説明

燃焼制御装置

【課題】燃焼炉内部の各部の腐食を抑制しつつ、窒素酸化物の発生も抑制することができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】物質を燃焼させる燃焼炉に供給する燃料と空気を制御する燃焼制御装置であって、燃焼炉内に燃料及び空気を供給する燃料供給手段と、燃焼空気の流れ方向において、燃料供給手段よりも下流側に配置され、燃焼炉内に空気を供給する空気供給手段と、燃焼空気の流れ方向において、燃料供給手段よりも下流側の測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、燃焼空気の硫化水素濃度を計測する濃度計測手段と、濃度計測手段の計測結果に基づいて、燃料供給手段から供給する空気量を制御する制御手段とを有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ等の燃焼機器に供給する燃料及び空気の量を調整し燃焼状態を制御する燃焼制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼炉内で物質を燃焼させる燃焼機器としては、燃料を燃焼させるボイラや、ごみを燃焼させるごみ焼却炉等、種々の燃焼装置がある。例えば、特許文献1には、微粉炭を空気とともに燃焼炉内に供給し、燃焼炉内で微粉炭を燃焼させ、燃焼により発生した熱でボイラーチューブを加熱し、ボイラーチューブ内に蒸気を発生させる石炭焚きボイラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、燃焼炉内で燃焼を行う燃焼機器では、燃焼時に窒素酸化物が発生する。この燃焼時に窒素酸化物の発生を抑制する方法としては、燃焼炉内の雰囲気を還元状態、つまり酸素が少なく状態とする方法がある。このように還元状態とすることで、酸化物である窒素酸化物の発生を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、このように焼却炉内を還元状態とした時に強い還元状態となってしまうと、燃料、ゴミ等の燃焼物中に含まれる硫黄成分が硫化水素に還元されてしまうということがある。焼却路内で硫化水素が生成されてしまうと、硫化水素が焼却炉内にある部材、例えば、焼却炉の熱を吸収するボイラーチューブ等を腐食させてしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃焼炉内部の各部の腐食を抑制しつつ、窒素酸化物の発生も抑制することができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、物質を燃焼させる燃焼炉に供給する燃料と空気を制御する燃焼制御装置であって、前記燃焼炉内に燃料及び空気を供給する燃料供給手段と、燃焼空気の流れ方向において、前記燃料供給手段よりも下流側に配置され、前記燃焼炉内に空気を供給する空気供給手段と、燃焼空気の流れ方向において、前記燃料供給手段よりも下流側の測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の硫化水素濃度を計測する濃度計測手段と、前記濃度計測手段の計測結果に基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
燃焼炉内の燃焼空気の硫化水素濃度を計測し、その計測結果に基づいて、空気の供給量を調整することで、硫化水素の発生を抑制することができる。
【0009】
ここで、前記制御手段は、前記測定位置における硫化水素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記燃料供給手段から供給する空気の量を増加させ、前記測定位置における硫化水素濃度が設定された下限値よりも低い場合は前記燃料供給手段から供給する空気の量を低減させることが好ましい。
【0010】
このように制御することで、硫化水素の発生量を所定の濃度以下に維持することができ、還元状態も強い還元状態を維持することができる。
【0011】
また、前記測定光は、前記硫化水素が吸収する波長域のレーザ光であり、前記濃度計測手段は、レーザ光を発光する発光素子と、前記発光素子で発光され、前記燃焼空気を通過したレーザ光を受光する受光素子と、前記発光素子で発光させた光と、前記受光素子で受光した光に基づいて、硫化水素の濃度を算出する算出手段とを有することが好ましい。
【0012】
上記計測方法を用いることで、短時間で正確に濃度を計測することができ、より正確に還元状態と硫化水素の発生量を制御することができる。
【0013】
また、前記濃度計測手段は、前記燃焼炉内の前記測定位置の空気を案内する案内管を有し、前記発光素子は、前記案内管を流れる燃焼空気に向けてレーザ光を照射し、前記受光素子は、前記案内管内の燃焼空気を通過したレーザ光を受光することが好ましい。
【0014】
案内管を設けることで、所望の位置の燃焼空気の濃度を計測することができる。また、燃焼炉の径が大きい場合でも中心位置等の濃度を計測することができる。また、計測手段が熱の影響を受けることを抑制することができる。
【0015】
さらに、前記測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の酸素濃度を計測する酸素濃度計測手段を有し、前記制御手段は、前記酸素濃度計測手段の計測結果にも基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することが好ましい。
【0016】
酸素濃度も加味して制御を行うことで、還元状態をより適切に制御することができる。
【0017】
また、前記濃度計測手段は、濃度を計測する機構を複数有し、燃焼空気の流れ方向における位置が異なる複数の測定位置における硫化水素濃度を計測し、前記制御手段は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段から離れるにしたがって、前記燃焼炉内の空気の硫化水素濃度が徐々に低くなるように、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することが好ましい。
【0018】
複数個所の濃度を計測することで、より上記制御をより適切にかつ精細に行うことができる。
【0019】
また、前記空気供給手段は、前記燃焼炉に空気を供給する機構を複数有し、前記制御手段は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段から離れるにしたがって、前記燃焼炉内の空気の酸素濃度が徐々に高くなるように、前記空気供給手段から供給する空気の量を制御することが好ましい。
【0020】
また、空気を供給する手段を燃焼空気の流れ方向において複数個所に設けることで、書く位置の燃焼空気に適切な量の空気を供給することができる。また、酸素濃度を徐々に高くするようにすることで、還元状態を徐々に弱くすることができ、窒素酸化物の発生を抑制しつつ、燃焼を好適に行うことができる。
【0021】
また、前記測定位置は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段よりも下流側で、前記焼却炉内に配置された再熱器よりも上流側であることが好ましい。
【0022】
再熱器よりも上流側を測定位置とすることで、再熱器に到達する硫化水素の量を一定以下とすることができる。これにより、再熱器が腐食することをより確実に抑制することができる。
【0023】
さらに、前記測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の窒素酸化物濃度を計測する窒素酸化物濃度計測手段を有し、前記制御手段は、前記窒素酸化物濃度計測手段の計測結果にも基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することが好ましい。
