燃料電池構造体の製造方法
【課題】量産性に優れた燃料電池構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】燃料電池構造体の製造方法は、構造体形成工程と、除去工程とを備える。前記構造体形成工程は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層5、電解質層6、及び酸化剤極層7の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する工程である。前記除去工程は、前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する工程である。
【解決手段】燃料電池構造体の製造方法は、構造体形成工程と、除去工程とを備える。前記構造体形成工程は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層5、電解質層6、及び酸化剤極層7の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する工程である。前記除去工程は、前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する工程である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池構造体の製造方法に関し、特に、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有する燃料電池構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は平面状の単セルをセパレータと呼ばれる部材を挟んで積層するスタック構造が最も一般的である。燃料電池の構造としては、上記のスタック構造の他にチューブ状の単セルを多数並べる構造もある。
【0003】
上記の単セルは、典型的には、固体ポリマーイオン交換膜を用いた固体高分子電解質膜、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質膜等を、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだ構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−297387号公報(要約、段落0060)
【特許文献2】特開2004−139980号公報(要約、請求項10)
【特許文献3】特開2004−152771号公報(要約、段落0026)
【特許文献4】特開2008−126561号公報(段落0035、0040)
【特許文献5】特開2008−130286号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したいずれの構造も、単セルを多数配列し、燃料ガスと酸化剤ガスを供給する配管等を組み立てる必要があり、接続部が多い複雑な構造になる。このため量産性が悪く、また部品点数も多いことから高コストになっていた。さらに、接続部からのガス漏れを防ぐシールが不十分である場合には、接続部からのガス漏れによって発電効率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
ここで、特許文献1〜特許文献5で開示されている燃料電池セルの製造方法を採用した場合、これらの製造方法では犠牲層を利用しているため燃料電池セルの量産性は若干向上するが、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有する燃料電池を製造するには、燃料電池セルの製造以外に配管等の組み立てが必要になるため、当該燃料電池の量産性は依然として悪いままである。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、量産性に優れた燃料電池構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る燃料電池構造体の製造方法は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層、電解質層、及び酸化剤極層の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する構造体形成工程と、前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する除去工程とを備える構成とする。
【0009】
このような製造方法によると、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路を有する複雑な形状の燃料電池構造体を継ぎ目無く一体的に形成することができるので、組み立て工程が不要になり、量産性が向上する。また、従来のスタック構造では必要であったセパレータ、スペーサ等が不要になるので、燃料電池構造体の軽量小型化、高密度化、低価格化の面でも有利である。
【0010】
また、前記構造体形成工程において、第1保持部材の吸気口に対して、前記吸気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、第2保持部材の排気口に対して、前記排気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記犠牲部材との接続境界を完全に覆う層が形成された後に、前記除去工程が実行されるようにしてもよい。
【0011】
これにより、燃料電池構造体(製造途中のものを含む)が第1保持部材及び第2保持部材に接続保持されているので、薄膜である燃料電池構造体に過大な力をかけずに燃料電池構造体をハンドリングすることができる。なお、第1保持部材及び第2保持部材は一体構造であってもよい。
【0012】
また、前記電解質層が、前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層の外表面全面を覆い、且つ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層との接続境界を完全に覆うように、形成されるようにしてもよい。
【0013】
これにより、第1保持部材及び第2保持部材と緻密でガスを通さない電解質層とによる気密性が高いガスシールを実現することができる。さらに、外部との配管接続は、比較的低温に維持できる第1保持部材の吸気口及び第2保持部材の排気口で行えるので、ガスシールが容易であり信頼性を高めることができる。
