説明

片開きボトル

【課題】ロック機構の可動部を片開き蓋の外面から突出せず、かつ操作しやすく設けられる片開きボトルを提供する。
【解決手段】ボトル本体20の上端部片側のヒンジ連結部を中心に飲み口14を開閉する片開き蓋7を、閉じ状態にロックし、ロックを解除するロック機構8が、ボトル本体20側の係合部31と、片開き蓋7の前面および上面と外面同士が面一となるのを常態となるL型部材322を有して設けられて片開き蓋7が閉じられたとき前記係合部31に一時的な係合部からの退避動作を伴い係合してロックし、また外面からの一時的な退避操作によりロックを解除するロック部材32とで成り、L型部材322上でロック部材32のロック解除操作を阻止する操作阻止位置とその阻止を解除する操作阻止解除位置とに移動する安全ストッパ33を備えて上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル本体の上端部片側を中心に開閉する片開き蓋を備えた片開きボトルに関し、詳しくは、上端部に直飲みできる飲み口を有したボトル本体と、このボトル本体の上端部片側のヒンジ連結部を中心にボトル本体の上端部に被さって前記飲み口を閉じ、また開く開閉動作をする片開き蓋と、この片開き蓋をボトル本体との間で閉じ状態にロックし、またロックを解除するロック機構とを備えた片開きボトルするものである。
【背景技術】
【0002】
このような片開きボトルは既に知られており(例えば、特許文献1、2参照。)、ボトル本体を片手持ちして片開き蓋を開くとそのまま飲み口から直飲みできようになっている。しかし、不用意な蓋開きを防止するために片開き蓋はロック機構により閉じ位置にロックされ、片手持ちしている手の指でロックを解除すると片開き蓋が付勢によって自動的に開くようにされている。このようなロック、ロック解除のためのロック機構におけるレバー部材などとされる可動部は、特許文献1、2に開示されているようにボトル本体側に設けられ、片開き蓋の側の係合部との係脱によりロック、ロック解除するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−158729号公報
【特許文献2】特開2006−160278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような片開きボトルは多くの場合特許文献1、2に見られるように金属製真空二重容器を露出したまま用い、その高い断熱性、美麗、堅牢、スリムな点を生かすようにしている。この結果、ボトル本体側に設けるロック機構の可動部は、専ら金属製真空二重容器の口部に装着したボトル本体の肩や栓を構成する樹脂部材を利用して支持するようにされる。
【0005】
しかし、金属製真空二重容器の上端部に装着される樹脂部材の露出高さは自由に設計できるが、金属製真空二重容器周りでの径方向での奥行き寸法はスリム性確保の上から金属製真空二重容器の細口部以外ではあまり大きく取れない。そこで、十分な縦方向寸法でロック機構の可動部を設けようとすると、特許文献1に開示されているように樹脂部材の側周面から突出するように設けることはできるが、可動部材の突出は外力を受けやすく特許文献1に開示のように周囲に保護壁を設けて保護する必要もあり、ロック機構部まわりがかさ張ってしまうし。また、この部分的なかさ張りのために洗浄やふき取り作業時の引っ掛かり部となるので作業性が悪くなる。一方、特許文献2の図1に開示されているように、奥行きの取りやすい金属製の真空二重容器の細口部まわりか、特許文献2の図5に開示されているように金属製真空二重容器の口部を外した上の部分かに設けることにより側周面から突出させなくてもよくなるが、いずれの場合も図示されている通り、ロック機構における可動部の縦方向寸法が小さく制限されて操作しにくいものとなる。
【0006】
そこで、本発明者は、この種片開きボトルの片開き蓋では、比較的高く設けられる飲み口をボトル本体の上端と共に覆い閉じるのに、飲み口との間に比較的大きなデッドスペースを得て、ロック機構の可動部を大きさ制限なく設けられる技術を開発した。
【0007】