【0024】
測定位置の窒素酸化物濃度に応じて制御を行うことで、窒素酸化物の発生をより確実に抑制しつつ、硫化水素の発生も抑制することができる。
【0025】
前記制御手段は、前記窒素酸化物濃度計測手段の計測結果が、設定された上限値よりも高い場合は、前記硫化水素濃度にかかわらず、前記燃料供給手段から供給する空気量を増加させることが好ましい。
【0026】
窒素酸化物濃度に基づく制御を優先させることで、窒素酸化物をより発生させにくくすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる燃焼制御装置は、燃料空気内の硫化水素濃度に応じて、供給する空気の量を調整することで、窒素酸化物の発生を抑制しつつ、硫化水素の発生も抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2−1】図2−1は、図1に示す燃焼炉のA−A線断面図である。
【図2−2】図2−2は、図1に示す燃焼炉のB−B線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す焼却炉の各領域を説明するための説明図である。
【図4】図4は、図1に示す計測ユニットの概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、制御手段による空気供給量の制御方法の一例を示すフロー図である。
【図6−1】図6−1は、バーナの配置の他の一例を示す断面図である。
【図6−2】図6−2は、バーナの配置の他の一例を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、濃度計測手段の配置の他の一例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、制御手段による空気供給量の制御方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる燃焼制御装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、下記実施形態では、燃焼制御装置を燃焼炉で微粉炭を燃焼させて生成する熱エネルギを動力(または電力)として取得するボイラに取り付けた場合として説明するが、燃焼制御装置を取り付ける燃焼機器は、これに限定されず、熱分解炉、溶融炉、ボイラ、外燃機関等種々の燃焼機器に用いることができる。なお、本発明の燃焼機器には、内燃機関を含まない。また、下記実施形態では、燃料として微粉炭を用いるが硫黄成分を備える燃料であれば種々の燃料を用いることができる。
【0030】
図1は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。図1に示すようにボイラ10は、基本的に、燃料を燃焼させる燃焼炉12と、燃焼炉12で生成された燃焼空気を案内する煙道14と、燃焼空気から熱エネルギを取得する再熱器ユニット16と、燃焼炉12内に燃料及び空気を供給し、燃焼炉12内での燃焼を制御する燃焼制御装置18とを有する。
【0031】
燃焼炉12は、燃料を燃焼させる火炉であり、耐熱性の部材で形成された箱状の部材である。また、燃焼炉12は、箱形状の一面(基本的には鉛直方向上側の面)が解放され、煙道14と接続されている。なお、本実施形態では、燃焼炉12を角筒形状としたが、円筒形状としてもよい。また、燃焼炉12には、箱形状の外部から内部に向けて、燃焼制御装置18の各種配管が挿入されている。燃焼炉12は、箱形状の内部で燃焼制御装置18から供給された燃料が燃焼される。
【0032】
煙道14は、燃焼炉12の一面と連結された管状の部材であり、燃焼炉12の内部で燃料を燃焼させることで生成された燃焼空気、所定温度に加熱された空気を案内する配管である。
【0033】
再熱器ユニット16は、複数の再熱器で構成され、燃焼空気の移動経路、具体的には、燃焼炉12の一部及び煙道14の内部に配置されている。再熱器は管状の部材であり、内部に液体または気体が封入されており、燃焼空気の熱を内部の液体または気体が吸収することで、燃焼空気の熱エネルギを取得する。
【0034】
燃焼制御装置18は、燃焼炉12内に燃料及び空気を供給し、燃焼炉12内で燃料を燃焼させる。燃焼制御装置18については、後ほど詳細に説明する。
【0035】
ボイラ10は、以上のような構成であり、燃焼炉12内で燃料を燃焼させて、加熱された燃焼空気を生成する。燃焼空気は、燃焼炉12から煙道14を移動し、その際に、再熱器ユニット16を加熱する。再熱器ユニット16は、過熱されることで内部にある液体が気化などすることで、膨張した蒸気となる。この蒸気が再加熱ユニットから所定の経路を通り、タービンに到達し、タービンを回転させることで、熱エネルギを電気エネルギまたは機械的エネルギとして取り出すことができる。このように用いることで、ボイラ10は、発電機、駆動機として用いることができる。また、再熱器ユニット16で取得した熱エネルギにより、任意の物質を加熱することで、ボイラを加熱機として用いることができる。また、ボイラの構成は、本実施形態に限定されず、例えば、燃焼空気を浄化する各種装置を設けるようにしてもよい。
【0036】
次に、燃焼制御装置18について説明する。ここで、図2−1は、図1に示す燃焼炉のA−A線断面図であり、図2−2は、図1に示す燃焼炉のB−B線断面図である。また、図3は、図1に示す焼却炉の各領域を説明するための説明図である。図1に示すように、燃焼制御装置18は、燃料供給手段20と、空気供給手段22と、濃度計測手段24と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28とを有する。
【0037】
燃料供給手段20は、微粉炭バーナ(以下「バーナ」という。)30、配管32と、微粉炭供給部34と、送風機36と、流量調整弁38とを有する。バーナ30は、噴射口が燃焼炉12の内部に露出するように燃焼炉12に配置された燃焼機であり、配管32を介して供給される微粉炭と空気を噴射口から噴射し、燃焼炉12内で微粉炭を燃焼させる。なお、バーナ30は、図2−1に示すように、燃焼炉12に複数個所、本実施形態では四角形の壁面の各面に1つずつの計4個が配置されている。また、燃料供給手段20は、図2−1に示すように各バーナ30から噴射される空気により燃焼炉12内に渦状の空気の流れができるように、バーナ30を配置している。具体的には、バーナ30は、鉛直方向、上方から下方の向けて見た場合に燃焼炉12の断面の中心を回転軸として、反時計周りに空気が流れるようにバーナ30を配置している。
【0038】
配管32は、複数の分岐を有する管状部材であり、複数のバーナ30と、微粉炭供給部34と、送風機36と、流量調整弁38と接続されている。配管32は、微粉炭供給部34から供給される微粉炭と、送風機36から供給される空気と、流量調整弁38を介して供給される空気とを各バーナ30に供給する。
【0039】
微粉炭供給部34は、燃料となる微粉炭を配管32に供給する機構である。なお、微粉炭供給部34は、石炭を粉砕して微粉炭を生成し、生成した微粉炭を配管32に供給する機構であっても、予め生成された微粉炭を貯留しておき、貯留した微粉炭を配管32に供給する機構であってもよい。送風機36は、微粉炭供給部34から配管32に供給された微粉炭を配管の所定位置まで搬送する風を発生させる装置であり、空気の流れ方向において、微粉炭供給部34よりも上流側となる位置で配管32と接続されている。送風機36は、配管32に空気を送ることで、配管32内の微粉炭を空気搬送する。
【0040】
流量調整弁38は、空気の流量を調整できる弁であり、配管32と後述する空気供給手段22の主配管45との接続部に配置されている。流量調整弁38は、制御手段28の指示に基づいて、主配管45から配管32に供給される空気の量を調整する。
【0041】
