燃料電池反応物及び副生物用システム
本発明による燃料電池システム(100)は、反応物分配システム(118、118'、118'')及び/又は副生物除去システム(142、142'、142'')を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、並びに燃料電池反応物及び副生物用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料及び酸化剤を、電気と反応生成物とに変換するものであり、それは、より高いエネルギー密度を有し、充電式電池のような長い充電サイクルによって中断されず、比較的小型軽量であり、実質的に環境排出物を生成しないため有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本発明者は、従来の燃料電池に改良の余地があると判断した。より詳細には、本発明者は、燃料電池の電極に反応物を送り且つ電極から副生物を除去するための改善されたシステムを提供することが有益であろうと判断した。
【0004】
例えば、燃料極側に関しては、従来の燃料電池の燃料送出システムは、燃料極に液体燃料を連続的に送り、そして燃料極を燃料中に浸す。本発明者は、燃料極へのこの燃料分配法では、燃料極から空気極への燃料クロスオーバーがもたらされ、それによって燃料電池の総合効率が低下してしまうと判断した。燃料クロスオーバーはまた、より低い濃度の燃料を使用することを必要とし、その結果、システムがそうでない場合よりも大きくなり重くなる。また、従来の燃料電池の燃料送出システムを使用して燃料極上に燃料を均一に分配することは困難である。燃料極反応の副生物に関しては、本発明者は、副生物をより効率的に除去することによって燃料電池の反応速度が改善され電力密度が高まるであろうと判断した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を行うこととする。
【0007】
以下は、現在最も知られている本発明の実施態様に関する詳細な説明である。この説明は、限定の意に解釈されるべきでなく、単に本発明の一般的な原理を例示するために行うものである。本発明に関係しない燃料電池構造の詳細な検討は、簡略のため省略していることに留意されたい。
【0008】
また、本発明は、現在開発されているもの又はまだ開発されていないものをはじめとする、広範囲の燃料電池技術に適用可能である。したがって、以下に、直接メタノール燃料電池(「DMFC」)に関連して種々の例示的な燃料電池システムを説明するが、エタノール燃料電池や酵素燃料電池などの液体反応物が関与する他のタイプの燃料電池もまた等しく本発明を適用可能である。さらに、図示する例示的な実施形態の燃料電池は、互いに対向する燃料極を有するよう、対状に構成されている(「共用燃料極チャンバ(shared anode chamber)」構成とも呼ばれる)。一連の燃料電池対は、縦方向に積み重ねることも(図1では2つの対が積み重ねられている)、平面的に互いに隣り合わせて配置することもできる(図1Aでは4つの対が示されている)。また、単一の対を単独で使用することもできる。あるいはまた、個別の燃料電池を、従来のバイポーラ構成にて積み重ねることも、平面的に互いに隣り合わせて配置することも、又は単純に単独で使用することもできる。
【0009】
例えば図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態による燃料電池システム100は、スタック104状に配列した複数の燃料電池102を備える。各燃料電池102は、薄いイオン伝導膜110によって隔てられている燃料極106と空気極108とを備える。膜110の両側にある燃料極106及び空気極108は、膜電極アセンブリ(「MEA」)を構成する。例示的な実施形態では、燃料極106は、触媒層106a及び多孔質電流コレクタ106bから成る。例示的な空気極108は、触媒層108a及び多孔質電流コレクタ108bから成る。例示的なイオン伝導膜110は、電解質として機能する。本発明と共に用い得る代替のMEAにおいては、触媒層106a及び108aは、膜110によって支持することができ、さらに別の代替構成においては、燃料極と空気極と膜とが、それぞれ触媒層を備えることができる。さらに、追加の金属電流コレクタを、金属でも金属でなくてもよい多孔質電流コレクタに接触させて配置することができる。
【0010】
例示的なシステム100における個々のセル102は、隣接する電池の燃料極106が約0.05mm〜約5mmの間隔で互いに対向し、且つ隣接する電池の空気極108が約0.1mm〜約10mmの間隔で互いに対向するように、積み重ねられている。スタック104の端にある空気極108は、壁114に面している。そのような配列では、隣接する燃料極106間のスペースが燃料領域112を画定し、隣接する空気極108(又は空気極と壁114)間のスペースが、酸化剤領域116を画定する。燃料極と空気極は、負荷の電力要件に応じて、直列に、並列に、又は直列と並列を組み合わせて接続することができる。共用燃料極チャンバ構成においては、2つの隣接する燃料極106を並列に互いに接続し、且つそれぞれの空気極108を並列に接続し、並列の燃料極対を隣合う並列の空気極対と直列に接続することができる。
【0011】
例示的なDMFC102では、メタノール/水混合物などの液体燃料が燃料領域112に供給され、酸素又は空気が酸化剤領域116に供給される。燃料は燃料極106で電気化学的に酸化され、それによって、副生物(例示的な実施形態では二酸化炭素)とプロトンが生成し、該プロトンは伝導膜110を通って移動し空気極108で酸素と反応して副生物(例示的な実施形態では水蒸気)を生成する。
【0012】
図1及び図3に示すように、例示的な燃料電池システム100では、燃料は、燃料供給装置118によって燃料領域112の入口に比較的低い圧力で供給され、次いで、燃料分配要素120によって燃料極106表面上に薄い層状に分配される。燃料供給装置118は、リザーバ又は加圧リザーバ(ブラダなど)から燃料を取り出すポンプや、ポンプのように機能する弁機構などの能動装置122と、燃料供給チャネル124を含むマニホルドや他の分配機構とを備えることが好ましい。燃料供給チャネル124は、燃料分配要素120に燃料を供給する。本発明は、燃料を燃料供給チャネル124から燃料分配要素120に移動させる特定の方法に限定されないが、図3に示す例示的な燃料供給チャネルは、関連する燃料分配要素に接して長手方向に延在するスロット126を備えている。あるいはまた、燃料分配要素120の一端の一部を、関連するスロット126に挿入することができる。スロット126の長さは、実質的に燃料分配要素120の長さに相当する。
必要であれば、シール材を設けることができる。。
【0013】
酸化剤は、酸化剤供給装置128によって酸化剤領域116に供給することができる。酸化剤供給装置128は、単純に、スロット133を有する酸化剤供給チャネル132を含むマニホルドや他の分配機構を介して周囲空気を酸化剤領域116内及び空気極108表面に流すことができる適切な通気孔130(必要に応じてファンを備える)であることが好ましい。
【0014】
図4に、燃料分配要素と燃料供給チャネルとの間の例示的な代替の接続を示す。ここでは、例示的な燃料供給チャネル124'が、燃料分配要素120と同じ特性を有する材料から形成し得る燃料分配要素134によって包囲されている。燃料分配要素134は、燃料供給チャネルに形成された孔136を介して燃料を受け取る。例示的な実施形態では、例示的な燃料供給チャネル124'が管状構造の場合、孔136は、管状構造の側壁に形成される。孔136は、燃料分配要素120の関連する端と同一の拡がりを持つ領域のような、長手方向に延在する領域の範囲内に配置されることが好ましく、且つ当該領域の周囲の様々な位置に配置されることが好ましい。あるいはまた、燃料供給チャネル124'の代わりに、多孔質管(多孔質金属管など)又は非金属多孔質フィルタを使用することができる。燃料分配要素120用の開口140を有するキャップ138によって、燃料分配要素134は包囲されている。燃料分配要素120及び134は、一体的な要素(図示のように)とすることも、互いに連通している2つの個別の要素とすることもできる。
【0015】
