片引き戸着脱用フック及び片引き戸着脱用把手
【課題】 戸板の一方の側端部が戸袋に常に収容された状態となっている片引き戸において、戸板の戸袋に収容された側を容易に持ち上げ可能とすることにより、開口部への戸板のスムーズな着脱を可能とする手段を提供する。
【解決手段】 本発明に係る片引き戸着脱用フック1は、片引き戸Kの戸板7を持ち上げて開口部25から取り外しまたは戸板7を開口部25に取り付ける際に戸板7の下端部7aを保持するために用いられ、戸板7の底面を受ける底面受け片5及び該底面受け片5から突出して戸板7に係止する係止片6を有するフック部3と、手で持って操作するための把持部4とを備えるものである。
【解決手段】 本発明に係る片引き戸着脱用フック1は、片引き戸Kの戸板7を持ち上げて開口部25から取り外しまたは戸板7を開口部25に取り付ける際に戸板7の下端部7aを保持するために用いられ、戸板7の底面を受ける底面受け片5及び該底面受け片5から突出して戸板7に係止する係止片6を有するフック部3と、手で持って操作するための把持部4とを備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の側部に戸袋が設けられた住宅等の開口部に、この開口部より幅広の1枚の戸板がスライド可能に設けられてなる戸袋式の片引き戸において、開口部から戸板を取り外し又は開口部に戸板を取り付ける際に使用する片引き戸着脱用フック及び片引き戸着脱用把手に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物では、玄関や部屋の出入り口用の戸として、開けた時に邪魔にならずすっきりした印象になる片引き戸が採用される場合がある。図14は、従来例に係る片引き戸80の構成を示す概略横断面図である(特許文献1参照)。片引き戸80は、レール81に沿って左右にスライド可能に設けられた1枚の戸板82が、壁面83に当接する閉止位置で開口部84を閉止し、戸袋85に収容される開放位置で開口部84を開放するように構成されたものである。ここで、図14に示すように、戸板82の横幅W1は開口部84の横幅W2よりも若干大きく形成され、戸板82は閉止位置にある時も戸袋85から完全に引き出されることはなく、その一部が戸袋85に収容された状態となっている。これにより、戸板82が閉止時の衝撃等によってレール81から脱落しても、開口部84から外れることのないようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−41848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の戸袋式の片引き戸80では、一旦開口部84に取り付けた戸板82を容易に取り外すことができないという問題があった。より詳細に説明すると、戸板82はその下端部や上端部に複数の戸車(不図示)が回転自在に支持されており、この戸車が前記レール81上を転動することで戸板82がスライド可能となっている。従って、戸板82を開口部84から取り外すためには、戸板82を持ち上げて戸車をレール81から離脱させる必要がある。しかし、前述のように戸板82は常にその一側端部が戸袋85に収容された状態となっており、戸板82と戸袋85との間には僅かな隙間しかないため、この隙間に指を差し込むことは難しい。従って、戸板82を持ち上げるべくその左右両側端部を手で持とうとしても、戸袋85に収容された側の側端部を掴みにくく、持ち上げ作業が困難である。
【0005】
この問題を回避する手段としては、戸板82を持ち上げるべくその戸袋85に収容された側を手で持つ時に、戸板82の側端部ではなく下端部を掴む方法がある。しかし、図14に詳細は示さないが、戸板82の下端部と床面との間には、前記戸車の突出分程度の僅かな隙間しか空いておらず、この隙間に指を差し込むことは難しい。そこで、戸板82における壁面83側の下隅角86を支点として、戸袋85に収容された側を床面から浮かせるように戸板82を若干傾ける。これにより、戸板82の戸袋85に収容された側についてその下端部を手で持つことができ、戸板82を持ち上げることができる。しかし、このように戸板82を傾けた状態で持ち上げて開口部84から取り外す場合、その回転の支点となる側の下隅角86が床面を擦って傷付けるという問題があった。
【0006】
また、従来の戸袋式の引き戸では、取り外し作業と同様に、戸板82を開口部84に取り付ける作業も難しいという問題があった。より詳細に説明すると、戸板82を開口部84に取り付けるためには、戸板82を持ち上げた状態から、その一側端部を戸袋85に収容しながら、戸車をレール81上に落とし込む必要がある。しかし、戸板82の戸袋85に収容する側については、その側端部を手で持った状態では手が邪魔になって側端部を戸袋85に収容する作業が難しい。また、取り外し作業時と同様に、戸板82の戸袋85に収容される側については、戸板82を若干傾けてその下端部を手で掴むことにより戸板82を持ち上げることも可能であるが、この場合も傾けた戸板82の下隅角86で床面を擦って傷付けるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、戸板の一方の側端部が戸袋に常に収容された状態となっている片引き戸において、戸板の戸袋に収容された側を容易に持ち上げ可能とすることにより、開口部への戸板のスムーズな着脱を可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る片引き戸着脱用フックは、壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の下端部を保持するために用いる片引き戸着脱用フックであって、前記戸板の底面を受ける底面受け片及び該底面受け片から突出して前記戸板に係止する係止片を有するフック部と、手で持って操作するための把持部とを備えるものである。
【0009】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックは、前記戸板に、その底面の一部を凹状に切り欠いて前記戸車を収容する戸車収容溝が複数個形成され、この戸車収容溝の縁部に、前記フック部の係止片が係止するものである。
【0010】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックは、前記係止片が、前記戸車収容溝と略同幅に形成されたものである。
【0011】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手は、壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の側端部を保持するために用いる片引き戸着脱用把手であって、横断面が略コ字型を有し前記戸板を厚み方向に挟持するようにその側端部に嵌合される戸板嵌合部と、手で持って操作するための把持部とを備えるものである。
【0012】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手は、前記戸板嵌合部の内側面に、弾性体からなる緩衝材が貼付されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、戸板の下端部と床面との間の隙間にフック部を差し込み、底面受け片を戸板の底面に当接させるとともに、係止片を戸板に係止させることにより、戸板の下端部に脱落不能に取り付けることができる。そして、把持部を持って引き上げることにより、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。これにより、開口部への戸板の着脱作業をスムーズに行うことができるとともに、戸板の下隅角で床面を傷付けることもない。