本発明はそのような開発の基に、ロック機構の可動部を片開き蓋の外面から突出せず、かつ操作しやすく設けられる片開きボトルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の片開きボトルは、上端部に直飲みできる飲み口を有したボトル本体と、このボトル本体の上端部片側のヒンジ連結部を中心にボトル本体の上端部に被さって飲み口を閉じ、また開く開閉動作をする片開き蓋と、この片開き蓋をボトル本体との間で閉じ状態にロックし、またロックを解除するロック機構とを備えた片開きボトルであって、ロック機構は、ボトル本体側に設けられたロック機構固定部である係合部と、片開き蓋の前面および上面と外面同士が面一となるのを常態となるL型部材を有して設けられて片開き蓋が閉じられたとき前記係合部に一時的な係合部からの退避動作を伴い係合してロックし、また外面からの一時的な退避操作によりロックを解除するロック機構可動部であるロック部材とで構成し、前記L型部材に設けられて、ロック部材のロック解除操作を阻止する操作阻止位置とその阻止を解除する操作阻止解除位置とに移動する安全ストッパを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、片開き蓋は、ボトル本体の上端部片側へのヒンジ連結部を中心に、直飲み用の飲み口をボトル本体の上端部と共に覆って閉じ内容液の流出を防止し、また、ボトル本体の上端および飲み口を開放するようにヒンジ連結部側に片開きして飲み口から直飲みできるようにする。この片開き蓋をボトル本体との間で片開き蓋が閉じられたときボトル本体側の係合部に一時退避動作を伴い係合して閉じ状態にロックし、また、外面からの一時的な退避操作を受けてロックを解除するロック機構において、前記ロック、ロック解除のための可動部であるロック部材が、片開き蓋の前面および上面と外面同士が面一となるのを常態となるL型部材を有して片開き蓋の側に設けられて、ボトル本体の側のロック機構における固定部としての係合部に係脱して、片開き蓋を閉じ状態にロックし、またロックを解除することができ、片開き蓋と飲み口との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースを得て、片開き蓋と外面同士が面一になるように、また十分な縦方向寸法を持って設けられる。また、安全ストッパがロック部材のL型部材上で操作阻止位置と操作阻止解除位置のどちらに移動させるかで、ロック解除操作部材によるロック解除操作を阻止して不用意な操作が行われなくしたり、ロック解除操作して片開き蓋の閉じ位置へのロックを解除できるようにしたりすることができる。
【0010】
本発明のそれ以上の特徴は、以下の具体的な説明および図面によって明らかになる。また、本発明の各特徴はそれ自体単独で、あるいは複合して種々な組み合わせで採用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の片開きボトルによれば、直飲み用の飲み口をボトル本体の上端部と共に覆って閉じ、また、それらを開放するように片開きする片開き蓋を閉じ状態にロックし、また、ロックを解除するロック機構において、その可動部であるロック部材が片開き蓋の前面および上面と外面同士が面一となるのを常態となるL型部材を有して片開き蓋の側に設けて、ボトル本体の側の係合部との係脱によりロック、ロック解除ができ、片開き蓋と飲み口との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースを利用して、片開き蓋と外面同士が面一になり洗浄や拭き取りの作業の邪魔にならず、かつ、かさ張らず単純かつすっきりした外観が得られるし、他との引っかかりや当りによる外力を受けにくくするのに併せ、十分な縦方向寸法を有して操作しやすいものとすることができる。また、安全ストッパのL型部材上での2つの位置間の選択的な移動操作だけで、ロック解除操作部材によるロック解除操作を阻止して不用意な操作に対する安全を図りながら、必要に応じロック解除操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の片開きボトルを示す断面図である。
【図2】同片開きボトルの側面図および一部の除く平面図である。
【図3】同片開きボトルのボトル本体の平面図である。
【図4】同片開きボトルの栓体と金属製真空二重容器の口部との関係を示す断面図である。
【図5】同片開きボトルの栓および片開き蓋を、中栓における飲み口を持った内筒を分離して示す断面図である。
【図6】同片開きボトルの外栓の平面図、中栓の内筒の正面図、側面図、平面図である。
