説明

燃料電池セル及び燃料電池

【課題】 出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池を提供する。
【解決手段】 燃料電池セルは、アノード21と、カソード24と、電解質膜27と、を含んだ膜電極接合体3を有する起電部と、燃料供給部7とを備える。カソード24が燃料供給部7と対向するよう起電部を配置した状態で、燃料供給部7がカソード24側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の1セル当たりの平均値が0.4V以下となるように起電部の少なくともアノード21側が選択性を有する。膜電極接合体3は、アノード21側での反応生成物をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側での反応生成物をアノード21側へ導入することができるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、燃料電池セル及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯用電子機器の電源に、燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は、携帯用電子機器を、充電なしで長時間使用可能とするものである。燃料電池は、燃料と空気を供給するだけで発電することができ、燃料のみを補充・交換すれば連続して発電できるという利点を有している。このため、小型化ができれば携帯電子機器の長時間の作動に極めて有利なシステムといえる。
【0003】
特に、直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、改質器等が不要なため小型化が可能であり、また燃料の取り扱いも水素ガス燃料に比べて容易なことから小型機器用電源として有望である。
【0004】
DMFCの燃料の供給方法としては、液体燃料を気化してからブロア等で燃料電池内に送り込む気体供給型DMFCと、液体燃料をそのままポンプ等で燃料電池内に送り込む液体供給型DMFC、液体燃料をセル内で気化させる内部気化型DMFC等が知られている。
【0005】
内部気化型DMFCでは、燃料浸透層中に保持された液体燃料のうち気化成分を燃料気化層(アノードガス拡散層)において拡散させ、拡散された気化燃料がアノード触媒層に供給され、カソード触媒層側からの空気と電解質膜において発電反応する。
【0006】
なお、液体供給型DMFCでは、セルと燃料収容部とを流路を介して接続する技術が知られている。液体燃料を、流路を介してセルに供給することによって、流路の形状や径等に基づいて液体燃料の供給量を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−243800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1において、膜電極接合体は、ガス抜き孔を有している。アノード側に生じたガス成分をカソード側に逃がすことができることから、燃料電池セルは出力の安定性を高めることができる。しかしながら、上記燃料電池セルは出力の向上を図るものではない。このため、高い出力を安定して得ることができる、出力特性に優れた燃料電池セルが求められている。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る燃料電池セルは、
アノードと、カソードと、前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜と、を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、
前記アノードに対して前記電解質膜の反対側に配置され、前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、を備え、
前記カソードが前記燃料供給部と対向するよう前記起電部を配置した状態で、前記燃料供給部が前記カソード側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の1セル当たりの平均値が0.4V以下となるように前記起電部の少なくとも前記アノード側が選択性を有し、
前記膜電極接合体は、前記アノード側での反応生成物を前記カソード側へ逃がすことができ、前記カソード側での反応生成物を前記アノード側へ導入することができるように設けられている。
【0010】
また、一実施形態に係る燃料電池は、
アノードと、カソードと、前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜と、を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、前記アノードに対して前記電解質膜の反対側に配置され、前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、を具備した燃料電池セルと、
