説明

燃焼装置

【課題】燃焼装置にて、傾斜部材を振動させずに、かつ他の固形燃料を機械的に搬送する可動部材を使用しないで、固形燃料を燃焼装置の奥に導くことができるようにする。
【解決手段】燃焼装置1内で固形燃料Rを燃焼させる際に、固形燃料Rを燃焼装置1の前部の固形燃料Rの投入位置11から燃焼装置1の後部の燃焼装置1奥まで搬送する水冷式ストーカ40を備えた燃焼装置1であって、固形燃料Rを気流50aで燃焼装置1の奥の方向に吹き飛ばす気流噴出手段50を備える燃焼装置1。さらに、気流噴出手段50は、燃焼装置1の本体10の前部側壁12aを貫通する筒状体55、圧縮空気供給源51およびノズル54を備え、ノズル54の出口54aは筒状体55の内側に位置し、圧縮空気供給源51から供給される圧縮空気をパルス状に本体10の内部に噴出すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料を使用した燃焼装置に関し、特に、固形燃料を固形燃料の投入位置から斜め下方の燃焼装置の奥まで導く傾斜部材を振動させずに、かつ固形燃料を機械的に搬送する他の可動部材を使用しないで、固形燃料を燃焼装置の奥に送り込むことができる燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼装置内で固形燃料を燃焼させる際に、前記固形燃料を投入位置から燃焼装置奥まで搬送する水冷式ストーカを備えた燃焼装置がある。この燃焼装置は、例えば、重力を利用して、前記固形燃料を前記投入位置から斜め下方の燃焼装置の奥まで導く傾斜部材と、前記燃焼装置の外部に設置されており、前記傾斜部材を振動させる振動手段とを有している。これにより、前記振動手段により前記傾斜部材を振動させ、重力を利用して前記傾斜部材により前記固形燃料を斜め下方の燃焼装置の奥まで導くことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−4219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、前記傾斜部材を振動させるので、燃焼装置の側壁と前記傾斜部材の両側部との間に隙間が生じ、この隙間から微細な固形燃料が前記傾斜部材の下に落ち込んで燃焼を始め、燃焼装置の風箱が燃焼するという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、前記傾斜部材を振動させずに、かつ他の固形燃料を機械的に搬送する可動部材を使用しないで、固形燃料を燃焼装置の奥に導くことができる燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、燃焼装置内で固形燃料を燃焼させる際に、その固形燃料を燃焼装置前部の固形燃料の投入位置から燃焼装置後部の燃焼装置奥まで搬送するストーカを備えた燃焼装置であって、前記固形燃料を気流で燃焼装置の奥の方向に吹き飛ばす気流噴出手段を備えることを特徴とする燃焼装置である。
これにより、気流噴出手段が燃焼装置内にて気流を噴射して、この気流により固形燃料を燃焼装置の奥の方に吹き飛ばすので、前記固形燃料を燃焼装置内の投入位置から燃焼装置の奥に移動させることができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃焼装置であって、前記気流噴出手段は、燃焼装置の本体の壁を貫通する筒状体、圧縮空気供給源およびノズルを備え、前記ノズルの出口は前記筒状体の内側に位置し、前記圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を前記本体の内部に噴出することを特徴とする燃焼装置である。
これにより、圧縮空気供給源から供給された圧縮空気がノズルの出口から燃焼装置の本体の内部に噴出されると、燃焼装置の本体の壁を貫通する筒状体の内側の空気が前記ノズルの出口から噴出される圧縮空気の気流により引っ張られて本体の内部に噴出するので、ノズルの出口から噴出する気流と前記筒状体から噴出する気流とを合わせた気流が本体内に噴出する。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の燃焼装置であって、前記気流噴出手段がノズルの出口からの圧縮空気の噴出をパルス状に繰り返すことを特徴とする燃焼装置である。
