説明

燃焼機器

【課題】 開閉可能に取り付けられた蓋の支持強度を強固にした燃焼機器を提供する。
【解決手段】 先端を軸受け部8に取り付けて開口部7を開閉可能なようににする蓋6の支持構造について、軸受け部8に形成したカギ型係止部10の係止爪9と蓋6の爪受け面15が当接し、軸受け部8に形成した凸型係止部11と蓋6の背面が当接し、軸受け部8に形成したロッド12を差し込む軸支持体14と蓋6の切り欠き部18を構成する切り欠き端面19が当接して係止することで、蓋6を開放して開放可能な範囲の最大位置に達した時における支持力が上がったことで蓋6が軸受け部8から外れなくなり、蓋6が変形や破損するといった不具合を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃油を燃焼させて室内の暖房を行う燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のものにおいては、機器本体の上面板にある開口部に蓋を設置し、蓋の端辺に取り付けた軸受け部に形成した軸支持体で支持される軸によって蓋が回動可能となって開口部を開閉するものがあり、軸受け部に設けた複数のリブと突起状のストッパによって蓋の開放方向に加わる応力に抗し、蓋の支持力を強固にすることで軸受け部や蓋が変形する等の不具合を防止するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−60331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、機器本体の上面板が存在する横方向に蓋が開閉するので、蓋の背面と上面板が当接して蓋の開放方向への応力に抗し蓋の支持が可能であり、蓋が開放可能な範囲を超えて回動することはなかったが、上面板が存在しない縦方向に蓋が開閉する構造の場合、蓋が開放可能な範囲の最大位置に達しても蓋の背面と当接する箇所が存在せず、開放した蓋を支持する強度が低下することで開放可能な範囲を超えて回動してしまい、蓋や軸受け部が変形し破損する場合がある。
【0005】
また、蓋に過度な力を与えて開放方向に回動させると開放方向にかかる応力が大きくなり、リブやストッパで耐えられる応力の範囲を超え、軸支持体から軸が取れて蓋が軸受け部から外れる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では機器本体と、該機器本体を構成する上面板に形成した開口部と、該開口部の端辺に設置した軸受け部と、該軸受け部に一端を回動自在に軸支して前記開口部を開閉する蓋とを備えた燃焼機器において、前記蓋には端辺に形成した突起状の切り起こし片と、端辺に沿って切り起こした爪受け面と、蓋の端辺を切り抜いた切り欠き部を設け、前記軸受け部には突起状の軸支持体と、爪受け面に当接するように形成した爪受け面当接部と、蓋の背面に当接するように形成した蓋背面当接部とを設け、前記軸支持体と切り起こし片に形成した軸穴に軸を連通して蓋を回動可能にすると共に、前記蓋が開放状態の時、爪受け面と爪受け面当接部とが当接し、蓋の背面と蓋背面当接部とが当接し、更に切り欠き部の切り欠き端面と軸支持体とが当接するものである。
【0007】
また、請求項2では前記蓋の一端辺の略中央に爪受け面を形成し、該爪受け面の両端に切り起こし片を形成し、更に切り起こし片の両端に切り欠き部を形成すると共に、前記軸受け部の略中央に爪受け面当接部を形成し、該爪受け面当接部の両端に軸支持体を形成し、更に軸受け部の蓋側の長手方向に蓋背面当接部を形成したものである。
【0008】
また、請求項3では前記爪受け面当接部を断面略逆L状に形成し、前記蓋背面当接部を断面凸状に形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、蓋に形成した爪受け面と軸受け部に形成した爪受け面当接部が当接し、蓋の背面と軸受け部に形成した蓋背面当接部が当接し、更に、蓋の切り欠き端面と軸支持体が当接して蓋を支持するので、蓋が開放可能な範囲の最大位置に達した時における蓋の支持力が強固になり、蓋が開放可能な範囲を超えて回動することがなく、切り起こし片と軸支持体で支持する軸が軸穴から抜けず蓋が軸受け部から外れなくなることで、蓋が変形、破損するといった不具合の発生を防止できる。