【0014】
また、前記除去工程が、前記構造体形成工程の途中において前記犠牲部材を熱処理により除去する工程であるようにしてもよい。
【0015】
これにより、除去工程を簡素化することができる。
【0016】
また、前記犠牲部材を、前記分岐部同士の結合点が形成されるような形状にするようにしてもよい。
【0017】
これにより、燃料電池構造体の機械強度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る燃料電池構造体の製造方法によると、組み立て工程が不要になり、量産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の図1に示す断面A−A’での断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第1工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第2工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第3工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第4工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第5工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図8】犠牲部材の変形例を示す図である。
【図9】保持部材の形状を変えた場合の燃料電池構造体の斜視図である。
【図10】図9に示す燃料電池構造体の図9に示す断面A−A’での断面図である。
【図11】直列接続される複数の燃料電池構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。尚、本発明は、後述する実施形態に限られない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の斜視図である。但し、図1においては集電パターンの図示を省略している。また、図2は本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の図1に示す断面A−A’での断面図である。
【0022】
吸気口1及び排気口2を有するセラミック製の保持部材3に、ここではSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)を構成する多層膜(以下、SOFC膜という)からなる燃料電池構造体4が接続されている。
【0023】
燃料電池構造体4は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有している。保持部材3の吸気口1に前記吸気部の上流端がつながっており、前記排気部の下流端に保持部材3の排気口2がつながっている。上記のように、前記吸気部及び前記排気部よりも流路が狭い分岐部を複数設けることにより、比較的小さな空間内で燃料電池における反応面積を十分に確保することができる。
【0024】
SOFC膜は内側から燃料極層(アノード層)5、固体酸化物電解質層6、酸化剤極層(カソード層)7の順で積層された三層膜である。固体酸化物電解質層6は、ガスを通さず酸素イオンのみを通す必要があることから緻密な構造であり、例えば公知のランタンガレード系電解質(LSGM)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、セリア系電解質(GDC)等を用いることができる。一方、燃料極層5及び酸化剤極層7は反応ガスを通す必要があることから多孔質であり、燃料極層5には、例えばNiO−LSGM、NiO−YSZ、NiO−GDC等が用いられ、酸化剤極層7には、例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)、サマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)等が用いられる。各層は数μmから数十μmの厚さであるが、構造体としての強度を確保するために、三層のうちいずれか(例えば燃料極層5)をより厚くし、そのより厚くした層を支持体層としてもよい。
【0025】
燃料ガス(例えば水素ガス)を保持部材3の吸気口1から燃料電池構造体4内の気体流路(燃料極層5側)に導入し、酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を燃料電池構造体4の周囲(酸化剤極7側)に供給することにより、発電が行われる。そして、発電の際に生成された水(水蒸気)を含むガスが排気ガスとして保持部材3の排気口2から排出される。
【0026】
保持部材3にはアノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を形成し、燃料電池構造体4にも同様にアノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を形成する。なお、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9は、保持部材3のアノード集電パターン8と燃料電池構造体4のアノード集電パターン8とが電気的に接続され、保持部材3のカソード集電パターン9と燃料電池構造体4のカソード集電パターン9とが電気的に接続されるようなパターンレイアウトとする。また、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9はそれぞれ導電性材料からなる。
【0027】
続いて本発明の一実施形態に係る製造方法について図3〜図7を参照して説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第1工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第2工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第3工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第4工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図7は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第5工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【0028】
