説明

燃料電池装置、太陽光発電装置及び分散型電源システム

【課題】電圧上昇抑制用の制御を太陽光発電側から優先的にコストを増大させることなく行えるようにする。
【解決手段】電圧調整制御の開始閾値が設定された太陽光発電装置と併設され、電力系統10と連系された燃料電池装置300において、燃料電池セル302と、燃料電池セル302で生成された直流電力を交流電力に変換して電力系統に出力するインバータ303と、連系点の電流及び電圧値Vtを検出する検出部3051と、検出部3051で検出された電流及び電圧から有効電力PGFと無効電力QGFとを検出するとともに、検出した電圧が太陽光発電装置に設定された閾値より値が低く設定された当該燃料電池装置用の閾値以上であった場合に、インバータ303の容量限界まで無効電力QGFの出力を行い、無効電力QGFの出力量及び有効電力QGPの出力量に応じた指令信号を生成する発電出力制御部305とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システムを構成する燃料電池装置及び太陽光発電装置と、分散型電源システムに関し、特に、電力系統との連系点の電圧上昇抑制又は電圧下降抑制を適切に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会実現へ向けた取り組みの一環として、政府は、国内の太陽光発電の導入量を現在における導入量よりも大幅に増大させることを計画している。そして、そのうちの60%が住宅向けと想定されている。一方で、このように太陽光発電等の逆潮流可能な分散型電源が大量に導入される環境下では、系統運用者側、需要家側双方において様々な問題が生じることが想定される。
【0003】
具体的には、例えば太陽光発電の設置密度が高い地域では、太陽光発電の余剰電力販売の量が増大したり、太陽光発電と併設された燃料電池で発電されることにより、連系点の電圧が高めに推移することが予測される。
【0004】
ところが、住宅用に設置される太陽光発電や燃料電池の電圧は、電気事業法で定められた一定の範囲(100V系は101±6V、200V系は202±20V)内に収める必要がある。従って、その範囲を逸脱する可能性がある場合には、電圧を下げる制御が行われるようになっている。電圧を下げる制御は、例えば、発電出力の抑制や、無効電力の発生による電圧の調整力制御等により行われる。
【0005】
つまり、太陽光発電の例をとると、昼間の余剰電力販売の増大に起因して電圧が上昇した場合等には、例え日射量が多くても、自動的に電圧を抑制する制御が働くことになり、その結果、太陽光による発電自体が抑制されてしまう。すなわち、需要家が余剰電力を販売する機会の損失に繋がってしまうという問題があった。
【0006】
この問題を解決する手法として、例えば非特許文献1には、無効電力を系統側に流す無効電力制御によって電圧の調整を行う技術が記載されている。また、非特許文献2には、SVC(Static Var Compensator:静止型無効電力補償装置)を導入することにより、電圧の管理範囲内からの逸脱を防止する手法が記載されている。また、非特許文献3には、各住宅に蓄電池を設置し、蓄電池に余剰電力分を蓄積することによって、系統の電圧上昇を抑える手法が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献1には、配電系統(柱上変圧器)からの距離が遠い分散発電装置ほど、電圧の制御を開始する閾値を高い値に設定することが記載されている。これにより、電圧の上昇がおきやすい末端側の需要家と、そうでない柱上変圧器側の需要家とにおける余剰電力の販売機会が、均等化されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−121853号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「太陽光発電集中連系時における各需要家発電電力量の減少ばらつきの分析とその対策に関する一考察」、電学論B、126巻10号、2006年
【非特許文献2】「太陽光発電装置が集中導入された配電系統の電圧上昇とSVCによる抑制」、電学論B、126巻2号、2006年
【非特許文献3】「新エネルギーの大量導入に伴う影響とその対応策について」、資源エネルギー庁 電力・ガス事業部、平成20年9月8日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献2〜3に記載された手法では、電圧の抑制のために専用の設備を設ける必要があり、その分コストが増大してしまうという問題があった。
【0011】
また、電力抑制制御を行う場合にも、太陽光発電と燃料電池とを併設している住宅においては、太陽光発電よりも燃料電池の方の電力抑制制御を先に行った方がよいと考えられている。なぜなら、太陽光発電に必要とされるエネルギー量は、燃料電池のそれに比べて少なくて済み、その分CO2を削減できること、そして、太陽光発電は燃料を必要としないので原単価を削減できるからである。しかし、そのような制御はこれまで行われていなかった。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、太陽光発電と燃料電池の両方を用いて発電を行う場合において、電圧上昇抑制のための制御を、燃料電池側から優先的に、コストを増大させることなく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の燃料電池装置は、化石燃料から抽出された水素と、空気中の酸素とを化学反応させて直流電力を生成する燃料電池セルと、燃料電池セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力するインバータと、電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する検出部を備えている。
そして、検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、この検出した電圧値の大きさに応じて、インバータの出力電流を調整するための指令信号を生成してインバータに供給する発電出力制御部とを備えている。
【0014】
発電出力制御部は、検出部で検出された電圧が、太陽光発電装置に設定された閾値より値が低く設定された当該燃料電池装置用の閾値以上であった場合は無効電力の出力を行い、無効電力の出力を行っても閾値以上の電圧が検出された場合には有効電力の出力を抑制し、無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成する。
【0015】
また、本発明の分散型電源システムに用いられる太陽光発電装置は、太陽光を直流電力に変換する太陽光発電セルと、太陽光発電セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力するインバータと、電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する検出部と、を含んでいる。そして、この検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、検出した電圧値の大きさに応じて、インバータの出力電流を調整するための指令信号を生成してインバータに供給する発電出力制御部とを備えている。
【0016】
そして、発電出力制御部は、検出部で検出された電圧が、燃料電池装置に設定された閾値より値が高く設定された当該太陽光発電装置用の閾値以上であった場合は無効電力の出力を行い、無効電力の出力を行っても閾値以上の電圧が検出された場合には有効電力の出力を抑制し、無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成することを特徴としている。
【0017】
このように構成したことにより、燃料電池装置と太陽光発電装置のそれぞれにおいて、電圧上昇検出時にまず無効電力制御が行われ、それでも電圧が適正範囲に収まらなかった場合に有効電力の出力制御が行われる。
【0018】
また、燃料電池側に設定される電圧調整制御開始の閾値を、太陽光発電側より低い値としてあるため、燃料電池側で先に電圧調整制御が開始されるようになる。そして、それでも電圧値が適正範囲内に収まらずに、電圧が、燃料電池側に設定された閾値より値が高く設定された太陽光発電側の閾値を超えた場合に、太陽光発電側で電圧調整制御が行われるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の分散型電源システムに用いられる燃料電池装置ないし太陽光発電装置によれば、逆潮流の発生等により系統電圧が上昇する際に、まず無効電力制御が行われ、次に有効電力の出力制御が行われるため、発電出力をできるだけ損なわない運用がされるようになる。
【0020】
また、太陽光発電と燃料電池の二つの分散型電源のうち、太陽光発電に優先させて燃料電池側の電圧上昇が抑制される。すなわち、再生可能エネルギーである太陽光発電の出力が優先されるようになるため、需要家における余剰電力販売の機会損失を防ぐことができる。
【0021】
さらに、本発明の分散型電源システムに用いられる燃料電池装置ないし太陽光発電装置によれば、SVC等の専用の装置を導入することなく、このような制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による分散型電源システムの構成例を示す概要図である。
【図2】本発明の一実施の形態による太陽光発電の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による太陽光発電の発電出力制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態による燃料電池の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による燃料電池の発電出力制御部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による太陽光発電の発電出力制御部での処理の例(1)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態による太陽光発電の発電出力制御部での処理の例(1)を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態による燃料電池の発電出力制御部での処理の例(1)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態による燃料電池の発電出力制御部での処理の例(1)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態による、太陽光発電と燃料電池における無効電力制御及び出力制御と電圧値との関係を示す図であり、(a)は電圧値の変動の例を示し、(b)は燃料電池における有効電力及び無効電力の出力例を示し、(c)は太陽光発電における有効電力及び無効電力の出力例を示す。