これにより、気流噴出手段によりパルス状に繰り返される気流の噴出により、燃焼装置内の固形燃料が効率よく投入位置から燃焼装置の奥に吹き飛ばされる。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載された燃焼装置であって、前記気流噴出手段の筒状体の気流噴出口が燃焼装置の本体の前部側壁に形成されていることを特徴とする燃焼装置である。
これにより、燃焼装置の本体の前部側壁に設けられた気流噴出手段の筒状体の気流噴出口が燃焼装置の奥の方向に気流を噴出するので、燃焼装置内の固形燃料を容易に燃焼装置の奥に吹き飛ばすことができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、燃焼装置内の傾斜部材を振動させずに、かつ他の固形燃料を機械的に搬送する可動部材を使用しないで、固形燃料を燃焼装置の奥に導くことができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、気流噴出手段から噴出される気流の量を増加させることができるので、固形燃料を容易に燃焼装置の奥に吹き飛ばすことができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果とともに、燃焼装置内の固形燃料を効率よく投入位置から燃焼装置の奥に移動させることができる。
さらに、請求項4記載の発明によれば、請求項1から3までのいずれかに記載の発明の効果とともに、気流噴出手段が固形燃料を燃焼装置の奥に容易に吹き飛ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は水冷式ストーカを備える燃焼装置の縦断面を示し、図2は図1の燃焼装置の気流噴出手段を拡大して詳細に示し、図3は図1のA−A線切断部端面を示し、図4は図1の燃焼装置の水冷式ストーカを示す。さらに、図5は燃焼装置の前部側壁に取り付けられた気流噴出手段を示し、図6は図5の気流噴出手段の横断面を示す。
【0010】
図1に示すように、燃焼装置1は、燃焼装置1内で固形燃料Rを燃焼させる際に、その固形燃料Rを燃焼装置1前部の固形燃料Rの投入位置11から燃焼装置1後部の燃焼装置1の奥まで搬送する水冷式ストーカ40を備えるとともに、固形燃料Rを気流50aで燃焼装置1の奥の方向に吹き飛ばす気流噴出手段50を備えている。なお、固形燃料Rは気流50aで吹き飛ばすことができる木粉、おが屑、石炭の粉等である。
【0011】
さらに、図2に示すように、気流噴出手段50は、圧縮空気供給源51、電磁バルブ52、制御部52a、配管53(図6のノズル接続部53aを含む。)、ノズル54および燃焼装置1の本体10の耐熱炉材12のうち前部側壁12aを貫通する筒状体55を備えている。なお、筒状体55の内径はその先端部55a(空気の吸入側)が基部55b(空気の噴出側)よりも大きくなるように形成され、基部55bの気流噴出口55dが前部側壁12aに形成されている。
圧縮空気供給源51は例えばコンプレッサであり、電磁バルブ52および配管53を介してノズル54に接続されている。制御部52aは電磁バルブ52の開閉を制御し、電磁バルブ52が開いているときには圧縮空気供給源51からノズル54に圧縮空気が供給され、一方、電磁バルブ52が閉じているときは、圧縮空気供給源51からノズル54に圧縮空気が供給されない。ノズル54の出口54aは筒状体55の内側に位置し、ノズル54の出口54aの中心軸と筒状体55の中心軸は一致し、この中心軸の本体10の内部に向いた方向が斜め下方に傾斜している。そして、ノズル54の出口54aが圧縮空気供給源51から供給される圧縮空気を本体10の内部に斜め下方の方向に噴出して斜め下方の方向の気流54bを発生させる。
【0012】
なお、図5に示すように、4組のノズル54および筒状体55が横一列に前部側壁12aに取り付けられている。また、各筒状体55の横方向の位置は水冷式ストーカ40の水冷管43(二点鎖線で位置を示す。)の間に位置している。
