説明

燃焼装置

【課題】バーナの点火についての安全性をより一層向上し得る燃焼装置を提供する。
【解決手段】バーナと、そのバーナへ燃料を供給する燃料供給状態とバーナへの燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段Vと、燃料に感応して電気的特性が変化するガス検知体1と、バーナの燃焼開始が指令されると、バーナを点火する点火手段50を作動させ且つ燃料断続手段Vを燃料供給状態に切り換える点火処理を実行する制御手段Cとが設けられ、その制御手段Cが、点火処理の開始後、ガス検知体1の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を実行し、且つ、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れを検知すると燃料断続手段Vを燃料供給停止状態に切り換えるように構成された燃焼装置であって、制御手段Cが、燃焼開始が指令されてから点火処理を実行するまでの点火前期間に、燃料漏れ検知処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナへ燃料を供給する燃料供給状態と前記バーナへの燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段と、
燃料に感応して電気的特性が変化するガス検知体と、
前記バーナの燃焼開始が指令されると、前記バーナを点火する点火手段を作動させ且つ前記燃料断続手段を前記燃料供給状態に切り換える点火処理を実行する制御手段とが設けられ、
その制御手段が、前記点火処理の開始後、前記ガス検知体の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を実行し、且つ、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れを検知すると前記燃料断続手段を前記燃料供給停止状態に切り換えるように構成された燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガス検知体は、燃料に感応して電気的特性が変化するものであり、そのガス検知体の電気的特性に基づいて燃料漏れ、即ち、燃焼装置の周囲等、本来存在すべきでない箇所に燃料が存在することを検知するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、バーナを点火させる点火処理の開始後、ガス検知体の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理が実行され、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れが検知されると、燃料断続手段が燃料供給停止状態に切り換えられてバーナへの燃料の供給が停止されるように構成されるものであり、バーナの着火ミスやバーナの立ち消えによる燃料漏れに対する安全対策が講じられている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−193623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、極めて稀にではあるが、燃料断続手段の故障や、バーナに燃料を供給するための配管の接続不良等により、点火処理が実行される前に燃料が存在する場合がある。又、その他の要因によっても燃料が存在する場合がある。
しかしながら、従来の燃焼装置では、点火処理の開始後に燃料漏れ検知処理が実行されるものであるので、その点火処理の前に起こっていることもあり得る燃料の存在を速やかに検知することができないものであり、安全性をより一層向上する上で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バーナの点火についての安全性をより一層向上し得る燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の燃焼装置は、供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナへ燃料を供給する燃料供給状態と前記バーナへの燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段と、
燃料に感応して電気的特性が変化するガス検知体と、
前記バーナの燃焼開始が指令されると、前記バーナを点火する点火手段を作動させ且つ前記燃料断続手段を前記燃料供給状態に切り換える点火処理を実行する制御手段とが設けられ、
その制御手段が、前記点火処理の開始後、前記ガス検知体の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を実行し、且つ、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れを検知すると前記燃料断続手段を前記燃料供給停止状態に切り換えるように構成されたものであって、
第1特徴構成は、前記制御手段が、前記燃焼開始が指令されてから前記点火処理を実行するまでの点火前期間に、前記燃料漏れ検知処理を実行するように構成されている点にある。
【0008】
即ち、制御手段は、燃焼開始が指令されてから点火処理を実行するまでの点火前期間に、燃料漏れ検知処理を実行するので、点火処理が実行される前に燃料が存在していても、その燃料の存在を速やかに検知することができる。
そして、点火処理が実行される前に制御手段により燃料が検知されると、警報手段を作動させる等の警報処理を実行させるように制御手段を構成することになり、そのように制御手段により実行される警報処理に基づいて、燃料の存在に対する対策を講じることができるようになる。
従って、バーナの点火についての安全性をより一層向上し得る燃焼装置を提供することができるようになった。
【0009】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記点火前期間に、前記燃料漏れ検知処理を複数回実行するように構成されている点にある。
【0010】
