説明

物品払出ユニット及び物品払出装置

【課題】物品貯蔵部に貯蔵される物品Pの変更時や、払出量を変更したいときにホールベース等を交換する作業を要することなくコストの低廉化を図ることができる物品払出ユニット及び物品払出装置を提供する。
【解決手段】ホールベース310には、物品Pのサイズに応じて開口面積を可変し、かつ物品取出口に連通可能な収容孔38が設けられていることにより、物品の払出量を調整することができる。また、物品貯蔵部3Aに貯蔵される物品Pの変更時にホールベース310等を交換する作業を不要にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明なカプセル状の収納容器に収納された玩具・ガム等の商品(物品)を1個ずつ払い出す物品払出ユニット及び物品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、玩具やガム・飴・チョコレート等の物品を内封する透明な多数のカプセルが収納された筐体を有し、この筐体内の物品をカプセルごと購買者による代金投入後のハンドル回転操作によって撹拌しながら一つずつ払い出す物品払出装置がある。
【0003】
このような物品払出装置は、筐体内の物品が購買者の目に止まるようにその色彩や装飾に工夫が施され、物品を広く宣伝したり、集客性を高めたりすることができるような場所に設置される。販売される物品は、物品払出装置の管理者によって管理され、物品の売り上げ状況や物品についての販売企画に基づいて物品の補充、あるいは交換が定期的に行われる。
【0004】
従来、この種の物品払出装置への物品の補充を容易に行えるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1の物品取出装置(物品払出装置)は、装置本体の上部に物品収納ケースが着脱自在に取り付けられ、物品収納ケースを交換し得るように構成されている。
【0006】
特許文献1の物品払出装置によると、物品収納ケース内の物品変更は、物品収納ケースを交換することにより行われる。
【特許文献1】特開平9−326081号公報([0024]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の物品払出装置においては、交換可能な物品収納ケースのサイズが一定であるため、1個のサイズが大きい物品を扱う場合には小さい物品を扱う場合と比べて物品の収納量が少なくなる。このため、物品の残量が尽き易く、その補充を頻繁に行わなくてはならなくなる。これは、物品の残量が僅かになると、この状態を視認した購買者の購買意欲が減退するため、販売量が低下する虞が生じ、この事態を回避する必要があるからである。
【0008】
また、サイズの異なる物品に対応するには、物品収納ケースを交換しなければならないため、機器全体の交換等の面倒な作業が必要となってコストアップになるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような要望に応えるべくなされたもので、物品払出操作に応じて物品貯蔵部から物品を払い出す物品払出機構に設けられるロータに物品収容孔を有するホールベースを着脱自在に備えるという構成により、物品貯蔵部に貯蔵される物品Pの変更時や、払出量を変更したいときにホールベース等を交換する作業を要することなくコストの低廉化を図ることができる物品払出ユニット及び物品払出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、上記した目的を達成するため、物品を貯蔵する物品貯蔵部及び物品をユニット外に取り出すための物品取出部を有するユニット本体と、前記ユニット本体内に配設され、物品払出操作に応じて前記物品貯蔵部から物品を払い出す物品払出機構とを備えた物品払出ユニットであって、前記物品払出機構は、物品払出操作によって回転するロータ及び前記ロータと共に回転する着脱自在なホールベースを有し、前記ホールベースには、物品のサイズに応じて開口面積を可変し、かつ前記物品取出部に連通可能な物品収容孔が設けられていることを特徴とする物品払出ユニットを提供する。
【0011】
第2の発明は、上記した目的を達成するため、ユニット収容空間を内部に有する装置本体と、前記装置本体のユニット収容空間に収容され、第1の発明の物品払出ユニットを含む複数の物品払出ユニットと、前記物品払出ユニットの物品払出操作を可能・不可能な状態に制御するコントローラとを備えた物品払出装置であって、前記ユニット収容空間には、前記複数の物品払出ユニットのうち各ユニットサイズが互いに異なる少なくとも大小2つの物品払出ユニット又は前記複数の物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを選択的に収容可能な複数の収容空間部が形成されていることを特徴とする物品払出装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品貯蔵部に貯蔵される物品Pの変更時や、払出量を変更したいときにホールベース等を交換する作業を要することなくコストの低廉化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(第1及び第2の実施の形態)につき、図面に基づいて説明する。第1の実施の形態は、複数の物品払出ユニットを備えた物品払出装置である。第2の実施の形態は、単数の物品払出ユニットを備えた物品払出装置である。
【0014】
〔第1の実施の形態〕
(物品払出装置の全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置を示す斜視図である。
図1において、符号1で示す物品払出装置は、筐体としての装置本体2と、物品払出者による物品払出操作に応じて物品を払い出す物品払出ユニットA〜Hと、物品払出ユニットA〜Hの物品払出操作を可能・不可能な状態に制御する制御ユニット(コントローラ)10とによって大略構成されている。
【0015】
(装置本体2の構成)
装置本体2は、図1に示すように、基台部2A及び本体部2Bを有している。基台部2Aは、物品払出装置1の座部材として機能し、全体が例えば鋼板等の金属材料からなる略五角形箱によって形成されている。そして、本体部2B及び物品払出ユニットA〜H・制御ユニット10を保持するように構成されている。
【0016】
一方、本体部2Bは、内部にユニット収容空間100を有し、全体が例えば鋼板等の金属材料からなる略四角形箱によって形成されている。ユニット収容空間100には、複数の物品払出ユニットA〜Hのうち各ユニットサイズ(幅方向寸法)が互いに異なる大中小3つの物品払出ユニットA(B〜E)・F(G)・H又はこれら大中小3つの物品払出ユニットA(B〜E)・F(G)・Hのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを選択的に収容可能な4つの収容空間部100A〜100Dが形成されている。
【0017】
なお、物品払出ユニットA〜Eのユニットサイズ(幅方向寸法)は等しい寸法に、また物品払出ユニットF・Gのユニットサイズ(幅方向寸法)は等しい寸法にそれぞれ設定されている。