保持部材3として、例えば未焼成のセラミック材料で成型された成型体を用意する。当該成型体は、吸気口1及び排気口2を有し、さらに保持部材3及び燃料電池構造体4からなる構造物を収容容器などに設置するための固定部を有する形状である。例えば、保持部材3の板形状部(図1参照)の長手方向側面部に対応するスリット状のレールが前記収容容器に設けられていれば、前記板形状部の長手方向側面部が前記固定部となる。また、例えば、前記構造物を固定するためのネジ穴が前記収容容器に形成されていれば、保持部材3の前記ネジ穴に対応する箇所に貫通穴を設け、当該貫通穴を前記固定部とすればよい。
【0029】
さらに、犠牲部材10として、例えば熱可塑性樹脂で成型された成型物を用意する。当該成型物は、燃料電池構造体4の気体流路の形状に対応する外形形状を有する。
【0030】
次に、第1工程において、アノード集電パターン8を保持部材3の吸気口1の上流部及び排気口2の下流部並びにそれらの周辺にスクリーン印刷等で形成し、犠牲部材10の表面にもアノード集電パターン8をスクリーン印刷等で形成し、その後、保持部材3の吸気口1及び排気口2に対して犠牲部材10の両端部を挿入する。これにより、図3に示す状態になる。なお、犠牲部材10に形成したアノード集電パターン8は紙面の奥側に位置しているため、図3では隠れている。
【0031】
次に、第2工程において、燃料極層5(図2参照)の材料と多孔質にするための造孔材であるポリマ粒子等とを溶媒に拡散した液相ペースト5’を、犠牲部材10の露出面全面並びに保持部材3の吸気口1の下流部外周及び排気口2の上流部外周にディッピング等の方法で塗布し、液相ペースト5’によって保持部材3と犠牲部材10との接続境界が完全に覆われるようにする。これにより、図4に示す状態になる。燃料極層5(図2参照)を支持体層とするために、液相ペースト5’の塗布回数を増やして液相ペースト5’の厚みを増やすこともできる。
【0032】
次に、第3工程において、液相ペースト5’を乾燥させた後、犠牲部材10を除去してから、適切な条件(例えば1200〜1500℃)で液相ペースト5’及び保持部材3を焼成する。これにより、図5に示す状態になる。犠牲部材10を除去する方法としては、例えば、犠牲部材10の融点以上に加熱して犠牲部材10を液状にして保持部材3の吸気口1及び排気口2から排出する方法、あるいは、犠牲部材10の融点より高温に徐々に加熱して犠牲部材10を液相ペースト5’中の造孔材と共に焼失させる方法がある。なお、セラミックは焼成時に体積が大きく収縮するので、この体積収縮によって壊れないようにするために、燃料極5の材料と保持部材3の材料とで焼成時の収縮率が揃うように各材料の配合を調整することが望ましい。
【0033】
次に、第4工程において、固体酸化物電解質層6を溶媒に拡散した液相ペーストを、燃料極層5の外表面全面並びに保持部材3の吸気口1の下流部外周及び排気口2の上流部外周にディッピング等の方法で塗布し、当該液相ペーストによって保持部材3と燃料極層5との接続境界が完全に覆われるようにし、その後焼成する。これにより、図6に示す状態になり、保持部材3と燃料電池構造体4(図2参照)との接続部において、保持部材3と緻密でガスを通さない固体酸化物電解質層6とによる気密性が高いガスシールを実現することができる。
【0034】
次に、第5工程において、酸化剤極層7の材料と多孔質にするための造孔材であるポリマ粒子等とを溶媒に拡散した液相ペーストを、固体酸化物電解質層6の外表面のうち固体酸化物電解質層内側の燃料極層形成領域に対応する領域にディッピング等の方法で塗布し、その後焼成する。これにより、図7に示す状態になる。
【0035】
最後に、カソード集電パターン9を保持部材3及び燃料電池構造体4にスクリーン印刷等で形成すると、図2に示す構造物が完成する。
【0036】
上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、燃料電池構造体4を内側から燃料極層5、固体酸化物電解質層6、酸化剤極層7の順で積層された三層膜(SOFC膜)としたが、逆の順で積層することも当然可能である。逆の順で積層した場合、酸化剤ガスを保持部材3の吸気口1から燃料電池構造体4内の気体流路に導入し、燃料ガスを燃料電池構造体4の周囲に供給すればよい。
【0037】
また、SOFC膜の三層のうちいずれかをより厚くし、そのより厚くした層を支持体層とすることができることを上記の説明において既に述べたが、SOFC膜以外に第4のセラミック膜を支持体層として構成することもできる。例えば、犠牲部材上に最初にこの支持体層を形成・焼成し、その後のSOFC膜を形成・焼成すればよい。但し、この場合、第4のセラミック膜は反応ガスの拡散を阻害しないように多孔質に形成する必要がある。
【0038】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、燃料極層5を焼成した後に他の層を形成したが、犠牲部材10の材料を溶解あるいはガス化して保持部材3の吸気口1及び排気口2から排出することができれば、多孔質の燃料極層5だけでなく、緻密な固体酸化物電解質層6も含めた二層あるいはさらに酸化剤極層7も含めた三層を塗布してから複数層をまとめて焼成する工程を採用することもできる。
【0039】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法で得られる燃料電池構造体4では、気体流路の各分岐部が平行に配置されていたが、例えば図8に示すような網目形状を有する犠牲部材を用いることによって、分岐部同士の結合点を設け、燃料電池構造体の機械強度を向上させてもよい。なお、図面上は図8に示す犠牲部材上に多層膜を形成する空間が無いように見えるが、実際には、多層膜の膜厚が犠牲部材の外形形状に比べて非常に小さいため、何ら問題なく多層膜を形成することができる。
