説明

物品陳列棚構造およびそれに用いられる陳列用什器

【課題】左右方向に複数の棚板を、互いに異なる高さに配置して陳列することができるようにした物品陳列棚構造と、それに用いられる陳列用什器を提供する。
【解決手段】陳列用什器の背面部に、左右一対のレールが複数対、左右に並んだ状態で設けられているとともに、下記の物品陳列用棚板(A)が複数枚、その被係合部を上記左右一対のレールの係合部に係合させることにより、上記陳列用什器の背面部に、適宜の配置で着脱自在に取り付けられ、各物品陳列用棚板(A)の上面に物品が陳列されるようになっている物品陳列棚構造である。
(A)平面視略四角枠状の枠体40と、上記枠体40上に交換可能な形で取り付けられる物品載置板41とからなり、上記枠体41の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部50が設けられている物品陳列用棚板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品等の各種物品を店頭に陳列するための物品陳列棚構造およびそれに用いられる陳列用什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧品販売店等において、販売用の化粧品やテスター等を店頭に陳列するために、化粧品の種類やシリーズに対応する専用の陳列用什器が賞用されており、なかでも、例えば図6に示すように、棚板1の高さが調整可能になっているものが多く用いられている。すなわち、この陳列用什器は、化粧品やテスター等を収納する基台部2と、その奥端から垂立する背面部3とを備え、上記背面部3には、上下方向に所定ピッチで係合穴3aが設けられた左右一対のレール4が設けられており、このレール4に、棚板1の奥端面に設けられた係合用のフック5を係合させることにより、適宜の高さに棚板1を取り付けることができるようになっている。
【0003】
また、単に棚板1の高さが調整可能であるばかりでなく、任意の高さに、陳列ユニットやロゴボックスを直接取り付けることができるようにしたものも提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192085公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の陳列用什器は、建築物の寸法が古来より尺間法を基準にしていることに倣って、幅寸法が90cm(3尺)もしくは180cm(1間、6尺)のものが標準仕様となっている。このため、棚板1も、一段の幅が90cmもしくは180cmという、広い幅になっており、多種多様な商品を細かい区分で陳列しにくいという問題がある。
【0006】
そこで、最近は、幅90cmの棚板1の上に、商品の種類やシリーズに応じて、異なる陳列形態を実現するために、30cm(1尺)幅の商品トレイを横3列に並べて陳列することが多く行われている。しかし、その場合、背の高い商品と背の低い商品とを同じ棚板1上に並べる必要から、背の高い商品に合わせて上下の棚板1の間隔を決めると、背の低い商品の陳列部分の上に隙間が多くあいて、陳列空間に無駄が生じるという問題がある。
【0007】
このため、棚板1の取り付け幅を小さくして、左右方向に並ぶ複数の棚板を高さを、棚板1上の商品の背の高さに合わせて、互いに違えることができるようにしたものが望まれているが、そのようなものはいまだ開発されていないのが実情である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、左右方向に複数の棚板を、互いに異なる高さに配置して陳列することができるようにした物品陳列棚構造と、それに用いられる陳列用什器の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、壁面もしくは陳列用什器の背面部に、上下方向に所定ピッチで棚板取り付け用の係合部が形成された左右一対のレールが複数対、左右に並んだ状態で設けられているとともに、下記の物品陳列用棚板(A)が複数枚、その被係合部を上記左右一対のレールの係合部に係合させることにより、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、適宜の配置で着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各物品陳列用棚板(A)の上面に、直接もしくはガイド部材を介して物品が陳列されるようになっている物品陳列棚構造を第1の要旨とする。
(A)平面視略四角枠状の枠体と、上記枠体上に交換可能な形で取り付けられる物品載置板とからなり、上記枠体の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられており、物品陳列用棚板。
