説明

物干し器のフック

【課題】物干し器のフックを把持して物干し竿等に係止する作業を容易にする。
【解決手段】主フック部11と、該主フック部とは係止方向が逆向きになる副フック部13とを備え、該主フック部は一対の挟持片11a、11bを開閉自在に相互に取着してなり、該副フック部は主フック部に対し上下方向に回動自在に取り付けられ、該副フック部を上方に回動させたときに該副フック部を鴨居等の支持体19に係止させ得るようにした物干し器のフックにおいて、前記副フック部における先端には平坦な手当接部41を形成し、前記主フック部には、該副フック部が下方に回動したときに該副フック部に当接して該副フック部の更なる回動を阻止する下側ストッパー43を備えさせ、副フック部が下方に回動して下側ストッパーに当接したときに該副フック部の手当接部が略水平になるようにしたことを特徴とする物干し器のフック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物干し器のフックに関するものであり、更に詳しくは、洗濯物その他の物を吊るして干すための物干し器において、該物干し器を物干し竿、物干し紐、鴨居等に吊下げるためにこれらの物干し竿、物干し紐、鴨居等に係止するようにしたフックに係るものである。
【背景技術】
【0002】
物干し器のフックとしては、一対の挟持片を開閉自在に相互に取着し、該挟持片をばねにより常時閉じる方向に付勢してなるもの(以下「一般のフック」という。)が既に使用されている。
【0003】
特開2003−24695号公報は、図5に示す如き物干し器のフック(以下「公報記載のフック」という。)を開示している。
【0004】
公報記載のフックは、図5に示すように、主フック部1と、該主フック部1とは係止方向が逆向きになる副フック部3とを備え、該副フック部3は主フック部1に対し上下方向に回動自在に取り付けられている。即ち、副フック部3は基部3aにて回動軸5を介して主フック部1に取り付けられている。
【0005】
公報記載のフックにおいては、主フック部1は物干し竿等に係止され、副フック部3は鴨居等に係止される。
【0006】
公報記載のフックにおいては、副フック部3は係止姿勢と格納姿勢との間で揺動切り替え自在である。係止姿勢は副フック部3を鴨居等に係止する場合の姿勢であり、格納姿勢は副フック部3を主フック部1内に格納する場合の姿勢である。
【0007】
なお、公報記載のフックにおける主フック部1は、一対の挟持片1a、1bを開閉自在に相互に取着し、該挟持片1a、1bをばねにより閉じる方向に付勢してなるものである点においては、上記一般のフックと同様である。
【特許文献1】特開2003−24695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記公報記載のフックを備えた物干し器においては、濡れた洗濯物を吊るした物干し器を物干し竿等に吊下げる際には、例えば、副フック部3を下方に回動させて格納姿勢(図5における鎖線参照)となし、主フック部1における挟持片1a、1bの下端1a’、1b’をばねの力に抗して手で強く把持することにより該挟持片1a、1bを開いた状態で物干し器を持上げ、開口した挟持片1a、1b間に物干し竿、物干し紐等を挟持させるのである。図5、図2参照。
【0009】
しかるに、特に濡れた洗濯物を吊るした物干し器は、かなりの重さがあるため、このような物干し器の主フック部1における挟持片1a、1bの下端1a’、1b’をばねの力に抗して手で強く把持することにより該挟持片1a、1bを開いた状態で物干し器を持上げることは、もともと、作業者に大きな負担を強いるものである。
【0010】
このような状況下にあるにもかかわらず、上記公報記載のフックは、挟持片1a、1bの下端1a’、1b’を上述の如く手で把持する際にフックが手から下方に滑ることを防止する手段を全く備えていない。因みに、副フック部3を下方に回動させて主フック部1内に格納した格納姿勢(図5における鎖線参照)となしたときでも、該副フック部3はフックが手から下方に滑ることを防止する手段にはなり得ない。
【0011】
従って、特に、濡れた洗濯物の場合のように、吊るす物の重量が大きいときには、主フック部1における挟持片1a、1bの下端1a’、1b’を手で把持することにより該挟持片1a、1bを開いた状態で物干し器を持上げる際に、フックが手から下方に滑り落ちやすくなり、手にかかる負担が大きくなるという問題が生ずる。
【0012】
本発明は、上述の如き問題を解決しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、フックにおける副フック部に改良を施したものである。
【0014】
即ち、本発明は、下記の物干し器のフックを提供する。
【0015】
主フック部と、該主フック部とは係止方向が逆向きになる副フック部とを備え、
該主フック部は一対の挟持片を開閉自在に相互に取着し、該挟持片をばねにより常時閉じる方向に付勢してなり、
該副フック部は主フック部に対し上下方向に回動自在に取り付けられ、該副フック部を上方に回動させたときに該副フック部を鴨居等の支持体に係止させ得るようにした物干し器のフックにおいて、
前記副フック部における先端には平坦な手当接部を形成し、
前記主フック部には、該副フック部が下方に回動したときに該副フック部に当接して該副フック部の更なる回動を阻止する下側ストッパーを備えさせ、
該副フック部が下方に回動して下側ストッパーに当接したときに該副フック部の手当接部が略水平になるようにしたことを特徴とする物干し器のフック。
【発明の効果】
【0016】
