説明

爆破処理方法及び爆破処理装置

【課題】外殻内に化学剤のみが充填された被処理物や、炸薬が劣化して起爆力が弱い被処理物について、限られた爆薬量で外殻内に充填された化学剤を効率的に処理する。
【解決手段】爆破処理方法は、弾殻101及びその内部に充填される化学剤102を有する被処理物100について、弾殻101を爆薬6の爆轟により所定の切断位置で切断して化学剤102を露出させるとともに、その化学剤102を前記爆轟を利用して分解する爆破処理方法であって、切断位置を挟んで一方側と他方側との間で弾殻101に外側から作用する爆轟圧に差が生じてその爆轟圧の差による剪断力で弾殻101が切断されるように、弾殻101の外側に爆薬6を配置してその爆薬6を爆轟させる工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻及びその内部に充填される化学剤を有する被処理物を処理するための爆破処理方法及び爆破処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軍事用の化学兵器(例えば、砲弾、爆弾、地雷、機雷等)として、鋼製の外殻の内部に、人体に有害な化学剤が充填されたものが知られている。そして、このような化学兵器を無害化する処理方法として、爆破による処理方法が知られている。この爆破処理方法は、解体作業を要しないことから、保存状態が良好な化学兵器のみならず、経年劣化や変形などにより解体が困難になったものの処理にも適用することが可能である。さらに、爆発に基づく超高温場及び超高圧場の実現によって化学剤のほとんど全てを分解できるという利点がある。このような爆破処理方法の一例が、例えば下記の特許文献1に開示されている。
【0003】
下記の特許文献1に開示された爆破処理方法では、外殻内に爆薬と化学剤を有する化学弾薬を被処理物として、その被処理物の外周にANFO爆薬を配置し、そのさらに外周にANFO爆薬よりも爆速の大きいシート状爆薬を配置する。そして、被処理物の軸方向の一方側からシート状爆薬を起爆させ、その爆轟により内側のANFO爆薬を爆発させることによって、被処理物を爆破処理する。この際、被処理物の内部の爆薬も爆発することにより、被処理物の外殻が破砕されて内部の化学剤が露出し、前記各爆薬の爆轟エネルギーにより化学剤が分解されて無害化されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被処理物の中には、外殻の内部に化学剤のみが充填されている化学弾や、老朽化により炸薬が劣化して起爆力が弱い弾薬などが存在する。このような被処理物を上記特許文献1の爆破処理方法を用いて爆破処理する場合には、被処理物の内部からの爆発力が得られないか、または、非常に小さいことに起因して、被処理物の外殻が十分に破砕されず、化学剤の分解が不十分になる虞がある。
【0006】
また、外殻を十分に破砕するために被処理物の外周に配置する爆薬量を増やすことも考えられるが、この場合にはコストが増大するという問題点がある。さらに、安全面からも爆薬量の増大には限界がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外殻内に化学剤のみが充填された被処理物や、炸薬が劣化して起爆力が弱い被処理物について、限られた爆薬量で外殻内に充填された化学剤を効率的に処理することが可能な爆破処理方法及び爆破処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による爆破処理方法は、外殻及びその内部に充填される化学剤を有する被処理物について、前記外殻を爆薬の爆轟により所定の切断位置で切断して前記化学剤を露出させるとともに、その化学剤を前記爆轟を利用して分解する爆破処理方法であって、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で前記外殻に外側から作用する爆轟圧に差が生じてその爆轟圧の差による剪断力で前記外殻が切断されるように、前記外殻の外側に前記爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程を備えている。
【0009】
この爆破処理方法では、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で生じる爆轟圧の差により、切断に有効な剪断力を発生させることができる。従って、この剪断力を利用して、被処理物の外殻を前記切断位置において効果的に切断することができる。このため、爆薬の爆発力が弱くても、単に爆薬の爆発力を被処理物の外殻に付与するだけの場合に比べて被処理物の外殻を容易に切断することができる。これにより、爆薬量を増大させなくても、外殻の内部に充填された化学剤を確実に露出させることができるとともに、その露出した化学剤を爆薬の爆轟によって生じる高温かつ高圧の爆轟ガスにより十分に分解して無害化することができる。従って、この爆破処理方法では、外殻内に化学剤のみが充填された被処理物や、炸薬が劣化して起爆力が弱い被処理物について、限られた爆薬量で外殻内に充填された化学剤を効率的に処理することができる。
【0010】
