50のうち、スタック3と共に放熱源となり得る改質器2からの熱影響を回避するため、改質器2およびスタック3から遠ざかるように、長手方向(矢印L1方向)において、改質器2に対して反対側の端側に設けられている。
【0068】
隔壁55は、金属(例えば炭素鋼、合金鋼、アルミニウム合金)製の金属板55fと、金属板55fの内面に設けられた断熱材料で形成された断熱層55sとを備えている。断熱層55sは断熱および防音作用を奏する。従って放熱源を収容する主収容室51の熱は隔室53に伝達されにくいため、隔室53の昇温を抑制するのに貢献できる。なお、隔壁55は空気断熱層55xを備えている構造でも良い。
【0069】
本実施形態によれば、図15に示すように、筐体50のうち隔室53側には、金属製の脱着パネル56がボルト等の取付具56xにより取着されている。取付具56xを外せば、脱着パネル56は筐体50から外方に離脱される。脱着パネル56は通気性を有しており、筐体50に対して脱着および取着可能であり、隔室53を閉じる。脱着パネル56は、カソードガスとして機能する外気700(筐体50の外方の空気)を筐体50の内部に導入させる外気導入口として機能する吸気口12iを形成するグリル58を有する。
【0070】
図15に示すように、スタック3および加湿器15は、筐体50の主収容室51のうち天井壁部50u側に配置されており、主収容室51の高さ方向の中間位置hmよりも上側に配置されており、筐体50の天井壁部50uに接近している。加湿器15は、主収容室51のうち改質器2から遠ざかるように、隔壁55側に配置されている。
【0071】
図15に示すように、筐体50の隔室53には、塵埃除去部として機能する空気フィルタ部66が、隔壁55と対面するように設けられている。空気フィルタ部66は、脱着パネル56の内面56iに溶接または図略の取付具により固定されている。空気フィルタ部66は、スタック3のカソードに供給されるカソードガスとして外気700に含まれている塵埃を除去するフィルタ機能を有する。
【0072】
図15から理解できるように、カソードガス通路12は、筐体50の脱着パネル56に形成された外気導入口としての吸気口12iと、外気導入口としての吸気口12iに連通する空気フィルタ部66と、空気フィルタ部66の内部を通過したカソードガスをダクト77の分岐部77kまで流す通路12fと、分岐部77kからカソードガスを加湿器15の入口15iに向けて搬送させる通路12sと、通路12sに設けられたカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)とを備えている。
【0073】
図15に示すように、外気をカソードガスとしてスタック3のカソードに供給することができる空気通路34を形成する中空筒形状をなすダクト77が設けられている。ダクト77は、空気フィルタ部66の出口側である裏面66r側と電気機器ボックス68の部位68pとを連通させている。電気機器ボックス68は、空気が通過できる通路となり得るボックス室68aと、ボックス室68aに配置されている放熱源となり得る電気機器68cとを有する。電気機器68cは、燃料電池の発電電力を変換させるインバータと、電源に電気的に接続されている電源基板と、その他の電気部品とを有する。空気通路34は、電気機器ボックス68の出口68mと燃焼部2cとを繋ぐ。
【0074】
図15に示すように、燃料電池システムの運転時等の通常時には、空気フィルタ部66の外箱として機能するケース66tは、ケース66tの裏面に保持されている裏面板66wと共に、隔壁55の開口75を閉じている。従って、空気フィルタ部66は、開口75を開閉可能に閉じる開閉部材または蓋部材として機能できる。この状態では、筐体50の外方の外気をカソードガスとしてダクト77側に導入できるように、空気フィルタ部66の内部は、開口75に連通している。従って、空気フィルタ部66が図15に示すように筐体50内に取り付けられている状態では、脱着パネル56の外気導入口としての吸気口12i、空気フィルタ部66の内部、開口75、ダクト77は、外気をダクト77側に吸入できるように連通している。
【0075】
従って、空気ポンプ33(燃焼用空気の搬送源)が回転駆動すると、外気は、脱着パネル56の外気導入口としての吸気口12i、空気フィルタ部66、開口75、ダクト77、電気機器ボックス68の内部、空気通路34を介して改質器2の燃焼部2cに供給され、燃焼部2cにおいて燃焼に使用される。この場合、電気機器ボックス68の内部の放熱する電気機器68cが空気により冷却され、電気機器68cの過熱が抑制されるため、電気機器68cの耐久性の向上、長寿命化に貢献できる。更に、改質器2の燃焼部2cに供給する空気を電気機器ボックス68の電気機器68cからの放熱により予熱できるため、燃焼部2cにおける燃焼効率を高めるのに有利である。
【0076】
図15に示すように、筐体50の天井壁部50u(取付壁部)には排ガス排出装置2k(本発明品)が設けられている。燃焼部2cで燃焼された排ガスは、凝縮器49で冷却され、凝縮水を生成させた後、排ガス出口2kから筐体50の外方(上方)に放出される。この排ガスは、燃焼部2cで燃焼された燃焼用空気の排ガス、燃焼用燃料の排ガス、アノードオフガスが燃焼部2cで燃焼した後の排ガスを意味する。
【0077】
また図15に示すように、カソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)が回転駆動すると、ダクト77内の空気は、カソードガス通路12の通路12sを介して加湿器15の入口15iに供給され、加湿器15で加湿された後にスタック3のカソードに供給され、発電反応に使用される。
【0078】
本実施形態によれば、図15に示すように、発電反応後の高湿度を有するカソードオフガスは、スタック3のカソードの出口から吐出された後に加湿器15の吸湿通路に流入し、加湿器15の出口15pからカソードオフガス通路14に排出される。図15に示すように、カソードオフガス通路14は、加湿器15の出口15pから凝縮器22の入口22iに向かう縦方向に配向する通路14fと、凝縮器22の出口22pから矢印L2方向に沿ってつまり水平方向に沿って側面部50mの排ガス排出装置14pに向かう通路14sとを備えている。図15から理解できるように、加湿器15の出口15pから排出された高湿度のカソードオフガスは、凝縮器22で冷却され、カソードオフガスに含まれている水分を凝縮水として凝縮させる。凝縮水を生成した後のカソードオフガスは、筐体50の側面部50mの排ガス排出装置14p(本発明品)から外方(横方)に排出される。
【0079】
上記したような本実施形態によれば、カソードガス通路12は、脱着パネル56の吸気口12iから通路12f,通路12sを介して加湿器15の入口15iに向かう。具体的には、図15に示すように、カソードガス通路12は、脱着パネル56に設けられた吸気口12iと、空気フィルタ部66と、ダクト77のうち分岐部77kまでの通路12fと、分岐部77kから加湿器15の入口15i間での通路12sとを有する。
【0080】
ここで本実施形態によれば、図15に示すように、筐体50の収容室50x(主収容室51+隔室53)を中心線P1を介して第1片側空間50yと第2片側空間50wとに分割すると、改質器2は、筐体50の収容室50xにおける片側の第1片側空間50yに配置されている。すなわち、改質器2は、筐体50の収容室50xの長手方向(矢印L1方向)において一端側に配置されている。
【0081】
これに対して、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pは、カソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、筐体50の収容室50xにおける他の片側である第2片側空間50wに配置されている。ここで、排ガス排出装置14pは、発電反応後のカソードオフガスを排出させる専用の排出口であり、アノードオフガスの燃焼後の排ガスを排出させる排ガス排出装置2kに対して分離独立している。この結果、カソードガス通路12の長さは、抑制されて短縮される。よってカソードガス通路12の圧損が抑制される。更に、カソードオフガス通路14の長さは、抑制されて短縮される。この結果、カソードオフガス通路14の圧損が抑制される。
【0082】
本実施形態によれば、図15に示すように、加湿器15と改質器2との間にスタック3を配置させるように、加湿器15は、放熱源となり得る改質器2から遠ざけられている。これにより放熱源となり得る改質器2が加湿器15の加湿性能に熱影響を与えることが抑制される。殊に図15に示すように、加湿器15は、主収容室51よりも低温に維持され易い隔室53(放熱源が少ないか、ない)に対向している。よって加湿器15が過剰に高温になることが抑制され、加湿性能が良好に維持される。
【0083】
上記したように改質器2とカソードガス通路12およびカソードオフガス通路14とが離間している。よって、放熱源となる改質器2がカソードガス通路12のカソードガス、カソードオフガス通路14のカソードオフガスに熱影響を与えることが抑制される。よって、カソードガス通路12のカソードガスの体積の熱膨張、カソードオフガス通路14のカソードオフガスの体積の熱膨張が抑制される。従って、カソードガスをスタック3のカソードまで搬送させるカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)の動力損失を低減させるのに有利となる。この場合、カソードガスポンプ13の小型化に貢献することができる。
【0084】
(他の形態)
本発明の実施形態および適用形態としては次の事項が例示される。燃料電池システムは図14に示す配管に限定されるものではない。上記した実施形態によれば、改質器2は、筐体50の収容室50xにおける片側の第1片側空間50yに配置されており、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pは、カソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、第2片側空間50wに配置されているが、これに限らず、改質器2は、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pと共に、更にカソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、第2片側空間50wに配置されていても良い。
