説明

物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラム

【課題】金融機関における住宅ローンの対象となる住宅に関する物件情報を有効活用するために、物件情報を一元的に管理する物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラムを提供する。
【解決手段】物件管理サーバ20の制御部21は、登録申請において受け付けた物件について、同一物件が未登録の場合、新規物件管理コードを付与する。そして、オプション情報等のデータ登録処理を実行する。更に、制御部21は、会員コードを特定し、物件管理コードと会員コードとを用いて宅建シリアルコードを生成し、会員のクライアント端末10に提供する。購入希望者のクライアント端末30から宅建シリアルコードを取得した金融機関サーバ40は、宅建シリアルコード用いて評価情報を物件管理サーバ20に送信する。物件管理サーバ20の制御部21は、物件評価情報、会員評価情報を含めた評価情報を金融機関サーバ40に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅ローンを利用して物件を購入するための物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンションや一戸建ての住宅や住宅用の土地等の購入を希望する場合、物件内容を確認する必要がある。また、住宅ローンを利用して購入する場合もある。この場合、住宅ローンを提供する金融機関は、物件の価値を評価して、住宅ローンの提供の可否を審査する。このためには、物件や物件を取り扱う事業者についての情報が必要になる。
【0003】
そこで、住宅ローン申込から審査結果の報告までを効率化するための住宅ローン契約システムが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献に記載の技術によれば、ローン審査サーバは、インターネット上の不動産会社サーバに住宅ローン申込者の個人情報と物件情報と契約情報の申込み画面を表示する。入力された個人情報と物件情報と契約情報に基づいて金銭消費貸借契約の締結の可否を審査し、審査結果を不動産業者サーバに送信する。ローン契約サーバは、個人情報と物件情報と契約情報に基づいて契約書データを生成する。更に、契約書データによって締結された金銭消費貸借契約の契約情報に基づいてローン債権の証券化に必要な債権譲渡情報を生成し、銀行サーバに送信する。
【0004】
また、住宅ローンの事前審査の申し込みについて、不動産業者及び金融機関の負担を軽減し、購入希望者に対して事前審査の結果を知らせるためのシステムも検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献に記載の技術によれば、ネットワークに接続された不動産業者端末及び購入者端末と、WEBサーバと、住宅ローン自動審査サーバに接続された住宅ローン事前審査申込サーバとを備える。不動産業者は、金融機関に対して、WEBサーバにより提供される不動産業者用ホームページを介して、住宅ローンの事前審査を依頼する。また、住宅ローンの事前審査結果が、不動産業者端末及び購入者端末に対して、不動産業者用ホームページにより表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−223559号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2009−9515号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
住宅を販売や仲介する事業者は、通常、販売物件について、公図や謄本等を取得している。一方、金融機関における審査においても、物件情報とともに公図や謄本等が必要になるが、事業者が取得した情報を金融機関において有効活用できる環境になっていないことが多い。金融機関における審査をできる限り円滑に行なうためには、審査に必要な情報を効率的に提供できることが望ましい。
【0007】
また、住宅ローンの利用申請においては、店頭やインターネットを含め、多様なチャネルが形成されつつある。そして、一つの物件を複数の事業者が取り扱うこともあるが、特定の事業者が売買取引を進めた場合、他の事業者がその情報を把握できていないこともある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、金融機関にお
ける住宅ローンの対象となる住宅に関する物件情報を有効活用するために、物件情報を一元的に管理する物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムであって、前記制御手段が、前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する手段と、前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する手段と、既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する手段と、物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する手段と、融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物件情報管理システムにおいて、前記物件情報管理システムは、物件の購入希望者のクライアント装置に接続されており、前記制御手段は、物件の購入希望者のクライアント装置からユニーク識別子を取得した場合には、前記ユニーク識別子を用いて、前記物件情報記憶手段に登録された物件情報を、購入希望者のクライアント装置に対して提供することを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の物件情報管理システムにおいて、前記制御手段は、新規登録物件の登録申請において、物件が所在する緯度経度情報を取得し、この緯度経度を用いて同一物件を検索することを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の物件情報管理システムにおいて、前記制御手段は、事業者が利用するクライアント装置から登録物件のユニーク識別子を取得した場合、前記ユニーク識別子に基づいて物件識別子及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、このユニーク識別子に関連付けられた事業者以外の事業者のクライアント装置に対して、ステータスの更新通知を送信する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の物件情報管理システムにおいて、前記制御手段は、新規登録物件の物件関連情報を取得した場合、前記物件関連情報の有効期限を算出して、前記物件情報記憶手段に前記物件関連情報及び前記有効期限を登録し、前記物件情報記憶手段において、登録申請において取得した物件関連情報の有効期限を特定し、前記有効期限までの残存期間が基準値以下の場合には、事業者に対してアラームを送信する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムを用いて物件情報を管理する方法であって、前記制御手段が、前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する段階と、前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登
