燃料電池セル
【課題】支持基板の側端部を覆う緻密な絶縁体におけるクラックの発生を抑制し得る「横縞型」の燃料電池セルを提供すること。
【解決手段】ガス流路11が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板10の主面上の複数の箇所に、内側電極、固体電解質、及び外側電極からなる発電素子部Aがそれぞれ設けられる。隣り合う発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とが電気的に接続される。内側・外側電極にそれぞれ供給される2つのガスの混合を防止するガスシール部が、支持基板における長手方向に沿って延びる側端部を覆う緻密な「絶縁体」(固体電解質膜40)を有する。「絶縁体」の表面は、長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、曲面形状における最小曲率半径が10μm〜300μmである。
【解決手段】ガス流路11が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板10の主面上の複数の箇所に、内側電極、固体電解質、及び外側電極からなる発電素子部Aがそれぞれ設けられる。隣り合う発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とが電気的に接続される。内側・外側電極にそれぞれ供給される2つのガスの混合を防止するガスシール部が、支持基板における長手方向に沿って延びる側端部を覆う緻密な「絶縁体」(固体電解質膜40)を有する。「絶縁体」の表面は、長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、曲面形状における最小曲率半径が10μm〜300μmである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、「ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部」と、「前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部」とを備えた燃料電池セルが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような構成は、「横縞型」とも呼ばれる。この文献に記載の燃料電池セルでは、前記ガスシール部は、前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる「外側に凸の曲面状の」側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有する。
【0003】
係る燃料電池セルでは、燃料電池セルの形状を扁平状(薄板状)とすることにより、1つの燃料電池セル当たりの発電部の面積を大きくすることができ、この結果、発電量を大きくすることができる。しかしながら、燃料電池セルの形状を扁平状とすると、支持基板の側端部の曲面形状の曲率が大きくなり、この側端部を覆う緻密な絶縁体の曲面形状の曲率も大きくなる。これに伴い、絶縁体に作用する応力が大きくなる。この結果、燃料電池セルの製造過程にてなされる焼成工程や燃料電池セルの発電の際、絶縁体にクラックが発生し易いという問題が発生する。
【0004】
絶縁体にクラックが発生すると、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が達成され得なくなり、燃料電池セルの内外間での酸素分圧差が減少する。この結果、燃料電池セルの発電性能が低下する。従って、絶縁体におけるクラックの発生を抑制することが望まれていたところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−226789号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、支持基板の側端部を覆う緻密な絶縁体におけるクラックの発生を抑制し得る「横縞型」の燃料電池セルを提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池セルは、「ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部」と、「前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部」と、を備える。即ち、このセルは、「横縞型」の燃料電池セルである。前記ガスシール部は、前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有する。
【0008】
本発明に係る燃料電池セルの特徴は、前記絶縁体の表面が、前記長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、前記曲面形状における最小曲率半径Rminが10μm〜300μmであることにある。ここで、前記支持基板の板厚は0.5〜5mmであることが好ましい。
【0009】
本発明者は、「Rmin<10μm、又は、Rmin>300μmであると、絶縁体においてクラックが発生し易く、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体においてクラックが発生し難いこと」を見出した。このことについては後述する。従って、上記構成によれば、絶縁体におけるクラックの発生が抑制されて、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が確実に達成され得、燃料電池セルの発電性能の低下を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池セルを示す斜視図である。
【図2】図1に示す燃料電池セルの2−2線に対応する断面図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池セルの図1に対応する斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池セルの図1に対応する斜視図である。
【図5】図1に示す燃料電池セルの作動状態を説明するための図である。
【図6】図1に示す燃料電池セルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。
【図7】図1に示す支持基板を示す斜視図である。
【図8】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。
【図9】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。
【図10】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。
【図11】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。
【図12】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。
【図13】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。
【図14】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。
【図15】本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池セルの図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセルを示す。このSOFCセルは、長手方向を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
【0012】