【0085】
空気ポンプ33(燃焼用空気の搬送源)が回転駆動すると、電気機器ボックス68の内部の空気は空気通路34を介して改質器2の燃焼部2cに供給されて燃焼に使用されるが、電気機器ボックス68の内部の空気を吸引させる場合に限らず、他の系統から吸引して燃焼部2cに供給することにしても良い。この場合、電気機器ボックス68の内部の放熱する電気機器68cが空気により冷却され、電気機器68cの過熱が抑制されるため、電気機器68cの耐久性の向上、長寿命化に貢献で
カソードガス通路12は、燃焼用空気を供給するための空気通路34に繋がるダクト67に連通しているが、カソードガス通路12および空気通路34は、互いに非連通の別経路としても良い。筐体50は四角箱形状とされているが、円筒形状としても良い。吸気口12iは、脱着パネル56に形成されているが、これに限らず、排ガス排出装置14pは筐体50の側面部50mに形成されているが、筐体50の他の側面部に形成されていても良く、筐体50の天井壁部50uまたは底壁部50bに形成されていても良い。
【0086】
上記したポンプ7,33,13,41はファン102、ブロア等のカソードガス搬送源でも良い。隔壁55は、金属板55fと断熱層55sとを備えているが、これに限らず、金属板のみとしても良いし、断熱材料で形成された断熱板のみとしても良い。
【0087】
ダクト77は電気機器ボックス68を介して燃焼部2cに燃焼用空気を供給するが、これに限らず、ダクト77は電気機器ボックス68を介することなく燃焼部2cに燃焼用空気を供給することにしても良い。隔室53は筐体50の長手方向の端側に配置されているが、これに限らず、筐体50の幅方向の端側でも良い。
【0088】
上記した実施形態によれば、図15に示すように、水精製器28で生成された水は水タンク25に供給され、その後、改質器2に供給されるが、これに限らず、水精製器28および水タンク25の位置の順序を入れ替えても良い。この場合、水タンク25で溜めた水は、水精製器28で精製され、その後、改質器2に供給される方式としても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。
【0089】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に前記排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備することを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。排気室に連通する吹出管の吹出口から排ガスが吹き出される。
(付記項2)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口をもつ排気マフラ部材と、前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出す吹出口をもつ吹出管とを具備しており、前記排気口および前記吹出口は互いに異なる方向(逆の方向)に指向していることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、携帯用、可搬用の燃料電池システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施形態1に係り、排ガス排出装置を組み付ける状態を示す断面図である。
【図2】実施形態1に係り、組み付け前の排ガス排出装置のユニット品を示す平面図である。
【図3】実施形態1に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図4】実施形態2に係り、図6のW4−Wに沿って切断した断面を示し、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図5】実施形態2に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す側面図である。
【図6】実施形態2に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図7】実施形態3に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図8】実施形態4に係り、図11のW8−W8に沿って切断した断面を示し、排ガス排出装置を筐体に組み付ける状態を示す断面図である。
【図9】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す側面図である。
【図10】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付ける前の状態を示す断面図である。
【図11】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図12】実施形態5に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図13】実施形態6に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図14】適用形態1に係り、燃料電池システムの概念を模式的に示すシステム図である。
【図15】適用形態1に係り、筐体の内部の基本構成を長手方向に沿った垂直に切断した状態を模式的に示す縦断面図である。
【図16】適用形態1に係り、筐体の内部の基本構成を幅方向に沿った垂直に切断した状態を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1は供給路、2は改質器、2aは改質部、2cは燃焼部、3はスタック、4は燃料原料源、9は第1凝縮器、10は入口弁、12はカソードガス通路、13はカソードガスポンプ(カソードガス搬送源)、14はカソードオフガス通路、15は加湿器、17はバイパス弁、19はアノードオフガス通路、20は出口弁、21は第2凝縮器、25は水タンク、28は水精製器、50は筐体、50xは収容室、50mは側面部、51は主収容室、53は隔室、55は隔壁、56は脱着パネル、58はグリル、66は空気フィルタ部、67はダクト、68は電気機器ボックス、300は排ガス排出装置、400は排気マフラ部材、401は排気口、410は排気室、412は取付鍔部、430はユニット品、580は排ガス放出管を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、一般的に、収容室をもつ筐体と、筐体の収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質器と、筐体の収容室に配置されアノードガスが供給される燃料電池のスタックとを有する。このような燃料電池システムを収容する筐体の壁には、改質器の排ガス、スタックのアノードオフガスを燃焼させた排ガスを排出させるための排気口が設けられている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−140165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した排気口の耐風性は必ずしも充分ではなく、外部の風等が排気口に吹き込むと、排ガスを排気口から排出させる能力が低下するおそれがある。場合によっては、排気口から外気に排出されるはずの排ガスが内部に逆流してしまうおそれがある。この場合、燃料電池システムの円滑な発電運転が妨げられるおそれがある。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、耐風性を向上させることができる燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)様相1の本発明に係る燃料電池システムの排ガス排出装置は、(i)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、(ii)排気マフラ部材に対向するように筐体に設けられ、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備しており、(iii)相対表示で、排気口の開口面積を100とするとき、吹出口の中心軸線と平行な方向において、排気口および吹出口が対面する対面重合度は、排気口の開口面積のうちの30以下に設定されていることを特徴とする。
【0006】
(2)様相2の本発明に係る燃料電池システムは、(i)収容室をもつ筐体と、(ii)筐体の収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質部と改質部を加熱する燃焼部とを有する改質器と、(iii)筐体の前記収容室に配置されアノードガスが供給されるアノードとカソードガスが供給されるカソードとを有する燃料電池のスタックと、(iv)筐体の収容室に配置され改質器の燃焼部またはスタックから排出された排ガスを外気に向けて排出させる排ガス排出管と、(v)筐体の外壁面に取り付けられ排ガス排出管に連通する排ガス排出装置とを具備しており、排ガス排出装置は、前記した様相に係る排ガス排出装置であることを特徴とする。
【0007】
(3)排ガスは、燃料電池システムの発電運転で発生すると共に排出されるべきガスである。排ガスとしては、改質器の排ガス、燃料電池のカソードガスの排ガス、燃料電池のアノードガスガスの排ガスが例示される。
【0008】
排気口および吹出口の対面重合度は、排ガス排出装置において、吹出口の中心軸線と平行な方向において、マフラ部材の排気口および吹出管の吹出口が互いに対面して重なりあっている度合を意味する。相対表示で排気口の開口面積を100とするとき、対面重合度は30以下、20以下、10以下が好ましい。更には5以下、0が好ましい。この場合、耐風性を高めるためには、排気マフラ部材の排気口および吹出管の吹出口は、互いに逆方向に指向して開放していることが好ましい。この場合、吹出管の中心軸線を挟むように、排気口および吹出口が配置されていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、次の態様が採用できる。
【0010】
・吹出管の中心軸線に沿って吹出管の中心軸線を通る断面において、排気口の中心軸線と吹出管の中心軸線とは交差することが好ましい。この場合、排気口および吹出口の対面重合度を低下させることができるので、排ガス排出装置の耐風性を向上させることができる。