【0010】
また、この発明の請求項2によれば、軸受け部に形成した爪受け面当接部と蓋背面当接部が対向する位置にあり、蓋が開放状態の時、爪受け面当接部と蓋背面当接部が蓋の爪受け面と背面にそれぞれ当接することで開放方向の応力を分散して支持することから、爪受け面当接部と蓋背面当接部のそれぞれにかかる負荷を軽減して蓋を支持するので軸受け部が破損することがなく、また、軸支持体を軸受け部の両端部にそれぞれ設置して軸を支持することで、軸をバランスよく支持して蓋を回動可能にすることができ、軸支持体の間に爪受け面当接部と蓋背面当接部を設置することで、軸が軸支持体から外れ難くなることからスムーズな開閉動作が行える。
【0011】
また、この発明の請求項3によれば、爪受け面当接部を断面略逆L字状に形成することで、蓋が開放可能な範囲の最大位置まで達した時に、爪受け面が爪受け面当接部の先端のL字状部分に入り込むようにして係止されるので蓋が爪受け面当接部から抜け難い構造になり、また、蓋背面当接部を断面凸状に形成することで、蓋が開放可能な範囲の最大位置まで達した時、蓋の背面が凸部の角に当接して係止されるので、最大位置から更に開放方向へ回動するおそれがなくなることから、蓋が軸受け部から外れることがなく安全に開閉動作を行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼機器の正面斜視図
【図2】同実施形態の蓋と軸受け部を示す斜視図
【図3】同実施形態の蓋開放時を示す斜視図
【図4】同実施形態の蓋開放時を示す背面斜視図
【図5】同実施形態の蓋の支持を示す要部断面図
【図6】同実施形態の蓋の支持を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次にこの発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
1は燃焼部を備えた機器本体であり、2は機器本体1の上面を構成する上面板、3は上面板2にあり各種スイッチで操作を行う操作部、4は操作部3で行った操作内容等を液晶画面に表示する表示部、5は機器本体1の正面側にあり温風を吹き出す温風吹出口、6は上面板2の角にあり図示しない燃料タンクを着脱する開口部7を開閉する蓋である。
【0014】
次に、蓋6を機器本体1に取り付ける構造に関して図2から図4に基づいて説明する。
8は開口部7の端辺に設置された軸受け部である。軸受け部8には断面略逆L字状に形成され先端に係止爪9を備えた突起で爪受け面当接部としてのカギ型係止部10と、凸型の形状をした突起で蓋背面当接部としての凸型係止部11とが形成され、軸としてのロッド12を両端の突起に形成した軸穴13に連通させて支持する軸支持体14とを備えている。
【0015】
15は蓋6の端辺の一部を切り起こして形成した突起状の爪受け面であり、爪受け面15と同一の端辺には、ロッド12が連通するように軸穴16を形成した突起状の切り起こし片17と、軸支持体14がはまり込むように形成した切り欠き部18を構成する一端面の切り欠き端面19とが備えられている。
【0016】
以上の構成から、軸支持体14の軸穴13と切り起こし片17の軸穴16を重ねるように設置し、2つの軸穴に対してロッド12を連通させることで、蓋6が所定の範囲内で回動して開口部7を開閉可能に設置できる。
【0017】
次に、軸受け部8による蓋6の支持について説明する。
まず、カギ型係止部10による蓋6の支持を図5に基づいて説明すると、蓋6が開放可能な範囲の最大位置まで達すると、蓋6の爪受け面15がカギ型係止部10の係止爪9に当接するので蓋6を開放した状態で支持することが可能となる。そして、蓋6の開放方向であるA方向へ更に力を加えたとしても、カギ型係止部10に形成された係止爪9に蓋6の爪受け面15が当接してA方向への応力に抗して支持するので、蓋6が開放可能な範囲を超えて回動することがない。
【0018】
