説明

燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池セルスタック及びそれらを含む燃料電池

【課題】内側の電極層から電気を取出し易く且つ燃料セル同士の組立てが容易な燃料電池セル体、そのユニット及びスタック、及びそれらを含む燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明による燃料電池セルユニット(1)は、内側の電極層(16)、外側の電極層(20)及び貫通流路(15)を有する燃料電池セル(6)と、燃料電池セル(6)の端部(6a,6b)に固定された内側電極端子(24)及び外側電極端子(26)を有する。燃料電池セル(6)は、内側の電極層(16)と電気的に通じる内側電極外周面(21)と、外側の電極層(20)と電気的に通じる外側電極外周面(22)を有する。内側電極端子(24)及び外側電極端子(26)はそれぞれ、内側電極外周面(21)及び外側電極外周面(22)を覆い且つそれと電気的に接続される。内側電極端子(24)及び外側電極端子(26)は、貫通流路(15)と連通しする接続流路(24c,26c)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に使用される燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池セルスタック、及び、それらを含む燃料電池に関し、更に詳細には、管状の燃料電池セルを有する燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池セルスタック、及び、それらを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、管状の燃料電池セルを有する燃料電池セルスタックが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。まず、図11を参照して、特許文献1に記載された従来の燃料電池のセルスタックの一例を説明する。図11は、従来の燃料電池セルスタックの概略的な断面図である。
【0003】
図11に示すように、特許文献1に記載された燃料電池セルスタック200は、円筒形の燃料電池セル202を互いに長手方向に対して横方向に並べて、その両端部を金属板204で支持した構造を有している。この燃料電池セルスタック200は、燃料電池セル202が並列に接続されている。
【0004】
燃料電池セル202は、内側の電極層204と、外側の電極層208と、それらの間に配置された電解質層206とを有している。燃料電池セル202の一方の端部には、内側の電極層204の内側に挿入された接続部材210が設けられている。燃料電池セル202の他方の端部には、外側の電極層208の外側に嵌合した接続部材212が設けられている。内側の電極層204又は外側の電極層208と接続部材210、212とは、ロウ付け、溶射又はすり合わせにより連結されている。また、接続部材210、212と金属板104とは、溶接、圧着又はすり合わせで連結されている。
【0005】
また、特許文献2には、中空六角形状の燃料電池セルが記載され、この燃料電池セルの内側の電極は、端部において長手方向に露出している。
【0006】
【特許文献1】特開2002−289249号公報(段落0028及び図4)
【特許文献2】特開平5−101842号公報(図1及び図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された燃料電池スタック200では、内側電極204に接続部材210を取付けることが困難であり、接触抵抗が大きくなりやすい。特に、外径が1〜10mmの燃料電池セル202の内側電極204に接続部材210を取付けることは困難である。
【0008】
また、燃料電池セル単体で発生させることができる電圧は、その寸法にかかわらず一定である。従って、高い電圧を得るためには、燃料電池セルを電気的に直列に接続する必要がある。一方、大きい電流を得るためには、例えば、燃料電池セルを電気的に並列に接続する必要がある。電気的に直列又は並列に接続する燃料電池セルの数は、用途に応じて異なるので、燃料電池セルを所望の電気的接続で容易に組立てることの要望がある。特許文献1に開示された燃料電池セルスタック200を用いる燃料電池では、複数の燃料電池セル202を電気的に直列に組立ててから、組立てたものを電気的に並列に接続して燃料電池セルスタック200を組立てる工程か、複数の燃料電池セル202を電気的に並列に組立てて燃料電池セルスタック200を形成してから、それらを電気的に直列に組立てる工程が必要であり、燃料電池全体を組立てるのに手間がかかっていた。
【0009】
そこで、本発明は、内側の電極層から電気を取出しやすく且つ燃料セルを電気的に直列に及び/又は並列に組立てることが容易な燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池スタック及びそれらを含む燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、燃料電池に使用される本発明による燃料電池セルユニットは、管状の内側の電極層、管状の外側の電極層、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層、及び、内側の電極層の内側に構成される貫通流路を有する管状の燃料電池セル体と、燃料電池セル体の一方の端部に固定され且つ内側の電極層から電気を取出すための内側電極端子と、燃料電池セル体の他方の端部に固定され且つ外側の電極層から電気を取出すための外側電極端子と、を有し、燃料電池セル体は、一方の端部に、内側の電極層記電解質層及び外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、一方の端部の外周面に、内側電極露出周面を介して内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、他方の端部の外周面に、外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、内側電極端子は、内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、外側電極端子は、外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、内側電極端子及び外側電極端子は、貫通流路と連通し且つ外部と通じる接続流路を有することを特徴としている。