【0011】
・排気マフラ部材および吹出管は連結されていることが好ましい。この場合、排気マフラ部材および吹出管は一体品となり、ユニット化されている。
【0012】
・排気マフラ部材は、筐体に対して方向変換可能とされていることが好ましい。この場合、排気口の向きを変更させることができるので、排ガス排出装置の耐風性を調整させることができる。
【0013】
・好ましくは、吹出管は逃水通路を有する。逃水通路は、排気マフラ部材の排気室と吹出管の内部とを連通させ、且つ、排気マフラ部材の排気室に存在する水を吹出管の内部に逃がす。この場合、排気マフラ部材の排気室に存在する水を、逃水通路を介して、吹出管の内部に逃がすことができる。
【0014】
・好ましくは、吹出管の吹出口は排気マフラ部材の排気室に突出しており、高さ方向において、吹出管の吹出口の下端は、排気室に存在する水を排気マフラ部材の排気口の下端よりも低い位置に設定されている。この場合、排気マフラ部材の排気室に存在する水を、吹出管の吹出口を介して、吹出管の内部に逃がすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、耐風性を向上させることができる燃料電池システムの排ガス排出装置および燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
図1〜図3は実施形態1を示す。排ガス排出装置300は、燃料電池システムで発生する排ガスを外気に排出させるものである。図1に示すように、排ガス排出装置300は、燃料電池を収容する筐体50の平坦状をなす水平方向に延びる取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300は、外気に連通するための排気口401をもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400と、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501をもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500とを有する。
【0017】
図1に示すように、排気マフラ部材400は、吹出管500を突出させた円盤型をなしており、空洞状の排気室410を形成するように、第1部材402と第2部材403とを溶接、接着剤または螺子止め等で結合して形成されている。ここで、排気マフラ部材400は、中央に設けられた空洞状の排気室410と、排気室410の回りに径外方向および周方向に延設された鍔状をなす取付鍔部412と、取付鍔部412に形成された複数の取付孔414とを有する。図2に示すように、取付鍔部412において、取付孔414は、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。但し2個に限定されるものではなく、必要に応じて3個以上、4個以上、6個以上とすることもできる。
【0018】
図1に示すように、筐体50の取付壁部59においても、これを貫通するように挿入口590が形成され、挿入口590の回りに複数の被取付孔599が形成されている。筐体50の収容室50xには、排ガス放出管580が挿入口590の下方に位置して設けられている。ここで図1に示すように、排ガス放出管580の先端部580aは鉛直方向に沿っており、筐体50の取付壁部59の挿入口590に対面している。排ガス放出管580の先端部580aには、リング状をなすシール保持部581が形成されている。シール保持部581には、シール材料で形成されたリング状をなすシール部材582が取り付けられている。筐体50の取付壁部59の内面側には、ナット状をなす締結具460が溶接などで固定されている。なお、排ガス放出管580の他端部は、凝縮器を介して改質器の燃焼部に繋がる。よって改質器の燃焼部で燃焼された燃焼排ガスが排ガス放出管580から放出される。
【0019】
図1に示すように、排気マフラ部材400および吹出管500は、溶接、接着剤または螺子止め等でほぼ同軸的に連結されて一体品となり、ユニット品430とされている。ここで、吹出管500の先端部580aの中心軸線PAは、排気マフラ部材400の取付鍔部412に対してほぼ直交状態に延設されている。
【0020】
上記した排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けるにあたっては、図1に示すように、ユニット品430のうち円筒形状をなす吹出管500の先端部500aを、筐体50の取付壁部59の挿入口590に挿入させる。更に、雄螺子部445cを有する取付具445を弾性シール部材440を介して取付鍔部412の被取付孔599に挿入する。これにより取付具445の雄螺子部445cを、筐体50の取付壁部59の内面59i側の締結具460の雌螺子部460fに螺合させる。これにより図3に示すように、排ガス排出装置300(ユニット品430)を筐体50の取付壁部59に着脱可能に取り付ける。
【0021】
ここで、締結具460は、筐体50の取付壁部59の内面側に固定されていなくても良く、要するに、筐体50の取付壁部59の内面側に配置されていれば良い。なお、雌螺子部を有する締結具460を廃止し、筐体50の取付壁部59に直接的に雌螺子部を形成しても良い。
【0022】
上記したように排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けるにあたり、図3から理解できるように、ユニット品430の吹出管500の先端部500aは、排ガス放出管580の内部に挿入される。このとき、吹出管500の先端部500aの外周壁面は、排ガス放出管580の先端部580aのシール部材582の内周部に当たる。よって吹出管500と排ガス放出管580とは気密状態および/または液密状態にシールされる。さらに、排ガス排出装置300と筐体50の取付壁部59との間についても、挿入口590は弾性シール部材440により気密状態および/または液密状態にシールされる。この場合、排ガスの圧力が脈動するときであっても、シール部材582および弾性シール部材440のダンパー機能により、吹出管500等の異状振動なども抑制される。
【0023】
図3は、排ガス排出装置300を筐体50の取付壁部59に取り付けた状態を示す。図3は、吹出管500の中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。図3において、吹出管500の中心軸線PAは、鉛直線に沿って上下方向に延びている。吹出管500の吹出口501は横向きに指向し排気マフラ部材400の壁400wに対向しており、結果として、排気マフラ部材400の排気室410において横向きに開放されている。従って図3から理解できるように、排ガス放出管580を流れた排ガスは、吹出管500の先端の閉鎖壁502に当たりつつ、吹出管500の吹出口501から吹き出され、横方(矢印X1方向)に向けて吐出された後、排気マフラ部材400の壁400wの内壁面に衝突し、更に中心軸線PAの回りに沿って矢印XF方向に吹出管500の周壁503の回りを流れ、排気口401から外気700に向けて矢印X2方向に放出される。排ガスは吹出管500の先端の閉鎖壁502に衝突するとき、衝突性が高いため、排ガスに含まれている水分を落下させ易くなる。閉鎖壁502の内面に付着した水滴は、重力により吹出管500内を落下し易くなる。ここで本実施形態によれば、吹出口501の中心軸線をPC(図2参照)として示す。相対表示で、排気マフラ部材400の排気口401の開口面積を100とするとき、中心軸線PCと平行な方向において、排気口401および吹出口501が対面する対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの20以下に設定されている。具体的には、図2に示すように、吹出管500の吹出口501および排気マフラ部材400の排気口401は互いに逆方向に指向して開放しており、排気口401および吹出口501は互いに対面していない。すなわち、図2から理解できるように、吹出管500の中心軸線PAを挟むように、排気口401および吹出口501が配置されている。
【0024】
従って、相対表示で、排気マフラ部材400の排気口401の開口面積を100とするとき、吹出口501の中心軸線PCと平行な方向において、排気口401および吹出口501が対面する対面重合度は、排気口401の開口面積のうちの実質的に0である。従って、排ガス排出装置300の耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の強風が排ガス排出装置300の排気口401に吹き込むときであっても、その風が吹出口501から吹出管500の内部に直接的に吹き込むことが抑制される。更に、雨水が吹出口501から吹出管500の内部に直接的に吹き込むことも抑制される。
【0025】
図3に示すように、吹出管500の先端部500aの先端(上端)に閉鎖壁502が設けられている。吹出管500の閉鎖壁502および吹出管500の周壁503は、排気マフラ部材400の排気口401に対面している。このため外気700の風が排気マフラ部材400の排気口401から排気室410に吹き込むときであっても、周壁503は邪魔板機能を発揮し、吹出管500の閉鎖壁502および吹出管500の周壁503は、排気口401から排気室410に吹き込む風、雨水に対向することができる。この意味においても耐風性、耐雨水性が向上している。
【0026】
かりに排気マフラ部材400の排気室410に凝縮水がたまったとしても、排気マフラ部材400の底部401rと吹出口501の下辺501dとは同じ高さである。このため、底部401rに溜まった凝縮水などの水は吹出口501の下辺501dから排ガス放出官580内に流入する。
【0027】
このように排ガス排出装置300の耐風性を向上させれば、吹出管500が連通する改質器の燃焼部における燃焼反応が良好に維持され、燃焼部の燃焼反応の安定化、改質部の温度の安定化を図り得る。ひいては改質ガス(アノードガス)の組成の安定化を図ることができ、燃料電池システムの発電運転が良好に維持される。この意味において耐風性の向上は重要である。
【0028】