【0040】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、吸気口1及び排気口2を有する保持部材3を用いたが、吸気口1及び排気口2を有する保持部材3の代わりに図9及び図10に示すような吸気口1を有する第1保持部材31と排気口2を有する第2保持部材32を用いるようにしてもよい。この場合、第1保持部材31と第2保持部材32とが互いに独立しているため、燃料極5の材料と第1保持部材31及び第2保持部材2の材料との間での焼成時の収縮率差による破損が起こりにくくなる。
【0041】
また、吸気口1及び排気口2を一つずつ有する保持部材3の代わりに図11に示すような吸気口1及び排気口2をそれぞれ複数有する保持部材33を用いるようにしてもよい。この場合、複数の燃料電池構造体4を同時に形成することができる。さらに、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を複数の燃料電池構造体4が直列接続されるようなレイアウト(図11中の矢印部分において紙面の奥側でアノード集電パターン8とカソード集電パターン9とを接続するレイアウト)にすることにより、高電圧出力を実現することができる。
【0042】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、犠牲部材10を熱処理により除去したが、例えば、犠牲部材10の材料によっては犠牲部材10をエッチング処理により除去することも可能である。この場合、SOFC膜が完成した後(全ての焼成が終了した後)に犠牲部材10を除去してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 吸気口
2 排気口
3、33 保持部材
4 燃料電池構造体
5 燃料極層
5’ 液相ペースト
6 固体酸化物電解質層
7 酸化剤極層
8 アノード集電パターン
9 カソード集電パターン
10 犠牲部材
31 第1保持部材
32 第2保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池構造体の製造方法に関し、特に、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有する燃料電池構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は平面状の単セルをセパレータと呼ばれる部材を挟んで積層するスタック構造が最も一般的である。燃料電池の構造としては、上記のスタック構造の他にチューブ状の単セルを多数並べる構造もある。
【0003】
上記の単セルは、典型的には、固体ポリマーイオン交換膜を用いた固体高分子電解質膜、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質膜等を、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだ構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−297387号公報(要約、段落0060)
【特許文献2】特開2004−139980号公報(要約、請求項10)
【特許文献3】特開2004−152771号公報(要約、段落0026)
【特許文献4】特開2008−126561号公報(段落0035、0040)
【特許文献5】特開2008−130286号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したいずれの構造も、単セルを多数配列し、燃料ガスと酸化剤ガスを供給する配管等を組み立てる必要があり、接続部が多い複雑な構造になる。このため量産性が悪く、また部品点数も多いことから高コストになっていた。さらに、接続部からのガス漏れを防ぐシールが不十分である場合には、接続部からのガス漏れによって発電効率が低下してしまうという問題があった。
【0006】
ここで、特許文献1〜特許文献5で開示されている燃料電池セルの製造方法を採用した場合、これらの製造方法では犠牲層を利用しているため燃料電池セルの量産性は若干向上するが、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有する燃料電池を製造するには、燃料電池セルの製造以外に配管等の組み立てが必要になるため、当該燃料電池の量産性は依然として悪いままである。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、量産性に優れた燃料電池構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る燃料電池構造体の製造方法は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層、電解質層、及び酸化剤極層の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する構造体形成工程と、前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する除去工程とを備える構成とする。
【0009】
このような製造方法によると、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路を有する複雑な形状の燃料電池構造体を継ぎ目無く一体的に形成することができるので、組み立て工程が不要になり、量産性が向上する。また、従来のスタック構造では必要であったセパレータ、スペーサ等が不要になるので、燃料電池構造体の軽量小型化、高密度化、低価格化の面でも有利である。
【0010】
また、前記構造体形成工程において、第1保持部材の吸気口に対して、前記吸気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、第2保持部材の排気口に対して、前記排気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記犠牲部材との接続境界を完全に覆う層が形成された後に、前記除去工程が実行されるようにしてもよい。
【0011】
これにより、燃料電池構造体(製造途中のものを含む)が第1保持部材及び第2保持部材に接続保持されているので、薄膜である燃料電池構造体に過大な力をかけずに燃料電池構造体をハンドリングすることができる。なお、第1保持部材及び第2保持部材は一体構造であってもよい。
【0012】
また、前記電解質層が、前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層の外表面全面を覆い、且つ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層との接続境界を完全に覆うように、形成されるようにしてもよい。