即ち、制御手段は、点火前期間に、燃料漏れ検知処理を複数回実行するので、点火処理が実行される前に燃料が存在していても、その燃料の存在をより一層速やかに検知することができる。
従って、バーナの点火についての安全性を更に向上することができるようになった。
【0011】
第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記点火前期間において燃料漏れを検知すると、前記点火処理を実行しないように構成されている点にある。
【0012】
即ち、制御手段は、点火前期間において燃料を検知すると点火処理を実行しないので、燃料が存在するにも拘らず点火処理が実行されるといった不都合を確実に防止することができる。
従って、バーナの点火についての安全性を更に向上することができるようになった。
【0013】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記ガス検知体が、温度が高温側感応温度以上の高温作動状態で燃料に感応して電気的特性が変化し、且つ、温度が前記高温側感応温度よりも低い低温作動状態で不完全燃焼ガスに感応して電気的特性が変化するように構成され、
前記ガス検知体を加熱する加熱手段が設けられ、
前記制御手段が、前記点火前期間は、前記ガス検知体を前記高温作動状態にするように前記加熱手段の作動を制御して前記燃料漏れ検知処理を実行し、前記点火処理の開始後は、前記ガス検知体を前記高温作動状態と前記低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるように前記加熱手段の作動を制御して、前記ガス検知体の電気的特性に基づいて前記高温作動状態で前記燃料漏れ処理を実行し且つ前記低温作動状態で不完全燃焼を検知する不完全燃焼検知処理を実行するように構成されている点にある。
【0014】
即ち、ガス検知体は、温度が高温側感応温度以上の高温作動状態で燃料に感応して電気的特性が変化し、温度が高温側感応温度よりも低い低温作動状態で不完全燃焼ガスに感応して電気的特性が変化するので、ガス検知体を高温作動状態と低温作動状態とに切り換えることにより、1個のガス検知体で、燃料漏れ及びバーナの不完全燃焼を検知することができる。
つまり、燃料漏れと不完全燃焼との両方を検知することができるようにしながらも、燃焼装置の低廉化を図ることができる。
【0015】
そして、制御手段は、点火前期間は、ガス検知体を高温作動状態にするように加熱手段の作動を制御して燃料漏れ検知処理を実行する。
又、制御手段は、点火処理の開始後は、ガス検知体を高温作動状態と低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるように加熱手段の作動を制御して、ガス検知体の電気的特性に基づいて、高温作動状態で燃料漏れ処理を実行し、並びに、低温作動状態で不完全燃焼検知処理を実行する。
つまり、点火処理の前は、バーナの不完全燃焼が起こる虞がないので、燃料漏れ検知処理のみを実行するようにすることにより、燃料漏れを速やかに検知することができ、点火処理の開始後は、バーナの不完全燃焼が起こる虞があるので、燃料漏れ検知処理と不完全燃焼検知処理とを交互に繰り返し実行するように構成することにより、燃料漏れと不完全燃焼とを的確に検知することができる。
従って、燃焼装置の低廉化を図りながら、燃料漏れと不完全燃焼の両方に対する安全性をより一層向上することができるようになった。
【0016】
第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記点火処理の開始後、初期検出用設定時間の間、その初期検出用設定時間の経過後よりも前記初期検出用設定時間以下に設定された比較用設定時間における前記高温作動状態とする頻度を多くする状態で、前記ガス検知体を前記高温作動状態と前記低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるべく前記加熱手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0017】
即ち、点火処理時や、その点火処理の後、バーナの燃焼が安定するまでの間は、着火ミスや立ち消えが起こり易いので、点火処理の開始後、燃焼が安定するまでの所定の期間は、不完全燃焼よりも燃料漏れが起こり易いものである。
そして、点火処理の開始後、初期検出用設定時間の間は、その初期検出用設定時間の経過後よりも、比較用設定時間における高温作動状態とする頻度が多くなる状態で、ガス検知体が高温作動状態と低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えられるので、初期検出用設定時間の間に、燃料漏れが発生するとその燃料漏れを速やかに検知することができる。
従って、上記第4特徴構成により得られる効果に加えて、バーナの燃焼開始初期の燃料漏れに対する安全性をより一層向上し得るという効果を得ることができるようになった。
【0018】
第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記バーナを収納するケーシングに設けられた吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気として前記バーナに供給し、且つ、そのバーナの燃焼ガスを前記ケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すように通風作用する送風手段が設けられ、
前記ガス検知体が、前記吸気口を通して吸い込まれる空気中の燃料に感応するように前記吸気口又は前記吸気口付近に設けられている点にある。
【0019】
即ち、燃焼装置の具体例が、ガス燃料や液体燃料を燃料とするファンヒータである場合、送風手段により、吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気としてバーナに供給し、並びに、そのバーナの燃焼ガスをケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すことにより、暖房対象空間を暖房することになる。