【0011】
このように構成された燃料電池セルユニットでは、内側の電極層の電気を燃料電池セル体の外周面である内側電極外周面を介して内側電極端子から取出すので、従来の燃料電池セルよりも内側の電極層の電気を取出し易くなっている。また、内側電極端子及び外側電極端子が両側に配置された燃料電池セル体が一単位となっているので、燃料電池セルを電気的な直列接続及び/又は並列接続の自由な組合せで容易に組立てることができる。
【0012】
本発明による燃料電池セルユニットの実施形態において、好ましくは、内側電極端子と燃料電池セル体、及び、外側電極端子と燃料電池セル体とは、その全周にわたって導電性のシール材によってシールされ且つ固定される。
【0013】
このように構成された燃料電池セルユニットでは、導電性のシール材は、内側の電極層と作用するガスと、外側の電極層と作用するガスとを仕切る機能と、内側の電極層及び外側の電極層から電気を取出す機能の両方を既に内蔵している。また、導電性のシール材は、内側電極外周面に対する密着性がよいため、界面における接触抵抗が小さくなり、発電性能および信頼性に優れた燃料電池セルユニットを構成できる。従って、内側の電極層からの電気の取出し及びガスシール等を考慮する必要なしに、燃料電池を容易に組立てることができる。
【0014】
本発明による燃料電池セルユニットの実施形態において、好ましくは、内側電極端子及び外側電極端子はそれぞれ、燃料電池セル体から遠ざかるように燃料電池セル体の長手方向に延び且つ接続流路を含む管状部分を有し、内側電極端子及び外側電極端子の管状部分の外輪郭断面形状は同一である。
【0015】
このように構成された燃料電池セルユニットでは、内側電極端子への接続及び外側電極端子への接続の仕方を共通にすることができ、燃料電池の組立てが更に容易になる。
【0016】
また、本発明による燃料電池セルユニットの実施形態において、好ましくは、燃料電池セル体は、1本の燃料電池セルからなり、又は、長手方向に連結され且つ電気的に直列に接続された複数の燃料電池セルを有する。
【0017】
また、本発明による燃料電池セルユニットの実施形態において、好ましくは、内側電極外周面は、内側電極露出周面によって構成されてもよいし、その外側に設けられた内側電極集電層によって構成されてもよい。また、外側電極外周面は、外側の電極層によって構成されてもよいし、外側の電極層の外側に設けられた外側電極集電層によって構成されてもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明による燃料電池は、上述した燃料電池セルユニットを含む。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明による燃料電池セルスタックは、上記管状部分を有する燃料電池セルユニットを有し、この燃料電池セルユニットは、互いに長手方向に対して横方向に整列して複数設けられ、更に、複数の燃料電池セルユニットの管状部分に嵌合する孔を有し、複数の燃料電池セルユニットの両端部にそれぞれ位置決めされる支持板を有することを特徴としている。
【0020】
このように構成された燃料電池セルスタックは、管状部分と孔との嵌合により、複数の燃料電池セル体を支持板に容易に組立てることができ、一体的な燃料電池セルスタックを容易に形成することができる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本発明による燃料電池セルスタックは、上記管状部分を有する料電池セルユニットを有し、この燃料電池セルユニットは、互いに長手方向に対して横方向に整列して複数設けられ、更に、隣接した少なくとも2つの前記燃料電池セルユニットの管状部分に嵌合し且つそれらを連結する連結部材を有し、連結部材は、管状部分の接続流路を互いに接続する接続流路を有することを特徴としている。
【0022】
このように構成された燃料電池セルスタックは、燃料電池を電気的な直列接続及び並列接続に係わらず横方向に容易に延ばすことができる。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本発明による燃料電池は、上記燃料電池セルスタックを含む。
【0024】
また、上記目的を達成するために、燃料電池に使用される本発明による燃料電池セル体は、長手方向に互いに整列した少なくとも2本の管状の燃料電池セルと、燃料電池セルの間に配置され且つそれらに固定された接続電極端子と、を有し、燃料電池セルの各々は、管状の内側の電極層と、管状の外側の電極層と、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層と、内側の電極層の内側に構成される貫通流路と、を有し、燃料電池セルの各々は、その一方の端部に、内側の電極層が電解質層及び外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、一方の端部の外周面に、内側電極露出周面を介して内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、その他方の端部の外周面に、外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、接続電極端子は、一方の燃料電池セルの内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、他方の燃料電池セルの外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、それにより、一方の燃料電池セルの内側電極外周面と他方の燃料電池セルの外側電極外周面とを電気的に接続すると共に、一方の燃料電池セルの貫通流路と他方の燃料電池セルの貫通流路とを連通させる接続流路を有することを特徴としている。
【0025】
このように構成された燃料電池セル体では、接続電極端子を用いることによって、上述した燃料電池セルユニットと同様、燃料電池セルの長手方向の電気的な直列接続を容易に組立てることができる。
【0026】
