説明

物品確認用の端末装置及び員数確認システム

【課題】物品の確認を環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができる物品確認用の端末装置を提供する。
【解決手段】物品4に対応するデータ情報を記憶するメモリ機能、データ処理機能、及び通信機能を有するハンディターミナル2と、物品に取り付けられたRFIDタグ5と交信するアンテナ31、このアンテナに接続され該アンテナの受信信号から上記RFIDタグに記録された情報を読み取るリーダ機能及び上記ハンディターミナルに対してワイヤレスで情報のやりとりを行う通信機能を有する本体部32、上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる光を発する発光部33、並びに手に装着可能に形成され上記アンテナ、上記本体部、及び上記発光部を保持する保持部材35からなるリーダ手段3と、上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる音を発する報知部34と、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば工事に必要な工具類の員数確認などに好適に用いることができる物品確認用の端末装置及び員数確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業現場に持ち込んだ機材が、保管箇所から持ち出されたことを確認するために紙に記載したリストで1点ずつチェックしながら確認していくのが一般的であった。しかしながら、例えば降雨・降雪時や夜間の暗がりの環境の中で、かつ限られた時間の中で当該チェック・確認を行うのは心理的負担もありチェックミスを起こす可能性が高いという問題があった。この問題を解決する為に、環境に左右されず効率的に短時間でかつ確実に行えて現場にも持ち込める可搬型の確認システムが求められていた。
これに対して、アンテナ部を手袋の掌の親指の付け根の膨らみ部分に配置し、当該アンテナ部とフレキシブルケーブルで接続するRFID(Radio Frequency Identification)リーダ等を搭載する無線通信装置を当該手袋の掌の手首部分に配置するようにしたハンズフリーターミナルによって、アンテナを適当な大きさ、形状及び配置位置に確保することができ、手の自由度を確保するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−233737号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような従来の技術においては、商品に表示されたバーコードを一点ずつバーコードリーダにかざして読み取る場合に比べて、時間や労力が軽減され、両手に装着すればその2倍の速さで処理できるとはいうものの、RFIDタグの情報を読み込むことと、読み込んだ情報を無線で出力するまでの装置であるため、RFIDタグを貼付した品物自体が正しいかどうかは当該装置のみでは判断ができないという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、物品の確認を環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができる物品確認用の端末装置及び員数確認システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る物品確認用の端末装置は、物品に対応するデータ情報を記憶するメモリ機能、データ処理機能、及び通信機能を有するハンディターミナルと、上記物品に取り付けられたRFIDタグと交信するアンテナ、このアンテナに接続され該アンテナの受信信号から上記RFIDタグに記録された情報を読み取るリーダ機能及び上記ハンディターミナルに対してワイヤレスで情報のやりとりを行う通信機能を有する本体部、上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる光を発する発光部、並びに手に装着可能に形成され上記アンテナ、上記本体部、及び上記発光部を保持する保持部材からなるリーダ手段と、上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる音を発する報知部と、を備えるようにしたものである。
この発明に係る員数確認システムは、作業に必要な物品類を、作業名、作業日を含む作業対象毎にリストアップしたデータベース、及び通信機能を有するデータ管理用のコンピュータと、上記物品確認用の端末装置を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の物品確認用の端末装置においては、RFIDタグの情報を読み込んだときに、発光部がその読取り結果に応じて異なる光を発する一方、報知部がRFIDタグの読取り結果に応じて異なる音を発するようにしたことにより、物品が必要なものであるか、必要でないかあるいは間違ったものであるかが、天候や周囲の明るさに関係なく確認することが容易となる。このため、物品の確認を環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができる。