本実施形態によれば、排ガス排出装置300を筐体50に組み付けるに当たり、ユニット品430の取付鍔部412を吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させれば、ユニット品430を構成する排気マフラ部材400の排気口401の方向を所定角度(180度)変更することができる。この場合、排気マフラ部材400および吹出管500は一体に連結されているため、排気マフラ部材400の排気口401の方向が周方向において変更される。すると、吹出管500の吹出口501の指向方向は、排気マフラ部材400の排気口401の指向方向の変更に対応させて変更される。従って、ユニット品430の取付鍔部412を吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させたとしても、排気口401および吹出口501は互いに対面しておらず、互いに逆方向に指向している状態が維持されるため、排ガス排出装置300の耐風性を維持することができる。
【0029】
筐体50の設置場所としては、筐体50の長手方向が家屋等の建築物の壁に沿うように設置されることが多い。建築基準法によれば、家屋等の建築物と筐体50の排気口401との間の距離を確保する必要がある。距離は排気口401の向きによって異なる。建築物の壁と排気口401との距離が確保できない場合には、排気口401の向きを変更すれば、筐体50が設置可能となることがある。従って、本実施形態のように、排気口401の向きを変更できれば、設置自由度が拡大される利点が得られる。
【0030】
本実施形態によれば、図3に示すように、排気マフラ部材400の取付鍔部412は、吹出管500に対して径外方向に延設されており、筐体50の取付壁部59に対して設置面積を増加させることができる。従って、筐体50の取付壁部59に対して排ガス排出装置300の設置性および取付性を向上させることができる。故に、万一、吹出管500の吹出口501から吹き出される排ガスに脈動が有するときであっても、排ガス排出装置300の異状振動、ガタツキ等が効果的に抑えられる。殊に、排気マフラ部材400の取付鍔部412は、吹出管500に対して径外方向の他に周方向にも連続して延設されているため、筐体50の取付壁部59に対して設置面積を増加させることができる。従って、筐体50の取付壁部59に対して排ガス排出装置300の設置性および取付性を一層向上させることができる。
【0031】
更に、吹出管500の先端部500aの外周壁面は、排ガス放出管580の先端部580aのシール部材582の内周部に当たってシールされている。このため前述したように、万一、吹出管500の吹出口501から吹き出される排ガスに脈動が発生するときであっても、排ガス排出装置300の異状振動等が抑えられる。更には、排ガス排出装置300と筐体50の取付壁部59との間についても、弾性シール部材440によりシールされているため、排ガス排出装置300の異状振動等が抑えられる。
【0032】
更に本実施形態によれば、吹出管500および排気マフラ部材400は互いに連結されて一体化されている。このため、吹出管500の吹出口501および排気マフラ部材400の排気口401が互いに逆方向に指向している構造が半永久的に維持される。従って、メンテナンス時に、排気口401および吹出口501が誤って互いに対面した状態で排ガス排出装置300が筐体50に取り付けられてしまうといった不具合が抑えられる。このため耐風性を半永久的に維持できる。吹出管500および排気マフラ部材400は互いに連結されて一体化されており、ユニット品とされており、取付具445を離脱させれば、筐体50に対して容易に交換可能である。
【0033】
本実施形態によれば、図1に示すように、吹出口501の開口幅はW1で示され、排気口401の開口幅はW2で示される。吹出管500の先端部500aが延設されている方向において、つまり、高さ方向(矢印H方向)において、吹出口501および排気口401は互いに重複していない位置に形成されている。このため耐風性を一層向上させることができる。
【0034】
また本実施形態によれば、図3に示すように、円盤型をなす排ガス排出装置300の取付鍔部412の外径はDAとして示され、排気室410の室高さはHAとして示される。ここで、DA/HA=3〜20の範囲内、4〜100の範囲内、殊に4〜6の範囲内とされている。これにより筐体50の取付壁部59に組み付けられている状態における排ガス排出装置300の偏平化を実現でき、外気700への過剰突出が抑制されている。従って、筐体50と建築物の壁とを接近させたときであっても、筐体50付近に存在する建築物の器具等に排ガス排出装置300が衝突したり干渉したりすることが抑制されている。なお、図3に示すように、吹出管500の先端部500aは、筐体50の収容室50x内に向けて配向しており、この意味においても、外気700への過剰突出が抑制されている。
【0035】
なお、筐体50の取付壁部59が水平方向に延設されている本実施形態によれば、吹出管500の中心軸線PAは鉛直方向に沿っている。取付壁部59の向きが変化していれば、それに応じて吹出管500の中心軸線PAも調整される。
【0036】
(実施形態2)
図4〜図6は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、共通する部位には共通する符号を付する。本実施形態においても、排ガス排出装置300Bは、燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体50の取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300Bは、外気700に連通するための排気口401Bをもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400Bと、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501Bをもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500Bとを有する。
【0037】
図4は、吹出管500B(吹出口501B)の中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。中心軸線PAは鉛直方向に沿っている。但し、水平方向に沿っていても良い。図4に示すように、吹出管500B(吹出管500Bの吹出口501B)の中心軸線PAと排気口401Bの中心軸線PBとは、互いに交差する。具体的には、両者はほぼ直交状態に交差する。従って、吹出管500Bの先端に設けられている吹出口501Bは、排気マフラ部材400Bの排気室410B内において鉛直方向において上向きに開放している。これに対して、排気マフラ部材400Bの排気口401Bは鉛直方向に対して横方に開放している。このように吹出口501Bおよび排気口401Bは、互いに対面しないように、それぞれ異なる方向に開放している。更に、図4に示すように、吹出管500B(吹出口501B)の中心軸線PAが延びる方向において、すなわち、高さ方向(矢印H方向)において、吹出口501Bと排気口401Bの上端との間には、ずれ量ΔHが設けられており、吹出口501Bと排気口401Bとは、中心軸線PAが延びる方向において重複しない配置とされている。この場合、耐風性を向上させることができる。
【0038】
上記した本実施形態によれば、相対表示で、排気マフラ部材400Bの排気口401Bの開口面積を100とするとき、吹出口501Bの中心軸線PA(図4参照)と平行な方向において、排気口401Bおよび吹出口501Bが対面する対面重合度は、排気口401Bの開口面積のうちの30以下に設定されている。具体的には、図4に示すように、前述したように、吹出口501Bおよび排気口401Bは互いに異なる方向に開放しており、排気口401Bおよび吹出口501Bは互いに対面していない。従って、相対表示で、排気マフラ部材400Bの排気口401Bの開口面積を100とするとき、吹出口501Bの中心軸線PA(図4参照)と平行な方向において、排気口401Bおよび吹出口501Bが対面する対面重合度は、排気口401Bの開口面積のうちの実質的に0である。従って、排気口401Bから風が吹き込むときであっても、排気口401Bに対面する吹出管500Bの周壁503が邪魔板機能を発揮し、排ガス排出装置300Bの耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の風が排ガス排出装置300Bの排気口401Bに吹き込むときであっても、その風が吹出口501Bから吹出管500Bの内部に直接的に吹き込むことが抑制される。
【0039】
図4に示すように、吹出管500Bの吹出口501Bは、排気マフラ部材400Bの排気室410Bの内壁面460に間隔ΔKを隔てて対向している。ここで、内壁面460は、吹出口501Bに直接的に対面する衝突壁面461と、衝突壁面461の回りに形成された傾斜壁面462とを有する。衝突壁面461は、吹出口501Bの中心軸線PAに対して交差(直交)する方向に沿って延設されており、吹出口501Bから吹き出される排ガスの衝突性を高めている。また、傾斜壁面462は、吹出口501Bに近づくにつれて内径が増加するように円錐状に傾斜している。
【0040】
ここで、吹出口501Bから矢印X1方向に吹き出された排ガスは、排気室410Bの内壁面460に当たると、排気室410のうち傾斜壁面462に沿って吹出管500Bの全周囲のリング状の空間463に流れ、更に排気口401Bから矢印X2方向に外気700に向けて排出される。図4に示すように、吹出口501Bから吹き出された排ガスは、排気室410Bの内壁面460にほぼ直角状態に衝突するため、高い湿度を有するウェット状態の排ガスの正面衝突性を高くできる。故に、ウェット状態の排ガスに含まれている水分を衝突により振り落とすのに貢献できる。しかも衝突後、排ガスを傾斜壁面462に沿って排気口401Bに向けて案内できる。衝突壁面461に付着した水滴は吹出管500B内を重力により落下する。
【0041】
図5および図6に示すように、排気マフラ部材400Bは複数の取付鍔部412Bを有する。そして、筐体50の取付壁部59の外面および内面の双方にシール部材582Bを配置した状態で、排気マフラ部材400Bの取付鍔部412Bを介して取付具445Bを筐体50の取付壁部59に取り付ける。これにより排ガス排出装置300Bを筐体50の取付壁部59に着脱可能に取り付ける。
【0042】
(実施形態3)