また、上記目的を達成するために、燃料電池に使用される本発明による燃料電池セル体は、互いに長手方向に対して横方向に隣接して整列した少なくとも2本の管状の燃料電池セルと、少なくとも2本の燃料電池セルを互いに固定する接続電極端子と、を有し、燃料電池セルの各々は、管状の内側の電極層と、管状の外側の電極層と、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層と、内側の電極層の内側に構成される貫通流路と、を有すると共に、その一方の端部に、内側の電極層が電解質層及び外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、燃料電池セルの各々は、更に、一方の端部の外周面に、内側電極露出周面を介して内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、その他方の端部の外周面に、外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、接続電極端子は、少なくとも1本の燃料電池セルの内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、残りの燃料電池セルの外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、それにより、少なくとも1本の燃料電池セルの内側電極外周面と残りの燃料電池セルの外側電極外周面とを電気的に接続すると共に、互いに隣接した燃料電池セルの貫通流路を互いに連通させる接続流路を有することを特徴としている。
【0027】
このように構成された燃料電池セル体では、接続電極端子を用いることによって、上述した燃料電池セルユニットと同様、燃料電池セルを横方向に電気的な直列接続及び並列接続で容易に組立てることができる。
【0028】
上記2つの燃料電池セル体の実施形態において、好ましくは、接続電極端子とそれによって電気的に接続された燃料電池セルとは、燃料電池セルの全周にわたって導電性のシール材によってシールされ且つ固定される。
【0029】
このように構成された燃料電池セル体では、導電性のシール材は、内側の電極層と作用するガスと、外側の電極層と作用するガスとを仕切る機能と、内側の電極層及び外側の電極層から電気を取出す機能を有している。また、導電性のシール材は、内側電極外周面に対する密着性がよいため、界面における接触抵抗が小さくなり、発電性能および信頼性に優れた燃料電池セル体を構成できる。従って、燃料電池を容易に組立てることができる。
【0030】
また、上記目的を達成するために、本発明による燃料電池は、上記燃料電池セル体を含む。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明による燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池スタック及びそれらを含む燃料電池によれば、内側の電極層から電気を取出しやすく且つ燃料セル同士の組立てが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
まず、図1を参照して、本発明による燃料電池セルユニットの第1の実施形態を説明する。図1は、本発明による燃料電池セルユニットの断面図である。
【0034】
図1に示すように、本発明による燃料電池セルユニット1は、1本の管状の燃料電池セル体を有している。本実施形態では、燃料電池セル体は、1本の燃料電池セル6からなり、燃料電池セル6は、円筒形である。
【0035】
燃料電池セル6は、円筒形の内側の電極層16と、円筒形の外側の電極層20と、これらの電極層16、20の間に配置された円筒形の電解質層18と、内側の電極層16の内側に構成される貫通流路15を有している。また、燃料電池セル6の一方の端部6aに、内側の電極層16が電解質層18及び外側の電極層20に対して露出した内側電極露出周面16aと、電解質層18が外側の電極層20に対して露出した電解質露出周面18aとが設けられ、内側電極露出周面16a及び電解質露出周面18aは、燃料電池セル6の外周面を構成している。燃料電池セル6の他方の端部6bを含む残部の外周面は、外側の電極層20が露出した外側電極露出周面20aによって構成されている。本実施形態では、内側電極露出周面16aは、内側の電極層16と電気的に通じる内側電極外周面21でもあり、外側電極露出周面20aは、外側の電極層20と電気的に通じる外側電極外周面22でもある。
【0036】
内側の電極層16は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートとの混合体、の少なくとも一種から形成される。電解質層18は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。外側の電極層20は、例えば、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたサマリウムコバルト、銀、などの少なくとも一種から形成される。この場合、内側の電極層16が燃料極になり、外側の電極層20が空気極になる。内側の電極層16の厚さは、例えば、1mmであり、電解質層18の厚さは、例えば、30μmであり、外側の電極層20の厚さは、例えば、30μmである。
【0037】
燃料電池セルユニット1は、更に、燃料電池セル6の一方の端部6aに固定され且つ内側の電極層16から電気を取出すための内側電極端子24と、その他方の端部6bに固定され且つ外側の電極層20から電気を取出すための外側電極端子26とを有している。
【0038】
内側電極端子24は、内側電極外周面21を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続された本体部分24aと、燃料電池セル6から遠ざかるように燃料電池セル6の長手方向に延びる管状部分24bとを有している。好ましくは、本体部分24a及び管状部分24bは、円筒形であり且つ同心に配置され、管状部分24bの管径は、本体部分24aの管径よりも細い。本体部分24a及び管状部分24bは、貫通流路15と連通し且つ外部と通じる接続流路24cを有している。本体部分24aと管状部分24bとの間の段部24dは、内側の電極層16の端面16bと当接している。
【0039】
外側電極端子26は、外側電極外周面22を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続された本体部分26aと、燃料電池セル2から遠ざかるように燃料電池セル2の長手方向に延びる管状部分26bとを有している。好ましくは、本体部分26a及び管状部分26bは、円筒形であり且つ同心であり、管状部分26bの管径は、本体部分26aの管径よりも細い。本体部分26a及び管状部分26bは、貫通流路15と連通し且つ外部と通じる接続流路26cを有している。本体部分26aと管状部分26bとの間の段部26dは、環状の絶縁部材28を介して外側の電極層20、電解質層18及び内側の電極層16の端面16cと当接している。