燃料供給手段20は、微粉炭供給部34から供給される微粉炭を送風機36により搬送して、バーナ30に送り、かつ、流量調整弁38で流量を調整しつつ、バーナ30に空気を送ることで、バーナ30から燃焼炉12内に微粉炭と空気を噴射し、噴射した微粉炭を燃焼させ、燃焼空気(燃焼ガス)を生成する。なお、生成された燃焼空気は、燃焼炉内の所定の経路を通り、煙道に移動する。
【0042】
空気供給手段22は、第1空気供給ユニット40と、第2空気供給ユニット42と、空気を送る送風機44と、第1空気供給ユニット40、第2空気供給ユニット42、送風機44を連結させる主配管45とを有する。
【0043】
第1空気供給ユニット40は、吹出口50が燃焼炉12に露出するように配置された第1配管46と、空気の量を調整できる流量調整弁48とを有する。第1配管46は、流量調整弁48を介して主配管45と連結されており、主配管45から供給される空気を複数の吹出口50から吹出させる。ここで、吹出口50は、燃焼空気の移動経路において、燃料供給手段20よりも下流側となる位置の燃焼炉12内に空気を吹き出すように配置されている。また、吹出口50は、図2−2に示すように燃焼炉12の外周に所定の間隔で複数配置されている。流量調整弁48は、主配管45と第1配管46との接続部に配置されており、主配管45から第1配管46に供給される空気の量を調整する。
【0044】
第2空気供給ユニット42は、吹出口56が燃焼炉12に露出するように配置された第2配管52と、空気の量を調整できる流量調整弁54とを有する。第2配管52は、流量調整弁54を介して主配管45と連結されており、主配管45から供給される空気を複数の吹出口56から吹出させる。ここで、吹出口56は、燃焼空気の移動経路において、吹出口50よりも下流側となる位置の燃焼炉12内に空気を吹き出すように配置されている。また、吹出口56の配置位置は、燃焼空気の移動経路における位置が異なるのみで他の構成は吹出口50と基本的に同一である。流量調整弁54は、主配管45と第2配管52との接続部に配置されており、主配管45から第2配管52に供給される空気の量を調整する。
【0045】
送風機44は、空気を送るブロワ、ファン等であり、主配管45に空気を送る。なお、送風機44から主配管45に送る空気の量、流速等は、制御手段28の制御に基づいて調整すればよい。主配管45は、送風機44と、第1配管46と、第2配管52と、配管32とを接続する配管である。また、主配管45と第1配管46との接続部、主配管45と第2配管52との接続部、主配管45と配管32との接続部には、それぞれ流量調整弁38、48、54が配置されている。
【0046】
空気供給手段22は、送風機44から供給される空気を主配管45、流量調整弁48を介して第1配管46の吹出口50から吹出させ、さらに、主配管45、流量調整弁54を介して第2配管52の吹出口56から吹出させることで、燃焼空気の流れ方向において、燃料が供給される位置よりも下流側に空気を供給する。また、空気供給手段22は、制御手段28の制御に基づいて、流量調整弁48、54を制御することで、吹出口50、56から燃焼炉12内に供給される空気の量を調整する。なお、本発明では主配管45から流量調整弁38を介してバーナ30に供給する空気を一次空気とし、主配管45から流量調整弁48及び流量調整弁54を介して、吹出口50及び吹出口56に供給される空気を二次空気とする。
【0047】
空気供給手段22から燃焼炉12内に空気を供給することで、燃料の燃焼を促進させる。これにより、燃焼炉12内では、図3に示すように、燃焼空気の流れ方向において、上流側から下流側に向けて、バーナ燃焼域、未燃燃料存在還元域、燃焼完結域の領域が形成される。ここで、バーナ燃焼域は、バーナ30が微粉炭及び空気を噴射し、微粉炭を燃焼させている領域であり、燃焼空気の流れ方向において、最上流(燃焼が開始される位置)から吹出口50が配置されている位置よりも上流までの領域である。未燃燃料存在還元域は、吹出口50及び吹出口56から空気が供給され、未反応の燃料と吹出口50及び吹出口56から供給された空気とが反応する領域であり、燃焼空気の流れ方向において、吹出口50が配置されている位置から吹出口56が配置されている位置までの領域、つまり、二次空気が供給される領域である。また、燃焼完結域は、残っている燃料と空気とが反応する領域であり、燃焼空気の流れ方向において、吹出口56が配置されている位置よりも下流側から、燃焼炉12と煙道14との接続部までの領域である。
【0048】
濃度計測手段24は、案内管60と、吸引ポンプ62と、HS計測ユニット64とを有し、燃焼炉12内の測定位置における燃焼空気のHS(硫化水素)の濃度を計測する。濃度計測手段24は、計測した燃焼空気の硫化水素の濃度の情報を制御手段28に送る。
【0049】
案内管60は、燃焼炉12内に挿入された管状部材であり、燃焼炉12内に配置された端部が測定位置で開口している。また、本実施形態では、案内管60は、燃焼空気の移動方向(流れ方向)において、バーナ30よりも下流側で吹出口50よりも上流側の位置に配置されている。つまり、案内管60の一方の端部は、バーナ燃焼域に配置されている。吸引ポンプ62は、案内管60内の空気を吸引するポンプである。吸引ポンプ62により案内管60内の空気を吸引することで、案内管60の燃焼炉12内に配置されている端部の周囲の空気を、案内管60の内部に吸引することができる。つまり、測定位置の空気を案内管60内に流す(案内する)ことができる。
【0050】
次に、HS計測ユニット64について説明する。ここで、図4は、図1に示す計測ユニットの概略構成を示すブロック図である。HS計測ユニット64は、案内管60に配置されており、案内管60を流れる燃焼空気中の硫化水素の濃度を計測する。HS計測ユニット64は、図4に示すように、計測手段本体66と、発光部68と、計測セル70と、受光部72と、を有する。
【0051】
計測手段本体66は、発光部68により発光させるレーザ光の制御機能と、受光部72で受光したレーザ光の信号から硫化水素の濃度を算出する演算機能とを有する。発光部68は、硫化水素が吸収する波長域のレーザ光(具体的には、近赤外域のレーザ光)を発光させる発光機構である。発光部68は、レーザ光を案内管60に配置された計測セル70に入射させる。
【0052】
計測セル70は、案内管60の一部に配置されており、発光部68から射出された光を計測セル70の内部に入射させる入射部と、計測セル70の所定経路を通過したレーザ光を出力する出力部と、を有する。つまり、計測セル70は、案内管60の一部の円筒部分の代わりに配置された円筒構造を有し、円筒構造の一部に入射部と出力部とが形成されている。なお、計測セル70は、案内管60に入射部と出力部のみを設けた構成としてもよい。つまり、案内管60の内部にレーザ光を入射させる入射部(レーザ光を透過する入射窓)と、案内管60内の所定経路を通過したレーザ光を出力させる出力部(レーザ光を透過する出力窓)とを設けたのみの構成としてもよい。
【0053】
なお、計測セルとしては、入射部と出力部とを有し、案内管60の内部を相通する管状部材を設けてもよい。この場合、計測セル70は、入射部側の一部と出力部側の一部とが、それぞれ案内管60と接続されている。このように、計測セル70は、燃焼空気の案内管の一部となるように、案内管60に割り込んで配置されている。つまり、案内管60の一部が計測セル70となっている。なお、計測セル70を、案内管60を相通する管状部材とする場合は、燃焼空気が管状部材の内部に流れるように複数の開口、穴を設ける必要がある。また、入射部から出力部に向けて延びているスリットを設けるようにしてもよい。なお、計測セル70の管形状は、レーザ光が通過できればよく、断面が円となる管としても、断面が多角形になる管としても、断面が楕円形となる管としてもよい。また、管の内周の断面と外周の断面が異なる形状となってもよい。また、図4に示す例では、案内管60の燃焼空気の流れ方向に対して、直交するように計測セル70を設けたが、案内管60に対して所定角度傾斜させて(つまり斜めに)計測セル70を設けてもよい。