図7は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態2と基本的には同様の構成および作用効果を有する。燃料電池システムの関係上、吹出口501Bから排出される排ガスは、凝縮器を経た後に外気700に排出されるものの、まだ高い湿度をもち、凝縮水を生成させ易い性質を有する。図7に示すように、吹出管500Bを構成する周壁において、当該周壁を貫通させるように、小孔状をなす単数または複数の第1逃水通路591が形成されている。第1逃水通路591はシール部材582Bよりも先方(上方)に位置しており、吹出管500Bの内周面と外周面とをこれの厚み方向に連通させている。従って、排気室410Bに過剰に溜まった水は、排気室410Bから第1逃水通路591を介して矢印X5方向に吹出管500Bの通路内に逃がすことができ、ひいては、吹出管500Bの他端側に設けられている凝縮器の内部の凝縮水貯留室に逃がすことができる。
【0043】
また図7に示すように、吹出管500Bの外周側には、トラップ室594をもつ容器状をなすトラップ部595が設けられている。シール部材582Bは、排気室410Bとトラップ室594とを連通させるための第2逃水通路592を形成している。従って、排気マフラ部材400Bの排気室401Bに存在する水(凝縮水)は、重力によりシール部材582Bの第2逃水通路592を流下し、トラップ部595のトラップ室594に溜まる。トラップ室594内の水は、筐体50の収容室50x内の空気により暖められて自然乾燥される。なお、収容室50xは改質器およびスタックのうちの一方または双方を収容しているため、燃料電池システムの発電運転においては暖かく、トラップ室594内の水を自然乾燥させ得る。
【0044】
(実施形態4)
図8〜図11は実施形態4を示す。本実施形態においても、排ガス排出装置300Cは、燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体50の水平方向に沿っている取付壁部59に設けられている。排ガス排出装置300Cは、外気700に連通するための複数に分散された排気口401Cをもつ金属または硬質樹脂を基材とする排気マフラ部材400Cと、燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すための吹出口501Cをもつ金属または硬質樹脂を基材とする吹出管500Cとを有する。
【0045】
図8に示すように、排気マフラ部材400Cは、中央に空洞状の排気室410Cを有すると共に、排気室410Cの回りに径外方向および周方向に延設された鍔状をなす取付鍔部412Cと、取付鍔部412Cに形成された複数の取付孔414Cとを有する。図11に示すように、取付孔414Cは、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。筐体50の取付壁部59においても挿入口590が形成され、挿入口590の回りに複数(2個の)の被取付孔599が均等間隔で形成されている。
【0046】
図10は排ガス排出装置300Cを組み付ける状態を示す。図10に示すように、吹出管500Cは、筐体50の収容室50xに配置されている。吹出管500Cの吹出口501Cは、収容室50xから遠ざかる方向に筐体50の取付壁部59から外気700側に突出していると共に、横方向(矢印X1方向)に指向している。排気マフラ部材400Cのリング状をなす底壁部416Cには、シール材料で形成されたリング状をなす弾性シール部材440Cが設けられている。弾性シール部材440Cは、吹出管500Cの先端部500aが挿入(圧入)される中央孔441Cを有する。
【0047】
図8は、排ガス排出装置300Cを筐体50の取付壁部59に取り付けた状態を示す。図8は、吹出管500Cの中心軸線PAに沿って当該中心軸線PAを通る断面を示す。図8において、吹出管500Cの中心軸線PAは、鉛直方向に沿って延びている。吹出管500Cの吹出口501Cは、排ガス排出装置300の排気室410Cにおいて横方向(矢印X1方向)に開放されている。従って図8から理解できるように、吹出管500Cの吹出口501Cから横方向(矢印X1方向)に吹き出された排ガスは、その後、排気マフラ部材400Cの内壁面に衝突し、更に排気マフラ部材400Cの複数の排気口401Cから矢印X2方向に外気700に向けて放出される。吹出口501Cの中心軸線をPD(図8参照)として示す。
【0048】
ここで本実施形態によれば、相対表示で、排気マフラ部材400Cの排気口401Cの合計開口面積を100とするとき、吹出口501Cの中心軸線PDと平行な方向において、排気口401Cおよび吹出口501Cが対面する対面重合度は、排気口401Cの開口面積のうちの30以下に設定されている。具体的には、図8に示すように、吹出口501Cおよび排気口401Cは、互いに逆方向に指向している。つまり、排気口401Cおよび吹出口501Cは互いに対面していない。従って、相対表示で、排気マフラ部材400Cの排気口401Cの開口面積を100とするとき、吹出口501Cの中心軸線PDと平行な方向において、排気口401Cおよび吹出口501Cが対面する対面重合度は、排気口401Cの開口面積のうちの実質的に0である。従って、排ガス排出装置300Cの耐風性を向上させることができる。よって万一、外気700の強風が排ガス排出装置300Cの排気口401Cに吹き込むときであっても、その強風が吹出口501Cに直接吹き込むことが抑制される。
【0049】
本実施形態によれば、図11から理解できるように、排ガス排出装置300Cを筐体50に組み付けるに当たり、排ガス排出装置300の取付鍔部412Cを吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(180度)回転させれば、排気マフラ部材400Cの排気口401Cが指向する方向を変更することができる。なお、排気室410Cの底壁部416Cに水が溜まったとき、その水は、吹出口501Cから矢印X7方向(図8参照)に吹出管500Cの内部に逃がされる。このため高さ方向(矢印H方向)において、吹出管500Cの吹出口501Cの下端500uは、排気口401Cの下端401uよりも低い位置に設定されている。
【0050】
(実施形態5)
図12は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態4と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、共通する部位には共通の符号を付する。本実施形態によれば、図12に示すように、取付鍔部412Cに形成されている取付孔414Cは、吹出管500の中心軸線PAに対して所定角度(180度)の位相で複数個(2個)形成されている。これに対して筐体50に形成されている被取付孔599は中心軸線PAに対して所定角度(90度)の位相で複数個(4個)形成されている。そして、排ガス排出装置300Cを筐体50に組み付けるに当たり、排ガス排出装置300の取付鍔部412Cを吹出管500の中心軸線PAの回りで所定角度(90度)ずつ回転させて相対変位させれば、排気マフラ部材400Cを方向変換でき、排気口401Cが指向する方向を90度づつ方向変換させることができる。被取付孔599は4個形成されているが、中心軸線PAに対して45度の位相で8個形成しても良い。この場合には、排気口401Cが指向する方向を45度づつ方向変換できる。更に、被取付孔599を均等間隔で5個、6個、7個としても良い。
【0051】
(実施形態6)
図13は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、共通する部位には共通の符号を付する。本実施形態によれば、排ガス排出装置300Dは、燃料電池システムに使用されている燃料電池を収容する筐体50のうち、鉛直方向に沿った取付壁部59Dに設けられている。排ガス排出装置300の排気マフラ部材400の排気口401は、外気700における雨水の進入を抑制するように、下向きにされている。吹出管500の吹出口501は排気マフラ部材400の排気室410内において上向きとされている。但し、必要に応じて、排気マフラ部材400の排気口401は、上向きにされていても良い。また吹出管500の吹出口501は排気マフラ部材400の排気室410内において下向きとされていても良い。
【0052】
(適用形態1)
上記した排ガス排出装置を適用する燃料電池システムの一例について説明する。
(全体構成)
本発明の適用形態1を図14〜図16を参照して説明する。本適用形態は、一般家庭、業務店またはビル等に固定的に設置される定置用の燃料電池システムに適用している。図面はあくまでも概念図であり、細部の寸法まで詳細に規定するものではない。図14は燃料電池システムの概念を模式的に示す。まず、燃料電池システムの概略構成を説明する。燃料電池システムは、燃料原料をアノードガスとして改質して燃料電池のアノードに供給する供給路1と、アノードガス供給部として機能できる改質器2と、燃料電池のスタック3とをもつ。供給路1には、上流から下流にかけて、燃料原料源4、供給弁5、脱硫器6、第1ポンプ7(燃料原料搬送源)、弁8、改質器2、第1凝縮器9、入口弁10、燃料電池のスタック3が繋がれている。
【0053】
改質器2は、燃料原料を水蒸気改質させてアノードガスを生成させる改質部2aと、改質部2aを加熱させる燃焼部2cとで形成されている。供給路1のうち改質部2aの上流から分岐路11が燃焼部2cに向けて分岐されている。
【0054】
燃料電池のスタック3は、アノードガスが供給されるアノードと、カソードガスが供給されるカソードと、アノードおよびカソードにて挟持された高分子型のイオン伝導膜(例えば炭化フッ素系または炭化水素系のプロトン伝導膜)とをもつ。燃料電池は、シートタイプの複数の膜電極接合体を厚み方向に積層させる方式でも良いし、あるいは、チューブタイプの膜電極接合体を組み付ける方式でも良い。
【0055】