図1〜図3に示す例示的な燃料電池システム100はまた、燃料極側副生物除去装置142と空気極側副生物除去装置144とを備える。前述のように、例示的なDMFCの燃料極側の副生物は二酸化炭素であり、空気極側の副生物は水蒸気と未使用空気である。燃料極側副生物除去装置142は、燃料領域112の出口端と連通している副生物排出チャネル146を有するマニホルドや他の分配機構を備えることが好ましい。副生物排出チャネル146内に、燃料分配要素120の端と接する長手方向に延在するスロット148を形成することができる。あるいはまた、燃料分配要素120の端の一部を、スロット148に挿入することができる。スロット148又は通気孔に液体ガス分離膜を組み込むことができ、当該膜を介して気体副生物を放出することができる。通気孔に加えて、低圧リリーフ弁や、図8を参照して後でより詳しく説明するような、真空力を生成する能動装置150を使用して、副生物排出チャネル146から副生物を排出することができる。空気極側副生物除去装置144は、単に、スロット155を有する副生物排出チャネル154を含むマニホルドや他の分配機構を介して酸化剤領域116から大気に副生物を放出するところの適切な通気孔152(必要に応じてファンを有する)とし得る。あるいはまた、酸化剤領域116は、特に平面燃料電池構造の場合には、自然空気対流によって空気が補充され且つ副生物が除去されるのに十分な程度に広くすることができる。
【0016】
ここで、例示的な燃料供給チャネル124、酸化剤供給チャネル132、副生物排出チャネル146及び副生物排出チャネル154の断面形状は正方形であるが、この形状は、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得ることに留意されたい。他の適切な断面形状として、限定はしないが、円形や長方形などの幾何学形状が挙げられる。
【0017】
例示的な燃料分配要素120は、毛管(即ち、「吸上(wicking)」)力を生成し、燃料分配要素の一端から他端に(及び左右に)燃料を吸引し、燃料を燃料極106表面に分配する。換言すると、燃料分配要素120は、毛管力を使用して、燃料領域入口から燃料を吸引し、当該燃料を燃料極106表面に受動的に分配する。毛管力を生成する構造は、単なる多孔質であり且つ消費されている液体燃料に対して大きな毛管力を生成しない構造とは区別するべきである。毛管力は、毛管構造の寸法及び接触角(これ自体は、液体燃料と毛管材料表面との間の相互作用の関数である)の関数である。単なる多孔質構造は、液体燃料を多孔質材料内に注入するポンプ(又は、他の能動要素)を必要とするが、図示する実施形態の燃料供給装置118では、燃料分配要素120の端まで送るだけでよい。
【0018】
燃料分配要素120の全体又は一部を構成するために、種々様々な毛管構造を使用することができる。限定はしないが、例を示せば、(例示的な共用燃料極チャンバの実施形態では両面に)マイクロチャネルをエンボス加工されたフィルム、多孔質中空ファイバ、多孔質膜、発泡体、フィラメント束、織物又は不織布などの様々な非導電性材料を使用することができる。また、例示的な燃料分配要素120では、金属発泡体、炭素又はグラファイト発泡体、金属フィルタ、カーボンフィルタ、金属化発泡体、金属化膜、マイクロチャネルをエンボス加工された金属化フィルムなどの導電性材料を使用することもできる。[マイクロチャネルをエンボス加工されたフィルムは、後で図13を参照してより詳しく説明する]。あるいはまた、非導電性毛管材料(多孔質中空ファイバなど)と導電性金属ファイバ/フィラメントとの組み合せを使用することができる。導電性材料は、燃料分配構造に組み込まれた電流コレクタとして機能し得る。あるいはまた、図5を参照して後で述べるように、電流コレクタは、単に、関連する電極に組み込まれている。
【0019】
前述の例示的な燃料極と燃料分配要素は、燃料電池システムの組み立て時に互いに組合せ得る、個別の構造要素である。代替として、燃料分配要素を、燃料電池の燃料極自体に組み込むことができる。例えば図5に示すように、燃料電池102'は、両方とも導電性であり且つ毛管力を生成するよう構成されている触媒層106aと電流コレクタ106bとを有する燃料極106'を備えることができ、それ以外は燃料電池102と同じである。より詳細には、電流コレクタ106b'は、電流を収集することに加えて、触媒層106a上に燃料を受動的に分配する毛管力を生成する。そのような電流コレクタ106b'は、先の段落で述べた導電性燃料分配材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。例示的な燃料電池102'における燃料分配電流コレクタ106b'は、電流コレクタの長手方向の端がチャネル124及び146のスロット126及び148内に延在するように構成することができる。あるいはまた、例示的な燃料電池102'は、図6〜図11を参照して後で説明するもののような燃料分配管を備える燃料電池システム、並びに他のシステムにおいて用いることができる。
【0020】
燃料が電流に比例する割合で供給されるように、燃料供給装置118の出力制御をはじめとする燃料電池システム100の動作を制御するために、コントローラ156(図1参照)を用いることができる。定常状態では、燃料は、燃料が燃料分配要素120に供給される速度と同じ速度で消費され、それによって燃料クロスオーバーが減少する。あるいはまた、燃料は、時間ベースの単位で計量することができる。この場合、コントローラ156は、例えば、燃料供給装置118を制御して、システムが所定の期間(例えば、1分)動作できるのに十分な燃料を供給し、その期間の終わりに電流がまだ流れている場合に次の間隔の分の燃料を供給する。また、コントローラ156及び燃料供給装置118を用いることで、単に能動要素122を止めることで(即ち、ポンプの電源を切るか、又はブラダと関連する弁を閉じることによって)、燃料電池102を停止させることができる。システムが停止した際に燃料極106に残っている比較的少量の燃料を使用して、バッテリやキャパシタなどの実装されているエネルギー貯蔵装置158を充電することができる。あるいはまた、コントローラ156を省くことができ、例示的な燃料電池システム100が電力を供給しているホスト装置によって制御機能をもたらすことができる。いずれの場合においても、特定の状況に適合するように燃料供給装置118の構成を変更し得ることに留意されたい。例えば、マニホルドは、スタック104内の全ての燃料供給チャネル124が単一の能動要素122に直接接続されるよう構成することができる。あるいはまた、各燃料供給チャネル124は、個々の能動要素122に接続することもできるし、燃料供給チャネルの小群を個々の能動要素に接続することもできる。
【0021】
本燃料電池システムに関しては、様々な利点がある。例えば、燃料分配要素は、燃料極に燃料を薄い均一な層で送り、それによって、従来のシステムよりも燃料送出プロセスの正確な制御が容易となり、燃料クロスオーバーが減少し、効率が向上する。また、燃料クロスオーバーの減少により、より高い濃度の燃料の使用が容易となり、それによってシステム全体の重量が低下する。本燃料電池システムではまた、燃料ポンプ(又は他の能動要素)及び燃料分配要素によって、システムの向きとは関係なく燃料領域に燃料が送られ、燃料が燃料極表面に分配されるため、向き依存性ではない。本燃料電池システムはまた、燃料極における改善された燃料分配をもたらし、燃料送出プロセスの改善された制御を促進し、それによって燃料利用率がさらに改善される。さらに、燃料ポンプ(又は、他の能動要素)は、燃料を供給することに加え、燃料電池に負荷がかかっていない場合に燃料の流れを止めたり又は逆にしたりするために使用することができ、それによって全体の効率が改善される。
【0022】
燃料分配要素120によってもたらされる毛管力に加えて、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)における燃料分配を、図6〜図7Aに示す燃料供給装置118'によって強化することができる。燃料供給装置118'は、燃料供給装置118と実質的に類似する。しかしながら、この場合、燃料は、図3に示すように燃料分配要素の端に供給されるのとは対照的に、燃料供給チャネル124''から燃料分配要素120の側端の間(即ち、その外縁部の内側)の様々な領域に送られる。そのような構成は、燃料がより迅速且つ均一に分配されるため、応答速度を向上させ、そして比較的大きい表面積を有する燃料極を備えた燃料電池に特に有用である。図6〜図7Aに示す例示的な実施形態では、燃料は、燃料供給チャネル124''から、複数の離間した燃料分配管160を介して、燃料分配要素120内の様々な位置に送られる。燃料供給チャネル124''は、燃料分配管160の吸込端164のための複数の開口162を備える。燃料分配管160の下流端166は、開いていても閉じていてもよい。
【0023】
例示的な燃料分配管160は、それを介して燃料が燃料分配要素120に流れ込む孔168を備える液体非透過性材料から形成される。あるいはまた、燃料分配管160は、追加の孔があるか又はない多孔質材料から形成することも、又は多孔質材料と非多孔質材料の組み合わせから形成することもできる。分配管160はまた、それ自体で毛管力を生成し且つその長さに沿って燃料が流出し得る、液体透過性の多孔質中空ファイバの形状とすることができる。本明細書に示す例示的な燃料電池では、そのような多孔質中空ファイバは、親水性であることが好ましい。