副フック部を下方に回動して下側ストッパーに当接させておけば、該副フック部の更なる回動が阻止され、該副フック部の手当接部が略水平になる。従って、濡れた洗濯物等の重い物を吊るした物干し器を物干し竿、物干し紐等に吊下げるに当たり、主フック部における挟持片の下端を手で把持することにより該挟持片を開いた状態で物干し器を持上げる際には、副フック部における平坦な手当接部が手の上面に当接する。その結果、濡れた洗濯物の重量が大きいときでも、手にかかる負担が軽減され、フックが手から下方に滑り落ちるおそれも解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、本発明が上記従来技術と共通する点について説明する。
【0018】
本発明の物干し器のフック10は、主フック部11と、該主フック部11とは係止方向が逆向きになる副フック部13とを備えている。
【0019】
主フック部11は一対の挟持片11a、11bを開閉自在に相互に取着し、該挟持片11a、11bをばね15により常時閉じる方向に付勢してなる。符号11a’に示すものは挟持片11aの下端、符号11b’に示すものは挟持片11bの下端である。符号17に示すものは、挟持片11a、11bの回動軸等の回動中心である。
【0020】
副フック部13は主フック部11に対し上下方向に回動自在に取り付けられ、該副フック部13を上方に回動させたときに該副フック部13を鴨居等の支持体19に係止させ得るようになす。符号21に示すものは、副フック部13の回動軸等の回動中心である。
【0021】
副フック部13は、該副フック部13を鴨居等の支持体19に係止させるための係止凹部23を、回動中心21側の基端13aと先端13bとの間に備えている。
【0022】
符号25に示すものは、副フック部13の上方への回動を規制する上側ストッパーである。上側ストッパー25は、一例として、図3に示すように、副フック部13が上方に回動したときに該副フック部13の一部25aが主フック部11における挟持片11aの対応垂直面25bに当接することにより該副フック部13の上方への更なる回動を阻止するようにしてなるものである。なお、上側ストッパー25はこの事例に限られるものではない。
【0023】
符号27に示すものはフック10の基台である。基台27には、紐、ワイヤ、チェーン等の吊り手段29を介してフレーム31を吊下げられ、該フレーム31には洗濯物等を保持するためのピンチ33が多数個取り付けられている。図4参照。図2において符号34に示すものは物干し竿である。
【0024】
以下、本発明が上記従来技術と異なる点について説明する。
【0025】
本発明においては、副フック部13における先端13bには平坦な手当接部41を形成する。
【0026】
手当接部41は、フック10を把持したときに手の上面に当接して手にかかる負担を軽減するに足る広い面積を有するものとする。
【0027】
主フック部11には、副フック部13が下方に回動したときに該副フック部13に当接して該副フック部13の更なる回動を阻止する下側ストッパー43を備えさせる。
【0028】
図示の事例においては、主フック部11の一方の挟持片11aにおける副フック部13に臨む側面を下側ストッパー43となしている。
【0029】
副フック部13が下方に回動して下側ストッパー43に当接したときに該副フック部13の手当接部41が略水平になるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるフックの一例を示す正面図である。
【図2】同上フックを把持した状態を示す正面図である。
【図3】同上フックにおいて副フック部を上方に回動させた状態を示す正面図である。
【図4】同上フックを備えた物干し器の一例を示す正面図である。
【図5】公報記載のフックを示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 主フック部
1a 挟持片
1a’ 下端
1b 挟持片
1b’ 下端
3 副フック部
3a 基部
5 回動軸
10 フック
11 主フック部
11a 挟持片
11a’ 下端
11b 挟持片
11b’ 下端
13 副フック部
13a 基端
13b 先端
15 ばね
17 回動中心
19 支持体
21 回動中心
23 係止凹部
25 上側ストッパー
25a 一部
25b 垂直面
27 基台
29 吊り手段
31 フレーム
33 ピンチ
34 物干し竿
41 手当接部
43 下側ストッパー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主フック部と、該主フック部とは係止方向が逆向きになる副フック部とを備え、
該主フック部は一対の挟持片を開閉自在に相互に取着し、該挟持片をばねにより常時閉じる方向に付勢してなり、
該副フック部は主フック部に対し上下方向に回動自在に取り付けられ、該副フック部を上方に回動させたときに該副フック部を鴨居等の支持体に係止させ得るようにした物干し器のフックにおいて、
前記副フック部における先端には平坦な手当接部を形成し、
前記主フック部には、該副フック部が下方に回動したときに該副フック部に当接して該副フック部の更なる回動を阻止する下側ストッパーを備えさせ、
該副フック部が下方に回動して下側ストッパーに当接したときに該副フック部の手当接部が略水平になるようにしたことを特徴とする物干し器のフック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−44252(P2007−44252A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231770(P2005−231770)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000110756)ニシダ株式会社 (5)