また、この発明の員数確認システムにおいては、上記物品確認用の端末装置を用いて構成されていることにより、物品の確認を環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができることに加えて、遠隔地や出張先など、場所を選ばずに容易、かつ確実に物品の員数確認ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る物品確認用の端末装置を員数確認システムに用いた場合のシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のシステム構成をイメージ的に示す構成図である。
【図3】図1の端末装置を手に装着した使用時の状態を拡大して示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1に係る物品確認用の端末装置、及び該物品確認用の端末装置を用いた員数確認システムについて図1〜図3を参照して説明する。なお、各図を通じて同一符号は同一または相当部分を示している。図において、物品確認用の端末装置1は、いわゆるPDA(パーソナル・データ・アシスタンス、またはパーソナル・ディジタル・アシスタンツとも言う)からなるハンディターミナル2と、所望の物品4に取り付けられたRFIDタグ5の情報を読み取るリーダ手段3からなる。
【0010】
リーダ手段3は、RFIDタグ5と交信するアンテナ31と、このアンテナ31に接続されRFIDタグ5に対して情報を読み書きするリーダ/ライタ機能、及びハンディターミナル2に対してワイヤレスで情報のやりとりを行う通信機能を有する本体部32と、RFIDタグ5の読取り結果に応じて異なる光を発する発光部33と、RFIDタグ5の読取り結果に応じて異なる音を発する報知部34と、作業者などの手6に装着可能に形成され上記アンテナ31、本体部32、発光部33、及び報知部34を保持する保持部材35からなる。発光部33としては例えばLED(発光ダイオード)などが用いられる。また、報知部34としては例えば圧電素子を用いた電子ブザーやスピーカなどが用いられる。
【0011】
上記保持部材35は、アンテナ31及び発光部33が保持され、指に装着可能に形成された第1の保持具35aと、本体部32、及び報知部34が保持され、手首に装着可能に形成された第2の保持具35bからなる。第1、第2の保持具35a、35bとしては、例えばリング状に形成された伸縮性を有する繊維材、あるいは伸縮性を有さず、重合部にいわゆるマジックテープ(登録商標)を設けたテープ状繊維材などが用いられる。また、第1、第2の保持具35a、35bに保持されたアンテナ31等の電気的なデバイス相互間の接続体として、フレキシブルな導体36が用いられている。なお、ここでは保持部材35を第1、第2の保持具35a、35bからなる2部材として別体に構成したが、例えば手袋などを担体として用い、1部材からなる保持具としても良い。
【0012】
上記本体部32には、リーダ/ライタ機能、通信機能の他に、発光部33や報知部34を動作させる駆動回路、その動作用の小型の充電式電池、ON/OFFスイッチなどが具備されている(何れも図示省略)。員数確認システム7は、上記端末装置1と、端末装置1が読み込んだ情報を管理するコンピュータからなるデータ管理PC(パソコン)8から構成される。上記物品4の種類などは、特に限定されるものではないが、ここでは例えばスパナ、ペンチ、バール等の作業工具類、電動工具やエンジンで動作させる道具類などを含む機材を対象としている。
【0013】
上記ハンディターミナル2としては、上記通信機能の他、タッチパネル機能を有するディスプレイや操作ボタン、スピーカなどを備えた例えば市販されている汎用のPDA端末などを好ましく用いることができる。ハンディターミナル2には、物品確認用の以下に詳述する動作が行われるように組まれたプログラムソフトを予めインストールしておく。ハンディターミナル2と本体部32との通信には例えばBluetooth(ブルートゥース)などの通信規格が好ましく用いられる。ハンディターミナル2とデータ管理PC8との通信は、相互に離れた場所では例えば無線LANなどが好ましく用いられるが、事務所内など相互に近接している場合には、例えば有線LANや、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)などを用いても良い。
【0014】