【図7】同片開きボトルの栓体と開き状態の片開き蓋との関係を示す斜視図である。
【図8】同片開きボトルの栓体と開き状態の片開き蓋との関係を、上下反転した状態の栓体から中栓の内筒を外して見た斜視図である。
【図9】同片開きボトルの片開き蓋とロック機構とを、ロック機構におけるロック解除操作部材を係脱部材上から取り外して見た分離したボトルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の片開きボトルにつき図1〜図6に示す実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態の片開きボトルは図1に示すように、ステンレス製の内壁及び外壁の間に真空断熱空間2を有する真空二重容器1と、この真空二重容器1の口部1aの外壁に形成された雄ねじ3に螺合する雌ねじを有し、シールパッキン9を介して真空二重容器1に装着された合成樹脂製の栓体5とによりボトル本体20をなしている。このボトル本体20にはその上端部の片側、具体的には背面側に回動軸6によるヒンジ連結部10を中心にボトル本体20の上端部に被さって栓体5に有する直飲み用の飲み口14を閉じ、また開く開閉動作をする片開き蓋7が設けられている。しかし、ボトル本体20は断熱性の有無、金属製、非金属製、飲み口14の構造など自由に設計でき、具体的な構造は特に問わない。また、片開き蓋7の材料も特に問うものではない。片開き蓋7とボトル本体20との間には片開き蓋7を閉じ状態にロックし、またそのロックを解除するロック機構8が設けられている。
【0015】
図示例の上記真空二重容器1は、片手持ちできる程度にスリム化した胴部1bを有し、この胴部1bの上部は、口部1aに装着された栓体5とほぼ同径に形成されている。真空二重容器1の胴部1bや栓体5部を片手持ちして、片手持ちしている手の指によるロック機構8の操作や、これに伴う片開き蓋7の開き操作や、片開き蓋7の開放後に飲み口14による直飲み動作を行い易い形状になっている。しかし、図示例の片開き蓋7は回動軸6まわりに装着したばね131により開き方向に付勢してある。従って、片開き蓋7のロック機構8による閉じ位置へのロックはばね131の付勢に抗して行われ、このロックが解除されると片開き蓋7はばね131の付勢により自動的に開かれる。このような開き方向への付勢はボトル本体20の飲み口14まわりに設けた弾性体や、片開き蓋7に設けた飲み口14をシールする弾性シールパッキン16によって代替することもできる。
【0016】
栓体5は、真空二重容器1の口部1aの前記雄ねじ3に螺合して口部1aを覆うほぼ円筒形の外栓51と、この外筒部51の内側に嵌め付けられて口部1aの内側に進入し口部1aの段部に前記シールパッキン16を圧接させて真空二重容器1を密閉する中栓52とで構成され、この中栓52に前記飲み口14が真空二重容器1の密閉域に通じるように設けられている。飲み口14は中栓52の天面のヒンジ連結部10とは反対の側、具体的には前部側に偏って位置し、片開き蓋7がヒンジ連結部10を中心に開いて後部側に起立し後傾した状態においてボトル本体20を前傾させたときに、片開き蓋7の邪魔なしに口を付けやすく、直飲みしやすいようにしている。
【0017】
特に、ロック機構8は、ボトル本体20側に設けられたロック機構固定部である係合部31と、片開き蓋に外面同士が面一となるのを常態として設けられて片開き蓋が閉じられたとき前記係合部に一時的な係合部からの退避動作を伴い係合してロックし、また、外面からの一時的な退避操作によりロックを解除するロック機構可動部であるロック部材32とで構成している。これにより、ボトル本体20の上端部片側へのヒンジ連結部10を中心に、直飲み用の飲み口14をボトル本体20の上端部と共に覆って閉じ内容液の流出を防止し、また、ボトル本体20の上端および飲み口14を開放するようにヒンジ連結部10側に片開きして飲み口14から直飲みできるようにする片開き蓋7に対し、ロック部材8はボトル本体20との間で片開き蓋7が閉じられたときロック部材32をボトル本体20側の係合部31に一時退避動作を伴い係合させて閉じ状態にロックし、また、ロック部材32に外面からの一時的な退避操作を受けて前記ロックを解除するが、このロック、ロック解除のための可動部であるロック部材32が、片開き蓋7の側に設けられて、ボトル本体20の側のロック機構8における固定部としての係合部31に係脱して、片開き蓋7を閉じ状態にロックし、またロックを解除することができ、片開き蓋7と飲み口14との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースSを得て、片開き蓋7と外面同士が面一になるように、また十分な縦方向寸法を持って設けられる。
