説明

牛の除角用焼烙ごて

【課題】バーナーに焼烙ごてを取り付けるものにおいて、着火が容易かつ確実に行え、バーナーからの返り火も避けることができてボンベに熱が伝わることを防止でき安全性を向上でき、除角した切断面を焼烙するときの滑りも止めることができ作業性の向上も図れる。
【解決手段】バーナーの先端に電子の着火部材7を設けた火口部6を形成し、この火口部6の手前に鍔状の返り火避け11を設け、前記バーナーの先端に、先端部を焼烙ごて10に形成した筒体9を取り付け、前記焼烙ごて10の、角の切断面との接触面10aを凹弧面状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳牛や肉牛の除角用焼烙ごてに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳牛飼育において、作業者の安全性、牛同士の闘争の防止、係留器具への係留作業の円滑化などを図るために、また、肉牛飼育においては、あたり(闘争時の角突きによる内出血)による肉牛販売利益損失の防止、ボス牛の出現防止による生産物の均一化などを図るために、牛の除角を行う必要がある。
【0003】
この除角の方法として、従来は例えば電気式半田ごて、炭火により加熱した鉄棒などを使用し、除角器により角を切除した後、その切口(傷口)を焼烙により止血し、角根部の神経、血管などの発育組織を壊死させて角の発育を停止させている。
【0004】
これら従来の方法では、電気式半田ごてを使用する場合は、電源を得られる場所、また、加熱した鉄棒による場合は炭火のおこせる場所と、作業場所が限定されたり、また、用具の運搬、準備にも手間取り、作業性がよくなかった。
【0005】
さらに、牛の角を焼烙するための専用の用具ではないため、使い勝手もよくなかった。
【0006】
そこで、かかる不都合を解消するものとして、携帯用ガスボンベのバーナーの先端に燃焼ガス誘導管を取り付け、この燃焼ガス誘導管の先端に、先端部を焼烙ごてに形成した筒体を取り付け、前記焼烙ごての内面を凹弧面状に形成した牛の除角用焼烙ごてがある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】実公平7−37492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記実公平7−37492号公報に記載の焼烙ごては、着火するとき、バーナーの先端と燃焼ガス誘導管の基端部との間に形成した隙間にガスを噴出させ、ここにマッチやライターなどを使用して着火させるものであるため、着火に手間取ることが多い。
【0009】
先端の筒体からの返り火によってボンベに熱が伝わりやすく、安全面で問題があった。
【0010】
さらに、先端の焼烙ごては、外面が平らな平面に形成されているが、除角の切断面は平面になっているだけでなく、この部分は除角による出血で滑りやすくなっているために、牛が動いたり、力のかけ方によっては焼烙ごてが滑ることがあり、確実に焼烙することが困難なことがある。
【0011】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、バーナーに焼烙ごてを取り付けるものにおいて、着火が容易かつ確実に行え、バーナーからの返り火も避けることができて安全性を向上でき、除角した切断面を焼烙するときの滑りも止めることができ作業性の向上も図れる牛の除角用焼楽ごてを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記目的を達成するものとして、請求項1記載の発明は、バーナーの基端部に電子着火手段を設けた火口部を形成し、バーナー先端部分の手前に鍔状の返り火避けを設け、前記バーナーの先端を、先端部を焼烙ごてに形成した筒体に形成し、前記焼烙ごての、角の切断面との接触面を凹弧面状に形成したこと、請求項2記載の発明は、前記バーナーは、携帯用ガスボンベのバーナーであることを要旨とするものである。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、電子着火手段を設けたから、これを操作するだけで自動的に着火され容易かつ安全に着火でき、また、焼烙ごての、角の切断面との接触面を凹弧面状に形成したから、出血している除角した角に焼烙ごてを当てたときに凹弧面の周囲の縁で移動が阻止されるから、滑りが防止され、作業性が向上する。
【0014】