【図11】本発明の第1の実施の形態による太陽光発電の発電出力制御部での処理の例(2)を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態による燃料電池の発電出力制御部での処理の例(2)を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施の形態の変形例による太陽光発電の発電出力制御部での処理の例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第1の実施の形態の変形例による燃料電池の発電出力制御部での処理の例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施の形態による分散型電源システムの構成例(1)を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態による電圧制御部の制御の例(1)を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第2の実施の形態による電圧制御部の制御の例(1)を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2の実施の形態による分散型電源システムの構成例(2)を示すブロック図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態による電圧制御部の制御の例(2)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下、本例とも称する)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(太陽光発電と燃料電池をそれぞれ独立に制御する構成の例)
2.第1の実施の形態の変形例(電圧の下降時にも電圧の調整を行う構成の例)
3.第2の実施の形態(太陽光発電と燃料電池を統一的に制御する構成の例)
4.第2の実施の形態の変形例(電圧の下降時にも電圧の調整を行う構成の例)
【0024】
[分散型電源システムの全体構成例]
図1は、本発明の分散型電源システムの一実施形態を示す概要図である。図1に示す分散型電源システム1においては、柱上変圧器10に200/100Vの低圧配電線11が接続されており、低圧配電線11の亘長は100mであるものとする。
【0025】
低圧配電線11に設けられたノードn1〜ノードn10には、それぞれ2戸の住宅が連系されており、各住宅には、太陽光発電100と、負荷200と、燃料電池300とが設置されている。図1に示した構成は、これから説明するすべての実施の形態に共通するものである。
【0026】
<1.第1の実施の形態>
本実施の形態は、太陽光発電100と燃料電池300とがそれぞれ独立に運用される場合に適用したものである。つまり、電圧が上限設定値を逸脱する場合に行う電圧の制御も、それぞれの装置において個別に行う。電圧の制御は、いずれの装置においても、まず無効電力の発生量を増加させ、それでも電圧が適正範囲内に収まらなかった場合に発電量を減少させることにより行うようにする。すなわち、無効電力制御方式と出力制御方式を併用しつつ、無効電力制御方式を優先させるように制御する。さらに、この制御を、先に燃料電池300側で行い、その後で太陽光発電100側の順で行わせるために、本実施の形態では、それぞれの装置に設定する電圧調整開始の閾値に大小関係を持たせている。閾値の詳細については後述する。
【0027】
[太陽力発電の構成例]
図2は、本実施の形態における太陽光発電100の構成例を示すブロック図である。太陽光発電100は、太陽光発電セル101と、インバータ102と、発電出力制御部103とで構成される。太陽光発電セル101は、その素子中の電子に光エネルギーを吸収させ、吸収した光エネルギーを直流の電力に変換してインバータ102に出力する。
【0028】
インバータ102は、太陽光発電セル101から出力された直流の電力を交流の電力に変換して、得られた交流電力を図1に示した負荷200及び/又は電力系統(柱上変圧器10)に出力する。
【0029】
発電出力制御部103は、図示せぬ連系点の電流・電圧から発電出力と無効電力とを検出するとともに、検出した電圧値の大きさに応じて、インバータ102の出力電流を調整するためのインバータ出力電流指令を生成してインバータ102に供給する。
【0030】
インバータ102の出力電流の調整は、出力電圧を電気事業法で定められた適正範囲内に収めるために行われるものであり、本実施の形態では、前述したように無効電力制御方式と出力制御方式とを組み合わせて行っている。
【0031】
具体的には、検出した電圧が予め設定された電圧補償開始閾値に達した場合に、まず、太陽光発電100側からみて進相の無効電力を出力する(無効電力制御方式)。通常は、無効電力制御を行った結果、力率が系統連系技術ガイドラインに定められた運転力率制限(通常0.8〜0.85)に達しても電圧が適正範囲内に収まらない場合に次の出力制御方式による制御を行うが、本実施の形態では、力率の範囲を限定せず、無効電圧出力をインバータ102の容量限界まで行うようにしている。
【0032】
そして、それでも電圧が適正範囲内に収まらない場合に、発電出力を減少させる制御を行う(出力制御方式)。このように、無効電力制御において無効電力の出力をインバータ102の容量限界まで行うことで、従来の制御に比べて、太陽光発電の出力を抑えるための出力制御が行われるタイミングが遅くなる。つまり、太陽光発電の出力抑制が行われにくくなるため、太陽光発電の発電率が上昇することになる。
【0033】
図3は、発電出力制御部103の構成例を示したブロック図である。発電出力制御部103には、検出器1031と、有効電力調整器1032と、無効電力調整器1033と、電流演算器1034と、インバータ出力電流調整器1035と、アンプ1036と、信号変換部1037とが含まれる。
【0034】
検出器1031は、太陽光発電セル101から出力される直流出力電圧Vdcと直流出力電流Idcとを用いて、太陽光の日射強度から本来得られる発電可能電力PGPt(kW)を算出する。また、インバータ102の出力端(電力系統(以下、単に「系統」とも称する)との連系点)の電圧値Vt(V)から、有効電力の発電量PGP(kW)(以下、単に「発電量」とも称する)と、無効電力の発生量QGP(kvar)とを検出する。そして、検出した有効電力の発電量PGPを、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033に、無効電力の発生量QGPを無効電力調整器1033に供給する。
【0035】
有効電力調整器1032は、検出器1031で検出された電圧値Vtと、予め設定しておいた各閾値又はパラメータとの大小関係に応じて、発電量PGPの出力量を増減させる制御を行う。有効電力調整器1032に予め設定される閾値及びパラメータとしては、(a)電圧補償開始閾値(以下、単に「閾値」とも称する)VP、(b)インバータ102の容量INVPc、(c)発電可能電力PGPtがある。
【0036】
なお、電圧補償開始閾値VPとしては、適正範囲である101±6V内での最も高い制御目標値として、例えば107V等が設定される。つまり、閾値VPは、電圧値Vtが適正範囲の上限を逸脱することを防止するために設定されるものである。
【0037】
そして、有効電力調整器1032は、検出器1031で検出された電圧値Vtが閾値VP以上となり、かつ、インバータ102の容量INVPcに空きがない場合には、発電量PGPを減少させる。一方、検出器1031で検出された電圧値Vtが閾値VP未満であり、発電量PGPが発電可能電力PGPtより小さい場合には、発電量PGPを増加させる。
【0038】
無効電力調整器1033は、検出器1031で検出された電圧値Vtと、予め設定しておいた各閾値又はパラメータとの大小関係に応じて、無効電力発生量QGPを増減させる制御を行う。各閾値又はパラメータとしては、上述した(a)電圧補償開始閾値VPと、(b)インバータ102の容量INVPcが設定される。
【0039】
そして、無効電力調整器1033は、検出器1031で検出された電圧値Vtが閾値VP以上である場合には、インバータ102の容量INVPcに空きがある間だけ、無効電力発生量QGPを増加させる。また、電圧値Vtが閾値VP未満である場合で、かつ、その時点の無効電力発生量QGPの絶対値が0より大きい場合には、無効電力発生量QGPの絶対値を減少させる。
【0040】
電流演算器1034は、有効電力調整器1032から出力された有効電力の発電量PGPと、無効電力調整器1033から出力された無効電力の発生量QGPからインバータ出力電流指令(交流電流波形)を生成する。そして、生成したインバータ出力電流指令をインバータ出力電流調整器1035に供給する。
【0041】
インバータ出力電流調整器1035は、インバータ102から出力する電流のパルス幅などを計算して、電流演算器1034から供給された交流電流波形を調整し、調整した交流電流波形をアンプ1036に出力する。アンプ1036は、インバータ出力電流調整器1035から出力された交流電流波形を搬送波に重畳して信号変換部1037に出力する。信号変換部1037は、アンプ1036から出力された出力信号を、インバータ102にとって適切な信号に変換して、変換した信号をインバータ102に供給する。
【0042】
[燃料電池の構成例]
次に、図4を参照して、図1に示した燃料電池300の構成例について説明する。燃料電池300は、水素改質器301と、燃料電池セル302と、インバータ303と、排熱回収部304と、発電出力制御部305とで構成される。
【0043】
水素改質器301は、都市ガスやLPガス等の化石燃料を改質して水素を取り出し、取り出した水素を燃料電池セル302に出力する。燃料電池セル302は、水素改質器301から出力された水素と酸素とを化学反応させて直流の電力を生成し、生成した直流電力をインバータ303に出力する。
【0044】
インバータ303は、燃料電池セル302から出力された直流電力を交流電力に変換して、図1に示した負荷200に出力する。排熱回収部304は、水素改質器301や燃料電池セル302からの排熱を回収して温水を生成する。
【0045】