録されているかどうかを確認する段階と、既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する段階と、物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する段階と、融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する段階とを実行することを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムを用いて物件情報を管理するプログラムであって、前記制御手段を、前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する手段、前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する手段、既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する手段、物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する手段、融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する手段として機能させることを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1又は6、7に記載の発明によれば、制御手段が、クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する。そして、登録申請に含まれる物件情報に基いて、物件情報記憶手段において新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する。ここで、既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録する。一方、同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて物件情報記憶手段に登録する。そして、物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、クライアント装置に提供する。融資を行なう金融機関システムからユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を物件情報記憶手段から抽出し、金融機関システムに提供する。これにより、ユニーク識別子を用いて、物件と事業者とを特定することができる。金融機関においては、物件情報記憶手段に蓄積された物件情報を利用して融資可否の審査を迅速かつ効率的に行なうことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、物件の購入希望者のクライアント装置からユニーク識別子を取得した場合には、ユニーク識別子を用いて、物件情報記憶手段に登録された物件情報を、購入希望者のクライアント装置に対して提供する。これにより、物件の購入希望者は、効率的に物件情報を入手することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、新規登録物件の登録申請において、物件が所在する緯度経度情報を取得し、この緯度経度を用いて同一物件を検索する。これにより、同一物件の重複登録を抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、事業者が利用するクライアント装置から登録物件のユニーク識別子を取得した場合、ユニーク識別子に基づいて物件識別子及び事
業者識別子を物件情報記憶手段から抽出する。そして、このユニーク識別子に関連付けられた事業者以外の事業者のクライアント装置に対して、ステータスの更新通知を送信する。これにより、他の事業者において、取引の進捗があった場合にも物件の状況を把握することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、新規登録物件の物件関連情報を取得した場合、物件関連情報の有効期限を算出して、物件情報記憶手段に物件関連情報及び有効期限を登録する。そして、物件情報記憶手段において、登録申請において取得した物件関連情報の有効期限を特定する。そして、有効期限までの残存期間が基準値以下の場合には、事業者に対してアラームを送信する。これにより、登録された物件関連情報の有効性を維持することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、金融機関における住宅ローンの対象となる住宅に関する物件情報を有効活用するために、物件情報を一元的に管理する物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】本発明の実施形態のデータ記憶部の説明図であって、(a)は物件管理データ記憶部、(b)は物件評価データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】本発明の実施形態のデータ記憶部の説明図であって、(a)はオプション管理データ記憶部、(b)は会員管理データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の処理手順の説明図。
【図6】本実施形態の処理手順の説明図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図7に従って説明する。本実施形態では、金融機関における住宅ローンの審査に必要な各種情報を効率的に提供するためのサービスを実現するための物件情報管理システム、物件情報管理方法及び物件情報管理プログラムとして説明する。本実施形態では、本サービスを利用する会員(住宅の販売者や住宅販売の仲介者等、住宅物件を取り扱う事業者)が、住宅の購入希望者に対して、住宅の販売を行なう場合を想定する。この場合、購入希望者は、金融機関が提供する住宅ローンを利用する場合を想定する。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、会員のクライアント端末10、物件管理サーバ20、購入希望者のクライアント端末30、金融機関サーバ40が、インターネットを介して、相互に接続されている。
【0025】
クライアント端末10、クライアント端末30は、販売者や仲介者である会員や、住宅の購入希望者が利用するコンピュータ端末(クライアント装置)である。クライアント端末(10,30)は、表示部(ディスプレイ等)や入力部(キーボードやポインティングデバイス等)を備えている。
【0026】
物件管理サーバ20は、販売対象の物件情報を管理するコンピュータシステムである。物件管理サーバ20は、図1に示すように制御部21、物件管理データ記憶部22、物件評価データ記憶部23、オプション管理データ記憶部24、地図管理データ記憶部25、会員管理データ記憶部26を備えている。制御部21は、会員から取得した物件情報を登
録したり、登録されている物件情報を購入希望者や金融機関に提供したりするための各種処理等を行なう。制御部21は、制御手段としてのCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(物件登録段階、物件情報管理段階、物件情報提供段階等の各処理)を行なう。このための物件情報管理プログラムを実行することにより、制御部21は、図1に示すように、物件情報登録手段211、物件情報管理手段212、物件情報提供手段213等として機能する。
【0027】
物件情報登録手段211は、会員のクライアント端末10から取得した物件情報を登録する処理を実行する。また、物件情報登録手段211は、オプション情報の種別(公図、謄本、パンフレット)に対応させて有効期間を記憶した有効期間設定テーブルを保持している。
【0028】