そして、ガス検知体が、吸気口を通して吸い込まれる空気中の燃料に感応するように吸気口又は前記吸気口付近に設けられているので、暖房対象空間の空気中に含まれる燃料を検出して、その検出情報に基づいて燃料漏れを検知することができるようになり、燃料漏れにより安全性が損なわれるのを的確に検知することができる。
従って、バーナの点火についての安全性をより一層向上し得る燃焼装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明を燃焼装置としてのガスファンヒータに適用した場合の実施の形態を説明する。
図1に示すように、ガスファンヒータは、供給されるガス燃料を燃焼させるバーナ41(図10参照)と、そのバーナ41へガス燃料を供給する燃料供給状態とバーナ41へのガス燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段Vと、燃料漏れが生じたときに発生する可燃性ガス(この実施形態ではガス燃料)及びバーナ41が不完全燃焼したときに発生する不完全燃焼ガス(一酸化炭素)を検出するガス検出部Aと、ガスファンヒータの運転を制御する主制御部42と、その主制御部42に各種制御指令を指令する操作部43等を備えて構成されている。
【0021】
図10に示すように、バーナ41は、背面の上方側に吸気口44を備え且つ前面の下方側に吹出し口45を備えたケーシング46内に収納されている。そのケーシング46内には、吸気口44を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気としてバーナ41に供給し、且つ、そのバーナ41の燃焼ガスを吹出し口45からケーシング外に吹き出すように通風作用する送風手段としての送風機47が設けられている。
ケーシング46内には、吸気口44を通して吸い込まれたケーシング外の空気の一部をバーナ41に燃焼用空気として供給し、残部をバーナ41の燃焼ガスと混合させた状態で吹出し口45に導くように、内部風路48が形成されている。送風機47は、ケーシング46内に、吸気口44に対して吸い込み作用させる状態で、その吐出部を吹出し口45に臨ませて設けられている。
つまり、吸気口44を通して吸い込まれた暖房対象空間の空気にバーナ41の燃焼ガスを混合させて温風を生成し、その温風を吹出し口45から暖房対象空間に吹き出して、暖房対象空間を暖房するように構成されている。
吸気口44には、エアフィルタ49が設けられている。
【0022】
又、図1及び図10に示すように、バーナ41を点火する点火手段としてのイグナイタ50、及び、バーナ41の着火を検出する熱電対51が設けられている。更に、バーナ41にガス燃料を供給する燃料供給路52には、その燃料供給路52を開閉する電磁式の開閉弁53、及び、バーナ41への燃料供給量を調整する電磁式の比例弁54が設けられ、これら開閉弁53と比例弁54とにより燃料断続手段Vが構成される。
燃料供給路52は、例えば、都市ガス(13A等、メタンガス(CH4)を主成分とするガス)が供給される都市ガス管(図示省略)に接続されて、この実施形態では、メタンガスを主成分とする都市ガスがバーナ41に供給される。
【0023】
操作部43には、ガスファンヒータの運転開始及び運転停止を指令する運転スイッチ55、燃料漏れや不完全燃焼が発生したときに点灯させる警報ランプ56、暖房目標温度を設定する温度設定部(図示省略)、暖房目標温度、室内温度等の各種情報を表示する表示部(図示省略)等が設けられている。
運転スイッチ55は、押し操作が繰り返される毎に、運転開始と運転停止とが交互に指令されるように構成されている。
【0024】
図1に示すように、ガス検出部Aは、可燃性ガス(ガス燃料)に感応して電気的特性が変化するガス検知体1を備えたガスセンサSを備えて構成されている。そのガスセンサSが、図10に示すように、ガス検知体1を吸気口44を通して吸い込まれる空気中の可燃性ガス及び不完全燃焼ガスに感応させるようにケーシング46の吸気口44に設けられている。
【0025】
この実施形態では、ガス検知体1は、温度が高温側感応温度以上の高温作動状態で可燃性ガスに感応して電気的特性としての電気抵抗が変化し、且つ、温度が高温側感応温度よりも低い低温作動状態で不完全燃焼ガスに感応して電気抵抗が変化するように構成されている。
そして、ガスセンサSは、図2に示すように、ガス検知体1と、そのガス検知体1を加熱する加熱手段としてのヒータ2と、ガス検知体1の電気的特性を測定するための検出用電極3等を備えて構成されている。
【0026】
ガス検知体1が高温作動状態となる高温側感応温度は、可燃性ガス吸着時の電気抵抗の変化が不完全燃焼ガス吸着時の電気抵抗の変化に比して、可燃性ガスを選択的に検知可能な程度に大きくなる温度であり、ガス検知体1が低温作動状態となる温度は、不完全燃焼ガス吸着時の電気抵抗の変化が可燃性ガス吸着時の電気抵抗の変化に比して、不完全燃焼ガスを選択的に検知可能な程度に大きくなる温度である。
このガス検知体1が高温作動状態となる高温側感応温度、及び、ガス検知体1が低温作動状態となる温度の具体例は、燃焼装置に要求されるガス検出精度、燃料漏れや不完全燃焼に対する安全動作を実行させるためのガス濃度等に応じて、適宜設定される。例えば、高温側感応温度は400℃であり、低温作用状態となる温度は80〜100℃である。
【0027】
ガス検知体1は、例えば酸化錫(SnO2)等の金属酸化物半導体の焼結体で形成される。ガス検知体1は、平板状、球状(楕円球状を含む)等の形状に形成され、この実施形態では、長軸方向の径が0.5mm程度、短軸方向の径が0.3mm程度の楕円球状に形成されている。
金属酸化物半導体には、可燃性ガス及び不完全燃焼ガス以外の雑ガスに対する感度を低減させる触媒が担持され、その触媒としては、例えば、Pd、W、Pt、Rh、Ce、Mo、V等が挙げられ、これらの触媒のうちの一種、又は、2種以上が用いられる。
この実施形態では、触媒としてPdが用いられ、このように触媒としてPdが用いられると、ガス検知体1がガスを吸着したのち、このガス吸着により変化した電気抵抗が安定するまでの時間が短縮されることとなり、ガス検知体1の応答性が向上する。
【0028】