前記燃料を収容するとともに前記燃料を前記燃料供給部に与える燃料供給源と、を備え、
前記カソードが前記燃料供給部と対向するよう前記起電部を配置した状態で、前記燃料供給部が前記カソード側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の1セル当たりの平均値が0.4V以下となるように前記起電部の少なくとも前記アノード側が選択性を有し、
前記膜電極接合体は、前記アノード側での反応生成物を前記カソード側へ逃がすことができ、前記カソード側での反応生成物を前記アノード側へ導入することができるように設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る燃料電池を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示した膜電極接合体を示す平面図である。
【図3】図3は、図1に示したアノード導電層を示す平面図である。
【図4】図4は、図1に示したカソード導電層を示す平面図である。
【図5】図5は、上記燃料電池における経過時間に対する(1)出力密度、(2)制御温度、(3)セル抵抗の変化をグラフで示した図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る燃料電池を示す概略断面図である。
【図7】図7は、図6に示した膜電極接合体を示す平面図である。
【図8】図8は、図6及び図7に示した膜電極接合体を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る燃料電池について詳細に説明する。この実施形態において、直接メタノール型の燃料電池について説明する。
図1に示すように、燃料電池は、燃料電池セル1と、燃料を収容するとともに燃料を燃料電池セル1に与える燃料供給源2とを備えている。
【0013】
燃料電池セル1は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)3を有する起電部と、アノード集電体31と、カソード集電体34と、燃料極支持板6と、燃料供給機構としての燃料供給部7と、保湿板9と、カバープレート15とを備えている。
【0014】
図1及び図2に示すように、膜電極接合体3は、燃料極としてのアノード21と、アノード21に所定の隙間を置いて対向配置された空気極としてのカソード24と、アノード21及びカソード24間に挟持された電解質膜27とを有している。
【0015】
燃料電池は、さらに燃料82を収容するとともに流路83により燃料分配機構8に燃料を供給する燃料収容部81と、ポンプ84が取り付けられた流路83とを備えている。この実施形態の燃料電池では、燃料分配機構8から膜電極接合体3に供給された燃料82は発電反応に消費されてしまい、その後に循環して燃料分配機構8あるいは燃料収容部81に戻されることはない。このタイプの燃料電池は燃料を循環させないことから、従来のアクティブ方式とは異なる方式であり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ84を使用しているが、発電部の構造は従来の内部気化型のような純パッシブ方式と同一であるため、この方式の燃料電池はいわばセミパッシブ型と呼ぶことができる。
【0016】
この実施形態において、膜電極接合体3は矩形状の発電領域R1を有している。発電領域R1は、発電に有効な1つの有効領域R2を有している。有効領域R2は、矩形状であり、発電領域R1に重なっている。この実施形態において、有効領域R2は、長さLが30mm、幅Wが40mmである。
また、膜電極接合体3は1つの発電素子20を有している。発電素子20は、矩形状であり、有効領域R2に重なっている。
【0017】
アノード21は、アノード触媒層22と、アノード触媒層22に積層されたアノードガス拡散層23とを有している。カソード24は、カソード触媒層25と、カソード触媒層25に積層されたカソードガス拡散層26とを有している。
【0018】
アノード触媒層22は、アノードガス拡散層23を介して供給される燃料を酸化させ燃料から電子とプロトンとを取り出すものである。カソード触媒層25は、酸素を還元して、電子とアノード触媒層22において発生したプロトンとを反応させて水を生成するものである。
【0019】
カソード触媒層25に含有される触媒としては、Pt、Pd、Pt−Pd合金、Pt−Co合金等が挙げられる。アノード触媒層22に含有される触媒としては、過剰な電解質を混合したPt−Ru合金等が挙げられる。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。
【0020】
電解質膜27はプロトン導電膜である。電解質膜27は、アノード触媒層22において発生したプロトンをカソード触媒層25に輸送するためのものである。電解質膜27は、電子伝導性が非常に低く、プロトンを輸送することが可能なプロトン伝導性の材料で形成されている。
【0021】