【0024】
例示的な実施形態における燃料分配管160と燃料分配要素120の相対的な位置決めに関して、各燃料領域112は、1対の燃料分配要素を含み、それらの間に複数の燃料分配管160が配置されている。燃料分配管の孔168は、燃料分配要素120に接している。符号161によって全体が示される燃料分配管160間のスペースによって、ガス状副生物は副生物チャネル146'の開口163へと流れることができる。あるいはまた、隣接する燃料電池102の配列方式に応じて、燃料分配管160は、各燃料領域112内に配置された単一の燃料分配要素120の上又は下に配置することができ、又はその中に埋め込むことができる。
【0025】
燃料分配管160の断面形状は、燃料供給チャネル124''から副生物排出チャネル146'の位置まで延在していることが好ましく、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得る。適切な断面形状として、限定はしないが、円形、正方形、長方形などの幾何学的形状が挙げられる。燃料分配管160の数と間隔も、必要に応じて変更することができる。例示的な実施形態では、開口に対する管の率は1以下であることが好ましい。
【0026】
本発明による燃料電池システムは、未使用燃料を除去したり燃料分配要素120の毛管作用を妨げたりすることなく、燃料極側副生物の除去を容易にする副生物除去装置を備えることができる。例えば図8及び図9に示すように、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)は、複数の副生物除去管170を含む例示的な副生物除去装置142'を備えることができる。図示する実施形態では、副生物除去装置142'は、燃料分配管160を有する燃料供給装置118'も備えるシステム内にあり、副生物除去管170は、燃料分配管160の間に散在している。しかしながら、副生物除去装置142'は、燃料分配管を含まない、図3に示す燃料供給装置118のような、燃料供給装置を含む燃料電池システムにおいても使用し得ることに留意されたい。燃料極側の反応による副生物は、例示的な副生物除去管170に、その長さに沿って入る。副生物除去管170の排出端172は、副生物排出チャネル146'の開口163に接続されている。この方式で副生物を除去することにより、反応が生成物方向へと促進され、それによって燃料電池の反応速度が改善され、反応速度が高まることにより出力密度が向上する。さらに、反応チャンバから気体状副生物を除去することにより、有効表面積及び出力密度が増大する。排気弁などの制御要素を備えた閉じたシステムでは、酸素を導入することなく副生物を除去することができる。
【0027】
図示する実施形態における燃料は液体(メタノール/水混合物)であり、燃料極側副生物は、気体(二酸化炭素)である。燃料を除去することなく副生物を除去するために、例示的な副生物除去管170は、液体非透過性で気体透過性である。例えば、副生物除去管170は、孔176と、気体透過性で液体非透過性のライニング材178とを含む液体非透過性材料から形成される。気体透過性で液体非透過性のライニング材料178は、例えばGore−tex(登録商標)や、適切なサイズの孔を有するポリプロピレンなどの膜材料から形成することができ、副生物除去管170の内部(図示するように)にあっても外部にあってもよい。他の代替の副生物除去管については、後で図10及び図11を参照して説明する。
【0028】
好ましくは燃料供給チャネル124''近傍の位置から副生物排出チャネル146'まで延在するところの副生物除去管170の断面形状は、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得る。適切な断面形状として、限定はしないが、円形、正方形、長方形などの幾何学的形状が挙げられる。副生物除去管170の数と間隔も、必要に応じて変更することができる。それらが1対1の比率で燃料分配管160の間に散在している例示的な実施形態では、開口領域又は副生物除去管に対する燃料分配管の比率は1以下であることが好ましい。燃料分配管160がない場合には、副生物除去管170の数を増やすことができる。燃料分配要素120に対する副生物除去管170の位置決めに関しては、副生物除去管は、燃料分配要素の上又は下に配置することができ、又は(図示するように)燃料分配要素の中に埋め込むことができる。
【0029】
さらに、図1を参照して先述したように、例示的な燃料電池102の燃料極側から副生物の除去を強化するための任意選択の機構は、ポンプなどの前述の能動要素150である。能動要素150はまた、複数の副生物除去管を含む副生物除去装置142'及び142''(後に説明する)のうちの1つのような、副生物除去装置と組み合わせて用いることができる。
【0030】
図10及び図11に、本発明の他の例示的な実施形態を示す。ここでは、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)は、燃料供給装置と副生物除去装置とを備えており、その両方が中空多孔質ファイバ形状の管を備えている。より詳細には、例示的な燃料供給装置118''では、燃料分配管160'は、燃料が管の一端(即ち、燃料供給チャネル開口162に挿入されている端)から他端に吸引される際、液体燃料が燃料分配要素120内に流出することを可能とするところの親水性多孔質中空ファイバの形態である。副生物除去に関しては、例示的な副生物除去装置142''の副生物除去管170'は、その長さに沿って液体燃料に対し非透過性であり且つ気体状副生物に対して透過性であるところの疎水性多孔質中空ファイバの形態である。副生物は、副生物除去管170'に入った後、副生物排出チャネル146'を介して燃料電池システムから出る。
【0031】
図10及び図11に示す例示的な実施形態では、燃料分配管160'と副生物除去管170'は、互いに接して散在している。その間隔は、必要に応じて、特定の状況に適合するよう変更することができる。副生物除去管170'は、(本実施形態及び図12に示す例示的な実施形態の両方において)断面積が燃料分配管160'よりも多少小さいが、管数に関する比率は1対1である。この比率もまた、必要に応じて、特定の状況に適合するよう変更することができる。あるいはまた、副生物除去管170'は、燃料分配管160'と同じ寸法とすることも、燃料分配管よりも大きくすることもできる。位置決めに関しては、燃料分配管160'と副生物除去管170'は、燃料分配要素の上又は下に配置することも、(図示するように)燃料分配要素の中に埋め込むこともできる。
【0032】
また、例えば図12に示すように、燃料分配に使用される親水性多孔質中空ファイバ160'と、副生物除去に使用される疎水性多孔質中空ファイバ170'とは、単純に、燃料分配要素120なしに燃料電池102の表面に近接して配置することができる。
【0033】
図13に移ると、小さな等しい半径を有し且つ毛管力を生成する、極めて微細なチャネル182をプラスチックフィルム180にエンボス加工することができる。液体燃料との適切な接触角を容易にするように、フィルムのうちのいくつかを表面処理しなければならない場合がある。例えば、DMFCにおいては、表面は、メタノール及び水の混合物と、小さい〜きわめて小さい接触角をなすことが好ましい。この表面処理はまた、その上における液体燃料の繰り返し輸送並びに燃料極チャンバ環境に対し安定である必要がある。DMFC燃料や他の極性燃料に関しては、プラズマコーティング又は金属若しくは金属酸化物被覆が適している場合がある。
【0034】
例えば図14〜図16に図示するように、気体透過性で液体非透過性のストリップ184を、隔置された燃料分配管160'の間に配置することができる。気体透過性で液体非透過性のストリップ184は、副生物除去スペース161に紛れ込む可能性のある液体燃料の量を実質的に減少させ、その結果、燃料極近傍の副生物気体の量が減少する。適切な気体透過性で液体非透過性の材料には、Gore−tex(登録商標)や、適切な寸法の孔を有するポリプロピレンなどの膜材料が含まれる。
【0035】