【0010】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部を有するものである物品陳列棚構造を第2の要旨とし、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板として、異なる材質のものが2種以上用意され、陳列形態に応じて、上記物品載置板が使い分けられるようになっている物品陳列棚構造を第3の要旨とする。
【0011】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の枠体として、奥行き寸法が異なる複数種類の枠体が用意され、奥行き寸法の最も小さい枠体が最上段に配置され、奥行き寸法の最も大きい枠体が最下段に配置され、その間にも枠体が配置される場合は、上下の枠体が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものとなるよう配置されている物品陳列棚構造を第4の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、下記の物品情報ユニット(B)が、上記物品陳列用棚板(A)とともに、適宜の配置で着脱自在に取り付けられるようになっている物品陳列棚構造を第5の要旨とする。
(B)陳列される物品に関する情報を提供するための情報表示手段と、これを保持する本体部とを備え、上記本体部の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品情報ユニット。
【0013】
そして、本発明は、上記第1の要旨である物品陳列棚構造に用いられる陳列用什器であって、基台部と、その奥端面から立設する背面部とを備え、上記背面部に、上下方向に所定ピッチで棚板取り付け用の係合部が形成された左右一対のレールが複数対、左右に並んだ状態で設けられているとともに、下記の物品陳列用棚板(A)が複数枚、その被係合部を上記左右一対のレールの係合部に係合させることにより、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、適宜の配置で着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各物品陳列用棚板(A)の上面に、直接もしくはガイド部材を介して物品が陳列されるようになっている陳列用什器を第6の要旨とする。
(A)平面視略四角枠状の枠体と、上記枠体上に交換可能な形で取り付けられる物品載置板とからなり、上記枠体の奥端部に、上記左右一対のレール係合穴に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品陳列用棚板。
【0014】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部を有するものである陳列用什器を第7の要旨とし、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板として、異なる材質のものが2種以上用意され、陳列形態に応じて、上記物品載置板が使い分けられるようになっている陳列用什器を第8の要旨とする。
【0015】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の枠体として、奥行き寸法が異なる複数種類の枠体が用意され、奥行き寸法の最も小さい枠体が最上段に配置され、奥行き寸法の最も大きい枠体が最下段に配置され、その間にも枠体が配置される場合は、上下の枠体が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものとなるよう配置されている陳列用什器を第9の要旨とする。
【0016】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記背面部に、下記の物品情報ユニット(B)が、上記物品陳列用棚板(A)とともに、適宜の配置で着脱自在に取り付けられるようになっている陳列用什器を第10の要旨とする。
(B)陳列される物品に関する情報を提供するための情報表示手段と、これを保持する本体部とを備え、上記本体部の奥端部には、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品情報ユニット。
【発明の効果】
【0017】
本発明の物品陳列棚構造によれば、棚板取り付け用の左右一対のレールが、左右に複数対並んだ状態で設けられているため、左右に並ぶ各列の物品陳列用棚板(A)を、列ごとに適宜の高さで取り付けることができ、棚板上に陳列される物品の高さ寸法に応じて、棚板の間隔を適宜に設定することができる。したがって、壁面もしくは陳列用什器の背面部の手前に構成される陳列スペースに無駄が生じることがなく、多種多様な物品を高い密度で陳列することができる。また、意図的に棚板の間隔をあけて、印象的な陳列空間をつくることもでき、さまざまなバリエーションの陳列形態を実現することができる。特に、90cm幅や180cm幅の広い棚板に縛られることなく、30cm幅や45cm幅の棚板を、左右方向に多列に並べて陳列空間をつくることができるため、限られた陳列空間を効率よく利用することができるという利点を有する。
