説明

物品払出装置

【課題】構造全体の簡素化及びコストの低廉化を図ることができるとともに、物品払出能力を十分に保証することができる物品払出装置を提供する。
【解決手段】物品払出機構5は、物品貯留箱4内の複数のシート状物品W,W,…のうち最下方のシート状物品Wに押圧接触する搬送ローラ52,54を有し、これら搬送ローラ52,54は、最下方のシート状物品Wを物品貯留箱外4に搬送可能な位置に配置されている。このため、物品払出機構5の搬送ローラ52,54によってシート状物品Wが確実に払出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シート状物品を袋体に内封した状態で物品払出動作に応じて1つずつ払い出す物品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレフォンカードやキャラクタカード・ブロマイド等のカード類を袋体に内封してなるシート状物品を購買者による代金投入後に物品払出動作に応じて払い出す物品払出装置がある。
【0003】
従来、この種の物品払出装置には、複数のシート状物品を支持可能なテーブルと、テーブルを昇降させる移動装置と、テーブル上の複数のシート状物品のうち最上方のシート状物品を吸着する吸引装置と、吸引装置によって吸着された最上方のシート状物品を外部に運搬するための運搬装置とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような物品払出装置におけるシート状物品の払い出しは、まず移動装置によってテーブルを上昇させて最上限位置に配置し、次いで吸引装置によってテーブル上のシート状物品のうち最上方のシート状物品を吸着し、しかる後この最上方のシート状物品を運搬装置によって外部に運搬することにより行われる。
【0005】
また、従来の物品払出装置には、水平方向に並列する複数のプリペイドカードのうちベルト側のプリペイドカードを搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアのカード接触面にプリペイドカードを押圧する押圧板と、複数のプリペイドカードの搬送を規制するブレーキローラとを備えたものも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
このような物品払出装置を用いたプリペイドカードの払い出しは、ベルトコンベアを駆動してプリペイドカードを払出方向(プリペイドカードの並列方向と直角な水平方向)に搬送することにより行われる。
【特許文献1】特開2003−261236号公報
【特許文献2】特開平9−225112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1にあっては、シート状物品(商品)の払い出しに運搬装置のみならず、吸引装置や昇降装置(移動装置)を必要としていた。このため、部品点数が嵩み、構造全体が複雑になるばかりか、コスト高になるという問題があった。
【0008】
一方、特許文献2にあっては、シート状物品(プリペイドカード)の払い出しがベルト搬送によるものであるため、物品払出時にシート状物品のスリップが発生することがあり、物品払出能力を十分に保証することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、物品貯留箱内の複数のシート状物品のうち最下方のシート状物品に押圧接触する搬送ローラを有し、この搬送ローラは最下方のシート状物品を物品貯留箱外に搬送可能な位置に配置されているというきわめて簡単な構成により、構造全体の簡素化及びコストの低廉化を図ることができるとともに、物品払出能力を十分に保証することができる物品払出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した目的を達成するために、複数のシート状物品を物品払出部側に圧接して積層可能な物品貯留箱を内蔵し、前記物品貯留箱内のシート状物品を外部に取り出すための物品取出口を有する装置本体と、前記装置本体内に配設され、前記物品貯留箱の物品払出部から前記シート状物品を前記物品取出口に払い出すための物品払出機構とを備えた物品払出装置であって、前記物品払出機構は、前記物品貯留箱内の複数のシート状物品のうち最下方のシート状物品に押圧接触する搬送ローラを有し、前記搬送ローラは、前記最下方のシート状物品を前記物品貯留箱外に搬送可能な位置に配置されていることを特徴とする物品払出装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造全体の簡素化及びコストの低廉化を図ることができるとともに、物品払出能力を十分に保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