【0018】
この結果、直飲み用の飲み口14をボトル本体20の上端部と共に覆って閉じ、また、それらを開放するように片開きする片開き蓋7を閉じ状態にロックし、また、ロックを解除するロック機構8において、その可動部であるロック部材32を片開き7の側に設けて、ボトル本体20の側の係合部31との係脱により片開き蓋7の閉じ状態へのロック、ロック解除ができ、片開き蓋7と飲み口14との間に得た十分な奥行きおよび縦方向範囲のデッドスペースSを利用して、片開き蓋7と外面同士が面一になり洗浄や拭き取りの作業の邪魔にならず、かつ、かさ張らず単純かつすっきりした外観が得られるし、他との引っかかりや当りによる外力を受けにくくするのに併せ、十分な縦方向寸法を有して操作しやすいものとすることができる。
【0019】
また、ロック部材32は、前記係合部31と係脱する係脱部材321と、この係脱部材321を片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態として覆い外面からの押圧操作で係脱部材321を退避動作させるロック解除操作部材322とで構成している。
【0020】
このように、ロック部材32が、ボトル本体20側の係合部31と係脱する係脱部材321を有することで、閉じられた片開き蓋7を係合部31からの一時的な退避動作を伴い係合して閉じ状態にロックすることができ、係脱部材321を片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態として覆うロック解除操作部材322を有することで、ロック解除操作部材322とその動きだけが外観されるようにすることができる。従って、片開き蓋7と外面同士が面一であることを常態とするロック解除操作部材322のロック解除操作や復帰の動きだけを外観させて操作の単純さをユーザに直感させ使用しやすくすることができるし、係脱部材321を外力や異物の噛み込み、塵埃の付着などから保護できる。
【0021】
また、片開き蓋7には図1、図2、図8、図9に示すような安全ストッパ33が設けられ、ロック解除操作部材322のロック解除操作を阻止する図2に示す操作阻止位置と、その阻止を解除する図8に示す操作阻止解除位置とに移動できるようにしている。これにより、安全ストッパ33が片開き蓋7上で操作阻止位置と操作阻止解除位置のどちらに移動させるかで、ロック解除操作部材322によるロック解除操作を阻止して不用意な操作が行われなくしたり、ロック解除操作して片開き蓋7の閉じ位置へのロックを解除できるようにしたりすることができる。従って、安全ストッパ33の片開き蓋7上での2つの位置間の選択的な移動操作だけで、ロック解除操作部材322によるロック解除操作を阻止して不用意な操作に対する安全を図りながら、必要に応じロック解除操作することができる。
【0022】
また、ボトル本体20の側に、ロック部材32ないしはその係脱部材321の退避動作完了後の延長動作で当接し合って片開き蓋7の開き方向側に誘導する図1、図3、図5〜図7に示すような案内部34を設けてある。これにより、ロック部材32ないしは係脱部材321がロック解除操作による一時退避動作で係合部31から外れて以降の延長動作ができ、これによってロック部材32ないしは係脱部材321はボトル本体20側の案内部34に当接して片開き蓋を伴いそれが開く方向側に誘導されて、片開き蓋7を少なくともロック部材32ないしは係脱部材321によるロック位置から退避させるので、ロック部材32ないしは係脱部材321のロック解除操作からの解放時期が早すぎて再度ロックしてしまうようなことを回避することができる。従って、ロック部材32ないしは係脱部材321がロック解除操作により係合部31から外れて以降の延長動作でのボトル本体20側の案内部34との当接による誘導で、片開き蓋7を少なくともロック位置から退避させ、ロック部材32ないしは係脱部材321のロック解除操作の解放時期が早すぎ片開き蓋7を再度ロックしてしまい、再度のロック解除操作が必要となる不便をなくすことができる。