【0018】
しかも、本発明では、上記物品陳列用棚板(A)が、壁面もしくは陳列用什器の背面側に設けられたレールに係合しうる被係合部を有する平面視略四角枠状の枠体と、これに交換可能な形で取り付けられる物品載置板とで構成されているため、適宜の材質や色合いの物品載置板を取り付けることができ、陳列する物品の種類に応じた印象の陳列形態を実現することができる。また、枠体と物品載置板を、異なる材質のもので形成することができるため、例えば、枠体を、長期にわたって繰り返し使用することができるように金属等で頑丈に形成し、物品載置板は比較的軽量な樹脂や薄肉の金属で形成すれば、全体重量の軽量化を実現するとともに、設備コストの低減化を図ることができる。
【0019】
そして、本発明のなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部を有するものは、物品陳列用棚板(A)に、物品を載置した状態で配置替えを行う場合、前後方向に物品がずれても、上記立ち上がり部によって物品の落下を防止することができ、作業性がよいという利点を有する。なお、左右方向のずれは、物品陳列用棚板(A)を持つ作業員の左右の腕で防止されるため、特に問題にならない。
【0020】
また、本発明のなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板として、異なる材質のものが2種以上用意され、陳列形態に応じて、上記物品載置板が使い分けられるようになっているものは、例えば、透明アクリル板やガラス板を用いることによって、上下方向から照明を透過させて明るい印象にしたり、鏡面仕上げされた金属板を用いることによって、メタリックな印象を付与したり、あるいは乳白色の樹脂板を用いることによって、柔和な印象を付与する等、陳列物品のイメージや陳列構成全体のイメージに応じて、適宜に物品載置板を使い分けることができる。
【0021】
さらに、本発明のなかでも、特に、上記物品陳列用棚板(A)の枠体として、奥行き寸法が異なる複数種類の枠体が用意され、奥行き寸法の最も小さい枠体が最上段に配置され、奥行き寸法の最も大きい枠体が最下段に配置され、その間にも枠体が配置される場合は、上下の枠体が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものである配置になっているものは、下の棚板ほど手前に突出する形になるため、下の方に陳列された物品が見やすく、また取り出しやすいという利点を有する。しかも、同じ寸法の物品載置板を共用すれば、奥行き寸法の大きい枠体ほど、奥側に大きな開口が形成されるため、清掃時に、この開口を介して、棚板上の塵や埃を下に落とせば、最下段の奥側に塵や埃を集めることができ、その除去を簡単に行うことができる。
【0022】
さらに、本発明のなかでも、特に、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、上記物品情報ユニット(B)が、上記物品陳列用棚板(A)とともに、適宜の配置で着脱自在に取り付けられるようになっているものは、陳列構成全体のなかで、適宜の位置に配置された情報表示手段によって、陳列物品に関する情報を顧客に提供することができるため、顧客にとって非常にわかりやすい陳列構成をつくることができる。
【0023】
そして、本発明の陳列用什器によれば、上記物品陳列棚構造を、単体の什器を用いて、簡単に提供することができ、実用的な効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態である陳列用什器を示す外観斜視図である。
【図2】上記陳列用什器の分解斜視図である。
【図3】上記陳列用什器のベース部を示す正面図である。
【図4】上記陳列用什器に用いられる物品陳列用棚板の分解斜視図である。
【図5】上記陳列用什器の部分的な右側面図である。
【図6】従来の陳列用什器の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明を実施するための実施の形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明を、化粧品とそのテスターを陳列するための陳列用什器に適用した一実施の形態を示している。
【0027】
この陳列用什器は、図2に示すように、箱状の基台部11とその奥端から垂立する背面部12とを備えたベース部13に、大きさの異なる3種類の物品陳列用棚板14、15、16を各2枚ずつと、略箱状の物品情報ユニット17と、蛍光灯が内蔵された照明ユニット18とを、着脱自在に取り付けることによって構成されている。
