説明

燃焼装置

【課題】給湯メインバーナの燃焼停止後のパイロットバーナの燃焼継続による給湯熱交換器の後沸きを抑制する。
【解決手段】給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39との間隔に、口火用のパイロットバーナ38を設け、その口火をメインバーナ10,39に着火する。メインバーナ10,39の燃焼停止後も消火動作が行われるまでの間はパイロットバーナ38の燃焼は継続する。各メインバーナ10,39の上部側にはそれぞれ間隔を介し対応する給湯熱交換器7、風呂熱交換器40を設ける。パイロットバーナ38の上部側に間隔を介しガイドカバー17を設け、パイロットバーナ38の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に流れることを防いで風呂熱交換器40の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導き、風呂熱交換器40の排気部より燃焼ガスが排出されることにより、パイロットバーナ38の燃焼ガスの熱によって給湯熱交換器7が加熱されることを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの燃焼を行う口火用のパイロットバーナと、パイロットバーナにより着火する給湯メインバーナと風呂メインバーナとを備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5には、燃焼装置の一例が模式的なシステム図により示されている(例えば特許文献1、参照)。この燃焼装置は、例えば浴室に配置されるバランス型風呂釜であり、給湯メインバーナ10と、該給湯メインバーナ10により加熱される給湯熱交換器7とを有しており、給湯熱交換器7は、給湯メインバーナ10の上側に、該給湯メインバーナ10と間隔を介して配設されている。給湯熱交換器7は水を通す管路を有し、給湯熱交換器7には、この管路に水を導入する給水導入通路19と、給湯熱交換器7の管路を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路11とが接続されている。
【0003】
給湯通路11の先端側には、給湯栓9が設けられており、この例では、給湯栓9が切り替えレバー方式の栓で形成されている。この種の給湯栓9は、レバーの切り替えによって、給湯通路11を通った湯を、カラン側の出湯管30側とシャワー側通路31のいずれかから選択的に出湯させるものであり、同図では、出湯管30側から出湯されるように選択した状態が示されている。
【0004】
前記給水導入通路19には、水量調節機構21が接続されており、水量調節機構21には、水ガバナー15、ダイヤフラムケース13、水量調節室20が設けられている。ダイヤフラムケース13には、ダイヤフラム14が設けられており、このダイヤフラム14によって、ダイヤフラムケース13内が、一次室13aと二次室13bとに区分けされている。水量調節室20には温度調節子23が設けられており、温度調節子23は、温度調節つまみ22に接続されている。
【0005】
また、水量調節機構21には、水量調節機構21に水を供給する給水通路8と、水量調節機構21から水を導出するバイパス通路16と、主水路19と、排水通路24とが接続されている。給水通路8にはフィルタ25が介設されており、排水通路24には水抜き栓26が設けられている。
【0006】
前記給湯メインバーナ10には、ガス通路32が接続されており、該ガス通路32は、水圧自動ガス弁33と、器具栓34とを介し、ガス導入通路35に接続されている。水自動ガス弁33は、前記ダイヤフラム14に連結して設けられ、器具栓34は、器具栓つまみ48に接続されている。ガス導入通路35は、燃料ガスを燃焼装置に外部から導入するものであり、ガス導入通路35から導入される燃料ガスが、器具栓34、通水時のみ開弁となる水圧自動ガス弁33を介してガス通路32を通り、給湯メインバーナ10に供給される。また、器具栓34には、ガス通路36,37が接続されており、ガス導入通路35から器具栓34まで導入された燃料ガスが、ガス通路36を通して口火用のパイロッバーナ38に導入され、ガス通路37を通して風呂メインバーナ(風呂の追い焚き用の追い焚きメインバーナ)39に供給される構成と成している。
【0007】
風呂メインバーナ39の上部側には、風呂メインバーナ39によって加熱される風呂熱交換器(追い焚き熱交換器)40が風呂メインバーナ39と間隔を介して設けられている。風呂熱交換器40には、空焚き安全装置46が設けられており、前記給湯熱交換器7の出側には給湯過熱防止装置47が設けられている。