【0014】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、フック部の係止片が戸板の戸車収容溝に係止されるので、複数個ある戸車収容溝から適宜選択したものに片引き戸着脱用フックを装着することにより、その装着位置を横方向に調節することができる。これにより、作業者の身長や腕の長さ等の体格によらず、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。
【0015】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、戸車収容溝の内部で係止片が位置ズレしないので、戸板を持ち上げるべく力を加えた時に、下端部保持用フックに横ズレが生じない。
【0016】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手によれば、戸板の側端部に装着することにより、戸板に開閉用の把手が突設されていなくても、戸板を持ち上げる際に倒れないように、その側端部を保持することができる。また、戸板に固定されることなく、把持部を持って引っ張れば上下にスライドさせることができるので、作業者の体格によらず、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。
【0017】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手によれば、戸板の側端部に装着する際に、戸板嵌合部が戸板に接触して傷付けることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、本発明の実施例に係る片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手の構成について説明する。片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手は、片引き戸を構成する戸板を開口部から取り外しまたは開口部に取り付ける際に戸板を安定した状態で持ち上げるために使用するものである。具体的には、片引き戸着脱用フックは、戸板の下端部を保持するためのものであり、片引き戸着脱用把手は、戸板の一側端部を保持するためのものである。尚、片引き戸着脱用把手は、戸板に開閉用の把手が突設されておらず、片引き戸が閉止した状態では戸板の一端側を持つ場所がない時にだけ使用するものであって、戸板に開閉用の把手が突設されており、この把手を持って戸板の一端側を持ち上げられる時には、片引き戸着脱用把手を使用せずに、片引き戸着脱用フックのみを使用すればよい。
【0019】
図1は、片引き戸着脱用フック1の構成を示す概略斜視図である。片引き戸着脱用フック1は、長尺な本体部2と、この本体部2の長手方向一端部に設けられたフック部3と、本体部2の長手方向他端部に設けられた把持部4とを備えるものである。
【0020】
フック部3は、片引き戸着脱用フック1を戸板の下端部に係止させるためのものである。このフック部3は、図1に示すように全体として鉤状に形成され、本体部2の長手方向一端部から略90°の角度をなすように延びる板状の底面受け片5と、この底面受け片5の先端から略90°の角度をなして本体部2と略平行方向に延びる係止片6とを備えている。係止片6は、先端側に向かってその厚みが徐々に薄くなるように形成されている。
【0021】
把持部4は、片引き戸着脱用フック1の使用者が手に持って操作するためのものである。この把持部4は、図1にしめすように、木材や樹脂等からなる略円柱形状の部材であって、本体部2の長手方向他端部から略90°の角度をなして前記フック部3とは逆側に延びるように設けられている。尚、把持部4の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0022】
このように構成される片引き戸着脱用フック1は、片引き戸を構成する戸板の下端部に、前記フック部3を用いて装着される。図2は、片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図である。図に示すように、戸板7の下端部7aには、その底面8の一部を凹状に切り欠くことにより戸車収容溝9が複数個形成され、各戸車収容溝9の内部には戸車10が回転自在に軸支されている。そして、この戸車10がレール11の上を転動することにより、戸板7はレール11に沿ってスライド可能となっている。片引き戸着脱用フック1は、そのフック部3が戸板7と床面12との間の隙間13に差し込まれ、底面受け片5が戸板7の底面8に当接し、係止片6が戸車収容溝9の縁部に係止した状態で、戸板7の下端部7aに脱落不能に装着される。
【0023】
ここで、図1と図2に示すように、底面受け片5は、その長さL1が、戸板7表面から戸車収容溝9までの戸板7の厚みA1と略等しくなるよう形成されている。また、係止片6は、その厚みA2が、戸板7と床面12との間の隙間幅S1より小さく、その長さL2が、戸車10と戸車収容溝9との間の隙間幅S2より小さくなるよう形成されている。更に、底面受け片5と係止片6の横幅W1は、戸車収容溝9の横幅(不図示)と略等しく形成され、戸車収容溝9の内部での係止片6の位置ズレを防止することにより、片引き戸着脱用フック1が横ズレしないようになっている。
【0024】
尚、片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着位置は、戸車収容溝9を形成した箇所に限られず、図3に示すように、戸板7の下端部7aにおいて戸車収容溝9の無い箇所とすることもできる。この場合、底面受け片5の長さL1を戸板7の厚みA3と略等しく形成し、係止片6を戸板7の裏面に係止させればよい。しかし、本実施例のように係止片6を戸車収容溝9に係止させた方が、前述のように片引き戸着脱用フック1が横ズレしにくいという利点がある。
【0025】
次に、図4は、片引き戸着脱用把手14の構成を示す概略斜視図である。片引き戸着脱用把手14は、横断面がコ字型を有する戸板嵌合部15と、この戸板嵌合部15の長手方向に略平行して延びる把持部16と、戸板嵌合部15と把持部16を接続する接続部17とを備えるものである。
【0026】
戸板嵌合部15は、戸板7を厚み方向に挟むように嵌合させることにより、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部に装着するためのものである。この戸板嵌合部15は、図4に示すように、横断面が略L字型を有する2枚のL字型片18と、各L字型片18の谷側面18aにそれぞれ貼り付けられた緩衝材19とを備えている。L字型片18は、金属等からなる薄板を幅方向中間部で略90°曲折したものであり、その幅方向一端部には、90°曲折した部分とは逆方向に若干曲折することで拡開部20が形成されている。このような2枚のL字型片18は、その谷側面18a同士を向かい合わせるようにして幅方向他端部同士が重合され、溶接等により互いに固着されている。ここで、図4に示すように、相対向するL字型片18同士の距離が最も小さくなる部分では、その距離D1が戸板7の厚みA3と同程度になっている。また、前記拡開部20同士が向かい合う位置では、L字型片18同士の距離D2が戸板7の厚みA3より大きくなっており、戸板嵌合部15を戸板7の側端部に嵌合させやすくなっている。尚、本実施例では、戸板嵌合部15を2枚のL字型片18を固着して構成しているが、これに代えて1枚の金属板等をコ字型に曲折することで戸板嵌合部15を構成することも可能である。
【0027】