以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には、以上述べた好ましい実施形態に対する多数の修正及び/又は追加が自明であろう。限定はしないが、例を示せば、本明細書に開示した反応物及び副生物用システムは、空気極側反応物が液体であるか、又は反応副生物が液体(水など)であり反応物が気体(空気やO2など)である例における燃料電池の空気極側に採用することができる。さらに、燃料電池スタックや他の複数電極の構成に関して本発明を説明しているが、本発明は単一の燃料電池機構にも適用可能である。また、前述の反応物供給装置と副生物除去装置は、毛管力を生成しない多孔質燃料分配要素だけを含む燃料電池に応用することもできる。本発明の範囲は、そのような修正及び/又は追加の全てに及ぶことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好ましい実施形態による燃料電池システムの図
【図1A】本発明の好ましい実施形態による燃料電池構成を示す平面図
【図2】図示する実施形態と共に用い得る燃料電池の分解組立断面図
【図3】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの側面断面図
【図4】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分側面断面図
【図5】本発明の好ましい実施形態による燃料電池の部分側面断面図
【図6】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面断面図
【図7】図6の線7−7に沿って切断した断面図
【図7A】図6の線7A−7Aに沿って切断した断面図
【図8】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面部分断面図
【図9】本発明の好ましい実施形態による副生物除去管の断面図
【図10】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面部分断面図
【図11】図10の線11−11に沿って切断した断面図
【図12】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分断面図
【図13】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分断面図
【図14】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面断面図
【図15】図14の線15−15に沿って切断した断面図
【図16】図14の線16−16に沿って切断した断面図
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、並びに燃料電池反応物及び副生物用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料及び酸化剤を、電気と反応生成物とに変換するものであり、それは、より高いエネルギー密度を有し、充電式電池のような長い充電サイクルによって中断されず、比較的小型軽量であり、実質的に環境排出物を生成しないため有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本発明者は、従来の燃料電池に改良の余地があると判断した。より詳細には、本発明者は、燃料電池の電極に反応物を送り且つ電極から副生物を除去するための改善されたシステムを提供することが有益であろうと判断した。
【0004】
例えば、燃料極側に関しては、従来の燃料電池の燃料送出システムは、燃料極に液体燃料を連続的に送り、そして燃料極を燃料中に浸す。本発明者は、燃料極へのこの燃料分配法では、燃料極から空気極への燃料クロスオーバーがもたらされ、それによって燃料電池の総合効率が低下してしまうと判断した。燃料クロスオーバーはまた、より低い濃度の燃料を使用することを必要とし、その結果、システムがそうでない場合よりも大きくなり重くなる。また、従来の燃料電池の燃料送出システムを使用して燃料極上に燃料を均一に分配することは困難である。燃料極反応の副生物に関しては、本発明者は、副生物をより効率的に除去することによって燃料電池の反応速度が改善され電力密度が高まるであろうと判断した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を行うこととする。
【0007】
以下は、現在最も知られている本発明の実施態様に関する詳細な説明である。この説明は、限定の意に解釈されるべきでなく、単に本発明の一般的な原理を例示するために行うものである。本発明に関係しない燃料電池構造の詳細な検討は、簡略のため省略していることに留意されたい。
【0008】
また、本発明は、現在開発されているもの又はまだ開発されていないものをはじめとする、広範囲の燃料電池技術に適用可能である。したがって、以下に、直接メタノール燃料電池(「DMFC」)に関連して種々の例示的な燃料電池システムを説明するが、エタノール燃料電池や酵素燃料電池などの液体反応物が関与する他のタイプの燃料電池もまた等しく本発明を適用可能である。さらに、図示する例示的な実施形態の燃料電池は、互いに対向する燃料極を有するよう、対状に構成されている(「共用燃料極チャンバ(shared anode chamber)」構成とも呼ばれる)。一連の燃料電池対は、縦方向に積み重ねることも(図1では2つの対が積み重ねられている)、平面的に互いに隣り合わせて配置することもできる(図1Aでは4つの対が示されている)。また、単一の対を単独で使用することもできる。あるいはまた、個別の燃料電池を、従来のバイポーラ構成にて積み重ねることも、平面的に互いに隣り合わせて配置することも、又は単純に単独で使用することもできる。
【0009】
例えば図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態による燃料電池システム100は、スタック104状に配列した複数の燃料電池102を備える。各燃料電池102は、薄いイオン伝導膜110によって隔てられている燃料極106と空気極108とを備える。膜110の両側にある燃料極106及び空気極108は、膜電極アセンブリ(「MEA」)を構成する。例示的な実施形態では、燃料極106は、触媒層106a及び多孔質電流コレクタ106bから成る。例示的な空気極108は、触媒層108a及び多孔質電流コレクタ108bから成る。例示的なイオン伝導膜110は、電解質として機能する。本発明と共に用い得る代替のMEAにおいては、触媒層106a及び108aは、膜110によって支持することができ、さらに別の代替構成においては、燃料極と空気極と膜とが、それぞれ触媒層を備えることができる。さらに、追加の金属電流コレクタを、金属でも金属でなくてもよい多孔質電流コレクタに接触させて配置することができる。
【0010】
例示的なシステム100における個々のセル102は、隣接する電池の燃料極106が約0.05mm〜約5mmの間隔で互いに対向し、且つ隣接する電池の空気極108が約0.1mm〜約10mmの間隔で互いに対向するように、積み重ねられている。スタック104の端にある空気極108は、壁114に面している。そのような配列では、隣接する燃料極106間のスペースが燃料領域112を画定し、隣接する空気極108(又は空気極と壁114)間のスペースが、酸化剤領域116を画定する。燃料極と空気極は、負荷の電力要件に応じて、直列に、並列に、又は直列と並列を組み合わせて接続することができる。共用燃料極チャンバ構成においては、2つの隣接する燃料極106を並列に互いに接続し、且つそれぞれの空気極108を並列に接続し、並列の燃料極対を隣合う並列の空気極対と直列に接続することができる。
【0011】
例示的なDMFC102では、メタノール/水混合物などの液体燃料が燃料領域112に供給され、酸素又は空気が酸化剤領域116に供給される。燃料は燃料極106で電気化学的に酸化され、それによって、副生物(例示的な実施形態では二酸化炭素)とプロトンが生成し、該プロトンは伝導膜110を通って移動し空気極108で酸素と反応して副生物(例示的な実施形態では水蒸気)を生成する。
【0012】
図1及び図3に示すように、例示的な燃料電池システム100では、燃料は、燃料供給装置118によって燃料領域112の入口に比較的低い圧力で供給され、次いで、燃料分配要素120によって燃料極106表面上に薄い層状に分配される。燃料供給装置118は、リザーバ又は加圧リザーバ(ブラダなど)から燃料を取り出すポンプや、ポンプのように機能する弁機構などの能動装置122と、燃料供給チャネル124を含むマニホルドや他の分配機構とを備えることが好ましい。燃料供給チャネル124は、燃料分配要素120に燃料を供給する。本発明は、燃料を燃料供給チャネル124から燃料分配要素120に移動させる特定の方法に限定されないが、図3に示す例示的な燃料供給チャネルは、関連する燃料分配要素に接して長手方向に延在するスロット126を備えている。あるいはまた、燃料分配要素120の一端の一部を、関連するスロット126に挿入することができる。スロット126の長さは、実質的に燃料分配要素120の長さに相当する。