<物品払出装置の全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の内部構造を説明するために示す正面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の内部構造を説明するために示す側面図である。図4は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置によって払い出されるシート状物品を示す斜視図である。
【0013】
図1、図2、及び図3において、物品払出装置1は、筐体としての装置本体2と、購買者(遊技者)の釦操作によるコントローラ(後述)の画像処理によって画像を表示する遊技機3と、複数のシート状物品W,W,…を積層した状態で貯留可能な物品貯留箱4と、物品払出動作に応じてシート状物品Wを1つずつ払い出す物品払出機構5と、遊技機3(表示装置)及び物品払出機構5を駆動制御するコントローラ6とによって大略構成されている。
【0014】
シート状物品Wは、図4に示すように、互いに異なる文字・図形が表示されたガム等のシート状食品a,bを複数個(図4では2個)並列した状態でプラスチック(例えば、ポリプロピレン)製の袋体cに内封してなる商品である。この袋体cは、透明部c1と不透明部c2を有しており、シート状物品Wの長さ方向の両端に不透明部c2が配置され、中央に透明部c1が配置されて中に収容されたシート状食品a、bの表面の文字、図柄が見えるように形成されている。
【0015】
<装置本体2の構成>
装置本体2は、図1に示すように、基台部2A及び本体部2Bを有している。基台部2Aは、物品払出装置1の座部材として機能し、全体が、例えば、鋼板等の金属材料からなる截頭略四角錐形状の箱体によって形成されている。そして、本体部2B及び遊技機3を保持するように構成されている。本体部2Bは、前方に開口する構造体21及び構造体21の前面壁を形成する前面パネル22を有し、全体が基台部2Aの形成材料と同一の形成材料からなる略四角形状の箱体によって形成されている。
【0016】
構造体21には、図2及び図3に示すように、コントローラ6の他、購買者の投入による硬貨を選別する硬貨選別装置23及び硬貨選別装置23の硬貨処理部23aを通過した硬貨を貯蔵する金庫24等を収容するための内部空間21aが形成されている。内部空間21aには、硬貨選別装置23から金庫24に至る硬貨誘導シュート25と、物品貯留箱4から物品取出口(後述)に至る物品誘導シュート26とが配設されている。
【0017】
前面パネル22は、図1に示すように、シュート状物品W・遊技の代金としての硬貨を投入するための硬貨投入口22a及び硬貨選別装置23(図2及び図3に示す)を通過した硬貨を返却するための硬貨返却口22bを有し、構造体21の一方側側縁に開閉自在に取り付けられている。前面パネル22の下方端部には、シート状物品Wをその表側部w(図4に示す)が購買者によって視認されるような状態で外部に取り出すための物品取出口22cが配設されている。前面パネル22と構造体21との間には、硬貨返却口22bの下方に位置する施錠部22dが配設されている。これにより、前面パネル22の構造体21からの開放が防止される。
【0018】
<遊技機3の構成>
遊技機3は、図1、図2、及び図3に示すように、遊技機本体3A及びディスプレイ3Bを有し、本体部2Bの上方に配設され、かつコントローラ6に接続されている。遊技機本体3Aは、構造体21の上方端部に一体に設けられている。遊技機本体3Aには、構造体21の内部空間21aに連通する内部空間31が形成されている。遊技機本体3Aの上方端部には、遊技機3の表示画面等を選択するための複数(図1では2個)の押釦32a,32a及び押釦32a,32aによって選択された表示画面(シート状物品Wの払い出し)を決定するための押釦32bを有する操作パネル32が配設されている。操作パネル32は、遊技機3の背面部から前面部に向かって下る勾配をもつ傾斜パネルによって形成されている。ディスプレイ3Bは、カラー表示画面を有する液晶表示装置からなり、操作パネル32の上方端縁近傍に配設され、かつ遊技機本体3Aに立ち上がり部33を介して取り付けられている。そして、購買者の釦操作(操作パネル32における押釦32a,32bの押圧操作)によるコントローラ6の駆動制御によって駆動されるように構成されている。