一方、緩衝材19は、戸板嵌合部15を戸板7の側端部に嵌合させる際に、各L字型片18が戸板7に接触して傷付けるのを防止するためのものである。この緩衝材19は、例えばスポンジ等の弾性体からなるシート状の部材を略矩形に形成したものであり、各L字型片18の谷側面18aにおける幅方向中間部から拡開部20に渡る領域に、図示しない糊等を用いて貼り付けられている。この緩衝材19の厚みA4は、片引き戸着脱用把手14の操作性を考慮して決定する必要がある。すなわち、片引き戸着脱用把手14を使用時に位置ズレが生じないように安定して戸板7に装着するためには、戸板嵌合部15がある程度の力で戸板7を挟持することが好適である。しかし、後述するように、片引き戸着脱用把手14は使用者の体格等に応じて戸板7の側端部に沿って上下にスライド可能とする必要があるため、片引き戸着脱用把手14のスライドを妨げるほど戸板嵌合部15が戸板7を強く挟持し過ぎるのは好適でない。従って、このバランスを考慮して緩衝材19の厚みA4を決定する必要がある。
【0028】
把持部16は、片引き戸着脱用把手14の使用者が手に持って操作するためのものである。この把持部16は、図4に示すように、木材や樹脂等からなる略円柱形状の部材であって、その長手寸法は戸板嵌合部15の長手寸法と略等しくなっている。また、把持部16には、前記接続部17を嵌合させるための嵌合溝21が、その周面の一部を切り欠いて形成されている。尚、把持部16の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0029】
接続部17は、金属等よりなる薄板を切り抜き及び曲折して形成したものであり、図4に示すように、戸板嵌合部15に固定される基片22と、把持部16に固定される上下一対の突片23とを備えている。この接続部17は、その基片22が、一方のL字型片18の山側面に当接された状態で固定されるとともに、各突片23が、把持部16の嵌合溝21にそれぞれ嵌合された状態で固定される。尚、接続部17の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。また、本実施例では、接続部17を戸板嵌合部15や把持部16とは別部材として構成しているが、これらと一体構成することも可能である。
【0030】
このように構成される片引き戸着脱用把手14は、片引き戸を構成する戸板7の側端部に、前記戸板嵌合部15を用いて装着される。図5は、片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の側端部7bを拡大した部分拡大横断面図である。図に示すように、片引き戸着脱用把手14は、戸板7の側端部7bに戸板嵌合部15を嵌合させることにより装着される。ここで、戸板嵌合部15は、その2枚のL字型片18が重合された箇所に戸板7の側端面が当接するまで嵌合される。この時、戸板嵌合部15を構成する緩衝材19が戸板7をある程度の力で挟持しているため、片引き戸着脱用把手14はその自重により戸板7の側端部7bに沿って下方に滑り落ちることがない。しかし、緩衝材19が戸板7を強く挟持しているわけではないため、把持部16を持って上方向または下方向に引っ張ることにより、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部7bに沿って上下方向にスライドできるようになっている。
【0031】
以下、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を用いて片引き戸の戸板7を開口部から取り外す手順について説明する。図6乃至図13は、片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図である。尚、図6乃至図13では、説明の便宜上、片引き戸Kの取り外し作業を行う作業者については図示を省略している。
【0032】
まず、図6は、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7に装着する前の片引き戸Kを示す図である。本実施例に係る片引き戸Kは、部屋の出入り口に設けられるものであって、部屋の室内側と室外側を仕切る壁面24と、この壁面24に形成された所定幅の開口部25と、この開口部25の下方に敷設されたレール11と、このレール11に沿ってスライド可能に設けられた1枚の戸板7と、この戸板7をそのスライド方向一端側で収容する戸袋26とを備えるものである。ここで、戸袋26の開口両縁部には、戸袋26と略同じ高さ寸法を有する左右一対の縦枠Tが、それぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0033】
このように構成される片引き戸Kは、戸板7が、壁面24に当接する閉止位置で開口部25を閉止し、戸袋26に収容される開放位置で開口部25を開放するようになっている。ここで、図6に示すように、戸板7の横幅W2は開口部25の横幅W3よりも若干大きく形成され、戸板7は閉止位置にある時も戸袋26から完全に引き出されることはなく、その一部が戸袋26に収容された状態となっている。これにより、戸板7を閉止した時に開口部25をより確実に閉止して部屋の密閉性を高めることができるとともに、戸板7が閉止時の衝撃等によってレール11から脱落しても、開口部25から外れることのないようになっている。
【0034】
次に、図7は、図6に示す状態から室内側の縦枠Tを取り外すとともに、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7に装着した状態を示す図である。すなわち、図6に示すように閉止位置にある戸板7を開放位置に向かって若干スライドさせ、戸板7を壁面24から離間させることにより、戸板7の一側端部7bを露呈させる。そして、この戸板7の側端部7bにおける適当な位置に、前述のように戸板嵌合部15を嵌合させることによって片引き戸着脱用把手14を装着する。更に、戸板7の下端部7aにおける適当な位置に、前述のようにフック部3を係止させることによって片引き戸着脱用フック1を装着する。
【0035】
尚、本実施例では、室内側から戸板7を取り外す場合を例にして説明するため、戸板7の室内側から片引き戸着脱用フック1を装着しているが、室外側から戸板7を取り外す場合には、室外側から片引き戸着脱用フック1を装着すればよい。また、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着順序は、本実施例とは逆に片引き戸着脱用フック1から先に装着してもよい。更に、前述のように戸板7から突出して開閉用の把手(不図示)が設けられている場合には、片引き戸着脱用把手14を装着することなく、片引き戸着脱用フック1だけを装着すればよい。
【0036】
次に、図8は、図7に示す状態から片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14の取付位置を適切な位置に調節した状態を示す図である。すなわち、後述するように片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を手に持って戸板7を安定した状態で持ち上げるためには、作業者の身長や腕の長さ等の体格に応じて、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7の適切な位置に装着する必要がある。従って、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部7bに沿ってスライドさせることによって上下方向への取付位置を調節するとともに、片引き戸着脱用フック1を装着する戸車収容溝9を変更することによって横方向への取付位置を調節する。
【0037】
次に、図9は、図8に示す状態から図中に矢印で示すように戸板7を閉止位置までスライドさせた状態を示す図である。ここで、前述のように、戸板7は片引き戸着脱用把手14が装着されていなくても、閉止位置ではその一部が戸袋26に収容されるようになっている。従って、片引き戸着脱用把手14が装着された図9に示す状態では、戸板7は、前記戸板嵌合部15の厚み分だけ、図8に示す状態よりも更に戸袋26側へスライドした状態となっている。
【0038】