【0008】
なお、図5の図中、符号53は排気口、4は炎検出用のフレームロッド電極、43はパイロットバーナ38への点火用のイグナイタ電極、50はサーミスタ、51は水自弁スイッチ、52は器具栓スイッチ、54はガスの電磁弁、49は能力切り替えつまみ、符号45は過熱防止装置をそれぞれ示している。器具栓スイッチ52は、マイクロスイッチにより構成されており、器具栓つまみ48の「口火」、「給湯・シャワー」、「ふろ」の各位置を検出する。
【0009】
また、図5はシステム構成図であり、追い焚きバーナ39と前記給湯バーナ10とは離れた位置に記載されているが、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10とは、例えば図6の分解斜視図に示すように、実際には、互いに間隔を介して隣り合わせに配置されている。そして、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10の間隔に、パイロットバーナ38が設けられ、パイロットバーナ38の口火を利用して追い焚きバーナ39と給湯バーナ10の少なくとも一方の炎口に着火し、メインバーナ燃焼を行うように構成されている。
【0010】
図6において、パイロットバーナ38は、風呂メインバーナ39側に設けられた炎口1と給湯メインバーナ10側に設けられた炎口2と、これらの炎口1,2の間に設けられた炎口3とを有している。炎口1は、風呂メインバーナ39への火移りのために、炎口2は給湯バーナ10への火移りを容易にさせるために設けている。炎口3はフレームロッド電極による炎検出用またはイグナイタ電極による点火用として設けている。
【0011】
また、例えば図7、図8に示すように、給湯熱交換器7は、銅製の筒体56と、水を通すための銅製の管路57とを有しており、管路57は、筒体56の周りと内部とに設けられている。筒体56の外周側に巻回されている管路57は、給湯熱交換器7の筒体56を水冷する機能を有する。また、給湯熱交換器7と間隔を介して風呂熱交換器40が配設され(図8、参照)、風呂熱交換器40は、ステンレス製のジャケット(筒体)59を有し、ジャケット59の内部に設けられた熱交換用の管路59aのみ銅製と成している。ジャケット59には、管路60が接続されている。なお、図7には、図の左側に給湯熱交換器7が配設され、図の右側に風呂熱交換器40が配設されている例が示されており、図8には、図の右側に給湯熱交換器7が配設され、図の左側に風呂熱交換器40が配設されている例が示されている。図7に示すように、図の左側に給湯熱交換器7を配設する場合には、図6に示したような風呂メインバーナ39と給湯メインバーナ10の配置位置およびパイロットバーナ38の炎口1,2の配設位置が逆になる。
【0012】
前記管路60は、図8に示すように、燃焼装置の外部管路(風呂循環用通路)61を介して浴槽62に接続され、浴槽62から導入される浴槽湯水を一方側の管路60を介してジャケット59内に導入し、前記熱交換用の管路を通した後に、外部管路61と他方側の管路60を介して浴槽62に導出することにより、浴槽湯水の追い焚きが行われる。なお、図9には、図の左側に給湯熱交換器7が配設され、図の右側に風呂熱交換器40が配設されている燃焼装置の、浴室への配設例(浴槽62との接続例)が模式的な断面図により示されている。
【0013】
これらの燃焼装置において、給湯栓9を開くと、図5に示すように、水は、給水通路8を通って水ガバナー15を通り、ダイヤフラムケース13の一次室13aへと流れ、水量調節子23により分岐して、その一方は、通路16,18を通り、給湯通路11側に導かれる。他方は、給水導入通路19、給湯熱交換器7を通って給湯通路11側に導かれ、給湯通路11から出湯管30(またはシャワー側通路31)へ流れて出水される。
【0014】
また、器具栓つまみ48を押し下げると電磁弁54が開き、器具栓つまみ48を「口火」の位置に操作することにより、燃料ガスはガス導入通路35を通って器具栓34に入り、ガス通路36を通ってパイロットバーナ38に流れるので、その状態で、燃焼制御部(図示せず)の制御によって、イグナイタ電極43によりパイロットバーナ38への点火が行われる。
【0015】