電解質膜27を形成する材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の材料はこれらに限られるものではない。
【0022】
アノードガス拡散層23は、アノード触媒層22に燃料を均一に供給する役割を果たし、アノード触媒層22の集電機能を有している。カソードガス拡散層26は、カソード触媒層25に酸化剤を均一に供給する役割を果たし、カソード触媒層25の集機能を有している。アノードガス拡散層23及びカソードガス拡散層26は多孔質基材で構成されている。
【0023】
図1、図3及び図4に示すように、アノード集電体31及びカソード集電体34は、例えば、金、ニッケル等の金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)又は箔体、あるいは銅などの導電性金属材料に耐食性が高いカーボンペーストを被覆した複合材等をそれぞれ使用することができる。
【0024】
アノード集電体31は、アノードガス拡散層23の形状に合わせて形成されている。この実施形態において、アノード集電体31は矩形状に形成されている。端子33は、アノード集電体31の周縁から延出して形成されている。アノード集電体31は、複数の燃料通過孔32を有している。
【0025】
カソード集電体34は、カソードガス拡散層26の形状に合わせて形成されている。この実施形態において、カソード集電体34は矩形状に形成されている。端子36は、カソード集電体34の周縁から延出して形成されている。カソード集電体34は、複数の通気孔35を有している。
これらアノード集電体31はアノードガス拡散層23に接続され、カソード集電体34はカソードガス拡散層26に接続されている。
【0026】
上記したように、膜電極接合体3及びアノード集電体31が組合さることで、燃料の気化成分は、アノード集電体31の燃料通過孔32を通ってアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給される。このため、燃料電池セル1は、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給するように形成されている。
【0027】
例えば、アノード集電体31と、燃料供給部7との間に、任意に図示しない気液分離膜を設けることにより、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給することができる。
【0028】
酸化剤としての空気は、カバープレート15の通気孔(図示せず)を通り、カソード集電体34の通気孔35を通ってカソードガス拡散層26及びカソード触媒層25に供給される。
【0029】
図1に示すように、燃料極支持板6は、板状に形成されている。燃料極支持板6は、矩形状の板部51を有している。板部51は、アノード21及び燃料供給部7間に挟持されている。なお、燃料極支持板6は、必要に応じて設けられていれば良い。
【0030】
燃料極支持板6は、膜電極接合体3、より詳しくはアノード21に燃料を通過させる複数の燃料通過孔(図示せず)を有している。上述した燃料極支持板6には、燃料として液体燃料82の気化成分が供給される。
【0031】
ここで、液体燃料82としては、液体のメタノール等のメタノール燃料、又はメタノール水溶液を挙げることができる。メタノール水溶液においては、濃度が64重量%以上のメタノール水溶液を利用することが望ましい。
【0032】
液体燃料82としては、これらに限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料が挙げられる。いずれにしても、カソード反応生成物である水よりも沸点の低ければ燃料として使用できる可能性がある。液体燃料82の気化成分とは、液体燃料82として液体のメタノールを使用した場合、気化したメタノールを意味し、液体燃料82としてメタノール水溶液を使用した場合にはメタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合ガスを意味する。
【0033】
燃料供給部7は、燃料分配機構8と、燃料拡散部10とを備えている。燃料分配機構8は、アノード21に対して電解質膜27の反対側に配置されている。燃料拡散部10は、アノード21及び燃料分配機構8間に配置されている。
【0034】
燃料分配機構8は、燃料排出板61と、周壁62とを有している。燃料排出板61は、燃料注入口63、複数の燃料排出口64、細管65及び燃料排出面67を有している。
燃料注入口63は、燃料排出板61の適所、例えば側面に1つ形成されている。細管65は、燃料排出板61に形成されている。燃料排出面67は、アノード21と対向した個所に位置している。
【0035】
複数の燃料排出口64は、燃料排出面67に開口して設けられているとともに細管65に繋げられている。周壁62は、枠状に形成され、燃料排出板61の周縁部に設けられている。周壁62は、燃料排出面67を越えて突出し、膜電極接合体3の周縁と対向している。
【0036】