このSOFCセルの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで長手方向に直交する幅方向の長さが1〜10cmの長方形である。このSOFCセルの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCセルの全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有することが好ましいが、この限りでない。以下、図1に加えて、このSOFCセルの図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCセルの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
【0013】
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の側端部は、外側に(幅方向に)凸となる曲面状を呈している。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。
【0014】
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
【0015】
図2に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)の上には、直方体状の燃料極20が設けられている。燃料極20は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。燃料極20は、後述する固体電解質膜40に接する燃料極活性部22と、燃料極活性部22以外の残りの部分である燃料極集電部21とから構成される。燃料極活性部22を上方からみた形状は、燃料極集電部21が存在する範囲に亘って幅方向に延びる長方形である。
【0016】
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
【0017】
各燃料極20(より具体的には、各燃料極集電部21)の上面の所定箇所には、インターコネクタ30が形成されている。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。インターコネクタ30を上方からみた形状は、燃料極20が存在する範囲に亘って幅方向に延びる長方形である。インターコネクタ30は、例えば、LaCrO3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
【0018】
複数の燃料極20が設けられた状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成された部分を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、Y2O3(イットリア)を含有したYSZ(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
【0019】
即ち、複数の燃料極20が設けられた状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。ここで、緻密材料からなる「インターコネクタ30及び固体電解質膜40」が、「ガスシール部」に対応する。
【0020】
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
【0021】
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
【0022】
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
【0023】
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
【0024】
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
【0025】
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
【0026】
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
【0027】
このSOFCセルでは、固体電解質膜40の一部であって支持基板10の側端部(外側に凸となる曲面状を有する部分)を覆うように形成された部分が前記「絶縁体」に対応する。即ち、このSOFCセルでは、「絶縁体」は、固体電解質膜40の層のみからなる。図1に示すように、「絶縁体」の表面は、幅方向において外側に突出する曲面形状を呈している。この曲面形状は、燃料電池セルを「幅方向及び支持基板10の板厚方向に沿う平面」で切断して得られる断面における、「絶縁体」の表面に対応する部分の曲線(輪郭)と表現することもできる。
【0028】
この曲面形状の曲率半径Rは、曲面形状の場所によって異なってもよいし、曲面形状の場所にかかわらず一定であってもよい。そして、この曲率半径Rの変動範囲における最小値(最小曲率半径Rmin)は、10μm〜300μmである。最小曲率半径Rminに対応する「絶縁体」の部分は、「絶縁体」の突出方向の端部(図の左右方向の端部)であってもよいし、前記端部以外の部分であってもよい。
【0029】
なお、このような燃料電池セルでは、支持基板10の側端部に形成される緻密な「絶縁体」は、固体電解質膜40のみから形成される必要はない。例えば、図3に示すように、「絶縁体」として、固体電解質膜40の外面に他の緻密な絶縁体80が形成された積層体が用いられてもよい。また、図示はしないが、固体電解質膜40の内面に他の緻密な絶縁体が形成された積層体が用いられてもよい。この場合、他の緻密な絶縁体としては、例えば、10Sc1CeZrO2のような他の固体電解質であってもよいし、ガラス、ZrO2のような固体電解質以外の物質であってもよい。
【0030】
また、図4に示すように、支持基板10の主面に形成された固体電解質膜40(前記「絶縁体」に対応しない部分)とは個別に、この固体電解質膜40に連続して、緻密な絶縁体80が支持基板10の側端部に形成されてもよい。即ち、図4に示す実施形態では、「絶縁体」は、絶縁体80の層のみからなる。図3、又は図4に示す形態においても、図1に示す形態と同様、「絶縁体」の表面における最小曲率半径Rminは、10μm〜300μmである。
【0031】
以上、説明した「横縞型」のSOFCセルに対して、図5に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e−
(於:燃料極20) …(2)
【0032】
発電状態においては、図6に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図5に示すように、このSOFCセル全体から(具体的には、図5において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
【0033】
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCセルの製造方法の一例について図7〜図14を参照しながら簡単に説明する。図7〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
【0034】
先ず、図7に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図7に示す支持基板の成形体10gの部分断面を表す図8〜図14を参照しながら説明を続ける。
【0035】
図8に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面の所定位置に、燃料極の成形体(21g+22g)が形成される。各燃料極の成形体(21g+22g)は、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0036】
