説明

物干し具機構を備えた空気調和機

【課題】 効率良く洗濯物の乾燥ができる物干し具機構を備えた空気調和機の構造に関する。
【解決手段】 空気調和機Aの枠体1内には圧縮機2とコンデンサ3とエバポレータ4とで構成する冷凍サイクルを備えると共に、コンデンサ3とエバポレータ4のそれぞれに送風する温風ファン3a・冷風ファン4aと、温風ファン3a・冷風ファン4aに接続する温風吹出口3b・冷風吹出口4bとを設ける。空気調和機Aの枠体1の側面に固定手段5aを介して取り付けた基部5と、基部5から下方に伸びる支持脚5bと、基部5から立ち上げた支柱6と、支柱6の上部に配置した放射状の折畳み腕7aからなるハンガー部7とによって構成する物干し具機構Bを備え、物干し具機構Bのハンガー部7が空気調和機Aの温風吹出口3bもしくは冷風吹出口4bのいずれかの延長上に位置するように設け、ハンガー部7に吊下げた洗濯物に空気調和機Aの風を効率良くあてることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷凍サイクルを利用して空気調和を行う空気調和機において、洗濯物の乾燥に適した機能を備えた構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷風機や除湿機と呼ばれる空気調和機は、枠体内に冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された高温のガス状冷媒が送られるコンデンサと、コンデンサで液化した冷媒が減圧器を介して送られるエバポレータとを備え、エバポレータで気化した冷媒が圧縮機に戻される冷凍サイクルを構成している。
【0003】
前記コンデンサとエバポレータには送風ファンを備えて送風されており、冷媒が圧縮機で加圧されると高温高圧になり、この冷媒はコンデンサを通過する空気流と熱交換して液化する。そして、この液化した高圧の冷媒は減圧器を経て圧力を下げてエバポレータに送られ、エバポレータを通過する空気を冷却することで冷媒はエバポレータで気化し、この気化した冷媒は再び圧縮機で加圧されてコンデンサに送られる。
【0004】
そして、このような空気調和機には、エバポレータを通過して除湿した冷風を室内に吹出す冷風機や、エバポレータで得た冷風をコンデンサを通過させてから室内に戻す除湿機や、冷風運転と除湿運転の切換機能を備えた兼用タイプの冷風除湿機などが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−214537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、一人暮らしや共働きなどで昼間に在宅者がいない家庭が増えており、このような家庭では、室内に洗濯物を干すケースが増えている。洗濯物を部屋干しする場合は、室内の天井付近に設置した物干し竿や物干し用のロープなどに洗濯物を吊下げる方法や、床置きタイプの自立式の物干し具などに洗濯物を吊下げる方法が一般的である。しかしながら、部屋干しすると洗濯物の乾燥時間が長くなり、洗濯物の乾燥中にバクテリアや微生物が発生して、部屋干し臭といわれている臭いのもとになっていた。
【0006】
このようなことから、除湿された乾燥空気を吹出す空気調和機が注目され、空気調和機が室内の冷房・除湿の他に、洗濯物の乾燥にも利用されるようになり、洗濯物の乾燥機能を高めた空気調和機の要求があるが、空気調和機の機能向上だけでは十分な乾燥性能を得ることができず、空気調和機と洗濯物との位置関係が重要であることがわかってきた。
【0007】