液体燃料82は、燃料注入口63から注入される。燃料分配機構8に注入された液体燃料82は、細管65を介して燃料排出口64に導かれる。燃料排出口64からは、液体燃料82又はその気化成分が排出される。この実施の形態においては、燃料排出口64からは液体燃料82が排出される。
【0037】
図1においては、燃料排出口64は、複数個示されているが、これに限らず、1個以上形成されていればよい。燃料注入口63は、図示した通り流路83と直接接続されても良いし、他の燃料通路を経由して接続されていても良い。
【0038】
燃料拡散部10は、アノード21及び燃料分配機構8間に配置されている。燃料拡散部10は、燃料分配機構8から供給される液体燃料82をより拡散してアノード21に排出するものである。なお、燃料拡散部10は必要に応じて設けられている。
【0039】
燃料排出口64から排出される液体燃料82は、面方向に拡散された後、アノード21に供給される。このため、液体燃料82の供給量を平均化することができ、液体燃料82を方向や位置に拘わりなく、アノード21に均等に拡散させることができる。このため、膜電極接合体3における発電反応の均一性を高めることができる。
【0040】
すなわち、アノード21の面内における燃料の分布が平準化され、膜電極接合体3での発電反応に必要とされる燃料を全体的に過不足なく供給することができる。従って、燃料電池の大型化や複雑化等を招くことなく、膜電極接合体3で効率的に発電反応を生起させることができる。これによって、燃料電池の出力を向上させることが可能となる。言い換えると、燃料を循環させないパッシブ型燃料電池の利点を損なうことなく、出力やその安定性を高めることができる。
【0041】
保湿板9は、カソードガス拡散層26に対して電解質膜27の反対側に位置している。この保湿板9は、カソード触媒層25で生成された水の一部を含浸して、水の蒸散を抑制すると共に、カソードガス拡散層26に酸化剤を均一に導入することで、カソード触媒層25への酸化剤(空気)の均一拡散を促進する機能を有している。この保湿板9は、たとえば多孔質構造の部材で構成され、具体的な構成材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質体などが挙げられる。この実施の形態において、保湿板9は発泡ポリエチレンシートである。
【0042】
カバープレート15は、保湿板9に対してカソード集電体34の反対側に位置している。カバープレート15は、外観が略箱状のものであり、例えばステンレス鋼(SUS)によって形成されている。また、カバープレート15は、酸化剤である空気を取入れるための複数の通気孔(図示せず)を有している。
【0043】
上述した燃料拡散部10、燃料極支持板6、膜電極接合体3、アノード集電体31、カソード集電体34及び保湿板9は、それぞれの側面が周壁62によって覆われている。カバープレート15は、例えば周縁から外側に延出した複数の延出部を有しており、燃料電池セル1は、これら延出部が燃料分配機構8の外面にかしめ加工あるいはねじ止めされることにより完成する。
【0044】
図1に示すように、燃料供給源2は、燃料収容部81を備えている。燃料収容部81には液体燃料82が収容されている。燃料供給源2は、流路83及びポンプ84をさらに備えている。流路83は例えばチューブ状に形成され、燃料収容部81及び燃料注入口63に接続されている。このため、燃料供給部7には燃料収容部81から流路83を介して液体燃料82が導入される。
【0045】
ポンプ84は、流路83の途中に挿入されている。ポンプ84は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部81から燃料供給部7に液体燃料82を送液する燃料供給ポンプである。このようなポンプ84で必要時に液体燃料82を送液することによって、燃料供給量の制御性を高めることができる。
【0046】
ポンプ84の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料82を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーポンプ(ロータリーベーンポンプ)、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。
【0047】
ロータリーポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。
【0048】
ポンプ84は、必要時動作させて燃料収容部81から燃料供給部7に液体燃料82を供給する。このように、ポンプ84で燃料収容部81から燃料供給部7まで液体燃料82を送液する場合においても、燃料供給部7は有効に機能するため、膜電極接合体3に対する燃料供給量を均一化することが可能となる。
【0049】
また、燃料供給部7から膜電極接合体3への燃料供給が行われる構成であればポンプ84に代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
上記のように、燃料電池が形成されている。
【0050】