物件情報管理手段212は、登録された物件情報の状況を管理する処理を実行する。この物件情報管理手段212は、各物件情報の有効性を管理するための許容日数や確認基準日数に関するデータを保持している。
物件情報提供手段213は、購入希望者や金融機関からの要求に基づいて物件情報を提供する処理を実行する。
【0029】
物件管理データ記憶部22は物件情報記憶手段として機能する。この物件管理データ記憶部22には、図2(a)に示すように、各物件を管理するための物件管理データ220が記録されている。この物件管理データ220は、基本レコード221と個別レコード222とから構成されている。基本レコード221は、この物件が最初に登録された場合に生成される。一方、個別レコード222は、個別に販売者や仲介者によって物件が登録された場合に生成される。
【0030】
基本レコード221は、物件管理コード、地番、所在位置、種別、物件名、属性項目に関するデータを含んで構成される。
物件管理コードデータ領域には、各物件を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0031】
地番データ領域には、この物件が所在する地番に関するデータが記録される。
所在位置データ領域には、この物件の所在地(緯度・経度)に関するデータが記録される。
【0032】
種別データ領域には、この物件の種別を識別するためのフラグが記録される。本実施形態では、種別データ領域には、「土地」、「建物(中古マンション)」、「建物(新築マンション)」、「建物(新築建物)」、「建物(中古建物)」を示すフラグを記録する。
【0033】
物件名データ領域には、物件が建物の場合、この建物の名称に関するデータが記録される。
属性項目データ領域には、この物件についての属性(例えば、市街化調整地域)に関するデータが記録される。
【0034】
個別レコード222は、宅建シリアルコード、販売価格、ステータス、特記事項、更新月日に関するデータを含んで構成される。
宅建シリアルコードデータ領域には、販売者や仲介者による物件の販売を特定するための識別子(ユニーク識別子)に関するデータが記録される。この宅建シリアルコードは、物件管理コードと、各販売者や仲介者を特定するための会員コードとに対して、所定の変換ルールを適用することにより生成される。また、この変換ルールを用いることにより、宅建シリアルコードを物件管理コード及び会員コードに展開することができる。
【0035】
販売価格データ領域には、この販売者や仲介者による物件の販売価格に関するデータが記録される。
ステータスデータ領域には、この販売者や仲介者による物件の販売状況を特定するためのフラグが記録される。本実施形態では、ステータスとして「審査」、「ローン実行」を示すフラグを記録する。
【0036】
特記事項データ領域には、この物件についての販売者や仲介者のコメント等の特記事項に関するデータが記録される。
更新月日データ領域には、このレコードのステータスが更新された年月日に関するデータが記録される。
【0037】
物件評価データ記憶部23には、図2(b)に示すように、マンションや建物の物件の評価額を管理するための物件評価レコード230が記録されている。この物件評価レコード230は、この物件の評価額が登録された場合に生成される。物件評価レコード230は、物件管理コード、評価額、評価取得月日に関するデータを含んで構成される。
【0038】
物件管理コードデータ領域には、マンションや建物の各物件を特定するための識別子に関するデータが記録される。
評価額データ領域には、この物件の評価額に関するデータが記録される。
評価取得月日データ領域には、この評価額を取得した年月日に関するデータが記録される。
【0039】
オプション管理データ記憶部24には、図3(a)に示すように、各物件についてのオプション情報(物件関連情報)を管理するためのオプション管理レコード241や、オプションファイル242が記録されている。オプション管理レコード241は、物件についてのオプション情報が登録された場合に記録される。オプションファイル242は、会員によって申請される度に更新される。
【0040】
オプション管理レコード241は、宅建シリアルコード、オプション種別、有効期限、地番に関するデータを含んで構成される。
宅建シリアルコードデータ領域には、販売者や仲介者による物件の販売を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0041】
オプション種別データ領域には、販売者や仲介者によって登録されたオプション情報の種類(例えば、公図、謄本、パンフレット等)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0042】
有効期限コードデータ領域には、このオプション情報の有効期限に関するデータが記録される。
地番データ領域には、この物件についての公図を特定するための地番に関するデータが記録される。
【0043】
オプションファイル242には、公図、謄本、パンフレット等のオプション情報についてのイメージデータが記録される。各イメージには、各オプション情報を特定するための宅建シリアルコードが関連づけられて記録されている。
【0044】
地図管理データ記憶部25には、路線価格が設定された住宅地図に関する地図管理データが記録される。この地図イメージは、物件が登録された場合に、路線価図を提供する地図管理サーバ(図示せず)から地図イメージを取得して記録される。地図管理データには
、路線価格が設定された地図イメージ及び取得年月日に関するデータを含んで構成される。
【0045】
この地図イメージには平面座標が設定されており、建物や土地別に区画が設定されている。更に、地図上の平面座標は緯度経度と対応付されている。これにより、各物件の緯度経度を用いて地図上の建物や土地を特定することができる。
取得年月日データ領域には、この地図イメージの取得年月日に関するデータが記録される。これにより、物件が登録された時点の路線価格を特定することができる。
【0046】
会員管理データ記憶部26には、図3(b)に示すように、各物件を販売する会員を管理するため会員管理レコード260が記録されている。会員管理レコード260は、本サービスの会員登録が行なわれた場合に記録される。会員管理レコード260は、会員コード、会員名、連絡先、評価に関するデータを含んで構成される。
【0047】
会員コードデータ領域には、各会員を特定するための識別子(事業者識別子)に関するデータが記録される。
会員名データ領域には、この会員の名称に関するデータが記録される。
【0048】
連絡先データ領域には、この会員の連絡先(例えば、電話番号や電子メールアドレス)に関するデータが記録される。
評価データ領域には、評価額の補正率に関するデータが記録される。この補正率は、この会員の財務状況や、この会員が行なった取引についての評価に基づいて算出される。
【0049】
金融機関サーバ40は、住宅ローンを提供する金融機関のコンピュータシステム(金融機関システム)である。この金融機関サーバ40は、自行の顧客に対して、インターネットを介して、住宅ローンの申込を受け付ける。このため、顧客の顧客コードやパスワードを記憶した顧客データ記憶部を備えている。また、金融機関サーバ40には、住宅ローンの審査を行なう担当者が利用するクライアント端末が接続される。
【0050】
上記のように構成されたシステムを用いて、物件情報を管理し、提供する場合の処理手順について説明する。
(物件申請処理)
まず、物件申請処理について、図4に従って説明する。
【0051】