【0040】
内側電極端子24及び外側電極端子26の管状部分24b、26bは、好ましくは、それらの外輪郭断面形状が同一である。更に好ましくは、内側電極端子24及び外側電極端子26の全体形状が同一である。
【0041】
内側電極端子24と燃料電池セル6、及び、外側電極端子26と燃料電池セル6とは、その全周にわたって導電性のシール材32によってシールされ且つ固定されている。
【0042】
一方の端部6aにおいて、内側電極露出周面16a及び電解質露出周面18aは、燃料電池セル6の全周にわたって延び、互いに長手方向Aに隣接している。また、内側電極露出周面16aは、燃料電池セル6の先端部6cに位置している。内側電極露出周面16aと電解質露出周面18aとの間の境界34は、内側電極端子24の本体部分24aの内部にあり、電解質露出周面18と外側電極露出周面20との間の境界36は、本体部分24aの外側に位置している。また、電解質露出周面18aは、内側電極露出周面16aに向かって薄肉となるテーパ部18bを有している。
【0043】
一方の端部6aにおいて、シール材32は、内側電極露出周面16a及び電解質露出周面18aに跨がって全周にわたって延び、内側電極端子24の本体部分24aに充填され、電解質露出周面18aを介して外側の電極層20と間隔をおいている。また、他方の端部6bにおいて、シール材32は、外側電極露出周面20aの上を全周にわたって延び、外側電極端子26の本体部分26aと絶縁部材28との間の空間に充填されている。シール材32は、内側の電極層16と作用するガスの領域、即ち、貫通流路15及び接続流路24c、26cと、外側の電極層20と作用するガスの領域とを仕切るように設けられている。シール材32は、例えば、銀、銀とガラスの混合物、銀、金、ニッケル、銅、チタンなどを含む各種ロウ材である。
【0044】
次に、本発明による燃料電池の動作を説明する。
【0045】
内側の電極層16と作用するガス(燃料ガス)を、貫通流路15及び接続流路24c、26cに通す。また、外側の電極層20と作用するガス(空気)を、外側の電極層20の周りに流す。それにより、燃料電池セルユニット1が作動する。また、内側の電極16の電気をシール材32及び内側電極端子24を介して取出し、外側の電極20の電気をシール材32及び外側電極端子26を介して取出す。
【0046】
次に、本発明による燃料電池セルユニットの製造方法の一例を説明する。
【0047】
先ず、管状の燃料電池セルを形成する。詳細には、先ず、管状の内側の電極層16を形成し、内側の電極層16の端部を露出させるように内側の電極層16の周りに電解質層18を形成し、更に、電解質層18の端部を露出させるように電解質層18の周りに外側の電極層20を形成する。この後、電解質層18の端部にテーパ部18bを形成するのがよい。
【0048】
次いで、内側電極端子24を燃料電池セル6の一方の端部6aにかぶせ、それらをシール材32によって互いにシールし且つ固定する。また、外側電極端子26を燃料電池セルの他方の端部6bに絶縁部材28を介してかぶせ、それらをシール材32によって互いにシールし且つ固定する。それにより、燃料電池セルユニット1が形成される。
【0049】
燃料電池セルユニット1では、内側の電極層16の電気を燃料電池セル6の外周面である内側電極外周面21を介して内側電極端子16から取出すので、従来の燃料電池セルよりも内側の電極層16の電気を取出し易くなっている。また、内側の電極15に作用するガスの流れを妨げることなく、シール材32と内側電極外周面16aの接触面積を大きくすることができ、それにより、接触抵抗を小さくすることができる。特に、外径が1〜10mmの燃料電池セルを用いる場合に有利である。
【0050】
また、内側電極端子24及び外側電極端子26が両側に配置された燃料電池セル6が一単位となっているので、燃料電池セル6を電気的な直列接続及び/又は並列接続の自由な組合せで容易に組立てることができる。
【0051】
また、燃料電池セルユニット1では、内側電極端子24及び外側電極端子26の管状部分24b、26bの外輪郭断面形状が同一であるので、内側電極端子24への接続及び外側電極端子26への接続の仕方を共通にすることができ、燃料電池の組立てが更に容易になる。更に、燃料電池セルユニット1では、内側電極端子24及び外側電極端子26の全体形状が同一であるので、内側電極端子24及び外側電極端子26に共通の部材を用いることができ、燃料電池セルユニット1に必要な部品の種類を減らすことができる。
【0052】
また燃料電池セルユニット1は、導電性のシール材32により、内側の電極層16と作用するガスと、外側の電極層20と作用するガスとを仕切る機能と、内側の電極層16及び外側の電極層20から電気を取出す機能の両方を既に内蔵している。また、導電性のシール材32は、内側電極外周面21に対する密着性がよいため、界面における接触抵抗が小さくなり、発電性能および信頼性に優れた燃料電池セルユニット1を構成できる。従って、内側の電極層16からの電気の取出し及びガスシール等を考慮する必要なしに、燃料電池を容易に組立てることができる。
【0053】
また、内側電極露出面16aを採用し、且つ、シール材32を用いることにより、燃料電池セルスタック4及び燃料電池セルユニット1の製造を容易にすることができる。特に、外径が1〜10mmの燃料電池セル6を用いる場合に有利である。
【0054】
また、電解質層18のテーパ部18bにより、シール材32を内側電極部材24と燃料電池セル6との間に配置する又は充填するとき、内側電極露出周面16aと電解質露出周面18aとの間に気泡等が残って、シール材32によるガスシール機能の低下を防止することができる。それにより、歩留まりが上がり、安定した製造を容易に行うことができる。
【0055】
次に、図2〜4を参照して、燃料電池セル6の他方の端部の変形例を説明する。
【0056】
図2は、燃料電池セルの他方の端部の第1の変形例の断面図である。図2に示すように、燃料電池セル6の他方の端部6bにおいて、電解質層18を燃料電池セル6の外周面に露出させて第2の電解質外周面18cを形成して、内側の電極層16の端面と外側の電極層20の端部とを引離してもよい。それにより、内側の電極層16と外側の電極層20とがシール材32を介して短絡することを、より信頼性高く防ぐことができる。
【0057】