さらに、バーナーの先端部分の手前に鍔状の返り火避けを設けたから、返り火によってボンベが加熱することを防止でき、この点でも安全性が向上する。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えてバーナーに携帯用ガスボンベを使用することで、作業場所が限定されず、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本発明の牛の除角用焼烙ごては、バーナーに焼烙ごてを取り付けるものにおいて、電子着火手段を設けたから着火が容易かつ確実、安全に行え、バーナーからの返り火も避けることができて安全性を向上でき、焼烙ごての角との接触面を凹弧面状に形成したから、除角した切断面を焼烙するときの滑りも止めることができ作業性の向上も図れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面について本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す全体斜視図、図2は同上要部である着火手段を設けた箇所の縦断側面図、図3は同上要部である継手パイプ部分の側面図で、図中1は市販のカセットコンロ用ボンベなど、周知の携帯用ガスボンベを示し、このガスボンベ1には図2に示すように上部のボンベホルダー2を介して電子着火手段を備えたガス管3が接続され、その先端に図3に示すバーナーである継手パイプが接続される。
【0018】
電子着火手段は、ガス管3の根元部に設けた押圧用の摘み4と、この摘み4により押圧されるスイッチ5と、このスイッチ5により着火され火口部6に設けた着火部材7とで構成される。
【0019】
ガス管3の先端に接続される継手パイプは、ボンベ側パイプ8とこのボンベ側パイプ8の先端に接続され、先端部を焼烙ごて10に形成した筒体9とで構成される。
【0020】
ボンベ側パイプ8は、基端を前記火口部6に形成し、筒体9側に位置させて図4にも示すような鍔状の返り火避け11をボンベ側パイプ8の外周にそって設けた。
【0021】
筒体9は、周囲に複数の開口孔12を適宜形成し、先端部の焼烙ごて10は、前面側の外面に形成される、牛の角との接触面10aを中央がへこむような凹弧面形状に形成する。これにより接触面10aの外周縁がリング状の突出部10bとなる。
【0022】
次に使用法について説明する。ガスボンベ1のガス管3にはボンベホルダー2を介してガスが供給されており、摘み4を押せば、スイッチ5が押されて火口部6の着火部材7に着火され、燃焼ガスとなってボンベ側パイプ8および筒体9に送られる。かかる着火作業は摘み4を押すだけでよく、確実、容易かつ安全に行える。
【0023】
燃焼ガスは筒体8を通って先端の焼烙ごて10に至り、ここで焼烙ごて10を内部から加熱し、これを適正な高温に保持する。このとき、筒体9の手前には返り火避け11が取り付けてあるから、開口孔12から噴出する返り火によってガスボンベ1が加熱されることを防止でき、安全である。
【0024】
よって、この焼烙ごて10を、除角器により除角した牛の角の切断面に図6に示すように当てて焼烙し、これにより止血し、また、角根部の神経および血管を壊死させて角の発育を停止させる。
【0025】
この焼烙を行うとき、角の切断面は平面で出血により滑りやすくなっているが、焼烙ごて10の前記切断面との接触面10aは凹弧面形状に形成してあるから、切断面がこの凹弧面の内部に入り込むような状態となり、周囲をリング状の突出部10bで囲まれるから、牛が動いたり、作業者の力のかけ方に変化があっても接触面10aに対して角の切断面が滑ることが阻止される。よって、確実に焼烙できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す要部である着火手段を設けた箇所の縦断側面図である。
【図3】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す要部である継手パイプ部分の側面図である。
【図4】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す要部であるボンベ側パイプの正面図である。
【図5】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す要部である焼烙ごての正面図である。
【図6】本発明の牛の除角用焼烙ごての実施形態を示す焼烙ごてで角の切断面を焼烙している状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ガスボンベ 2 ボンベホルダー
3 ガス管 4 摘み
5 スイッチ 6 火口部
7 着火部材 8 ボンベ側パイプ
9 筒体 10 焼烙ごて
10a 接触面 10b 突出部
11 返り火避け 12 開口孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーの基端部に電子着火手段を設けた火口部を形成し、バーナー先端部分の手前に鍔状の返り火避けを設け、前記バーナーの先端を、先端部を焼烙ごてに形成した筒体に形成し、前記焼烙ごての、角の切断面との接触面を凹弧面状に形成したことを特徴とする牛の除角用焼烙ごて。
【請求項2】
前記バーナーは、携帯用ガスボンベのバーナーである請求項1記載の牛の除角用焼烙ごて。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−275014(P2007−275014A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108730(P2006−108730)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(390019703)株式会社ワンタッチ畜産資材研究所 (12)