上記爆破処理方法において、前記外殻の外側に爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程は、前記切断位置を挟んで一方側のみに前記外殻の外面に直接接触するように前記爆薬を配置する工程と、その爆薬を爆轟させる工程とを含むのが好ましい。このように構成すれば、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて被処理物の外殻に外側から爆轟圧が直接作用するので、前記切断位置を挟んで一方側と他方側とで被処理物の外殻に外側から作用する爆轟圧に差を生じさせることができる。
【0011】
この場合において、前記外殻の外側に爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程は、容器の内部に前記被処理物を設置する工程と、前記切断位置を挟んで他方側において前記被処理物の外殻の外面に直接接触するようにスペーサを設置する工程とを含み、前記爆薬を配置する工程は、前記容器内の前記被処理物と前記スペーサ以外の空間に前記爆薬を充填する工程を含むのが好ましい。この構成では、容器内の前記切断位置を挟んで他方側のスペーサの部分には、爆薬が充填されないとともに、容器内の前記切断位置を挟んで一方側には爆薬が充填される。すなわち、この構成では、被処理物の外殻の外面に直接接触するようにスペーサを容器内に設置するだけで、前記外殻の外面に直接接触するように爆薬を配置する空間を区画することができる。これにより、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて被処理物の外殻の外面に爆薬を直接接触するように容易に配置することができる。また、スペーサの部分では、爆轟の伝達が抑制されるので、前記外殻の切断位置に前記一方側から爆薬の爆轟が作用したときには、前記他方側からは爆轟が作用せず、前記切断位置において前記爆轟圧の差を生じさせることができる。
【0012】
上記爆薬を配置する工程を含む構成において、前記被処理物の外殻は、所定の軸方向に延びる円筒状の部分を有するとともに、その円筒状の部分の軸方向の両端部の開口が封止されており、前記切断位置は、前記外殻の軸方向における所定位置で、前記外殻の全周にわたって延びており、前記爆薬を配置する工程では、前記切断位置に対して前記外殻の軸方向において中央部側のみに前記外殻の外面に直接接触するように前記爆薬を配置してもよい。被処理物の端部で外殻が封止されている部分は剛性が比較的高い一方、外殻の軸方向において内側の部分は前記端部に比べて剛性が低い。このため、この構成のように、外殻の軸方向における所定位置で当該外殻の全周にわたって延びる切断位置に対して、外殻の軸方向において中央部側のみに爆薬をその外殻の外面に直接接触するように配置すれば、外殻の比較的剛性の低い部分に径方向外側から爆轟圧を作用させて容易に圧壊させることができる。従って、この構成では、被処理物の外殻が所定の軸方向に延びる円筒状の部分を有するとともに、その円筒状の部分の軸方向の両端部の開口が封止されている構成において、前記外殻を切断位置において容易に剪断することができる。
【0013】
上記爆薬を配置する工程を含む構成において、前記爆薬を配置する工程は、前記切断位置を挟んで一方側において前記外殻の外面に直接接触するように内側爆薬を配置する工程と、その内側爆薬の外側に当該内側爆薬よりも爆速の大きい外側爆薬を配置する工程とを含み、前記爆薬を爆轟させる工程では、前記外側爆薬を起爆してその爆轟により、前記内側爆薬を爆轟させるのが好ましい。このように構成すれば、前記切断位置を挟んで一方側では、爆速の大きい外側爆薬が先に爆轟していき、それに遅れて内側爆薬が爆轟していく。これにより、外側爆薬の爆轟により先に生じた爆轟ガスが、その後、内側爆薬の爆轟により生じる爆轟ガスを内向きに向かわせるとともにその圧力を増大させる。このため、前記切断位置を挟んで一方側では、被処理物の外殻に作用する爆轟圧をより増大させることができるので、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で被処理物の外殻に外側から作用する爆轟圧の差をより大きくすることができる。これにより、前記切断位置において被処理物の外殻に作用する剪断力をより大きくすることができるので、前記切断位置において被処理物の外殻をより確実に切断することができる。
【0014】
この場合において、前記外側爆薬を配置する工程では、前記内側爆薬よりも爆速の大きい爆薬を含むとともに一方向に延びる索状に形成された索状体を前記内側爆薬の外側に配設するのが好ましい。このように構成すれば、索状体を用いることにより、内側爆薬よりも爆速の大きいシート状の爆薬で内側爆薬の外側全体を覆う場合に比べて、爆薬の使用量を少なくすることができる。このため、この構成では、爆薬量を節減してコストの低減を図ることができる。
【0015】
また、上記爆破処理方法はチャンバ内で行うのが好ましい。このように構成すれば、化学剤の漏出や、被処理物の外殻の爆破による飛散等をチャンバ内で抑えることができるので、それらによる外部環境への悪影響を防ぐことができる。
【0016】
本発明による爆破処理装置は、外殻及びその内部に充填される化学剤を有する被処理物について、前記外殻を爆薬の爆轟により所定の切断位置で切断して前記化学剤を露出させるとともに、その化学剤を前記爆轟を利用して分解するための爆破処理装置であって、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて前記外殻の外面に直接接触するように当該外殻の外側に配置された前記爆薬と、前記爆薬に接続され、当該爆薬を起爆するための起爆部とを備えている。