【0054】
受光部72は、計測セル70の内部を通過し、出力部から出力されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光の強度を受光信号として計測手段本体66に出力する。
【0055】
S計測ユニット64は、以上のような構成であり、発光部68から出力されたレーザ光は、計測セル70内の所定経路を通過した後、出力部から出力される。このとき、計測セル70内の燃焼空気中に硫化水素が含まれていると、計測セル70を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光は、燃焼空気中の硫化水素濃度によって、出力部に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部72は、出力部から出力されるレーザ光を受光信号に変換し、計測手段本体66に出力する。計測手段本体66は、発光部68から出力させたレーザ光の強度と、受光部72から送られる受光信号に基づいて算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル70内を流れる燃焼空気の硫化水素濃度を算出する。このように、HS計測ユニット64は、TDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー吸収分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部72で検出した受光信号とに基づいて計測セル70内の燃焼空気、つまり、燃焼炉12内の測定位置の燃焼空気中の硫化水素濃度を算出及び/または計測する。また、本実施形態のHS計測ユニット64は、連続的に硫化水素濃度を算出及び/または計測することができる。
【0056】
なお、計測セル70は、入射部と出力部のみを、光を透過する材料で形成しても、計測セル70全体(つまり、案内管60のうち計測セル70となっている管部分の全周)を、光を透過する材料で形成してもよい。また、計測セル70内に少なくとも2枚の光学ミラーを設け、入射部から入射されたレーザ光を光学ミラーで多重反射させた後、出力部から出力させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、計測セル70内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、計測セル70内を流れる燃焼空気の濃度の分布(燃焼空気の流量や密度のばらつき、燃焼空気内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0057】
次に、窒素酸化物濃度計測手段26は、案内管80と、前処理部82と、吸引ポンプ84と、NO計測ユニット86とを有し、煙道14内の測定位置における燃焼空気のNO(窒素酸化物)の濃度を計測する。窒素酸化物濃度計測手段26は、計測した燃焼空気の窒素酸化物の濃度の情報を制御手段28に送る。
【0058】
案内管80は、煙道14内に挿入された管状部材であり、煙道14内に配置された端部が測定位置で開口している。前処理部82は、案内管80を流れる燃焼空気に含まれる粉塵等を除去するフィルタであり、燃焼空気内の粉塵等を捕集し燃焼空気中から除去する。また、吸引ポンプ84は、案内管80内の空気を吸引するポンプである。吸引ポンプ84により案内管80内の空気を吸引することで、煙道14の測定位置の空気を、案内管60の内部に吸引する。NO計測ユニット86は、燃焼空気の流れ方向において前処理部82よりも下流側の案内管80に配置されており、案内管80を流れる燃焼ガスのNO濃度を計測する。なお、NO計測ユニット86は、上述したHS計測ユニット64と同様の構成であり、同様の検出方法で燃焼空気中のNO濃度を計測する。なお、各部の構成についての詳細な説明は省略する。ここで、NO濃度として、複数種類の窒素酸化物の濃度を計測する場合は、測定する窒素酸化物毎に発光部、受光部を設ける必要がある。また、レーザ光としては、測定する物質毎に異なる波長のレーザ光を用いる必要がある。
【0059】
制御手段28は、濃度計測手段24のHS計測ユニット64から送られる燃焼空気のHS濃度の計測結果及び窒素酸化物濃度計測手段26のNO計測ユニット86から送られる燃焼空気のNO濃度の検出結果に基づいて、燃料供給手段20から燃焼炉12内に供給する空気(一次空気)の量、及び、空気供給手段22からから燃焼炉12内に供給する空気(二次空気)の量を調整する。なお、制御手段28は、窒素酸化物濃度計測手段26のNO計測ユニット86から送られる燃焼空気のNO濃度の検出結果は、記録等を行うのみとし、NO濃度に基づいて制御条件を変更しないようにしてもよい。
【0060】
制御手段28は、燃焼時に燃料(微粉炭)に対して空気の量を少なくし、還元状態が強い状態で燃焼を行うことで、燃焼による窒素酸化物の発生を抑制する。具体的には、制御手段28は、窒素酸化物濃度計測手段26で検出される煙道14を流れる燃焼空気に含まれる窒素酸化物濃度に基づいて、燃焼炉12に供給する空気量を調整する。また、窒素酸化物は、燃焼が高温で燃焼されている雰囲気中で発生しやすいため、制御手段28は、一次空気の量を少なくするように制御する。具体的には、バーナ燃焼域では、空気(酸素)の少ない状態で燃焼を行い、未燃燃料存在還元域、燃焼完結域に向かうに従って空気の量が多くなるように、一次空気、二次空気の量を調整する。これにより、温度が高く窒素酸化物が発生しやすいバーナ燃焼域は、還元状態が強い状態で燃焼を行い、また、温度が低い領域になるにしたがって還元状態を弱くしつつ燃焼(燃焼反応)を行う。これにより、窒素酸化物の発生を抑制しつつ、燃焼炉12から排出される燃焼空気を、空気が十分に供給され燃焼が完了した状態とすることができる。
【0061】
また、還元状態が強い状態で燃焼を行うと硫化水素が発生することがあるが、制御手段28は、濃度計測手段24により検出した硫化水素濃度に基づいて、流量調整弁38、48、54を調整し、一次空気の量と二次空気の量、つまり、一次空気と二次空気の割合を例えばPID制御等を用いて制御する。具体的には、制御手段28は、硫化水素濃度が所定値よりも低い場合は、一次空気の量を少なくする。また、制御手段28は、硫化水素濃度が所定値よりも高い場合は、一次空気の量を多くする。
【0062】
以下、図5を用いて制御の一例について説明する。図5は、制御手段28による空気供給量の制御方法の一例を示すフロー図である。まず、濃度計測手段24で計測された硫化水素濃度が制御手段28に入力されたら、制御手段28は、ステップS12として、計測された硫化水素濃度が上限の目標値よりも大きいかを判定する。制御手段28は、ステップS12で計測された硫化水素濃度が上限の目標値よりも大きい(Yes)と判定したら、ステップS14に進み、現状設定されている一次空気量(一次空気の供給量)を一定量増加させる。つまり、バーナ30から噴射される空気の量を一定量多くする。その後、制御手段28は、ステップS20に進む。
【0063】
また、ステップS12で、制御手段28が計測された硫化水素濃度が上限の目標値以下である(No)と判定したら、ステップS16に進み、計測された硫化水素濃度が下限の目標値よりも小さいかを判定する。制御手段28は、ステップS16で、計測された硫化水素濃度が下限の目標値よりも小さい(Yes)と判定したら、ステップS18に進み、現状設定されている一次空気量(一次空気の供給量)を一定量低減させる、または、一次空気の量を維持する。つまり、バーナ30から噴射される一次空気の量を一定量少なくする、また、そのままの量で維持する。その後、制御手段28は、ステップS20に進む。また、制御手段28は、ステップS16で、計測された硫化水素濃度が目標値以上である(No)と判定したら、ステップS20に進む。