図2に示すように、ヒータ2及び検出用電極3は、ガス検知体1の内部に埋設されている。この実施形態では、ガス検知体1内にコイル状のヒータ兼用電極4と、そのヒータ兼用電極4の中心を貫通する中心電極5とが埋設され、これらヒータ兼用電極4と中心電極5とが検出用電極3として機能し、ヒータ兼用電極4がヒータ2として機能するように構成されている。ちなみに、ヒータ兼用電極4、中心電極5は、白金合金線等の貴金属線にて構成されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、ガスセンサSは、ガス検知体1を概ね円板状のベース6の表裏に貫通する3本の端子7a,7b,7cに接続した状態で支持し、そのベース6の裏面側に、両端が開口した略円筒状の内ケース8がガス検知体1を内部に収容する状態で設けられ、更に、一端側の開口をガス導入口9とする略円筒状のハウジング10が内ケース8を覆う状態でベース6の裏面側に設けられて構成されている。
【0030】
図2に示すように、3本の端子7a,7b,7cのうちの2本のヒータ用端子7a,7bに、ヒータ兼用電極4の両端が各別に接続され、残りの1本の検出用端子7cに中心電極5の一端が接続されている。
又、図3に示すように、ハウジング10は、内ケース8よりも長尺であり、そのハウジング10が、ガス導入口9とは反対側の開口をベース6に外嵌させて設けられている。
そのハウジング10のガス導入口9にはステンレス等の金網11が張設され、ハウジング10内における内ケース8の上部と金網11との間には、雑ガスを除去するためフィルタ12が設けられている。
このフィルタ12は、例えば、活性炭、シリカゲル、あるいは、それら活性炭とシリカゲルとを組み合わせた材料にて形成されている。
そして、ガス導入口9から内ケース8に流入するガス中に含まれる雑ガス(例えば、NOx、アルコール等の有機溶剤のガス、シリコン蒸気)等をフィルタ12により除去する構成となっている。
【0031】
図4は、ガスセンサSの等価回路を示し、Rhは、ヒータ兼用電極4の電気抵抗を示し、Rsは、中心電極5とヒータ兼用電極4の一端との間のガス検知体1の電気抵抗を示す。高温作動状態のガス検知体1に可燃性ガスが吸着することにより、あるいは、低温作動状態のガス検知体1に不完全燃焼ガスが吸着することにより、ガス検知体1の電気抵抗Rsが変化することになる。
【0032】
図1に示すように、ガス検出部Aは、前記のガスセンサSに加えて、商用の交流電源を降圧し且つ整流平滑して直流電圧Vcを得る定電圧回路13、ガスセンサSのヒータ兼用電極4への印加電圧をパルス幅制御するためのスイッチング素子14、定電圧回路13の出力電圧をガス検知体1とで分圧する負荷抵抗15、及び、スイッチング素子14のスイッチングをパルス幅制御し且つガス検知体1の抵抗変化に基づいて燃料漏れや不完全燃焼を検知するセンサ制御部16等を備えて構成されている。
【0033】
定電圧回路13は、ヒータ2やセンサ制御部16に駆動用電力を供給する。
スイッチング素子14のコレクタには、定電圧回路13の+側が接続され、スイッチング素子14のエミッタには、ヒータ兼用電極4の一端がヒータ用端子7aを介して接続され、そのヒータ兼用電極4の他端がヒータ用端子7bを介して定電圧回路13の−側に接続されている。
負荷抵抗15の一端は検出用端子7cを介してガスセンサSの中心電極5に接続され、他端は定電圧回路13の+側に接続されている。
更に、定電圧回路13の+側と−側との間には、抵抗17とガス検知体1の雰囲気温度を検出するサーミスタ18とが直列に接続されている。
【0034】
センサ制御部16は、駆動回路19、A/D変換回路20、信号処理回路21、温度信号変換回路22、出力回路23及びメモリ24等を備えて構成されている。
駆動回路19は、抵抗25を介してスイッチング素子14のベースに接続されて、スイッチング素子14のスイッチングをパルス幅制御する。
A/D変換回路20は、検出用端子7cを介してガスセンサSの中心電極5に接続され、ガス検知体1のヒータ兼用電極4と中心電極5との間の両端電圧(以下、検出電圧と記載する場合がある)をA/D変換して信号処理回路21に出力する。つまり、この検出電圧が、可燃性ガスの検出情報及び不完全燃焼ガスの検出情報に対応するものである。
温度信号変換回路22は、抵抗17にかかる分圧をA/D変換することにより雰囲気温度に応じた温度信号を生成して、信号処理回路21へ出力する。
【0035】
信号処理回路21は、A/D変換回路20から出力されるガス検知体1の検出電圧を温度信号変換回路22から出力される温度信号に基づいて温度補正して、その温度補正した検出電圧に基づいて、燃料漏れや不完全燃焼を判別する。
出力回路23は、信号処理回路21により燃料漏れが判別されると、燃料漏れ検知信号を主制御部42に出力し、信号処理回路21により不完全燃焼が判別されると不完全燃焼検知信号を主制御部42に出力する。
【0036】
以下、センサ制御部16及び主制御部42夫々の制御動作を説明する。
センサ制御部16及び主制御部42は、いずれもマイクロコンピュータを利用して構成され、制御情報を有線又は無線にて互いに通信自在なように構成されている。
図5のタイムチャートに示すように、主制御部42は、運転スイッチ55により運転開始(燃焼開始に相当する)が指令されると、送風待機用設定時間T1が経過するのを待って送風機47を作動させ、その送風機47の作動後、プリパージ用設定時間T2が経過すると、イグナイタ50を作動させ且つ開閉弁53及び比例弁54を開弁して(燃料供給状態に切り換えることに相当する)バーナ41を点火させる点火処理を実行し、熱電対51の出力電圧が着火検知レベルに達してバーナ41の着火を検知したのち強制スパーク用設定時間T3が経過するとイグナイタ50の作動を停止させるように構成されている。
主制御部42は、バーナ41の着火検知後は、暖房対象空間の温度を検出する室温センサ(図示省略)の検出温度が暖房目標温度になるように比例弁54の開度を調節してバーナ41の燃焼量を調整する燃焼量調整制御を実行し、運転スイッ55により運転停止が指令されると、開閉弁53及び比例弁54を閉弁してバーナ41を消火させる消火処理を実行した後、ポストパージ用設定時間T4が経過すると送風機47を停止させるように構成されている。
【0037】