【0017】
この爆破処理装置では、起爆部により爆薬を起爆することによって、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて被処理物の外殻に外側から爆轟圧を作用させることができるので、前記切断位置を挟んで一方側と他方側とで被処理物の外殻に外側から作用する爆薬の爆轟圧に差を生じさせることができる。そして、その爆轟圧の差により、前記切断位置において切断に有効な剪断力を生じさせることができる。従って、この剪断力を利用して、被処理物の外殻を前記切断位置において効果的に切断することができる。このため、爆薬の爆発力が弱くても、単に爆薬の爆発力を被処理物の外殻に付与するだけの場合に比べて被処理物の外殻を容易に切断することができる。これにより、爆薬量を増大させなくても、外殻の内部に充填された化学剤を確実に露出させることができるとともに、その露出した化学剤を爆薬の爆轟によって生じる高温かつ高圧の爆轟ガスにより十分に分解して無害化することができる。従って、この爆破処理装置では、外殻内に化学剤のみが充填された被処理物や、炸薬が劣化して起爆力が弱い被処理物について、限られた爆薬量で外殻内に充填された化学剤を効率的に処理することができる。
【0018】
上記爆破処理装置において、前記被処理物を内部に収容する容器と、前記容器内に設置され、前記切断位置を挟んで他方側において前記被処理物の外殻の外面に直接接触するスペーサとを備え、前記爆薬は、前記容器内の前記被処理物と前記スペーサ以外の空間に充填されているのが好ましい。この構成では、被処理物の外殻の外面に直接接触するようにスペーサを容器内に設置するだけで、前記外殻の外面に直接接触するように爆薬を配置する空間を区画することができる。これにより、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて被処理物の外殻の外面に爆薬を直接接触するように容易に配置することができる。また、スペーサの部分では、爆轟の伝達が抑制されるので、前記外殻の切断位置に前記一方側から爆薬の爆轟が作用したときには、前記他方側からは爆轟が作用せず、前記切断位置において前記爆轟圧の差を生じさせることができる。
【0019】
上記爆破処理装置において、前記爆薬は、前記切断位置を挟んで一方側において前記外殻の外面に直接接触するように配置された内側爆薬と、その内側爆薬の外側に配置され、当該内側爆薬よりも大きい爆速を有する外側爆薬とを含み、前記起爆部は、前記外側爆薬に接続されているのが好ましい。このように構成すれば、起爆部により外側爆薬を起爆すると、前記切断位置を挟んで一方側では、爆速の大きい外側爆薬が先に爆轟していくとともに、その爆轟によって起爆した内側爆薬が外側爆薬に遅れて爆轟していく。これにより、外側爆薬の爆轟によって先に生じた爆轟ガスが、その後、内側爆薬の爆轟によって生じる爆轟ガスを内向きに向かわせるとともにその圧力を増大させる。このため、前記切断位置を挟んで一方側では、被処理物の外殻に外側から作用する爆轟圧をより増大させることができるので、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で被処理物の外殻に外側から作用する爆轟圧の差をより大きくすることができる。これにより、前記切断位置において被処理物の外殻に作用する剪断力をより大きくすることができるので、前記切断位置において被処理物の外殻をより確実に切断することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、外殻内に化学剤のみが充填された被処理物や、炸薬が劣化して起爆力が弱い被処理物について、限られた爆薬量で外殻内に充填された化学剤を効率的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による爆破処理方法を用いて処理する被処理物の構造を示した縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による爆破処理装置の全体構成を示した斜視図である。
【図3】図2に示した爆破処理装置の縦断面図である。
【図4】図2に示した爆破処理装置のIV−IV線に沿った横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の第1変形例による爆破処理装置の縦断面図である。
【図6】図5に示した第1変形例による爆破処理装置の図4に対応する横断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の第2変形例による爆破処理装置の縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の第3変形例による爆破処理装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による爆破処理方法を用いて処理する被処理物100の構造を示した縦断面図である。図2は、本発明の一実施形態による爆破処理装置の全体構成を示した斜視図である。図3は、図2に示した爆破処理装置の縦断面図である。図4は、図2に示した爆破処理装置のIV−IV線に沿った横断面図である。図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による爆破処理方法及び爆破処理装置について説明する。