【0064】
制御手段28は、ステップS20で、ボイラが停止しているか(つまり、燃焼が停止しているか)を判定する。制御手段28は、ステップS20で、ボイラが停止していない(No)と判定したらステップS12に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御手段28は、ステップS20で、ボイラが停止している(Yes)と判定したら処理を終了する。以上のようにして、制御手段28は、燃焼炉12に供給される空気の量を制御する。なお、空気の量は、流量調整弁38、48、54を制御、例えば開度を調整することで変化させることができる。
【0065】
ここで、上記実施形態では、一次空気の量を一定量増加、減少させたが、一定割合、例えば、5%増加、減少させるようにしてもよい。また、上記制御では、流量調整弁により一次空気量を一定量増加、減少させたが、流量調整弁の開度が全開である場合、つまり主配管45から供給される空気を全て燃焼炉12に供給している場合は、送風機44から供給する空気の量の設定値(上限値、下限値)を変更すればよい。また、上記実施形態では、一次空気量のみを制御したが、一次空気量に応じて、二次空気量も制御するようにしてもよい。例えば、一次空気量の増加に合わせて二次空気量を減少させ、燃焼炉12に供給する空気の量は一定とするようにしてもよい。なお、燃焼炉12に供給する空気の量は、燃料供給手段20から供給される微粉炭の量に応じて制御することが好ましい。
【0066】
また、硫化水素濃度の上限の目標値と下限の目標値とは、異なる値としてもよい。つまり、ステップS12で使用される上限の目標値とステップS16で使用される下限の目標値を異なる目標値としてもよい。硫化水素濃度の上限の目標値と下限の目標値とを異なる値とすることで、一次空気の量を変化させない硫化水素濃度の範囲を一定の濃度範囲とすることができる。なお、硫化水素濃度の上限の目標値と下限の目標値とを同一の値としてもよい。また、目標値としては、例えば50ppmに設定することができる。
【0067】
また、制御手段28は、測定位置における硫化水素濃度の上限の目標値及び/または下限の目標値を、焼却炉の運転条件によって変化させても、運転条件にかかわらず一定としてもよい。運転条件によって、上限の目標値及び/または下限の目標値を変化させた場合は、燃焼空気に含まれる硫化水素の量の増減に対応して一次空気量を制御することができ、硫化水素の発生をより適切に低減することができ、測定位置の硫化水素濃度を目標値に近い値に維持することができる。なお、上限の目標値及び/または下限の目標値を一定にして、上限の目標値及び/または下限の目標値と運転条件との関係から一次空気量を制御する場合も同様である。また、硫化水素濃度の上限の目標値及び/または下限の目標値を運転条件にかかわらず一定とした場合は、運転条件を検出する必要がなくなり、条件に応じて目標値を算出する必要が無くなるため、制御が簡単になる。また、条件によらず、硫化水素の濃度を設定値以下となるように制御することができる。
【0068】
燃焼制御装置18は、基本的に以上のような構成である。燃焼制御装置18は、燃焼炉内の燃焼空気の硫化水素濃度を計測し、その計測結果に基づいて、一次空気量を調整することで、還元状態を強くした状態で燃焼を行う場合でも、硫化水素の発生を抑制することができる。このように、硫化水素の発生を抑制することで、燃焼炉12内に配置されている各部、例えば再熱器を構成するボイラーチューブや、燃焼炉の壁面等が硫化水素により腐食することを抑制することができ、より長い期間、装置を稼動させることが可能となる。また、硫化水素の発生を抑制しつつ、還元状態を強くした状態で燃焼を行うため、窒素酸化物の発生も抑制することができる。
【0069】
また、燃料(石炭、石油)に含まれる硫黄成分は、燃料によって変化するため、予め作成したマップに基づいて、一次空気量を制御しても、一次空気が過剰になったり、少なくなりすぎたりするが、燃焼空気の硫化水素濃度を計測することで、より適切に一次空気量を制御することができる。例えば、硫黄成分が少ない石炭(微粉炭)の場合は、硫化水素が発生しにくいため、より強い還元状態、つまり一次空気が少なくても硫化水素の発生量が少ないのに対して、硫黄成分が多い石炭(微粉炭)の場合は、硫化水素が発生しやすいため、同様の還元状態では、多くの硫化水素が発生する。そのため、予め設定されている条件マップに基づいた制御では、このような状態の変化により一次空気の量を変化させることが困難であり工程が増えたり、装置コストが上がったりするが、本実施形態では、計測を行うことで、燃料の特性の検出等を行うことなく、硫化水素の発生を抑制しつつ、適正な還元状態での燃焼が可能となる。また、実際に測定した計測結果に基づいて、一次空気量を算出できるため、演算も簡単にすることができる。
【0070】
また、HS計測ユニットとして、近赤外のレーザ光を用いTDLAS法で硫化水素の濃度を計測することで、短時間で正確にまた連続的に測定対象の硫化水素の濃度を計測することができる。硫化水素の濃度を正確に算出できることで、一次空気量の調整を正確に行うことができ、より好適に硫化水素を低減することができる。また、レーザ光として近赤外の波長域の光を用いることで、測定対象のガスをより正確に測定することができる。つまり、硫化水素の測定対象以外のガスを検出することを抑制でき、燃焼空気中の硫化水素の濃度を短時間で正確に測定することができる。なお、本実施形態では、測定対象のガスのみを正確に計測できるため近赤外のレーザ光を用いたが、近赤外波長域以外のレーザ光も用いることはできる。
【0071】
さらに、短時間で連続的に計測できることで、燃焼条件の変化に対する応答性をより高くすることができ、燃焼空気内で発生する塩化水素をより確実に低減することができる。
【0072】
ここで、濃度計測手段24は、燃焼炉12内の燃焼空気の移動経路のいずれの位置を測定位置としてもよく、いずれの位置の燃焼空気の硫化水素濃度を検出しても、その結果に基づいて制御し、硫化水素の発生を抑制することはできるが、未燃燃料存在還元域を測定位置とすることが好ましく、バーナ燃焼域を測定位置とすることがより好ましい。燃焼炉12内でより硫化水素が発生しやすい領域である、未燃燃料存在還元域、バーナ燃料域の硫化水素濃度を計測することで、その領域における硫化水素濃度を所定値以下に維持するように制御することが可能となり、燃焼炉12内で硫化水素が発生することを抑制することができ、硫化水素が存在する領域をより少なくすることができる。また、測定位置は、燃焼空気の移動方向において、バーナよりも下流側で再熱器よりも上流側に設けることが好ましい。このように再熱器よりも上流側に設け、測定位置の硫化水素濃度を一定値以下に保持することで、再熱器の腐食を抑制することができる。
【0073】
ここで、上記実施形態では、4つのバーナ30を、排出した空気が円を描くように配置したが、本発明はこれに限定されない。図6−1及び図6−2は、それぞれ、バーナの配置の他の一例を示す断面図である。例えば、図6−1に示すように、バーナ30を燃焼炉12の壁面に対して所定角度傾斜させて配置してもよい。また、図6−2に示すように、バーナ30を燃焼炉12の角に配置してもよい。また、バーナ30の数は、4個に限定されずいくつでもよい。また、一平面上に全てのバーナ30を配置する必要もなく、鉛直方向の異なる位置、つまり高さが異なる位置にバーナ30を配置してもよい。
【0074】
また、燃焼制御装置18では、HS計測ユニット64のみを設け、燃焼空気の硫化水素濃度の測定結果から燃焼炉12に供給する空気の量を制御したが、本発明はこれに限定されない。以下、図7と共に、本発明の燃焼制御装置の他の実施形態について説明する。
【0075】