【0023】
さらに、係脱部材321およびロック解除操作部材322は、片開き蓋7に径方向に進退できるように支持され、係脱部材321を図1、図9に示すようにばね35により外径側に付勢して係脱部材321がボトル本体20側の図1、図7に示す内径側に向く係合部31との係合位置に常時位置し、かつロック解除操作部材322を係脱部材321により常態位置に保持するようにしている。これにより、係脱部材321およびロック解除操作部材322は共に片開き蓋7に対し径方向に進退するように単純に支持されて、しかも、ロック解除操作部材322による係脱部材321に対するばね35に抗し退避操作し、係脱部材321がばね35の付勢で復動するのにロック解除操作部材322を常態位置に復動させる、互いの動作伝達が摺動成分なしに行われる。従って、係脱部材321およびロック解除操作部材322は共に進退するだけの支持構造が簡単で安価なものとなる上、互いの必要な動作伝達が摺動成分や拗れなしにスムーズに行え、耐久性も高上する。
【0024】
さらに詳述すると、中栓52は飲み口14が一体成形された図5〜図7に示すような内筒52aと内筒52aの外周側に中空部53をなして嵌り合う外筒52bとで図1に示すような二重構造に形成されている。内筒52aは前記シールパッキン9を外周の溝52a9に装着して口部1aの段部に圧接させる大径基部52a1からボトル中心近傍から前部側に絞った流路52a2をなして立ち上がり、上端部にヒンジ連結部10の近傍から片開き蓋7の周壁との間にロック機構8を設けるデッドスペースSを確保する前部位置まで、流路52a2よりも後方側に大きく広がる飲み口14に対し流路52a2よりも若干小さいが前後方向、従って、径方向に長くした絞り口52a3にて通じるようにしている。飲み口14は底部が後部から前部へ深くなり、上端が後部から前部へと高くなる図7、図8に示すような皿型をなしている。ほぼ満水時状態で図1に示すように液面36が飲み口14の前端14aに届くまでボトル本体20を傾けたとき、飲み口14の前部には絞り口52a3を通じて流出した内容液の溜まり部14bができ、この溜まり部14bに内容液を大径の基部52a1から絞り口52a3側に狭くなる流路52a2に案内した上で、絞り口52a3によりダイレクト流出を防止する、従って、ボトル本体20の傾け加減によって流出を止めたり、流出させたりする機能を発揮する少しの堰部52a4を有して、直飲みしやすい流路幅にさらに絞って注ぎ出しながら、思い通りの流出状態で直飲みできるようにしている。飲み口14の前端14aからの流出量を調整して乱れなく静かに直飲みすることができる。また、絞り口52a3は図3、図6に示すように流路幅を規制する幅よりも径方向での前後方向長さの方が大きく、図1の液面36が示すように内容液が満杯状態から流出する場合でも絞り口52a3の後部に吸気路52a5が確保されるので、内容液を乱れなくスムーズに流出させられる。
【0025】
内筒52aと外筒52bとは流路52a2まわりの全周に前記中空部53を形成しており、中栓52の天部での内外間を空気断熱するので金属製真空二重容器1と共に保温、保冷に有利であるし、保冷時に外気温との差で中栓52の天面に結露するようなことを防止できる。内筒52aと外筒52bとは中空部53を形成するために、上部と下部とで嵌り合っており、その少なくとも一方は全周につき接着、超音波溶着などしたシール一体化構造として、万一にも内容液が中栓53の内側から外側に漏れ出るのを防止するようにしている。図示例では内筒52aの飲み口14を持った天板52a6と、外筒52bの天板52b1との、嵌め合わせ部で超音波溶着し、内筒52aの基部52a1外周に外筒51の下端を図4に示すように嵌め合わせてフランジ52a7で受け止め、その嵌め合わせ部間はシールパッキン37によりシールしてあり、シールパッキン37は内筒52aの基部52a1に形成した環状溝52a8に装着してある。外栓51は外筒52bの上端52b1の外周に天板51aを無理嵌めした図1、図5に示す無理嵌め部39を有して一体化してあり、上部に片開き蓋7を開閉できるように支持する前記ヒンジ連結部を有している。さらに、図8に示すように天板52b1の下面には天板52a6の切り欠き52a10と嵌り合う凸部52b2を設け、