【0024】
本実施形態による爆破処理方法で処理する被処理物100は、図1に示すような細長い砲弾状の外形を有する化学弾である。この被処理物100は、薄肉で鋼製の弾殻101(外殻)と、その内部に充填された人体に有害な化学剤102とを有している。そして、この被処理物100では、弾殻101内に炸薬等の爆薬が設けられておらず、前記化学剤102のみが充填されている。
【0025】
本実施形態による爆破処理方法は、前記被処理物100について、弾殻101を後述する爆薬6の爆轟により所定の切断位置で切断して化学剤102を露出させるとともに、その露出した化学剤102を爆薬6の爆轟を利用して分解するものである。そして、この爆破処理方法では、図2に示すような爆破処理装置を作製し、この爆破処理装置を用いて前記被処理物100を爆破処理する。爆破処理装置の作製手順としては、まず、図3及び図4に示すように、容器2を用いて被処理物100の外側にスペーサ4と爆薬6とを配置する。
【0026】
前記容器2は、円筒状に形成されているとともに、底壁部2aを有している。
【0027】
前記スペーサ4は、容器2内の被処理物100の周囲の空間において、爆薬6を配置する空間を区画するものである。このスペーサ4としては、発泡スチロールや、その他の樹脂材料等により、被処理物100の軸方向において当該被処理物100と同等の長さを有するとともに、前記軸方向に直交する断面が略扇形になるように形成されたものを用いる。
【0028】
前記爆薬6は、内側爆薬10と、その内側爆薬10の外側に配置する外側爆薬12によって構成する。
【0029】
前記内側爆薬10としては、流動性を有する爆薬を用いる。そのような爆薬としては、例えば、エマルジョン爆薬、スラリー爆薬もしくは粒状の爆薬(ANFO爆薬等)等が挙げられる。
【0030】
前記外側爆薬12としては、前記内側爆薬10よりも爆速の大きい爆薬を有するとともに、一方向に延びる索状に形成された複数の索状体12aを用いる。具体的には、索状体12aとして、プラスチックチューブ内に前記内側爆薬10よりも爆速の大きい爆薬が詰め込まれた導爆線や、ワックス中に前記内側爆薬10よりも爆速の大きいペンスリット爆薬等が練り込まれて索状に形成されたもの等を用いる。
【0031】
そして、これら容器2、スペーサ4、内側爆薬10及び外側爆薬12を以下の手順で配置する。まず、容器2の内面上に外側爆薬12の複数の索状体12aを配設する。具体的には、索状体12aを容器2の内面上に軸方向に沿って一方端部から他方端部に亘って取り付ける。この際、容器2の内面のうち、後でスペーサ4によって区画される2つの空間に対応する範囲のみに索状体12aを配設する。そして、この2つの範囲において、図4に示すように、それぞれ同数ずつ(本実施形態では5本ずつ)の索状体12aを容器2の周方向に等間隔で配設する。
【0032】
次に、容器2内の中央に被処理物100を当該容器2と略同軸となるように配置する。また、スペーサ4を被処理物100の外周面と容器2の内周面との間に配置する。この際、容器2の径方向内側におけるスペーサ4の円弧状の側面が被処理物100の弾殻101の外周面に密着する一方、径方向外側におけるスペーサ4の円弧状の側面が容器2の内周面に密着するように、当該スペーサ4を容器2内に配置する。そして、本実施形態では、一対のスペーサ4,4を径方向において被処理物100を挟んで対称に配置する。これにより、被処理物100の外周の空間において、一対のスペーサ4,4間に爆薬6を配置する空間が構成される。
【0033】
この後、内側爆薬10を前記容器2内の被処理物100と一対のスペーサ4,4以外の空間に充填することにより、内側爆薬10を被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するように当該弾殻101の外側に配置する。これにより、径方向において被処理物100を挟んで両側に内側爆薬10が対称的に配置されるとともに、各内側爆薬10の外側に外側爆薬12の索状体12aが配置される。
【0034】
そして、内側爆薬10と各スペーサ4との境界部の位置が、本実施形態における被処理物100の弾殻101の切断位置となる。内側爆薬10とスペーサ4との境界部は、被処理物100の外周に所定間隔で4箇所形成され、そのそれぞれが被処理物100の軸方向に延びるように形成される。従って、本実施形態では、被処理物100の弾殻101をその外周の4箇所において、被処理物100の軸方向に沿って切断することになる。そして、各切断位置を挟んで弾殻101の周方向において一方側のみに、内側爆薬10が弾殻101の外面に直接接触するように配置されている一方、他方側では、弾殻101の外側がスペーサ4で覆われて内側爆薬10が存在しない構造が構成される。
【0035】
最後に、容器2の開口している側、すなわち底壁部2aと反対側において、全ての索状体12aを一まとめにしてそれらの端部に共通の電気雷管16(起爆部)を接続する。以上のようにして、本実施形態による爆破処理装置が作製される。
【0036】
次に、上記のように作製した爆破処理装置を用いて前記被処理物100の爆破処理を行う。この爆破処理は、上記の爆破処理装置を図略のチャンバ内に収めて、このチャンバ内で行う。