さらに、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」の位置に合わせることにより、燃料ガスは、水圧自動ガス弁33の配設位置まで流れる。そして、この状態で給湯栓9を開き、給水通路8を通して水が流れ始めると、この水がダイヤフラムケース13の一次室13aから通路16,18を通り、水量調節子23のバイパスオリフィス23a通過後、ダイヤフラム二次室13bに伝えられ、一次室13a(高圧)との差圧がダイヤフラム14の面積により荷重として働き、ダイヤフラム14が二次室13b側へと移動する。
【0016】
この結果、ダイヤフラム14と連結された水圧自動ガス弁33が開き、燃料ガスがガス通路32を通って給湯メインバーナ10に供給され、パイロットバーナ38の口火から給湯メインバーナ10に着火する。つまり、給湯メインバーナ10は、前記給湯栓9が開かれることにより流れる(燃焼装置に導入される)水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始する。そして、この給湯メインバーナ10の燃焼によって、給湯熱交換器7を通る水が加熱され、出湯管30(またはシャワー側通路31)から出湯される。
【0017】
また、図8、図9に示した外部管路61の浴槽62への接続部(上部循環口)よりも例えば10cm以上高い位置まで湯または水を入れた状態で器具栓つまみ48を「ふろ」の位置に合わせることにより、燃料ガスが通路36を通って風呂メインバーナ39に供給され、パイロットバーナ38の口火から風呂メインバーナ39に着火し、風呂熱交換器40を循環して浴槽内の湯水の加熱が行われる。
【0018】
なお、この種の燃焼装置においては、給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39の燃焼停止後も、消火動作が行われるまでの間、つまり、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「消火」の位置に戻すまでの間は、パイロットバーナ38の燃焼は継続する。そのため、給湯メインバーナ10の燃焼停止後に、給湯熱交換器7がパイロットバーナ38の燃焼ガス(燃焼排気ガス)の熱によって加熱されてしまうので、給湯熱交換器7の管路57や筒体56において、パイロットバーナ38の高温の(例えば1700℃位の)燃焼ガスが直接的に当たる部分には、その部分を熱から保護するために、例えば図7に示すように、ステンレス製の防熱カバー(防熱板)12が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第4181674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「消火」の位置に戻す間はパイロットバーナ38の燃焼が継続するため、図8に示すように、パイロットバーナ38の燃焼ガス(炎口1から出る燃焼ガスG1と炎口2から出る燃焼ガスG2と炎口3から出る燃焼ガスG3)のうち、風呂熱交換器40へ直接導出される燃焼ガスG1および給湯熱交換器7側へ導出される燃焼ガスG2以外の燃焼ガスG3は、風呂熱交換器40と給湯熱交換器7の間の炎口3の直上部分を通過する。このとき、高温の燃焼ガス熱量の一部は管路57および筒体56に伝えられる。そのため、給湯熱交換器7が、給湯メインバーナ10による本来熱吸収する缶体内部からではなく、缶体の外部からパイロットバーナ38の燃焼熱を受け、この熱と燃焼ガスG2とで継続的に加熱される。したがって、給湯栓9を、再度、時間をおいて開けて出湯したとき、直前に使用していた湯温以上の湯が排出され、いわゆる後沸きによって、利用者が火傷をすることがある等の問題があった。なお、図7で示した従来例のように、防熱板12を設けたとしても、燃焼ガスG3は防熱板12で覆われた部分以外の筒体56または管路57から熱吸収を受けることとなり、充分な後沸き抑制ができなかった。
【0021】
また、燃焼ガスG1、G2および風呂メインバーナ39の燃焼ガスと給湯メインバーナ10の燃焼ガスとは、図7および図9の矢印A、Bに示すように、排気通路63を通って排気口53から屋外に排出される。一方、燃焼ガスG3は、図8、図9に示す板70に当たり、板70の下面側に添うように流れて板70の端部(図の手前側と奥側)に達した後、板70の上側に流れて、図10(a)、(b)に示す器具(燃焼装置)上方の空間C部(燃焼装置の天板71と給気通路72の上面との段差により形成されている空間部)に溜まり、C寸法以上の排気ガスが溜まった後に給気通路72を通って給気口73より屋外に排出される。このため、C部には排気ガスの熱が溜まり(こもり)、この熱ごもりによって、天板71が手で触ると火傷をするくらいの熱さになってしまう。そこで、この火傷を防止するために、天板71を二重にしたり、C部にグラスウール等を設けて防熱する必要があった。