データ管理PC8としては、例えば一般的なパソコン等を用いることができるほか、他のシステムのコンピュータや端末の機能の一部として共用する形で構成することもできる。また、動作させるプログラムとしては、例えば員数確認用に組まれた専用のプログラムをアプリケーションソフトとして用意しても良いし、市販の汎用的なデータベースソフト等を利用して作りこむようにしても良い。上記ハンディターミナル2にインストールするソフトを含め、何れの場合も簡単に構成することができる。
【0015】
次に上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。まず、データ管理PC8にて工具類等の機材からなる物品4を使用する工事の日付や工事番号、工事内容を予め登録しておく。登録した工事情報をハンディターミナル2にダウンロードする。ハンディターミナル2にて工事を選択しその工事に必要な機材である物品4を登録していく。登録操作としては、例えばアンテナ31をRFIDタグ5が貼付された物品4に近づけることでRFIDタグ5の情報を本体部32で読み込み、読み込んだデータを本体部32よりハンディターミナル2に無線で送信し登録していく。なお、予め記憶させたリストから選択するようにしても良い。ハンディターミナル2では登録した物品4をリストで確認することができる。また、ハンディターミナル2で登録したデータをデータ管理PC8にアップロードすることでデータ管理PC8にて管理が行える。以上の作業は例えば事務所にて実施される。
【0016】
上記事務所から任意の距離、離れた作業現場ないしは工事現場では、アンテナ31とリーダ/ライタ機能を有する本体部32などを備えた物品確認用の端末装置1と、ハンディターミナル2を用いて、物品4を持込む際と持出す際に上記にて予め使用するとして登録した物品4につき1個ずつアンテナ31を近づけRFIDタグ5のデータの読込みと確認を行う。予め登録した機材と照らし合わせて、持込み時、持出し時にチェックした機材がどれであるか、員数が揃っているかはハンディターミナル2にて確認する。以下、本発明の典型的な特徴部分である正常に読み込めたかどうかを目と耳で確認する動作例について説明する。
【0017】
まず、作業者は図3に示すように手6に第1、第2の保持具35a、35bを装着し、本体部32に設けられた図示していないスイッチをONする一方、ハンディターミナル2にインストールされた物品確認用のプログラムを立ち上げ、確認作業をスタートさせる。そして、持ち込んだ機材である物品4について一点ずつ第1、第2の保持具35a、35bを装着した手を近づける。
a)物品4に貼付したRFIDタグ5のデータが正常に読み込めた場合は、アンテナ31の近傍に設けた発光部33が「正常」に対応させた「青」の光を表示する。また、本体部32の報知部34が「正常」に対応させた短音の受信音「ピッ」を発し、ハンディターミナル2に信号が送られ、ハンディターミナル2は当該ID情報をカウントする。
【0018】
b)予め設定された所定時間内にRFIDタグ5のデータが接触不良あるいは汚れ・破損等で、読み込めなかった場合は、発光部33が「赤」表示する。また、リーダ/ライダの報知部34が注意音として設定された間欠音「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」を発する。
c)RFIDタグ5のデータを既に読み込んだIDが同一の機材を再度読み込んだ際は、アンテナの発光部が「緑」表示する。リーダ/ライタの報知部34は正常受信音「短音:ピッ」を発する。ハンディターミナル2は当該ID情報をカウントしない。
【0019】
なお、同一種類の物品4が複数ある場合、IDが異なれば上記a)と同様に反応する。また、当該工事に必要のない物品4があった場合も、同一体系のIDであれば上記a)と同様に反応する。
持ち込まれた物品4の全てについて上記作業が終了した後、ハンディターミナル2の画面の、例えば「終了」ボタンをタッチすると、集計と、持出し時にチェック・登録した物品4のリストとの照合が行われ、物品4の種類ごとの員数の一致・不一致、過不足、対象外の物品4の混入、合計数の一致・不一致が結果としてハンディターミナル2のディスプレイ上に表示される。上記b)に該当するケースがあった場合は、作業者は表示された結果と合わせて判断することで、全体の結果を知ることができる。
【0020】
なお、上記説明では、報知部34を第2の保持具35bに設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えばハンディターミナル2のスピーカを利用するようにしても良い。また、報知部34の鳴動のパターンや、発光部33の発光色や発光パターンを任意に変更できることは言うまでもない。さらに、同一の工事現場で複数の作業者がそれぞれ端末装置1を保持して員数の確認作業を行なえるように構成し、あるいは1つのハンディターミナル2で一人の作業者が両手にアンテナ31等を保持した保持部材35を装着して左右同時に確認作業ができるようにし、更には1つのハンディターミナル2で複数の作業者がそれぞれアンテナ31等を保持した保持部材35を装着して確認作業を並行して行えるようにすることもできる。