【0018】
収容空間部100Aには最大のユニットサイズと最小のユニットサイズとの間の中間のユニットサイズの物品払出ユニットA・Bが、また収容空間部100Bには同じく中間のユニットサイズの物品払出ユニットC・Dがそれぞれ幅方向に互いに隣接して収容されている。収容空間部100Cには、中間のユニットサイズの物品払出ユニットEと、これに加えて最小のユニットサイズの物品払出ユニットF・Gとが左右(幅)方向に互いに並列して収納されている。収容空間部100Dには、最大のユニットサイズの物品払出装置Hが収容されている。
【0019】
収容空間部100A・100Bには、中間のユニットサイズの物品払出装置A〜Dに代え、最大のユニットサイズの物品払出装置Hを、また中間のユニットサイズの物品払出ユニットE及び最小のユニットサイズの物品払出ユニットF・Gを、さらには最小のユニットサイズの物品払出装置F・Gをそれぞれ収容することが可能である。同様にして、収容空間部100C・100Dには、中間のユニットサイズの物品払出ユニットE及び最小のユニットサイズの物品払出装置F・Gと最大のユニットサイズの物品払出ユニットHに代え、物品払出装置A・Bなど他の物品払出ユニットを収容することが可能である。
【0020】
すなわち、収容空間部100A〜100Dには、複数の物品払出ユニットA〜Hのうち各ユニットサイズ(幅方向寸法)が互いに異なる大中小3つの物品払出ユニットA(B〜E)・F(G)・H又はこれら大中小3つの物品払出ユニットA(B〜E)・F(G)・Hのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを選択的に収容することができる。
【0021】
(物品払出ユニットA〜Eの構成)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが中間サイズの物品払出ユニットを説明するために示す図である。図2(a)は、物品非収納状態を示す分解斜視図である。図2(b)は、物品収納状態を示す側面図である。図2(b)の物品払出ユニットは、図2(a)における物品払出ユニットからハンドルパネルが取り除かれている。図3は、図2の物品払出装置の物品貯蔵部から第1誘導板を外し、第2背面板及び第3背面板を収容した状態を示す図である。図3(a)は、物品非貯蔵状態を示す斜視図である。図3(b)は、物品貯蔵状態を示す側面図である。
【0022】
なお、物品払出ユニットB・Cは、ユニット内部空間(物品貯蔵部)の容積を拡大(縮小)するための背面板を物品払出ユニットA・D・Eから取り除いたユニットの構成と略同一の構成であるため、物品払出ユニットA・D・Eの構成についてのみ説明し、物品払出ユニットB・Cの構成についての説明は省略する。また、物品払出ユニットA・D・Eは、略同一の構成であるため、一の物品払出ユニットAの構成についてのみ説明し、他の物品払出ユニットD・Eの構成についての説明は省略する。
【0023】
物品払出ユニットAは、図2(a)及び(b)に示すように、ユニット筐体としてのユニット本体200と、物品Pを払い出すための駆動力伝達機構(物品払出機構)としてのロータユニット300と、ロータユニット300を駆動するためのハンドル71とを備え、装置本体2の収容空間部100Aに着脱自在に収容されている。なお、物品払出ユニットAの収容空間部100Aへの装着は施錠によって、また収容空間部100Aからの離脱は解錠によってそれぞれ行われる。
【0024】
(ユニット本体200の構成)
ユニット本体200は、枠部材25A及び支柱25Bを組み合わせてなる略四角形状の構造体25と、構造体25の前面壁を形成する前面パネル5と、構造体25の側面壁を形成する側面パネル27と、構造体25の背面壁を形成する背面パネル400と、構造体25を補強するための補強板26とを有している。
【0025】
構造体25は金属材料によって形成されている。構造体25内の上部には、透明なカプセルに収納された玩具類やガム・飴・チョコレート等の物品Pを貯蔵する物品貯蔵部3Aが設けられている。構造体25内の中間部には、外部から物品貯蔵部3Aに収納される物品Pをユニット背面側から物品貯蔵部3Aの前方領域(前面パネル5の裏面)に誘導する第1誘導板501が、また収容孔38に誘導する第2誘導板35がそれぞれ配設されている。構造体25内の下部には、物品取出口9A(後述)に連通する物品通路としての傾斜ダクト39が配設されている。
【0026】
前面パネル5は、物品貯蔵部3Aの物品Pを視認可能な視認部としての透明パネル5Aと、表示板として機能する看板パネル32と、物品貯蔵部3Aの物品Pを払い出すためのハンドル71を保持するハンドルパネル70Aとからなる。透明パネル5Aは、2枚の透明樹脂板の間に厚紙等で形成される看板パネル32を挟み込み、構造体25の前面部に配設されている。前面パネル5の上方には、LED(Light Emitting Diode)等からなるディスプレイランプ33(ランプパネル)が配設されている。看板パネル32には、物品貯蔵部3Aの物品Pを宣伝したり、その物品Pの金額を通知したりするための文字等が表示されている。ハンドルパネル70Aには、外部に物品Pを取り出すための物品取出口(物品取出部)9Aが設けられている。また、ハンドルパネル70Aには、物品払出ユニットA・D・Eの装置本体2(収容空間部100A〜100C)からの離脱を防止するための施錠部74が配設されている。
【0027】
側面パネル27は、ガラス等の透明パネルからなり、構造体25の両側面部に配設されている。なお、側面パネル27は、透明パネルに限定されず、不透明パネルによって形成してもよい。
【0028】
背面パネル400は、構造体25の後方開口一部を閉塞するための第1背面板401及び物品貯蔵部3Aの容積を拡大するための箱状の第2背面板21からなり、構造体25の背面部に配設されている。第1背面板401には、前後方向に開口する貫通窓401Aが設けられている。第2背面板21は、構造体25の外部に露呈させた状態で貫通窓401Aの外側開口周縁に着脱自在に配設されている。なお、第2背面板21は構造体25の内部に収容した状態で貫通窓401Aの内側開口周縁に配設することもできる。この場合、物品貯蔵部3Aの容積は縮小することになる。
【0029】
また、図3(a)に示すように、第2背面板21及び第3背面板410を構造体25の内部(物品貯蔵部3A)に配設することにより、物品貯蔵部3Aの容積がさらに縮小するとともに、前面パネル5に対向する領域が(前面パネル5と第3背面板410との間隔が狭くなって)物品Pで覆われるため、第2背面板21及び第3背面板410の無い物品貯蔵部3Aに物品Pを貯蔵する場合とその貯蔵量を見かけ上均一化することができる。このため、両背面板21,410を収容した物品貯蔵部3Aに貯蔵する物品Pとしては、外形サイズの比較的小さいピーナッツや粒ガム等の食品である場合や売れ行きの比較的悪い物品である場合に好都合である。
【0030】
補強板26は、側面パネル27の下方に位置し、構造体25の両側面部に配設されている。そして、上述したように構造体25を補強するように構成されている。