次に、図10は、図9に示す状態から戸板7を持ち上げた状態を示す図である。すなわち、戸板7を開口部25から取り外すためには、戸車10をレール11から離脱させる必要がある。従って、図9に示す状態から、片引き戸着脱用フック1の把持部4と片引き戸着脱用把手14の把持部16を左右の手でそれぞれ掴み、図9中に矢印で示すように戸板7を鉛直上方へ持ち上げることにより、図2に示す戸車10とレール11の嵌合を解除する。
【0039】
次に、図11は、図10に示す状態から戸板7の一方の側端部7bを開口部25から取り外した状態を示す図である。すなわち、通常は、戸板7の他方の側端部7bが常に戸袋26に収容されているため、その両側端部7bを同時に開口部25から取り外すことはできないが、前述のように戸袋26の室内側に取り付けられた縦枠Tを事前に取り外してあることにより、戸板7の他方の側端部7bが戸袋26の外部に露呈した状態となっている。そこで、図10に示すように戸板7を持ち上げた状態から、片引き戸着脱用把手14を室外側へ押し出すとともに、片引き戸着脱用フック1を室内側へ引き付けるようにして、図10中に矢印で示すように戸板7を鉛直軸廻りに若干回転させる。これにより、図11に示すように、戸板7の壁面24側の側端部7bが開口部25から取り外される。
【0040】
次に、図12は、図11に示す状態から戸板7の他方の側端部7bを戸袋26から引き出した状態を示す図である。すなわち、図11に示す状態から、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1の両方を横方向に引っ張るようにして、図11中に矢印で示すように戸板7を横方向に若干移動させる。これにより、図12に示すように、戸板7の全体が戸袋26の外部へと引き出される。
【0041】
最後に、図13は、図12に示す状態から戸板7の他方の側端部7bを開口部25から取り外した状態を示す図である。すなわち、図12に示す状態から、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1の両方を室外側へ押し出すようにして、図12中に矢印で示すように戸板7を室外側へ運び出す。これにより、戸板7の他方の側端部7bも開口部25から取り外され、戸板7の全体について開口部25からの取り外しが完了する。
【0042】
このように、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1を用いて戸板7の側端部7bと下端部7aを保持することにより、戸板7を容易に持ち上げて開口部25から取り外すことができる。また、図12に示すように、戸板7を水平な状態に保ったまま開口部25から取り外すことができるので、戸板7の下隅角27によって床面12を傷付けにくいという利点がある。
【0043】
尚、戸板7を室外側へ運び出す際に戸板7が安定しない場合には、図13に示すように、片引き戸着脱用フック1を室外側へ押し出すようにして、戸板7をその戸袋26側上部が室内側へ倒れるように若干傾け、例えば図13中に一点鎖線で示すような戸袋26側の上部28を肩等で支持すればよい。こうすれば、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1と肩等の3点で戸板7を支持することになるので、より安定した状態で戸板7を室外側へ運び出すことができる。
【0044】
以上、片引き戸Kの戸板7を開口部25から取り外す手順について説明したが、これとは逆の手順で、片引き戸Kの戸板7を開口部25に取り付けることができる。すなわち、図12に示すように戸袋26の室内側の縦枠Tを取り外した状態で、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1を用いて持ち上げた戸板7を開口部25の周辺に運び込む。そして、図11に示すように戸板7の他方の側端部7bを戸袋26に収容した後、図10に示すように戸板7を鉛直軸廻りに若干回転させることにより一方の側端部7bを開口部25に合わせる。そして、図9に示すように戸板7をレール11上に落とし込んで、戸車10をレール11に嵌合させた後、取り外してあった縦枠Tを図6に示すように戸袋26の室内側に取り付けることにより、戸板7を開口部25に取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手は、室内側から見て戸板の左側に戸袋が設けられ、戸板を左側にスライドさせて開くタイプの片引き戸だけでなく、戸板の右側に戸袋が設けられ、戸板を右側にスライドさせて開くタイプの片引き戸にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係る片引き戸着脱用フック1の構成を示す概略斜視図。
【図2】片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図。
【図3】片引き戸着脱用フック1の戸板7への他の装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図。
【図4】片引き戸着脱用把手14の構成を示す概略斜視図。
【図5】片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の側端部7bを拡大した部分拡大横断面図。
【図6】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図7】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図8】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図9】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図10】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図11】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図12】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図13】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図14】従来例に係る片引き戸80の構成を示す概略横断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 片引き戸着脱用フック
3 フック部
4 把持部(片引き戸着脱用フック1)
5 底面受け片
6 係止片
7 戸板
7a 下端部(戸板7)
7b 側端部(戸板7)
9 戸車収容溝
10 戸車
14 片引き戸着脱用把手
15 戸板嵌合部
16 把持部(片引き戸着脱用把手14)
19 緩衝材
24 壁面
25 開口部
26 戸袋
K 片引き戸