次に、上記膜電極接合体3について詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、カソード24が燃料排出面67と対向するよう起電部(膜電極接合体3)を配置した状態で、燃料供給部7がカソード24側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の平均値が1セル当たり0.4V以下となるように起電部の少なくともアノード21側が選択性を有している。
【0051】
膜電極接合体3は、アノード21側での反応生成物(ガス成分;CO)をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側での反応生成物(水蒸気;HO)をアノード21側へ導入することができるように設けられている。
【0052】
アノード21、カソード24及び電解質膜27は、同一のサイズに形成され、これらの周縁は、互いに重なっている。膜電極接合体3は、アノード21、カソード24及び電解質膜27を貫通して形成された貫通孔h1をさらに含んでいる。膜電極接合体3の平面に沿った貫通孔h1の断面形状は円形状である。貫通孔h1において、直径は2mmであり、断面積は3.14mmである。
【0053】
上記燃料電池セル1は、シールレス構造を採っているため、燃料電池セル1は、膜電極接合体3を液密にシールするための絶縁性のOリング(シール材)を有していない。アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、周壁62に隙間を置いて位置している。この実施形態において、アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、全周に亘って周壁62に隙間を置いて位置している。アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、上記のようにOリングでシールされてはおらず、上記隙間に開放(露出)されている。
【0054】
次に、上記燃料電池による発電の仕組みについて説明する。
まず、ポンプ84を稼動させ、燃料収容部81から流路83を介して燃料供給部7に液体燃料82を導入させる。この液体燃料82は燃料分配機構8の燃料排出口64から排出され、燃料排出面67及び燃料拡散部10によって拡散される。
【0055】
なお、例えば、アノード集電体31と、燃料供給部7との間に、気化膜として図示しない気液分離膜を設けても良い。これにより、燃料の気化成分をアノードガス拡散層23及びアノード触媒層22に供給することができる。
【0056】
膜電極接合体3内において、燃料はアノードガス拡散層23にて拡散してアノード触媒層22に供給される。液体燃料82としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層22で式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層25で生成した水や電解質膜27中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。
CHOH+HO → 6H+CO+6e …(1)
この反応で生成した電子(e)はアノード集電体31に接続された端子33から外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード集電体34に接続された端子36からカソード24に導かれる。また、式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜27を経てカソード24に導かれる。カソード24には酸化剤として空気が供給される。カソード24に到達した電子(e)とプロトン(H)は、カソード触媒層25で空気中の酸素と式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
【0057】
6e+6H+(3/2)O → 3HO …(2)
上記したように、燃料電池による発電が行われる。
【0058】
ここで、本願発明者等は、上記第1の実施形態の燃料電池を評価するため、第1の実施形態の燃料電池及び比較例の燃料電池の出力及び電解質膜27の1kHzのセル抵抗を測定した。出力を測定する際、液体燃料82として純メタノールを用い、燃料収容部81に収容された純メタノールをポンプ84を用いて燃料排出口64まで液送して発電を行い、出力を測定した。また、燃料電池を、温度25℃、相対湿度50%の環境下に配置した。
【0059】
図5に示すように、第1の実施形態の燃料電池の出力及びセル抵抗を6時間測定し、最後の2時間の出力密度及びセル抵抗の平均値を算出したところ、出力密度は45.2mW/cmであり、セル抵抗は22mΩであった。
【0060】
一方、比較例において、特開2008−243800号公報に示されるガス抜き構造を有した燃料電池セルを用いた燃料電池において、同様に出力密度及びセル抵抗を算出したところ、出力密度は34.7mW/cmであり、セル抵抗は35mΩであった。
【0061】