発電出力制御部305は、インバータ303の出力端の電流・電圧から発電出力と無効電力とを検出し、検出した値の大きさに応じて、インバータ303の出力電流を調整するためのインバータ出力電流指令を生成してインバータ303に供給する。
【0046】
図5は、発電出力制御部305の構成例を示すブロック図である。発電出力制御部305には、検出器3051と、有効電力調整器3052と、無効電力調整器3053と、電流演算器3054と、インバータ出力電流調整器3055と、アンプ3056と、信号変換部3057とが含まれる。
【0047】
検出器3051は、インバータ303の出力端の電圧値Vt(V)から、有効電力の発電量PGF(kW)と、無効電力の発生量QGF(kvar)とを検出する。そして、検出した有効電力の発電量PGFを、有効電力調整器3052と無効電力調整器3053に、無効電力の発生量QGFを無効電力調整器3053に供給する。
【0048】
また、検出器3051は、インバータ303の出力端の電圧値Vtと電流Itの大きさ及び、燃料電池セル302の運用状態から、負荷200の電力負荷PLを算出する。燃料電池セル302が停止中の場合には、電力負荷PLは以下の式により算出する。
電力負荷PL=電圧値Vt×電流It×cosθ
燃料電池セル302が運用中の場合には、電力負荷PLは以下の式により算出する。
電力負荷PL=電圧値Vt×電流It×cosθ+発電量PGF
【0049】
有効電力調整器3052は、検出器3051で検出された電圧値Vtと、予め設定しておいた各閾値又はパラメータとの大小関係に応じて、発電量PGFの出力量を増減させる制御を行う。有効電力調整器3052に予め設定される閾値及びパラメータとしては、(a)電圧補償開始閾値VF、(b)インバータ102の容量INVFc、(c)燃料電池セル302の最低発電可能電力(以下、「ターンダウン値」と称する)PGFd、(d)電力負荷PLがある。
【0050】
なお、ここで閾値VFとしては、太陽力発電側に設定された閾値VPよりも少し低い、例えば106.5V等が設定される。
【0051】
そして、有効電力調整器3052は、検出器3051で検出された電圧値Vtが閾値VF以上であり、かつ、インバータ303の容量INVFcに空きがない場合には、発電量PGFを減少させる。一方、電圧値Vtが閾値VF未満であり、発電量PGFがターンダウン値PGFdより小さい場合には、発電量PGFを0にする。
【0052】
無効電力調整器3053は、検出器3051で検出された電圧値Vtと、予め設定しておいた各閾値又はパラメータとの大小関係に応じて、無効電力発生量QGFを増減させる制御を行う。ここでも、有効電力調整器3052と同様に、各閾値及びパラメータとしては、(a)電圧補償開始閾値VF、(b)インバータ303の容量INVFc、(c)ターンダウン値PGFdが設定される。
【0053】
そして、検出器3051で検出された電圧値Vtが閾値VF以上であり、かつ、インバータ303の容量INVFcに空きがある場合には、無効電力発生量QGFを増加させる。また、電圧値Vtが閾値VF以上である場合でも、インバータ303の容量INVFcに空きがなく、かつ発電量PGFがターンダウン値PGFdより大きい場合には、無効電力発生量QGFを減少させる。
【0054】
一方、電圧値Vtが閾値VF未満であり、かつ、その時点の無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きい場合には、無効電力発生量QGPの絶対値を減少させる。
【0055】
電流演算器3054、インバータ出力電流調整器3055、アンプ3056、信号変換部3057については、図3で示した太陽光発電100の発電出力制御部103内の各部と同一の動作をするものであるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
つまり、本実施の形態による分散型電源システム1では、太陽光発電100と燃料電池300とにおいて、それぞれが受電点の電圧値Vtを計測し、電圧の上昇を検知した際に電圧抑制のための制御を行う。このとき、電圧補償開始閾値を、
燃料電池300における閾値VF<太陽光発電100における閾値VP
のように設定することで、燃料電池300における電圧調整の方が先に実施されるようにしている。
【0057】
[太陽光発電における電圧調整制御の例]
次に、図6のフローチャートを参照して、太陽光発電100での電圧調整制御の例について説明する。まず、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033に、閾値VP及び各パラメータが設定される(ステップS1)。続いて、インバータ102(図3参照)の出力端の電圧値Vtと、太陽光発電セル101の発電可能電力PGPtとが、検出器1031で計測される(ステップS2)。
【0058】
そして、電圧制御部400において、電圧値Vtが閾値VP以上であるか否かが判断される(ステップS3)。電圧値Vtが閾値VP未満である場合、つまり、電圧値Vtが適正範囲内に収まっている場合には、結合子Aに進む。結合子Aに続く処理は、次の図7を参照して後述する。
【0059】
電圧値Vtが閾値VP以上である場合には、続いて有効電力調整器1032と無効電力調整器1033によって、インバータ102の容量INVPcに空きがあるか否かが判断される(ステップS4)。空きがあるか否かは、数式1の計算により算出することができる。
【0060】
【数1】

……(1)
【0061】
ステップS4で、インバータ102の容量INVPcに空きがあると判断された場合には、無効電力調整器1033によって、無効電力の発生量QGPが増加される(ステップS5)。その後は、ステップS2に戻って処理が続けられる。そして、再びステップS4に到達してインバータ102の容量INVPcに空きがないと判断されると、無効電力の発電量QGPの増加は停止され、有効電力調整器1032によって発電量PGPが減少される(ステップS6)。すなわち、無効電力の発生量QGPを、インバータ102の容量INVPcの限界まで出力する制御が行われる。
【0062】
次に、図7を参照して、電圧値Vtが適正範囲内に収まっている場合の処理について説明する。図7において、まず、無効電力調整器1033によって、無効電力の発生量QGPの絶対値が0より大きいか否かが判断される(ステップS11)。無効電力の発生量QGPの絶対値が0より大きい場合には、無効電力の発生量QGPの絶対値が減少され(ステップS12)、図6のステップS2に戻って処理が続けられる。
【0063】
無効電力の発生量QGPの絶対値が0の場合には、太陽光発電セル101の発電量PGPが、発電可能電力PGPtより小さいか否かが判断される(ステップS13)。太陽光発電セル101の発電量PGPが発電可能電力PGPtより小さい場合には、有効電力調整器1032によって有効電力の発電量PGPが増加され(ステップS14)、図6のステップS2に戻って処理が続けられる。太陽光発電セル101の発電量PGPが発電可能電力PGPt以上である場合にも、ステップS2に戻って処理が続けられる。
【0064】
[燃料電池における電圧調整制御の例]
次に、図8のフローチャートを参照して、燃料電池300での電圧調整制御の例について説明する。まず、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033に、閾値VFと各パラメータが設定される(ステップS21)。
【0065】
続いて、インバータ303(図5参照)の出力端の電圧値Vtと、負荷200(図1参照)の電力負荷PLとが、検出器3051で計測される(ステップS22)。そして、電圧制御部400おいて、電圧値Vtが閾値VF以上であるか否かが判断される(ステップS23)。
【0066】
電圧値Vtが閾値VF未満である場合、つまり、電圧値Vtが適正範囲内に収まっている場合には、結合子Bに進む。結合子Bに続く処理は、次の図9で後述する。
【0067】
電圧値Vtが閾値VF以上である場合には、続いて有効電力調整器3052と無効電力調整器3053によって、インバータ303の容量INVFcに空きがあるか否かが判断される(ステップS24)。空きがあるか否かは、数式(2)の計算により算出することができる。
【0068】
【数2】

……(2)
【0069】
ステップS24で、インバータ303の容量INVFcに空きがあると判断された場合には、無効電力調整器3053によって、無効電力の発生量QGFが増加される(ステップS25)。その後は、ステップS22に戻って処理が続けられる。
【0070】
ステップS24でインバータ303の容量INVFcに空きがないと判断された場合には、続いて無効電力調整器3053によって、電圧値Vtがターンダウン値PGFd以下であるか否かが判断される(ステップS26)。
【0071】
電圧値Vtがターンダウン値PGFd以下である場合には、燃料電池セル302の発電量PGFを0にする制御が行われる(ステップS27)。電圧値Vtがターンダウン値PGFdより大きい場合には、発電量PGFを減少させる制御が行われる(ステップS28)。
【0072】
次に、図9を参照して、電圧値Vtが適正範囲内に収まっている場合の処理について説明する。図9において、まず、無効電力調整器3053によって、無効電力の発生量QGFの絶対値が0より大きいか否かが判断される(ステップS31)。無効電力の発生量QGFの絶対値が0より大きい場合には、無効電力の発生量QGFの絶対値が減少され(ステップS32)、図8のステップS22に戻って処理が続けられる。
【0073】
無効電力の発生量QGFの絶対値が0の場合には、燃料電池セル302の発電量PGFが、負荷200の電力負荷PLより小さいか否かが判断される(ステップS33)。このステップS33で、燃料電池セル302の発電量PGFが電力負荷PLより小さいと判断された場合には、有効電力調整器3052によって有効電力の発電量PGFが増加され(ステップS34)、図8のステップS22に戻って処理が続けられる。燃料電池セル302の発電量PGFが電力負荷PL以上である場合にも、図8のステップS22に戻る。
【0074】
次に、検出部1031又は検出器3051で検出される電圧値Vtの値と、燃料電池300と太陽光発電100で行われる電圧調整制御との対応の具体例について、図10を参照して説明する。
【0075】
図10は、図1に示したノードn10の検出部1031又は検出器3051で検出された電圧の変動と、ノードn10の燃料電池300と太陽光発電100における電圧調整制御との対応を示す図である。図10(a)は電圧値Vtの変動を示す図であり、縦軸は電圧値Vt(V)を示し、横軸は時間(時)を示す。
【0076】