尚、主制御部42は、送風機47の作動後、プリパージ用設定時間T2が経過すると、先ずイグナイタ50を作動させ、そのイグナイタ50の作動後、開弁待機用設定時間T5が経過すると開閉弁53及び比例弁54を開弁する形態で、点火処理を実行するように構成されている。
図示を省略するが、主制御部42は、運転スイッチ55により運転開始が指令されてから送風待機用設定時間T1が経過するまで、熱電対51の出力電圧に基づいて熱電対51の故障を判別する熱電対故障判別処理を実行するように構成されている。
【0038】
ちなみに、送風待機用設定時間T1及びプリパージ用設定時間T2の夫々は、例えば、それらを合わせた時間が4〜7秒の範囲の時間になるように設定される。又、ポストパージ用設定時間T4は、100〜160秒の範囲の時間に設定され、強制スパーク用設定時間T3や開弁待機用設定時間T5は、1秒よりも短い時間に設定される。
【0039】
次に、センサ制御部16の制御動作を説明する。
ガス検知体1の温度は、センサ制御部16により、スイッチング素子14のスイッチングがパルス幅制御されてヒータ2への通電がデューティ制御されることにより調節される。
【0040】
図6のタイムチャートに示すように、センサ制御部16は、運転スイッチ55により運転開始が指令されてから主制御部42が点火処理を実行するまでの点火前期間に、点火前検出モードを実行し、点火処理の開始後、初期検出用設定時間T6の間、初期検出モードを実行し、その初期検出モードの後、運転スイッチ55により運転停止が指令されるまで、通常検出モードを実行する。
ちなみに、図6は、運転スイッチ55による運転開始指令及び運転停止指令のタイミング、ガス検知体1を高温作動状態と低温作動状態とに切り換えるためのヒータ2の印加電圧の制御のタイミング、並びに、高温作動状態での燃料漏れ検知処理のタイミング及び低温作動状態での不完全燃焼検知処理のタイミング夫々のタイムチャートを関連付けて示すものであり、又、高温作動状態と低温作動状態との切り換えに伴うガス検知体1の温度変化も関連付けて示すものである。図6において、各点が、燃料漏れ検知処理のタイミング及び不完全燃焼検知処理のタイミングを示す。
【0041】
先ず、通常検出モードについて説明を加える。
センサ制御部16は、通常検出モードでは、ガス検知体1を高温作動状態と低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるようにヒータ2の作動を制御し、且つ、ガス検知体1の電気的特性に基づいて高温作動状態で可燃性ガスを検出してその検出情報により燃料漏れを検知し且つ低温作動状態で不完全燃焼ガスを検出してその検出情報によりバーナ41の不完全燃焼を検知するように構成されている。
【0042】
この通常検出モードでは、高温側感応温度は例えば400℃に設定され、低温作動状態では、ガス検知体1の温度が例えば80℃の低温側感応温度に調節される。
又、ガス検知体1を高温作動状態にすべくヒータ2の作動を制御する通常用高温作用設定時間TH1が例えば5秒間に設定され、ガス検知体1を低温作動状態にすべくヒータ2の作動を制御する通常用低温作用設定時間TL1が例えば20秒間に設定される。
尚、ガス検知体1を高温作動状態にすべくヒータ2の作動を制御する時間(例えば、この通常検出モードでは通常用高温作用設定時間TH1)の間が、高温作動状態に相当し、ガス検知体1を低温作動状態にすべくヒータ2の作動を制御する時間(例えば、この通常検出モードでは通常用低温作用設定時間TL1)の間が、低温作動状態に相当する。
【0043】
又、高温作動状態において可燃性ガスの検出情報により燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理のタイミングが、高温作動状態の終了時点に設定され、低温作動状態において不完全燃焼ガスの検出情報により不完全燃焼を検知する不完全燃焼検知処理のタイミングが低温作動状態の終了時点に設定されている。
【0044】
つまり、この通常検出モードにおいては、センサ制御部16は、通常用高温作用設定時間TH1の間、ガス検知体1の温度を400℃の高温側感応温度に調整すべく、ヒータ2に印加される電力の平均が120mWになるようにヒータ2への通電をデューティ制御することにより、ガス検知体1を高温作動状態にし、その高温作動状態の終了時点で燃料漏れ検知処理を実行する。又、センサ制御部16は、通常用低温作用設定時間TL1の間、ガス検知体1の温度を80℃の低温側感応温度に調整すべく、ヒータ2に印加される電力の平均が12mWになるようにヒータ2への通電をデューティ制御することにより、ガス検知体1を低温作動状態にし、その低温作動状態の終了時点で不完全燃焼検知処理を実行する。
尚、ヒータ2への通電はデューティ制御を用いずに一定の直流電圧でも良い。また、スイッチング素子14にFETを用いても良い。
【0045】
次に、点火前検出モードについて説明を加える。
本発明では、センサ制御部16は、運転スイッチ55により運転開始が指令されてから主制御部42が点火処理を実行するまでの点火前期間に、ガス検知体1を高温作動状態にするようにヒータ2の作動を制御し且つガス検知体1の電気的特性に基づいて可燃性ガスを検出してその検出情報により燃料漏れを検知する点火前検出モードを実行するように構成されている。
この実施形態では、センサ制御部16が、点火前検出モードにおいて、可燃性ガスの検出情報により燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を複数回実行するように構成されている。
【0046】
そして、図5に示すように、この実施形態では、点火前期間の長さは、送風待機用設定時間T1とプリパージ用設定時間T2とを合わせた時間、即ち、4〜7秒の範囲の時間に設定されている。
この点火前検出モードでは、高温側感応温度は、通常検出モードの高温側感応温度と同じ温度の400℃に設定されている。
又、図6に示すように、高温側感応温度が400℃に設定される場合、ヒータ2への通電を開始して高温作動状態を開始した後、約1秒程度でガス検知体1の温度が高温側感応温度に上昇する。そこで、点火前検出モードでは、燃料漏れ検知処理のタイミングが高温作動状態の開始後、1秒後に設定され、更に、その後も1秒毎に燃料漏れ検知処理のタイミングが設定されて、燃料漏れ検知処理を複数回(この実施形態では4回)実行するように構成されている。