【0013】
これにより、第1保持部材及び第2保持部材と緻密でガスを通さない電解質層とによる気密性が高いガスシールを実現することができる。さらに、外部との配管接続は、比較的低温に維持できる第1保持部材の吸気口及び第2保持部材の排気口で行えるので、ガスシールが容易であり信頼性を高めることができる。
【0014】
また、前記除去工程が、前記構造体形成工程の途中において前記犠牲部材を熱処理により除去する工程であるようにしてもよい。
【0015】
これにより、除去工程を簡素化することができる。
【0016】
また、前記犠牲部材を、前記分岐部同士の結合点が形成されるような形状にするようにしてもよい。
【0017】
これにより、燃料電池構造体の機械強度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る燃料電池構造体の製造方法によると、組み立て工程が不要になり、量産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の図1に示す断面A−A’での断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第1工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第2工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第3工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第4工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第5工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【図8】犠牲部材の変形例を示す図である。
【図9】保持部材の形状を変えた場合の燃料電池構造体の斜視図である。
【図10】図9に示す燃料電池構造体の図9に示す断面A−A’での断面図である。
【図11】直列接続される複数の燃料電池構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。尚、本発明は、後述する実施形態に限られない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の斜視図である。但し、図1においては集電パターンの図示を省略している。また、図2は本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の図1に示す断面A−A’での断面図である。
【0022】
吸気口1及び排気口2を有するセラミック製の保持部材3に、ここではSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)を構成する多層膜(以下、SOFC膜という)からなる燃料電池構造体4が接続されている。
【0023】
燃料電池構造体4は、吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流端が合流する排気部とを含む気体流路を有している。保持部材3の吸気口1に前記吸気部の上流端がつながっており、前記排気部の下流端に保持部材3の排気口2がつながっている。上記のように、前記吸気部及び前記排気部よりも流路が狭い分岐部を複数設けることにより、比較的小さな空間内で燃料電池における反応面積を十分に確保することができる。
【0024】
SOFC膜は内側から燃料極層(アノード層)5、固体酸化物電解質層6、酸化剤極層(カソード層)7の順で積層された三層膜である。固体酸化物電解質層6は、ガスを通さず酸素イオンのみを通す必要があることから緻密な構造であり、例えば公知のランタンガレード系電解質(LSGM)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、セリア系電解質(GDC)等を用いることができる。一方、燃料極層5及び酸化剤極層7は反応ガスを通す必要があることから多孔質であり、燃料極層5には、例えばNiO−LSGM、NiO−YSZ、NiO−GDC等が用いられ、酸化剤極層7には、例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)、サマリウムストロンチウムコバルタイト(SSC)等が用いられる。各層は数μmから数十μmの厚さであるが、構造体としての強度を確保するために、三層のうちいずれか(例えば燃料極層5)をより厚くし、そのより厚くした層を支持体層としてもよい。
【0025】
燃料ガス(例えば水素ガス)を保持部材3の吸気口1から燃料電池構造体4内の気体流路(燃料極層5側)に導入し、酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を燃料電池構造体4の周囲(酸化剤極7側)に供給することにより、発電が行われる。そして、発電の際に生成された水(水蒸気)を含むガスが排気ガスとして保持部材3の排気口2から排出される。
【0026】
保持部材3にはアノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を形成し、燃料電池構造体4にも同様にアノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を形成する。なお、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9は、保持部材3のアノード集電パターン8と燃料電池構造体4のアノード集電パターン8とが電気的に接続され、保持部材3のカソード集電パターン9と燃料電池構造体4のカソード集電パターン9とが電気的に接続されるようなパターンレイアウトとする。また、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9はそれぞれ導電性材料からなる。
【0027】