図3は、燃料電池セルの他方の端部の第2の変形例の断面図である。図3に示すように、燃料電池セル6の外側の電極20の周り全体又はその一部に、外側電極集電層44aを配置してもよい。この変形例では、外側の電極20と電気的に接続される外側電極外周面22は、外側電極集電層44aによって構成される。外側電極集電層44aは、例えば、銀を含有する多孔質導電性膜である。外側電極集電層44aの厚さは、例えば10μmである。また外側電極集電層44aを銀や耐熱金属のワイヤ、メッシュなどで構成してもよい。外側電極集電層44aは、外側の電極層20が薄くて電気を通しにくい場合に電気の通路として役立つ。
【0058】
図4は、燃料電池セルの他方の端部の第3の変形例の断面図である。図4に示すように、燃料電池セル6の他方の端部6bの先端部6dにおいて、電解質層18を燃料電池セル6の外周面に露出させて第2の電解質露出周面18bを形成した後、外側の電極20及び第2の電解質露出周面18bの周り全体又はその一部に、外側電極集電層44bを配置してもよい。この変形例では、外側の電極20と電気的に接続される外側電極外周面22は、外側電極集電層44bによって構成される。外側電極集電層44bの材質、厚さ等は、第2の変形例の外側電極集電層44aと同様である。外側電極集電層44bにより、内側の電極層16と作用するガスに外側の電極層20が曝される可能性が減少するので、より信頼性高く電気的に接続することができる。
【0059】
次に、図5及び図6を参照して、上述した燃料電池セルユニットを含む本発明による燃料電池セルスタック及び燃料電池の第1の実施形態を説明する。図5は、本発明の第1の実施形態による燃料電池セルスタックの斜視図である。図6は、本発明の第1の実施形態による燃料電池の斜視図である。
【0060】
図5に示すように、本発明による燃料電池セルスタックの第1の実施形態である燃料電池セルスタック50は、互いに長手方向Aに対して横方向に整列して設けられた複数の燃料電池セルユニット1と、複数の燃料電池セルユニット1の両端部にそれぞれ位置決めされる支持板52、53とを有している。各支持板は52、53は、燃料電池セルユニット1の管状部分24b、26bに嵌合する孔54を有している。本実施形態では、支持板52、53は、電気絶縁性材料で形成されており、例えば、耐熱性のセラミックスで形成されている。具体的には、アルミナ、ジルコニア、スピネル、フォルステライト、マグネシア、チタニアなどを用いることが好ましい。なお、支持板52、53の材質は、その熱膨張係数が燃料電池スタックを構成する各部材の熱膨張係数と近似した材質がより好ましい。
【0061】
図5に示すように、燃料電池セルスタック50は、5×4列からなる20本の燃料電池セル6のすべてが、接続部材55によって矢印C1のように電気的に直列に接続されるように配置されている。なお、図5中の符号a、bは、燃料電池セル6の向きを指示する符号であり、aは、一方の端部を指示し、bは、他方の端部を指示する。また、電気的に直列に接続された燃料電池セル6の端部分には、外部と接続するための外部端子56が設けられている。接続部材55は、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金などの耐熱金属や、ランタンクロマイトなどのセラミック材料で形成される。さらに製造工程の簡略化やコストの観点からは、接続部材55は支持板52、53に予め形成された導電性膜(例えば、銀、ニッケル、銅などで形成された厚さ1〜500μmの膜)であることが好ましい。
【0062】
図6に示すように、本発明による燃料電池の第1の実施形態である燃料電池60は、上記燃料電池セルスタックと50と、その両側に内側の電極層16と作用するガスが流れる部屋62a、63aを形成するように支持板52、53に密封式に連結された端ケース62、63と、複数の燃料電池セルユニット1の周りを覆って外側の電極層20と作用するガスが流れる部屋64aを形成するように支持板42、43に密封式に連結された中央ケース64と、を有している。端ケース62,63にはそれぞれ、流入ポート62b及び流出ポート63bが設けられ、中央ケース64には、流入ポート64b及び流出ポート64cが設けられている。外部端子56は、絶縁部材(図示せず)を介して中央ケース64を貫いている。
【0063】
次に、上記燃料電池の動作を説明する。
【0064】
内側の電極層16と作用するガス(燃料ガス)を、流入ポート62bに供給し、部屋62a、燃料電池セルユニット1の貫通流路15及び接続流路24c、26c、及び部屋63aに通し、流出ポート63bから排出させる。また、外側の電極層20と作用するガス(空気)を、流入ポート64bに供給し、部屋64aに通して外側の電極層20の周りに流し、流出ポート64cから排出させる。それにより、燃料電池60が作動する。また、内側の電極16の電気をシール材32及び内側電極端子24を介して取出し、外側の電極20の電気をシール材32及び外側電極端子26を介して取出し、最終的に、これらの電気を外部端子56から取出す。
【0065】
燃料電池セルスタック50では、管状部分24c、26cと孔54との嵌合により、複数の燃料電池セル6を支持板52、53に容易に組立てることができ、一体的な燃料電池セルスタック50を容易に形成することができる。
【0066】
次に、図7及び図8を参照して、上述した燃料電池セルユニットを含む本発明による燃料電池セルスタック及び燃料電池の第2の実施形態を説明する。図7は、本発明の第2の実施形態による燃料電池セルスタックの斜視図である。図8は、本発明の第2の実施形態による燃料電池の斜視図である。
【0067】
図7に示すように、燃料電池セルスタック70は、互いに長手方向に対して横方向に整列して設けられた複数の燃料電池セルユニット1と、隣接した燃料電池セルユニット1を連結する連結部材72とを有している。連結部材72は、燃料電池セルユニット1の管状部分24b、26bに嵌合する2つの孔72aと、管状部分24b、26bの接続流路24c、26cを互いに連通するために、2つの孔と連通する連通流路72bとを有している。連結部材72は、導電性材料で形成されることが好ましい。
【0068】
図7に示すように、燃料電池セルスタック70は、4×4列からなる16本の燃料電池セル6のすべてが、連結部材72によって矢印C2のように電気的に直列に接続されるように配置されている。電気的に直列に接続された燃料電池セル6の一方の端部分6e及び他方の端部分6fには、連結部材72は連結されていない。なお、図7中の符号a、bは、燃料電池セル6の向きを指示する符号であり、aは、一方の端部を指示し、bは、他方の端部を指示する。
【0069】