必要であれば、シール材を設けることができる。。
【0013】
酸化剤は、酸化剤供給装置128によって酸化剤領域116に供給することができる。酸化剤供給装置128は、単純に、スロット133を有する酸化剤供給チャネル132を含むマニホルドや他の分配機構を介して周囲空気を酸化剤領域116内及び空気極108表面に流すことができる適切な通気孔130(必要に応じてファンを備える)であることが好ましい。
【0014】
図4に、燃料分配要素と燃料供給チャネルとの間の例示的な代替の接続を示す。ここでは、例示的な燃料供給チャネル124'が、燃料分配要素120と同じ特性を有する材料から形成し得る燃料分配要素134によって包囲されている。燃料分配要素134は、燃料供給チャネルに形成された孔136を介して燃料を受け取る。例示的な実施形態では、例示的な燃料供給チャネル124'が管状構造の場合、孔136は、管状構造の側壁に形成される。孔136は、燃料分配要素120の関連する端と同一の拡がりを持つ領域のような、長手方向に延在する領域の範囲内に配置されることが好ましく、且つ当該領域の周囲の様々な位置に配置されることが好ましい。あるいはまた、燃料供給チャネル124'の代わりに、多孔質管(多孔質金属管など)又は非金属多孔質フィルタを使用することができる。燃料分配要素120用の開口140を有するキャップ138によって、燃料分配要素134は包囲されている。燃料分配要素120及び134は、一体的な要素(図示のように)とすることも、互いに連通している2つの個別の要素とすることもできる。
【0015】
図1〜図3に示す例示的な燃料電池システム100はまた、燃料極側副生物除去装置142と空気極側副生物除去装置144とを備える。前述のように、例示的なDMFCの燃料極側の副生物は二酸化炭素であり、空気極側の副生物は水蒸気と未使用空気である。燃料極側副生物除去装置142は、燃料領域112の出口端と連通している副生物排出チャネル146を有するマニホルドや他の分配機構を備えることが好ましい。副生物排出チャネル146内に、燃料分配要素120の端と接する長手方向に延在するスロット148を形成することができる。あるいはまた、燃料分配要素120の端の一部を、スロット148に挿入することができる。スロット148又は通気孔に液体ガス分離膜を組み込むことができ、当該膜を介して気体副生物を放出することができる。通気孔に加えて、低圧リリーフ弁や、図8を参照して後でより詳しく説明するような、真空力を生成する能動装置150を使用して、副生物排出チャネル146から副生物を排出することができる。空気極側副生物除去装置144は、単に、スロット155を有する副生物排出チャネル154を含むマニホルドや他の分配機構を介して酸化剤領域116から大気に副生物を放出するところの適切な通気孔152(必要に応じてファンを有する)とし得る。あるいはまた、酸化剤領域116は、特に平面燃料電池構造の場合には、自然空気対流によって空気が補充され且つ副生物が除去されるのに十分な程度に広くすることができる。
【0016】
ここで、例示的な燃料供給チャネル124、酸化剤供給チャネル132、副生物排出チャネル146及び副生物排出チャネル154の断面形状は正方形であるが、この形状は、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得ることに留意されたい。他の適切な断面形状として、限定はしないが、円形や長方形などの幾何学形状が挙げられる。
【0017】
例示的な燃料分配要素120は、毛管(即ち、「吸上(wicking)」)力を生成し、燃料分配要素の一端から他端に(及び左右に)燃料を吸引し、燃料を燃料極106表面に分配する。換言すると、燃料分配要素120は、毛管力を使用して、燃料領域入口から燃料を吸引し、当該燃料を燃料極106表面に受動的に分配する。毛管力を生成する構造は、単なる多孔質であり且つ消費されている液体燃料に対して大きな毛管力を生成しない構造とは区別するべきである。毛管力は、毛管構造の寸法及び接触角(これ自体は、液体燃料と毛管材料表面との間の相互作用の関数である)の関数である。単なる多孔質構造は、液体燃料を多孔質材料内に注入するポンプ(又は、他の能動要素)を必要とするが、図示する実施形態の燃料供給装置118では、燃料分配要素120の端まで送るだけでよい。
【0018】
燃料分配要素120の全体又は一部を構成するために、種々様々な毛管構造を使用することができる。限定はしないが、例を示せば、(例示的な共用燃料極チャンバの実施形態では両面に)マイクロチャネルをエンボス加工されたフィルム、多孔質中空ファイバ、多孔質膜、発泡体、フィラメント束、織物又は不織布などの様々な非導電性材料を使用することができる。また、例示的な燃料分配要素120では、金属発泡体、炭素又はグラファイト発泡体、金属フィルタ、カーボンフィルタ、金属化発泡体、金属化膜、マイクロチャネルをエンボス加工された金属化フィルムなどの導電性材料を使用することもできる。[マイクロチャネルをエンボス加工されたフィルムは、後で図13を参照してより詳しく説明する]。あるいはまた、非導電性毛管材料(多孔質中空ファイバなど)と導電性金属ファイバ/フィラメントとの組み合せを使用することができる。導電性材料は、燃料分配構造に組み込まれた電流コレクタとして機能し得る。あるいはまた、図5を参照して後で述べるように、電流コレクタは、単に、関連する電極に組み込まれている。
【0019】
前述の例示的な燃料極と燃料分配要素は、燃料電池システムの組み立て時に互いに組合せ得る、個別の構造要素である。代替として、燃料分配要素を、燃料電池の燃料極自体に組み込むことができる。例えば図5に示すように、燃料電池102'は、両方とも導電性であり且つ毛管力を生成するよう構成されている触媒層106aと電流コレクタ106bとを有する燃料極106'を備えることができ、それ以外は燃料電池102と同じである。より詳細には、電流コレクタ106b'は、電流を収集することに加えて、触媒層106a上に燃料を受動的に分配する毛管力を生成する。そのような電流コレクタ106b'は、先の段落で述べた導電性燃料分配材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。例示的な燃料電池102'における燃料分配電流コレクタ106b'は、電流コレクタの長手方向の端がチャネル124及び146のスロット126及び148内に延在するように構成することができる。あるいはまた、例示的な燃料電池102'は、図6〜図11を参照して後で説明するもののような燃料分配管を備える燃料電池システム、並びに他のシステムにおいて用いることができる。
【0020】
燃料が電流に比例する割合で供給されるように、燃料供給装置118の出力制御をはじめとする燃料電池システム100の動作を制御するために、コントローラ156(図1参照)を用いることができる。定常状態では、燃料は、燃料が燃料分配要素120に供給される速度と同じ速度で消費され、それによって燃料クロスオーバーが減少する。あるいはまた、燃料は、時間ベースの単位で計量することができる。この場合、コントローラ156は、例えば、燃料供給装置118を制御して、システムが所定の期間(例えば、1分)動作できるのに十分な燃料を供給し、その期間の終わりに電流がまだ流れている場合に次の間隔の分の燃料を供給する。また、コントローラ156及び燃料供給装置118を用いることで、単に能動要素122を止めることで(即ち、ポンプの電源を切るか、又はブラダと関連する弁を閉じることによって)、燃料電池102を停止させることができる。システムが停止した際に燃料極106に残っている比較的少量の燃料を使用して、バッテリやキャパシタなどの実装されているエネルギー貯蔵装置158を充電することができる。あるいはまた、コントローラ156を省くことができ、例示的な燃料電池システム100が電力を供給しているホスト装置によって制御機能をもたらすことができる。いずれの場合においても、特定の状況に適合するように燃料供給装置118の構成を変更し得ることに留意されたい。例えば、マニホルドは、スタック104内の全ての燃料供給チャネル124が単一の能動要素122に直接接続されるよう構成することができる。あるいはまた、各燃料供給チャネル124は、個々の能動要素122に接続することもできるし、燃料供給チャネルの小群を個々の能動要素に接続することもできる。
【0021】