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の側部に戸袋が設けられた住宅等の開口部に、この開口部より幅広の1枚の戸板がスライド可能に設けられてなる戸袋式の片引き戸において、開口部から戸板を取り外し又は開口部に戸板を取り付ける際に使用する片引き戸着脱用フック及び片引き戸着脱用把手に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物では、玄関や部屋の出入り口用の戸として、開けた時に邪魔にならずすっきりした印象になる片引き戸が採用される場合がある。図14は、従来例に係る片引き戸80の構成を示す概略横断面図である(特許文献1参照)。片引き戸80は、レール81に沿って左右にスライド可能に設けられた1枚の戸板82が、壁面83に当接する閉止位置で開口部84を閉止し、戸袋85に収容される開放位置で開口部84を開放するように構成されたものである。ここで、図14に示すように、戸板82の横幅W1は開口部84の横幅W2よりも若干大きく形成され、戸板82は閉止位置にある時も戸袋85から完全に引き出されることはなく、その一部が戸袋85に収容された状態となっている。これにより、戸板82が閉止時の衝撃等によってレール81から脱落しても、開口部84から外れることのないようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−41848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の戸袋式の片引き戸80では、一旦開口部84に取り付けた戸板82を容易に取り外すことができないという問題があった。より詳細に説明すると、戸板82はその下端部や上端部に複数の戸車(不図示)が回転自在に支持されており、この戸車が前記レール81上を転動することで戸板82がスライド可能となっている。従って、戸板82を開口部84から取り外すためには、戸板82を持ち上げて戸車をレール81から離脱させる必要がある。しかし、前述のように戸板82は常にその一側端部が戸袋85に収容された状態となっており、戸板82と戸袋85との間には僅かな隙間しかないため、この隙間に指を差し込むことは難しい。従って、戸板82を持ち上げるべくその左右両側端部を手で持とうとしても、戸袋85に収容された側の側端部を掴みにくく、持ち上げ作業が困難である。
【0005】
この問題を回避する手段としては、戸板82を持ち上げるべくその戸袋85に収容された側を手で持つ時に、戸板82の側端部ではなく下端部を掴む方法がある。しかし、図14に詳細は示さないが、戸板82の下端部と床面との間には、前記戸車の突出分程度の僅かな隙間しか空いておらず、この隙間に指を差し込むことは難しい。そこで、戸板82における壁面83側の下隅角86を支点として、戸袋85に収容された側を床面から浮かせるように戸板82を若干傾ける。これにより、戸板82の戸袋85に収容された側についてその下端部を手で持つことができ、戸板82を持ち上げることができる。しかし、このように戸板82を傾けた状態で持ち上げて開口部84から取り外す場合、その回転の支点となる側の下隅角86が床面を擦って傷付けるという問題があった。
【0006】
また、従来の戸袋式の引き戸では、取り外し作業と同様に、戸板82を開口部84に取り付ける作業も難しいという問題があった。より詳細に説明すると、戸板82を開口部84に取り付けるためには、戸板82を持ち上げた状態から、その一側端部を戸袋85に収容しながら、戸車をレール81上に落とし込む必要がある。しかし、戸板82の戸袋85に収容する側については、その側端部を手で持った状態では手が邪魔になって側端部を戸袋85に収容する作業が難しい。また、取り外し作業時と同様に、戸板82の戸袋85に収容される側については、戸板82を若干傾けてその下端部を手で掴むことにより戸板82を持ち上げることも可能であるが、この場合も傾けた戸板82の下隅角86で床面を擦って傷付けるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、戸板の一方の側端部が戸袋に常に収容された状態となっている片引き戸において、戸板の戸袋に収容された側を容易に持ち上げ可能とすることにより、開口部への戸板のスムーズな着脱を可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る片引き戸着脱用フックは、壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の下端部を保持するために用いる片引き戸着脱用フックであって、前記戸板の底面を受ける底面受け片及び該底面受け片から突出して前記戸板に係止する係止片を有するフック部と、手で持って操作するための把持部とを備えるものである。
【0009】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックは、前記戸板に、その底面の一部を凹状に切り欠いて前記戸車を収容する戸車収容溝が複数個形成され、この戸車収容溝の縁部に、前記フック部の係止片が係止するものである。
【0010】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックは、前記係止片が、前記戸車収容溝と略同幅に形成されたものである。
【0011】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手は、壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の側端部を保持するために用いる片引き戸着脱用把手であって、横断面が略コ字型を有し前記戸板を厚み方向に挟持するようにその側端部に嵌合される戸板嵌合部と、手で持って操作するための把持部とを備えるものである。
【0012】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手は、前記戸板嵌合部の内側面に、弾性体からなる緩衝材が貼付されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、戸板の下端部と床面との間の隙間にフック部を差し込み、底面受け片を戸板の底面に当接させるとともに、係止片を戸板に係止させることにより、戸板の下端部に脱落不能に取り付けることができる。そして、把持部を持って引き上げることにより、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。これにより、開口部への戸板の着脱作業をスムーズに行うことができるとともに、戸板の下隅角で床面を傷付けることもない。
【0014】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、フック部の係止片が戸板の戸車収容溝に係止されるので、複数個ある戸車収容溝から適宜選択したものに片引き戸着脱用フックを装着することにより、その装着位置を横方向に調節することができる。これにより、作業者の身長や腕の長さ等の体格によらず、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。
【0015】
また、本発明に係る片引き戸着脱用フックによれば、戸車収容溝の内部で係止片が位置ズレしないので、戸板を持ち上げるべく力を加えた時に、下端部保持用フックに横ズレが生じない。
【0016】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手によれば、戸板の側端部に装着することにより、戸板に開閉用の把手が突設されていなくても、戸板を持ち上げる際に倒れないように、その側端部を保持することができる。また、戸板に固定されることなく、把持部を持って引っ張れば上下にスライドさせることができるので、作業者の体格によらず、容易且つ安定した状態で戸板を持ち上げることができる。
【0017】
また、本発明に係る片引き戸着脱用把手によれば、戸板の側端部に装着する際に、戸板嵌合部が戸板に接触して傷付けることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、本発明の実施例に係る片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手の構成について説明する。片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手は、片引き戸を構成する戸板を開口部から取り外しまたは開口部に取り付ける際に戸板を安定した状態で持ち上げるために使用するものである。具体的には、片引き戸着脱用フックは、戸板の下端部を保持するためのものであり、片引き戸着脱用把手は、戸板の一側端部を保持するためのものである。尚、片引き戸着脱用把手は、戸板に開閉用の把手が突設されておらず、片引き戸が閉止した状態では戸板の一端側を持つ場所がない時にだけ使用するものであって、戸板に開閉用の把手が突設されており、この把手を持って戸板の一端側を持ち上げられる時には、片引き戸着脱用把手を使用せずに、片引き戸着脱用フックのみを使用すればよい。