【0031】
(ロータユニット300の構成)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが中間サイズの物品払出ユニットのロータユニットを説明するために示す分解斜視図である。図5は、図4のロータユニットのホールベースを説明するために示す斜視図である。図5(a)は、ホールベースを斜め上方から見た状態を示す斜視図である。図5(b)は、ホールベースを斜め下方から見た状態を示す斜視図である。図6は、ホールサイズの使用例を説明するために示す斜視図である。図6(a)は、ホールベースにおける物品収容孔の開口面積を最大に調整した状態を示す斜視図である。図6(b)は、ホールベースにおける物品収容孔の開口面積を最小に調整した状態を示す斜視図である。
【0032】
ロータユニット300は、図4に示すように、ユニット基部台としてのユニットベース300Aと、物品払出者(物品購買者)によるハンドル回転操作によって回転するロータ31と、このロータ31と共に回転する複数(5つ)のホールベース310と、これら各ホールベース310の収容孔38(後述)の底部を形成するためのロータスペーサ320とを有し、構造体25内にユニット本体200(共に図2に示す)の上部空間(物品貯蔵部3A)と下部空間とを隔成するように配設されている。
【0033】
ユニットベース300Aは、有底丸筒状のベース本体301及びこのベース本体301の外周面に突出する鍔部302を有し、全体が樹脂材料によって形成されている。ベース本体301の周壁には、装置本体2の前方に開口する連結用窓300aが設けられている。ベース本体301の底部には、ユニットベース300A内に位置するシャフト挿通孔303A付きのボス303及び物品払出口9Aに傾斜ダクト39を介して連通する誘導孔301Aが設けられている。また、ベース本体301の底部には、ロータスペーサ320の脚部322(後述)を挿通可能な3つの脚部挿通孔301B及びロータスペーサ320をユニットベース300Aに固定するためのねじ挿通孔301Cが設けられている。鍔部302には、円周方向に等間隔をもって並列し、物品Pを収容孔38に落とし込むための物品落込用のスプリング37(共に図2に示す)が複数個(1個のみ図示)取り付けられている。また、鍔部302には、ロータ31の上方への移動を規制するための押え片305,306が取り付けられている。
【0034】
ロータ31は、ユニットベース300A内に配設され、かつベース本体301のボス303に回転自在に支承され、全体がユニットベース300Aと同一の樹脂材料からなる円板によって形成されている。ロータ31内には、ロータ中心位置にシャフト挿通孔31aを有するキャップ保持用のロータ中心部31A及びこのロータ中心部31Aの周囲に等間隔をもって並列する複数(5つ)のホールベース取付部31Bが配設されている。ロータ31の外周縁には、ハンドル71のギア73(後述)に噛合するギア部36が設けられている。ロータ31のロータ中心部31A上には、シャフト挿通孔303A,31aに挿通するシャフト307Aを有するロータキャップ307が保持されている。ロータキャップ307上には、円周方向に等間隔をもって並列する複数(3つ)の物品撹拌用のスプリング304が取り付けられている。ロータキャップ307のシャフト307Aの挿通端部にはUナット308が螺着されている。
【0035】
各ホールベース310は、ハンドル71の回転操作によるロータ31の回転動作によって傾斜ダクト39(ベース本体301の誘導孔301A)に連通する収容孔38を有し、ロータ31の各ホールベース取付部31Bに着脱自在に取り付けられ、全体が樹脂材料によって形成されている。そして、各ホールベース310は、物品貯蔵部3Aに貯蔵される物品Pのサイズ・種類に応じて交換し得るように構成されている。各ホールベース310には、図5(a)及び(b)に示すようにロータ径方向に延在する長孔310Aが設けられている。また、各ホールベース310には、収容孔38の開口面積(開口量)を調整するためのスライダ311が長孔310Aの延在(長手)方向に進退自在に配設されている。これにより、物品Pの外形サイズや種類に応じて各収容孔38の開口面積を可変し、その払出量を調整するように構成されている。例えば、図6(a)に示すようにスライダ311を進行させると、収容孔38の開口面積が縮小され、一方図6(b)に示すようにスライダ311を退避させると、収容孔38の開口面積が拡大される。スライダ311は、ホールベース310に対して所定の進退ストローク内でねじ締め・ねじ締め解除可能に配設されている。これにより、長孔310Aにおける任意の位置においてスライダ311のねじ締めを行うことができ、所望の開口面積をもつ収容孔38を得ることができる。
【0036】
ロータスペーサ320は、収容孔38の下方で物品Pを保持可能なスペーサ本体321と、ベース本体301の各挿通孔301Bに対応する3つの脚部322とからなり、ロータ31とユニットベース300Aとの間に介装されている。スペーサ本体321には、収容孔38及び誘導孔301Aに連通可能な物品案内用の切り欠き321A及びベース本体301のねじ挿通孔301Cに対応するねじ孔321Bが設けられている。スペーサ本体321の上面には、物品逃がし用の切り欠き323Aを有する環状のスペーサフェルト323が配設されている。脚部322には、先端面(下方端面)に開口し、かつベース本体301のねじ挿通孔301Cに対応するねじ孔(図示せず)が設けられている。
【0037】
ここで、外形サイズの比較的大きい物品Pが物品貯蔵部3Aに貯蔵されている場合には、スペーサ本体321をユニットベース300A(ベース本体301)の底部に載置するとともに、脚部322をベース本体301の挿通孔301Bに挿通させ、ベース本体301のねじ挿通孔301C及びスペーサ本体321のねじ孔321Bを用いてロータスペーサ320をユニットベース300Aに取り付ける。一方、外形サイズの比較的小さい物品Pが物品貯蔵部3Aに貯蔵されている場合には、脚部322をユニットベース300A(ベース本体301)の底部に載置し、ベース本体301のねじ挿通孔301C及び脚部322のねじ孔(図示せず)を用いてロータスペーサ320をユニットベース300Aに取り付ける。
【0038】
なお、ロータユニット300における各構成部品(ユニットベース300Aやロータ31,ホールベース310,ロータスペーサ320)の形成材料としては、物品貯蔵部3Aに収納される物品Pには食品も含まれるため、食品に対して安全性にすぐれた例えばポリアセタールが好ましい。また、ロータ31が大型ロータである場合には、量産性を高めるために分割形成することが好ましい。
【0039】
ハンドル71は、図2(a)に示すように、ハンドル軸72を有し、ハンドルパネル70Aに回転自在に配設されている。ハンドル軸72は、ハンドルロック部43Aによって回転が規制されている。ハンドル軸72には、ロータ31のギア部36に噛合するギア73が固着されている。ハンドルロック部43Aは、プランジャ(図示せず)をハンドル軸72に係合してハンドル71(ハンドル軸72)の回転を規制し、また硬貨投入口13(後述)への硬貨の投入に基づくロック解除信号の入力によってプランジャとの係合状態を解除してハンドル71を回転し得るように構成されている。