図7は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図7に示すボイラ100は、燃焼制御装置102の構成を除いて他の構成は、図1に示すボイラ10と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、ボイラ100に特有の点を重点的に説明する。図7に示すボイラ100は、燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16と、燃焼制御装置102とを有する。燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16は、図1に示すボイラ10の各部と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0076】
燃焼制御装置102は、燃料供給手段20と、空気供給手段22と、濃度計測手段104と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28とを有する。燃料供給手段20と、空気供給手段22と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28は、図1に示す燃焼制御装置18の各部と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、濃度計測手段104は、案内管60と、吸引ポンプ62と、HS計測ユニット64と、酸素計測ユニット106とを有し、燃焼炉12内の測定位置における燃焼空気のHS(硫化水素)の濃度と、O(酸素)の濃度を計測する。酸素計測ユニット106以外の各部は、図1に示す濃度計測手段24と同様であるので、説明は省略する。
【0077】
酸素計測ユニット106は、上述したHS計測ユニット64と同様の構成であり、同様の検出方法で案内管60を流れる燃焼空気中の酸素濃度(O濃度)を計測する。酸素計測ユニットは、計測した酸素濃度信号を制御手段28に送る。
【0078】
制御手段28は、濃度計測手段104のHS計測ユニット64から送られる燃焼空気のHS濃度の計測結果に加え、酸素計測ユニット106から送られる燃焼空気の酸素濃度の測定結果に基づいて、燃料供給手段20から燃焼炉12内に供給する空気(一次空気)の量、及び、空気供給手段22からから燃焼炉12内に供給する空気(二次空気)の量を調整する。なお、NO計測ユニット86から送られる燃焼空気のNO濃度の検出結果は、上述と同様に加味して制御しても、加味しないで制御してもよい。
【0079】
具体的には、制御手段28は、図5に示すように、硫化水素濃度に基づいて制御を行い、さらに、酸素濃度が目標値(例えば、酸素濃度2.8%)以上、または目標範囲となるように二次空気の供給量を調整する。つまり、酸素濃度が下限値よりも低い場合は、二次空気の供給量を多くし、酸素濃度が上限値よりも高い場合は、二次空気の供給量を少なくする。
【0080】
このように、硫化水素濃度の測定位置における酸素濃度を測定することで、測定位置の酸素濃度を所定の値、または所定の範囲に維持することができる。これにより、燃焼炉12内の酸素濃度を一定以上とすることができ、失火しないように燃焼を行うことができる。また、酸素濃度を一定値以下に維持することができ、所定の還元状態を維持することができる。
【0081】
また、酸素計測ユニット106として、HS計測ユニット64と同様の計測方法を用いることで、短時間で正確に濃度を計測することができるという、上記と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、酸素計測ユニットにより、硫化水素濃度の測定位置における酸素濃度を計測したが、酸素濃度の変わりに一酸化炭素(CO)濃度を計測するようにしてもよい。この場合は、上記と同様の計測方法により一酸化炭素濃度を計測すればよい。また、制御手段28は、一酸化炭素濃度が下限値よりも低い場合は、二次空気の供給量を少なくし、一酸化炭素濃度が上限値よりも高い場合は、二次空気の供給量を多くする。また、制御手段は、硫化水素の濃度を上限の目標値以下とする制御を優先させるようにすることが好ましい。つまり、酸素濃度、一酸化炭素濃度が所定範囲からはずれている場合でも、硫化水素濃度を上限の目標値以下とする制御を優先させることが好ましい。
【0083】
なお、上記実施形態では、装置を簡単にでき、またより適切な制御ができるため、同じ測定位置で取得した燃焼空気の濃度を計測したが、夫々の物質を異なる位置で計測するようにしてもよい。
【0084】
また、燃焼制御装置は、燃焼炉12内の硫化水素濃度を計測する手段を複数設けることが好ましい。以下、図8と共に、本発明の燃焼制御装置の他の実施形態について説明する。図8は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図8に示すボイラ120は、燃焼制御装置122の構成を除いて他の構成は、図1に示すボイラ10と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、ボイラ120に特有の点を重点的に説明する。図8に示すボイラ120は、燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16と、燃焼制御装置122とを有する。燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16は、図1に示すボイラ10の各部と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0085】
燃焼制御装置122は、燃料供給手段20と、空気供給手段22と、濃度計測手段(本実施形態では、「第1濃度計測手段」となる。)24と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28と、第2濃度計測手段124とを有する。燃料供給手段20と、空気供給手段22と、濃度計測手段24と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28は、図1に示す燃焼制御装置18の各部と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0086】
第2濃度計測手段124は、案内管126と、吸引ポンプ128と、HS計測ユニット130とを有し、燃焼炉12内の濃度計測手段24の測定位置とは異なる測定位置における燃焼空気のHS(硫化水素)の濃度を計測する。なお、第2濃度計測手段124は、配置位置以外は、(第1)濃度計測手段24と同様の構成となる。第2濃度計測手段124は、燃焼空気の移動経路において、吹出口50と吹出口56との間、つまり、未燃燃料存在還元域に、案内管126の端部の開口が配置されており、未燃燃料還元域の燃焼空気の硫化水素濃度を計測する。
【0087】
制御手段28は、濃度計測手段24で計測されたバーナ燃料域の測定位置の硫化水素濃度と、第2濃度計測手段124で計測された未燃燃料存在還元域の測定位置の硫化水素濃度とに基づいて、一次空気、二次空気の量を制御する。
【0088】
このように、燃焼空気の移動経路における位置が異なる複数個所の検出結果に基づいて空気の供給量を制御することで、硫化水素の発生をより確実に抑制することができ、さらに、各領域における還元状態も適切に制御することができる。また、上記実施形態では、2箇所で測定を行ったが、測定位置をより多くすることで、さらに精密な計測を行うことができ、精細な制御を行うことが可能となる。
【0089】