次に、図10に示すように、各燃料極の成形体21gの外側面の所定箇所に、インターコネクタの成形膜30gが形成される。各インターコネクタの成形膜30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0037】
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)が埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成された部分を除いた全面(支持基板の成形体10gの側端部の表面を含む)に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。ここで、固体電解質膜の成形膜40gにおいて支持基板の成形体10gの側端部に形成された部分が、前記「絶縁体」の成形膜に相当する。図1に示した態様では、この処理によって前記「絶縁体」の成形膜の形成が完了する。
【0038】
なお、例えば、図3に示した形態では、この処理の後に更に、支持基板の成形体10gの側端部に形成された固体電解質膜の成形膜40gの外面に、上述した「他の緻密な絶縁体80」の成形膜が印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。また、図4に示した形態では、支持基板の成形体10gの側端部を除いて固体電解質膜の成形膜40gを形成し、その後、支持基板の成形体10gの側端部の表面に、上述した「他の緻密な絶縁体80」の成形膜が印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
【0039】
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0040】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCセルにおいて空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
【0041】
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0042】
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0043】
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCセルが得られる。以上、図1に示したSOFCセルの製造方法の一例について説明した。
【0044】
(最小曲率半径Rminの好ましい範囲の考察)
次に、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」の表面についての最小曲率半径Rminの好ましい範囲について考察するために行われた実験について説明する。この実験に使用された燃料電池セルは、上述した「製造方法」を利用して作製された。
【0045】
支持基板10の幅方向の寸法は26mm、厚さ方向の寸法は3.5mm、燃料極20の厚さは50μm、固体電解質膜40における支持基板10の主面に形成された部分(前記「絶縁体」に対応しない部分)の厚さは20μm、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(固体電解質膜40の一部、又は絶縁体80)の厚さは40μm、空気極60の厚さは50μm、インターコネクタ30の厚さは50μm、空気極集電膜70の厚さは50μmであった。
【0046】
次に、この燃料電池セルの内部に、水素ガスを流し、850℃で、支持基板10及び燃料極20の還元処理が施された。
【0047】
得られた燃料電池セルの燃料ガス流路11に燃料ガスを流通させ、燃料電池セルの外側に酸素含有ガスを流通させ、燃料電池セルをガスバーナーを用いて750℃まで加熱して、燃料電池セルを所定時間に亘り稼働させた。
【0048】
その後、燃料電池セルに対して、「燃料ガス流路11内に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで30分間で上げた後に750℃から常温まで120分間で下げるパターン」を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(固体電解質膜40の一部、又は絶縁体80、焼成体)について、クラックの有無が確認された。この確認は目視、及び顕微鏡による観察により行われた。
【0049】
以上の試験が、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(焼成体)の表面の最小曲率半径Rminが異なる種々の燃料電池セルに対してそれぞれ行われた。Rminの調整は、「絶縁体」の成形膜(焼成前、即ち、固体電解質膜40の成形膜、又は、絶縁体80の成形膜)を構成する材料の粒径(平均粒径(D50)で、0.1〜30μm)、比表面積(BET法にて測定された値で、1〜30m2/g)、成膜方法、焼成温度(600〜1500℃)などを調整すること等で行われた。なお、焼成温度が600℃に近い場合は、「絶縁体」がガラス材料からなる場合に対応している。また、得られた「絶縁体」の表層に対して非晶質ガラスをオーバーコートすることによって、滑らかな(Rminの小さい)面を得ることもできる。
【0050】
Rminの計測は、「絶縁体」(焼成体)の表面の曲面形状の全範囲に亘る曲率半径Rの分布を所定のレーザー顕微鏡、及び所定の画像処理等を用いて取得し、この取得結果に基づいてなされる。このRmimは、レーザー顕微鏡で拡大して観察され得る曲面形状の表面の微細な凹凸までも考慮されて計測される。表1は、この「絶縁体」(焼成体)におけるRminと、クラックの有無との関係を示す。なお、各水準について15個のサンプルが作製され、評価された。
【0051】
【表1】
【0052】
表1によれば、「Rmin<10μm、又は、Rmin>300μmであると、絶縁体においてクラックが発生し易く、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体においてクラックが発生し難いこと」が判明した。これは、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体の端部等における応力集中が緩和されて、絶縁体において過大な応力が局所的に発生しないように応力が分布する構造が得られることに基づく、と推測される。なお、表1では、支持基板の材料がNi−Y2O3の場合の結果が示されているが、支持基板の材料がNi−Y2O3以外の材料、例えばNi−YSZの場合も同じ結果が得られることが判明している。
【0053】
以上、上記実験結果によれば、「絶縁体」においてクラックの発生を抑制するためには、Rminが10μm〜300μmであることが好ましいことが判明した。これにより、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が確実に達成され得、燃料電池セルの発電性能の低下を確実に抑制することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の発電素子部Aが設けられているが、図15に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、21…燃料極集電部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、80…絶縁体、A…発電素子部
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、「ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部」と、「前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部」とを備えた燃料電池セルが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような構成は、「横縞型」とも呼ばれる。この文献に記載の燃料電池セルでは、前記ガスシール部は、前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる「外側に凸の曲面状の」側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有する。