洗濯物の乾燥を効率良く行うためには空気調和機の風を直接洗濯物にあてる必要があるが、従来からある空気調和機と物干し具は併用することを考慮して設計されておらず、特に自立式の物干し具は洗濯物の吊下げ部が上部にあり、洗濯直後の水分を含んで重くなった洗濯物を干して上部が重くなったときでも安定させるように脚部分の形状が大きくなっているため、空気調和機の風を直接洗濯物にあてることができる位置に設置できないものであり、確実に洗濯物の乾燥ができる構造がのぞまれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の課題を解決するもので、空気調和機Aの枠体1内には、冷媒を圧縮する圧縮機2と、高温のガス状冷媒が送られるコンデンサ3と、液化した冷媒が減圧器を介して送られるエバポレータ4と、コンデンサ3及びエバポレータ4のそれぞれに送風する温風ファン3a・冷風ファン4aと、コンデンサ3の温風ファン3aに接続する温風吹出口3bと、エバポレータ4の冷風ファン4aに接続する冷風吹出口4bとを設け、前記エバポレータ4で気化した冷媒が圧縮機2に戻される冷凍サイクルを構成する一体型の空気調和機において、前記空気調和機Aには前記枠体1の側面に固定手段5aを介して取り付けた基部5と、該基部5から下方に伸びる支持脚5bと、基部5から立ち上げた支柱6と、該支柱6の上部に配置した放射状の折畳み腕7aからなるハンガー部7とによって構成する物干し具機構Bを備え、該物干し具機構Bはハンガー部7が前記温風吹出口3bもしくは前記冷風吹出口4bのいずれかの延長上に位置するように設けたことを特徴とする物干し具機構を備えた空気調和機である。
【0009】
また、固定手段5aは空気調和機Aの枠体1との間に第1係止部5cを設けると共に、前記物干し具機構Bの基部5との間に第2係止部5dを設け、前記物干し具機構Bは基部5と固定手段5aとの間もしくは枠体1と固定手段5aとの間で着脱可能となっているから、物干し具機構Bを使わないときは枠体1から取外して空気調和機Aだけ使用することができる。
【0010】
また、物干し具機構Bの基部5には着脱自在の補助脚5eを設け、前記枠体1から取外した物干し具機構Bは支持脚5bと補助脚5eとによって自立可能となるから、物干し具機構Bは枠体1から取外して単独で使用することができる。
【0011】
また、支柱6は前記基部5に取り付けた筒状の下部支柱6aと、この筒状の下部支柱6aの上部に位置する上部支柱6bとによって構成すると共に、前記下部支柱6aは内部に上部支柱6bを収納する空間を備えて伸縮自在の支柱6を形成し、かつ、下部支柱6aと上部支柱6bとの間には上部支柱6bを伸長位置で固定する固定手段8を設けたから、ハンガー部7に吊下げた洗濯物と温風吹出口3b・冷風吹出口4bとの距離を最適位置に調整することができる。
【0012】
また、基部5と前記支柱6との間には基部5を中心に回転する回転腕部9を配置し、前記支柱6は基部5から側方に伸ばされた回転腕部9の可動端9aの上部に取り付け、支柱6とハンガー部7とが基部5を中心に回転するから、ハンガー部7に吊下げた洗濯物の位置を調整することができる。
【0013】
また、支柱6には回転軸6cを形成すると共に、前記ハンガー部7の折畳み腕7aは平板状部材によって構成し、この平板状部材の折畳み腕7aには所定の角度を設けた風受部7bを形成し、空気調和機Aの風でハンガー部7が回転するから、ハンガー部7に吊下げた全ての洗濯物に均等に風を当てることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、物干し具機構Bの基部5を空気調和機Aの枠体1の側面に取り付け、この基部5には下方に伸びる支持脚5bと、基部5から立ち上げた支柱6とを備え、支柱6の上部にはハンガー部7を備えている。そして、このハンガー部7が空気調和機Aの温風吹出口3bもしくは冷風吹出口4bのいずれかの延長線上に位置するように設けたものであり、空気調和機Aの風を直接ハンガー部7に吊下げた洗濯物に当てることができるから、効率良く洗濯物の乾燥ができるものとなった。
【0015】