片開き蓋7は閉じ状態で絞り口52a3を閉じるシールパッキン16を天板7aから下向きに突出した突起7bの先端に取り付けてあり、天板7a上の前後方向のほぼ中央部から前部側周壁7cに至る図1、図8、図9に示すような鉤型のポケット41を設け、このポケット41にロック機構8を収容している。具体的には、ポケット41の天面前部の前方に開放した凹部42を形成して図1、図5、図9に示すようなΓ型の係脱部材321の上辺321aを前後摺動できるように受け入れ、ばね35により前部側に付勢している。この付勢によって係脱部材321の下端にある前部に向いたフック321bがボトル本体20の外栓51の前部上端に後部に向いて一体形成した図1、図7に示すようなフック形の係合部31に係合する位置を保たせるようにしている。この係脱部材321を嵌め入れた図9に示す状態のポケット41に、図1、図8、図9に示すような鉤型のロック解除操作部材322を上方から嵌め入れて、上辺322aの下面の前後方向の中央部両側に下向きにいったい形成した一対のフック片322bを、ポケット41の天面部両側壁面に内向きに一体形成した係合部41aを弾性係合させることにより、上方への抜け止め状態で前後にスライドできるように取り付け、同時に、ロック解除操作部材322によって係脱部材321をポケット41内に前後摺動できるように保持するようにしている。ロック解除操作部材322の上辺322aにおける下面の前記フック片322bの前部側に前記係合部41aの前端と対抗するストッパ322cを一体形成してあり、ロック解除操作部材322によって係脱部材321をばね35に抗して後退させ、係合部31との係合を外して片開き蓋7のロックを解除して、さらに、係脱部材321のフック321bを前記案内部34に乗り上げさせて、片開き蓋7の初期開きを達成する時点で、ストッパ322cが係合部41aに当接し、それ以上の操作を防止するようにしている。また、ロック解除操作部材322はその上辺322aの前部から垂下する押し込み操作片322dの下端が図1に示すように片開き蓋7の周壁7cのポケット41の底部から立ち上がる立ち上がり壁41cに内側から当接することで、復帰位置が規制され、またポケット41から前方へ抜け出るのを防止されている。またボトル本体20側の係合部31は外栓51の上端から図1、図7に示すように突出して形成され、片開き蓋7の周壁7cにはこれに対する逃げとなる図2、図7、図8に示すようなきり欠き7dを設けてあり、この切り欠き7dに係脱部材321のフック321bが図7、図8に示すように内側から臨んでいる。
【0026】
したがって、ロック解除操作部材322の過剰な操作を阻止してそれ自体や他の部材などの損傷を防止して、しかも、片開き蓋7はロック解除操作の最終段階での初期開きにより係脱部材321によるロック位置から上方へ退避しているので、ロック解除操作部材322や片開き蓋7が解放されて係脱部材321がばね35の付勢によってロック解除操作部材322を伴い係合位置に復帰したとき、片開き蓋7を再度ロックすることはなく、片開き蓋7はばね131の付勢によって自動的に確実に開かれる。片開き蓋7が開き位置から閉じられると、係脱部材321はボトル本体20側の係合部31との係合位置に復帰しているが、ロック解除操作部材322の内側で単独にスライドできるので、片開き蓋7の閉じの最終段階でフック321bが係合部31に上方から当接していくときに、それら一方または双方の斜面や曲面での滑りによって係脱部材321がばね35に抗し一時的に後方へ単独で退避させられながら係合部31との係合位置に達する。フック321bが係合部31との係合位置に達したとき、係脱部材321はばね35の付勢により係合位置に単独で復帰しフック321bが係合部31に図1に示すように係合するので、片開き蓋7を自動的に閉じ状態にロックする。なお、片開き蓋7を閉じるのに、自由端部の上面および前面に掛けて位置するロック解除操作部材322を押圧する形で閉じ操作すればよく、このように閉じ操作はロック解除操作部材322に対する押圧力を働かせるだけであるので、前後にスライドするロック解除操作部材322を不用意に移動させることはないし、ロック解除操作部材322はポケット41の底部に受けられて破損するようなことはない。
【0027】