【0003】
係る燃料電池セルでは、燃料電池セルの形状を扁平状(薄板状)とすることにより、1つの燃料電池セル当たりの発電部の面積を大きくすることができ、この結果、発電量を大きくすることができる。しかしながら、燃料電池セルの形状を扁平状とすると、支持基板の側端部の曲面形状の曲率が大きくなり、この側端部を覆う緻密な絶縁体の曲面形状の曲率も大きくなる。これに伴い、絶縁体に作用する応力が大きくなる。この結果、燃料電池セルの製造過程にてなされる焼成工程や燃料電池セルの発電の際、絶縁体にクラックが発生し易いという問題が発生する。
【0004】
絶縁体にクラックが発生すると、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が達成され得なくなり、燃料電池セルの内外間での酸素分圧差が減少する。この結果、燃料電池セルの発電性能が低下する。従って、絶縁体におけるクラックの発生を抑制することが望まれていたところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−226789号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、支持基板の側端部を覆う緻密な絶縁体におけるクラックの発生を抑制し得る「横縞型」の燃料電池セルを提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池セルは、「ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部」と、「前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部」と、を備える。即ち、このセルは、「横縞型」の燃料電池セルである。前記ガスシール部は、前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有する。
【0008】
本発明に係る燃料電池セルの特徴は、前記絶縁体の表面が、前記長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、前記曲面形状における最小曲率半径Rminが10μm〜300μmであることにある。ここで、前記支持基板の板厚は0.5〜5mmであることが好ましい。
【0009】
本発明者は、「Rmin<10μm、又は、Rmin>300μmであると、絶縁体においてクラックが発生し易く、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体においてクラックが発生し難いこと」を見出した。このことについては後述する。従って、上記構成によれば、絶縁体におけるクラックの発生が抑制されて、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が確実に達成され得、燃料電池セルの発電性能の低下を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池セルを示す斜視図である。
【図2】図1に示す燃料電池セルの2−2線に対応する断面図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池セルの図1に対応する斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池セルの図1に対応する斜視図である。
【図5】図1に示す燃料電池セルの作動状態を説明するための図である。
【図6】図1に示す燃料電池セルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。
【図7】図1に示す支持基板を示す斜視図である。
【図8】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。
【図9】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。
【図10】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。
【図11】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。
【図12】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。
【図13】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。
【図14】図1に示す燃料電池セルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。
【図15】本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池セルの図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセルを示す。このSOFCセルは、長手方向を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
【0012】
このSOFCセルの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで長手方向に直交する幅方向の長さが1〜10cmの長方形である。このSOFCセルの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCセルの全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有することが好ましいが、この限りでない。以下、図1に加えて、このSOFCセルの図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCセルの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
【0013】
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の側端部は、外側に(幅方向に)凸となる曲面状を呈している。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。
【0014】
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
【0015】
図2に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)の上には、直方体状の燃料極20が設けられている。燃料極20は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。燃料極20は、後述する固体電解質膜40に接する燃料極活性部22と、燃料極活性部22以外の残りの部分である燃料極集電部21とから構成される。燃料極活性部22を上方からみた形状は、燃料極集電部21が存在する範囲に亘って幅方向に延びる長方形である。
【0016】
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY2O3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
【0017】