ここで、上記実施形態では、一次空気と二次空気の量を調整する場合で説明したが、さらに、流量制御弁毎、また可能であれば吹出口毎に流量を制御するようにすることが好ましい。つまり、本実施形態であれば、二次空気の量も流量調整弁48と流量調整弁54の開度をそれぞれ調整することで、未燃燃料存在還元域の中でもバーナ燃焼領域側の領域により多くの空気を供給するか、燃焼完結域側の領域により多くの空気を供給するかを制御することができる。これにより、燃焼炉内の各領域の状態をより精細に制御することができ、適切な還元状態を作り、硫化水素の発生を抑制しつつ、窒素酸化物の発生も抑制することができる。なお、制御手段は、燃焼空気の移動方向において上流側(バーナ側)から下流側(煙道側)に向かうに従って、空気(酸素)の量が多くなるように調整することが好ましい。これにより、還元状態を徐々に弱くすることができ、硫化水素、窒素酸化物の発生を抑制しつつ、燃焼を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態のような、ボイラに用いる場合は、大量の燃焼空気が生成され、燃焼炉の開口面積が大きくなるため、燃焼空気の移動経路において同一位置とみなせる領域の複数点(本実施形態では、鉛直方向の位置が同一で、水平方向の位置が異なる点)の硫化水素濃度を測定することが好ましい。以下、図9を用いて一例を説明する。ここで、図9は、濃度計測手段の配置の他の一例を示す断面図である。図9に示す燃焼制御装置132は、濃度計測手段24と第2濃度計測手段134とを有する。
【0091】
第2濃度計測手段134は、濃度計測手段24と同じ構成であり、濃度計測手段24の測定位置と、同一断面にあり、断面内における位置が濃度計測手段24の測定位置と異なる位置を測定位置とし、その位置の硫化水素濃度を計測する。なお、この場合は、制御手段28は、2点で測定した濃度から最高濃度、最低濃度、平均濃度等算出し、算出した濃度を燃焼空気の移動経路の測定位置における濃度として、制御を行う。なお、複数点の測定結果から硫化水素濃度を算出する方法は特に限定されず、測定結果から濃度の分布を算出して、全体の硫化水素濃度を求めるようにしてもよい。
【0092】
このように燃焼空気の移動経路において同一位置とみなせる領域において複数点の硫化水素濃度を測定することで、燃焼室内に位置によって硫化水素濃度の偏りがあった場合、例えば、中央と端部で濃度が異なる場合も燃焼空気中の硫化水素濃度をより正確に測定することができ、より適切に供給する空気を制御することができる。
【0093】
なお、図8及び図9に示すように複数点の濃度を計測する場合も夫々の点において複数の種類の物質の濃度を計測するようにしてもよい。例えば、硫化水素と一酸化炭素、硫化水素と酸素、以下に説明する硫化水素と一酸化窒素等の組み合わせで計測してもよい。
【0094】
また、燃焼制御装置は、測定位置で、硫化水素濃度と一酸化窒素濃度を計測し、その計測結果に基づいて制御を行うようにしてもよい。以下、図10と共に、本発明の燃焼制御装置の他の実施形態について説明する。
【0095】
図10は、本発明の燃焼制御装置を有するボイラの他の実施形態の概略構成を示すブロック図である。なお、図10に示すボイラ140は、燃焼制御装置142の構成を除いて他の構成は、図1に示すボイラ10と同様であるので、同様の構成要素の説明は省略し、以下、ボイラ140に特有の点を重点的に説明する。図10に示すボイラ140は、燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16と、燃焼制御装置142とを有する。燃焼炉12と、煙道14と、再熱器ユニット16は、図1に示すボイラ10の各部と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0096】
燃焼制御装置142は、燃料供給手段20と、空気供給手段22と、濃度計測手段144と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28とを有する。燃料供給手段20と、空気供給手段22と、窒素酸化物濃度計測手段26と、制御手段28は、図1に示す燃焼制御装置18の各部と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、濃度計測手段144は、案内管60と、吸引ポンプ62と、HS計測ユニット64と、NO計測ユニット146とを有し、燃焼炉12内の測定位置における燃焼空気のHS(硫化水素)の濃度と、NO(一酸化窒素)の濃度を計測する。NO計測ユニット146以外の各部は、図1に示す濃度計測手段24と同様であるので、説明は省略する。
【0097】
NO計測ユニット146は、上述したN2S計測ユニット64と同様の構成であり、同様の検出方法で案内管60を流れる燃焼空気中の一酸化窒素濃度(NO濃度)を計測する。NO計測ユニット146は、計測した酸素濃度信号を制御手段28に送る。
【0098】
制御手段28は、濃度計測手段144のHS計測ユニット64から送られる燃焼空気のHS濃度の計測結果に加え、NO計測ユニット146から送られる燃焼空気の酸素濃度の測定結果に基づいて、燃料供給手段20から燃焼炉12内に供給する空気(一次空気)の量、及び、空気供給手段22からから燃焼炉12内に供給する空気(二次空気)の量を調整する。なお、NO計測ユニット86から送られる燃焼空気のNO濃度の検出結果は、上述と同様に加味して制御しても、加味しないで制御してもよい。
【0099】
以下、図11を用いて、制御手段28による制御の一例を説明する。ここで、図11は、制御手段による空気供給量の制御方法の一例を示すフロー図である。まず、NO計測ユニット146で計測されたNO(一酸化窒素)濃度及び濃度計測手段144で計測された硫化水素濃度が制御手段28に入力されたら、制御手段28は、ステップS30として、計測されたNO濃度が上限の目標値よりも大きいかを判定する。
【0100】
制御手段28は、ステップS30で計測されたNO濃度が上限の目標値よりも大きい(Yes)と判定したら、ステップS32に進み、現状設定されている一次空気量(一次空気の供給量)を一定量低減させる。つまり、バーナ30から噴射される空気の量を一定量少なくする。その後、制御手段28は、ステップS44に進む。
【0101】
また、制御手段28は、ステップS30で、計測されたNO濃度が上限の目標値以下である(No)と判定したら、ステップS34に進み、計測された硫化水素濃度が上限の目標値よりも大きいかを判定する。
【0102】
また、制御手段28は、ステップS34で、計測された硫化水素濃度が上限の目標値以下である(No)と判定したら、ステップS36に進み、計測された硫化水素濃度が下限の目標値よりも小さいかを判定する。制御手段28は、ステップS36で、計測された硫化水素濃度が下限の目標値よりも小さい(Yes)と判定したら、ステップS38に進み、現状設定されている一次空気量(一次空気の供給量)を一定量低減させる、つまり、バーナ30から噴射される一次空気の量を一定量少なくする。その後、制御手段28は、ステップS44に進む。また、制御手段28は、ステップS36で、計測された硫化水素濃度が下限の目標値以上である(No)と判定したら、ステップS44に進む。
【0103】
また、制御手段28は、ステップS34で計測された硫化水素濃度が上限の目標値よりも大きい(Yes)と判定したら、ステップS40として、計測されたNO濃度が下限の目標値よりも小さいかを判定する。制御手段28は、ステップS40で、NO濃度が下限の目標値よりも小さい(Yes)と判定したら、ステップS42に進み、現状設定されている一次空気量(一次空気の供給量)を一定量増加させる。つまり、バーナ30から噴射される空気の量を一定量多くする。その後、制御手段28は、ステップS44に進む。また、制御手段28は、ステップS40で、計測されたNO濃度が下限の目標値以上である(No)と判定したら、ステップS44に進む。
【0104】
制御手段28は、ステップS44で、ボイラが停止しているか(つまり、燃焼が停止しているか)を判定する。制御手段28は、ステップS44で、ボイラが停止していない(No)と判定したらステップS30に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御手段28は、ステップS44で、ボイラが停止している(Yes)と判定したら処理を終了する。以上のようにして、制御手段28は、燃焼炉12に供給される空気の量を制御する。なお、空気の量は、流量調整弁38、48、54を制御、例えば開度を調整することで変化させることができる。