【0028】
より詳しく説明すると、上記ベース部13の基台部11には、化粧品の商品やテスターをストックするための引き出し10が左右2個設けられており、その正面開口が、蝶番19(図3参照)を介して開閉自在に取り付けられた扉20によって隠されるようになっている。
【0029】
また、上記基台部11の奥端から垂立する背面部12には、棚板取り付け用のレール22〜25が、左右に4本、所定間隔で並んだ状態で、背面部12を構成するパネル12aの間に挟持されている。レール22〜25は、それぞれ四角筒状で、その正面を向いた面に、棚板を係合させるための係合部として、縦長の切欠き穴21が上下方向に所定ピッチで形成されている。ただし、これらのレール22〜25のうち、左右両端に設けられるレール22、25は、上下に並ぶ切欠き穴21の列が1本の単レールであり、内側の2本のレール23、24は、上下に並ぶ切欠き穴21の列が2本の複レールである。したがって、向かって右端のレール22と、内側のレール23の右半分が、「左右一対のレール」として、背面部12の向かって右側に取り付けられる物品陳列用棚板14、15との係合に用いられるようになっている。また、内側のレール23の左半分と、その左側のレール24の右半分が、同じく「左右一対のレール」として、背面部12の中央に取り付けられる物品情報ユニット17との係合に用いられるようになっている。さらに、上記レール24の左半分と、左端のレール25とが、「左右一対のレール」として、背面部12の向かって左側に取り付けられる物品陳列用棚板14、15との係合に用いられるようになっている。なお、幅広の物品陳列用棚板16は、左右両端のレール22、25の切欠き穴21に係合して取り付けられるようになっている。
【0030】
また、前記照明ユニット18には、その下面の左右両端から下向きに、連結軸30が突出形成されており、この連結軸30を、背面部12の左右両端のレール22、25の上端開口に差し込むことによって、照明ユニット18が、背面部12の上端部に固形されている。
【0031】
一方、3種類の物品陳列用棚板(以下「棚板」と略す)14、15、16は、寸法に違いはあるものの、いずれも基本的な構成は同じであることから、その構成を、背面部12の左右の最上段に取り付けられる棚板14を例にとって説明する。
【0032】
すなわち、上記棚板14は、図4に示すように、平面視略四角枠状の枠体40と、上記枠体40上に、前後2個所でねじ留めされることによって、交換可能に取り付けられる物品載置板41とで構成されている。
【0033】
上記枠体40は、全体が、黒色に塗装された金属板からなり、具体的には、左右の枠辺42、43が、打ち抜き成形された厚み2mmのステンレス板で構成され、前後の枠辺44、45が、厚み1mmのステンレス製角パイプで構成されている。そして、上記左右の枠辺42、43の後端部には、上記背面部12のレール22等の切欠き穴21(図3参照)と係合して枠体40を固定するための、独特の凹凸形状を有する被係合部50が、それぞれ後方に突出形成されている。
【0034】
そして、上記枠体40の、前側の枠辺44の前端面には、横長帯状の正面板40aが設けられており、この部分に、スティック状の照明ユニットを取り付けたり、陳列物品に関するPOPを取り付けたりすることができるようになっている。
【0035】
また、上記枠体40の上に取り付けられる物品載置板41は、厚み1mmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シートからなり、上記枠体40の開口を上から塞ぐ水平面部51と、その前端部、後端部のそれぞれにおいて幅方向に延びる立ち上がり部52、53とを備えている。
【0036】
なお、54は、枠体40側に設けられるねじ穴であり、55は、物品載置板41側に設けられるねじ固定用の貫通穴である。
【0037】
したがって、上記枠体40に、物品載置板41をねじ固定した状態で、枠体40の左右の後端部に設けられた被係合部50を、前記背面部12側の切欠き穴21と係合させることにより、背面部12に対し水平に棚板14を取り付けることができる(図5参照)。
【0038】
なお、棚板14の下に取り付けられる棚板15は、図2に示すように、左右の枠辺(棚板14の42、43に相当)の長さが棚板14より長く設定されており、その下の、上下二段に取り付けられる棚板16は、ともに、左右の枠辺の長さが上記棚板15よりさらに長くなっている。しかも、上記棚板16は、その左右の枠辺の間隔、すなわち棚板16の左右の幅が大幅に広くなっており、この陳列用什器の背面部12の左右両端のレール22、25に係合することにより、背面部12に取り付けられるようになっている。
【0039】