上記のことから、第1の実施形態の燃料電池は、比較例の燃料電池に比べて、セル抵抗が13mΩも低いことが分かる。このことから、第1の実施形態の燃料電池の方が、電解質膜27が水で濡れていることが分かる。
【0062】
上記のように構成された第1の実施形態に係る燃料電池によれば、燃料電池は、燃料電池セル1及び燃料供給源2を備えている。燃料電池セル1は、膜電極接合体3を有する起電部と、燃料供給部7とを備えている。起電部(膜電極接合体3)のアノード21は上記選択性を有している。
【0063】
膜電極接合体3は、アノード21側に生じたガス成分(CO等)をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側に生じた水蒸気(水)をアノード21側へ導入することができるように設けられている。第1の実施形態において、アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、周壁62に隙間を置いて位置し、上記隙間に開放されている。膜電極接合体3には、断面積が3.14mmの貫通孔h1が形成されている。
【0064】
発電反応に伴ってアノード21側に発生するガス成分を、貫通孔h1や上記隙間を通してカソード24側に逃がすことができ、さらには系外に放出することができる。そして、このように、膜電極接合体3の各部で発生するガス成分を、膜電極接合体3の面内に対して均一に除去することによって、供給された燃料を膜電極接合体3全体に均一に到達させることができる。これにより、燃料電池の出力の安定性を高めることができる。
【0065】
また、アノード21側での発電反応に必要なHOは、発電反応に伴ってカソード24側に発生し、発生したHOを気相を介して効果的にアノード21(アノード触媒層22)に供給することができる。これにより、液体燃料82は、濃度が64重量%以上のメタノール水溶液又は純メタノールであってもよく、この場合でも、発電に寄与する発電素子20の割合が減少することを抑制でき、燃料電池の出力低下を抑制することができる。
上記したことから、電池性能の低下を抑制することができ、所望の出力を安定して得ることができるため、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池を得ることができる。
【0066】
次に、第2の実施形態に係る燃料電池について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0067】
図6乃至図8に示すように、膜電極接合体3は、アノード21側での反応生成物(ガス成分;CO)をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側での反応生成物(水蒸気;HO)をアノード21側へ導入することができるように設けられている。
【0068】
アノード21及びカソード24は同一のサイズに形成され、長さが30mm、幅が40mmである。電解質膜27は、アノード21及びカソード24より大きいサイズに形成され、長さが34mm、幅が44mmである。電解質膜27は、アノード21及びカソード24から全周に亘って2mm突出している。このため、発電領域R1は、発電に有効な1つの有効領域R2と、有効領域を囲んだ非有効領域R3とを有している。
【0069】
膜電極接合体3には、第1の実施形態に示した貫通孔h1は形成されていない。電解質膜27は、複数の貫通孔h2を有している。複数の貫通孔h2は、電解質膜27にのみ形成されている。複数の貫通孔h2は有効領域R2に全体的に形成されている。複数の貫通孔h2は、電解質膜27の平面に沿った方向に、互いに1mmの間隔を置いて位置している。電解質膜27の平面に沿った各貫通孔h2の断面形状は円形状である。各貫通孔h2において、直径は0.05mmであり、断面積は1.96×10−3mmである。なお、各貫通孔h2のサイズは、アノード触媒層22及びカソード触媒層25間に短絡が生じないように設定されている。また、電解質膜27の厚みは、0.05乃至0.06mmである。
【0070】
燃料電池セル1は、絶縁性のOリング(シール材)38,39を備えている。非有効領域R3の電解質膜27は、Oリング38,39により挟持されている。Oリング38,39は、燃料電池セル1内の膜電極接合体3を液密にシールしている。これらのOリング38,39によって燃料電池の内部に種々のスペースや間隙が形成されている。
【0071】
Oリング38及び39は、例えばゴムで形成されている。Oリング38は、アノード集電体31の外周を囲むよう枠状に形成されている。Oリング39は、カソード集電体34の外周を囲むよう枠状に形成されている。ここで、Oリング38は、膜電極接合体3からの燃料の漏れを防止する機能を有している。Oリング39は、膜電極接合体3からの酸化剤の漏れを防止する機能を有している。
【0072】
ここで、本願発明者等は、上記第2の実施形態の燃料電池を評価するため、第2の実施形態の燃料電池の出力及び電解質膜27の1kHzのセル抵抗を同様に6時間測定した。そして、測定した後、最後の2時間の出力密度及びセル抵抗の平均値を算出した。算出したところ、出力密度は42.1mW/cmであり、セル抵抗は23mΩであった。