【0047】
つまり、この点火前検出モードにおいては、センサ制御部16は、ガス検知体1の温度を400℃の高温側感応温度に調整すべく、ヒータ2に印加される電力の平均が120mWになるようにヒータ2への通電をデューティ制御することにより、ガス検知体1を高温作動状態にし、その高温作動状態の開始後、1秒毎に燃料漏れ検知処理を実行する。
【0048】
次に、初期検出モードについて説明を加える。
センサ制御部16は、初期検出モードでは、初期検出用設定時間T6以下に設定された比較用設定時間T7の間における高温作動状態とする頻度を通常検出モードよりも多くする状態で、ガス検知体1の電気的特性に基づいて高温作動状態で可燃性ガスを検出してその検出情報により燃料漏れを検知し且つ低温作動状態で不完全燃焼ガスを検出してその検出情報により不完全燃焼を検知すべく、ガス検知体1を高温作動状態と低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるようにヒータ2の作動を制御する。
【0049】
そして、この実施形態では、センサ制御部16が、初期検出モードにおいて、低温作動状態とする時間を通常検出モードよりも短くすることにより、比較用設定時間T7における高温作動状態とする頻度を通常検出モードよりも多くするように構成されていることになる。
【0050】
具体的には、この初期検出モードにおいてガス検知体1を高温作動状態にする初期用高温作用設定時間TH2は通常用高温作用設定時間TH1と同じ5秒間に設定されながら、この初期検出モードにおいてガス検知体1を低温作動状態にする初期用低温作用設定時間TL2が通常用低温作用設定時間TL1の20秒間よりも短い2秒間に設定されている。
そして、初期検出用設定時間T6が、点火処理の開始後、バーナ41が着火されるまでに要する時間よりも長い時間、例えば33秒間に設定され、比較用設定時間T7が、初期検出用設定時間T6と同じ時間に設定されている。
つまり、比較用設定時間T7における高温作動状態とする頻度が、初期検出モードでは5回であり、通常検出モードの最大2回よりも多くなるように構成されている。
【0051】
更に、この実施形態では、センサ制御部16が、初期検出モードにおいて1回の高温作動状態で可燃性ガスを検出する処理を実行する回数を、通常検出モードにおいて1回の高温作動状態で可燃性ガスを検出する処理を実行する回数よりも多くするように構成されている。
この初期検出モードでは、高温側感応温度は、通常検出モードの高温側感応温度と同じ400℃に設定されおり、図6に示すように、高温側感応温度が400℃に設定される場合、ヒータ2への通電を開始して高温作動状態を開始した後、約1秒程度でガス検知体1の温度が高温側感応温度に上昇する。
そこで、初期検出モードでは、燃料漏れ検知処理のタイミングが高温作動状態の開始後、1秒毎に設定されて、1回の高温作動状態での燃料漏れ検知処理の回数が例えば4回に設定されている。
つまり、1回の高温作動状態での燃料漏れ検知処理の回数が、初期検出モードでは4回であり、通常検出モードの1回よりも多くなるように構成されている。
【0052】
初期検出モードの初期用低温作用設定時間TL2が通常検出モードの通常用低温作用設定時間TL1よりも短く設定されているので、その初期検出モードにおける低温作動状態でのガス検知体1の温度を通常検出モードにおける低温作動状態でのガス検知体1の温度にできるだけ近づけるように、初期検出モードにおいては、ヒータ2への通電を停止することにより低温作動状態に切り換えるように構成されて、低温作動状態では、ガス検知体1の温度が成り行きとなるように構成されている。
そして、初期検出モードでは、不完全燃焼検知処理のタイミングが低温作動状態の終了時点に設定されている。
【0053】
上述のように初期検出モードの運転形態が設定されることにより、初期検出モードでは、比較用設定時間T7における燃料漏れ検知処理の回数が例えば20回に設定されて、その回数が通常検出モードにおける最大例えば2回よりも多くなるように構成されている。
【0054】
つまり、この初期検出モードにおいては、センサ制御部16は、初期用高温作用設定時間TH2の間、ガス検知体1の温度を400℃の高温側感応温度に調整すべく、ヒータ2に印加される電力の平均が120mWになるようにヒータ2への通電をデューティ制御することにより、ガス検知体1を高温作動状態にし、その高温作動状態の開始後、1秒毎に燃料漏れ検知処理を実行する。又、センサ制御部16は、初期用低温作用設定時間TL2の間、ヒータ2への通電を停止することにより、ガス検知体1を低温作動状態にし、その低温作動状態の終了時点で不完全燃焼検知処理を実行する。
【0055】
センサ制御部16を、上述のように点火前検出モード、初期検出モード、通常検出モードを順次実行するように構成することにより、センサ制御部16が、点火前期間の間は、ガス検知体1を高温作動状態にするようにヒータ2の作動を制御して燃料漏れ検知処理を実行し、点火処理の開始後は、ガス検知体1を高温作動状態と低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるようにヒータ2の作動を制御して、ガス検知体1の電気的特性に基づいて高温作動状態で燃料漏れ処理を実行し且つ低温作動状態で不完全燃焼検知処理を実行するように構成されていることになる。
【0056】
以下、燃料漏れ検知処理において可燃性ガスの検出情報に基づいて燃料漏れを検知する方法、及び、不完全燃焼検知処理において不完全燃焼ガスの検出情報に基づいて不完全燃焼を検知する方法について、説明を加える。
ガス検知体1の温度が高温側感応温度である400℃のときに、空気中のメタン濃度とガス検知体1の抵抗Rsとの関係を調べた結果は、図7に示す通りであり、メタン濃度が高くなるほどガス検知体1の抵抗Rsが低くなり、ガス検知体1の抵抗Rsがメタン濃度に対応するものである。
燃料漏れを検知するためのメタン濃度である燃料漏れ検知濃度が、例えば、3000ppmに設定されて、メタン濃度が燃料漏れ検知濃度のときのガス検知体1の抵抗Rs(約1.1kΩ)に対応する検出電圧が燃料漏れ検知用電圧に設定され、その燃料漏れ検知用電圧がセンサ制御部16のメモリ24に記憶されている。