【0037】
爆破処理のプロセスとしては、まず、前記電気雷管16により、全ての索状体12aをその端部から起爆して爆轟させる。そして、この索状体12aの爆轟によって、内側爆薬10が軸方向における一方端部から起爆される。これにより、外側爆薬12の各索状体12aが前記軸方向の一方端側から他方端側に向かって爆轟していくとともに、内側爆薬10が軸方向の一方端部から他方端部に向かって爆轟していく。ここで、外側爆薬12の索状体12aの爆速は、内側爆薬10の爆速よりも大きいので、索状体12aの爆轟が先に進行し、それに遅れて内側爆薬10の爆轟が進行する。
【0038】
そして、外側爆薬12及び内側爆薬10が爆轟することにより、前記切断位置を挟んで一方側では被処理物100の弾殻101に外側から爆轟圧が作用する一方、前記切断位置を挟んで他方側ではスペーサ4によって爆轟圧の伝達が抑制される。これにより、前記切断位置を挟んで一方側と、他方側との間で被処理物100の弾殻101に外側から作用する爆轟圧に差が生じる。
【0039】
また、外側爆薬12の爆轟と内側爆薬10の爆轟によって、高温かつ高圧の爆轟ガスがそれぞれ発生する。本実施形態では、内側爆薬10の外側に外側爆薬12が配置されていることに起因して、外側爆薬12の爆轟によって先に生じた爆轟ガスにより、その後生じる内側爆薬10の爆轟ガスの作用方向が径方向内向きにされるとともに、その爆轟ガスの圧力がさらに高められる。このため、前記切断位置を挟んで一方側では、被処理物100の弾殻101に外側から作用する爆轟圧がさらに増大し、それに伴って、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で被処理物100の弾殻101に外側から作用する爆轟圧の差がさらに増大する。
【0040】
この爆轟圧の差は、前記切断位置に大きな剪断力を発生させ、爆発力自体は比較的低くても、被処理物100の弾殻101が前記各切断位置において切断されることを可能にする。この切断により、弾殻101の内部に充填された化学剤102が露出する。この露出した化学剤102は、前記爆轟ガスにより分解されて無害化される。このようにして、本実施形態による被処理物100の爆破処理が行われる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で生じる爆轟圧の差により、切断に有効な剪断力を発生させることができる。従って、この剪断力を利用して、被処理物100の弾殻101を前記切断位置において効果的に切断することができる。ところで、被処理物100の外周全体を覆うように爆薬を配置して、単にその爆薬の爆発力を弾殻101に付与するような従来の爆破処理方法では、爆発によって弾殻101に付与される力が切断位置に集中しないので、弾殻101を効果的に切断することが困難になる場合がある。これに対して、本実施形態では、上記したように弾殻101を前記切断位置で効果的に切断することができる。このため、爆薬6の爆発力が弱くても、単に爆薬の爆発力を被処理物100の弾殻101に付与するだけの場合に比べて被処理物100の弾殻101を容易に切断することができる。これにより、爆薬量を増大させなくても、弾殻101の内部に充填された化学剤102を確実に露出させることができるとともに、その露出した化学剤102を爆薬6の爆轟によって生じる高温かつ高圧の爆轟ガスにより十分に分解して無害化することができる。従って、本実施形態では、弾殻101内に化学剤102のみが充填された被処理物100について、限られた爆薬量で弾殻101内に充填された化学剤102を効率的に処理することができる。
【0042】
また、本実施形態では、容器2の内部に前記切断位置を挟んで他方側において被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するようにスペーサ4を設置した後、容器2内の被処理物100とスペーサ4以外の空間に内側爆薬10を充填する。このため、被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するようにスペーサ4を容器2内に設置するだけで、前記弾殻101の外面に直接接触するように内側爆薬10を弾殻101の外側に配置する空間を区画することができる。これにより、前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて被処理物100の弾殻101の外面に内側爆薬10を直接接触するように容易に配置することができる。また、スペーサ4の部分では、爆轟の伝達が抑制されるので、前記弾殻101の切断位置に前記一方側から内側爆薬10の爆轟が作用したときには、前記他方側からは爆轟が作用せず、前記切断位置において爆轟圧の差を生じさせることができる。
【0043】