また、背面部12の中央に取り付けられる物品情報ユニット17は、図2に示すように、傾斜した前面を有する略箱形状の本体部60と、その内側に組み込まれる画像表示手段とを備え、本体部60の前面中央に位置決めされた、上記画像表示手段の画像表示部62によって、陳列商品に関する情報を画像として顧客に提供するようになっている。そして、上記画像表示部62の下には、物品情報が表示されたリーフレット63を保持するホルダー部64が設けられており、上端部には、三面鏡65が取り付けられている。
【0040】
なお、上記本体部60の奥端面は、取り外し自在な背板61によって構成されており、その左右両端に、陳列用什器の背面部12側の切欠き穴21(図3参照)と係合しうる被係合部70(棚板14の被係合部50の先端部と同一形状、図4参照)が、上下2個ずつ突出形成されている。
【0041】
したがって、上記背板61を、本体部60の奥端面として取り付けた状態で、その被係合部70を、前記背面部12側の切欠き穴21と係合させることにより、背面部12の中央に、物品情報ユニット17を安定した状態で取り付けることができるようになっている(図1参照)。
【0042】
このように構成された陳列用什器によれば、その背面部12に、2本の単レールと2本の複レール(22〜25)からなる、左右計3対のレール対が並び、その左右両側の各レール対を利用して、左右各2枚、合計4枚の棚板14、15と、左右にまたがる上下2枚の棚板16とが、それぞれ各別に、適宜の高さに取り付けられるようになっている。したがって、棚板14〜16上に陳列される物品(化粧品やテスター、あるいはその関連物等)の高さ寸法に応じて、棚板14〜16の互いの間隔を適宜に設定することができ、陳列スペースに無駄が生じることがなく、多種多様な物品を高い密度で陳列することができる、という効果を奏する。もちろん、意図的に各棚板14〜16の間隔をあけて、印象的な陳列空間をつくることもでき、さまざまなバリエーションの陳列形態を実現することができる。なお、上記棚板14〜16の上には、直接化粧品等の物品を陳列してもよいし、物品を見栄えよく一まとまりで陳列する専用の陳列トレイ80(図5にその一例の外形を鎖線で示す)等のガイド部材を用いて陳列してもよい。
【0043】
また、上記陳列用什器によれば、90cm幅や180cm幅の広い棚板に縛られることなく、30cm幅や45cm幅の棚板を、左右方向に多列に並べて陳列空間をつくることができるため、限られた陳列空間を効率よく利用することができるという利点を有する。そして、30cm幅や45cm幅の棚板を用いた陳列用什器を提供する場合、例えば既存の、90cm幅の棚板取り付け用レールが左右両側に設けられた陳列用什器の背面部において、その内側に、複レールであるレール23、24(図3参照)を追加するだけで、簡単に、上記の例と同様の陳列用什器を得ることができ、経済的である。もちろん、既存の、90cm幅の棚板取り付け用レールが左右両側に設けられた陳列用什器の背面部の中央に、複レールであるレール23を1本追加すれば、簡単に、45cm幅の棚板を、左右に異なる高さで並べることのできる陳列空間をつくることができる。
【0044】
しかも、上記棚板14〜16が、それぞれ平面視略四角枠状の枠体40と、これに交換可能な形で取り付けられる物品載置板41とで構成されているため、適宜の材質や色合いの物品載置板41を取り付けることができ、陳列する物品の種類に応じた印象の陳列形態を実現することができる。そして、陳列する物品の重量に応じた強度を確保しながら、より軽い材質のものを選択的に使用することができるため、全体として、陳列用什器の軽量化を図ることができる。一方、枠体40自体は、頑丈な材質のもの(上記の例では金属板)で形成し、長期にわたって繰り返し使用することができる。
【0045】
そして、上記物品載置板41が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部52、53を有しているため、棚板14〜16上に、物品を載置した状態のまま配置替えを行う場合、前後方向に物品がずれても、上記立ち上がり部52、53によって物品の落下を防止することができ、作業性がよいという利点を有する。なお、左右方向のずれは、棚板14〜16を持つ作業員の左右の腕で防止されるため、特に問題にならない。
【0046】
しかも、上記陳列用什器は、その右側面を示す図5に示すように、上下の枠体40が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものである配置になっているため、下の棚板ほど(14より15、15より16)手前に突出する形になっている。したがって、下の方に陳列された物品が見やすく、また取り出しやすいという利点を有する。しかも、同じ寸法の物品載置板41が共用されているため、奥行き寸法の大きい枠体ほど、奥側に大きな開口が形成されることになるため、清掃時に、この開口を介して、棚板上の塵や埃を下に落とせば、矢印で示すように、最下段の、基台部11上に塵や埃を集めることができ、その除去を簡単に行うことができる。