【0019】
図1は、片引き戸着脱用フック1の構成を示す概略斜視図である。片引き戸着脱用フック1は、長尺な本体部2と、この本体部2の長手方向一端部に設けられたフック部3と、本体部2の長手方向他端部に設けられた把持部4とを備えるものである。
【0020】
フック部3は、片引き戸着脱用フック1を戸板の下端部に係止させるためのものである。このフック部3は、図1に示すように全体として鉤状に形成され、本体部2の長手方向一端部から略90°の角度をなすように延びる板状の底面受け片5と、この底面受け片5の先端から略90°の角度をなして本体部2と略平行方向に延びる係止片6とを備えている。係止片6は、先端側に向かってその厚みが徐々に薄くなるように形成されている。
【0021】
把持部4は、片引き戸着脱用フック1の使用者が手に持って操作するためのものである。この把持部4は、図1にしめすように、木材や樹脂等からなる略円柱形状の部材であって、本体部2の長手方向他端部から略90°の角度をなして前記フック部3とは逆側に延びるように設けられている。尚、把持部4の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0022】
このように構成される片引き戸着脱用フック1は、片引き戸を構成する戸板の下端部に、前記フック部3を用いて装着される。図2は、片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図である。図に示すように、戸板7の下端部7aには、その底面8の一部を凹状に切り欠くことにより戸車収容溝9が複数個形成され、各戸車収容溝9の内部には戸車10が回転自在に軸支されている。そして、この戸車10がレール11の上を転動することにより、戸板7はレール11に沿ってスライド可能となっている。片引き戸着脱用フック1は、そのフック部3が戸板7と床面12との間の隙間13に差し込まれ、底面受け片5が戸板7の底面8に当接し、係止片6が戸車収容溝9の縁部に係止した状態で、戸板7の下端部7aに脱落不能に装着される。
【0023】
ここで、図1と図2に示すように、底面受け片5は、その長さL1が、戸板7表面から戸車収容溝9までの戸板7の厚みA1と略等しくなるよう形成されている。また、係止片6は、その厚みA2が、戸板7と床面12との間の隙間幅S1より小さく、その長さL2が、戸車10と戸車収容溝9との間の隙間幅S2より小さくなるよう形成されている。更に、底面受け片5と係止片6の横幅W1は、戸車収容溝9の横幅(不図示)と略等しく形成され、戸車収容溝9の内部での係止片6の位置ズレを防止することにより、片引き戸着脱用フック1が横ズレしないようになっている。
【0024】
尚、片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着位置は、戸車収容溝9を形成した箇所に限られず、図3に示すように、戸板7の下端部7aにおいて戸車収容溝9の無い箇所とすることもできる。この場合、底面受け片5の長さL1を戸板7の厚みA3と略等しく形成し、係止片6を戸板7の裏面に係止させればよい。しかし、本実施例のように係止片6を戸車収容溝9に係止させた方が、前述のように片引き戸着脱用フック1が横ズレしにくいという利点がある。
【0025】
次に、図4は、片引き戸着脱用把手14の構成を示す概略斜視図である。片引き戸着脱用把手14は、横断面がコ字型を有する戸板嵌合部15と、この戸板嵌合部15の長手方向に略平行して延びる把持部16と、戸板嵌合部15と把持部16を接続する接続部17とを備えるものである。
【0026】
戸板嵌合部15は、戸板7を厚み方向に挟むように嵌合させることにより、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部に装着するためのものである。この戸板嵌合部15は、図4に示すように、横断面が略L字型を有する2枚のL字型片18と、各L字型片18の谷側面18aにそれぞれ貼り付けられた緩衝材19とを備えている。L字型片18は、金属等からなる薄板を幅方向中間部で略90°曲折したものであり、その幅方向一端部には、90°曲折した部分とは逆方向に若干曲折することで拡開部20が形成されている。このような2枚のL字型片18は、その谷側面18a同士を向かい合わせるようにして幅方向他端部同士が重合され、溶接等により互いに固着されている。ここで、図4に示すように、相対向するL字型片18同士の距離が最も小さくなる部分では、その距離D1が戸板7の厚みA3と同程度になっている。また、前記拡開部20同士が向かい合う位置では、L字型片18同士の距離D2が戸板7の厚みA3より大きくなっており、戸板嵌合部15を戸板7の側端部に嵌合させやすくなっている。尚、本実施例では、戸板嵌合部15を2枚のL字型片18を固着して構成しているが、これに代えて1枚の金属板等をコ字型に曲折することで戸板嵌合部15を構成することも可能である。
【0027】
一方、緩衝材19は、戸板嵌合部15を戸板7の側端部に嵌合させる際に、各L字型片18が戸板7に接触して傷付けるのを防止するためのものである。この緩衝材19は、例えばスポンジ等の弾性体からなるシート状の部材を略矩形に形成したものであり、各L字型片18の谷側面18aにおける幅方向中間部から拡開部20に渡る領域に、図示しない糊等を用いて貼り付けられている。この緩衝材19の厚みA4は、片引き戸着脱用把手14の操作性を考慮して決定する必要がある。すなわち、片引き戸着脱用把手14を使用時に位置ズレが生じないように安定して戸板7に装着するためには、戸板嵌合部15がある程度の力で戸板7を挟持することが好適である。しかし、後述するように、片引き戸着脱用把手14は使用者の体格等に応じて戸板7の側端部に沿って上下にスライド可能とする必要があるため、片引き戸着脱用把手14のスライドを妨げるほど戸板嵌合部15が戸板7を強く挟持し過ぎるのは好適でない。従って、このバランスを考慮して緩衝材19の厚みA4を決定する必要がある。
【0028】
把持部16は、片引き戸着脱用把手14の使用者が手に持って操作するためのものである。この把持部16は、図4に示すように、木材や樹脂等からなる略円柱形状の部材であって、その長手寸法は戸板嵌合部15の長手寸法と略等しくなっている。また、把持部16には、前記接続部17を嵌合させるための嵌合溝21が、その周面の一部を切り欠いて形成されている。尚、把持部16の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0029】
接続部17は、金属等よりなる薄板を切り抜き及び曲折して形成したものであり、図4に示すように、戸板嵌合部15に固定される基片22と、把持部16に固定される上下一対の突片23とを備えている。この接続部17は、その基片22が、一方のL字型片18の山側面に当接された状態で固定されるとともに、各突片23が、把持部16の嵌合溝21にそれぞれ嵌合された状態で固定される。尚、接続部17の材質や形状は、本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。また、本実施例では、接続部17を戸板嵌合部15や把持部16とは別部材として構成しているが、これらと一体構成することも可能である。
【0030】
このように構成される片引き戸着脱用把手14は、片引き戸を構成する戸板7の側端部に、前記戸板嵌合部15を用いて装着される。図5は、片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の側端部7bを拡大した部分拡大横断面図である。図に示すように、片引き戸着脱用把手14は、戸板7の側端部7bに戸板嵌合部15を嵌合させることにより装着される。ここで、戸板嵌合部15は、その2枚のL字型片18が重合された箇所に戸板7の側端面が当接するまで嵌合される。この時、戸板嵌合部15を構成する緩衝材19が戸板7をある程度の力で挟持しているため、片引き戸着脱用把手14はその自重により戸板7の側端部7bに沿って下方に滑り落ちることがない。しかし、緩衝材19が戸板7を強く挟持しているわけではないため、把持部16を持って上方向または下方向に引っ張ることにより、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部7bに沿って上下方向にスライドできるようになっている。