会員のクライアント端末10は、物件登録申請処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、住宅物件を販売する場合には、販売対象の物件を物件管理サーバ20に登録する。このために、クライアント端末10を用いて、物件管理サーバ20にアクセスする。この場合、物件管理サーバ20は、会員コード及びパスワードを用いて利用者認証を行なう。利用者認証を完了した場合、クライアント端末10は、物件登録申請を送信する。この物件登録申請には、物件の地番、所在地の緯度経度、種別及び特記事項、販売価格に関するデータを含める。また、対象物件に名称が付与されている場合には、物件登録申請に物件名を含める。ここで、公図、謄本、パンフレットを準備している場合には、物件登録申請に、これらのイメージデータを含める。
【0052】
物件登録申請を受信した物件管理サーバ20の制御部21は、後述する登録処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件登録申請内容を物件管理データ記憶部22に登録するとともに、宅建シリアルコードを生成し、会員のクライアント端末10に返信する。
【0053】
次に、クライアント端末10は、宅建シリアルコードの取得処理を実行する(ステップ
S1−3)。具体的には、クライアント端末10は、物件管理サーバ20から宅建シリアルコードを取得し、表示部に出力する。
そして、会員が広告媒体(例えば、ホームページや新聞、雑誌、パンフレット等)に物件の紹介を掲載する場合には、取得した宅建シリアルコードを記載する。
【0054】
(審査依頼処理)
住宅の購入希望者が住宅ローンを利用する場合には、広告媒体に掲載された宅建シリアルコードを指定して金融機関に審査依頼を行なう。
【0055】
そして、金融機関において、後述するように、住宅ローンの利用可否についての審査を行なう(ステップS1−4)。この場合、金融機関サーバ40は、物件管理サーバ20にアクセスして、宅建シリアルコードに対応する物件情報やオプション情報を取得する。ここで、物件管理サーバ20の制御部21は、ステータス更新処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、物件管理データ記憶部22に登録された物件管理データ220の個別レコード222のステータスデータ領域に「審査」フラグを記録し、更新月日データ領域に現在月日を記録する。
【0056】
金融機関が購入希望者に対して住宅ローンを実行した場合には、金融機関サーバ40は、ローン実行情報の提供処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、金融機関サーバ40は、住宅ローンが実行された物件に対応した宅建シリアルコードを特定する。そして、金融機関サーバ40は、物件管理サーバ20にローン実行情報を提供する。このローン実行情報には、ローン実行対象の宅建シリアルコードに関するデータを含める。
【0057】
また、会員(販売者や仲介者)と購入希望者との間で、住宅販売に関する売買契約が締結された場合、クライアント端末10は、契約情報の提供処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、クライアント端末10において、売買契約が締結された物件に対応した宅建シリアルコードを特定する。そして、クライアント端末10は、契約情報を物件管理サーバ20に送信する。この契約情報の中には、契約の対象となった宅建シリアルコードに関するデータを含める。
【0058】
ローン実行情報や契約情報を取得した物件管理サーバ20の制御部21は、ステータス更新処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、物件管理データ記憶部22に登録された物件管理データ220の個別レコード222のステータスデータ領域に「ローン実行」フラグを記録し、更新月日データ領域に現在月日を記録する。
【0059】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、この契約に関係する会員(販売者や仲介者)の特定処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、宅建シリアルコードに対して変換ルールを適用して会員コードを取得する。
【0060】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、進捗情報の提供処理を実行する(ステップS1−10)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213は、物件管理データ記憶部22に登録された個別レコード222の中で、特定した会員コード以外の会員コードが記録された個別レコード222を抽出する。そして、物件情報提供手段213は、抽出した個別レコード222に記録された会員コードに基づいて、会員管理データ記憶部26から、その他の会員の連絡先を取得する。そして、物件情報提供手段213は、その他の会員の連絡先に対して、登録物件が売買されたことを示したメッセージを送信する。
【0061】
次に、クライアント端末10は、進捗情報の出力処理を実行する(ステップS1−11
)。具体的には、クライアント端末10は、物件管理サーバ20から取得した進捗情報を出力する。これにより、販売者や仲介者自身が取り扱っている物件について、他の会員による状況変化を把握することができる。
【0062】
(登録処理)
次に、ステップS1−2における登録処理を、図5を用いて説明する。
まず、物件管理サーバ20の制御部21は、登録申請の受付処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、クライアント端末10から物件登録申請を受信する。
【0063】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、土地又は建物の判定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件登録申請に含まれる物件種別(「土地」又は「建物」)に基づいて判定する。
【0064】
物件登録対象が「土地」の場合(ステップS2−2において「土地」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、緯度経度により同一物件の検索処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件管理データ記憶部22において、物件登録申請に含まれる地番、緯度経度が設定された基本レコード221を含む物件管理データ220を検索する。
【0065】
一方、物件登録対象が「建物」の場合(ステップS2−2において「建物」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、緯度経度、物件名等により同一物件の検索処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件管理データ記憶部22において、物件登録申請に含まれる地番、緯度経度、物件名が設定された基本レコード221を含む物件管理データ220を検索する。
【0066】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、同一物件が既登録かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、申請内容(地番、緯度・経度、種別、物件名等)が共通する物件管理データ220の検索結果に基づいて登録の有無を判定する。
【0067】
同一物件が既登録の場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、物件管理コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件管理データ記憶部22において特定した物件管理データ220の基本レコード221に記録された物件管理コードを取得する。
【0068】