図10(b)は、燃料電池300のインバータ303から出力される有効電力の発電量PGF及び、無効電力発生量QGFの時間毎の変化を示す図であり、縦軸は発電量PGF(kW)/無効電力発生量QGF(kvar)を示し、横軸は時間(時)を示す。図10(b)において、発電量PGFを実線で示してあり、本例の制御は行わずに負荷追従運転を行った場合の発電量を破線で示してある。また、無効電力発生量QGFを一点鎖線で示してある。
【0077】
図10(c)は、太陽光発電100のインバータ102から出力される有効電力の発電量PGP及び、無効電力発生量QGPの時間毎の変化を示す図であり、縦軸は発電量PGP(kW)/無効電力発生量QGP(kvar)を示し、横軸は時間(時)を示す。図10(c)において、発電量PGPを実線で示してあり、電圧の抑制が働かなかった場合の理想的な発電量PGPの出力を実線で示してある。また、無効電力発生量QGPを一点鎖線で示してある。
【0078】
まず、8時の少し前の時刻T1の時点で、図10(a)に示すように、電圧値Vtが燃料電池300側に設定された閾値VFを超えたため、図10(b)に示すように、燃料電池300の発電出力制御部305によって、無効電力発生量QGFを増加させる制御が行われる。ところが、再び電圧値Vtが上昇し、時刻T2の時点では図10(a)に示すように電圧値Vtが再び閾値VFを超えてしまっている。このため、図10(b)に示すように燃料電池300の発電量PGFをターンダウン値PGFdまで下げる制御が行われる。これとともに、無効電力発生量QGFを増加させる制御が行われる。この時点での発電量PGFは0.9kW、無効電力発生量QGFは0.8kvarであるため、力率は0.75(75%)となっている。つまり、系統連系技術ガイドラインで定められた力率範囲に限定されない制御が行われている一方、太陽光発電100での出力には影響がないことが分かる。
【0079】
また、このような制御が行われることにより、時刻T3の時点では、図10(b)に示すように無効電力発電量QGFがターンダウン値PGFd(300W)まで下がっている。(発電量PGF=0.3kW,無効電力発生量QGF=1.16kvar,力率0.25(25%))さらに、時刻T3の時点では、図10(a)に示すように電圧値Vtが太陽光発電100側に設定された閾値VPを超えたため、太陽光発電100の発電出力制御部103によって、無効電力発生量QGPを増加させる制御が行われる。
【0080】
時刻T4の時点では、電圧値Vtが再び閾値VPを超えたため、今度は発電量PGPを抑制する制御が行われる。また、この制御によってインバータ102の容量INVPcに空きが生じるため、その分だけ無効電力発生量QGPを増加させる処理も行われる。
【0081】
このように、
(1)燃料電池300の無効電力発生量QGFの増加
(2)燃料電池300の発電量PGFの減少及び無効電力発生量QGFの増加
(3)太陽光発電100の無効電力発生量QGPの増加
(4)太陽光発電100の発電量PGPの減少及び無効電力発生量QGPの増加
の順番で電力調整制御が行われることにより、図10(c)に示すように、太陽光発電100の発電量PGPの出力の抑制が、非常に少ない量で済んでいることが分かる。すなわち、破線で示した理想的な出力に非常に近い出力とすることができる。
【0082】
なお、ここまで説明した実施の形態では、太陽光発電100側と燃料電池300側にそれぞれ閾値を1つのみ設けて制御を行う例を挙げたが、これに限定されるものではない。電圧の高め方向の逸脱を防止するための閾値VP、閾値VFだけでなく、これらより値の小さい閾値も設けることにより、電圧を段階的に制御することが可能となる。
【0083】
また、太陽光発電100側で燃料電池300側の閾値VFも保持し、燃料電池300側で太陽光発電100側の閾値VPも保持する構成とすることで、より高度な電圧調整制御を行うことができる。
【0084】
このような制御を行う場合の太陽光発電100と燃料電池300での処理について、図11と図12のフローチャートを参照して参照する。以下に説明する例では、太陽光発電100側に高めの閾値VhP(107V)と低めの閾値VlP(106V)、燃料電池300側に高めの閾値VhF(106.5V)と低めの閾値VlF(105.5V)を設定している。
【0085】
燃料電池300側の閾値VhFは、電圧が適正範囲を上限の方向に逸脱することを防ぐために設けた閾値であり、閾値VFと同等の値に設定される。電圧値Vtが閾値VhFを超えるのは、高負荷で運転時であり、インバータ303の容量INVFcが比較的少ない状態であると想定される。これに対して閾値VlFには、昼間等の負荷が小さい時間帯であり燃料電池300が部分負荷運転中である状態で到達が見込まれる値(105.5V)を設定しておく。そして、電圧値Vtがこの低めの閾値VlFを超えた場合に無効電力発生量QGFをインバータ303の容量INVPcの限界まで増加する制御を行う。このように構成することにより、出力制御に先んじて無効電力制御が行われるようになる。
【0086】
太陽光発電100側でも同様に、低めの閾値VlPを設定する。つまり、太陽光発電セル101の発電を損なわない範囲内で無効電力発生量QGPの増加を行えるような、例えば106V等の値を設定する。これにより、太陽光発電100側においても、出力制御に先んじて無効電力制御が行われるようになる。
【0087】
図11において、まず、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033に、閾値VhPと閾値VlP及び、各パラメータが設定される(ステップS41)。
続いて、インバータ102(図3参照)の出力端の電圧値Vtと、太陽光発電セル101の発電可能電力PGPtとが、検出器1031で計測される(ステップS42)。
【0088】
そして、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033において、電圧値Vtが閾値VhP以上であるか否かが判断される(ステップS43)。電圧値Vtが閾値VhP以上である場合には、続いて有効電力調整器1032と無効電力調整器1033によって、インバータ102の容量INVPcに空きがあるか否かが判断される(ステップS44)。
【0089】
インバータ102の容量INVPcに空きがある場合には、無効電力調整器1033によって、無効電力の発生量QGPが増加される(ステップS45)。その後は、ステップS42に戻って処理が続けられる。そして、ステップS4でインバータ102の容量INVPcに空きがないと判断されると、無効電力の発電量QGPの増加は停止され、有効電力調整器1032によって発電量PGPが減少される(ステップS46)。
【0090】
ステップS43において、電圧値Vtが閾値VhP未満であると判断された場合には、次に、電圧値Vtが閾値VlP以上であるか否かが判断される(ステップS47)。電圧値Vtが閾値VlP以上である場合には、無効電力調整器1033によって、無効電力の発生量QGPが増加される(ステップS48)。
【0091】
電圧値Vtが閾値VlP未満である場合には、次に、電圧値Vtが閾値VlF以上であるか否かが判断される(ステップS49)。電圧値Vtが閾値VlF以上である場合には、太陽光発電100の発電出力制御部103では何も処理を行わず、ステップS42に戻って処理が続けられる。
【0092】
電圧値Vtが閾値VlF未満である場合には、結合子Aに進む。結合子Aに続く処理については、図7に示してあり、既に説明済みなのでここでの説明は省略する。
【0093】
すなわち、例えば電圧が上昇し始めたことにより電圧値Vtがまず閾値VlPに達すると(図11のステップS47のYES)、無効電力の発生量QGPを増やす制御が開始される(ステップS48)。そして、無効電力の発生量QGPを増やす制御を行っても電圧が下がらず、電圧値Vtが閾値VhPに達してしまった場合には(ステップS43のYES)、インバータ102の容量INVPcに空きがあるかが確認される(ステップS44)。
【0094】
インバータ102の容量INVPcに空きがある場合には(ステップS44のYES)、インバータ102の容量INVPcの限界まで無効電力の発生量QGPを増やす制御が行われる(ステップS46)。
【0095】
無効電力の発生量QGPを増やしても電圧が下がらず、インバータ102の容量INVPcに空きが無くなってしまった場合や、もともとインバータ102の容量INVPcに空きが無かった場合には(ステップS44のNO)、最終的に、太陽光発電セル101による発電量PGPを減らす処理が行われるようになる(ステップS45)。そして、これらの制御によって電圧値Vtが適正範囲内に収まった場合に、結合子Aに続く処理が行われる。
【0096】
[燃料電池における電圧調整制御の例]
次に、図12のフローチャートを参照して、燃料電池300での電圧調整制御の例について説明する。まず、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033に、閾値VhFと閾値VlF及び、各パラメータが設定される(ステップS51)。
【0097】
続いて、インバータ303(図5参照)の出力端の電圧値Vtと、負荷200(図1参照)の電力負荷PLとが、検出器3051で計測される(ステップS52)。そして、有効電力調整器3052と無効電力調整器3053において、電圧値Vtが閾値VhF以上であるか否かが判断される(ステップS53)。
【0098】
電圧値Vtが閾値VhF以上である場合には、続いて電圧制御部400によって、インバータ303の容量INVFcに空きがあるか否かが判断される(ステップS54)。
【0099】
インバータ303の容量INVFcに空きがある場合には、無効電力調整器3053によって、無効電力の発生量QGFが増加される(ステップS55)。その後は、ステップS52に戻って処理が続けられる。ステップS54でインバータ303の容量INVFcに空きがないと判断された場合には、続いて無効電力調整器3053によって、電圧値Vtがターンダウン値PGFd以下であるか否かが判断される(ステップS56)。
【0100】
電圧値Vtがターンダウン値PGFd以下である場合には、燃料電池セル302の発電量PGFを0にする制御が行われる(ステップS57)。電圧値Vtがターンダウン値PGFdより大きい場合には、発電量PGFを減少させる制御が行われる(ステップS58)。
【0101】
ステップS53において、電圧値Vtが閾値VhF未満であると判断された場合には、次に、電圧制御部400によって電圧値Vtが閾値VlF以上であるか否かが判断される(ステップS59)。
【0102】
電圧値Vtが閾値VlF以上である場合には、無効電力調整器3053によって無効電力発生量QGFを増加させる制御が行われた後(ステップS60)、ステップS22に戻って処理が続けられる。電圧値Vtが閾値VlF未満であると判断された場合、つまり、電圧値Vtが適正範囲内に収まっている場合には、結合子Bに進む。結合子Bに続く処理は、図9に示してあり、既に説明済みなのでここでの説明は省略する。