【0040】
(物品払出ユニットF・Gの構成)
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが最小サイズの物品払出ユニットを側方から見た状態を示す断面図である。図8は、図7の要部を示す断面図である。図9は、図7の物品払出ユニットにおける残量有無表示板の駆動力伝達機構を説明するために示す図である。図9(a)は、駆動力伝達機構における駆動力伝達開始前の状態を示す側面図である。図9(b)は、駆動力伝達機構における駆動力伝達開始直後の状態を示す側面図である。図9(c)は、駆動力伝達機構における駆動力伝達終了の状態を示す側面図である。図10は、図9における駆動力伝達機構の駆動によって動作する残量有無表示板の表示状態を説明するために示す図である。図10(a)は、図9(a)に示す残量有無表示板を物品払出ユニットの前面部から見た状態を示す正面図である。図10(b)は、図9(b)に示す残量有無表示板を物品払出ユニットの前面部から見た状態を示す正面図である。図10(c)は、図9(c)に示す残量有無表示板を物品払出ユニットの前面部から見た状態を示す正面図である。
【0041】
物品払出ユニットF・Gは、共通のユニット筐体を有し、他の構成部品の構成については略同一の構成であるため、一方の物品払出ユニットFの構成についてのみ説明し、他方の物品払出ユニットGの構成についての説明は省略する。
【0042】
物品払出ユニットFは、図7に示すように、ユニット筐体としてのユニット本体405と、物品Pとしてのカード類を貯蔵する物品貯蔵箱410と、物品貯蔵箱410内の物品Pを払い出すための駆動力伝達機構420と、駆動力伝達機構420を駆動するためのハンドル430と、ハンドル430の回転操作による駆動力伝達機構420の駆動によって進退する物品押出部材440と、物品貯蔵箱410内の物品Pを重力方向に押えるためのウエイト450と、ウエイト450の押圧によって回動する残量有無表示板460とを備え、図1に示すように物品払出ユニットEに隣接して配設され、かつ装置本体2の収容空間部100Cに着脱自在に収容されている。なお、物品払出ユニットFの収容空間部100Cへの装着は施錠によって、また収容空間部100Cからの離脱は解錠によってそれぞれ行われる。
【0043】
(ユニット本体405の構成)
ユニット本体405は、前方に開口する略四角形状の構造体250と、構造体250の前面壁を形成する前面パネル251とを有している。
【0044】
構造体250は、金属材料によって形成されており、物品貯蔵箱410及び駆動力伝達機構420等を収容するための空間部250Aが形成されている。
【0045】
前面パネル251は、構造体250の空間部250Aを視認可能な透明パネル251Aと、ハンドル430を保持するハンドルパネル252Cとからなり、構造体250の前面部に図7に実線・2点鎖線で示すように開閉自在に枢支されている。前面パネル251の上方には、LED(Light Emitting Diode)等からなるディスプレイランプ480(ランプパネル)が配設されている。ディスプレイランプ480の側方には、前面パネル251の装置本体2からの開放を防止するための施錠部481が配設されている。
【0046】
ハンドルパネル252Cには、残量有無表示板460を視認可能な透明窓252bが配設されている。ハンドルパネル252Cの前面部には、物品貯蔵箱410内の物品Pを宣伝したり、その物品Pの金額を通知したりするための文字等が表示されている。ハンドルパネル252Cの背面部には、物品貯蔵箱410及び駆動力伝達機構420を保持するホルダ253が配設されている。また、ハンドルパネル252Cには、外部に物品Pを取り出すための物品取出口252cが設けられている。
【0047】
物品貯蔵箱410は、物品Pを積層した状態で貯蔵する空間部410Aを有し、前面パネル251の裏面に所定の間隔をもってホルダ253の上部に配設されている。物品貯蔵箱410には、上方に開口し、物品Pの収納や補充・回収を可能にするための物品挿抜口410Bが設けられている。物品貯蔵箱410の前面部には、ウエイト450のフック450Aを上下方向(物品貯蔵箱410の縦方向)に案内するガイド孔及びこのガイド孔の両側に互いに並列するカード視認窓(共に図示せず)が設けられている。物品貯蔵箱410の背面部には、ウエイト450のフック450Bを上下方向に案内するガイド孔及び物品押出部材440を挿抜するための押出部材挿抜口(共に図示せず)が設けられている。なお、物品貯蔵箱410内には、カード類の他、二つ折りの厚紙によって挟まれたステッカーやシール・写真等の小紙片が貯蔵される。
【0048】
駆動力伝達機構420は、図7及び図8に示すように、ハンドル430のハンドル軸に沿って延在するシャフト421と、購買者によるハンドル430の回転操作によって回転する円筒422とを有し、構造体250内に配設され、かつホルダ253にブラケット423を介して保持されている。
【0049】
シャフト421は、両端部がブラケット423に軸止され、かつ円筒422に挿通されている。
【0050】
円筒422は、シャフト421の周囲に回転自在に配設され、かつハンドル430のハンドル軸に連結されている。円筒422の外周面には、物品押出部材440に進退力を付与するための螺旋状のカム422Aが配設されている。
【0051】
ハンドル430は、ハンドル軸(図示せず)を有し、ハンドルパネル252Cに回転自在に配設されている。ハンドル軸は、ハンドル71(図2に示す)と同様にハンドルロック部(図示せず)によって回転が規制されている。ハンドルロック部も、ハンドルロック部43A(図2に示す)と同様にプランジャ(図示せず)をハンドル軸に係合してハンドル430の回転を規制し、また硬貨投入口13(後述)への硬貨の投入に基づくロック解除信号の入力によってプランジャとの係合状態を解除してハンドル430を回転し得るように構成されている。
【0052】
物品押出部材440は、カム422Aに沿って転動する一対のローラ440A,440Bを有し、ホルダ253に進退自在に配設されている。そして、ハンドル430の回転操作による円筒422の回転によってユニット本体405(装置本体2)の前後方向(物品取出口252cの開口方向)に進退するように構成されている。
【0053】
これにより、購買者の回転操作によってハンドル430が時計回りに回転すると、物品押出部材440が図7及び図8に実線で示す待機位置(進行位置)から同図に2点鎖線で示す退避位置に退避した後、待機位置に進行して物品貯蔵箱410内の物品Pのうち最下方の物品Pが物品取出口252cに押し出される。この場合、物品押出部材440が待機位置から退避位置に退避すると、物品貯蔵箱410内の物品Pがウエイト450によって下降し、最下方の物品Pが物品取出口252c及び物品押出部材440と同一の高さ位置に配置される。
【0054】