一方、同一物件が未登録の場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、新規物件管理コードの付与処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件をユニークに特定できる新たな物件管理コードを決定する。そして、物件情報登録手段211は、この物件管理コードを設定した基本レコード221を物件管理データ記憶部22に登録する。更に、この基本レコード221には、物件管理コード、地番、所在位置、種別、物件名等に関するデータを記録する。
【0069】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、会員コードの特定処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、アクセス時の利用者認証において用いた会員コードを特定する。
【0070】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、宅建シリアルコードの生成処理を実行する
(ステップS2−9)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、物件管理コードと会員コードとに対して変換ルールを適用し、宅建シリアルコードを生成する。
【0071】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、データ登録処理を実行する(ステップS2−10)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、宅建シリアルコードを設定した個別レコード222を生成し、物件管理データ記憶部22に登録する。
【0072】
ここで、会員は、この物件についての公図、謄本、パンフレット等の物件関連情報を所持している場合には、これらのイメージデータを生成する。そして、クライアント端末10を用いて、オプション種別毎にイメージデータを物件管理サーバ20に送信する。
【0073】
クライアント端末10から、公図、謄本、パンフレットのイメージデータを取得した物件管理サーバ20の制御部21は、オプション管理データ記憶部24にオプション情報を登録する。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、取得したオプション種別毎のイメージデータに対して、宅建シリアルコードを関連付けて記録したオプションファイル242を生成する。そして、物件情報登録手段211は、生成したオプションファイル242をオプション管理データ記憶部24に登録する。更に、物件情報登録手段211は、オプション情報を取得した日付に有効期間を加算して有効期限を算出する。そして、物件情報登録手段211は、宅建シリアルコード、オプション種別、有効期限や地番を設定したオプション管理レコード241を生成し、オプション管理データ記憶部24に登録する。
【0074】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、宅建シリアルコードの提供処理を実行する(ステップS2−11)。具体的には、制御部21の物件情報登録手段211は、クライアント端末10に対して、生成した宅建シリアルコードを送信する。
【0075】
(物件の審査処理)
次に、購入希望物件について、ステップS1−4における住宅ローンの利用可否の審査を行なう場合の処理を、図6に従って説明する。
【0076】
住宅の購入希望者が物件情報の取得を希望する場合には、宅建シリアルコードを利用する。この場合、購入希望者は、クライアント端末30を用いて、金融機関サーバ40にアクセスする。この場合、金融機関サーバ40は、利用者コードやパスワードを入力するためのログイン画面を、クライアント端末30の表示部に出力する。
【0077】
購入希望者のクライアント端末30は、銀行サイトにログイン処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、ログイン画面に利用者コードやパスワードが入力され、送信実行ボタンが選択された場合、クライアント端末30は、ログイン情報を金融機関サーバ40に送信する。このログイン情報には、ログイン画面に入力された顧客コードやパスワードに関するデータを含める。
【0078】
次に、ログイン情報を取得した金融機関サーバ40は、利用者認証処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、金融機関サーバ40は、ログイン情報に含まれる顧客コード及びパスワードが、顧客データ記憶部に登録されているかどうかを検索することにより、利用者認証を行なう。利用者認証ができない場合には、ログインができないことを示したメッセージをクライアント端末30の表示部に出力する。
【0079】
一方、利用者認証を完了した場合、金融機関サーバ40は、対象物件入力画面の送信処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、金融機関サーバ40は、クライアント端末30の表示部に対象物件入力画面を出力する。この対象物件入力画面には、宅建シリ
アルコードの入力欄が設けられている。
【0080】
対象物件入力画面において宅建シリアルコードが入力され、送信実行ボタンが選択された場合、クライアント端末30は、宅建シリアルコードの送信処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、クライアント端末30は、物件情報要求を金融機関サーバ40に送信する。この物件情報要求には、対象物件入力画面において入力された宅建シリアルコードに関するデータを含める。
【0081】
物件情報要求を取得した金融機関サーバ40は、宅建シリアルコードの転送処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、金融機関サーバ40は、クライアント端末30から取得した宅建シリアルコードを物件管理サーバ20に転送する。
【0082】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、宅建シリアルコードの取得処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213が、金融機関サーバ40から宅建シリアルコードを取得する。
【0083】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、物件情報の提供処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213は、宅建シリアルコードが記録された個別レコード222を物件管理データ記憶部22から抽出する。更に、物件情報提供手段213は、変換ルールに基づいて、宅建シリアルコードから物件管理コードを取得する。そして、物件情報提供手段213は、物件管理コードが設定された基本レコード221を物件管理データ記憶部22から抽出する。そして、物件情報提供手段213は、金融機関サーバ40に対して対象物件情報を送信する。この対象物件情報には、物件管理データ記憶部22から抽出した基本レコード221や個別レコード222に記録された情報が含まれる。
【0084】
次に、金融機関サーバ40は、物件の確認画面の送信処理を実行する(ステップS3−8)。具体的には、金融機関サーバ40は、対象物件の物件確認画面を生成する。この物件確認画面には、物件管理サーバ20から取得した対象物件情報を含める。
【0085】
次に、クライアント端末30は、内容確認処理を実行する(ステップS3−9)。具体的には、金融機関サーバ40から物件確認画面を取得したクライアント端末30は表示部に出力する。そして、購入希望者は、物件確認画面により物件情報を確認する。そして、この物件について、住宅ローンを検討する場合には、審査依頼入力を行なう。この場合、クライアント端末30は、金融機関サーバ40に対して審査依頼を送信する。