また、図6に示すように、配管53の端部にはノズル接続部53aが形成され、このノズル接続部53aは図示しない金具により本体10に固定されている。これにより、各ノズル54と各ノズル54に対応する筒状体55との位置関係が決まる。そして、4個のノズル54がノズル接続部53aに固定されて位置決めされるとともに、ノズル接続部53aに接続されている。
【0013】
さらに、制御部52aが電磁バルブ52の開閉を所定の周期で繰り返すことにより、気流噴出手段50がノズル54の出口54aからの圧縮空気の噴出をパルス状に繰り返すことができる。具体的には、例えば、ノズル54の出口54aから圧縮空気を2〜3秒間噴出し、この噴出を1時間に5〜6回繰り返す。
【0014】
なお、図1に示すように、本体10内に固形燃料Rを投入する燃料供給手段30が気流噴出手段50の上側に設けられている。燃料供給手段30は、ホッパ31、モータ32、モータ32により駆動されるスクリューコンベア33および燃料投入口34を備えている。ホッパ31に投入された固形燃料Rはスクリューコンベア33により燃料投入口34に搬送され、燃料投入口34から本体10内に投入される。なお、11はこの場合の固形燃料Rの投入位置である。
本体10内の固形燃料Rの投入位置11および気流噴出手段50の下側に水冷式ストーカ40が設けられている。水冷式ストーカ40の傾斜部材42はその後部(燃焼装置1の奥側部分)が前部(前部側壁12a側部分)よりも低くなるように傾斜している。
【0015】
図4に示すように、水冷式ストーカ40の傾斜部材42は複数の水冷管43を板材44で連結した形状をしており、各板材44には孔44hが一列に設けられている。なお、孔44hは固形燃料Rよりも小さく形成されている。また、各板材44とその両側の水冷管43により溝Mが構成されている。燃焼装置1の本体10内においては後述する排気手段18により気流が上方に流れているので、傾斜部材42の下側から各孔44hを通過して傾斜部材42の上側に気流が流れることができ、この気流は傾斜部材42上の固形燃料Rを上方に舞い上がらせることができる。また、各溝Mは燃焼装置1の本体10内にて固形燃料Rの投入位置11から燃焼装置1の本体10の奥の方に延びている(図1参照)。
【0016】
図1に示すように、本体10内にて水冷式ストーカ40の上側は固形燃料Rの燃焼部15およびガス化部14となっている。なお、ガス化部14の後部には水平な壁14aが設けられている。この壁14aの上側は煙道部16となる。また、本体10内にて水冷式ストーカ40の下側は本体10の底部13となっている。さらに、本体10内のうち水冷式ストーカ40より奥の下部には灰塵室13hが設けられている。
【0017】
また、図3に示すように、本体10の側面には空気供給手段17が設けられている。空気供給手段17は、ブロア17a、空気配管17b、バルブ17cおよびノズル17dを備えている。なお、空気配管17bにおいて、E1の部分とE2の部分が接続され、F1の部分とF2の部分が接続され、G1の部分とG2の部分が接続されている。ブロア17aは空気配管17bによりバルブ17cを介してノズル17dに接続され、ノズル17dは本体10の耐熱炉材12を貫通している。このため、バルブ17cが開いているときには、ブロア17aから空気が空気配管17bおよびノズル17dを経て本体10内に送り込まれる。
【0018】
さらに、図1に示すように、本体10の上側にボイラー本体20が固定されている。ボイラー本体20は下降管21により水冷式ストーカ40の水冷管43の図示右端部に接続され、水冷管43の図示左端部は上昇管22によりボイラー本体20に接続されている。そして、ボイラー本体20と水冷管43との間を冷却水が循環するようになっている。
さらに、ボイラー本体20には下側煙管23、上側煙管24およびガス室25が設けられ、煙道部16は、下側煙管23、ガス室25および上側煙管24を順次通過して排気手段18に接続されている。
排気手段18は排気管18a、排気ファン18b等を備え、燃焼装置1の排気ガスは矢印18xで示すように流れて、排気手段18により燃焼装置1の外に排出される。
【0019】
以上の構成の燃焼装置1は、以下の動作をする。
気流噴出手段50が燃焼装置1内にて気流50aを噴射して、この気流50aにより固形燃料Rを燃焼装置1の奥の方に吹き飛ばすので、固形燃料Rを燃焼装置1内の投入位置11から燃焼装置1の奥に移動させることができる。なお、その際に、固形燃料Rの灰は固形燃料Rよりも軽いので、固形燃料Rよりも吹き飛ばされやすい。