しかも、図8に示すようにロック操作部材322は広く大きなものとして設けられるので、操作性が向上し動きが安定しがたつかない利点がある。また、その内側の係脱部材321も外部に露出させないで大きくすることができ、係合音を伴うロック感やロックの確実性が増す。また、片開き蓋7上の主要部材であるロック解除操作部材322は係脱部材321、安全ストッパ33と共に飲み口14とほぼ対応する位置にあって、しかも、ほぼ飲み口14に対応する鉤型面範囲内に収まって設けられる。
【0028】
前記安全ストッパ33は樹脂製の一体成形品で、図1、図2、図8に示すような左右方向に長い操作頭部33aを有し、ロック解除操作部材322の上辺322aに形成した凹部61内を左右にスライドできるように収容される。安全ストッパ33は凹部61の底部に設けた図1、図9に示すような左右のスライド窓61aに操作頭部33aの下面の左右方向中央部の両側に一体成形した図1、図9に示すようなフック片33bを上方から弾性係合させて抜け止めし、左右にスライドできるように支持される。操作頭部33aの下面にはさらに、図9に示すようなストッパ33cが一体成形されている。安全ストッパ33のロック解除操作を阻止する図1に示す阻止位置では、ストッパ33cがポケット41の天面部の後部にいたい成形された受け止め突起41bと対向して、ロック解除部材322が後退操作されると、従って、ロック解除操作されると、それらストッパ33cと受け止め突起41bとが突っ張って、後退操作、従ってロック解除操作を阻止する。また、安全ストッパ33の図8に示す阻止解除位置では、ストッパ33cが受け止め突起41bとの対向位置から外れ、ロック解除部材322が後退させられても、従って、ロック解除操作されても、ストッパ33cは受け止め突起41bに当接せず、後退操作、従ってロック解除操作を阻止しない。なお、図示しないがフック片33bの一方とこれが摺動するスライド窓61aの縁との間でクリック係合する係合部を前記阻止位置と阻止解除位置とに対応する2箇所に設け、安全ストッパ33をいずれかの位置に選択的に安定させられるようにする。なお、安全ストッパ33は横スライド方式の動作部材としたが、押し込み方向での動作部材とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は片開きボトルに実用して、ロック機構の可動部を片開き蓋の外面から突出せず、かつ操作しやすく設けられる。
【符号の説明】
【0030】
1 真空二重容器
1a 口部
5 栓体
51 外栓
52 中栓
7 片開き蓋
8 ロック機構
32 ロック部材
321 係脱部材
321b フック
322 ロック解除操作部材
10 ヒンジ連結部
14 飲み口
20 ボトル本体
31 係合部
33 安全ストッパ
33a 操作頭部
33c ストッパ
34 案内部
35、131 ばね
41 ポケット
41b 受け止め突起
42 凹部
S デッドスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に直飲みできる飲み口を有したボトル本体と、このボトル本体の上端部片側のヒンジ連結部を中心にボトル本体の上端部に被さって飲み口を閉じ、また開く開閉動作をする片開き蓋と、この片開き蓋をボトル本体との間で閉じ状態にロックし、またロックを解除するロック機構とを備えた片開きボトルであって、
ロック機構は、ボトル本体側に設けられたロック機構固定部である係合部と、片開き蓋の前面および上面と外面同士が面一となるのを常態となるL型部材を有して設けられて片開き蓋が閉じられたとき前記係合部に一時的な係合部からの退避動作を伴い係合してロックし、また外面からの一時的な退避操作によりロックを解除するロック機構可動部であるロック部材とで構成し、
前記L型部材に設けられて、ロック部材のロック解除操作を阻止する操作阻止位置とその阻止を解除する操作阻止解除位置とに移動する安全ストッパを備えた
ことを特徴とする片開きボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−106802(P2012−106802A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47310(P2012−47310)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【分割の表示】特願2007−58862(P2007−58862)の分割
【原出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】