【0031】
以下、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を用いて片引き戸の戸板7を開口部から取り外す手順について説明する。図6乃至図13は、片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図である。尚、図6乃至図13では、説明の便宜上、片引き戸Kの取り外し作業を行う作業者については図示を省略している。
【0032】
まず、図6は、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7に装着する前の片引き戸Kを示す図である。本実施例に係る片引き戸Kは、部屋の出入り口に設けられるものであって、部屋の室内側と室外側を仕切る壁面24と、この壁面24に形成された所定幅の開口部25と、この開口部25の下方に敷設されたレール11と、このレール11に沿ってスライド可能に設けられた1枚の戸板7と、この戸板7をそのスライド方向一端側で収容する戸袋26とを備えるものである。ここで、戸袋26の開口両縁部には、戸袋26と略同じ高さ寸法を有する左右一対の縦枠Tが、それぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0033】
このように構成される片引き戸Kは、戸板7が、壁面24に当接する閉止位置で開口部25を閉止し、戸袋26に収容される開放位置で開口部25を開放するようになっている。ここで、図6に示すように、戸板7の横幅W2は開口部25の横幅W3よりも若干大きく形成され、戸板7は閉止位置にある時も戸袋26から完全に引き出されることはなく、その一部が戸袋26に収容された状態となっている。これにより、戸板7を閉止した時に開口部25をより確実に閉止して部屋の密閉性を高めることができるとともに、戸板7が閉止時の衝撃等によってレール11から脱落しても、開口部25から外れることのないようになっている。
【0034】
次に、図7は、図6に示す状態から室内側の縦枠Tを取り外すとともに、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7に装着した状態を示す図である。すなわち、図6に示すように閉止位置にある戸板7を開放位置に向かって若干スライドさせ、戸板7を壁面24から離間させることにより、戸板7の一側端部7bを露呈させる。そして、この戸板7の側端部7bにおける適当な位置に、前述のように戸板嵌合部15を嵌合させることによって片引き戸着脱用把手14を装着する。更に、戸板7の下端部7aにおける適当な位置に、前述のようにフック部3を係止させることによって片引き戸着脱用フック1を装着する。
【0035】
尚、本実施例では、室内側から戸板7を取り外す場合を例にして説明するため、戸板7の室内側から片引き戸着脱用フック1を装着しているが、室外側から戸板7を取り外す場合には、室外側から片引き戸着脱用フック1を装着すればよい。また、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着順序は、本実施例とは逆に片引き戸着脱用フック1から先に装着してもよい。更に、前述のように戸板7から突出して開閉用の把手(不図示)が設けられている場合には、片引き戸着脱用把手14を装着することなく、片引き戸着脱用フック1だけを装着すればよい。
【0036】
次に、図8は、図7に示す状態から片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14の取付位置を適切な位置に調節した状態を示す図である。すなわち、後述するように片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を手に持って戸板7を安定した状態で持ち上げるためには、作業者の身長や腕の長さ等の体格に応じて、片引き戸着脱用フック1と片引き戸着脱用把手14を戸板7の適切な位置に装着する必要がある。従って、片引き戸着脱用把手14を戸板7の側端部7bに沿ってスライドさせることによって上下方向への取付位置を調節するとともに、片引き戸着脱用フック1を装着する戸車収容溝9を変更することによって横方向への取付位置を調節する。
【0037】
次に、図9は、図8に示す状態から図中に矢印で示すように戸板7を閉止位置までスライドさせた状態を示す図である。ここで、前述のように、戸板7は片引き戸着脱用把手14が装着されていなくても、閉止位置ではその一部が戸袋26に収容されるようになっている。従って、片引き戸着脱用把手14が装着された図9に示す状態では、戸板7は、前記戸板嵌合部15の厚み分だけ、図8に示す状態よりも更に戸袋26側へスライドした状態となっている。
【0038】
次に、図10は、図9に示す状態から戸板7を持ち上げた状態を示す図である。すなわち、戸板7を開口部25から取り外すためには、戸車10をレール11から離脱させる必要がある。従って、図9に示す状態から、片引き戸着脱用フック1の把持部4と片引き戸着脱用把手14の把持部16を左右の手でそれぞれ掴み、図9中に矢印で示すように戸板7を鉛直上方へ持ち上げることにより、図2に示す戸車10とレール11の嵌合を解除する。
【0039】
次に、図11は、図10に示す状態から戸板7の一方の側端部7bを開口部25から取り外した状態を示す図である。すなわち、通常は、戸板7の他方の側端部7bが常に戸袋26に収容されているため、その両側端部7bを同時に開口部25から取り外すことはできないが、前述のように戸袋26の室内側に取り付けられた縦枠Tを事前に取り外してあることにより、戸板7の他方の側端部7bが戸袋26の外部に露呈した状態となっている。そこで、図10に示すように戸板7を持ち上げた状態から、片引き戸着脱用把手14を室外側へ押し出すとともに、片引き戸着脱用フック1を室内側へ引き付けるようにして、図10中に矢印で示すように戸板7を鉛直軸廻りに若干回転させる。これにより、図11に示すように、戸板7の壁面24側の側端部7bが開口部25から取り外される。
【0040】
次に、図12は、図11に示す状態から戸板7の他方の側端部7bを戸袋26から引き出した状態を示す図である。すなわち、図11に示す状態から、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1の両方を横方向に引っ張るようにして、図11中に矢印で示すように戸板7を横方向に若干移動させる。これにより、図12に示すように、戸板7の全体が戸袋26の外部へと引き出される。
【0041】
最後に、図13は、図12に示す状態から戸板7の他方の側端部7bを開口部25から取り外した状態を示す図である。すなわち、図12に示す状態から、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1の両方を室外側へ押し出すようにして、図12中に矢印で示すように戸板7を室外側へ運び出す。これにより、戸板7の他方の側端部7bも開口部25から取り外され、戸板7の全体について開口部25からの取り外しが完了する。
【0042】
このように、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1を用いて戸板7の側端部7bと下端部7aを保持することにより、戸板7を容易に持ち上げて開口部25から取り外すことができる。また、図12に示すように、戸板7を水平な状態に保ったまま開口部25から取り外すことができるので、戸板7の下隅角27によって床面12を傷付けにくいという利点がある。