続いて本発明の一実施形態に係る製造方法について図3〜図7を参照して説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第1工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第2工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第3工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第4工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。図7は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる燃料電池構造体の第5工程完了時点での図2に示す断面A−A’での断面図である。
【0028】
保持部材3として、例えば未焼成のセラミック材料で成型された成型体を用意する。当該成型体は、吸気口1及び排気口2を有し、さらに保持部材3及び燃料電池構造体4からなる構造物を収容容器などに設置するための固定部を有する形状である。例えば、保持部材3の板形状部(図1参照)の長手方向側面部に対応するスリット状のレールが前記収容容器に設けられていれば、前記板形状部の長手方向側面部が前記固定部となる。また、例えば、前記構造物を固定するためのネジ穴が前記収容容器に形成されていれば、保持部材3の前記ネジ穴に対応する箇所に貫通穴を設け、当該貫通穴を前記固定部とすればよい。
【0029】
さらに、犠牲部材10として、例えば熱可塑性樹脂で成型された成型物を用意する。当該成型物は、燃料電池構造体4の気体流路の形状に対応する外形形状を有する。
【0030】
次に、第1工程において、アノード集電パターン8を保持部材3の吸気口1の上流部及び排気口2の下流部並びにそれらの周辺にスクリーン印刷等で形成し、犠牲部材10の表面にもアノード集電パターン8をスクリーン印刷等で形成し、その後、保持部材3の吸気口1及び排気口2に対して犠牲部材10の両端部を挿入する。これにより、図3に示す状態になる。なお、犠牲部材10に形成したアノード集電パターン8は紙面の奥側に位置しているため、図3では隠れている。
【0031】
次に、第2工程において、燃料極層5(図2参照)の材料と多孔質にするための造孔材であるポリマ粒子等とを溶媒に拡散した液相ペースト5’を、犠牲部材10の露出面全面並びに保持部材3の吸気口1の下流部外周及び排気口2の上流部外周にディッピング等の方法で塗布し、液相ペースト5’によって保持部材3と犠牲部材10との接続境界が完全に覆われるようにする。これにより、図4に示す状態になる。燃料極層5(図2参照)を支持体層とするために、液相ペースト5’の塗布回数を増やして液相ペースト5’の厚みを増やすこともできる。
【0032】
次に、第3工程において、液相ペースト5’を乾燥させた後、犠牲部材10を除去してから、適切な条件(例えば1200〜1500℃)で液相ペースト5’及び保持部材3を焼成する。これにより、図5に示す状態になる。犠牲部材10を除去する方法としては、例えば、犠牲部材10の融点以上に加熱して犠牲部材10を液状にして保持部材3の吸気口1及び排気口2から排出する方法、あるいは、犠牲部材10の融点より高温に徐々に加熱して犠牲部材10を液相ペースト5’中の造孔材と共に焼失させる方法がある。なお、セラミックは焼成時に体積が大きく収縮するので、この体積収縮によって壊れないようにするために、燃料極5の材料と保持部材3の材料とで焼成時の収縮率が揃うように各材料の配合を調整することが望ましい。
【0033】
次に、第4工程において、固体酸化物電解質層6を溶媒に拡散した液相ペーストを、燃料極層5の外表面全面並びに保持部材3の吸気口1の下流部外周及び排気口2の上流部外周にディッピング等の方法で塗布し、当該液相ペーストによって保持部材3と燃料極層5との接続境界が完全に覆われるようにし、その後焼成する。これにより、図6に示す状態になり、保持部材3と燃料電池構造体4(図2参照)との接続部において、保持部材3と緻密でガスを通さない固体酸化物電解質層6とによる気密性が高いガスシールを実現することができる。
【0034】
次に、第5工程において、酸化剤極層7の材料と多孔質にするための造孔材であるポリマ粒子等とを溶媒に拡散した液相ペーストを、固体酸化物電解質層6の外表面のうち固体酸化物電解質層内側の燃料極層形成領域に対応する領域にディッピング等の方法で塗布し、その後焼成する。これにより、図7に示す状態になる。
【0035】
最後に、カソード集電パターン9を保持部材3及び燃料電池構造体4にスクリーン印刷等で形成すると、図2に示す構造物が完成する。
【0036】
上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、燃料電池構造体4を内側から燃料極層5、固体酸化物電解質層6、酸化剤極層7の順で積層された三層膜(SOFC膜)としたが、逆の順で積層することも当然可能である。逆の順で積層した場合、酸化剤ガスを保持部材3の吸気口1から燃料電池構造体4内の気体流路に導入し、燃料ガスを燃料電池構造体4の周囲に供給すればよい。
【0037】
また、SOFC膜の三層のうちいずれかをより厚くし、そのより厚くした層を支持体層とすることができることを上記の説明において既に述べたが、SOFC膜以外に第4のセラミック膜を支持体層として構成することもできる。例えば、犠牲部材上に最初にこの支持体層を形成・焼成し、その後のSOFC膜を形成・焼成すればよい。但し、この場合、第4のセラミック膜は反応ガスの拡散を阻害しないように多孔質に形成する必要がある。
【0038】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、燃料極層5を焼成した後に他の層を形成したが、犠牲部材10の材料を溶解あるいはガス化して保持部材3の吸気口1及び排気口2から排出することができれば、多孔質の燃料極層5だけでなく、緻密な固体酸化物電解質層6も含めた二層あるいはさらに酸化剤極層7も含めた三層を塗布してから複数層をまとめて焼成する工程を採用することもできる。
【0039】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法で得られる燃料電池構造体4では、気体流路の各分岐部が平行に配置されていたが、例えば図8に示すような網目形状を有する犠牲部材を用いることによって、分岐部同士の結合点を設け、燃料電池構造体の機械強度を向上させてもよい。なお、図面上は図8に示す犠牲部材上に多層膜を形成する空間が無いように見えるが、実際には、多層膜の膜厚が犠牲部材の外形形状に比べて非常に小さいため、何ら問題なく多層膜を形成することができる。