【0086】
審査依頼を受信した金融機関サーバ40は、評価情報要求処理を実行する(ステップS3−10)。具体的には、金融機関サーバ40は、物件管理サーバ20に対して評価情報要求を送信する。この評価情報要求には、対象物件の宅建シリアルコードに関するデータを含める。
【0087】
評価情報要求を受信した物件管理サーバ20の制御部21は、物件評価情報、会員評価情報の抽出処理を実行する(ステップS3−11)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213は、取得した宅建シリアルコードに対して変換ルールを適用し、物件管理コード及び会員コードに展開する。そして、物件情報提供手段213は物件管理コードが記録された基本レコード221を、物件管理データ記憶部から抽出するとともに、会員コードが記録された会員管理レコード260を会員管理データ記憶部26から抽出する。
【0088】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、ステータス更新処理を実行する(ステップS3−12)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、物件管理データ記
憶部22に登録された個別レコード222のステータスデータ領域に「審査」フラグを記録し、更新月日データ領域に現在月日を記録する。
【0089】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、評価情報の提供処理を実行する(ステップS3−13)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213は、評価情報を金融機関サーバ40に対して送信する。この評価情報には、抽出した基本レコード221及び会員管理レコード260に記録された評価に関するデータを含める。ここで、新築マンション物件の場合には、販売価格に対して、会員管理レコード260の評価データ領域に記録された補正率を乗算して算出した評価額を含める。また、物件情報提供手段213は、物件評価データ記憶部23において、物件管理コードが記録された物件評価レコード230を検索する。物件管理コードが記録された物件評価レコード230を抽出できた場合には、この物件評価レコード230に記録された評価額を評価情報に含める。
【0090】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対してステータス情報の提供処理を実行する(ステップS3−14)。具体的には、制御部21の物件情報提供手段213は、物件管理データ記憶部22に登録された個別レコード222に記録された会員コードに基づいて、会員管理データ記憶部から、その他の会員の連絡先を取得する。そして、物件情報提供手段213は、各会員の連絡先に対して、登録物件の審査が開始されたことを示したメッセージを送信する。
【0091】
金融機関は評価額の算出処理を実行する(ステップS3−15)。具体的には、物件管理サーバ20から評価情報を取得した金融機関サーバ40は、物件管理サーバ20から取得した評価情報を、審査担当者のクライアント端末に出力する。そして、金融機関の担当者が、物件管理サーバ20から取得した評価情報に基づいて、金融機関における評価額を算出する。
【0092】
次に、金融機関は、評価額に基づいて審査処理を実行する(ステップS3−16)。具体的には、審査担当者は、金融機関において算出した評価額に基いて住宅ローンの借入可能額を算出し、最終的に利用可否を判定し、この審査結果をクライアント端末に入力する。審査担当者のクライアント端末から審査結果を取得した金融機関サーバ40は、購入希望者のクライアント端末30に対して、審査結果を送信する。
【0093】
次に、購入希望者のクライアント端末30は、審査結果の出力処理を実行する(ステップS3−17)。具体的には、クライアント端末30は、金融機関サーバ40から取得した審査結果を表示部に出力する。
【0094】
(物件情報の有効性管理)
次に、物件情報の有効性管理を、図7に従って説明する。
ここでは、物件管理サーバ20の制御部21は、ローン実行済以外の物件の抽出処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、物件管理データ記憶部22に記録されている個別レコード222においてステータスデータ領域に「ローン実行」フラグが記録されていない物件を抽出する。
【0095】
以下の処理は、抽出した物件毎に処理対象物件を特定して繰り返す。
ここでは、物件管理サーバ20の制御部21は、物件の取引情報の取得処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、物件管理データ記憶部22から、処理対象物件の基本レコード221に関連付けられた個別レコード222のステータスを取得する。
【0096】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、審査着手済みかどうかについての判定処理
を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、取得した個別レコード222の中に「審査」フラグが記録されたレコードがあるかどうかを確認する。
【0097】
「審査」フラグが記録された個別レコード222が登録されておらず、審査未着手の場合(ステップS4−3において「NO」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、各種書類の有効期限の取得処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、オプション管理データ記憶部24から、処理対象物件の物件管理コードが記録されたオプション管理レコード241を抽出し、このレコードに記録された有効期限を取得する。
【0098】
次に、物件管理サーバ20の制御部21は、有効期限までの残存期間が少ないかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、オプション管理レコード241に記録された有効期限と現在日付とを比較して、残存日数を算出する。そして、物件情報管理手段212は、この残存日数が許容日数より短くなっているオプション情報を検索する。
【0099】
オプション情報の残存日数の中で許容日数より短いものが含まれている場合(ステップS4−5において「YES」の場合)には、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対して更新確認処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、処理対象物件の基本レコード221に関連付けられている個別レコード222に記録されている宅建シリアルコードを取得する。そして、物件情報管理手段212は、この宅建シリアルコードに対して変換ルールを適用して会員コードを取得する。次に、物件情報管理手段212は、会員管理データ記憶部26から、この会員コードが記録された会員管理レコード260を抽出し、この会員の連絡先情報を取得する。そして、物件情報管理手段212は、この連絡先に対して更新確認依頼を送信する。
【0100】
一方、オプション情報の残存日数の中で許容日数より短いものが含まれていない場合(ステップS4−5において「NO」の場合)には、この物件についての処理を終了する。