【0020】
さらに、圧縮空気供給源51から供給された圧縮空気がノズル54の出口54aから燃焼装置1の本体10の内部に噴出されると、本体10の前部側壁12aを貫通する筒状体55の内側の空気55cがノズル54の出口54aから噴出される圧縮空気の気流54bにより引っ張られて本体10の内部に噴出する。なお、この場合、図2に示すように、筒状体55の先端部55aから外気が筒状体55の内部に吸引され、筒状体55の基部55bの気流噴出口55dから気流55eとなって本体10内に噴出する。このため、ノズル54の出口54aから噴出する気流54bと筒状体55から噴出する気流55eとを合わせた気流50aが本体10内に噴出する。
さらに、燃焼装置1内の固形燃料Rを効率よく投入位置11から燃焼装置1の奥に移動させることができる。
さらに、燃焼装置1の前部側壁12aに設けられた気流噴出手段50が燃焼装置1の奥の方向に気流50aを噴出するので、燃焼装置1内の固形燃料Rを容易に燃焼装置1の奥に吹き飛ばすことができる。
【0021】
なお、上記実施の形態において、前部側壁12aに4組のノズル54および筒状体55が配設されているが、これに限定されず、任意の数の組のノズル54および筒状体55を前部側壁12aに配設して、各組の気流50aを平行に噴出するようにしてもよい。
また、水冷式ストーカ40が使用されているが、これに限定されず、水冷式でないストーカを使用してもよい。
また、固形燃料Rの形状は図示されたものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】水冷式ストーカを備える燃焼装置の縦断面図である。
【図2】図1の燃焼装置の気流噴出手段を拡大して詳細に示す説明図である。
【図3】図1のA−A線切断部端面図である。
【図4】図1の燃焼装置の水冷式ストーカの斜視図である。
【図5】燃焼装置の前部側壁に取り付けられた気流噴出手段を示す部分図である。
【図6】図5の気流噴出手段を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 燃焼装置
10 本体
11 固形燃料の投入位置
12 耐熱炉材
12a 前部側壁
50 気流噴出手段
50a 気流
51 圧縮空気供給源
52 電磁バルブ
54 ノズル
54a 出口
54b 気流
55 筒状体
55d 気流噴出口
55e 気流
R 固形燃料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置内で固形燃料を燃焼させる際に、その固形燃料を燃焼装置前部の固形燃料の投入位置から燃焼装置後部の燃焼装置奥まで搬送するストーカを備えた燃焼装置であって、
前記固形燃料を気流で燃焼装置の奥の方向に吹き飛ばす気流噴出手段を備えることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃焼装置であって、
前記気流噴出手段は、燃焼装置の本体の壁を貫通する筒状体、圧縮空気供給源およびノズルを備え、前記ノズルの出口は前記筒状体の内側に位置し、前記圧縮空気供給源から供給される圧縮空気を前記本体の内部に噴出することを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の燃焼装置であって、
前記気流噴出手段がノズルの出口からの圧縮空気の噴出をパルス状に繰り返すことを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載された燃焼装置であって、
前記気流噴出手段の筒状体の気流噴出口が燃焼装置の本体の前部側壁に形成されていることを特徴とする燃焼装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−32289(P2008−32289A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204723(P2006−204723)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390021278)株式会社タカハシキカン (10)
【Fターム(参考)】