【0022】
本発明は、前記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、給湯メインバーナに隣接したパイロットバーナの燃焼を給湯メインバーナの燃焼停止後も継続させる構成を有する燃焼装置において、そのパイロットバーナの燃焼ガスが給湯熱交換器側に回り込み、給湯熱交換器が加熱されることによって生じる後沸きや、パイロットバーナの燃焼ガスによる装置天板部(上板部)の加熱を抑制することができる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、給湯メインバーナと風呂メインバーナとが互いに間隔を介して配置され、該間隔に口火用のパイロットバーナが設けられており、該パイロットバーナに点火してそのパイロットバーナの炎によって前記給湯メインバーナと前記風呂メインバーナの少なくとも一方の炎口に着火してそのメインバーナ燃焼を行い、該メインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間は前記パイロットバーナの燃焼は継続する燃焼装置であって、前記給湯メインバーナの上部側には該給湯メインバーナと間隔を介して給湯熱交換器が設けられ、前記風呂メインバーナの上部側には該風呂メインバーナと間隔を介して風呂熱交換器が設けられ、前記パイロットバーナの上部側には該パイロットバーナと間隔を介し、該パイロットバーナの高温の燃焼ガスが前記給湯熱交換器側に流れることを防いで前記風呂熱交換器の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導き、風呂熱交換器の排気部より燃焼ガスが排出されることにより前記パイロットバーナの燃焼ガスの熱によって前記給湯熱交換器が加熱されることを防ぐガイドカバーが設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0024】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記ガイドカバーは、給湯熱交換器の下端部から風呂熱交換器の下端部に向けて斜め上方側に形成された斜板部を備え、該斜板部の前記給湯熱交換器側の端部は介設板部を介し前記給湯熱交換器におけるパイロットバーナの上方部側の下端部を該パイロットバーナの熱から保護するため前記給湯熱交換器の下端部を覆うように配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、給湯メインバーナと風呂メインバーナとの間隔に口火用のパイロットバーナが設けられ、パイロットバーナからメインバーナへの着火によるメインバーナの燃焼を行い、該メインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間は前記パイロットバーナの燃焼は継続するが、パイロットバーナの上部側には該パイロットバーナと間隔を介してガイドカバーが設けられており、このガイドカバーによって、パイロットバーナの給湯メインバーナへの着火に必要なガス以外の燃焼ガスが、給湯メインバーナの上側に配置された給湯熱交換器側に流れることを防ぎ、風呂メインバーナの上側に配置された風呂熱交換器の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導かれ、風呂熱交換器の排気部より排出される。そのため、従来のように、パイロットバーナの燃焼ガスの持つ熱量が給湯熱交換器の缶体の外部から流れ込んで、その熱によって給湯熱交換器が加熱されることを防ぐことができ、給湯熱交換器の筒体の温度上昇を低く抑えることにより、給湯熱交換器の後沸きを抑制できる。
【0026】
また、本発明は、前記のように、ガイドカバーによって、パイロットバーナの高温の燃焼ガスが風呂熱交換器の下端部側に向けて斜め上方側にガイドされて導かれ、風呂熱交換器の排気部より燃焼ガスが排出されることにより、パイロットバーナの高温の燃焼ガスが風呂熱交換器と給湯熱交換器との間を直上した後、燃焼装置の天板(上板)付近に溜まることを抑制できるので、燃焼ガスが燃焼装置の上板付近に溜まることによって天板が加熱されることを抑制できる。したがって、燃焼装置の天板を二重にしたり、上板近傍に断熱材を設けたりする必要が無く、その分だけ燃焼装置の構成を簡略化でき、コストダウンを図ることができる。
【0027】