ウエイト450は、物品貯蔵箱410内の物品Pを下方(物品貯蔵箱410の底部)に押圧するウエイト本体450Cと、ウエイト450Cの前後に突出する一対のフック450A,450Bとを有し、物品貯蔵箱410内に昇降自在に配設されている。
【0055】
ウエイト本体450Cは、物品貯蔵箱410内の物品Pのうち最上方の物品P上に配置され、物品貯蔵箱410内の物品Pの貯蔵量に応じてその高さ位置を可変するように構成されている。
【0056】
フック450A,450Bは、一部をガイド孔(図示せず)から物品貯蔵箱410外に露出させ、ウエイト本体450Cの前後端縁にそれぞれ取り付けられている。このうちフック450Aは、残量有無表示板460の駆動力伝達部材として機能するように構成されている。
【0057】
残量有無表示板460は、図9に示すように、表示部460Aを有するコ字状の枢支部材からなり、前面パネル251と物品貯蔵箱410間に配設され、かつ透明窓252bの近傍に回転自在に枢支されている。これにより、購買者等が物品貯蔵箱410内における物品Pの有無を知り得るように構成されている。なお、フック450Aが残量有無表示板460と非接触であるとき、残量有無表示板460の姿勢が図9(a)に示す状態となるように残量有無表示板460を枢支する軸にコイルスプリングを取り付け、スプリングの一端を固定系に固定し、他端を残量有無表示板460の一部に固定することで、残量有無表示板460がコイルスプリングの弾性力に基づいて所定の姿勢を取るようにしても良い。
【0058】
この場合、残量有無表示板460に対するフック450Aの非押圧状態(図9(a)に示す状態)においては、図10(a)に示すように残量有無表示板460の非表示部が透明窓252b内に略正立した状態で配置され、このため購買者等には残量有無表示板460の非表示部が視認され、物品貯蔵箱410内における物品Pの「残量有り」状態を知ることができる。
【0059】
また、図9(b)に示すようにウエイト450の下降によるフック450Aの押圧によって残量有無表示板460が時計回りの回動を開始し、図10(b)に示すように残量表示板460の表示部460Aが傾斜した状態で透明窓252b内に配置され、このため購買者等には表示部460Aの一部が視認され、物品貯蔵箱410内における物品Pの「残量少(残量有り)」状態を知ることができる。
【0060】
そして、図9(c)に示すようにウエイト450の下降によるフック450Aの押圧によって残量有無表示板460が時計回りにさらに回動し、図10(c)に示すように残量表示板460の表示部460Aが略正立した状態で透明窓252b内に配置され、このため購買者等には表示部460Aの全てが視認され、物品貯蔵箱410内における物品Pの「残量無し」状態を知ることができる。
【0061】
(物品払出ユニットHの構成)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが最大サイズの物品払出ユニットを説明するために示す図である。図12は、図11の物品払出ユニットにおける物品撹拌用のスプリングを説明するために示す図である。図12(a)は斜視図であり、図12(b)は正面図である。
【0062】
物品払出ユニットHは、図2に示す物品払出ユニットA・C・Eとはユニットサイズ(幅方向寸法)が異なる(物品払出ユニットHのユニットサイズが物品払出ユニットA・C・Eのユニットサイズより大きい)ため、これに伴い各構成部品が大きい寸法に設定されている。また、物品撹拌用のスプリング以外の各構成部品については略同一に構成されているため、物品用撹拌用のスプリング(周辺の機構)の構成についてのみ説明し、その他の構成部品の構成についての説明は省略する。なお、図11及び図12において、図2と同一又は同等の部材(物品撹拌用のスプリングは除く)については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
図11に示す物品払出ユニットHのロータ31の中央部には、図12(a)及び(b)に示すように互いに支柱700を介して対向する上下2つのスプリングホルダ701,702からなるホルダ機構710が配設されている。支柱700は、ロータ31の略中心を通る仮想線上に配置されている。
【0064】
上方のスプリングホルダ701には、水平方向に所定の間隔をもって並列する一対の物品撹拌用の第1スプリング703,704が立設されている。第1スプリング703,704は、途中部を屈曲させてロータ31の中心から離間する偏心位置に配置されている。
【0065】
下方のスプリングホルダ702には、水平方向に所定の間隔をもって並列する一対の物品撹拌用の第2スプリング705,706が立設されている。第2スプリング705は第1スプリング704の屈曲方向とは反対側に途中部を屈曲させ、第1スプリング704の偏心位置とはローラ中心に関し略対称な偏心位置に配置されている。第2スプリング706は、第1スプリング703の屈曲方向とは反対側に屈曲させ、第1スプリング703の偏心位置とはローラ中心に関し略対称な偏心位置に配置されている。
【0066】
(制御ユニット10の構成)
図13は、本発明の第1の実施形態に係る物品払出装置における制御ユニットの回路を示すブロック図である。
【0067】
制御ユニット10は、図13に示すように、ユニット筐体としてのユニット本体600(図1に示す)と、購買者の釦操作によって物品払出ユニットA〜Hの選択信号を発生するための操作パネル12と、投入硬貨を処理して硬貨処理信号を発生するコインメカ15と、各信号を処理する信号処理装置601とを備え、装置本体2のユニット収容空間100(共に図1に示す)の中央部に着脱自在に収容されている。
【0068】
ユニット本体600内には、回路等を内蔵する空間部(図示せず)が形成されている。ユニット本体600の空間部には、コインメカ15を通過した硬貨を貯蔵する金庫(図示せず)が配設されている。操作パネル12は、物品払出ユニットA〜Hに対応する複数の選択釦を有し、ユニット本体600の前面部に配設されている。コインメカ15は、物品Pの代金としての硬貨を投入するための硬貨投入口13及び硬貨を返却するための硬貨返却口14を有し、硬貨処理部42を内蔵し、ユニット本体600内に配設されている。
【0069】
信号処理装置601は、保守点検時にオペレータによって操作されて各種設定の登録・読み出し・メンテナンスプログラムの実行を指示するキーボード等の入力部45と、各種設定に基づいて設定されたデータや販売量データ等を販売日時とともに記憶するデータ記憶部44A及びメンテナンスプログラム等のプログラムを記憶するプログラム記憶部44Bを有する記憶部44と、各種設定及び動作テストの結果を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部11と、各部を制御する制御部41とを有している。なお、制御部41には、販売量データに販売日時を付すための時計回路(図示せず)が内蔵されている。
【0070】