【0047】
なお、本発明において、上記枠体40の構造は、その上に物品載置板41を取り付けることができ、かつ奥端部に、レール側の切欠き穴21と係合しうる被係合部50が設けられていれば、どのような形状であっても差し支えない。そして、もちろん、レール側の係合部が突出形状である場合には、枠体40側の被係合部50は凹形状に形成される。いずれにしても、両者の係合によって、棚板14〜16をレール側に固定することができればよい。そして、枠体40は、長期にわたって繰り返し使用しても、その被係合部50が変形しないものであることが好ましく、上記の例のように、金属板で形成することが好適である。金属板を用いると、物品載置板41をねじ固定できるだけでなく、物品載置板41の裏面側に、例えば薄い磁石を貼付しておけば、これを簡単に着脱することができる。同様に、その正面や側面に、磁石を介して、照明装置やPOP用のパネル、シート等を、簡単に取り付けることができる。
【0048】
また、本発明において、上記物品載置板41の構造も、その上に、物品を陳列できるような面を有し、上記枠体40に交換可能な形で取り付けることができるようになっていれば、どのような材質、形状のものであってもよいが、すでに述べたように、透明アクリル板やガラス板を用いることによって、上下方向から照明を透過させて明るい印象にしたり、鏡面仕上げされた金属板を用いることによって、メタリックな印象を付与したり、あるいは乳白色の樹脂板を用いることによって、柔和な印象を付与することができる。したがって、これら材質の異なる物品載置板41を多数、予め用意しておけば、陳列物品のイメージや陳列構成全体のイメージに応じて、適宜使い分けることができ、好適である。
【0049】
そして、上記の例では、物品載置板41の前端部と後端部とに、物品の落下防止のために、幅方向に延びる立ち上がり部52、53を設けたが、必ずしもこのような立ち上がり部52、53は必要なく、物品載置板41の上に、例えば陳列トレイ80(図5を参照)等のガイド部材を介して物品を陳列する場合、ガイド部材の底部を、上記物品載置板41もしくは枠体40の適宜の部位と嵌合させるようにしてもよい。
【0050】
また、上記の例では、陳列用什器の背面部12におけるレール対の構成を、左右両端に単レール22、25を配し、内側に、複レール23、24を配したが、全てのレールを単レールで構成しても差し支えない。そして、レール対の数、すなわち左右に並ぶ棚板14等の列数は、必ずしも3列に限らず、複数であればよい。ただし、30cm幅の棚板を左右方向に3の倍数で並べた陳列構成か、45cm幅の棚板を左右方向に2の倍数で並べた陳列構成であることが、尺間法に従った店舗設計上の収まりを考慮すれば、好適である。
【0051】
また、上記の例では、陳列用什器において、物品情報ユニット17、照明ユニット18を組み込んだ構成になっているが、これらは、必ずしも必要ではない。ただし、スペースに限りのある店舗内では、これらが組み込まれた構成になっている什器の方が、コンパクトで集約的な陳列構成を実現することができるため、好適である。
【0052】
さらに、上記陳列用什器の基台部11も、必ずしも引き出し10になっている必要はなく、観音開きの扉や引き戸によって、内側の収納品を出し入れするようになっていてもよい。また、基台部11に物品収納用空間がなく、什器全体が棚板で仕切られた構成になっていてもよい。その場合、什器の底面部が基台部11となる。
【0053】
そして、上記の例は、本発明の物品陳列棚構造を、陳列用什器を用いて実現した例であるが、必ずしも陳列用什器を用いる必要はなく、例えば、店舗の壁面に、直接棚板取り付け用のレール22等を取り付けて、棚板14、15、16等を取り付けることにより、本発明の物品陳列棚構造を実現するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、化粧品やそのテスター等、多種多様な物品を集約的に陳列するための物品陳列棚構造およびそれに用いられる陳列用什器に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
14 物品陳列用棚板
40 枠体
41 物品載置板
50 被係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面もしくは陳列用什器の背面部に、上下方向に所定ピッチで棚板取り付け用の係合部が形成された左右一対のレールが複数対、左右に並んだ状態で設けられているとともに、下記の物品陳列用棚板(A)が複数枚、その被係合部を上記左右一対のレールの係合部に係合させることにより、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、適宜の配置で着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各物品陳列用棚板(A)の上面に、直接もしくはガイド部材を介して物品が陳列されるようになっていることを特徴とする物品陳列棚構造。