【0019】
<物品貯留箱4の構成>
図5は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す斜視図である。図6は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す正面図である。図7は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す側面図である。
【0020】
物品貯留箱4は、図5〜図7に示すように貯留部4A及び載置部4Bからなり、構造体21の内部空間21a(図2及び図3に示す)に配設され、かつ本体部2B(図2及び図3に示す)の底面部に固定されている。
【0021】
貯留部4Aは、図5に示すように、上下方向・右側方に開口する断面略コ字状の箱本体40及び箱本体40の右側開口一部を閉塞するような物品移動規制片41によって形成されている。そして、複数のシート状物品W,W,…をその表側部w,w,…が下側になるように積層し、かつウエイト42によって物品払出部(貯留部4Aの底面部)側に圧接した状態で内部に貯留するように構成されている。
【0022】
箱本体40の前面部には、図6に示すように、シート状物品W,W,…の一部を前面パネル22(図1及び図3に示す)の開状態において視認可能な複数(図6では3個)の長孔43,43,…及びこれら長孔43,43,…の下方に位置する物品搬送口44が設けられている。また、箱本体40の前面部には、図7に示すように、物品搬送口44の外側開口周縁側に位置し、物品貯留箱4からの複数のシート状物品W,Wの払い出しを規制する物品払出規制部材45が取り付けられている。物品払出規制部材45の物品貯留部側端縁には、物品貯留箱4内のシート状物品Wを物品貯留箱4外に案内するためのガイド部45aが設けられている。
【0023】
載置部4Bは、図6に示すように、貯留部4Bの一部(底面部)となる上面板46及び上面板46の両側部に連接する左右2つの脚部付きの側面板47,47によって形成されている。載置部4B内には、物品払出機構5の構成部品(一部)を収容可能な収容空間48が形成されている。上面板46には、収容空間48及び箱本体40内に連通する開口窓49が設けられている。左右両側面板47,47の前面部には、物品搬送口44の前方に位置し、前後方向に開口する略四角筒状のホルダ100が固定されている。
【0024】
ホルダ100内には、図7に示すように、前後両ホルダ開口部のうち前方の開口部を開閉するフラッパ101が回動自在に枢支されている。また、ホルダ100内には、シート状物品Wを検出する第1センサ102a及び第2センサ102bを有する物品検出装置102が配設されている。両センサ102a,102bは、受発光素子からなり、物品払出機構5とフラッパ101との間に形成される物品払出経路に沿って並設されている。
【0025】
<物品払出機構5の構成>
図8は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品払出機構を説明するために示す平面図である。図9は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の第1駆動力伝達部を説明するために示す斜視図である。図10は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の搬送ローラの構成を示し、(a)は斜視図、(b)は搬送ローラの形状を示す側面図である。図11は、本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の第2駆動力伝達部を説明するために示す斜視図である。
【0026】
物品払出機構5は、図8に示すように、駆動源としての減速機構付きの回転モータ50(図7に示す)と、回転モータ50からの回転力を受けて駆動する第1駆動力伝達部51と、第1駆動力伝達部51からの駆動力を受けて回転する第1搬送ローラ52と、第1搬送ローラ52の回転力を受けて駆動する第2駆動力伝達部53と、第2駆動力伝達部53からの駆動力を受けて回転する第2搬送ローラ54と、第1駆動力伝達部51からの駆動力を受けて回転する繰出ローラ55と、繰出ローラ55のローラ面にシート状物品Wを圧接する押圧ローラ56とを備え、構造体21の内部空間21a(図2及び図3に示す)に配設されている。そして、物品貯留箱4の物品払出部(貯留部4Aの底部)からシート状物品Wを物品取出口22c(図1に示す)に払い出すように構成されている。