【0103】
すなわち、例えば電圧が上昇し始めたことにより電圧値Vtがまず閾値VlFに達すると(図12のステップS59のYES)、無効電力の発生量QGFを増やす制御が開始される(ステップS60)。そして、無効電力の発生量QGFを増やす制御を行っても電圧が下がらず、電圧値Vtが閾値VhFに達してしまった場合には(ステップS53のYES)、インバータ303の容量INVFcに空きがあるかが確認される(ステップS54)。
【0104】
インバータ303の容量INVFcに空きがある場合には(ステップS54のYES)、インバータ303の容量INVFcの限界まで無効電力の発生量QGFを増やす制御が行われる(ステップS55)。
【0105】
無効電力の発生量QGFを増やしても電圧が下がらず、インバータ303の容量INVFcに空きが無くなってしまった場合や、もともとインバータ303の容量INVFcに空きが無かった場合には(ステップS55のNO)、燃料電池セル302の発電量PGFがターンダウン値PGFd以下であるかの判断が行われる(ステップS56)。
【0106】
燃料電池セル302の発電量PGFがターンダウン値PGFd以下である場合には、発電量PGFを0にする制御が行われ(ステップS57)、ターンダウン値PGFdより大きい場合には、無効電力発生量QGFを減少させる制御が行われる(ステップS58)。そして、これらの制御によって電圧値Vtが適正範囲内に収まった場合に、結合子Bに続く処理が行われるようになる。
【0107】
図11〜図12を用いて説明した例では、各種パラメータの大きさを予め以下のように設定しているため、
閾値VhP>閾値VhF>閾値VlP>閾値VlF
電圧が徐々に上昇した場合には、太陽光発電100及び燃料電池300における電圧調整が以下の順序で行われるようになる。
【0108】
(1)燃料電池300における、無効電力の発生量QGFをインバータ303の容量INVFcまで出力する制御
(2)太陽光発電100における、無効電力の発生量QGPをインバータ102の容量INVPcまで出力する制御
(3)燃料電池300における、有効電力の発電量PGFをターンダウン値PGFdまで下げ、無効電力発生量QGFを増加させる制御
(4)太陽光発電100における、有効電力の発電量PGPを下げて無効電力発生量QGPを電圧値Vtが適正範囲内に収まるまで増加させる制御
【0109】
[第1の実施の形態による効果]
上述した実施の形態では、燃料電池300側に設定する電圧補償制御開始閾値を、太陽光発電100側に設定する電圧補償制御開始閾値よりも低い値としてあるため、電圧が上昇した場合に、まず燃料電池300側での電圧調整制御の方が先に行われるようになる。つまり、太陽光発電100の出力抑制が行われにくくなるため、太陽光発電の発電率が上昇する。
【0110】
また、電圧上昇時に行う無効電力発生量QGPと無効電力発生量QGFの増大を、インバータ102又は303の容量限界まで行うため、この制御によっても、太陽光発電100の出力制御が行われる割合が低くなる。
【0111】
つまり、発電にかかるエネルギーが燃料電池300に比べて少ない太陽光発電100による発電が優先的に行われるため、CO2の削減や、原単価の低減を図ることができる。
【0112】
さらに、上述した実施の形態では、電圧上昇時に燃料電池300の発電量PGFをターンダウン値PGFdまで減少させるため、電圧上昇時に発生するリスクを低減することができる。さらに、燃料電池300の発電量PGFをターンダウン値PGFdまで減少させることでインバータ303の容量INVFcに空きができ、その分無効電力QGFを増加させることができるため、電圧値Vtが下がるようになる。
【0113】
そして、このような制御が行われることにより、分散型電源が大量に導入された場合でも、太陽光発電100発電抑制を回避しながら、燃料電池300の運用を行うことができるようになる。
【0114】
<第1の実施の形態の変形例>
なお、上述した実施の形態では、電圧上昇時に燃料電池300の発電量PGFをターンダウン値PGFdまで下げる制御を行う例を挙げているが、これに限定されるものではない。例えば、発電量PGFを下げる一回の制御量を予め定めておき、所定の時間間隔で決められた制御量分だけ発電量PGFを下げるように構成してもよい。または、PID制御のように、予め制御目標値を定めてその制御目標値に収束するように発電量PGFを制御するようにしてもよい。もしくは、電圧値Vtが閾値を超えており、インバータ303の容量INVFcに空きがない場合には、燃料電池300の運用を停止するような構成に適用してもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態では、電圧の上昇時にのみ電圧調整制御を行う構成を例に挙げたが、電圧の下降時にも電圧調整制御を行う構成に適用してもよい。この構成においては、電圧値Vtが下限設定値を逸脱しそうな場合に電圧調整を開始する閾値として、太陽光発電100側に閾値VlP2を、燃料電池300側に閾値VlF2を予め設定しておく。閾値VlP2には例えば95.0Vを、閾値VlF2としては例えば95.5V等を設定するものとする。つまり、太陽光発電100側に設定する閾値の方を、燃料電池300側に設定する閾値よりも低い値としている。
【0116】
[太陽光発電における電圧調整制御の例]
図13は、本実施の形態における太陽光発電100での電圧調整制御の例を示すフローチャートである。まず、第1の実施の形態と同様に、有効電力調整器1032と無効電力調整器1033(図3参照)に閾値VlP2と各パラメータが設定され(ステップS71)、続いて検出器1031によって電圧値Vtと電力負荷PLとが計測される(ステップS72)。
【0117】
次に、無効電力調整器1033によって、電圧値Vtが閾値VlP2以下であるか否かが判断される(ステップS73)。電圧値Vtが閾値VlP2以下である場合には、続いてインバータ102の容量INVPcに空きがあるか否かが判断される(ステップS74)。そして、インバータ102の容量INVPcに空きがある場合には、太陽光発電100側から見て遅相の無効電力の発生量QGPを増加させる制御が行われる(ステップS75)。インバータ102の容量INVPcに空きがない場合には、ステップS72に戻って処理が続けられる。
【0118】
ステップS73において、電圧値Vtが閾値VlP2より大きいと判断された場合には、続いて、無効電力調整器1033によって、無効電力発生量QGPの絶対値が0より大きいか否かの判断が行われる(ステップS76)。無効電力発生量QGPの絶対値が0より大きい場合には、無効電力発生量QGPの絶対値を減少させる制御が行われる(ステップS77)。一方、無効電力発生量QGPの絶対値が0である場合には、ステップS72に戻って処理が続けられる。
【0119】
[燃料電池における電圧調整制御の例]
図14は、本実施の形態における燃料電池300での電圧調整制御の例を示すフローチャートである。まず、有効電力調整器3052と無効電力調整器3053(図5参照)に閾値VlF2と各パラメータが設定され(ステップS81)、続いて検出器3051によって電圧値Vtと電力負荷PLとが計測される(ステップS82)。
【0120】
次に、無効電力調整器3053によって、電圧値Vtが閾値VlF2以下であるか否かが判断される(ステップS83)。電圧値Vtが閾値VlP2より大きく閾値VlF2以下である場合には、続いてインバータ303の容量INVFcに空きがあるか否かが判断される(ステップS84)。そして、インバータ303の容量INVFcに空きがある場合には、燃料電池300側から見て進相の無効電力の発生量QGFを増加させる制御が行われる(ステップS85)。インバータ303の容量INVFcに空きがない場合には、ステップS82に戻って処理が続けられる。
【0121】
ステップS83において、電圧値Vtが閾値VlF2より大きいと判断された場合には、続いて、無効電力調整器3053によって、無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きいか否かの判断が行われる(ステップS86)。無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きい場合には、無効電力発生量QGFの絶対値を減少させる制御が行われる(ステップS87)。一方、無効電力発生量QGFの絶対値が0である場合には、ステップS82に戻って処理が続けられる。
【0122】
[第1の実施の形態の変形例による効果]
上述した実施の形態によると、住宅において夜間の重負荷時等に電圧が低くなることにより適正範囲の逸脱が発生する場合にも、電圧の補償がされるようになる。さらに、より値の小さい閾値VlP2を太陽光発電100側に設定されることで、夜間は発生を行わない太陽光発電100側から優先的に無効電力制御が行われるようになる。これにより、夜間に燃料電池300が発電していた場合に、その発電量の出力量が低減されてしまうリスクを少なくすることができる。
【0123】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について、図15〜図17を参照して説明する。本実施の形態では、太陽光発電100における電圧調整制御と、燃料電池300における電圧調整制御とを、統一的に制御できるように構成した例を説明する。
【0124】
図15は、本実施の形態によるシステムの構成例を示すブロック図である。図15において、図3や図5と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。図15に示したシステムは、第1の実施の形態として示した構成に、太陽光発電100と燃料電池300の両方における電圧調整を制御可能な電圧制御部400を追加したものである。
【0125】
電圧制御部400は、柱上変圧器10との連系点の電圧値Vtを検出するとともに、太陽光発電100の有効電力調整器1032と無効電力調整器1033、及び燃料電池300の有効電力調整器3052と無効電力調整器3053に設定されたパラメータを取得する。また、電圧制御部400には、電圧値Vtが上限設定値を逸脱しそうな場合に補償を開始させるための閾値Vsetが設定される。閾値Vsetの値としては、例えば上述した閾値VlF以上閾値VlP以下の値を設定するものとする。
【0126】
そして、電圧制御部400では、検出した電圧値Vtと、閾値Vsetと、各有効電力調整器及び各無効電力調整器から取得したパラメータに基づいて、指令信号を生成する。生成された指令信号は、有効電力調整器1032又は、無効電力調整器1033又は、有効電力調整器3052又は、無効電力調整器3053に供給する。