各燃料極20(より具体的には、各燃料極集電部21)の上面の所定箇所には、インターコネクタ30が形成されている。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。インターコネクタ30を上方からみた形状は、燃料極20が存在する範囲に亘って幅方向に延びる長方形である。インターコネクタ30は、例えば、LaCrO3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
【0018】
複数の燃料極20が設けられた状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成された部分を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、Y2O3(イットリア)を含有したYSZ(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
【0019】
即ち、複数の燃料極20が設けられた状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。ここで、緻密材料からなる「インターコネクタ30及び固体電解質膜40」が、「ガスシール部」に対応する。
【0020】
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
【0021】
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
【0022】
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
【0023】
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
【0024】
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
【0025】
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
【0026】
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
【0027】
このSOFCセルでは、固体電解質膜40の一部であって支持基板10の側端部(外側に凸となる曲面状を有する部分)を覆うように形成された部分が前記「絶縁体」に対応する。即ち、このSOFCセルでは、「絶縁体」は、固体電解質膜40の層のみからなる。図1に示すように、「絶縁体」の表面は、幅方向において外側に突出する曲面形状を呈している。この曲面形状は、燃料電池セルを「幅方向及び支持基板10の板厚方向に沿う平面」で切断して得られる断面における、「絶縁体」の表面に対応する部分の曲線(輪郭)と表現することもできる。
【0028】
この曲面形状の曲率半径Rは、曲面形状の場所によって異なってもよいし、曲面形状の場所にかかわらず一定であってもよい。そして、この曲率半径Rの変動範囲における最小値(最小曲率半径Rmin)は、10μm〜300μmである。最小曲率半径Rminに対応する「絶縁体」の部分は、「絶縁体」の突出方向の端部(図の左右方向の端部)であってもよいし、前記端部以外の部分であってもよい。
【0029】
なお、このような燃料電池セルでは、支持基板10の側端部に形成される緻密な「絶縁体」は、固体電解質膜40のみから形成される必要はない。例えば、図3に示すように、「絶縁体」として、固体電解質膜40の外面に他の緻密な絶縁体80が形成された積層体が用いられてもよい。また、図示はしないが、固体電解質膜40の内面に他の緻密な絶縁体が形成された積層体が用いられてもよい。この場合、他の緻密な絶縁体としては、例えば、10Sc1CeZrO2のような他の固体電解質であってもよいし、ガラス、ZrO2のような固体電解質以外の物質であってもよい。
【0030】
また、図4に示すように、支持基板10の主面に形成された固体電解質膜40(前記「絶縁体」に対応しない部分)とは個別に、この固体電解質膜40に連続して、緻密な絶縁体80が支持基板10の側端部に形成されてもよい。即ち、図4に示す実施形態では、「絶縁体」は、絶縁体80の層のみからなる。図3、又は図4に示す形態においても、図1に示す形態と同様、「絶縁体」の表面における最小曲率半径Rminは、10μm〜300μmである。
【0031】
以上、説明した「横縞型」のSOFCセルに対して、図5に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O2+2e−→O2− (於:空気極60) …(1)
H2+O2−→H2O+2e−
(於:燃料極20) …(2)
【0032】
発電状態においては、図6に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図5に示すように、このSOFCセル全体から(具体的には、図5において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
【0033】
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCセルの製造方法の一例について図7〜図14を参照しながら簡単に説明する。図7〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
【0034】
先ず、図7に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図7に示す支持基板の成形体10gの部分断面を表す図8〜図14を参照しながら説明を続ける。
【0035】
図8に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面の所定位置に、燃料極の成形体(21g+22g)が形成される。各燃料極の成形体(21g+22g)は、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0036】
次に、図10に示すように、各燃料極の成形体21gの外側面の所定箇所に、インターコネクタの成形膜30gが形成される。各インターコネクタの成形膜30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0037】
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)が埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成された部分を除いた全面(支持基板の成形体10gの側端部の表面を含む)に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。ここで、固体電解質膜の成形膜40gにおいて支持基板の成形体10gの側端部に形成された部分が、前記「絶縁体」の成形膜に相当する。図1に示した態様では、この処理によって前記「絶縁体」の成形膜の形成が完了する。
【0038】
なお、例えば、図3に示した形態では、この処理の後に更に、支持基板の成形体10gの側端部に形成された固体電解質膜の成形膜40gの外面に、上述した「他の緻密な絶縁体80」の成形膜が印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。また、図4に示した形態では、支持基板の成形体10gの側端部を除いて固体電解質膜の成形膜40gを形成し、その後、支持基板の成形体10gの側端部の表面に、上述した「他の緻密な絶縁体80」の成形膜が印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
【0039】
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0040】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCセルにおいて空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
【0041】