【0040】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、吸気口1及び排気口2を有する保持部材3を用いたが、吸気口1及び排気口2を有する保持部材3の代わりに図9及び図10に示すような吸気口1を有する第1保持部材31と排気口2を有する第2保持部材32を用いるようにしてもよい。この場合、第1保持部材31と第2保持部材32とが互いに独立しているため、燃料極5の材料と第1保持部材31及び第2保持部材2の材料との間での焼成時の収縮率差による破損が起こりにくくなる。
【0041】
また、吸気口1及び排気口2を一つずつ有する保持部材3の代わりに図11に示すような吸気口1及び排気口2をそれぞれ複数有する保持部材33を用いるようにしてもよい。この場合、複数の燃料電池構造体4を同時に形成することができる。さらに、アノード集電パターン8及びカソード集電パターン9を複数の燃料電池構造体4が直列接続されるようなレイアウト(図11中の矢印部分において紙面の奥側でアノード集電パターン8とカソード集電パターン9とを接続するレイアウト)にすることにより、高電圧出力を実現することができる。
【0042】
また、上述した本発明の一実施形態に係る製造方法では、犠牲部材10を熱処理により除去したが、例えば、犠牲部材10の材料によっては犠牲部材10をエッチング処理により除去することも可能である。この場合、SOFC膜が完成した後(全ての焼成が終了した後)に犠牲部材10を除去してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 吸気口
2 排気口
3、33 保持部材
4 燃料電池構造体
5 燃料極層
5’ 液相ペースト
6 固体酸化物電解質層
7 酸化剤極層
8 アノード集電パターン
9 カソード集電パターン
10 犠牲部材
31 第1保持部材
32 第2保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層、電解質層、及び酸化剤極層の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する構造体形成工程と、
前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する除去工程とを備えることを特徴とする燃料電池構造体の製造方法。
【請求項2】
前記構造体形成工程において、第1保持部材の吸気口に対して、前記吸気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、第2保持部材の排気口に対して、前記排気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記犠牲部材との接続境界を完全に覆う層が形成された後に、
前記除去工程が実行されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項3】
前記電解質層が、
前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層の外表面全面を覆い、且つ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層との接続境界を完全に覆うように、形成されることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項4】
前記除去工程が、前記構造体形成工程の途中において前記犠牲部材を熱処理により除去する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項5】
前記犠牲部材を、前記分岐部同士の結合点が形成されるような形状にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項1】
吸気部と、前記吸気部から分岐した複数の分岐部と、前記複数の分岐部の下流側が合流する排気部とを含む気体流路の形状に対応する外形形状を有する犠牲部材の表面に、燃料極層、電解質層、及び酸化剤極層の三層を少なくとも含む多層膜構造である燃料電池構造体を形成する構造体形成工程と、
前記構造体形成工程の途中又は完了後において前記犠牲部材を除去する除去工程とを備えることを特徴とする燃料電池構造体の製造方法。
【請求項2】
前記構造体形成工程において、第1保持部材の吸気口に対して、前記吸気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、第2保持部材の排気口に対して、前記排気部に対応する前記犠牲部材の端部が挿入され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記犠牲部材との接続境界を完全に覆う層が形成された後に、
前記除去工程が実行されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項3】
前記電解質層が、
前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層の外表面全面を覆い、且つ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材と前記電解質層よりも内側に形成される前記燃料極層又は前記酸化剤極層との接続境界を完全に覆うように、形成されることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項4】
前記除去工程が、前記構造体形成工程の途中において前記犠牲部材を熱処理により除去する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【請求項5】
前記犠牲部材を、前記分岐部同士の結合点が形成されるような形状にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−216471(P2012−216471A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82059(P2011−82059)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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