【0027】
回転モータ50は、左側方に突出する駆動軸50aを有し、載置部4Bの左側面板47に取り付けられ、かつコントローラ6(図2及び図3に示す)に接続されている。そして、購買者の釦操作(操作パネル32における押釦32bの押圧操作)によるコントローラ6の駆動制御によって回転するように構成されている。
【0028】
第1駆動力伝達部51は、図9に示すように、同一面(載置部4Bの側面)内で回転可能な第1プーリ51a〜第3プーリ51cと、第1プーリ51a(回転モータ50)の回転によって駆動する伝達ベルト51dと、伝達ベルト51dに張力を付与するテンションローラ51eとを有し、物品貯留箱4の左側方に配設されている。
【0029】
第1プーリ51aは駆動軸50aに固着されている。第2プーリ51bは左右両側面板47,47に支軸57を介して、また第3プーリ51cはホルダ100に支軸58を介してそれぞれ回転自在に保持されている。伝達ベルト51dは、無端タイミングベルトからなり、第1プーリ51a〜第3プーリ51cに掛け渡されている。そして、第1プーリ51a(回転モータ50)の回転力を第2プーリ51b及び第3プーリ51cに伝達するように構成されている。テンションローラ51eは、伝達ベルト51dの外側に配設され、かつ左側面板47に位置調整可能に取り付けられている。
【0030】
第1搬送ローラ52は、図10(b)に示すように第1の径を有するローラ面52Aと、ローラ面52Aより大なる第2の径を有するローラ52Bとを有し、ローラ面52Aとローラ面52Bとの境界部に段部52aが設けられている。この第1搬送ローラ52は、支軸57(図8に示す)の軸線方向略中央部に固着されている。そして、シート状物品Wの物品被払出側への払い出しが確実に行われるために、全体が物品貯留箱4内のシート状物品W,W,…のうち物品払出部側(最下方)のシート状物品Wとの間で発生する摩擦力を高めるような、例えば、ゴムローラからなる摩擦ローラによって形成されている。このため、物品払出時に第1駆動力伝達部51の駆動によって第1搬送ローラ52が支軸57と共に回転すると、最下方のシート状物品Wの下面(表側部w)に押圧接触しているローラ面52A又はローラ面52Bが最下方のシート状物品Wを払い出す。このようにして最下方のシート状物品Wが物品貯留箱4内から物品貯留箱4外に搬送される。
【0031】
段部52aは、第1搬送ローラ52と最下方のシート状物品Wとの接触状態を一時的に変化させることにより、ローラ面52A,52Bとシート状物品Wとがスリップすることを防ぐようになっている。また、段部52aのエッジがシート状物品Wに当接することで局所的に払い出し方向の外力を付与する。
【0032】
第2駆動力伝達部53は、図11に示すように、同一面(載置部4Bの側面)内で回転可能な第4プーリ53a,第5プーリ53bと、第4プーリ53a(第1搬送ローラ52)の回転によって駆動する伝達ベルト53cとを有し、物品貯留箱4の右側方に配設されている。
【0033】
第4プーリ53a及び第5プーリ54bは左右両側面板47,47に支軸57,200をそれぞれ介して回転自在に保持されている。伝達ベルト54cは、無端タイミングベルトからなり、第4プーリ53a及び第5プーリ54bに掛け渡されている。そして、第4プーリ53aの回転力を第5プーリ53bに伝達するように構成されている。
【0034】
第2搬送ローラ54は、第1搬送ローラ52と同一の外形および材料で形成されており、第1搬送ローラ52の物品被払出側(前方)に並設され、かつ支軸200に固着されている。このため、物品払出時に第2駆動力伝達部53の駆動によって第2搬送ローラ54が支軸200と共に回転すると、最下方のシート状物品Wの下面(表側部w)に押圧接触しているローラ面54A又はローラ面54Bが最下方のシート状物品Wを払い出す。このことにより第1搬送ローラ52との協働に基づいて最下方のシート状物品Wが物品貯留箱4内から物品貯留箱4外に搬送される。
【0035】
段部54aは、第1搬送ローラ52の段部52aと同様に、ローラ面54A,54Bとシート状物品Wとがスリップすることを防ぐようになっている。また、段部54aのエッジがシート状物品Wに当接することで局所的に払い出し方向の外力を付与する。
【0036】
繰出ローラ55は、図7に示すように、ホルダ100内に配設され、かつ支軸58に固着されている。そして、物品払出時には第3プーリ51cの回転によって支軸58と共に回転し、物品貯留箱4から物品取出口22cに向かってシート状物品Wを繰り出すように構成されている。
【0037】