【0127】
指令信号としては、発電量PGP又はPGFを抑えるための発電抑制指令を生成して太陽光発電100の有効電力調整器1032と燃料電池300の有効電力調整器3052に供給する。また、無効電力の発生量QGP又はQGFを増加させるための無効電力出力指令を生成して太陽光発電100の無効電力調整器1033と燃料電池300の有効電力調整器3052に供給する。
【0128】
図16は、電圧制御部400による処理の例を示すフローチャートである。なお、図16においては、太陽光発電を「PV」、燃料電池を「FC」と表記している。
【0129】
まず、電圧制御部400において、閾値と各種パラメータが設定される(ステップS91)。各種パラメータとしては、閾値Vsetと、太陽光発電100のインバータ102の容量INVPcと、燃料電池300のインバータ303の容量INVFcと、燃料電池300のターンダウン値PGFdとが設定される。
【0130】
続いて、電圧制御部400によって、電圧値Vtと、太陽光発電100の発電可能電力PGPtと、負荷200の電力負荷PLとが取得される(ステップS92)。そして、取得した電圧値Vtが閾値Vset以上であるか否かが判断され(ステップS93)、閾値Vset未満である場合には“NO”が選択されて、結合子Cに進む。電圧値Vtが閾値Vset未満である場合とは、電圧の補償を開始させなくてもよい場合である。結合子C以降の処理については、次の図17を参照して後述する。
【0131】
電圧値Vtが閾値Vset以上である場合には、次に、太陽光発電100のインバータ102の容量INVPcに空きがあるか否かが判断される(ステップS94)。そして、空きがある場合には、太陽光発電100の無効電力調整器1033に対して、無効電力の発生量QGPを増加させるための指令信号が出力され(ステップS95)、ステップS92に戻る。
【0132】
インバータ102の容量INVPcに空きがない場合には、続いて、燃料電池300のインバータ303の容量INVFcに空きがあるか否かが判断される(ステップS96)。そして、空きがある場合には、燃料電池300の無効電力調整器3053に対して、無効電力の発生量QGFを増加させるための指令信号が出力され(ステップS97)、ステップS92に戻る。
【0133】
燃料電池300のインバータ303の容量INVFcに空きがない場合には、燃料電池300の発電量PGFが、ターンダウン値PGFd以上であるか否かが判断される(ステップS98)。ターンダウン値PGFd以上である場合には、燃料電池300の無効電力調整器3053に対して、発電量PGFを減少させるための指令信号が供給され(ステップS99)、ステップS92に戻る。
【0134】
一方、燃料電池300の発電量PGFがターンダウン値PGFd未満である場合には、燃料電池300の無効電力調整器3053に対して、無効電力発生量QGFを0にさせるための指令信号が供給され(ステップS100)、ステップS92に戻る。
【0135】
続いて、太陽光発電100の発電量PGPが0より大きいか否かが判断され(ステップS101)、0より大きい場合には、太陽光発電100の有効電力調整器1032に対して、発電量PGPを減少させるための指令信号が供給され(ステップS102)、ステップS92に戻る。
【0136】
次に、結合子Cに続く処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。まず、太陽光発電100の無効電力の発生量QGPの絶対値が0より大きいか否かが判断され(ステップS111)、0より大きい場合には、無効電力発生量QGPの絶対値を減少させるための指令信号が、太陽光発電100の無効電力調整器1033に供給され(ステップS112)、図16のステップS91に戻る。
【0137】
無効電力の発生量QGPの絶対値が0の場合には、太陽光発電100の発電量PGPが発電可能電力PGPtより小さいか否かが判断される(ステップS113)。発電量PGPが発電可能電力PGPtより小さい場合には、太陽光発電100の有効電力調整器1032に対して、発電量PGPを増加させるための指令信号が供給され(ステップS114)、図16のステップS62に戻る。
【0138】
発電量PGPが発電可能電力PGPt以上である場合には、次に、燃料電池300の無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きいか否かが判断される(ステップS115)。0より大きい場合には、燃料電池300の無効電力調整器3053に対して、無効電力発生量QGFの絶対値を減少させるための指令信号が供給され(ステップS116)、図16のステップS62に戻る。
【0139】
無効電力発生量QGFの絶対値が0の場合には、続いて、燃料電池300の発電量PGFが負荷200の電力負荷PLより小さいか否かが判断される(ステップS117)。
【0140】
発電量PGFが電力負荷PLより小さい場合には、燃料電池300の有効電力調整器1032に対して、発電量PGFを増大させるための指令信号が供給される(ステップS118)。発電量PGFが電力負荷PL以上の場合には、図16のステップS62に戻って処理が続けられる。
【0141】
<第2の実施の形態による効果>
上述した実施の形態では、電圧制御部400によって太陽光発電100と燃料電池300における電圧調整制御が統一的に行われるため、インバータの容量の空き状況等を考慮したより高度な制御を行うことができるようになる。
【0142】
例えば、第1の実施の形態のように、太陽光発電100と燃料電池300が互いの状態を把握することなくそれぞれが独立して電圧調整制御を行う場合には、電圧値Vtの逸脱を避けることが第一義的な目標となる。このため、まず燃料電池300側での電圧調整制御を先に開始させる必要がある。
【0143】
すなわち、例えば、太陽光発電100の定格出力が3.0kWであり、インバータ102の容量INVPcも3.0kVAである場合であれば、定格出力に近い範囲で無効電力の出力をおこなうと、発電量PGPの抑制をせざるを得ないケースも生じてしまう。第1の実施の形態では、このような場合を想定して、必ず燃料電池300側の制御から先に開始されるよう閾値を設定する必要がある。つまり、電圧値Vtがどのように変化した場合にも電圧の適正範囲を逸脱しないように閾値を設定する必要があるため、ケースによっては、無駄な制御が発生してしまう恐れがある。
【0144】
これに対して第2の実施の形態によれば、通信によってリアルタイムの情報を取得することが可能となるため、制御の順番を状況に合わせて変化させることも可能となる。
【0145】
例えば、図13と図14に示した夜間の電圧低下を想定した構成では、夜間も運転中の可能性がある燃料電池300側でなく、夜間は運転を停止している太陽光発電100側の制御を先に開始させることを行っている。
【0146】
しかし、燃料電池300側は、定格出力は1kWであるのに対してインバータ303の容量は1.2kVAであるため、1.2kVAまで皮相電力の出力が可能であると想定した場合は、定格出力時も0.67kvarの無効電力出力が可能となる。
【0147】
このようなケースにおいては、太陽光発電100側でなく、燃料電池300側の制御を先に開始させても発電出力には影響がないと考えられる。つまり、第2の実施の形態によれば、このような制御を実施することも可能となる。すなわち、太陽光発電100側でも燃料電池300側でも、インバータの容量に空きがある方を優先的に制御するようなことも可能となる。
【0148】
なお、図15に示した構成では、太陽光発電100と燃料電池300における電圧調整制御を行うために電圧制御部400を設けているが、電圧制御部400を設けずに両装置の電圧調整制御を行う構成に適用してもよい。例えば、図18に示すように、太陽光発電100の発電出力制御部103と燃料電池300の発電出力制御部305とが、通信を通して情報を交換し合う構成としてもよい。図18において、図3や図5と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0149】
図18に示した構成では、太陽光発電100と燃料電池300における有効電力調整器と無効電力調整器との間で、通信を介してパラメータの送受信を行う。
【0150】
これらの各ブロックは、自らが有するパラメータを他のブロックに送信するか否かを決定するフラグを有しており、各フラグの値は、電圧値Vtの大きさや他のブロックから送られたフラグの値に応じて変化するようにしてある。そして、各ブロックは、フラグの値や各種パラメータの値に応じて電圧調整制御を行う。
【0151】
太陽光発電100の無効電力調整器1033′には、フラグPVQが設定されているとともに、閾値Vsetと、インバータ102(図18参照)の容量INVPcとがパラメータとして設定してある。なお、フラグPVQの初期値は0に設定してあるものとする。
【0152】
太陽光発電100の無効電力調整器1033′は、電圧値Vtが閾値Vset以下である場合で、インバータ102の容量INVPcに空きがある場合には、無効電力発生量QGPを増加させる。そして、燃料電池300の無効電力調整器3053′に対して、フラグPVQ=0の情報を送信する。
【0153】
電圧値Vtが閾値Vset以下である場合で、インバータ102の容量INVPcに空きがない場合には、PVQ=1の情報を、燃料電池300の無効電力調整器3053′に対して送信する。一方、無効電力調整器1033′は、電圧値Vtが閾値Vsetより大きく、無効電力発生量QGPが0より大きい場合には、無効電力発生量QGPを減少させるとともに、フラグPVQ=1の情報を燃料電池300の無効電力調整器3053′に送信する。
【0154】
無効電力調整器1033′は、電圧値Vtが閾値Vsetより大きく、無効電力発生量QGPが0である場合には、PVQ=0の情報を、燃料電池300の無効電力調整器3053′に送信する。
【0155】
燃料電池300の無効電力調整器3053′は、フラグFCQが設定されているとともに、閾値Vsetと、インバータ303(図18参照)の容量INVFcとがパラメータとして設定してある。なお、フラグFCQの初期値も0に設定してあるものとする。
【0156】
無効電力調整器3053′は、電圧値Vtが閾値Vset以上であり、かつ、太陽光発電100の無効電力調整器1033′からPVQ=1の情報が送信され、さらにインバータ303の容量INVFcに空きがある場合には、無効電力発生量QGFを増加させる。そして、FCQ=1の情報を、燃料電池300の有効電力調整器3052′に送信する。
【0157】
電圧値Vtが閾値Vset以上であり、かつ、太陽光発電100の無効電力調整器1033′からPVQ=1の情報が送信された場合でも、インバータ303の容量INVFcに空きがない場合には、FCQ=1の情報を、燃料電池300の有効電力調整器3052′に送信する。