また、図5で示されるように、蓋6を開放して開放可能な範囲の最大位置まで達すると、蓋6の背面が凸型係止部11に当接するので、蓋6の開放方向であるA方向へ更に力を加えたとしても、凸型係止部11が抗して支持するので、蓋6が開放可能な範囲を超えて回動することがない。
【0019】
更に、軸支持体14による蓋6の支持を図6に基づいて説明すると、蓋6を開放して開放可能な範囲の最大位置まで達すると、蓋6の切り欠き部18を構成する端面の一つである切り欠き端面19が軸支持体14に当接するので、蓋6が開放方向であるA方向へ力を加えられると切り欠き端面19にはA方向とは逆方向の力が加わるが、軸支持体14に当接して支持されるため、蓋6が開放可能な範囲を超えて回動することがない。
【0020】
以上により、燃料タンクの取り出し等で蓋6を開放して、蓋6が開放可能な範囲の最大位置に達してから更に開放方向へ力を加えても、蓋6の先端にある爪受け面15がカギ型係止部10の先端に形成された係止爪9に当接し、蓋6の背面が凸型係止部11と当接し、更に軸支持体14と蓋6の切り欠き部18を構成する切り欠き端面19が当接して蓋6を支持するため、蓋6が開放可能な範囲を超えて回動することがなく、軸支持体14で支持されているロッド12から外れなくなることで、蓋6と軸受け部8が変形や破損するといった不具合を防ぐことができる。
【0021】
また、機器本体1を製造する工程の中に、蓋6を軸受け部8に取り付ける作業があるが、片手で蓋6を軸受け部8の所定位置に入れつつ他方の手でロッド12を差し込むといった煩雑な作業を要していたが、カギ型係止部10と凸型係止部11と軸支持体14とで開放状態の蓋6を支持することで、片手で蓋6を支持せずとも軸受け部8に蓋6を固定してロッド12を差し込むことが可能になったので、作業工程中の煩雑な作業を簡易にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 機器本体
2 上面板
6 蓋
7 開口部
8 軸受け部
10 カギ型係止部
11 凸型係止部
12 ロッド
14 軸支持体
15 爪受け面
17 切り起こし片
18 切り欠き部
19 切り欠き端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、該機器本体を構成する上面板に形成した開口部と、該開口部の端辺に設置した軸受け部と、該軸受け部に一端を回動自在に軸支して前記開口部を開閉する蓋とを備えた燃焼機器において、前記蓋には端辺に形成した突起状の切り起こし片と、端辺に沿って切り起こした爪受け面と、蓋の端辺を切り抜いた切り欠き部を設け、前記軸受け部には突起状の軸支持体と、爪受け面に当接するように形成した爪受け面当接部と、蓋の背面に当接するように形成した蓋背面当接部とを設け、前記軸支持体と切り起こし片に形成した軸穴に軸を連通して蓋を回動可能にすると共に、前記蓋が開放状態の時、爪受け面と爪受け面当接部とが当接し、蓋の背面と蓋背面当接部とが当接し、更に切り欠き部の切り欠き端面と軸支持体とが当接することを特徴とする燃焼機器。
【請求項2】
前記蓋の一端辺の略中央に爪受け面を形成し、該爪受け面の両端に切り起こし片を形成し、更に切り起こし片の両端に切り欠き部を形成すると共に、前記軸受け部の略中央に爪受け面当接部を形成し、該爪受け面当接部の両端に軸支持体を形成し、更に軸受け部の蓋側の長手方向に蓋背面当接部を形成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼機器。
【請求項3】
前記爪受け面当接部を断面略逆L状に形成し、前記蓋背面当接部を断面凸状に形成したことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の燃焼機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42094(P2012−42094A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182866(P2010−182866)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】