押圧ローラ56は、図7に示すように、ホルダ100内にブラケット500を介して昇降自在に保持され、かつスプリング501によって繰出ローラ側に付勢されている。そして、前述したように繰出ローラ55のローラ面55aにシート状物品Wを圧接するように構成されている。これにより、繰出ローラ55とシート状物品W及び押圧ローラ56とシート状物品Wとの間に発生する摩擦力が高められ、シート状物品Wの物品被払出側への繰り出しが確実に行われる。
【0038】
<コントローラ6の構成>
コントローラ6は、シート状物品Wの払い出し等を制御する種々のプログラムを格納する記憶回路と、押釦32a,32b及び第1センサ102a,第2センサ102bからの入力に基づいてディスプレイ3Bと回転モータ50に駆動電流を出力する駆動回路(共に図示せず)を内蔵し、図2及び図3に示すように構造体21内に固定されている。
【0039】
<物品払出装置1の動作>
購買者は、単一のシート状物品Wの金額(遊技料金)に応じた硬貨を硬貨投入口22aに投入する。この場合、硬貨投入口22aに投入された硬貨の適否が材質・外径等から硬貨選別装置23の硬貨処理部23aにおいて判断され、「適正」と判断された硬貨が所定の硬貨通路に振り分けられ、硬貨誘導シュート25を介して金庫24に誘導される。また、硬貨が「適正」と判断されると、コントローラ6が遊技機3のディスプレイ3Bを駆動し、ディスプレイ3Bに表示された表示画像によって「シート状物品Wの払い出し(遊技)が可能であること」が購買者に通知される。
なお、硬貨処理部23aにおいて、硬貨が「不適正」と判断されると、硬貨返却口22bに返却される。
【0040】
次いで、購買者は、ディスプレイ3Bの表示画面を選択する(切り替える)ために、操作パネル32の押釦32a,32aを押圧操作する。この場合、押釦32a,32aが押圧操作されると、押釦32a,32aからコントローラ6に切替信号が入力され、ディスプレイ3Bの表示画面が切り替えられる。
【0041】
しかる後、選択されたディスプレイ3Bの表示画面を決定するために、操作パネル32の押釦32bを押圧操作する。この場合、押釦32bが押圧操作されると、押釦32bからコントローラ6に決定信号が入力され、ディスプレイ3Bの表示画面が決定される。
【0042】
また、押釦32bの押圧操作によってコントローラ6に物品払出信号が入力され、物品払出機構5(回転モータ50)が駆動される。このため、回転モータ50の駆動(正方向回転)力が第1プーリ51aから伝達ベルト51dを介して第2プーリ51b及び第3プーリ51cに伝達され、これに伴い第1搬送ローラ52及び繰出ローラ55が回転する。同時に、第1搬送ローラ52の回転力が第4プーリ53aから伝達ベルト53cを介して第5プーリ53bに伝達され、これに伴い第2搬送ローラ54が回転する。第1搬送ローラ52および第2搬送ローラ54は、ローラ面52A,52B、54A,54Bに押圧接触している最下方のシート状物品Wを回転に基づく方向に送り出す。
【0043】
シート状物品Wは、袋体cに内封されたシート状食品a、bの形態上、送り出し時にシート状食品a、b間に隙間が生じることがある。この隙間により、袋体cは第1搬送ローラ52のローラ面52A,52Bとの接触状態の変化を生じ、温度、湿度、貯留量等の変動要因によってはスリップを生じることがある。このような場合に、ローラ面52A,52Bの境界に設けられる段部52aが袋体cに接すると局所的に払い出し方向の外力が付与されて接触状態が改善される。また、第1搬送ローラ52でスリップが発生したとしても、隣接される第2搬送ローラ54でスリップを生じていなければシート状物品Wの正常な送り出しがなされる。
【0044】
また、第2搬送ローラ54でスリップが生じたとしても、第1搬送ローラ52でスリップが生じていなければ前述同様にシート状物品Wを正常に送り出せる。
【0045】
これにより、物品貯留箱4内のシート状物品W,W,…のうち最下方のシート状物品Wが第1搬送ローラ52及び第2搬送ローラ54によって物品払出方向に払い出される。この後、最下方のシート状物品Wが繰出ローラ55によって物品払出方向にさらに繰り出されるため、フラッパ101を開方向に回動させ、物品誘導シュート26を介して物品取出口22cに払い出される。
【0046】
そして、購買者は物品取出口22cからシュート状物品Wを物品払出装置1外に取り出す。
【0047】