また、「審査」フラグが記録された個別レコード222が登録されており、審査着手済みの場合(ステップS4−3において「YES」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、審査着手から基準期間以上が経過しているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−7)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、この個別レコード222から更新月日を取得し、この更新月日からの経過日数を算出する。そして、物件情報管理手段212は、算出した経過日数と確認基準日数とを比較する。
【0101】
経過日数が確認基準日数を超えており、審査着手から基準期間以上が経過している場合(ステップS4−7において「YES」の場合)には、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対して進捗状況のリセット打診処理を実行する(ステップS4−8)。具体的には、制御部21の物件情報管理手段212は、この個別レコード222に記録されている宅建シリアルコードに変換ルールを適用して会員コードを抽出する。そして、物件情報管理手段212は、会員管理データ記憶部26から、この会員コードが記録された会員管理レコード260を抽出し、連絡先情報を取得する。そして、物件情報管理手段212は、この連絡先に対してリセット確認依頼を送信する。
【0102】
一方、審査着手から基準期間以上が経過していない場合(ステップS4−7において「NO」の場合)には、この物件についての処理を終了する。
以上の処理を、ローンが実行されていない物件について繰り返す。
【0103】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、会員(販売者や仲介者)が新たな物件を取り扱う場合、物件登録申請処理を実行する(ステップS1−1)。物件登録申請を受信した物件管理サーバ20の制御部21は、登録処理を実行する(ステップS1−2)。そして、クライアント端末10は、宅建シリアルコードの取得処理を実行する(ステップS1−3)。この宅建シリアルコードを用いることにより、住宅の購入希望者や金融機関は物件について登録された各種情報を効率的に入手することができる。住宅を購入する手続毎に必要書類等を準備する必要がなく、効率的に住宅の売買を行なうことができる。
【0104】
(2)本実施形態においては、金融機関が購入希望者に対して住宅ローンを実行した場合には、金融機関サーバ40は、ローン実行情報の提供処理を実行する(ステップS1−6)。また、会員と購入希望者との間で、住宅販売に関する売買契約が締結された場合、会員のクライアント端末10は、契約情報の提供処理を実行する(ステップS1−7)。この場合、物件管理サーバ20の制御部21は、ステータス更新処理を実行する(ステップS1−8)。これにより、物件の売買等のステータスが変更された場合には、会員は物件の状況変化を把握することができる。従って、すでに契約済みの物件等についての無駄な営業活動を抑制することができる。
【0105】
(3)本実施形態においては、同一物件が既登録の場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、物件管理コードの特定処理を実行する(ステップS2−6)。そして、物件管理サーバ20の制御部21は、宅建シリアルコードを生成し(ステップS2−9)、データ登録処理を実行する(ステップS2−10)。この宅建シリアルコードは、物件管理コードと会員コードとを変換ルールを用いて生成されている。このため、宅建シリアルコードから物件や、この物件を取り扱う会員を特定することができる。
【0106】
(4)本実施形態においては、物件情報要求を取得した金融機関サーバ40は、宅建シリアルコードの転送処理を実行する(ステップS3−5)。そして、物件管理サーバ20の制御部21は、物件情報の提供処理を実行する(ステップS3−7)。金融機関サーバ40は、物件の確認画面の送信処理を実行する(ステップS3−8)。これにより、購入希望者は、宅建シリアルコードを利用して、物件情報を確認することができる。
【0107】
更に、審査依頼を受信した金融機関サーバ40は、評価情報要求処理を実行する(ステップS3−10)。そして、物件管理サーバ20の制御部21は、評価情報の提供処理を実行する(ステップS3−13)。これにより、金融機関は、会員によって登録された物件情報を利用して、住宅ローンの提供可否についての審査を迅速かつ効率的に行なうことができる。
【0108】
(5)本実施形態においては、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対してステータス情報の提供処理を実行する(ステップS3−14)。これにより、審査依頼があったこと等のステータスが変更された場合には、会員は物件の状況変化を把握することができる。
【0109】
(6)本実施形態においては、物件管理サーバ20の制御部21は、有効期限までの残存期間が少ないかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−5)。そして、オプション情報の残存日数の中で許容日数より短いものが含まれている場合(ステップS4−5において「YES」の場合)には、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対して更新確認処理を実行する(ステップS4−6)。住宅ローンの審査に必要な書類等には有効期限があるが、有効な物件関連情報を確実に準備しておくことができる。
【0110】
(7)本実施形態においては、「審査」フラグが記録された個別レコード222が登録
されており、審査着手済みの場合(ステップS4−3において「YES」の場合)、物件管理サーバ20の制御部21は、審査着手から基準期間以上が経過しているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−7)。そして、経過日数が確認基準日数を超えている場合(ステップS4−7において「YES」の場合)には、物件管理サーバ20の制御部21は、会員に対して進捗状況のリセット打診処理を実行する(ステップS4−8)。審査着手から長期間、放置されている場合には、取引が成立しなかったり、ステータスの更新を忘れていたりする可能性がある。そこで、注意喚起を行なうことにより、物件情報の有効性を維持することができる。
【0111】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、インターネットに接続された会員のクライアント端末10を用いて物件情報の登録を行なったが、物件情報の登録に用いるクライアント装置は、これに限定されるものではない。例えば、クライアント装置として、住宅販売者や仲介者が、取り扱う物件を管理するためのコンピュータシステムと連携させるようにしてもよい。この場合、取引に進捗があった場合、コンピュータシステムから進捗情報を取得して、物件管理サーバ20においてステータスを更新することができる。
【0112】
・ 上記実施形態では、オプション管理データ記憶部24には、公図、謄本、パンフレットについてのイメージデータを物件関連情報として蓄積したが、物件関連情報はこれらに限定されるものではなく、物件の確認や住宅ローンの審査に必要な情報を蓄積することができる。また、データ形式もイメージデータのみならず、テキストファイル等を蓄積するようにしてもよい。
【0113】