本燃料電池システムに関しては、様々な利点がある。例えば、燃料分配要素は、燃料極に燃料を薄い均一な層で送り、それによって、従来のシステムよりも燃料送出プロセスの正確な制御が容易となり、燃料クロスオーバーが減少し、効率が向上する。また、燃料クロスオーバーの減少により、より高い濃度の燃料の使用が容易となり、それによってシステム全体の重量が低下する。本燃料電池システムではまた、燃料ポンプ(又は他の能動要素)及び燃料分配要素によって、システムの向きとは関係なく燃料領域に燃料が送られ、燃料が燃料極表面に分配されるため、向き依存性ではない。本燃料電池システムはまた、燃料極における改善された燃料分配をもたらし、燃料送出プロセスの改善された制御を促進し、それによって燃料利用率がさらに改善される。さらに、燃料ポンプ(又は、他の能動要素)は、燃料を供給することに加え、燃料電池に負荷がかかっていない場合に燃料の流れを止めたり又は逆にしたりするために使用することができ、それによって全体の効率が改善される。
【0022】
燃料分配要素120によってもたらされる毛管力に加えて、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)における燃料分配を、図6〜図7Aに示す燃料供給装置118'によって強化することができる。燃料供給装置118'は、燃料供給装置118と実質的に類似する。しかしながら、この場合、燃料は、図3に示すように燃料分配要素の端に供給されるのとは対照的に、燃料供給チャネル124''から燃料分配要素120の側端の間(即ち、その外縁部の内側)の様々な領域に送られる。そのような構成は、燃料がより迅速且つ均一に分配されるため、応答速度を向上させ、そして比較的大きい表面積を有する燃料極を備えた燃料電池に特に有用である。図6〜図7Aに示す例示的な実施形態では、燃料は、燃料供給チャネル124''から、複数の離間した燃料分配管160を介して、燃料分配要素120内の様々な位置に送られる。燃料供給チャネル124''は、燃料分配管160の吸込端164のための複数の開口162を備える。燃料分配管160の下流端166は、開いていても閉じていてもよい。
【0023】
例示的な燃料分配管160は、それを介して燃料が燃料分配要素120に流れ込む孔168を備える液体非透過性材料から形成される。あるいはまた、燃料分配管160は、追加の孔があるか又はない多孔質材料から形成することも、又は多孔質材料と非多孔質材料の組み合わせから形成することもできる。分配管160はまた、それ自体で毛管力を生成し且つその長さに沿って燃料が流出し得る、液体透過性の多孔質中空ファイバの形状とすることができる。本明細書に示す例示的な燃料電池では、そのような多孔質中空ファイバは、親水性であることが好ましい。
【0024】
例示的な実施形態における燃料分配管160と燃料分配要素120の相対的な位置決めに関して、各燃料領域112は、1対の燃料分配要素を含み、それらの間に複数の燃料分配管160が配置されている。燃料分配管の孔168は、燃料分配要素120に接している。符号161によって全体が示される燃料分配管160間のスペースによって、ガス状副生物は副生物チャネル146'の開口163へと流れることができる。あるいはまた、隣接する燃料電池102の配列方式に応じて、燃料分配管160は、各燃料領域112内に配置された単一の燃料分配要素120の上又は下に配置することができ、又はその中に埋め込むことができる。
【0025】
燃料分配管160の断面形状は、燃料供給チャネル124''から副生物排出チャネル146'の位置まで延在していることが好ましく、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得る。適切な断面形状として、限定はしないが、円形、正方形、長方形などの幾何学的形状が挙げられる。燃料分配管160の数と間隔も、必要に応じて変更することができる。例示的な実施形態では、開口に対する管の率は1以下であることが好ましい。
【0026】
本発明による燃料電池システムは、未使用燃料を除去したり燃料分配要素120の毛管作用を妨げたりすることなく、燃料極側副生物の除去を容易にする副生物除去装置を備えることができる。例えば図8及び図9に示すように、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)は、複数の副生物除去管170を含む例示的な副生物除去装置142'を備えることができる。図示する実施形態では、副生物除去装置142'は、燃料分配管160を有する燃料供給装置118'も備えるシステム内にあり、副生物除去管170は、燃料分配管160の間に散在している。しかしながら、副生物除去装置142'は、燃料分配管を含まない、図3に示す燃料供給装置118のような、燃料供給装置を含む燃料電池システムにおいても使用し得ることに留意されたい。燃料極側の反応による副生物は、例示的な副生物除去管170に、その長さに沿って入る。副生物除去管170の排出端172は、副生物排出チャネル146'の開口163に接続されている。この方式で副生物を除去することにより、反応が生成物方向へと促進され、それによって燃料電池の反応速度が改善され、反応速度が高まることにより出力密度が向上する。さらに、反応チャンバから気体状副生物を除去することにより、有効表面積及び出力密度が増大する。排気弁などの制御要素を備えた閉じたシステムでは、酸素を導入することなく副生物を除去することができる。
【0027】
図示する実施形態における燃料は液体(メタノール/水混合物)であり、燃料極側副生物は、気体(二酸化炭素)である。燃料を除去することなく副生物を除去するために、例示的な副生物除去管170は、液体非透過性で気体透過性である。例えば、副生物除去管170は、孔176と、気体透過性で液体非透過性のライニング材178とを含む液体非透過性材料から形成される。気体透過性で液体非透過性のライニング材料178は、例えばGore−tex(登録商標)や、適切なサイズの孔を有するポリプロピレンなどの膜材料から形成することができ、副生物除去管170の内部(図示するように)にあっても外部にあってもよい。他の代替の副生物除去管については、後で図10及び図11を参照して説明する。
【0028】
好ましくは燃料供給チャネル124''近傍の位置から副生物排出チャネル146'まで延在するところの副生物除去管170の断面形状は、必要に応じて特定の状況に適合するよう変更し得る。適切な断面形状として、限定はしないが、円形、正方形、長方形などの幾何学的形状が挙げられる。副生物除去管170の数と間隔も、必要に応じて変更することができる。それらが1対1の比率で燃料分配管160の間に散在している例示的な実施形態では、開口領域又は副生物除去管に対する燃料分配管の比率は1以下であることが好ましい。燃料分配管160がない場合には、副生物除去管170の数を増やすことができる。燃料分配要素120に対する副生物除去管170の位置決めに関しては、副生物除去管は、燃料分配要素の上又は下に配置することができ、又は(図示するように)燃料分配要素の中に埋め込むことができる。
【0029】
さらに、図1を参照して先述したように、例示的な燃料電池102の燃料極側から副生物の除去を強化するための任意選択の機構は、ポンプなどの前述の能動要素150である。能動要素150はまた、複数の副生物除去管を含む副生物除去装置142'及び142''(後に説明する)のうちの1つのような、副生物除去装置と組み合わせて用いることができる。
【0030】
図10及び図11に、本発明の他の例示的な実施形態を示す。ここでは、燃料電池システム(図1に示すシステム100など)は、燃料供給装置と副生物除去装置とを備えており、その両方が中空多孔質ファイバ形状の管を備えている。より詳細には、例示的な燃料供給装置118''では、燃料分配管160'は、燃料が管の一端(即ち、燃料供給チャネル開口162に挿入されている端)から他端に吸引される際、液体燃料が燃料分配要素120内に流出することを可能とするところの親水性多孔質中空ファイバの形態である。副生物除去に関しては、例示的な副生物除去装置142''の副生物除去管170'は、その長さに沿って液体燃料に対し非透過性であり且つ気体状副生物に対して透過性であるところの疎水性多孔質中空ファイバの形態である。副生物は、副生物除去管170'に入った後、副生物排出チャネル146'を介して燃料電池システムから出る。
【0031】
図10及び図11に示す例示的な実施形態では、燃料分配管160'と副生物除去管170'は、互いに接して散在している。その間隔は、必要に応じて、特定の状況に適合するよう変更することができる。副生物除去管170'は、(本実施形態及び図12に示す例示的な実施形態の両方において)断面積が燃料分配管160'よりも多少小さいが、管数に関する比率は1対1である。この比率もまた、必要に応じて、特定の状況に適合するよう変更することができる。あるいはまた、副生物除去管170'は、燃料分配管160'と同じ寸法とすることも、燃料分配管よりも大きくすることもできる。位置決めに関しては、燃料分配管160'と副生物除去管170'は、燃料分配要素の上又は下に配置することも、(図示するように)燃料分配要素の中に埋め込むこともできる。
【0032】