また、本実施形態では、前記切断位置を挟んで一方側において、被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するように内側爆薬10を弾殻101の外側に配置するとともに、その内側爆薬10の外側に当該内側爆薬10よりも爆速の大きい外側爆薬12を配置する。そして、外側爆薬12を端部から起爆してその爆轟により、内側爆薬10を端部から爆轟させている。このため、爆速の大きい外側爆薬12が先に爆轟していき、それに遅れて内側爆薬10が爆轟していく。これにより、外側爆薬12の爆轟により先に生じた爆轟ガスが、その後、内側爆薬10の爆轟により生じる爆轟ガスを径方向内向きに向かわせるとともにその圧力を増大させる。このため、前記切断位置を挟んで一方側では、被処理物100の弾殻101に作用する爆轟圧をより増大させることができる。これにより、前記切断位置において被処理物100の弾殻101に作用する剪断力をより大きくすることができるので、前記切断位置において被処理物100の弾殻101をより確実に剪断することができる。
【0044】
また、本実施形態では、外側爆薬12として、内側爆薬10よりも爆速の大きい爆薬を含むとともに一方向に延びる索状に形成された複数の索状体12aを内側爆薬10の外側に配設しているので、内側爆薬10よりも爆速の大きいシート状の爆薬を内側爆薬10の外側全体を覆うように設ける場合に比べて、爆薬の使用量を少なくすることができる。このため、この構成では、爆薬量を節減してコストの低減を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、爆破処理をチャンバ内で行っているので、化学剤102の漏出や、被処理物100の弾殻101の爆破による飛散等をチャンバ内で抑えることができ、それらによる外部環境への悪影響を防ぐことができる。
【0046】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
例えば、上記実施形態では、弾殻101の内部に炸薬等の爆薬が設けられておらず、化学剤102のみが充填された化学弾を被処理物100としたが、これに限らず、上記実施形態のような化学弾以外の被処理物についても本発明を適用可能である。例えば、外殻内に炸薬と化学剤が納められているが、炸薬が劣化して起爆力が弱くなっているような化学弾を被処理物とすることが可能である。このような化学弾では、炸薬の起爆力が非常に小さくなっているため、従来のような内部からの爆発力を利用して外殻を破砕する爆破処理方法では、外殻が十分に破砕されないことがある。しかしながら、本発明によれば、このような化学弾においても外殻を確実に切断して化学剤を露出させ、その化学剤を前記爆轟ガスにより十分に分解することが可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、細長い砲弾状の外形を有する化学弾を被処理物100としたが、これに限らず、種々の外形を有する被処理物について本発明を適用可能である。例えば、球形や、非対称な形状や様々な形状の被処理物について同様に爆破処理することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、化学弾を被処理物100としたが、これに限らず、化学弾以外の種類の化学兵器を被処理物としてもよい。例えば、地雷や機雷等の化学兵器を被処理物としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、外側爆薬12として複数の索状体12aを用いたが、これに限らず、外側爆薬として索状以外の種々の形状の爆薬を用いてもよい。例えば、外側爆薬として、内側爆薬10よりも爆速の大きい爆薬を有するとともに、シート状に形成された爆薬シートを用いてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、容器2内で爆薬6を配置する空間を区画するために断面扇形のスペーサ4を用いたが、本発明はこの構成に限らない。例えば、容器2の周方向における爆薬6の配置領域の両端部に仕切壁を設け、この仕切壁を本発明のスペーサとしてもよい。この場合、仕切壁で挟まれた領域は、何も配置されない空間となる。
【0052】
また、上記実施形態では、容器2の内面上に外側爆薬12を配設するとともに容器2内の空間に内側爆薬10を充填することにより、外側爆薬12を内側爆薬10の外側に配置したが、本発明はこの構成に限らない。例えば、図5及び図6に示す上記実施形態の第1変形例のように、容器20内に内側爆薬10を充填するともに容器20の外面に外側爆薬12を配設することにより、外側爆薬12を内側爆薬10の外側に配置してもよい。
【0053】
この第1変形例において、前記容器20は、円筒状に形成されており、底壁部20aと取り外し可能な天壁部20bとを有している。この容器20は、外側爆薬12の爆轟により破壊されるとともに、その外側爆薬12の爆轟が内側爆薬10に伝達されるのを阻害しないような材料からなる。
【0054】
そして、この第1変形例における被処理物100、スペーサ4、内側爆薬10及び外側爆薬12の配置手順としては、まず、天壁部20bを取り外した容器20内において、その中央に被処理物100を当該容器20と略同軸となるように配置するとともに、一対のスペーサ4,4を被処理物100を径方向に挟んで対称に配置する。このスペーサ4,4は、被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するように配置する。そして、内側爆薬10を容器20内の被処理物100及び一対のスペーサ4,4以外の空間に充填する。この後、天壁部20bで容器20の上部を覆う。
【0055】