【0057】
ガス検知体1の温度が通常検出モードにおいて不完全燃焼検知処理を行うときの温度である80℃のときに、空気中の一酸化炭素濃度とガス検知体1の抵抗Rsとの関係を調べた結果は、図8に示す通りであり、一酸化炭素濃度が高くなるほどガス検知体1の抵抗Rsが低くなり、ガス検知体1の抵抗Rsが一酸化炭素濃度に対応するものである。
不完全燃焼を検知するための一酸化炭素濃度である不完全燃焼検知濃度が、例えば300ppmに設定されて、一酸化炭素濃度が不完全燃焼検知濃度のときのガス検知体1の抵抗Rs(約7.5kΩ)に対応する検出電圧が不完全燃焼検知用電圧に設定され、その不完全燃焼検知用電圧がセンサ制御部16のメモリ24に記憶されている。
【0058】
そして、センサ制御部16が、点火前検出モードにおいて、検出電圧が燃料漏れ検知用電圧以上になると燃料漏れが発生したと検知して、燃料漏れ検知信号を主制御部42に送信するように構成されている。
又、センサ制御部16が、通常検出モードにおいては、低温作動状態のときに、検出電圧が不完全燃焼検知用電圧以上になると不完全燃焼が発生したと検知して不完全燃焼検知信号を主制御部42に送信し、高温作動状態のときに、検出電圧が燃料漏れ検知用電圧以上になると燃料漏れが発生したと検知して燃料漏れ検知信号を主制御部42に送信するように構成されている。
【0059】
上述したように、初期検出モードにおける低温作動状態では、ガス検知体1の温度は成り行きとなり、その最低の温度は図6に示すように概ね100℃である。
ガス検知体1の温度が100℃のときに、空気中の一酸化炭素濃度とガス検知体1の抵抗Rsとの関係を調べた結果は、図9に示す通りであり、ガス検知体1の抵抗Rsが同じときの一酸化炭素濃度は、初期検出モードの方が通常検出モードのときよりも高くなる。
ガス検知体1の温度が100℃の場合、例えば、ガス検知体1の抵抗Rsが通常検出モードにおいて不完全燃焼を検知するときの7.5kΩのときには、一酸化炭素濃度が約1000ppmとなる。
そして、この1000ppmの一酸化炭素濃度は、安全性を損なわない状態で不完全燃焼を検知するのに十分低い濃度である。
そこで、センサ制御部16が、初期検出モードにおいては、低温作動状態のときに、検出電圧が不完全燃焼検知用電圧以上になると不完全燃焼が発生したと検知して、不完全燃焼検知信号を主制御部42に送信するように構成されている。
又、センサ制御部16が、初期検出モードにおいては、高温作動状態のときに、検出電圧が燃料漏れ検知用電圧以上になると燃料漏れが発生したと検知して燃料漏れ検知信号を主制御部42に送信するように構成されている。
【0060】
尚、初期検出モードにおける不完全燃焼検知用電圧を、一酸化炭素濃度が通常検出モードにおける不完全燃焼検知濃度である300ppmのときのガス検知体1の抵抗Rs(約36kΩ)に対応する検出電圧に設定しても良い。
【0061】
主制御部42は、運転開始が指令されてから点火処理を実行するまでの点火前期間に、センサ制御部16から燃料漏れ検知信号が送信されると、点火処理を実行せずに、警報ランプ56を点灯させるように構成されている。
又、主制御部42は、点火処理の開始後に、センサ制御部16から燃料漏れ検知信号が送信されると、開閉弁53及び比例弁54を閉弁する(燃料供給停止状態に切り換えることに相当する)消火処理を実行し、且つ、警報ランプ56を点灯させた後、ポストパージ用設定時間T4が経過すると送風機47を停止させるように構成されている。
又、主制御部42は、点火処理の開始後に、センサ制御部16から不完全燃焼検知信号が送信されたときも同様に、開閉弁53及び比例弁54を閉弁する消火処理を実行し、且つ、警報ランプ56を点灯させた後、ポストパージ用設定時間T4が経過すると送風機47を停止させるように構成されている。
つまり、図1に示すように、センサ制御部16及び主制御部42により、制御手段Cが構成され、その制御手段Cが、点火処理の開始後、ガス検知体1の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を実行し、且つ、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れを検知すると燃料断続手段Vを燃料供給停止状態に切り換えるように構成されていることになる。
【0062】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の実施形態においては、点火前検出モードを燃焼開始指令が指令されてから点火処理を実行するまでの点火前期間において実行する場合について例示したが、点火処理を開始した後も、熱電対51の出力電圧に基づいてバーナ41の着火を検知するまで点火前検出モードを継続するように構成しても良い。
【0063】
(ロ) 上記の実施形態においては、点火処理の開始後、初期検出用設定時間T6の間、初期検出モードを実行するように構成する場合について例示したが、この初期検出モードを省略して、点火処理の開始後、直ぐに通常検出モードを実行するように構成しても良い。
【0064】
(ハ) 点火前期間に、燃焼漏れ検知処理を複数回実行するように制御手段Cを構成する場合、その回数は上記の実施形態において例示した回数に限定されるものではない。
又、点火前期間に、燃焼漏れ検知処理を1回実行するように制御手段Cを構成しても良い。
【0065】
(ニ) 初期検出モードにおける燃料漏れ検知処理のタイミングは、上記実施形態のように1秒毎のタイミングに限定されるものではなく、又、燃料漏れ検知処理を連続的に実行するように構成しても良い。
【0066】
(ホ) 燃焼開始が指令されてから点火処理を実行するまでの点火前期間の長さは、上記の実施形態において例示した4〜7秒の範囲の時間に限定されるものではなく、その範囲の時間よりも長い時間あるいは短い時間に設定することが可能である。
【0067】
(ヘ) ガスセンサSの設置箇所は、上記の実施形態において例示したケーシング46の吸気口44に限定されるものではなく、例えば、吸気口44付近でも良い。
【0068】