また、本発明において、ガイドカバーを、給湯熱交換器の下端部から風呂熱交換器の下端部に向けて斜め上方側に形成された斜板部を設けて形成し、該斜板部の前記給湯熱交換器側の端部を、介設板部を介し、前記給湯熱交換器におけるパイロットバーナの上方部側の下端部を該パイロットバーナの熱から保護するため前記給湯熱交換器の下端部を覆うように配設することにより、簡単な構成で、パイロットバーナの燃焼ガスの風呂メインバーナ側へのガイドができ、パイロットバーナの高温の燃焼ガスの熱によって給湯熱交換器の下端が部分的に加熱されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施例におけるバーナ周辺構成の例をパイロットバーナからの燃焼ガスの流れと共に示す模式的な構成図である。
【図2】本発明に係る燃焼装置に設けられるガイドカバーの例を示す側面図(a)、(a)’と斜視図(b)、(b)’である。
【図3】燃焼装置に設けられている給湯熱交換器に図2のガイドカバーを取り付けた状態を示す模式的な斜視図である。
【図4】実施例の燃焼装置に設けられているガイドカバーの配置構成を説明するための模式的な断面説明図である。
【図5】燃焼装置のシステム構成例を示す説明図である。
【図6】燃焼装置に設けられているバーナ装置の構成例を示す分解斜視図である。
【図7】従来の燃焼装置に設けられている給湯熱交換器と風呂熱交換器の構成例を示す模式的な斜視図である。
【図8】燃焼装置の浴槽への接続構成例と、従来の燃焼装置におけるパイロットバーナの燃焼ガスの流れを説明するための模式図である。
【図9】燃焼装置の浴槽への接続構成例を示す模式的な説明図である。
【図10】従来の燃焼装置において、天板近傍の燃焼ガスが溜まる領域(C部)を説明するための模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下の実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0030】
本実施例の燃焼装置は、図5に示した燃焼装置と同様のシステム構成を有し、従来の燃焼装置とほぼ同様に形成されているが、本実施例では、図7に示した防熱カバー12を給湯熱交換器7に設けずに、図1に示すように、給湯熱交換器7に、特徴的なステンレス製のガイドカバー17を取り付けている。このガイドカバー17は、パイロットバーナ38の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に流れることを防いで、同図の矢印Gに示すように、風呂熱交換器40の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導き、風呂熱交換器40の排気部より燃焼ガスを排出することにより、パイロットバーナ38の高温の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に回り込んだその熱により給湯熱交換器7が加熱されることを防ぐものである。
【0031】
なお、図2(a)には、ガイドカバー17の側面図が、(b)にはその斜視図がそれぞれ示されているおり、図3(a)には、そのガイドカバー17を取り付けた状態の給湯熱交換器7が斜視図により示されている。また、図4(a)には、ガイドカバー17の配設構成が、給湯熱交換器40および風呂熱交換器7と共に模式的な断面図により示されている。これらの図に示すように、ガイドカバー17は巻水管防熱部29を有し、図4に示すように、給湯熱交換器7の筒体56の内側に設けられている。また、ガイドカバー17は、給湯熱交換器7の下端部から風呂熱交換器40の下端部に向けて斜め上方側に形成された斜板部27を備え、該斜板部27の給湯熱交換器7側の端部は、介設板部28を介し、給湯熱交換器7におけるパイロットバーナ38の上方部側の下端部を該パイロットバーナ38の熱から保護するため、給湯熱交換器7の下端部を覆うように配設されている。
【0032】
このガイドカバー17を設けることにより、本実施例では、図1の矢印Gに示すように、パイロットバーナ38の炎口1,3の炎の燃焼により生じる燃焼ガスが風呂熱交換器40側に導かれて排気口53から排気されるので、パイロットバーナ38の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に流れ込むことを防ぐことができ、また、給湯熱交換器7と風呂熱交換器40との間に入り込むことも防ぐことができる。そのため、前記燃焼ガスが給湯熱交換器7の筒体56の外壁面側や内壁面側に回り込んだ熱による、管路57内の湯の加熱を抑制することにより後沸きの温度を低くできるし、燃焼装置の上板(天板)付近に高温の燃焼ガスが溜まることを抑制できるので、天板が加熱されることを抑制でき、その分だけ燃焼装置の構成を簡略化でき、コストダウンを図ることができる。