【0021】
上記のように実施の形態1に係る物品確認用の端末装置1は、ハンディターミナル2と、RFIDタグ5と交信するアンテナ31と、このアンテナ31を介してRFIDタグ5に対して情報の読み書きを行うリーダ/ライタ機能、及びハンディターミナル2に対してワイヤレスで情報のやりとりを行う通信機能を有する本体部32と、RFIDタグ5の読取り結果に応じて異なる光を発する発光部33、及び異なる音を発する報知部34と、手に装着可能に形成されアンテナ31、本体部32、及び発光部33を保持する保持部材35とを備えるように構成したものである。該端末装置によれば、RFIDタグ5の読取り状況が発光部33による目視と本体部32の受信音の双方で確認できるので、用意された物品が当該工事に必要なものであるか、必要でないかあるいは間違ったものであるかを確認することが容易となる。このため、確認作業を暗がりや天候等の環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができ、チェックミスを発生する確率を低減できる。
【0022】
また、実施の形態1に係る員数確認システムによれば、上記物品確認用の端末装置を用いて構成したことにより、物品の確認を天候や周囲の明るさ等、環境に左右されず短時間で効率的にかつ確実に行うことができることに加えて、遠隔地や出張先など、場所を選ばずに容易、かつ確実に物品の員数の確認ができるという効果が得られる。
【0023】
なお、上記実施の形態1では、リーダ手段3がRFIDタグ5に対するリーダ/ライタ機能を有する場合について説明したが、リーダ機能を有し、ライタ機能を持たないのであっても同様の効果が期待できる。ところで、上記実施の形態1では、この発明の物品確認用の端末装置を工事に使用する機材の員数確認に用いた場合について説明したが、他の用途にも利用できることは当然である。
【符号の説明】
【0024】
1 端末装置、 2 ハンディターミナル、 3 リーダ手段、 31 アンテナ、 32 本体部、 33 発光部、 34 報知部、 35 保持部材、 35a 第1の保持具、 35b 第2の保持具、 36 導体、 4 物品、 5 RFIDタグ、 6 手、 7 員数確認システム、 8 データ管理PC(パソコン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に対応するデータ情報を記憶するメモリ機能、データ処理機能、及び通信機能を有するハンディターミナルと、
上記物品に取り付けられたRFIDタグと交信するアンテナ、このアンテナに接続され該アンテナの受信信号から上記RFIDタグに記録された情報を読み取るリーダ機能及び上記ハンディターミナルに対してワイヤレスで情報のやりとりを行う通信機能を有する本体部、上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる光を発する発光部、並びに手に装着可能に形成され上記アンテナ、上記本体部、及び上記発光部を保持する保持部材からなるリーダ手段と、
上記RFIDタグの読取り結果に応じて異なる音を発する報知部と、
を備えたことを特徴とする物品確認用の端末装置。
【請求項2】
上記保持部材は、上記アンテナ及び上記発光部が保持され、指に装着可能に形成された第1の保持具と、上記本体部及び上記報知部が保持され、手首に装着可能に形成された第2の保持具からなることを特徴とする請求項1に記載の物品確認用の端末装置。
【請求項3】
上記保持部材は、手袋状の保持具からなることを特徴とする請求項1に記載の物品確認用の端末装置。
【請求項4】
上記本体部は、上記RFIDタグに対するリーダ/ライタ機能を備えたものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の物品確認用の端末装置。
【請求項5】
上記ハンディターミナルは、上記本体部から受信した信号に対応する情報の表示手段、及び離れた位置に設置されたデータ管理用のコンピュータに対する無線通信手段を有するパーソナル・データ・アシスタンス(PDA)からなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の物品確認用の端末装置。
【請求項6】
作業に必要な物品類を、作業名、作業日を含む作業対象毎にリストアップしたデータベース、及び通信機能を有するデータ管理用のコンピュータと、上記請求項1から請求項5の何れかに記載の物品確認用の端末装置を備えたことを特徴とする員数確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−94080(P2012−94080A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242899(P2010−242899)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】