・ 上記実施形態では、オプション管理データ記憶部24に、各物件についてのオプション情報(物件関連情報)を管理するためのオプション管理レコード241や、オプションファイル242を記録する。このオプション管理レコード241や、オプションファイル242は、宅建シリアルコードに関連付けられて記録される。これに代えて、物件毎に、物件管理コードに関連付けてオプション情報を登録するようにしてもよい。そして、新たな登録申請の受付処理(ステップS2−1)において、物件管理サーバ20の制御部21は、オプション管理データ記憶部24を用いて、この物件についてのオプション情報の登録の有無を確認する。ここで、オプション情報が登録されていない場合には、クライアント端末10からオプション情報を取得し、物件管理コードを設定したオプション管理レコード241や、オプションファイル242をオプション管理データ記憶部24に登録する。一方、既にオプション情報が登録されている場合には、新たな登録申請においてオプション情報の登録が不要であることを示すメッセージをクライアント端末10に出力する。これにより、物件についてのオプション情報を共用し、複数の会員が同じ物件を取り扱っている場合には、オプション情報の登録負担を軽減することができる。
【0114】
・ 上記実施形態では、物件管理データ記憶部22には、各物件を管理するための物件管理データ220が記録されている。個別レコード222は、宅建シリアルコード、販売価格、ステータス、特記事項、更新月日に関するデータを含んで構成される。このステータスデータ領域に、「ローンの返済状況」や「ローン完済」を示すフラグを記録するようにしてもよい。これにより、金融機関において、物件状況を把握することができるので、新たな住宅ローンの新規提案等を行なうことができる。
【符号の説明】
【0115】
10,30…クライアント端末、20…物件管理サーバ、21…制御部、211…物件情報登録手段、212…物件情報管理手段、213…物件情報提供手段、22…物件管理データ記憶部、23…物件評価データ記憶部、24…オプション管理データ記憶部、25…地図管理データ記憶部、26…会員管理データ記憶部、40…金融機関サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、
ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムであって、
前記制御手段が、
前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する手段と、
前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する手段と、
既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、
同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する手段と、
物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する手段と、
融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する手段と
を備えたことを特徴とする物件情報管理システム。
【請求項2】
前記物件情報管理システムは、物件の購入希望者のクライアント装置に接続されており、
前記制御手段は、物件の購入希望者のクライアント装置からユニーク識別子を取得した場合には、前記ユニーク識別子を用いて、前記物件情報記憶手段に登録された物件情報を、購入希望者のクライアント装置に対して提供することを特徴とする請求項1に記載の物件情報管理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、新規登録物件の登録申請において、物件が所在する緯度経度情報を取得し、この緯度経度を用いて同一物件を検索することを特徴とする請求項1又は2に記載の物件情報管理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
事業者が利用するクライアント装置から登録物件のユニーク識別子を取得した場合、前記ユニーク識別子に基づいて物件識別子及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、
このユニーク識別子に関連付けられた事業者以外の事業者のクライアント装置に対して、ステータスの更新通知を送信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の物件情報管理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、
新規登録物件の物件関連情報を取得した場合、前記物件関連情報の有効期限を算出して、前記物件情報記憶手段に前記物件関連情報及び前記有効期限を登録し、
前記物件情報記憶手段において、登録申請において取得した物件関連情報の有効期限を特定し、
前記有効期限までの残存期間が基準値以下の場合には、事業者に対してアラームを送信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の物件情報管理システム。
【請求項6】
住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、
ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムを用いて物件情報を管理する方法であって、
前記制御手段が、
前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する段階と、
前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する段階と、
既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、
同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する段階と、
物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する段階と、
融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する段階と
を実行することを特徴とする物件情報管理方法。
【請求項7】
住宅物件の売買を行なう事業者が利用するクライアント装置と、融資を管理する金融機関システムとに接続される制御手段と、
ユニーク識別子に関連付けて物件情報及び売買情報を記憶する物件情報記憶手段とを備えた物件情報管理システムを用いて物件情報を管理するプログラムであって、
前記制御手段を、
前記クライアント装置から新規登録物件の物件情報を含めた登録申請を取得する手段、
前記登録申請に含まれる物件情報に基いて、前記物件情報記憶手段において前記新規登録物件と同一物件が既に登録されているかどうかを確認する手段、
既に同一物件が登録されている場合には、この物件の物件識別子と事業者識別子とを関連付けて物件情報記憶手段に登録し、
同一物件が登録されていない場合には、この物件を特定するための物件識別子を生成し、事業者識別子と関連付けて前記物件情報記憶手段に登録する手段、
物件と事業者とを特定するためのユニーク識別子を付与して、前記クライアント装置に提供する手段、
融資を行なう金融機関システムから前記ユニーク識別子を取得した場合には、このユニーク識別子を用いて物件情報及び事業者識別子を前記物件情報記憶手段から抽出し、前記金融機関システムに提供する手段
として機能させることを特徴とする物件情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−170620(P2011−170620A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33796(P2010−33796)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)