【0033】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、ガイドカバー17の形状は特に限定されるものでなく、パイロットバーナ38の高温の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に流れることを防いで、風呂熱交換器40の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導くことにより、パイロットバーナ38の燃焼ガスの熱によって給湯熱交換器7が加熱されることを防ぐことができるように、適宜設定されるものである。例えば、図の左側に給湯熱交換器7が配設され、図の右側に風呂熱交換器40が配設されている燃焼装置の場合、ガイドカバー17は、図2(a)’、(b)’に示される構成としてもよく、この場合、ガイドカバー17の配設構成は、図3(b)、図4(b)に示すような構成となる。また、ガイドカバー17は、2つ以上の部材を組み合わせて形成してもよい。
【0034】
また、本発明の燃焼装置は、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39とが互いに間隔を介して配置され、該間隔に口火用のパイロットバーナ38が設けられ、そのパイロットバーナ38の高温の燃焼ガスが給湯熱交換器7側に流れることを防いで、風呂熱交換器40の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導くガイドカバー17を設けて形成されていれば、各バーナ10,39の詳細な構成や、燃焼装置のシステム構成の詳細は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、パイロットバーナの燃焼ガスによる給湯熱交換器の後沸きを抑制できるので、使い勝手が良好な燃焼装置として利用できる。
【符号の説明】
【0036】
7 給湯熱交換器
10 給湯メインバーナ
17 ガイドカバー
27 斜板部
28 介設板部
29 巻水管防熱部
38 パイロットバーナ
39 風呂メインバーナ
40 風呂熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯メインバーナと風呂メインバーナとが互いに間隔を介して配置され、該間隔に口火用のパイロットバーナが設けられており、該パイロットバーナに点火してそのパイロットバーナの炎によって前記給湯メインバーナと前記風呂メインバーナの少なくとも一方の炎口に着火してそのメインバーナ燃焼を行い、該メインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間は前記パイロットバーナの燃焼は継続する燃焼装置であって、前記給湯メインバーナの上部側には該給湯メインバーナと間隔を介して給湯熱交換器が設けられ、前記風呂メインバーナの上部側には該風呂メインバーナと間隔を介して風呂熱交換器が設けられ、前記パイロットバーナの上部側には該パイロットバーナと間隔を介し、該パイロットバーナの高温の燃焼ガスが前記給湯熱交換器側に流れることを防いで前記風呂熱交換器の下端部側に向けて斜め上方側にガイドして導き、風呂熱交換器の排気部より燃焼ガスが排出されることにより前記パイロットバーナの燃焼ガスの熱によって前記給湯熱交換器が加熱されることを防ぐガイドカバーが設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
ガイドカバーは、給湯熱交換器の下端部から風呂熱交換器の下端部に向けて斜め上方側に形成された斜板部を備え、該斜板部の前記給湯熱交換器側の端部は介設板部を介し前記給湯熱交換器におけるパイロットバーナの上方部側の下端部を該パイロットバーナの熱から保護するため前記給湯熱交換器の下端部を覆うように配設されていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−127622(P2012−127622A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281979(P2010−281979)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)