【0073】
上記のように構成された第2の実施形態に係る燃料電池によれば、燃料電池は、燃料電池セル1及び燃料供給源2を備えている。燃料電池セル1は、膜電極接合体3を有する起電部と、燃料供給部7とを備えている。起電部(膜電極接合体3)のアノード21は上記選択性を有している。
【0074】
膜電極接合体3は、アノード21側に生じたガス成分(CO等)をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側に生じた水蒸気(水)をアノード21側へ導入することができるように設けられている。第2の実施形態において、膜電極接合体3はOリング38,39によりシールされている。電解質膜27には、断面積が1.96mm×10−3の複数の貫通孔h2が形成されている。
【0075】
発電反応に伴ってアノード21側に発生するガス成分を、貫通孔h2を通してカソード24側に逃がすことができ、さらには系外に放出することができる。そして、このように、膜電極接合体3の各部で発生するガス成分を、膜電極接合体3の面内に対して均一に除去することによって、供給された燃料を膜電極接合体3全体に均一に到達させることができる。これにより、燃料電池の出力の安定性を高めることができる。
【0076】
また、アノード21側での発電反応に必要なHOは、発電反応に伴ってカソード24側に発生し、発生したHOを気相を介して効果的にアノード21(アノード触媒層22)に供給することができる。これにより、液体燃料82は、濃度が64重量%以上のメタノール水溶液又は純メタノールであってもよく、この場合でも、発電に寄与する発電素子20の割合が減少することを抑制でき、燃料電池の出力低下を抑制することができる。
上記したことから、電池性能の低下を抑制することができ、所望の出力を安定して得ることができるため、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池を得ることができる。
【0077】
次に、第3の実施形態に係る燃料電池について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
電解質膜27は、貫通孔h1の他、複数の貫通孔h2をさらに有している。複数の貫通孔h2は、第2の実施形態と同様に電解質膜27に形成されている。
【0078】
ここで、本願発明者等は、上記第3の実施形態の燃料電池を評価するため、第3の実施形態の燃料電池の出力及び電解質膜27の1kHzのセル抵抗を同様に6時間測定した。そして、測定した後、最後の2時間の出力密度及びセル抵抗の平均値を算出した。算出したところ、出力密度は47.6mW/cmであり、セル抵抗は22mΩであった。
【0079】
上記のように構成された第3の実施形態に係る燃料電池によれば、燃料電池は、燃料電池セル1及び燃料供給源2を備えている。燃料電池セル1は、膜電極接合体3を有する起電部と、燃料供給部7とを備えている。起電部(膜電極接合体3)のアノード21は上記選択性を有している。
【0080】
膜電極接合体3は、アノード21側に生じたガス成分(CO等)をカソード24側へ逃がすことができ、カソード24側に生じた水蒸気(水)をアノード21側へ導入することができるように設けられている。第3の実施形態において、アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、周壁62に隙間を置いて位置し、上記隙間に開放されている。膜電極接合体3には、断面積が3.14mmの貫通孔h1と、断面積が1.96×10−3mmの複数の貫通孔h2とが形成されている。
【0081】
発電反応に伴ってアノード21側に発生するガス成分を、貫通孔h1、h2や上記隙間を通してカソード24側に逃がすことができ、さらには系外に放出することができる。そして、このように、膜電極接合体3の各部で発生するガス成分を、膜電極接合体3の面内に対して均一に除去することによって、供給された燃料を膜電極接合体3全体に均一に到達させることができる。これにより、燃料電池の出力の安定性を高めることができる。
【0082】
また、アノード21側での発電反応に必要なHOは、発電反応に伴ってカソード24側に発生し、発生したHOを気相を介して効果的にアノード21(アノード触媒層22)に供給することができる。これにより、液体燃料82は、濃度が64重量%以上のメタノール水溶液又は純メタノールであってもよく、この場合でも、発電に寄与する発電素子20の割合が減少することを抑制でき、燃料電池の出力低下を抑制することができる。
上記したことから、電池性能の低下を抑制することができ、所望の出力を安定して得ることができるため、出力特性に優れた燃料電池セル及び燃料電池を得ることができる。
【0083】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0084】