【0043】
尚、戸板7を室外側へ運び出す際に戸板7が安定しない場合には、図13に示すように、片引き戸着脱用フック1を室外側へ押し出すようにして、戸板7をその戸袋26側上部が室内側へ倒れるように若干傾け、例えば図13中に一点鎖線で示すような戸袋26側の上部28を肩等で支持すればよい。こうすれば、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1と肩等の3点で戸板7を支持することになるので、より安定した状態で戸板7を室外側へ運び出すことができる。
【0044】
以上、片引き戸Kの戸板7を開口部25から取り外す手順について説明したが、これとは逆の手順で、片引き戸Kの戸板7を開口部25に取り付けることができる。すなわち、図12に示すように戸袋26の室内側の縦枠Tを取り外した状態で、片引き戸着脱用把手14と片引き戸着脱用フック1を用いて持ち上げた戸板7を開口部25の周辺に運び込む。そして、図11に示すように戸板7の他方の側端部7bを戸袋26に収容した後、図10に示すように戸板7を鉛直軸廻りに若干回転させることにより一方の側端部7bを開口部25に合わせる。そして、図9に示すように戸板7をレール11上に落とし込んで、戸車10をレール11に嵌合させた後、取り外してあった縦枠Tを図6に示すように戸袋26の室内側に取り付けることにより、戸板7を開口部25に取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る片引き戸着脱用フックと片引き戸着脱用把手は、室内側から見て戸板の左側に戸袋が設けられ、戸板を左側にスライドさせて開くタイプの片引き戸だけでなく、戸板の右側に戸袋が設けられ、戸板を右側にスライドさせて開くタイプの片引き戸にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係る片引き戸着脱用フック1の構成を示す概略斜視図。
【図2】片引き戸着脱用フック1の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図。
【図3】片引き戸着脱用フック1の戸板7への他の装着状態を説明するための図であり、戸板7の下端部7aを拡大した部分拡大縦断面図。
【図4】片引き戸着脱用把手14の構成を示す概略斜視図。
【図5】片引き戸着脱用把手14の戸板7への装着状態を説明するための図であり、戸板7の側端部7bを拡大した部分拡大横断面図。
【図6】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図7】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図8】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図9】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図10】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図11】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図12】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図13】片引き戸Kの取り外し手順を説明するための図であり、片引き戸Kの周辺を示す概略斜視図。
【図14】従来例に係る片引き戸80の構成を示す概略横断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 片引き戸着脱用フック
3 フック部
4 把持部(片引き戸着脱用フック1)
5 底面受け片
6 係止片
7 戸板
7a 下端部(戸板7)
7b 側端部(戸板7)
9 戸車収容溝
10 戸車
14 片引き戸着脱用把手
15 戸板嵌合部
16 把持部(片引き戸着脱用把手14)
19 緩衝材
24 壁面
25 開口部
26 戸袋
K 片引き戸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の下端部を保持するために用いる片引き戸着脱用フックであって、
前記戸板の底面を受ける底面受け片及び該底面受け片から突出して前記戸板に係止する係止片を有するフック部と、手で持って操作するための把持部とを備えることを特徴とする片引き戸着脱用フック。
【請求項2】
前記戸板に、その底面の一部を凹状に切り欠いて前記戸車を収容する戸車収容溝が複数個形成され、この戸車収容溝の縁部に、前記フック部の係止片が係止することを特徴とする請求項1に記載の片引き戸着脱用フック。
【請求項3】
前記係止片が、前記戸車収容溝と略同幅に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の片引き戸着脱用フック。
【請求項4】
壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の側端部を保持するために用いる片引き戸着脱用把手であって、
横断面が略コ字型を有し前記戸板を厚み方向に挟持するようにその側端部に嵌合される戸板嵌合部と、手で持って操作するための把持部とを備えることを特徴とする片引き戸着脱用把手。
【請求項5】
前記戸板嵌合部の内側面に、弾性体からなる緩衝材が貼付されたことを特徴とする請求項4に記載の片引き戸着脱用把手。
【請求項1】
壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の下端部を保持するために用いる片引き戸着脱用フックであって、
前記戸板の底面を受ける底面受け片及び該底面受け片から突出して前記戸板に係止する係止片を有するフック部と、手で持って操作するための把持部とを備えることを特徴とする片引き戸着脱用フック。
【請求項2】
前記戸板に、その底面の一部を凹状に切り欠いて前記戸車を収容する戸車収容溝が複数個形成され、この戸車収容溝の縁部に、前記フック部の係止片が係止することを特徴とする請求項1に記載の片引き戸着脱用フック。
【請求項3】
前記係止片が、前記戸車収容溝と略同幅に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の片引き戸着脱用フック。
【請求項4】
壁面の一部に開口部が形成されるとともに、この開口部の一側部に戸袋が設けられ、前記開口部より幅広であって底面に回転自在な戸車を有する1枚の戸板が、前記戸袋に収容されて前記開口部を開放する位置と前記戸袋から引き出されて前記開口部を閉止する位置とへ横方向にスライド可能に設けられることで片引き戸が構成され、この片引き戸の前記戸板を持ち上げて前記開口部から取り外しまたは前記戸板を前記開口部に取り付ける際に前記戸板の側端部を保持するために用いる片引き戸着脱用把手であって、
横断面が略コ字型を有し前記戸板を厚み方向に挟持するようにその側端部に嵌合される戸板嵌合部と、手で持って操作するための把持部とを備えることを特徴とする片引き戸着脱用把手。
【請求項5】
前記戸板嵌合部の内側面に、弾性体からなる緩衝材が貼付されたことを特徴とする請求項4に記載の片引き戸着脱用把手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−133102(P2009−133102A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309732(P2007−309732)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
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