また、信号処理装置601は、プログラム記憶部44Bに記憶されたメンテナンスプログラムに基づいて、各種設定により設定されたデータや販売量等のデータをプリントアウトする図示しないプリンタを有している。
【0071】
そして、信号処理装置601は、操作パネル12から入力される物品払出ユニットA〜Hの選択信号及びコインメカ15から代金に応じて入力される硬貨処理信号に基づいた販売条件を満たすと、該当する物品払出ユニットA〜Hのハンドルロック部43A〜43Hにロック解除信号を出力する。これに伴い、ハンドルロック部43A〜43Hは、ロック解除信号を受けてハンドル71(図1に示す)のロックを電気的に解除する。これにより、購買者がハンドル71を回転操作することが可能になる。
【0072】
(物品払出装置1の動作)
購買者は、物品払出ユニットA〜Hから自分の購入したい物品Pが貯蔵されている物品払出ユニットを選択し、その金額に応じた硬貨を硬貨投入口13に投入する。コインメカ15の硬貨処理部42は、投入された硬貨の適否を材質・外径等から判断し、「適正」と判断した硬貨を所定の硬貨通路に振り分けて金庫に誘導する。また、この過程で金種が判定され、投入された硬貨の合計金額を制御部41に出力する。制御部41は、合計金額に対応する操作パネル12の選択釦を点灯させて「販売可能であること」を購買者に通知する。
【0073】
次いで、購買者は、点灯している選択ボタンの中から自分の購入したい物品Pが貯蔵されている物品払出ユニットに対応した選択釦を押圧する。例えば、購買者が物品払出ユニットAを選択する選択釦を押圧すると、制御部41に選択信号が入力される。制御部41は、選択信号に基づいて記憶部44に販売数データを出力するとともにハンドルロック部43Aにロック解除信号を出力する。記憶部44は、制御部41から販売数データが入力されると、データ記憶部44Aに物品払出ユニットAの販売数データを累積する。
【0074】
しかる後、購買者は物品払出ユニットAのハンドル71を手動操作で時計回りに回転させる。ハンドル71の回転力はハンドル軸72を介してギア73に伝達される。ギア73からの回転力はロータ31に伝達され、これに伴いロータ31が回転して収容孔38内に収容されている物品Pが誘導孔301A(図3に示す)に誘導される。これにより、誘導孔301Aから1個の物品Pが払い出されて傾斜ダクト39に落下する。傾斜ダクト39は、傾斜面に沿って物品Pを物品取出口9Aに誘導する。なお、ハンドル71は、1回転するとハンドルロック部43Aによって再び電気的にロック状態とされる。
【0075】
そして、購買者は物品取出口9Aのフラッパを手指で開くことによって物品取出口9Aから物品Pを取り出す。
【0076】
このようにして物品が販売されると、物品払出ユニットA〜Hで扱う物品について、売り切れ・売れ残りによる貯蔵量のばらつきが発生する。次に、物品払出ユニットA〜Hにおける販売数の実績に基づき、物品払出装置1のユニット増減を変更する操作について説明する。
【0077】
(物品払出装置1のユニット増減変更)
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置のユニット増減変更についての手順を示すフローチャートである。図15は、本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置の物品払出ユニットの配置例を模式的に示す図である。図15(a)は、物品払出ユニットの配置例(1)を示す正面図である。図15(b)は、物品払出ユニットの配置例(2)を示す正面図である。
【0078】
本実施形態のユニット増減変更においては、「物品払出装置の設置」と「初期設定」と「販売開始」と「販売状況の調査」と「入力部の操作」と「ユニットの増減」と「物品補充」との各処理が順次実施されるため、これら各処理を順次説明する。
【0079】
「物品払出装置の設置」
まず、物品払出装置1の管理者は、多数の購買者の集まる店舗等の場所に物品払出装置1を設置する(ステップS10)。この場合、図15(a)に示すように、物品払出ユニットA・Bは収容空間部100Aに、物品払出ユニットC・Dは収容空間部100Bに、物品払出ユニットE・F・Gは収容空間部100Cに、物品払出ユニットHは収容空間部100Dにそれぞれ収容されているものとする。
【0080】
「初期設定」
管理者は、入力部45を操作して、物品Pの販売に基づいて発生する販売数データを累積するように制御ユニット10の記憶部44に対し物品払出装置1の初期設定を行う(ステップS11)。
【0081】
「販売開始」
管理者は、各物品払出ユニットA〜Hの各物品貯蔵部3Aに物品Pを収納して物品Pの販売を開始する(ステップS12)。購買者が物品払出ユニットA〜Hから物品Pを選択して購入すると、この購入された物品Pの販売数データが記憶部44のデータ記憶部44Aに累積される。
【0082】
「販売状況の調査」
物品Pの販売開始から一定期間(例えば、物品Pの補充サイクルとして2週間)が経過した時点で管理者が販売状況(物品Pの残量)を調査する(ステップS13)。この場合、物品Pの残量が有る(ステップS13のYES)場合にはステップS14に進む。また、物品Pの残量が無い(ステップ13のNO)場合には、物品Pの販売が停止される。物品Pの販売停止後は、例えば新たな販売企画による物品Pが物品払出ユニットA〜Hに補充されてその販売が行われる。
【0083】
「入力部の操作」
管理者は、メンテナンスプログラムが実行されるように制御ユニット10の入力部45を操作する(ステップS14)。ここで、制御部41によってプログラム記憶部44Bからメンテナンスプログラムが読み込まれ、これにより物品払出ユニットA〜Hの各物品Pについての販売数データが表示部46に表示される。
【0084】
「ユニットの増減」
管理者は、表示された販売数データと物品払出ユニットA〜Hの物品Pの貯蔵量を基に物品払出ユニットA〜Hの増減変更の必要性の有無を判断する(ステップS15)。ここで、例えば物品払出ユニットF・Gにおいて既に物品Pが売り切れており、かつ販売数データの販売日時から売り切れまでの期間が数日間にわたり、また物品払出ユニットBにおいては物品Pの残量が物品払出ユニットCと比べて多い場合には、ユニット増減変更の「必要性有り」と判断し(ステップS15のYES)、図15(b)に示すように物品払出ユニットB(中間サイズの物品払出ユニット)を収容空間部100Aから取り除くとともに、この収容空間部100Aに物品払出ユニットF・G(中間サイズの物品払出ユニット)を収容する(ステップ16)。また、ユニット増減変更の「必要性無し」と管理者が判断した(ステップS15のNO)場合には、ユニット増減変更を行わずにステップS17に進む。
【0085】
「物品補充」
管理者は、物品払出ユニットA〜Hに物品Pを補充する(S17)。次に、制御ユニット10の入力部45を操作してデータ記憶部44Aにおける販売量データのリセット処理を実行し、メンテナンスプログラムを終了してステップS12に戻る。以降の販売過程において、物品Pの販売に基づいて発生する販売数データが記憶部44のデータ記憶部44Aに累積される。
【0086】