【0158】
一方、電圧値Vtが閾値Vset未満であり、かつ、太陽光発電100の無効電力調整器1033′からPVQ=0の情報が送信された場合で、さらに無効電力発生量QGFが0より大きい場合には、無効電力発生量QGFを減少させる。そして、フラグFCQ=1の情報を、燃料電池300の有効電力調整器3052′に送信する。
【0159】
電圧値Vtが閾値Vset未満であり、かつ、太陽光発電100の無効電力調整器1033′からPVQ=0の情報が送信された場合でも、無効電力発生量QGFが0である場合には、FCQ=0の情報を、燃料電池300の有効電力調整器3052′に送信する。
【0160】
燃料電池300の有効電力調整器3052′には、フラグFCPが設定されているとともに、閾値Vsetと、インバータ303(図18参照)の容量INVFcと、ターンダウン値PGFdと、電力負荷PLとがパラメータとして設定してある。なお、フラグFCPの初期値も0に設定してあるものとする。
【0161】
そして、電圧値Vtが閾値Vset以上であり、燃料電池300の無効電力調整器3053′からFCQ=1の情報が送信され、かつ、燃料電池300の発電量PGFがターンダウン値PGFdより大きい場合には、発電量PGFが減少される。そして、FCP=0の情報が、太陽光発電100の有効電力調整器1032′に送信される。
【0162】
電圧値Vtが閾値Vset以上であり、燃料電池300の無効電力調整器3053′からFCQ=1の情報が送信された場合であっても、燃料電池300の発電量PGFがターンダウン値PGFd以下である場合には、発電量PGFを0にする制御が行われる。そして、FCP=0の情報が、太陽光発電100の有効電力調整器1032′に送信される。
【0163】
さらに、電圧値Vtが閾値Vset以上であり、燃料電池300の無効電力調整器3053′からFCQ=1の情報が送信された場合であっても、燃料電池300の発電量PGFが0である場合には、FCP=1の情報が、太陽光発電100の有効電力調整器1032′に送信される。
【0164】
一方、電圧値Vtが閾値Vset未満であり、燃料電池300の無効電力調整器3053′からFCQ=0の情報が送信され、かつ、インバータ303の容量INVFcに空きがあり、さらに発電量PGFがターンダウン値PGFdより小さい場合には、発電量PGFが増加される。そして、FCP=0の情報が、太陽光発電100の有効電力調整器1032′に送信される。
【0165】
太陽光発電100の有効電力調整器1032′には、閾値Vsetと、インバータ102(図18参照)の容量INVPcと、発電可能電力PGPtとがパラメータとして設定してある。
【0166】
そして、電圧値Vtが閾値Vset以下であり、燃料電池300の有効電力調整器3052′からFCP=1の情報が送信され、かつ、太陽光発電100の発電量PGPが0より大きい場合は、発電量PGPが減少される。
【0167】
一方、電圧値Vtが閾値Vsetより大きく、インバータ102の容量INVPcに空きがあり、かつ発電量PGPが発電可能電力PGPt未満である場合には、発電量PGPが増加される。
【0168】
電圧値Vtが閾値Vsetより大きく、インバータ102の容量INVPcに空きがあり、かつ発電量PGPが発電可能電力PGPt未満である場合であっても、発電量PGPと発電可能電力PGPtが同じ値である場合には、FCP=0の情報が、燃料電池300の有効電力調整器3052′に送信される。
【0169】
このように、有効電力調整器と無効電力調整器とが情報を交換する構成とすることにより、電圧制御部400等の制御ブロックを別途設けなくても、太陽光発電100と燃料電池300における電圧調整制御を行うことができる。そして、この実施の形態においても、第1の実施の形態において得られる効果と同等の効果を得ることができる。
【0170】
<第2の実施の形態の変形例>
なお、第2の実施の形態においても、電圧の下降時にも電圧調整制御を行うように構成してもよい。図19に、このような制御を行う場合のフローチャートを示してある。電圧の下降時に電圧調整制御を開始する閾値として、閾値Vsetlを設定し、閾値Vsetlの値には、例えば上述した閾値VlF以上閾値VlP以下の値を設定する。以下では、図15に示した構成に適用した場合を例に挙げるが、図18に示した構成に適用してもよい。
【0171】
まず、電圧制御部400に閾値Vsetlと各パラメータが設定され(ステップS121)、続いて、同じく電圧制御部400において電圧値Vtと電力負荷PLとが取得される(ステップS122)。
【0172】
次に、電圧制御部400によって、電圧値Vtが閾値Vsetl以下であるか否かが判断される(ステップS123)。電圧値Vtが閾値Vsetl以下である場合には、続いて太陽光発電100のインバータ102の容量INVPcに空きがあるか否かが判断される(ステップS124)。そして、インバータ102の容量INVPcに空きがある場合には、太陽光発電100側から見て進相の無効電力の発生量QGPを増加させる制御が行われる(ステップS125)。
【0173】
インバータ102の容量INVPcに空きがない場合には、続いて燃料電池300のインバータ303の容量INVFcに空きがあるか否かが判断される(ステップS126)。そして、インバータ303の容量INVFcに空きがある場合には、燃料電池300側から見て進相の無効電力の発生量QGFを増加させる制御が行われる(ステップS127)。
【0174】
ステップS123において、電圧値Vtが閾値Vsetlより大きいと判断された場合には、電圧制御部400によって、燃料電池300での無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きいか否かの判断が行われる(ステップS128)。無効電力発生量QGFの絶対値が0より大きい場合には、無効電力発生量QGFの絶対値を減少させる制御が行われる(ステップS129)。
【0175】
一方、無効電力発生量QGFの絶対値が0である場合には、続いて、太陽光発電100での無効電力発生量QGPの絶対値が0より大きいか否かが判断される(ステップS130)。そして、太陽光発電100での無効電力発生量QGPの絶対値が0より大きい場合には、太陽光発電100における無効電力発生量QGPの絶対値を減少させる制御が行われる(ステップS131)。太陽光発電100での無効電力発生量QGPの絶対値が0である場合には、ステップS122に戻って処理が続けられる。
【0176】
このように、太陽光発電100と燃料電池300とを統一的に制御する構成においても、上述した処理を行うことにより、電圧値Vtの適正範囲上限方向での逸脱時だけでなく下限方向への逸脱時にも電圧補償を行うことができるようになる。
【0177】
なお、上述した各実施の形態では、力率の範囲に限定されずに、無効電力発生量QGP又はQGFをインバータ102又はインバータ303の容量限界まで増加させる制御を行っているが、この制御を行わない場合に適用してもよい。無効電力発生量QGP又はQGFの増加を力率の範囲内で行うようにした場合であっても、出力制御に先駆けて無効電力制御を行い、かつ燃料電池300側での制御を先に行うことで、太陽光発電100側の発電出力の低下を避ける制御を行うことができる。
【0178】
また、上述した実施の形態では、燃料電池300側でも無効電力制御を行えるように構成した場合を例に挙げたが、燃料電池300側では有効電力PGFの発生量の出力制御しか行えない構成に適用してもよい。このように構成した場合であっても、燃料電池300側の制御を先に開始させることで、太陽光発電100側の発電出力の低下を避けることができる。
【0179】
さらに、家庭用ガスエンジン等の燃料電池300以外のコージェネレーションシステムや、その他のインバータを用いる機器と太陽光発電100とを組み合わせた場合でも、コージェネレーションシステムやインバータ機器において前述した燃料電池300と同様の制御を行うことが可能であれば、同様の効果を得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0180】
1…分散型電源システム、10…柱上変圧器、11…低圧配電線、100…太陽光発電、101…太陽光発電セル、102…インバータ、103…発電出力制御部、200…負荷、300…燃料電池、301…水素改質器、302燃料電池セル、303…インバータ、304…排熱回収部、305…発電出力制御部、400…電圧制御部、1031…検出器、1032…有効電力調整器、1032′…有効電力調整器、1033…無効電力調整器、1033′…無効電力調整器、1034…電流演算器、1035…インバータ出力電流調整器、1036…アンプ、1037…信号変換部、3051…検出器、3052…有効電力調整器、3052′…有効電力調整器、3053…無効電力調整器、3053′…無効電力調整器、3054…電流演算器、3055…インバータ出力電流調整器、3056…アンプ、3057…信号変換部、A…結合子、B…結合子、C…結合子、PGF…発電量、PGFd…ターンダウン値、PGP…発電量、PL…電力負荷、PVQ…フラグ、QGF…無効電力発生量、QGP…無効電力発生量、QGP…発電量、V,VF,VhF,VlF,VP,VhP,VlP,Vset…閾値、Vdc…直流出力電圧、Vt…電圧値、n1…ノード、n10…ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統との連系点の電圧上昇抑制のために行われる電圧調整制御の開始閾値が設定された太陽光発電装置と併設され、前記電力系統と連系された分散型電源システムに用いられる燃料電池装置であって、
化石燃料から抽出された水素と、空気中の酸素とを化学反応させて直流電力を生成する燃料電池セルと、
前記燃料電池セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力するインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する検出部と、
前記検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記インバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記インバータに供給する発電出力制御部と、を備え、
前記発電出力制御部は、前記検出部で検出された電圧が、前記太陽光発電装置に設定された閾値より値が低く設定された当該燃料電池装置用の閾値以上であった場合は前記無効電力の出力を行い、前記無効電力の出力を行っても前記閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制し、前記無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成することを特徴とする