(A)平面視略四角枠状の枠体と、上記枠体上に交換可能な形で取り付けられる物品載置板とからなり、上記枠体の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品陳列用棚板。
【請求項2】
上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部を有するものである請求項1記載の物品陳列棚構造。
【請求項3】
上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板として、異なる材質のものが2種以上用意され、陳列形態に応じて、上記物品載置板が使い分けられるようになっている請求項1または2記載の物品陳列棚構造。
【請求項4】
上記物品陳列用棚板(A)の枠体として、奥行き寸法が異なる複数種類の枠体が用意され、奥行き寸法の最も小さい枠体が最上段に配置され、奥行き寸法の最も大きい枠体が最下段に配置され、その間にも枠体が配置される場合は、上下の枠体が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものとなるよう配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品陳列棚構造。
【請求項5】
上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、下記の物品情報ユニット(B)が、上記物品陳列用棚板(A)とともに、適宜の配置で着脱自在に取り付けられるようになっている請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品陳列棚構造。
(B)陳列される物品に関する情報を提供するための情報表示手段と、これを保持する本体部とを備え、上記本体部の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品情報ユニット。
【請求項6】
請求項1記載の物品陳列棚構造に用いられる陳列用什器であって、基台部と、その奥端面から立設する背面部とを備え、上記背面部に、上下方向に所定ピッチで棚板取り付け用の係合部が形成された左右一対のレールが複数対、左右に並んだ状態で設けられているとともに、下記の物品陳列用棚板(A)が複数枚、その被係合部を上記左右一対のレールの係合部に係合させることにより、上記壁面もしくは陳列用什器の背面部に、適宜の配置で着脱自在に取り付けられ、取り付けられた各物品陳列用棚板(A)の上面に、直接もしくはガイド部材を介して物品が陳列されるようになっていることを特徴とする陳列用什器。
(A)平面視略四角枠状の枠体と、上記枠体上に交換可能な形で取り付けられる物品載置板とからなり、上記枠体の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品陳列用棚板。
【請求項7】
上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板が、その前端部および後端部に、幅方向に延びる立ち上がり部を有するものである請求項6記載の陳列用什器。
【請求項8】
上記物品陳列用棚板(A)の物品載置板として、異なる材質のものが2種以上用意され、陳列形態に応じて、上記物品載置板が使い分けられるようになっている請求項6または7記載の陳列用什器。
【請求項9】
上記物品陳列用棚板(A)の枠体として、奥行き寸法が異なる複数種類の枠体が用意され、奥行き寸法の最も小さい枠体が最上段に配置され、奥行き寸法の最も大きい枠体が最下段に配置され、その間にも枠体が配置される場合は、上下の枠体が、互いにその奥行き寸法が等しいか下の方が奥行き寸法の大きいものとなるよう配置されている請求項6〜8のいずれか一項に記載の陳列用什器。
【請求項10】
上記背面部に、下記の物品情報ユニット(B)が、上記物品陳列用棚板(A)とともに、適宜の配置で着脱自在に取り付けられるようになっている請求項6〜9のいずれか一項に記載の陳列用什器。
(B)陳列される物品に関する情報を提供するための情報表示手段と、これを保持する本体部とを備え、上記本体部の奥端部に、上記左右一対のレールの係合部に係合しうる左右一対の被係合部が設けられている物品情報ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172805(P2011−172805A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40384(P2010−40384)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】