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)ホールベース310に物品Pのサイズに応じて開口面積を可変し、かつ物品取出口9Aに連通可能な収容孔38が設けられているため、物品Pの払出量を調整することができる。このため、物品貯蔵部3Aに貯蔵される物品Pの変更時にホールベース310等を交換する作業が不要になり、コストの低廉化を図ることができる。
【0087】
(2)物品Pの売れ行きに応じた物品払出ユニットA〜Hの配置をユニット増減変更によって行うことができる。このため、物品払出ユニットA〜H間において物品Pの販売量に差異があっても、その残量を見かけ上均一化することができ、売れ行きの良い物品やサイズの比較的大きい物品の補充回数を削減することができるとともに、売れ行きの良い物品と悪い物品との補充タイミングのずれ発生を防止することができる。
【0088】
(3)売れ行きの良い物品Pについては、この物品Pを貯蔵する特定の物品払出ユニットA〜Hをユニット収容空間100に収容して増加することができるため、販売数が増加しても売り切れが生じることがない。
【0089】
(4)売れ行きの悪い物品Pについては、この物品Pを貯蔵する物品払出ユニットA〜Hをユニット収容空間100から取り除いて減少することができるため、売れ行きの良い物品Pとの比較において残量を見かけ上均一化して販売することができ、在庫過多を防止することができる。
【0090】
(5)ユニット収容空間100に対する物品払出ユニットA〜Hの収容(装着)・取り除き(離脱)によってユニット増減を実現することができ、装置構成を複雑にすることがない。
【0091】
なお、本実施の形態においては、物品払出ユニットA〜Hの収容空間部100A〜100Dをユニット収容空間100の2列・2行に対応する位置に(縦横に2つずつ)配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、収容空間部のレイアウト・個数は適宜変更することができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、各ユニットサイズ(幅方向寸法)が互いに異なる大中小3つの物品払出ユニットA〜H又はこれら大中小3つの物品払出ユニットA〜Hのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを4つの収容空間部100A〜100Dに選択的に収容する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば各ユニットサイズ(幅方向寸法)が互いに異なる大中小3つの物品払出ユニット及びこれら大中小3つの物品払出ユニットよりさらに小さい(大きい)物品払出ユニット、又はこれら大中小3つの物品払出ユニット及びこれら大中小3つの物品払出ユニットよりさらに小さい(大きい)物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを複数の収容空間部に選択的に収容することも、各ユニットサイズ(幅方向寸法)が互いに異なる大小2つの物品払出ユニット又は複数の物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを複数の収容空間部に選択的に収容することもできる。すなわち要するに、本発明は、複数の物品払出ユニットのうち各ユニットサイズが互いに異なる少なくとも大小2つの物品払出ユニット又は複数の物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを複数の収容空間部に選択的に収容することができるのである。
【0093】
〔第2の実施の形態〕
(物品払出装置の全体構成)
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る物品払出装置を示す斜視図である。図16において、図1と同一の部材又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0094】
図16において、符号1000で示す物品払出装置は、筐体としての装置本体1012と、物品払出者による物品払出操作に応じて物品Pを払い出す物品払出ユニットIと、投入硬貨を処理して物品払出ユニットIの物品払出操作を可能・不可能な状態に機械的に制御するコインメカ15とによって大略構成されている。
【0095】
(装置本体1012の構成)
装置本体1012は、図16に示すように、基台部1012A及び本体部1012Bを有している。基台部1012Aは、物品払出装置1000の座部材として機能し、全体が例えば強化樹脂材料からなる箱体によって形成されている。そして、本体部1012B及び物品払出ユニットIを保持するように構成されている。基台部1012A内には、コインメカ15を通過した硬貨を貯蔵する金庫35Bが配設されている。
【0096】
一方、本体部1012Bは、内部にユニット収納空間1100を有し、全体が例えば強化樹脂材料からなる略四角形箱によって形成されている。ユニット収納空間1100には単数の物品払出ユニットIが配設されている。本体部1012Bには、物品払出ユニットIの装置本体1012からの離脱を防止するための施錠部80が配設されている。
【0097】
(物品払出ユニットIの構成)
物品払出ユニットIは、ユニット筐体としてのユニット本体200と、物品Pを払い出すための駆動力伝達機構(物品払出機構)としてのロータユニット300(図2に示す)と、ロータユニット300を駆動するためのハンドル71とを備え、装置本体2のユニット収容空間1100に着脱自在に収容されている。なお、物品払出ユニットIのユニット収容空間1100への装着は施錠によって、またユニット収容空間1100からの離脱は解錠によってそれぞれ行われる。
【0098】
ユニット本体200における構造体25(図2に示す)内の上部には、透明なカプセルに収納された玩具類やガム・飴・チョコレート等の物品Pを貯蔵する物品貯蔵部3Aが設けられている。構造体25内の中間部には、ホールベース310を有するロータユニット300がユニット本体200の上部空間(物品貯蔵部3A)と下部空間とを隔成するように配設されている。ホールベース310には、物品Pのサイズに応じて開口面積を可変し、かつ物品取出口9Aに連通可能な収容孔38が設けられている。
【0099】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、ホールベース310には、物品Pのサイズに応じて開口面積を可変し、かつ物品取出口9Aに連通可能な収容孔38(図4に示す)が設けられているため、物品Pの払出量を調整することができる。このため、物品貯蔵部3Aに貯蔵される物品Pの変更時にホールベース310等を交換する作業が不要になり、コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが中間サイズの物品払出ユニットを説明するために示す図。