次に、外側爆薬12の索状体12aを、容器20の外面上にその容器20の軸方向における一方端部から他方端部に亘って取り付ける。この際、容器20の外面のうち前記内側爆薬10の外側の範囲のみに索状体12aを配設し、各スペーサ4の外側の範囲には索状体12aを配設しない。このようにして、被処理物100の弾殻101の外面に直接接触するように、内側爆薬10とスペーサ4とが前記切断位置を挟んで配置されるとともに、内側爆薬10の外側に外側爆薬12が配置される。この第1変形例の上記以外の構成は、上記実施形態による構成と同様である。
【0056】
また、上記第1変形例において、容器20としては、内側爆薬10を充填可能で、かつ、外側爆薬12の爆轟により破壊されて内側爆薬10への爆轟の伝達を阻害しないものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、プラスチック製の容器、プラスチック以外の種々の材料からなる容器またはプラスチック樹脂製のシート及び袋等を上記容器20として用いることが可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、被処理物100の弾殻101をその軸方向に沿って切断するようにしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、被処理物100の弾殻101の切断方向は上記以外のどのような方向であってもよく、弾殻101の切断部位は上記以外のどのような箇所であってもよい。
【0058】
例えば、図7に示す上記実施形態の第2変形例のように、被処理物100の弾殻101をその軸方向の異なる2箇所において、軸方向に直交する面で切断するようにしてもよい。具体的には、この第2変形例では、被処理物100の弾殻101の切断位置がその軸方向の異なる2箇所で、弾殻101の全周にわたって延びている。また、この第2変形例では、容器2として軸方向の長さが被処理物100の軸方向の長さよりも小さいものを用いる。容器2の底壁部2aと天壁部2bには、被処理物100の径に略等しい径を有する貫通孔を形成しておく。そして、容器2から天壁部2bを取り外した状態で、容器2内に被処理物100を入れるとともに底壁部2aの貫通孔に被処理物100を挿通させ、被処理物100の一方端部を底壁部2aから外側に突出させる。この後、外側爆薬12の複数の索状体12aを容器2の内周面の下部(底壁部2a側)と、容器2の内周面の上部とに配設する。この際、索状体12aは、容器2の内周面に全周にわたって等間隔で密に配置する。
【0059】
次に、容器2内の被処理物100以外の空間に内側爆薬10を充填した後、天壁部2bで容器2の上部の開口を覆う。この際、天壁部2bの貫通孔に被処理物100の他方端部を挿通させ、天壁部2bから外側に被処理物100の他方端部を突出させる。この第2変形例では、被処理物100の弾殻101の内側爆薬10で覆われた領域と、覆われていない領域との境界部の位置が弾殻101の切断位置となる。すなわち、この第2変形例では、切断位置に対して弾殻101の軸方向において中央部側のみに、爆薬6が当該弾殻101の外面に直接接触するように弾殻101の径方向外側に配置されている。
【0060】
最後に、上側の複数の索状体12aを一まとめにするとともに、下側の複数の索状体12aを一まとめにする。そして、これら上側と下側でまとめた索状体12aに共通の電気雷管16を接続する。
【0061】
そして、上記のように作製した爆破処理装置を用いて外側爆薬12及び内側爆薬10を爆轟させることにより、前記切断位置に対して弾殻101の軸方向において内側の部分に径方向外側から径方向内側に向かって爆轟圧が作用する一方、前記切断位置に対して弾殻101の軸方向において外側の部分、すなわち弾殻101の軸方向の両端部には爆轟圧が作用しない。この弾殻101に作用する爆轟圧の差によって剪断力を発生させ、その剪断力により弾殻101を前記切断位置において軸方向に直交する面で切断する。
【0062】
ところで、被処理物100の軸方向の端部で弾殻101が封止されている部分は剛性が比較的高い一方、弾殻101の軸方向において内側の部分は前記端部に比べて剛性が低い。このため、この第2変形例のように、弾殻101の軸方向における所定位置で当該弾殻101の全周にわたって延びる切断位置に対して、弾殻101の軸方向において中央部側のみに爆薬6を弾殻101の外面に直接接触するように弾殻101の径方向外側に配置すれば、弾殻101の比較的剛性の低い部分に径方向外側から爆轟圧を作用させて容易に圧壊させることができる。従って、この第2変形例では、被処理物100の弾殻101が所定の軸方向に延びる円筒状の部分を有するとともに、その円筒状の部分の軸方向の両端部の開口が封止されている構成において、前記弾殻101を切断位置において容易に剪断することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、容器2内において被処理物100の弾殻101の外面に接触するとともに、容器2の内周面に接触するスペーサ4を設けたが、本発明はこの構成に限らない。すなわち、図8に示す第3変形例のように、上記実施形態のスペーサ4よりも被処理物100の径方向における寸法の小さいスペーサ4を、当該スペーサ4の円弧状の外側面が容器2の内周面との間に間隙を有するように容器2内に設置してもよい。ただし、この場合でも、被処理物100の径方向内側におけるスペーサ4の円弧状の内側面は、上記実施形態と同様、被処理物100の弾殻101の外面に直接接触させる。そして、この第3変形例では、被処理物100の周方向におけるスペーサ4の端面と内側爆薬10との境界部の位置が弾殻101の切断位置となる。なお、この構成では、容器2内に内側爆薬10を充填する際に、スペーサ4,4間の空間のみならず、スペーサ4と容器2の内周面との間の間隙にも内側爆薬10が充填される。この間隙に充填された内側爆薬10も被処理物100の爆破処理の際に爆轟するが、その爆轟の伝達がスペーサ4によって抑制されて弾殻101のスペーサ4が接触する部分には前記爆轟が遅れて到達する。このため、スペーサ4,4間の内側爆薬10の爆轟が弾殻101に作用する時点では、弾殻101に径方向外側から掛かる爆轟圧に切断位置を挟んで差が生じ、弾殻101が剪断される。