例えば、上記第1及び第3の実施形態において、アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、少なくとも一部で互いに重なっていればよい。アノード21、カソード24及び電解質膜27の周縁は、周壁62に全周に亘って隙間を置いて位置しているが、これに限らず、少なくとも一部が周壁62に隙間を置いて位置していればよい。
上記第1及び第3の実施形態において、貫通孔h1の断面積は、3.14mm以上であってもよく、この場合も上述した効果を得ることができる。
【0085】
上記第2及び第3の実施形態において、複数の貫通孔h2は、電解質膜27の平面に沿った方向に、互いに20mm以下の間隔を置いて位置し、各貫通孔h2の断面積は、7.8×10−5mm以上、2.0×10−3mm以下であってもよく、この場合も上述した効果を得ることができる。
【0086】
この発明は、直接メタノール型の燃料電池に限定されるものではなく、他の燃料電池に適用可能である。また、膜電極接合体3へ供給される液体燃料においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…燃料電池セル、2…燃料供給源、3…膜電極接合体、7…燃料供給部、21…アノード、22…アノード触媒層、23…アノードガス拡散層、24…カソード、25…カソード触媒層、26…カソードガス拡散層、27…電解質膜、38,39…Oリング(シール材)、61…燃料排出板、62…周壁、63…燃料注入口、64…燃料排出口、65…細管、67…燃料排出面、81…燃料収容部、82…液体燃料、h1,h2…貫通孔、R1…発電領域、R2…有効領域、R3…非有効領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、カソードと、前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜と、を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、
前記アノードに対して前記電解質膜の反対側に配置され、前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、を備え、
前記カソードが前記燃料供給部と対向するよう前記起電部を配置した状態で、前記燃料供給部が前記カソード側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の1セル当たりの平均値が0.4V以下となるように前記起電部の少なくとも前記アノード側が選択性を有し、
前記膜電極接合体は、前記アノード側での反応生成物を前記カソード側へ逃がすことができ、前記カソード側での反応生成物を前記アノード側へ導入することができるように設けられている燃料電池セル。
【請求項2】
前記燃料供給部は、前記アノードと対向した燃料排出面を有した燃料排出板と、前記燃料排出板の周縁部に設けられ、前記燃料排出面を越えて突出し、前記膜電極接合体の周縁と対向した枠状の周壁と、を有し、
前記アノード、カソード及び電解質膜の周縁は、前記周壁に隙間を置いて位置し、前記隙間に開放されている請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項3】
前記膜電極接合体は、前記アノード、カソード及び電解質膜を貫通して形成された貫通孔をさらに含み、
前記膜電極接合体の平面に沿った前記貫通孔の断面積は、3.14mm以上である請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項4】
前記電解質膜は、複数の貫通孔を有し、
前記複数の貫通孔は、前記電解質膜の平面に沿った方向に、互いに20mm以下の間隔を置いて位置し、
前記電解質膜の平面に沿った各貫通孔の断面積は、7.8×10−5mm以上、2.0×10−3mm以下である請求項1に記載の燃料電池セル。
【請求項5】
前記燃料は、濃度が64重量%以上のメタノール水溶液又は純メタノールである請求項1乃至4の何れか1項に記載の燃料電池セル。
【請求項6】
アノードと、カソードと、前記アノード及びカソード間に挟持された電解質膜と、を含んだ膜電極接合体を有する起電部と、前記アノードに対して前記電解質膜の反対側に配置され、前記アノードに燃料を供給する燃料供給部と、を具備した燃料電池セルと、
前記燃料を収容するとともに前記燃料を前記燃料供給部に与える燃料供給源と、を備え、
前記カソードが前記燃料供給部と対向するよう前記起電部を配置した状態で、前記燃料供給部が前記カソード側に濃度が99重量%以上のメタノールを0.2μL/(min・cm)の速度で3時間連続して供給し続けた場合の最後の30分の開回路電圧の1セル当たりの平均値が0.4V以下となるように前記起電部の少なくとも前記アノード側が選択性を有し、
前記膜電極接合体は、前記アノード側での反応生成物を前記カソード側へ逃がすことができ、前記カソード側での反応生成物を前記アノード側へ導入することができるように設けられている燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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