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0042】
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
【0043】
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCセルが得られる。以上、図1に示したSOFCセルの製造方法の一例について説明した。
【0044】
(最小曲率半径Rminの好ましい範囲の考察)
次に、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」の表面についての最小曲率半径Rminの好ましい範囲について考察するために行われた実験について説明する。この実験に使用された燃料電池セルは、上述した「製造方法」を利用して作製された。
【0045】
支持基板10の幅方向の寸法は26mm、厚さ方向の寸法は3.5mm、燃料極20の厚さは50μm、固体電解質膜40における支持基板10の主面に形成された部分(前記「絶縁体」に対応しない部分)の厚さは20μm、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(固体電解質膜40の一部、又は絶縁体80)の厚さは40μm、空気極60の厚さは50μm、インターコネクタ30の厚さは50μm、空気極集電膜70の厚さは50μmであった。
【0046】
次に、この燃料電池セルの内部に、水素ガスを流し、850℃で、支持基板10及び燃料極20の還元処理が施された。
【0047】
得られた燃料電池セルの燃料ガス流路11に燃料ガスを流通させ、燃料電池セルの外側に酸素含有ガスを流通させ、燃料電池セルをガスバーナーを用いて750℃まで加熱して、燃料電池セルを所定時間に亘り稼働させた。
【0048】
その後、燃料電池セルに対して、「燃料ガス流路11内に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで30分間で上げた後に750℃から常温まで120分間で下げるパターン」を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(固体電解質膜40の一部、又は絶縁体80、焼成体)について、クラックの有無が確認された。この確認は目視、及び顕微鏡による観察により行われた。
【0049】
以上の試験が、支持基板10の側端部に形成された「絶縁体」(焼成体)の表面の最小曲率半径Rminが異なる種々の燃料電池セルに対してそれぞれ行われた。Rminの調整は、「絶縁体」の成形膜(焼成前、即ち、固体電解質膜40の成形膜、又は、絶縁体80の成形膜)を構成する材料の粒径(平均粒径(D50)で、0.1〜30μm)、比表面積(BET法にて測定された値で、1〜30m2/g)、成膜方法、焼成温度(600〜1500℃)などを調整すること等で行われた。なお、焼成温度が600℃に近い場合は、「絶縁体」がガラス材料からなる場合に対応している。また、得られた「絶縁体」の表層に対して非晶質ガラスをオーバーコートすることによって、滑らかな(Rminの小さい)面を得ることもできる。
【0050】
Rminの計測は、「絶縁体」(焼成体)の表面の曲面形状の全範囲に亘る曲率半径Rの分布を所定のレーザー顕微鏡、及び所定の画像処理等を用いて取得し、この取得結果に基づいてなされる。このRmimは、レーザー顕微鏡で拡大して観察され得る曲面形状の表面の微細な凹凸までも考慮されて計測される。表1は、この「絶縁体」(焼成体)におけるRminと、クラックの有無との関係を示す。なお、各水準について15個のサンプルが作製され、評価された。
【0051】
【表1】
【0052】
表1によれば、「Rmin<10μm、又は、Rmin>300μmであると、絶縁体においてクラックが発生し易く、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体においてクラックが発生し難いこと」が判明した。これは、Rminが10μm〜300μmであれば、絶縁体の端部等における応力集中が緩和されて、絶縁体において過大な応力が局所的に発生しないように応力が分布する構造が得られることに基づく、と推測される。なお、表1では、支持基板の材料がNi−Y2O3の場合の結果が示されているが、支持基板の材料がNi−Y2O3以外の材料、例えばNi−YSZの場合も同じ結果が得られることが判明している。
【0053】
以上、上記実験結果によれば、「絶縁体」においてクラックの発生を抑制するためには、Rminが10μm〜300μmであることが好ましいことが判明した。これにより、燃料電池セルの内外間でのガスの遮断が確実に達成され得、燃料電池セルの発電性能の低下を確実に抑制することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の発電素子部Aが設けられているが、図15に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、21…燃料極集電部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、80…絶縁体、A…発電素子部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板と、
前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部と、
1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部と、
前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部と、
を備えた燃料電池セルであって、
前記ガスシール部は、
前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有し、
前記絶縁体の表面は、前記長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、前記曲面形状における最小曲率半径が10μm〜300μmである、燃料電池セル。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池セルにおいて、
前記支持基板の板厚は0.5〜5mmである、燃料電池セル。
【請求項1】
ガス流路が長手方向に沿って内部に形成された平板状の多孔質の支持基板と、
前記支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部と、
1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部と、
前記内側電極に供給されるガスと前記外側電極に供給されるガスとの混合を防止する緻密材料からなるガスシール部と、
を備えた燃料電池セルであって、
前記ガスシール部は、
前記支持基板における前記長手方向に沿って延びる側端部を覆うように形成された緻密な絶縁体を有し、
前記絶縁体の表面は、前記長手方向と直角の幅方向において外側に突出する曲面形状を呈していて、前記曲面形状における最小曲率半径が10μm〜300μmである、燃料電池セル。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池セルにおいて、
前記支持基板の板厚は0.5〜5mmである、燃料電池セル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−94324(P2012−94324A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239669(P2010−239669)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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