また、物干し具機構Bを空気調和機Aの枠体1に取り付けることで、物干し具機構Bは重量のある空気調和機Aと支持脚5bとによって支持されるから、支柱6の上部に設けたハンガー部7に洗濯直後の水分を含んだ洗濯物を吊下げても物干し具機構Bは安定するものである。
【0016】
また、固定手段5aは空気調和機Aの枠体1との間に第1係止部5cを設け、物干し具機構Bの基部5との間に第2係止部5dを設け、物干し具機構Bは空気調和機Aの枠体1に着脱可能に設けたから、物干し具機構Bを取外して空気調和機Aを単体で使用できるものである。そして、物干し具機構Bを基部5と固定手段5aとの間で取外したときは、枠体1に取り付けられた固定手段5aを使って他の物干し具機構Bを取り付けることができ、目的に応じて空気調和機Aと物干し具機構Bの組み合わせが変更できる。
【0017】
また、物干し具機構Bの基部5には補助脚5eを着脱可能に設け、物干し具機構Bを空気調和機Aから取外したときは、この補助脚5eを取り付ければ自立可能となるから、空気調和機Aと物干し具機構Bとはそれぞれ単独で使用することができる。
【0018】
また、支柱6は下部支柱6aと上部支柱6bとで構成して伸縮自在の支柱6を形成し、下部支柱6aと上部支柱6bとの間には上部支柱6bを伸長位置で固定する固定手段8を設けたから、ハンガー部7に吊下げた洗濯物の種類によってと温風吹出口3b・冷風吹出口4bとの距離を最適位置に調整することができ、効率良く洗濯物の乾燥ができるものである。
【0019】
また、物干し具機構Bには基部5を中心に回転する回転腕部9を配置し、支柱6は基部5から側方に伸ばされた回転腕部9の可動端9aの上部に取り付け、回転腕部9によって支柱6とハンガー部7とが基部5を中心に回転するから、空気調和機Aの付近に壁や障害物があって空気調和機Aが移動できないときでも、回転腕部9を回転させることによって洗濯物と壁や障害物との接触を回避できるものである。
【0020】
また、物干し具機構Bの支柱6に回転軸6cを形成し、洗濯物に空気調和機Aの風を当てるとハンガー部7が回転するので、空気調和機Aの風をハンガー部7に吊下げた全ての洗濯物に均等にあてることができ、効率良く洗濯物の乾燥ができるようになった。
【0021】
また、ハンガー部7に吊下げた洗濯物が少ないときや、逆に洗濯物が多いときには、空気調和機Aの風を洗濯物にあてるだけでは回転できないことがあるが、この発明のハンガー部7の折畳み腕7aは平板状部材に所定の角度を設けた風受部7bを形成したものであり、空気調和機Aの風を受ける風受部7bがハンガー部7の回転を補助する働きがあるから、ハンガー部7が確実に回転できるものとなった。
【実施例】
【0022】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、Aは空気調和機、1は空気調和機Aを構成する枠体、2は枠体1内に収納された冷媒圧縮用の圧縮機、3は圧縮機2で圧縮された高温高圧のガス状冷媒が送られるコンデンサ、4は図示しない減圧器で減圧された冷媒が送られるエバポレータであり、冷媒はエバポレータ4に送られて気化し、冷媒の気化熱によって周囲を冷却する。その後エバポレータ4で気化した冷媒ガスは圧縮機2に戻され、再び圧縮機2で加圧された冷媒がコンデンサ3に送られて循環している。
【0023】
3aは室内空気を吸引してコンデンサ3を通過させる温風ファン、3bは枠体1の上面に配置した温風ファン3aの出口と接続する温風吹出口、4aは室内空気を吸引してエバポレータ4を通過させる冷風ファン、4bは枠体1の前面に配置した冷風ファン4aの出口と接続する冷風吹出口であり、温風ファン3aと冷風ファン4aが駆動すると、温風ファン3aの風が温風吹出口3bから吹出し、冷風ファン4aの風が冷風吹出口4bから吹出すものである。
【0024】