スタック3のカソードの入口にカソードガスを供給するカソードガス通路12が設けられている。カソードガス通路12は、カソードガス(空気)を吸入する吸気口12iをもつ。カソードガス通路12にはカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)が設けられている。燃料電池のカソードの出口からカソードオフガスを排出させるカソードオフガス通路14が設けられている。カソードオフガス通路14は、カソードオフガスを排ガス排出装置14pから外気700に排出させる。カソードオフガス通路14には、カソードオフガスを凝縮させる凝縮器22が設けられている。カソードガス通路12において、スタック3は加湿器15を隣接させて配置されている。加湿器15は、カソードガスをスタック3のカソードに供給させる前に加湿させるものである。ここで、加湿器15は、スタック3のカソードに流入する前のカソードガス(カソードオフガスよりもドライ)が流れる吸湿通路と、スタック3のカソードから流出した後のカソードオフガス(カソードガスよりもウェット)が流れる加湿通路と、吸湿通路および加湿通路を仕切る水分保持膜とを有する。加湿器15において、カソードガスよりも高湿度および高温のカソードオフガスは、水分保持膜に水分および熱を与える。カソードオフガスよりも低湿度および低温のカソードガスは、水分保持膜により加湿および加熱される。
【0056】
図14に示すように、供給路1のうち入口弁10の上流からバイパス路16が延設されている。バイパス路16にはバイパス弁17が設けられている。スタック3のアノードの出口3apからアノードオフガス通路19が改質器2の燃焼部2cに向けて設けられている。アノードオフガス通路19は、出口弁20と第2凝縮器21とを有する。第1凝縮器9から延設された第1排水路24は、第1排水弁23を介して水精製器28に繋がれている。第2凝縮器21から延設された第2排水路26は第2排水弁27を介して水精製器28に繋がれている。凝縮器22から延設された排水路22cは水精製器28に繋がれている。
【0057】
水精製器28で生成された水は、図略のポンプまたは重力により水タンク25に供給される。水タンク25から改質水通路40が改質部2aの入口2iに向けて延設されている。改質水通路40には、改質水ポンプ41、改質水バルブ42が設けられている。
【0058】
燃料電池システムの起動時について説明する。起動時には、供給弁5が開放されていると共に弁8が閉鎖されている状態で、第1ポンプ7(搬送源)が回転駆動する。すると、燃料原料源4のガス状をなす燃料原料は、供給路1に流れ、脱硫器6で脱硫され、改質器2の燃焼部2cに供給される。
【0059】
また燃焼空気用のポンプ33が回転駆動すると、燃焼空気が空気通路34から燃焼部2cに供給される。この結果、ガス状をなす燃料原料は、空気通路34からの空気により燃焼部2cにおいて燃焼される。燃焼部2cの燃焼により改質部2aが高温領域に次第に加熱される。このように改質部2aが高温領域に加熱されると、制御装置により、弁8が開放され、燃料原料源4の燃料原料が改質部2aに供給される。このとき制御装置により、改質水ポンプ41が回転駆動すると共に改質水バルブ42が開放する。このため水精製器28の水が改質部2aに供給される。この結果、改質部2aに供給された燃料原料は、改質水により水蒸気改質される。これにより水素を主要成分として含むアノードガス(水素20モル%以上)が生成する。このように改質器2で生成されたアノードガスは、第1凝縮器9で水分を低下させる。なお改質させる燃料原料は気体用燃料でも液体用燃料でも良い。具体的には、都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。
【0060】
起動当初では、アノードガスの組成が必ずしも安定していない。このため起動当初では、制御装置により、入口弁10および出口弁20は閉鎖されているが、バイパス弁17は開放されている。従って、起動当初では、アノードガスはスタック3のアノードに供給されず、バイパス路16およびバイパス弁17を介して第2凝縮器21に供給され、第2凝縮器21で水分を除去させた後、燃焼部2cに供給されて燃焼される。起動時から所定時間が経過し、アノードガスの組成が安定すると、入口弁10および出口弁20は開放され、アノードガスは入口弁10を介してスタック3のアノードの入口に供給される。
【0061】
また、カソードガスポンプ13が駆動するため、カソードガス通路12から供給されたカソードガスは、入口15iから加湿器15に流れ、加湿器15で加湿された後、スタック3のカソードの入口からカソードに供給される。このようにしてスタック3に負荷(スタック3の電気エネルギで作動させる負荷)が接続されている状態で、アノードガスおよびカソードガスによりスタック3において発電反応が行われ、電気エネルギが発生する。なお、発電反応後のアノードオフガスは、可燃性成分を有することがあるため、スタック3のアノードの出口から吐出され、出口弁20を介してアノードオフガス通路19から第2凝縮器21に流れ、第2凝縮器21で水分を凝縮させた後、燃焼部2cに供給されて燃焼され、再利用される。
【0062】
ここで、燃料電池システムの発電運転中において、第1凝縮器9、第2凝縮器21、凝縮器22等の凝縮器に凝縮水が次第に貯留される。第1排水弁23が開放されると、第1凝縮器9に溜まった凝縮水は、第1排水路24を介して水精製器28に重力により供給される。第2排水弁27が開放されると、第2凝縮器21に溜まった凝縮水は、第2排水路26を介して重力により水精製器28に供給される。凝縮器22に溜まった凝縮水は、排水路22cを介して重力により水精製器28に供給される。水精製器28に溜まった凝縮水は、水精製器28で生成されて純水化される。ここで、改質水ポンプ41が回転駆動すると共に改質水バルブ42が開放すると、水精製器28の水が改質部2aに供給される。この結果、改質部2aに供給された燃料原料は、改質水により水蒸気改質される。水蒸気改質に使用される改質水は、純水度が高いことが好ましい。
【0063】
上記したようにスタック3が発電運転するとき、スタック3は昇温する。スタック3が過剰に高温になると、スタック3の発電性能が低下する。そこで燃料電池システムの運転中においてスタック3にスタック冷却液を流してスタック3を冷却させるスタック冷却通路45が設けられている。スタック冷却通路45にはイオン交換器46(第1メンテナンス部品)が設けられている。イオン交換器46は、スタック冷却液を純水化させ、スタック冷却液の電気絶縁性を高める。なお、スタック冷却液の電気絶縁性が低下すると、スタック3から取り出される電気エネルギの取り出し効率が低下する。
【0064】
図15および図16は、燃料電池システムの筐体50の垂直断面を模式的に示す。図15は、筐体50の長手方向(L1方向)に沿って且つ鉛直線に沿って切断した状態を模式的に示す縦断面図である。図16は、筐体50の幅方向(L2方向)に沿って且つ鉛直線に沿って切断した状態を模式的に示す縦断面図である。ここで、筐体50の長手方向は、直方体形状をなす筐体50のうち水平方向に沿った方向において、最も長い寸法が延びる方向を意味する。筐体50の幅方向は、直方体形状をなす筐体50の水平方向に沿った方向において、筐体50の長手方向と交差する方向を意味する。
【0065】
本実施形態に係る燃料電池システムは、図15に示すように、筐体50と改質器2とスタック3とをもつ。筐体50は底壁部50b、天井壁部50u、側面部50tをもつ。図15において、筐体50の水平方向に沿っている底壁部50bまたは天井壁部50uに沿った方向において、最も長い寸法が延びる方向を長手方向(矢印L1方向)とする。
【0066】
図15に示すように、筐体50の収容室50xは、大容積の主収容室51と、主収容室51よりも低温に維持され且つ主収容室51よりも小容積の隔室53と、主収容室51および隔室53を仕切る隔壁55とを有する。隔室53はメンテナンス部品を収容するメンテナンス室として機能するものであり、主収容室51の側方に位置している。筐体50を形成する壁は、仕切壁として機能するものであり、金属製の壁体50fと、壁体50fの内面に設けられた断熱材料で形成された断熱層50sとを備えている。断熱層50sは断熱および防音作用を奏する。なお、筐体50は四角箱形状をなしているが、これに限定されるものではない。
【0067】
図15に示すように、隔室53は筐体50のうち、スタック3と共に放熱源となり得る改質器2からの熱影響を回避するため、改質器2およびスタック3から遠ざかるように、長手方向(矢印L1方向)において、改質器2に対して反対側の端側に設けられている。
【0068】
隔壁55は、金属(例えば炭素鋼、合金鋼、アルミニウム合金)製の金属板55fと、金属板55fの内面に設けられた断熱材料で形成された断熱層55sとを備えている。断熱層55sは断熱および防音作用を奏する。従って放熱源を収容する主収容室51の熱は隔室53に伝達されにくいため、隔室53の昇温を抑制するのに貢献できる。なお、隔壁55は空気断熱層55xを備えている構造でも良い。
【0069】
本実施形態によれば、図15に示すように、筐体50のうち隔室53側には、金属製の脱着パネル56がボルト等の取付具56xにより取着されている。取付具56xを外せば、脱着パネル56は筐体50から外方に離脱される。脱着パネル56は通気性を有しており、筐体50に対して脱着および取着可能であり、隔室53を閉じる。脱着パネル56は、カソードガスとして機能する外気700(筐体50の外方の空気)を筐体50の内部に導入させる外気導入口として機能する吸気口12iを形成するグリル58を有する。
【0070】
図15に示すように、スタック3および加湿器15は、筐体50の主収容室51のうち天井壁部50u側に配置されており、主収容室51の高さ方向の中間位置hmよりも上側に配置されており、筐体50の天井壁部50uに接近している。加湿器15は、主収容室51のうち改質器2から遠ざかるように、隔壁55側に配置されている。
【0071】
図15に示すように、筐体50の隔室53には、塵埃除去部として機能する空気フィルタ部66が、隔壁55と対面するように設けられている。空気フィルタ部66は、脱着パネル56の内面56iに溶接または図略の取付具により固定されている。空気フィルタ部66は、スタック3のカソードに供給されるカソードガスとして外気700に含まれている塵埃を除去するフィルタ機能を有する。
【0072】
図15から理解できるように、カソードガス通路12は、筐体50の脱着パネル56に形成された外気導入口としての吸気口12iと、外気導入口としての吸気口12iに連通する空気フィルタ部66と、空気フィルタ部66の内部を通過したカソードガスをダクト77の分岐部77kまで流す通路12fと、分岐部77kからカソードガスを加湿器15の入口15iに向けて搬送させる通路12sと、通路12sに設けられたカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)とを備えている。