【0105】
燃焼制御装置142は、以上のように、測定位置における硫化窒素濃度と一酸化窒素濃度を検出し、その検出結果に基づいて、制御を行うことで、測定位置の一酸化窒素濃度を所定の値、または所定の範囲に維持することができる。これにより、燃焼炉12内の一酸化窒素の量を一定濃度以下とすることができ、窒素酸化物の量を少なくすることができる。
【0106】
また、図11に示すフロー図のように、一酸化窒素の計測結果に基づく制御を優先させる、つまり、一酸化窒素の濃度が高いときは硫化水素の量にかかわらず、一次空気の量を低減させ、かつ、一酸化窒素の濃度が下限値以下になっていない場合は、一次空気の量を増加させないようにすることで、窒素酸化物の発生量を所定量以下に維持しつつ、硫化水素の発生も低減することができる。
【0107】
また、NO計測ユニット146として、HS計測ユニット64と同様の計測方法を用いることで、短時間で正確に濃度を計測することができるという、上記と同様の効果を得ることができる。なお、還元状態、かつ、高温である測定位置は、NOが発生しやすい状態であるので、本実施形態のように一酸化窒素を計測することが好ましいが、二酸化窒素を計測しても、複数の窒素酸化物を計測するようにしてもよい。
【0108】
なお、上記実施形態では、正確かつ短時間で、また、測定対象の物質を選択的に検出できるため、TDLAS法を用いて濃度を計測したが、本発明はこれに限定されず、光分析法、FTIR法(赤外分光法)等、種々の光を透過させて濃度を計測する計測方法の装置を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明にかかる燃焼制御装置は、物質を燃焼させる燃焼炉を適切に燃焼させるのに有用であり、特に、窒素酸化物の生成を抑制する燃焼炉の制御装置として用いることに適している。
【符号の説明】
【0110】
10 ボイラ
12 燃焼炉
14 煙道
16 再熱器ユニット
18 燃焼制御装置
20 燃料供給手段
22 空気供給手段
24 濃度計測手段
26 窒素酸化物濃度計測手段
28 制御手段
30 バーナ
32 配管
34 微粉炭供給部
36 送風機
38、48、54 流量調整弁
40 第1空気供給ユニット
42 第2空気供給ユニット
44 送風機
45 主配管
46 第1配管
50、56 吹出口
52 第2配管
60 案内管
62 吸引ポンプ
64 計測ユニット
66 HS計測手段本体
68 発光部
70 計測セル
72 受光部
80 案内管
82 前処理部
84 吸引ポンプ
86 NO計測ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を燃焼させる燃焼炉に供給する燃料と空気を制御する燃焼制御装置であって、
前記燃焼炉内に燃料及び空気を供給する燃料供給手段と、
燃焼空気の流れ方向において、前記燃料供給手段よりも下流側に配置され、前記燃焼炉内に空気を供給する空気供給手段と、
燃焼空気の流れ方向において、前記燃料供給手段よりも下流側の測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の硫化水素濃度を計測する濃度計測手段と、
前記濃度計測手段の計測結果に基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量を制御する制御手段とを有することを特徴とする燃焼制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測定位置における硫化水素濃度が設定された上限値よりも高い場合は、前記燃料供給手段から供給する空気の量を増加させ、前記測定位置における硫化水素濃度が設定された下限値よりも低い場合は前記燃料供給手段から供給する空気の量を低減させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼制御装置。
【請求項3】
前記測定光は、前記硫化水素が吸収する波長域のレーザ光であり、
前記濃度計測手段は、レーザ光を発光する発光素子と、前記発光素子で発光され、前記燃焼空気を通過したレーザ光を受光する受光素子と、前記発光素子で発光させた光と、前記受光素子で受光した光に基づいて、硫化水素の濃度を算出する算出手段とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼制御装置。
【請求項4】
前記濃度計測手段は、前記燃焼炉内の前記測定位置の空気を案内する案内管を有し、前記発光素子は、前記案内管を流れる燃焼空気に向けてレーザ光を照射し、前記受光素子は、前記案内管内の燃焼空気を通過したレーザ光を受光することを特徴とする請求項3に記載の燃焼制御装置。
【請求項5】
さらに、前記測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の酸素濃度を計測する酸素濃度計測手段を有し、
前記制御手段は、前記酸素濃度計測手段の計測結果にも基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の燃焼制御装置。
【請求項6】
前記濃度計測手段は、濃度を計測する機構を複数有し、燃焼空気の流れ方向における位置が異なる複数の測定位置における硫化水素濃度を計測し、
前記制御手段は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段から離れるにしたがって、前記燃焼炉内の空気の硫化水素濃度が徐々に低くなるように、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の燃焼制御装置。
【請求項7】
前記空気供給手段は、前記燃焼炉に空気を供給する機構を複数有し、
前記制御手段は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段から離れるにしたがって、前記燃焼炉内の空気の酸素濃度が徐々に高くなるように、前記空気供給手段から供給する空気の量を制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の燃焼制御装置。
【請求項8】
前記測定位置は、燃焼空気の流れ方向において前記燃料供給手段よりも下流側で、前記焼却炉内に配置された再熱器よりも上流側であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の燃焼制御装置。
【請求項9】
さらに、前記測定位置の燃焼空気に測定光を通過させることで、前記燃焼空気の窒素酸化物濃度を計測する窒素酸化物濃度計測手段を有し、
前記制御手段は、前記窒素酸化物濃度計測手段の計測結果にも基づいて、前記燃料供給手段から供給する空気量と、前記空気供給手段から供給する空気量とを制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の燃焼制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記窒素酸化物濃度計測手段の計測結果が、設定された上限値よりも高い場合は、前記硫化水素濃度にかかわらず、前記燃料供給手段から供給する空気量を増加させることを特徴とする請求項9に記載の燃焼制御装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−75157(P2011−75157A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225086(P2009−225086)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】