【符号の説明】
【0064】
2、20 容器
6 爆薬
10 内側爆薬
12 外側爆薬
12a 索状体
16 電気雷管(起爆部)
100 被処理物
101 弾殻(外殻)
102 化学剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻及びその内部に充填される化学剤を有する被処理物について、前記外殻を爆薬の爆轟により所定の切断位置で切断して前記化学剤を露出させるとともに、その化学剤を前記爆轟を利用して分解する爆破処理方法であって、
前記切断位置を挟んで一方側と他方側との間で前記外殻に外側から作用する爆轟圧に差が生じてその爆轟圧の差による剪断力で前記外殻が切断されるように、前記外殻の外側に前記爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程を備えた、爆破処理方法。
【請求項2】
前記外殻の外側に爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程は、前記切断位置を挟んで一方側のみに前記外殻の外面に直接接触するように前記爆薬を配置する工程と、その爆薬を爆轟させる工程とを含む、請求項1に記載の爆破処理方法。
【請求項3】
前記外殻の外側に爆薬を配置してその爆薬を爆轟させる工程は、容器の内部に前記被処理物を設置する工程と、前記切断位置を挟んで他方側において前記被処理物の外殻の外面に直接接触するようにスペーサを設置する工程とを含み、
前記爆薬を配置する工程は、前記容器内の前記被処理物と前記スペーサ以外の空間に前記爆薬を充填する工程を含む、請求項2に記載の爆破処理方法。
【請求項4】
前記被処理物の外殻は、所定の軸方向に延びる円筒状の部分を有するとともに、その円筒状の部分の軸方向の両端部の開口が封止されており、
前記切断位置は、前記外殻の軸方向における所定位置で、前記外殻の全周にわたって延びており、
前記爆薬を配置する工程では、前記切断位置に対して前記外殻の軸方向において中央部側のみに前記外殻の外面に直接接触するように前記爆薬を配置する、請求項2または3に記載の爆破処理方法。
【請求項5】
前記爆薬を配置する工程は、前記切断位置を挟んで一方側において前記外殻の外面に直接接触するように内側爆薬を配置する工程と、その内側爆薬の外側に当該内側爆薬よりも爆速の大きい外側爆薬を配置する工程とを含み、
前記爆薬を爆轟させる工程では、前記外側爆薬を起爆してその爆轟により、前記内側爆薬を爆轟させる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の爆破処理方法。
【請求項6】
前記外側爆薬を配置する工程では、前記内側爆薬よりも爆速の大きい爆薬を含むとともに一方向に延びる索状に形成された索状体を前記内側爆薬の外側に配設する、請求項5に記載の爆破処理方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の爆破処理方法をチャンバ内で行う、爆破処理方法。
【請求項8】
外殻及びその内部に充填される化学剤を有する被処理物について、前記外殻を爆薬の爆轟により所定の切断位置で切断して前記化学剤を露出させるとともに、その化学剤を前記爆轟を利用して分解するための爆破処理装置であって、
前記切断位置を挟んで一方側のみにおいて前記外殻の外面に直接接触するように当該外殻の外側に配置された前記爆薬と、
前記爆薬に接続され、当該爆薬を起爆するための起爆部とを備えた、爆破処理装置。
【請求項9】
前記被処理物を内部に収容する容器と、
前記容器内に設置され、前記切断位置を挟んで他方側において前記被処理物の外殻の外面に直接接触するスペーサとを備え、
前記爆薬は、前記容器内の前記被処理物と前記スペーサ以外の空間に充填されている、請求項8に記載の爆破処理装置。
【請求項10】
前記爆薬は、前記切断位置を挟んで一方側において前記外殻の外面に直接接触するように配置された内側爆薬と、その内側爆薬の外側に配置され、当該内側爆薬よりも大きい爆速を有する外側爆薬とを含み、
前記起爆部は、前記外側爆薬に接続されている、請求項8または9に記載の爆破処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−236774(P2010−236774A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84661(P2009−84661)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)