【図3】図2の物品払出ユニットの物品貯蔵部に第2背面板及び第3背面板を収容した状態を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが中間サイズの物品払出ユニットのロータユニットを説明するために示す分解斜視図。
【図5】図4のロータユニットのホールベースを説明するために示す斜視図。
【図6】ホールサイズの使用例を説明するために示す斜視図。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが最小サイズの物品払出ユニットを側方から見た状態を示す断面図。
【図8】図7の要部を示す断面図。
【図9】図7の物品払出装置における残量有無表示板の駆動力伝達機構を説明するために示す図。
【図10】図9における駆動力伝達機構の駆動によって動作する残量有無表示板の表示状態を説明するために示す図。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における複数の物品払出ユニットのうちユニットサイズが最大サイズの物品払出ユニットを説明するために示す図。
【図12】図11の物品払出ユニットにおける物品撹拌用のスプリングを説明するために示す図。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置における制御ユニットの回路を示すブロック図。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置のユニット増減変更についての手順を示すフローチャート。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る物品払出装置の物品払出ユニットの配置例を模式的に示す図。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る物品払出装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0101】
1…物品払出装置、2…装置本体、2A…基台部、2B…本体部、3A…物品貯蔵部、5…前面パネル、9A…物品払出口、10…制御ユニット、11…表示部、12…操作パネル、13…硬貨投入口、14…硬貨返却口、15…コインメカ、21…第2背面板、25…構造体、25A…枠部材、25B…支柱、26…補強板、27…側面パネル、31…ロータ、31A…ロータ中心部、31B…ホールベース取付部、31a…シャフト挿通孔、32…看板パネル、33…ディスプレイランプ、35…第2誘導板、35B…金庫、36…ギア部、38…収容孔、39…傾斜ダクト、41…制御部、42…硬貨処理部、43A〜43H…ハンドルロック部、44…記憶部、44A…データ記憶部、44B…プログラム記憶部、45…入力部、70A…ハンドルパネル、71…ハンドル、72…ハンドル軸、73…ギア、74,80…施錠部、100…ユニット収容空間、100A〜100D…収容空間部、200…ユニット本体、250…構造体、250A…空間部、251…前面パネル、251A…透明パネル、252b…透明窓、252c…物品取出口、252C…ハンドルパネル、253…ホルダ、300…ロータユニット、300A…ユニットベース、301…ベース本体、301A…誘導孔、301B…脚部挿通孔、301C…ねじ挿通孔、303…ボス、303A…シャフト挿通孔、304…スプリング、305,306…押え片、307A…シャフト、307…ロータキャップ、308…Uナット、310…ホールベース、310A…長孔、311…スライダ、320…ロータスペーサ、321…スペーサ本体、321A…切り欠き、321B…ねじ孔、322…脚部、322A…ねじ孔、323…スペーサフェルト、323A…切り欠き、400…背面パネル、401…第1背面板、401A…貫通窓、405…ユニット本体、410…物品貯蔵箱、410B…物品挿抜口、420…駆動力伝達機構、421…シャフト、422…円筒、422A…カム、423…ブラケット、430…ハンドル、440…物品押出部材、440A,440B…ローラ、450…ウエイト、450A,450B…フック、450C…ウエイト本体、460…残量有無表示板、460A…表示部、480…ディスプレイランプ、481…施錠部、501…第一誘導板、600…ユニット本体、601…信号処理装置、700…支柱、701,702…スプリングホルダ、703,704…第1スプリング、705,706…第2スプリング、710…ホルダ機構、1000…物品払出ユニット、1012…装置本体、1012A…基台部、1012B…本体部、1100…ユニット収容空間、A〜I…物品払出ユニット、P…物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を貯蔵する物品貯蔵部及び物品をユニット外に取り出すための物品取出部を有するユニット本体と、
前記ユニット本体内に配設され、物品払出操作に応じて前記物品貯蔵部から物品を払い出す物品払出機構とを備えた物品払出ユニットであって、
前記物品払出機構は、物品払出操作によって回転するロータ及び前記ロータと共に回転する着脱自在なホールベースを有し、
前記ホールベースには、物品のサイズに応じて開口面積を可変し、かつ前記物品取出部に連通可能な物品収容孔が設けられていることを特徴とする物品払出ユニット。
【請求項2】
前記物品収容孔は、開口面積調整用のスライダを進退させることにより開口面積を可変する物品収容孔からなる請求項1に記載の物品払出ユニット。
【請求項3】
前記スライダは、前記ホールベースに対して所定の進退ストローク内でねじ締め・ねじ締め解除可能なスライダからなる請求項2に記載の物品払出ユニット。
【請求項4】
ユニット収容空間を内部に有する装置本体と、
前記装置本体のユニット収容空間に収容され、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品払出ユニットを含む複数の物品払出ユニットと、
前記物品払出ユニットの物品払出操作を可能・不可能な状態に制御するコントローラとを備えた物品払出装置であって、
前記ユニット収容空間には、前記複数の物品払出ユニットのうち各ユニットサイズが互いに異なる少なくとも大小2つの物品払出ユニット又は前記複数の物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットを選択的に収容可能な複数の収容空間部が形成されていることを特徴とする物品払出装置。
【請求項5】
前記複数の収容空間部には、前記複数の物品払出ユニットのうち各ユニットサイズが互いに異なる大中小3つの物品払出ユニット又はこれら大中小3つの物品払出ユニットのうち特定の組み合わせによる複数の物品払出ユニットが選択的に収容されている請求項4に記載の物品払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−48381(P2006−48381A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228674(P2004−228674)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】