図8に示すように、本発明による燃料電池の第2の実施形態である燃料電池80は、上記燃料電池セルスタック70と、その全体を包囲するケース82と、を有している。ケース82は、一方にのみ開口を有するケース本体82aと、その開口に密封式に連結されたケース板82bとから構成されることが好ましい。ケース板82bには、内側の電極層16と作用するガスが流れる流入ポート83a及び流出ポート83bが設けられ、ケース本体82aには、外側の電極層20と作用するガスが流れる流入ポート84a及び流出ポート84bが設けられている。ケース板82の流入ポート83a及び流出ポート83bはそれぞれ、電気的に直列に接続された燃料電池セル6の一方の端部分6e及び他方の端部分6fに連結され且つ電気的に接続され、互いに対して電気的に絶縁されている。また、これらのポート62b、63b、64b、64cは、復熱装置86に接続されることが好ましい。
【0070】
次に、上記燃料電池の動作を説明する。
【0071】
内側の電極層16と作用するガス(燃料ガス)を、ケース板82bの流入ポート83aに供給し、電気的に直列に連結された燃料電池セルユニット1を通し、流出ポート83bから排出させる。また、外側の電極層20と作用するガス(空気)を、ケース本体82aの流入ポート84aに供給し、外側の電極層20の周りに流し、流出ポート84bから排出させる。それにより、燃料電池セルユニット1が作動する。また、内側の電極16の電気をシール材32及び内側電極端子24を介して取出し、外側の電極20の電気をシール材32及び外側電極端子26を介して取出し、最終的に、これらの電気をケース板82流入ポート83a及び流出ポート83bから取出す。
【0072】
燃料電池セルスタック70では、燃料電池セル6の電気的な直列接続及び並列接続に係わらず、燃料電池80を横方向に容易に延ばすことができる。
【0073】
次に、図9を参照して、本発明による燃料電池セルユニットの第2の実施形態を説明する。図9は、本発明による燃料電池セルユニットの第2の実施形態である燃料電池セルユニットの断面図である。図9に示すように、燃料電池セルユニット90は、図1に示した第1の実施形態の燃料電池セルユニット1における1本の燃料電池セル(燃料電池セル体)6の部分を、本発明による燃料電池セル体の第1の実施形態、即ち、長手方向Aに連結され且つ電気的に直列に接続された2本の燃料電池セルに置き換えた構造を有している。以下、この燃料電池セル体91について説明する。
【0074】
本発明による燃料電池セル体の第1の実施形態である燃料電池セル体91は、互いに長手方向Aに直列に配置された2本の燃料電池セル92、94と、燃料電池セル92の他方の端部92bと燃料電池セル94の一方の端部94aを連結する接続電極端子96とを有している。燃料電池セル92、94はそれぞれ、図1の燃料電池セル6と同じ構成要素を有しているので、同じ参照符号を付すことにより、それらの説明を省略する。なお、燃料電池セル92の他方の端部92bは、燃料電池セル6の一方の端部6bに対応し、燃料電池セル94の一方の端部94aは、燃料電池セル6の一方の端部6aに対応する。
【0075】
接続電極端子96は、管状であり、燃料電池セル92の他方の端部92bの外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、且つ、燃料電池セル94の一方の端部94aの内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続されている。接続電極端子96は、長手方向A中央部に環状の突出部98を有している。この突出部98に、燃料電池セル92の他方の端部92bが絶縁部材100を介して当接し、燃料電池セル94の一方の端部94aが当接している。接続電極端子96は、導電性の材料で形成され、燃料電池セル92、94と接続電極端子96との間の隙間は、燃料電池セル92の貫通流路15と燃料電池セル94の貫通流路15とを連通させる接続流路104を確保するように、導電性のシール材102でシールされている。それにより、接続電極端子96とそれによって電気的に接続された燃料電池セル92、94とは、燃料電池セルの全周にわたって導電性のシール材によってシールされ且つ固定されることになる。接続電極端子96は、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金などの耐熱金属や、ランタンクロマイトのセラミック材料で形成される。シール材は、例えば、銀、銀とガラスの混合物、銀、金、ニッケル、銅、チタンなどを含む各種ロウ材で形成される。
【0076】
燃料電池セル体91では、接続電極端子96を用いることによって、上述した燃料電池セルユニット1と同様、燃料電池セル6を長手方向に且つ電気的な直列接続で容易に組立てることができる。
【0077】
次に、図10を参照して、本発明による燃料電池セルユニットの第3の実施形態を説明する。図10は、本発明による燃料電池セルユニットの第3の実施形態である燃料電池セルユニットの断面図である。図10に示すように、燃料電池セルユニット110は、図1に示した第1の実施形態の燃料電池セルユニット1における1本の燃料電池セル(燃料電池セル体)6の代わりに、本発明による燃料電池セル体の第2の実施形態、即ち、長手方向に対する横方向に配置し且つ電気的に直列に接続した2本の燃料電池セルに置き換えた構造を有している。以下、この燃料電池セル体111について説明する。
【0078】
本発明による燃料電池セル体の第2の実施形態である燃料電池セル体111は、互いに長手方向に対して横方向Bに配置され且つ電気的に直列に接続された2本の燃料電池セル112、114と、燃料電池セル112の他方の端部112bと燃料電池セル114の一方の端部114aを連結する接続電極端子116とを有している。燃料電池セル112、114はそれぞれ、図1の燃料電池セル6と同じ構成要素を有しているので、同じ参照符号を付すことにより、それらの説明を省略する。なお、燃料電池セル112の他方の端部112bは、燃料電池セル6の一方の端部6bに対応し、燃料電池セル114の一方の端部114aは、燃料電池セル6の一方の端部6aに対応する。
【0079】