上述した物品払出装置1の動作においては、押釦32bの押圧操作によってスイッチON状態となったタイミングからt秒(あらかじめ設定された時間)後にコントローラ6によって回転モータ50が回転停止される。この場合、シート状物品Wの払い出しが実行されると、第1センサ102a及び第2センサ102bが共にシート状物品Wを検出せず、「ON」状態となり、これら検出信号がコントローラ6に出力される。
【0048】
ここで、シート状物品Wの払い出しが実行されず、第1センサ102aが「OFF」状態となるとともに、第2センサ102bが「ON」状態となる場合や、第1センサ102a及び第2センサ102bが共に「OFF」状態となる場合には、シート状物品Wの払い出しが不十分であるため、第1搬送ローラ52及び第2搬送ローラ54に対するシート状物品Wの接触状態を変えてその払い出しが実行されるように、コントローラ6によって回転モータ50を逆方向に回転させてから再度正方向にT秒間(あらかじめ設定された時間)回転させる。
【0049】
また、シート状物品W(物品貯留箱4における最下方のシート状物品W)の払い出しが実行され、第1センサ102aが「OFF」状態となるとともに、第2センサ102bが「ON」状態となる場合には、次のシート状物品W(最下方のシート状物品Wに繋がった状態で払い出されたシート状物品W)の払い出しが開始されているため、そのシート状物品Wの物品貯留箱4内への引き戻しが実行されるように、コントローラ6によって回転モータ50を逆転方向にS秒間(あらかじめ設定された時間)回転させる。
【0050】
(実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)袋体cに内封されたシート状食品a、bの配置や、硬さ、形状が変化したとしても、シート状物品Wとの接触状態を良好に保てるように第1搬送ローラ52および第2搬送ローラ54を配置したため、スリップを生じることなく安定してシート状物品Wを送り出すことができる。本実施の形態において、第1搬送ローラ52に設けられる段部52aと第2搬送ローラ54に設けられる段部54aとの間隔は、スリップからの復帰性を考慮するとシート状食品a、bの送り出し方向のサイズより小または大であることが好ましく、このような配置とすることで2つの第1搬送ローラ52、第2搬送ローラ54が同時にスリップすることを回避できる。また、本実施の形態において、搬送ローラの数は2つの限定されず、2つ以上であっても良い。また、第1搬送ローラ52と第2搬送ローラ54とで段部の形状が異なっていても良い。更に、送り出しに支障がない程度に第1搬送ローラ52と第2搬送ローラ54とでの周速度が異なる構成であっても良い。
【0051】
(2)シート状物品Wの払い出しが物品払出機構5によって実行することができるため、特許文献1に示すような吸引装置や昇降装置が不要である。このため、部品点数を削減することができ、構造全体の簡素化及びコストの低廉化を図ることができる。
【0052】
(3)物品払出時には、ローラ面52A,52B、ローラ面54A,54B、が最下方のシート状物品Wの下面(表側部w)に押圧接触し、さらに段部52a,54aがシート状物品Wに対し局所的に払い出し方向の外力を付与するため、シート状物品Wのスリップ発生を防止することができ、物品払出能力を十分に保証することができる。
【0053】
(4)シート状物品Wは、互いに異なる文字・図形が表示されたガム等のシート状食品a,bを2個並列した状態で袋体cに内封してなる商品であるため、シート状食品a,bが一体に形成されている場合と比べて高い可撓性が得られる。これにより、物品払出装置1においては、経時変化によって、あるいは物品払出時に加わるシート状物品Wへの負荷によって袋体c内の物品a,bに対するひび割れ等の損傷が発生せず、商品価値を維持したままシート状物品Wを確実に払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の内部構造を説明するために示す正面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の内部構造を説明するために示す側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る物品払出装置によって払い出されるシート状物品を示す斜視図。
【図5】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す正面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品貯留箱及び物品払出機構を示す側面図。
【図8】本発明の実施の形態に係る物品払出装置の物品払出機構を説明するために示す平面図。