圧縮機2で加圧されて高温高圧となったガス状冷媒はコンデンサ3を通過するときに温風ファン3aによって送られる室内空気によって冷却されて液化し、コンデンサ3を通過して高温となった空気は温風吹出口3bから室内に吹出す。また、液化した冷媒がエバポレータ4に送られると、液体の冷媒がエバポレータ4を通過するときに気化するものであり、冷風ファン4aによって送られる室内空気は気化熱によって冷却され、冷風となって冷風吹出口4bから吹出すものである。
【0025】
10はエバポレータ4の下方に設けたドレンパン、10aはドレンパン10の下部に設けたドレンパイプ、11は枠体1内の下部に設けたドレンタンクであり、冷風ファン4aによってエバポレータ4に送られる室内空気は、エバポレータ4を通過するときに空気中に含まれる水分がエバポレータ4の表面に結露してドレン水となり、エバポレータ4の表面に結露したドレン水はドレンパン10に滴下し、ドレンパイプ10aに誘導されてドレンタンク11に溜められる。
【0026】
図に示す実施例は冷風運転と除湿運転の切換機能を備えた冷風除湿機とよばれる兼用タイプの空気調和機であり、12は冷風吹出口4bに可動可能に取り付けたルーバを兼ねる吹出口カバー、13は冷風ファン4aの出口とコンデンサ3の吸込み側とを連絡するバイパス路、14はバイパス路13を開閉する切換弁であり、冷風運転を選択すると吹出口カバー12が冷風吹出口4bを開口し、切換弁14がバイパス路13を閉止するので、エバポレータ4を通過した冷風は冷風吹出口4bから吹出す。一方、除湿運転を選択すると吹出口カバー12が冷風吹出口4bを閉止し、切換弁14がバイパス路13を開口するので、エバポレータ4を通過した冷風はバイパス路13を通ってコンデンサ3に送られ、コンデンサ3を通過して温風吹出口3bから吹出すものであり、冷風機としても、除湿機としても使用できるようになっている。なお、この空気調和機Aは単機能の冷風機や除湿機であっても良い。
【0027】
近年、一人暮らしや共働き等によって昼間に在宅者が不在となる家庭が増加しており、このような家庭においては洗濯物を室内に干すことが多くなっているが、洗濯物を室内に干すと洗濯物の乾燥時間が長くなって臭いや雑菌を発生させる問題があるため、洗濯物を短時間で乾燥させる必要がある。
【0028】
このため、空気調和機を洗濯物の乾燥手段として利用するユーザーが増えており、空気調和機は除湿された乾燥空気を吹出すものであるから、この空気調和機から吹出す乾燥空気を洗濯物にあてることで、洗濯物の乾燥時間が短縮できるものであるが、空気調和機の風を効率よく洗濯物にあてることができる製品の開発がのぞまれている。
【0029】
図1に示す実施例において、Bは空気調和機Aに備える物干し具機構、5は物干し具機構Bの基部、5aは物干し具機構Bを枠体1に取り付けるための基部5に設けた固定手段、5cは固定手段5aに設けたL字状の係止片で構成する第1係止部、1aは空気調和機Aの枠体1の側壁に設けた係止孔であり、物干し具機構Bは基部5に設けた固定手段5aによって空気調和機Aの枠体1の側壁に取付けられ、第1係止片5cのL字状の係止片が枠体1の側壁の係止孔1aに係止して物干し具機構Bが空気調和機Aに固定されている。5bは基部5から下方に伸びる支持脚であり、基部5から下方に伸びる支持脚5bは床面に設置しており、物干し具機構Bは空気調和機Aと支持脚5bとによって支持されている。
【0030】
6は基部5から立ち上げて空気調和機Aの枠体1より背を高くした支柱、7は支柱6の上部に取付けたハンガー部、7aは支柱6の上部に放射状に取付けられたハンガー部7を構成する複数本の折畳み腕であり、この折畳み腕7aの支柱6への取り付け部には支軸が形成されており、この折畳み腕7aは不使用時には折畳まれており、使用時に広げて洗濯物を吊下げることができるようになっている。
【0031】