接続電極端子116は、燃料電池セル112の他方の端部112b及び燃料電池セル114の一方の端部114aを受入れる2つの孔116aと、燃料電池セル112の貫通流路15及び燃料電池セル114の貫通流路15を互いに連通させるために、2つの孔116aと連通させる接続流路116bとを有している。また、接続電極端子116は、燃料電池セル112の他方の端部112bの外側電極外周面22を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続されると共に、燃料電池セル114の一方の端部114aの内側電極外周面21を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、それにより、燃料電池セル112の外側電極外周面22と燃料電池セル114の内側電極外周面21を電気的に接続している。燃料電池セル112の他方の端部112bは、絶縁部材118を介して孔116aに当接し、燃料電池セル114の一方の端部は、孔116aに当接している。接続電極端子116とそれによって電気的に接続された燃料電池セル112、114とは、燃料電池セルの全周にわたって導電性のシール材120によってシールされ且つ固定されている。接続電極端子116は、例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金などの耐熱金属や、ランタンクロマイトのセラミック材料で形成される。シール材120は、例えば、銀、銀とガラスの混合物、銀、金、ニッケル、銅、チタンなどを含む各種ロウ材で形成される。
【0080】
燃料電池セル体111では、接続電極端子116を用いることによって、上述した燃料電池セルユニット1と同様、燃料電池セル6を横方向に且つ電気的な直列接続及び/又は並列接続で容易に組立てることができる。
【0081】
また燃料電池セル体111では、導電性のシール材120は、内側の電極層16と作用するガスと、外側の電極層20と作用するガスとを仕切る機能と、内側の電極層16及び外側の電極層20から電気を取出す機能を有している。また、導電性のシール材120は、内側電極外周面21に対する密着性がよいため、界面における接触抵抗が小さくなり、発電性能および信頼性に優れた燃料電池セル体111を構成できる。従って、燃料電池を容易に組立てることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0083】
上述した本発明による燃料電池セルスタックの第1の実施形態及び第2の実施形態において、燃料電池セルスタック50、70はそれぞれ、20本、16本の燃料電池セル6を直列に電気的に接続しているけれども、接続する燃料電池セル6の数は任意である。また、燃料電池セルスタック70では、連結部材72が2本の燃料電池セルユニット1を連結しているけれども、連結部材72が連結する燃料電池セルユニット1の数は3つ以上でもよい。その際、燃料電池セルスタック70は、電気的に並列に接続される燃料電池セルユニット1を含んでいてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、燃料電池セル6を断面が円の円筒形としたが、管状であればその他の形態であってもよい。具体的には、断面が扁平状、あるいは楕円状のフラットチューブ形、断面が多角形の角筒形などの形態であってもよい。
【0085】
また、本発明による燃料電池セル体、燃料電池セルユニット、燃料電池セルスタックを任意に組合せて燃料電池を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態による燃料電池セルユニットの断面図である。
【図2】燃料電池セルの他方の端部の第1の変形例の断面図である。
【図3】燃料電池セルの他方の端部の第2の変形例の断面図である。
【図4】燃料電池セルの他方の端部の第3の変形例の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による燃料電池セルスタックの斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による燃料電池の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による燃料電池セルスタックの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による燃料電池の斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による燃料電池セルユニットの断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態による燃料電池セルユニットの断面図である。
【図11】従来の燃料電池セルスタックの概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1、90、110 燃料電池セルユニット
6 燃料電池セル(燃料電池セル体)
6a 一方の端部
6b 他方の端部
15 貫通流路
16 内側の電極層
16a 内側電極露出周面
18 電解質層
20 外側の電極層
21 内側電極外周面
22 外側電極外周面
24 内側電極端子
24b 管状部分
24c 接続流路
26 外側電極端子
26b 管状部分
26c 接続流路
32 シール材
44a、44b 外側電極集電層
50、70 燃料電池セルスタック
52、53 支持板
54 孔
60、80 燃料電池
72 連結部材
72b 連通流路
91、111 燃料電池セル体
92、94、112、114 燃料電池セル
96、116 接続電極端子
104 接続流路
116b 接続流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に使用される燃料電池セルユニットであって、
管状の内側の電極層、管状の外側の電極層、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層、及び、前記内側の電極層の内側に構成される貫通流路を有する管状の燃料電池セル体と、
前記燃料電池セル体の一方の端部に固定され且つ前記内側の電極層から電気を取出すための内側電極端子と、
前記燃料電池セル体の他方の端部に固定され且つ前記外側の電極層から電気を取出すための外側電極端子と、を有し、
前記燃料電池セル体は、前記一方の端部に、前記内側の電極層が前記電解質層及び前記外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、前記一方の端部の外周面に、前記内側電極露出周面を介して前記内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、前記他方の端部の外周面に、前記外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、
前記内側電極端子は、前記内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、
前記外側電極端子は、前記外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、