燃料電池装置。
【請求項2】
前記発電出力制御部は、前記無効電力の出力を前記インバータの容量限界まで行う
請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記発電出力制御部による前記有効電力の出力抑制では、前記有効電力の出力が前記燃料電池セルの最低発電可能電力まで下げられる
請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記発電出力制御部は、前記有効電力の出力を前記燃料電池セルの最低発電可能電力まで下げる制御を行っても前記閾値以上の電圧が検出される場合には、前記有効電力の出力を0にする制御を行う
請求項3記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記発電出力制御部には、前記閾値より値が低く設定された第2の閾値が設定され、前記検出部で検出された電圧が前記第2の閾値以上であった場合は、前記インバータの容量限界まで前記無効電力の出力を行う、
請求項3に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記発電出力制御部には、前記第2の閾値より値が低く設定された前記連系点の電圧下降抑制のための第3の閾値が設定され、前記検出部で検出された電圧値が前記第3の閾値以下であり、前記インバータの容量に空きがある場合には、前記電力系統から見て遅相の無効電力を発生させる、
請求項3に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記発電出力制御部は、前記検出部で検出された電圧値が前記第3の閾値より大きく、かつ、前記無効電力の発生量の絶対値が0より大きい場合には、前記無効電力の発生量の絶対値を減少させる、
請求項6に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
電力系統との連系点の電圧上昇抑制のために行われる電圧調整制御の開始閾値が設定された燃料電池装置と併設され、前記電力系統と連系された分散型電源システムに用いられる太陽光発電装置であって、
太陽光を直流電力に変換する太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力するインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する検出部と、
前記検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記インバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記インバータに供給する発電出力制御部と、を備え、
前記発電出力制御部は、前記検出部で検出された電圧が、前記燃料電池装置に設定された閾値より値が高く設定された当該太陽光発電装置用の閾値以上であった場合は前記無効電力の出力を行い、前記無効電力の出力を行っても前記閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制し、前記無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成することを特徴とする
太陽光発電装置。
【請求項9】
前記発電出力制御部は、前記無効電力の出力を前記インバータの容量限界まで行う
請求項8記載の燃料電池装置。
【請求項10】
前記発電出力制御部による前記有効電力の出力抑制は、前記検出部で検出された電圧値が前記閾値以上であり、かつ前記インバータの容量に空きがない場合に行われる
請求項8に記載の太陽光発電装置。
【請求項11】
前記発電出力制御部には、前記閾値より値が低く設定された第2の閾値が設定され、前記検出部で検出された電圧が前記第2の閾値以上であった場合は、前記インバータの容量限界まで前記無効電力の出力を行う、
請求項9に記載の太陽光発電装置。
【請求項12】
前記発電出力制御部には、前記第2の閾値より値が低く設定された前記連系点の電圧下降抑制のための第3の閾値が設定され、前記検出部で検出された電圧値が前記第3の閾値以下であり、前記インバータの容量に空きがある場合には、前記電力系統から見て遅相の無効電力を発生させる
請求項9に記載の太陽光発電装置。
【請求項13】
前記発電出力制御部は、前記検出部で検出された電圧値が前記第3の閾値より大きく、かつ、前記無効電力の発生量の絶対値が0より大きい場合には、前記無効電力の発生量の絶対値を減少させる
請求項12に記載の太陽光発電装置。
【請求項14】
電力系統と連系された燃料電池装置及び太陽光発電装置と、前記燃料電池装置及び前記太陽光発電と電力系統との連系点の電圧上昇抑制のための制御を行う電圧制御装置とを含む分散型電源システムであって、
前記燃料電池装置は、
化石燃料から抽出された水素と、空気中の酸素とを化学反応させて直流電力を生成する燃料電池セルと、
前記燃料電池セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力する第1のインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する第1の検出部と、
前記検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記第1のインバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記第1のインバータに供給する第1の発電出力制御部とを備え、
前記太陽光発電装置は、
太陽光を直流電力に変換する太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力する第2のインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記第2のインバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記第2のインバータに供給する第2の発電出力制御部とを備え、
前記電圧制御装置には、前記太陽光発電装置における電圧上昇抑制制御を開始させるための第1の閾値と、前記燃料電池装置における電圧上昇抑制制御を開始させるための閾値であり、前記第1の閾値より値が高く設定された第2の閾値とが設定され、
前記電圧制御装置は、前記第1の検出部又は前記第2の検出部で検出された電圧が前記第1の閾値以上であった場合は前記第1の発電出力制御部に無効電力の出力を行わせ、前記無効電力の出力を行っても前記閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制し、前記第1の検出部又は前記第2の検出部で検出された電圧が前記第2の閾値以上であった場合は、前記第1の発電出力制御部に無効電力の出力を行わせ、前記無効電力の出力を行っても前記閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制させることを特徴とする
分散型電源システム。
【請求項15】
前記電圧制御装置には、前記第1の閾値未満に設定された第3の閾値と、前記第1の閾値より大きく前記第2の閾値より小さい第4の閾値とが設定され、
前記電圧制御装置は、前記第1の検出部又は前記第2の検出部で検出された電圧が前記第3の閾値以上であった場合は、前記第1のインバータの容量限界まで無効電力の出力を行い、前記第1の検出部又は前記第2の検出部で検出された電圧が前記第4の閾値以上であった場合は、前記第2のインバータの容量限界まで無効電力の出力を行うことを特徴とする、
請求項14に記載の分散型電源システム。
【請求項16】
電力系統と連系された燃料電池装置及び太陽光発電装置と、前記燃料電池装置及び前記太陽光発電と前記電力系統との連系点の電圧上昇抑制のための制御を行う電圧制御装置とを含む分散型電源システムにおいて、
前記燃料電池装置は、
化石燃料から抽出された水素と、空気中の酸素とを化学反応させて直流電力を生成する燃料電池セルと、
前記燃料電池セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力する第1のインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記第1のインバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記インバータに供給する第1の発電出力制御部であって、前記第1の検出部で検出された電圧が、電圧上昇抑制制御を開始させるための第1の閾値以上であった場合は前記無効電力の出力を行い、前記無効電力の出力を行っても前記第1の閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制し、前記無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成する第1の発電出力制御部とを備え、
前記太陽光発電装置は、
太陽光を直流電力に変換する太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルで生成された直流電力を交流電力に変換して前記電力系統に出力する第2のインバータと、
前記電力系統との連系点の電流及び電圧を検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部で検出された電流及び電圧から有効電力と無効電力とを検出するとともに、前記検出した電圧値の大きさに応じて、前記第2のインバータの出力電流を調整するための指令信号を生成して前記第2のインバータに供給する第2の発電出力制御部であって、前記第2の検出部で検出された電圧が、前記第1の閾値より値が高く設定された第2の閾値以上であった場合は前記無効電力の出力を行い、前記無効電力の出力を行っても前記第2の閾値以上の前記電圧が検出された場合には前記有効電力の出力を抑制し、前記無効電力の出力量及び前記有効電力の出力量に応じた指令信号を生成する第2の発電出力制御部とを備え、
前記第1の発電出力制御部と前記第2の発電出力制御部とは、前記第1の検出部又は前記第2の検出部が検出した電圧値と前記第1の閾値又は前記第2の閾値との大小関係に関する情報を含む情報を、通信を介して互いにやりとりする
分散型電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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