【0073】
図15に示すように、外気をカソードガスとしてスタック3のカソードに供給することができる空気通路34を形成する中空筒形状をなすダクト77が設けられている。ダクト77は、空気フィルタ部66の出口側である裏面66r側と電気機器ボックス68の部位68pとを連通させている。電気機器ボックス68は、空気が通過できる通路となり得るボックス室68aと、ボックス室68aに配置されている放熱源となり得る電気機器68cとを有する。電気機器68cは、燃料電池の発電電力を変換させるインバータと、電源に電気的に接続されている電源基板と、その他の電気部品とを有する。空気通路34は、電気機器ボックス68の出口68mと燃焼部2cとを繋ぐ。
【0074】
図15に示すように、燃料電池システムの運転時等の通常時には、空気フィルタ部66の外箱として機能するケース66tは、ケース66tの裏面に保持されている裏面板66wと共に、隔壁55の開口75を閉じている。従って、空気フィルタ部66は、開口75を開閉可能に閉じる開閉部材または蓋部材として機能できる。この状態では、筐体50の外方の外気をカソードガスとしてダクト77側に導入できるように、空気フィルタ部66の内部は、開口75に連通している。従って、空気フィルタ部66が図15に示すように筐体50内に取り付けられている状態では、脱着パネル56の外気導入口としての吸気口12i、空気フィルタ部66の内部、開口75、ダクト77は、外気をダクト77側に吸入できるように連通している。
【0075】
従って、空気ポンプ33(燃焼用空気の搬送源)が回転駆動すると、外気は、脱着パネル56の外気導入口としての吸気口12i、空気フィルタ部66、開口75、ダクト77、電気機器ボックス68の内部、空気通路34を介して改質器2の燃焼部2cに供給され、燃焼部2cにおいて燃焼に使用される。この場合、電気機器ボックス68の内部の放熱する電気機器68cが空気により冷却され、電気機器68cの過熱が抑制されるため、電気機器68cの耐久性の向上、長寿命化に貢献できる。更に、改質器2の燃焼部2cに供給する空気を電気機器ボックス68の電気機器68cからの放熱により予熱できるため、燃焼部2cにおける燃焼効率を高めるのに有利である。
【0076】
図15に示すように、筐体50の天井壁部50u(取付壁部)には排ガス排出装置2k(本発明品)が設けられている。燃焼部2cで燃焼された排ガスは、凝縮器49で冷却され、凝縮水を生成させた後、排ガス出口2kから筐体50の外方(上方)に放出される。この排ガスは、燃焼部2cで燃焼された燃焼用空気の排ガス、燃焼用燃料の排ガス、アノードオフガスが燃焼部2cで燃焼した後の排ガスを意味する。
【0077】
また図15に示すように、カソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)が回転駆動すると、ダクト77内の空気は、カソードガス通路12の通路12sを介して加湿器15の入口15iに供給され、加湿器15で加湿された後にスタック3のカソードに供給され、発電反応に使用される。
【0078】
本実施形態によれば、図15に示すように、発電反応後の高湿度を有するカソードオフガスは、スタック3のカソードの出口から吐出された後に加湿器15の吸湿通路に流入し、加湿器15の出口15pからカソードオフガス通路14に排出される。図15に示すように、カソードオフガス通路14は、加湿器15の出口15pから凝縮器22の入口22iに向かう縦方向に配向する通路14fと、凝縮器22の出口22pから矢印L2方向に沿ってつまり水平方向に沿って側面部50mの排ガス排出装置14pに向かう通路14sとを備えている。図15から理解できるように、加湿器15の出口15pから排出された高湿度のカソードオフガスは、凝縮器22で冷却され、カソードオフガスに含まれている水分を凝縮水として凝縮させる。凝縮水を生成した後のカソードオフガスは、筐体50の側面部50mの排ガス排出装置14p(本発明品)から外方(横方)に排出される。
【0079】
上記したような本実施形態によれば、カソードガス通路12は、脱着パネル56の吸気口12iから通路12f,通路12sを介して加湿器15の入口15iに向かう。具体的には、図15に示すように、カソードガス通路12は、脱着パネル56に設けられた吸気口12iと、空気フィルタ部66と、ダクト77のうち分岐部77kまでの通路12fと、分岐部77kから加湿器15の入口15i間での通路12sとを有する。
【0080】
ここで本実施形態によれば、図15に示すように、筐体50の収容室50x(主収容室51+隔室53)を中心線P1を介して第1片側空間50yと第2片側空間50wとに分割すると、改質器2は、筐体50の収容室50xにおける片側の第1片側空間50yに配置されている。すなわち、改質器2は、筐体50の収容室50xの長手方向(矢印L1方向)において一端側に配置されている。
【0081】
これに対して、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pは、カソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、筐体50の収容室50xにおける他の片側である第2片側空間50wに配置されている。ここで、排ガス排出装置14pは、発電反応後のカソードオフガスを排出させる専用の排出口であり、アノードオフガスの燃焼後の排ガスを排出させる排ガス排出装置2kに対して分離独立している。この結果、カソードガス通路12の長さは、抑制されて短縮される。よってカソードガス通路12の圧損が抑制される。更に、カソードオフガス通路14の長さは、抑制されて短縮される。この結果、カソードオフガス通路14の圧損が抑制される。
【0082】
本実施形態によれば、図15に示すように、加湿器15と改質器2との間にスタック3を配置させるように、加湿器15は、放熱源となり得る改質器2から遠ざけられている。これにより放熱源となり得る改質器2が加湿器15の加湿性能に熱影響を与えることが抑制される。殊に図15に示すように、加湿器15は、主収容室51よりも低温に維持され易い隔室53(放熱源が少ないか、ない)に対向している。よって加湿器15が過剰に高温になることが抑制され、加湿性能が良好に維持される。
【0083】
上記したように改質器2とカソードガス通路12およびカソードオフガス通路14とが離間している。よって、放熱源となる改質器2がカソードガス通路12のカソードガス、カソードオフガス通路14のカソードオフガスに熱影響を与えることが抑制される。よって、カソードガス通路12のカソードガスの体積の熱膨張、カソードオフガス通路14のカソードオフガスの体積の熱膨張が抑制される。従って、カソードガスをスタック3のカソードまで搬送させるカソードガスポンプ13(カソードガス搬送源)の動力損失を低減させるのに有利となる。この場合、カソードガスポンプ13の小型化に貢献することができる。
【0084】
(他の形態)
本発明の実施形態および適用形態としては次の事項が例示される。燃料電池システムは図14に示す配管に限定されるものではない。上記した実施形態によれば、改質器2は、筐体50の収容室50xにおける片側の第1片側空間50yに配置されており、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pは、カソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、第2片側空間50wに配置されているが、これに限らず、改質器2は、カソードガス通路12の吸気口12iおよびカソードオフガス通路14の排ガス排出装置14pと共に、更にカソードガス通路12とカソードオフガス通路14と共に、第2片側空間50wに配置されていても良い。
【0085】
空気ポンプ33(燃焼用空気の搬送源)が回転駆動すると、電気機器ボックス68の内部の空気は空気通路34を介して改質器2の燃焼部2cに供給されて燃焼に使用されるが、電気機器ボックス68の内部の空気を吸引させる場合に限らず、他の系統から吸引して燃焼部2cに供給することにしても良い。この場合、電気機器ボックス68の内部の放熱する電気機器68cが空気により冷却され、電気機器68cの過熱が抑制されるため、電気機器68cの耐久性の向上、長寿命化に貢献で
カソードガス通路12は、燃焼用空気を供給するための空気通路34に繋がるダクト67に連通しているが、カソードガス通路12および空気通路34は、互いに非連通の別経路としても良い。筐体50は四角箱形状とされているが、円筒形状としても良い。吸気口12iは、脱着パネル56に形成されているが、これに限らず、排ガス排出装置14pは筐体50の側面部50mに形成されているが、筐体50の他の側面部に形成されていても良く、筐体50の天井壁部50uまたは底壁部50bに形成されていても良い。
【0086】
上記したポンプ7,33,13,41はファン102、ブロア等のカソードガス搬送源でも良い。隔壁55は、金属板55fと断熱層55sとを備えているが、これに限らず、金属板のみとしても良いし、断熱材料で形成された断熱板のみとしても良い。
【0087】
ダクト77は電気機器ボックス68を介して燃焼部2cに燃焼用空気を供給するが、これに限らず、ダクト77は電気機器ボックス68を介することなく燃焼部2cに燃焼用空気を供給することにしても良い。隔室53は筐体50の長手方向の端側に配置されているが、これに限らず、筐体50の幅方向の端側でも良い。
【0088】
上記した実施形態によれば、図15に示すように、水精製器28で生成された水は水タンク25に供給され、その後、改質器2に供給されるが、これに限らず、水精製器28および水タンク25の位置の順序を入れ替えても良い。この場合、水タンク25で溜めた水は、水精製器28で精製され、その後、改質器2に供給される方式としても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。
【0089】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に前記排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備することを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。排気室に連通する吹出管の吹出口から排ガスが吹き出される。