図1の空気調和機Aは枠体1の温風吹出口3bから除湿された空気が吹出すものであるから、物干し具機構Bのハンガー部7を温風吹出口3bの上方の温風吹出口3bの延長上に位置するように設けている。なお、除湿空気が冷風吹出口4bから吹出す構成のときは冷風吹出口4bの延長上に位置するように設ける。
【0032】
自立式の物干し具機構の場合は、ハンガー部に吊下げる洗濯物によって上部が重くなるため、支持脚の形状を大きくしなければならなかった。このため、支持脚が邪魔になって空気調和機のすぐ近くに設置することができず、空気調和機の風を洗濯物にうまくあてることができなかったが、この発明の物干し具機構Bは空気調和機Aの枠体1に固定されているので、洗濯物をハンガー部7の折畳み腕7aに吊下げれば、温風吹出口3bから吹出す風は洗濯物に向かって吹出すので、除湿後の乾燥した空気を確実に洗濯物にあてることができ、洗濯物を効率よく乾燥することができ、乾燥時間が大幅に短縮できるものとなった。
【0033】
また、物干し具機構Bは空気調和機Aに固定されており、物干し具機構Bは重量のある空気調和機Aと支持脚5bとによって支持されているから安定性が良くなっており、洗濯直後の水分を含んで重くなっている洗濯物をハンガー部7に吊下げても物干し具機構Bが転倒する心配はなく、非常に取扱いやすいものとなった。
【0034】
また、物干し具機構Bは固定手段5aによって着脱可能に取付けられているから、物干し具機構Bを使用しないときには空気調和機Aの枠体1から取外すことができ、空気調和機Aのみ使用できるようになっている。
【0035】
5dは物干し具機構Bの基部5と固定手段5aとの間に設けた第2係止部であり、基部5は第2係止部5dによって固定手段5aに着脱可能に取付けられている。図2に示すように固定手段5aは断面C字状に構成し、この固定手段5aの内径寸法を円柱状の基部5の外径寸法と一致させており、円柱状の基部5が固定手段5bに嵌合することによって第2係止部5dを構成しており、物干し具機構Bの空気調和機Aの枠体1への着脱が簡単にできるようになっている。
【0036】
このように基部5と固定手段5aとの間に第2係止部5dを設けたときは、固定手段5aを枠体1に残したまま物干し具機構Bが着脱可能となるから、図3のように固定手段5aと枠体1との間の第1係止部5cを粘着テープなどで構成して、固定手段5aを枠体1の壁面に貼り付けによって取り付けるとよく、枠体1の側壁に専用の係止孔1aがない空気調和機Aでも物干し具機構Bを取り付けることができ、不使用時には空気調和機Aから取外すことができる。
【0037】
また、空気調和機Aの枠体1に残された固定手段5aに、別の物干し具機構Bを取り付けることができるから、洗濯物の種類に応じて物干し具機構Bを交換することができる。
【0038】
図4に示す実施例において、5eは物干し具機構Bの基部5に着脱自在に設けた補助脚であり、空気調和機Aから物干し具機構Bを取外したときは、物干し具機構Bの基部5に補助脚5eを取り付けることで、物干し具機構Bは支持脚5bと補助脚5eによって自立可能となるので、物干し具機構Bのみ使用することができるものであり、空気調和機Aを使用しないときでも物干し具機構Bが有効に活用できる。
【0039】
6aは基部5に取り付けられた円筒で構成された下部支柱、6dは下部支柱6aの上部に設けられた開口、6bは下部支柱6aの上部の開口6dに取り付けられた伸縮可能な上部支柱であり、円筒状の下部支柱6aの内部には上部支柱6bが収納できる空間が形成されている。8は下部支柱6aの開口6dと上部支柱6bとの間に設けた固定手段であり、上部支柱6bを下部支柱6aから引き出して任意の伸長位置で固定できるようになっている。
【0040】