また、例えば図12に示すように、燃料分配に使用される親水性多孔質中空ファイバ160'と、副生物除去に使用される疎水性多孔質中空ファイバ170'とは、単純に、燃料分配要素120なしに燃料電池102の表面に近接して配置することができる。
【0033】
図13に移ると、小さな等しい半径を有し且つ毛管力を生成する、極めて微細なチャネル182をプラスチックフィルム180にエンボス加工することができる。液体燃料との適切な接触角を容易にするように、フィルムのうちのいくつかを表面処理しなければならない場合がある。例えば、DMFCにおいては、表面は、メタノール及び水の混合物と、小さい〜きわめて小さい接触角をなすことが好ましい。この表面処理はまた、その上における液体燃料の繰り返し輸送並びに燃料極チャンバ環境に対し安定である必要がある。DMFC燃料や他の極性燃料に関しては、プラズマコーティング又は金属若しくは金属酸化物被覆が適している場合がある。
【0034】
例えば図14〜図16に図示するように、気体透過性で液体非透過性のストリップ184を、隔置された燃料分配管160'の間に配置することができる。気体透過性で液体非透過性のストリップ184は、副生物除去スペース161に紛れ込む可能性のある液体燃料の量を実質的に減少させ、その結果、燃料極近傍の副生物気体の量が減少する。適切な気体透過性で液体非透過性の材料には、Gore−tex(登録商標)や、適切な寸法の孔を有するポリプロピレンなどの膜材料が含まれる。
【0035】
以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には、以上述べた好ましい実施形態に対する多数の修正及び/又は追加が自明であろう。限定はしないが、例を示せば、本明細書に開示した反応物及び副生物用システムは、空気極側反応物が液体であるか、又は反応副生物が液体(水など)であり反応物が気体(空気やO2など)である例における燃料電池の空気極側に採用することができる。さらに、燃料電池スタックや他の複数電極の構成に関して本発明を説明しているが、本発明は単一の燃料電池機構にも適用可能である。また、前述の反応物供給装置と副生物除去装置は、毛管力を生成しない多孔質燃料分配要素だけを含む燃料電池に応用することもできる。本発明の範囲は、そのような修正及び/又は追加の全てに及ぶことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好ましい実施形態による燃料電池システムの図
【図1A】本発明の好ましい実施形態による燃料電池構成を示す平面図
【図2】図示する実施形態と共に用い得る燃料電池の分解組立断面図
【図3】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの側面断面図
【図4】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分側面断面図
【図5】本発明の好ましい実施形態による燃料電池の部分側面断面図
【図6】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面断面図
【図7】図6の線7−7に沿って切断した断面図
【図7A】図6の線7A−7Aに沿って切断した断面図
【図8】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面部分断面図
【図9】本発明の好ましい実施形態による副生物除去管の断面図
【図10】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面部分断面図
【図11】図10の線11−11に沿って切断した断面図
【図12】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分断面図
【図13】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分断面図
【図14】本発明の好ましい実施形態による燃料電池スタックの部分平面断面図
【図15】図14の線15−15に沿って切断した断面図
【図16】図14の線16−16に沿って切断した断面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を画定する電極(106)、
前記電極に関連付けられており且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている毛管反応物分配構造(120)、及び
圧力をかけて前記毛管反応物分配構造に反応物を供給する反応物供給装置(118、118'、118'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項2】
前記毛管反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記反応物供給装置(118'、118'')が、前記毛管反応物分配構造の前記外縁部のうちの少なくとも1つの領域に反応物を送るところの少なくとも1つの中空部材(160、160')を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記毛管反応物分配構造(120)から副生物を受け取る副生物除去装置(142、142'、142'')をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記副生物除去装置(142'、142'')が、少なくとも1つの、実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を備える、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記毛管反応物分配構造(120)と前記電極(106)とが、別個の構造要素である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
燃料極(106)、及び
空気極(108)、
を含んで成り、
前記燃料極及び前記空気極の少なくとも一方が、反応物に毛管力をかけて前記反応物を反応層の上に分配し且つ電流を伝えるように構成されている反応層(106a)及び電流コレクタ(106b')を含む、燃料電池。
【請求項7】
前記燃料極(106)が、前記反応層(106a)及び前記電流コレクタ(106b')を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記電流コレクタ(106b')が、非導電性多孔質中空部材を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記電流コレクタ(106b')が、非導電性部分と導電性部分を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記電流コレクタ(106b')が、複数の導電性ファイバを含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項11】
表面を画定する電極(106)、
前記電極に関連付けられており、外縁部を画定しており、且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている毛管反応物分配構造(120)、及び
前記毛管反応物分配構造の前記外縁部のうちの少なくとも1つの領域に反応物を送るところの少なくとも1つの中空部材(160、160')を備える反応物供給装置(118'、118'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項12】
前記反応物供給装置が、能動要素(122)を含む、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記反応物供給装置(118'、118'')が、前記毛管反応物分配構造(120)の前記外縁部のうちの複数の領域に反応物を送るところの複数の中空部材(160、160')を備える、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
2つの前記反応物供給用中空部材(160、160')の間に配置されている、少なくとも1つの実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去用中空部材(170、170')をさらに含む、請求項13に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの中空部材(160、160')が、前記毛管反応物分配構造(120)内に埋め込まれている、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
電極(106)、