前記内側電極端子及び前記外側電極端子は、前記貫通流路と連通し且つ外部と通じる接続流路を有することを特徴とする燃料電池セルユニット。
【請求項2】
前記内側電極端子と前記燃料電池セル体、及び、前記外側電極端子と前記燃料電池セル体とは、その全周にわたって導電性のシール材によってシールされ且つ固定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項3】
前記内側電極端子及び前記外側電極端子はそれぞれ、前記燃料電池セル体から遠ざかるように前記燃料電池セル体の長手方向に延び且つ前記接続流路を含む管状部分を有し、
前記内側電極端子及び前記外側電極端子の管状部分の外輪郭断面形状は同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項4】
前記燃料電池セル体は、1本の燃料電池セルからなり、又は、長手方向に連結され且つ電気的に直列に接続された複数の燃料電池セルを有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項5】
前記内側電極外周面は、前記内側電極露出周面によって構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項6】
前記外側電極外周面は、前記外側の電極層によって構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項7】
前記燃料電池セル体は、更に、前記外側の電極層の外側に設けられた外側電極集電層を有し、
前記外側電極外周面は、前記外側電極集電層によって構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池セルユニット。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の燃料電池セルユニットを含む燃料電池。
【請求項9】
請求項3に記載された燃料電池セルユニットを有し、この燃料電池セルユニットは、互いに長手方向に対する横方向に整列して複数設けられ、
更に、前記複数の燃料電池セルユニットの管状部分に嵌合する孔を有し、前記複数の燃料電池セルユニットの両端部にそれぞれ位置決めされる支持板を有することを特徴とする燃料電池セルスタック。
【請求項10】
請求項3に記載された燃料電池セルユニットを有し、この燃料電池セルユニットは、互いに長手方向に対する横方向に整列して複数設けられ、
更に、隣接した少なくとも2つの前記燃料電池セルユニットの管状部分に嵌合し且つそれらを連結する連結部材を有し、
前記連結部材は、前記管状部分の接続流路を互いに接続する接続流路を有することを特徴とする燃料電池セルスタック。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の燃料電池セルスタックを含む燃料電池。
【請求項12】
燃料電池に使用される燃料電池セル体であって、
長手方向に互いに整列した少なくとも2本の管状の燃料電池セルと、
前記燃料電池セルの間に配置され且つそれらに固定された接続電極端子と、を有し、
前記燃料電池セルの各々は、管状の内側の電極層と、管状の外側の電極層と、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層と、前記内側の電極層の内側に構成される貫通流路と、を有し、
前記燃料電池セルの各々は、その一方の端部に、前記内側の電極層が前記電解質層及び前記外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、前記一方の端部の外周面に、前記内側電極露出周面を介して前記内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、その他方の端部の外周面に、前記外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、
前記接続電極端子は、一方の燃料電池セルの内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、他方の燃料電池セルの外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、それにより、一方の燃料電池セルの内側電極外周面と他方の燃料電池セルの外側電極外周面とを電気的に接続すると共に、一方の燃料電池セルの貫通流路と他方の燃料電池セルの貫通流路とを連通させる接続流路を有することを特徴とする燃料電池セル体。
【請求項13】
燃料電池に使用される燃料電池セル体であって、
互いに長手方向に対して横方向に隣接して整列した少なくとも2本の管状の燃料電池セルと、
前記少なくとも2本の燃料電池セルを互いに固定する接続電極端子と、を有し、
前記燃料電池セルの各々は、管状の内側の電極層と、管状の外側の電極層と、これらの電極層の間に配置された管状の電解質層と、前記内側の電極層の内側に構成される貫通流路と、を有すると共に、その一方の端部に、前記内側の電極層が前記電解質層及び前記外側の電極層に対して露出した内側電極露出周面を有し、
前記燃料電池セルの各々は、更に、前記一方の端部の外周面に、前記内側電極露出周面を介して前記内側の電極層と電気的に通じる内側電極外周面を有し、その他方の端部の外周面に、前記外側の電極層と電気的に通じる外側電極外周面を有し、
前記接続電極端子は、少なくとも1本の前記燃料電池セルの内側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、残りの前記燃料電池セルの外側電極外周面を全周にわたって外側から覆うように配置され且つそれと電気的に接続され、それにより、前記少なくとも1本の燃料電池セルの内側電極外周面と前記残りの燃料電池セルの外側電極外周面とを電気的に接続すると共に、互いに隣接する前記燃料電池セルの貫通流路を互いに連通させる接続流路を有することを特徴とする燃料電池セル体。
【請求項14】
前記接続電極端子とそれによって接続された燃料電池セルとは、燃料電池セルの全周にわたって導電性のシール材によってシールされ且つ固定されることを特徴とする請求項12又は13に記載の燃料電池セル体。
【請求項15】
請求項12〜14の何れか1項に記載の燃料電池セル体を含む燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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