ハンガー部7は上部支柱6bの上部に取り付けられており、このハンガー部7に吊下げる洗濯物のサイズに合わせて上部支柱6bを伸縮させることで、温風吹出口3bと洗濯物との距離が最適位置となるように調整することができるものであり、洗濯物が小さなものであれば上部支柱6bを短くして洗濯物を温風吹出口3bに近づけることができ、洗濯物が大きなものであれば上部支柱6bを伸ばして洗濯物が温風吹出口3bを塞がないように調整できるから、洗濯物のサイズに関係なく効率良く乾燥ができるものである。また、物干し具機構Bを使用しないときには、上部支柱6bを下部支柱6aに収納しておけば、背を低くしておくことができる。
【0041】
9は基部5の上部に回動可能に取り付けられた回転腕部、9aは基部5から側方に伸ばされた回転腕部9の可動端であり、この回転腕部9の可動端9aの上部に支柱6が取付けられており、支柱6は回転腕部9の回転半径内で基部5を中心に回転させることができるようになっている。
【0042】
空気調和機Aを洗濯物の乾燥に利用するときは、洗面所や浴室の脱衣所などで使用することが多いが、このような場所は狭い空間に洗面台や洗濯機などが設置されているため空気調和機Aが設置できる範囲が制限され、物干し具機構Bのハンガー部7やハンガー部7に吊下げた洗濯物が部屋の壁面や洗面台や洗濯機にあたってしまうときでも、空気調和機Aの位置を変更できないことがあるが、このときは物干し具機構Bの回転腕部9を回転させて支柱6の位置を変更することで、洗面台や洗濯機等の障害物を避けて物干し具機構Bが設置できるので、狭い場所でも空気調和機Aが使用できるものとなった。
【0043】
また、回転腕部9を回転してハンガー部7に吊下げた洗濯物の位置を調整することで、空気調和機Aから吹出す風を乾燥させたい洗濯物に効率良くあてることができるから、洗濯物が短時間で乾燥できるものとなった。
【0044】
6cは支柱6とハンガー部7との間に設けた回転軸であり、回転軸6cはベアリング軸受を備えており、支柱6の上部のハンガー部7が回転できるようになっており、ハンガー部7に洗濯物を吊下げて空気調和機Aを運転を開始し、温風吹出口3bから吹出す風が洗濯物にあたると、この風を受けてハンガー部7が回転軸6cを中心に回転し、ハンガー部7に吊下げた洗濯物が回転するので、温風吹出口3bから吹出す風をハンガー部7に吊下げた洗濯物全てに均等に風をあてることができ、洗濯物の乾燥が短時間で効率良くできるものとなった。
【0045】
実施例の物干し具機構Bは支柱6の上部の一箇所のみにハンガー部7を備えたものであるが、物干し具機構Bには支柱6の上部と中間部の2箇所にハンガー部7を備えたものもあるから、回転軸6cは支柱6の下部と回転腕部9との間に設けて、支柱6とハンガー部7とが一緒に回転する構成にしてもよい。
【0046】
しかしながら、ハンガー部7に吊下げる洗濯物の数が少ないときや、逆に洗濯物の数が多く重量があるときは、洗濯物に風をあてるだけでは回転力が不足し、ハンガー部7がスムーズに回転しないことがある。
【0047】
7bは折畳み腕7aの上部から所定の角度で斜め上方に伸ばした平板状部材で構成する風受部であり、この風受部7bで温風吹出口3bから吹出す風を受けることでハンガー部7に回転力を与えることができ、ハンガー部7は洗濯物がなくても回転できるようになっている。このため、ハンガー部7に吊下げる洗濯物の数が少ないときや、逆に洗濯物の数が多く重量があるときでも、風受部7bの働きによってハンガー部7の回転力を得ることができ、ハンガー部7はスムーズに回転することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施例を示す物干し具機構を備えた空気調和機の断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す物干し具機構を備えた空気調和機の平面図である。
【図3】この発明の他の実施例を示す物干し具機構を備えた空気調和機の断面図である。
【図4】この発明の実施例を示す空気調和機から取外した物干し具機構の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