【図9】本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の第1駆動力伝達部を説明するために示す斜視図。
【図10】本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の搬送ローラの構成を示し、(a)は斜視図、(b)は搬送ローラの形状を示す側面図。
【図11】本発明の実施の形態に係る物品払出装置における物品払出機構の第2駆動力伝達部を説明するために示す斜視図。
【符号の説明】
【0055】
1…物品払出装置、2…装置本体、2A…基台部、2B…本体部、3…遊技機、3A…遊技機本体、3B…ディスプレイ、4…物品貯留箱、4A…貯留部、4B…載置部、5…物品払出機構、6…コントローラ、21…構造体、21a…内部空間、22…前面パネル、22a…硬貨投入口、22b…硬貨返却口、22c…物品取出口、22d…施錠部、23…硬貨選別装置、23a…硬貨処理部、24…金庫、25…硬貨誘導シュート、26…物品誘導シュート、31…内部空間、32…操作パネル、32a,32b…押釦、33…立ち上がり部、40…箱本体、41…物品移動規制片、42…ウエイト、43…長孔、44…物品搬送口、45…物品払出規制部材、45a…ガイド部、46…上面板、47…側面板、48…収容空間、49…開口窓、50…回転モータ、50a…駆動軸、51…第1駆動力伝達部、51a…第1プーリ、51b…第2プーリ、51c…第3プーリ、51d…伝達ベルト、51e…テンションローラ、52…第1搬送ローラ、52A,52B…ローラ面、52a…段部、53…第2駆動力伝達部、53a…第4プーリ、53b…第5プーリ、53c…伝達ベルト、54…第2搬送ローラ、54A,54B…ローラ面、54a…段部、55…繰出ローラ、55a…ローラ面、56…押圧ローラ、57,58…支軸、100…ホルダ、101…フラッパ、102…物品検出装置、102a…第1センサ、102b…第2センサ、200…支軸,500…ブラケット、501…スプリング、a,b…シート状食品、c…袋体、W…シート状物品、w…表側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート状物品を物品払出部側に圧接して積層可能な物品貯留箱を内蔵し、前記物品貯留箱内のシート状物品を外部に取り出すための物品取出口を有する装置本体と、
前記装置本体内に配設され、前記物品貯留箱の物品払出部から前記シート状物品を前記物品取出口に払い出すための物品払出機構とを備えた物品払出装置であって、
前記物品払出機構は、前記物品貯留箱内の複数のシート状物品のうち最下方のシート状物品に押圧接触する搬送ローラを有し、
前記搬送ローラは、前記最下方のシート状物品を前記物品貯留箱外に搬送可能な位置に配置されていることを特徴とする物品払出装置。
【請求項2】
前記搬送ローラは、第1の径を有する第1のローラ面と、前記第1の径と異なる第2の径を有する第2のローラ面と、前記第1のローラ面と前記第2のローラ面との境界に設けられる段部を有する請求項1に記載の物品払出装置。
【請求項3】
前記搬送ローラは、前記最下方のシート状物品との間で発生する摩擦力を高めるような摩擦ローラによって形成されている請求項1又は2に記載の物品払出装置。
【請求項4】
前記物品払出機構は、前記物品貯留箱から前記物品取出口に向かって前記シート状物品を繰り出すための繰出ローラと、前記繰出ローラのローラ面に前記シート状物品を圧接する押圧ローラとをさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載の物品払出装置。
【請求項5】
前記物品貯留箱からの複数のシート状物品の払い出しを規制する物品払出規制部材をさらに備えた請求項1〜4のいずれかに記載の物品払出装置。
【請求項6】
前記物品払出規制部材には、前記物品貯留箱内のシート状物品を前記物品貯留箱外に案内するためのガイド部が設けられている請求項5に記載の物品払出装置。
【請求項7】
前記シート状物品は、物品を複数個並列した状態で袋体に内封してなるシート状物品である請求項1〜6のいずれかに記載の物品払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−163628(P2006−163628A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351849(P2004−351849)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】