(ト) 上記の実施形態では、ガス検知体1として、高温作動状態で可燃性ガスを検出し且つ低温作動状態で不完全燃焼ガスを検出することが可能なものを用いる場合について例示したが、可燃性ガスのみを検出するものを用いて、不完全燃焼ガスを検知するガス検知体を別に設けても良い。
【0069】
(チ) 上記の実施形態では、燃料としてガス燃料を用いる燃焼装置に本発明を適用する場合について例示したが、本発明は燃料として液体燃料を用いる燃焼装置にも適用することが可能であり、この場合は、ガス検知体1により、液体燃料を気化させたガスを可燃性ガスとして検出することになる。
又、燃料としてガス燃料を用いる燃焼装置に本発明を適用する場合、ガス燃料はメタンを主成分とする都市ガスに限定されるものではなく、例えばプロパンガスでも良い。
【0070】
(リ) 上記の実施形態では、制御手段Cを互いに別体のセンサ制御部16と主制御部42とにより構成する場合について例示したが、制御手段Cをマイクロコンピュータを用いて単一のものとして構成しても良い。
【0071】
(ヌ) 本発明は、上記の実施形態において例示したガスファンヒータ以外に、ガスストーブ、石油ファンヒータ、石油ストーブ、給湯装置等、種々の燃焼装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、バーナの点火についての安全性をより一層向上し得る燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】燃焼装置のブロック図
【図2】ガスセンサの要部を示す図
【図3】ガスセンサの一部切り欠き外観図
【図4】ガスセンサの等価回路を示す図
【図5】燃焼装置の制御動作のタイムチャートを示す図
【図6】ガス検出部の制御動作のタイムチャートを示す図
【図7】メタン濃度とガス検知体の抵抗との関係を示す図
【図8】通常検出モードにおける一酸化炭素濃度とガス検知体の抵抗との関係を示す図
【図9】初期検出モードにおける一酸化炭素濃度とガス検知体の抵抗との関係を示す図
【図10】燃焼装置の概略構成を示す縦断右側面図
【符号の説明】
【0074】
1 ガス検知体
2 加熱手段
41 バーナ
44 吸気口
45 吹出し口
46 ケーシング
47 送風手段
50 点火手段
C 制御手段
V 燃料断続手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される燃料を燃焼させるバーナと、
そのバーナへ燃料を供給する燃料供給状態と前記バーナへの燃料の供給を停止する燃料供給停止状態とに切り換え自在な燃料断続手段と、
燃料に感応して電気的特性が変化するガス検知体と、
前記バーナの燃焼開始が指令されると、前記バーナを点火する点火手段を作動させ且つ前記燃料断続手段を前記燃料供給状態に切り換える点火処理を実行する制御手段とが設けられ、
その制御手段が、前記点火処理の開始後、前記ガス検知体の電気的特性に基づいて燃料漏れを検知する燃料漏れ検知処理を実行し、且つ、その燃料漏れ検知処理にて燃料漏れを検知すると前記燃料断続手段を前記燃料供給停止状態に切り換えるように構成された燃焼装置であって、
前記制御手段が、前記燃焼開始が指令されてから前記点火処理を実行するまでの点火前期間に、前記燃料漏れ検知処理を実行するように構成されている燃焼装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記点火前期間に、前記燃料漏れ検知処理を複数回実行するように構成されている請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記点火前期間において燃料漏れを検知すると、前記点火処理を実行しないように構成されている請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記ガス検知体が、温度が高温側感応温度以上の高温作動状態で燃料に感応して電気的特性が変化し、且つ、温度が前記高温側感応温度よりも低い低温作動状態で不完全燃焼ガスに感応して電気的特性が変化するように構成され、
前記ガス検知体を加熱する加熱手段が設けられ、
前記制御手段が、前記点火前期間は、前記ガス検知体を前記高温作動状態にするように前記加熱手段の作動を制御して前記燃料漏れ検知処理を実行し、前記点火処理の開始後は、前記ガス検知体を前記高温作動状態と前記低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるように前記加熱手段の作動を制御して、前記ガス検知体の電気的特性に基づいて前記高温作動状態で前記燃料漏れ処理を実行し且つ前記低温作動状態で不完全燃焼を検知する不完全燃焼検知処理を実行するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記制御手段が、前記点火処理の開始後、初期検出用設定時間の間、その初期検出用設定時間の経過後よりも前記初期検出用設定時間以下に設定された比較用設定時間における前記高温作動状態とする頻度を多くする状態で、前記ガス検知体を前記高温作動状態と前記低温作動状態とに交互に繰り返し切り換えるべく前記加熱手段の作動を制御するように構成されている請求項4記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記バーナを収納するケーシングに設けられた吸気口を通して吸い込んだケーシング外の空気を燃焼用空気として前記バーナに供給し、且つ、そのバーナの燃焼ガスを前記ケーシングに設けられた吹出し口からケーシング外に吹き出すように通風作用する送風手段が設けられ、
前記ガス検知体が、前記吸気口を通して吸い込まれる空気中の燃料に感応するように前記吸気口又は前記吸気口付近に設けられている請求項1〜5のいずれか1項に燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−145044(P2010−145044A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324161(P2008−324161)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(593210961)エフアイエス株式会社 (39)
【Fターム(参考)】