A 空気調和機
B 物干し具機構
1 枠体
2 圧縮機
3 コンデンサ
3a 温風ファン
3b 温風吹出口
4 エバポレータ
4a 冷風ファン
4b 冷風吹出口
5 基部
5a 固定手段
5b 支持脚
5c 第1係止部
5d 第2係止部
5e 補助脚
6 支柱
6a 下部支柱
6b 上部支柱
6c 回転軸
7 ハンガー部
7a 折畳み腕
7b 風受部
8 固定手段
9 回転腕部
9a 可動端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機Aの枠体1内には、冷媒を圧縮する圧縮機2と、高温のガス状冷媒が送られるコンデンサ3と、液化した冷媒が減圧器を介して送られるエバポレータ4と、コンデンサ3及びエバポレータ4のそれぞれに送風する温風ファン3a・冷風ファン4aと、コンデンサ3の温風ファン3aに接続する温風吹出口3bと、エバポレータ4の冷風ファン4aに接続する冷風吹出口4bとを設け、
前記エバポレータ4で気化した冷媒が圧縮機2に戻される冷凍サイクルを構成する一体型の空気調和機において、
前記空気調和機Aには前記枠体1の側面に固定手段5aを介して取り付けた基部5と、該基部5から下方に伸びる支持脚5bと、基部5から立ち上げた支柱6と、該支柱6の上部に配置した放射状の折畳み腕7aからなるハンガー部7とによって構成する物干し具機構Bを備え、
該物干し具機構Bはハンガー部7が前記温風吹出口3bもしくは前記冷風吹出口4bのいずれかの延長上に位置するように設けたことを特徴とする物干し具機構を備えた空気調和機。
【請求項2】
前記固定手段5aは空気調和機Aの枠体1との間に第1係止部5cを設けると共に、前記物干し具機構Bの基部5との間に第2係止部5dを設け、前記物干し具機構Bは基部5と固定手段5aとの間もしくは枠体1と固定手段5aとの間で着脱可能となっていることを特徴とする請求項1記載の物干し具機構を備えた空気調和機。
【請求項3】
前記物干し具機構Bの基部5には着脱自在の補助脚5eを設け、前記枠体1から取外した物干し具機構Bは支持脚5bと補助脚5eとによって自立可能となる請求項1または請求項2に記載した物干し具機構を備えた空気調和機。
【請求項4】
前記支柱6は前記基部5に取り付けた筒状の下部支柱6aと、この筒状の下部支柱6aの上部に位置する上部支柱6bとによって構成すると共に、前記下部支柱6aは内部に上部支柱6bを収納する空間を備えて伸縮自在の支柱6を形成し、かつ、下部支柱6aと上部支柱6bとの間には上部支柱6bを伸長位置で固定する固定手段8を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した物干し具機構を備えた空気調和機。
【請求項5】
前記基部5と前記支柱6との間には基部5を中心に回転する回転腕部9を配置し、前記支柱6は基部5から側方に伸ばされた回転腕部9の可動端9aの上部に取り付け、支柱6とハンガー部7とが基部5を中心に回転する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載した物干し具機構を備えた空気調和機。
【請求項6】
前記支柱6には回転軸6cを形成すると共に、前記ハンガー部7の折畳み腕7aは平板状部材によって構成し、この平板状部材の折畳み腕7aには所定の角度を設けた風受部7bを形成し、空気調和機Aの風でハンガー部7が回転することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載した物干し具機構を備えた空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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