(付記項2)燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口をもつ排気マフラ部材と、前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出す吹出口をもつ吹出管とを具備しており、前記排気口および前記吹出口は互いに異なる方向(逆の方向)に指向していることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、携帯用、可搬用の燃料電池システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施形態1に係り、排ガス排出装置を組み付ける状態を示す断面図である。
【図2】実施形態1に係り、組み付け前の排ガス排出装置のユニット品を示す平面図である。
【図3】実施形態1に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図4】実施形態2に係り、図6のW4−Wに沿って切断した断面を示し、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図5】実施形態2に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す側面図である。
【図6】実施形態2に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図7】実施形態3に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図8】実施形態4に係り、図11のW8−W8に沿って切断した断面を示し、排ガス排出装置を筐体に組み付ける状態を示す断面図である。
【図9】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す側面図である。
【図10】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付ける前の状態を示す断面図である。
【図11】実施形態4に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図12】実施形態5に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す平面図である。
【図13】実施形態6に係り、排ガス排出装置を筐体に組み付けた状態を示す断面図である。
【図14】適用形態1に係り、燃料電池システムの概念を模式的に示すシステム図である。
【図15】適用形態1に係り、筐体の内部の基本構成を長手方向に沿った垂直に切断した状態を模式的に示す縦断面図である。
【図16】適用形態1に係り、筐体の内部の基本構成を幅方向に沿った垂直に切断した状態を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1は供給路、2は改質器、2aは改質部、2cは燃焼部、3はスタック、4は燃料原料源、9は第1凝縮器、10は入口弁、12はカソードガス通路、13はカソードガスポンプ(カソードガス搬送源)、14はカソードオフガス通路、15は加湿器、17はバイパス弁、19はアノードオフガス通路、20は出口弁、21は第2凝縮器、25は水タンク、28は水精製器、50は筐体、50xは収容室、50mは側面部、51は主収容室、53は隔室、55は隔壁、56は脱着パネル、58はグリル、66は空気フィルタ部、67はダクト、68は電気機器ボックス、300は排ガス排出装置、400は排気マフラ部材、401は排気口、410は排気室、412は取付鍔部、430はユニット品、580は排ガス放出管を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、
前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に前記排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備しており、
相対表示で、前記排気マフラ部材の前記排気口の開口面積を100とするとき、前記吹出口の中心軸線と平行な方向において、前記排気口および前記吹出口が対面する対面重合度は、前記排気口の開口面積のうちの30以下に設定されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記排気口および前記吹出口は互いに逆方向に指向していることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記吹出管の中心軸線に沿って前記吹出管の中心軸線を通る断面において、前記排気口の中心軸線と前記吹出管の中心軸線とは交差することを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記排気マフラ部材および前記吹出管は連結されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記排気マフラ部材は、前記筐体に対して方向変換可能とされていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記吹出管は逃水通路を有しており、前記逃水通路は、前記排気マフラ部材の前記排気室と前記吹出管の内部とを連通させ、且つ、前記排気マフラ部材の前記排気室に存在する水を前記吹出管の内部に逃がすことを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの一項において、前記吹出管の前記吹出口は前記排気マフラ部材の前記排気室に突出しており、高さ方向において、前記吹出管の前記吹出口の下端は、前記排気室に存在する水を前記吹出口から前記吹出管の内部に逃がすように、前記排気マフラ部材の前記排気口の下端よりも低い位置に設定されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項8】
収容室をもつ筐体と、
前記筐体の前記収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質部と前記改質部を加熱する燃焼部とを有する改質器と、
前記筐体の前記収容室に配置され前記アノードガスが供給されるアノードとカソードガスが供給されるカソードとを有する燃料電池のスタックと、
前記筐体の前記収容室に配置され前記改質器の前記燃焼部または前記スタックから排出された排ガスを外気に向けて排出させる排ガス排出管と、
前記筐体の外壁面に取り付けられ前記排ガス排出管に連通する排ガス排出装置とを具備しており、
前記排ガス排出装置は、請求項1〜7のうちの一項に記載されている排ガス排出装置であることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項1】
燃料電池システムの燃料電池を収容する筐体に設けられ、外気に連通する排気口および排気口に連通する排気室をもつ排気マフラ部材と、
前記排気マフラ部材に対向するように前記筐体に設けられ、前記燃料電池システムで発生する排ガスを吹き出すと共に前記排気室に連通する吹出口をもつ吹出管とを具備しており、
相対表示で、前記排気マフラ部材の前記排気口の開口面積を100とするとき、前記吹出口の中心軸線と平行な方向において、前記排気口および前記吹出口が対面する対面重合度は、前記排気口の開口面積のうちの30以下に設定されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記排気口および前記吹出口は互いに逆方向に指向していることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記吹出管の中心軸線に沿って前記吹出管の中心軸線を通る断面において、前記排気口の中心軸線と前記吹出管の中心軸線とは交差することを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記排気マフラ部材および前記吹出管は連結されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記排気マフラ部材は、前記筐体に対して方向変換可能とされていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記吹出管は逃水通路を有しており、前記逃水通路は、前記排気マフラ部材の前記排気室と前記吹出管の内部とを連通させ、且つ、前記排気マフラ部材の前記排気室に存在する水を前記吹出管の内部に逃がすことを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの一項において、前記吹出管の前記吹出口は前記排気マフラ部材の前記排気室に突出しており、高さ方向において、前記吹出管の前記吹出口の下端は、前記排気室に存在する水を前記吹出口から前記吹出管の内部に逃がすように、前記排気マフラ部材の前記排気口の下端よりも低い位置に設定されていることを特徴とする燃料電池システムの排ガス排出装置。
【請求項8】
収容室をもつ筐体と、
前記筐体の前記収容室に配置され燃料原料を改質してアノードガスを生成させる改質部と前記改質部を加熱する燃焼部とを有する改質器と、
前記筐体の前記収容室に配置され前記アノードガスが供給されるアノードとカソードガスが供給されるカソードとを有する燃料電池のスタックと、
前記筐体の前記収容室に配置され前記改質器の前記燃焼部または前記スタックから排出された排ガスを外気に向けて排出させる排ガス排出管と、
前記筐体の外壁面に取り付けられ前記排ガス排出管に連通する排ガス排出装置とを具備しており、
前記排ガス排出装置は、請求項1〜7のうちの一項に記載されている排ガス排出装置であることを特徴とする燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−259678(P2009−259678A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108791(P2008−108791)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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