前記電極に関連付けられており且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている多孔質反応物分配構造(120)、及び
前記多孔質反応物分配構造に関連付けられている、実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置(142'、142'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項17】
前記多孔質反応物分配構造(120)が、毛管反応物分配構造を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
前記多孔質反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置(142'、142)が、前記多孔質反応物分配構造の前記外縁部内に配置されている少なくとも1つの実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項19】
前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')が、前記多孔質反応物分配構造(120)内に埋め込まれている、請求項18に記載の燃料電池システム。
【請求項20】
前記多孔質反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置が、前記多孔質反応物分配構造の前記外縁部内に配置されている複数の実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項1】
表面を画定する電極(106)、
前記電極に関連付けられており且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている毛管反応物分配構造(120)、及び
圧力をかけて前記毛管反応物分配構造に反応物を供給する反応物供給装置(118、118'、118'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項2】
前記毛管反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記反応物供給装置(118'、118'')が、前記毛管反応物分配構造の前記外縁部のうちの少なくとも1つの領域に反応物を送るところの少なくとも1つの中空部材(160、160')を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記毛管反応物分配構造(120)から副生物を受け取る副生物除去装置(142、142'、142'')をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記副生物除去装置(142'、142'')が、少なくとも1つの、実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を備える、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記毛管反応物分配構造(120)と前記電極(106)とが、別個の構造要素である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
燃料極(106)、及び
空気極(108)、
を含んで成り、
前記燃料極及び前記空気極の少なくとも一方が、反応物に毛管力をかけて前記反応物を反応層の上に分配し且つ電流を伝えるように構成されている反応層(106a)及び電流コレクタ(106b')を含む、燃料電池。
【請求項7】
前記燃料極(106)が、前記反応層(106a)及び前記電流コレクタ(106b')を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記電流コレクタ(106b')が、非導電性多孔質中空部材を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記電流コレクタ(106b')が、非導電性部分と導電性部分を含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記電流コレクタ(106b')が、複数の導電性ファイバを含む、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項11】
表面を画定する電極(106)、
前記電極に関連付けられており、外縁部を画定しており、且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている毛管反応物分配構造(120)、及び
前記毛管反応物分配構造の前記外縁部のうちの少なくとも1つの領域に反応物を送るところの少なくとも1つの中空部材(160、160')を備える反応物供給装置(118'、118'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項12】
前記反応物供給装置が、能動要素(122)を含む、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記反応物供給装置(118'、118'')が、前記毛管反応物分配構造(120)の前記外縁部のうちの複数の領域に反応物を送るところの複数の中空部材(160、160')を備える、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
2つの前記反応物供給用中空部材(160、160')の間に配置されている、少なくとも1つの実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去用中空部材(170、170')をさらに含む、請求項13に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの中空部材(160、160')が、前記毛管反応物分配構造(120)内に埋め込まれている、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
電極(106)、
前記電極に関連付けられており且つ前記電極表面の少なくともかなりの部分の上に反応物を分配するよう構成されている多孔質反応物分配構造(120)、及び
前記多孔質反応物分配構造に関連付けられている、実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置(142'、142'')、
を含んで成る燃料電池システム。
【請求項17】
前記多孔質反応物分配構造(120)が、毛管反応物分配構造を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
前記多孔質反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置(142'、142)が、前記多孔質反応物分配構造の前記外縁部内に配置されている少なくとも1つの実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項19】
前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')が、前記多孔質反応物分配構造(120)内に埋め込まれている、請求項18に記載の燃料電池システム。
【請求項20】
前記多孔質反応物分配構造(120)が外縁部を画定し、且つ前記実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である副生物除去装置が、前記多孔質反応物分配構造の前記外縁部内に配置されている複数の実質的に気体透過性で実質的に液体非透過性である中空部材(170、170')を含む、請求項16に記載の燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−501629(P2006−501629A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564734(P2004−564734)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029835
【国際公開番号】WO2004/062014
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029835
【国際公開番号】WO2004/062014
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
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