説明

物干し用フック

【課題】 洗濯物を乾燥させる物干し器あるいは衣服、洗濯ハンガーに使用するものであって、吊下げフック部材に挟持部材を回動自在に装着させて、物干竿に対する挟持間隔を一定に保つようにして風などによるガタつきを防止し且つ物干竿から外れないように改良した物干し用フックを提供するものである。
【解決手段】 合成樹脂からなる素材の吊下げフック部材と挟持部材を施した凹凸のみによるストッパー受部と小突起ストパーを設け、鉤部などに滑り止め部を施して金属バネを使用せず部品数を少なくし、同時に物干竿への挟持を簡単で確実にして洗濯物に当る風で吊るした場所から移動して洗濯物が互いに密着して乾燥を遅くしたり、物干竿から外れて洗濯物を汚したりしない物干し用フックを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下着、衣類などを洗濯した後、その洗濯物を干して乾燥させる物干し具であり、物干竿に吊下げる際の掛け外しを容易にして衣服ハンガーや物干し具が風にあおられて吊るした場所から簡単に移動したり物干竿から外れないように改良した物干し用フックである。
【背景技術】
【0002】
この種の掛け具を有するハンガーや物干し具においては、物干竿に当初吊るした場所からずれたり、外れたりしないようにバネを使って物干竿を鋏む機構の物干し具や、吊下げフックの内側に特許文献に示したようにハンガーの主体部の上部に設けた鈎部の内側空間を横切る長脚片と短脚片で構成するV字状の係着部材をボス部により枢着させて、前記の長脚辺と短脚片の弾性の復元力で鈎部の内壁面に圧着させてハンガーを物干竿に係着させるようにしたハンガーの係止装置などが提案されている。
【特許文献1】 特許第2949062号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の物干し具の掛け具においては、洗濯物に当る風で吊るした場所から移動して洗濯物が互いに密着して乾燥を遅くしたり、物干竿から外れて洗濯物を汚したりしないようにするために金属バネ構造による掛け具が知られているが、バネを使用した場合、錆やコストの問題がありシンプルで安価に提供したい製品の場合は使用する各部品も少なく操作の簡単なものが望まれている。
【0004】
特許文献1は叙述の目的で提案されているが係着部材がV字状に突出させた長脚片と短脚片の弾性の復元力で鈎部の内壁面を圧着しているので衣類が乾燥しある程度軽量になった時に短脚片が下方に落ちて外れる虞があり、V字状に形成した係着部材は鋭角な状態で物干竿を挟持することになるので弾性力で弾き返されたり無理にやり押し込んで破損する可能性などあり、また鋼線などのバネ材を用いたり、部品を多くすることは金属の錆やコストアップなどの問題がある。
【0005】
この発明は、金属バネによる錆など発生しない素材を使用し部品数を少なくすると同時に物干竿への挟持を簡単で確実にして、洗濯物に当る風で吊るした場所から移動して洗濯物が互いに密着して乾燥を遅くしたり、物干竿から外れて洗濯物を汚したりしない物干し用フックを提供する。
【発明が解決するための手段】
【0006】
前述した課題を達成するために、この発明は合成樹脂からなる素材で成型した吊下げフック部材の鉤部に略横U字型状した挟持部材の空間部を嵌め込んで回動自在に取付けた挟持部材と吊下げフック部材において、該鉤部の側壁若しくは下方の曲部に突設した突起ピンの近傍にストッパー受部を設け、該突起ピンを前記挟持部材の軸孔に嵌めることで挟持部材が上方に回動することができ、該挟持部材の内側には前記ストッパー受部に接触する位置にストッパーを施して挟持部材が物干竿との挟持幅を一定に保てるようにしたことを特徴とする物干し用フックである。
【発明の効果】
【0007】
吊下げフック部材は湾曲した鉤部と下方の曲部から垂直に延びる延長部と傾斜面を持つ支柱部の根元部に鍔部を設け、該鍔部の下部に軸頭部を成型してあるので衣服ハンガー本体や物干し具本体との連結基台に簡単に連結でき、前記の延長部の先端にある引掛部を鋭角状にして鴨居などに掛けられる。
【0008】
また、吊下げフック部材の曲部両側に突起ピンを突設し、略横U字型状の挟持部材の空間部は該吊下げフック部材の厚み幅より極わずかに広くし軸孔の位置を通り抜けるところまで形成して押え部を設けたので、無理なく該吊下げフック部材を該空間部に挿入して該突起ピンを軸孔に回動自在に嵌着して、該押え部の断面を逆凹状にして傾斜した支柱部より下方に回動しないように挟持部材を装備する。
【0009】
該吊下げフック部材に回動自在に装備してなる挟持部材を物干竿に掛ける場合、挟持部材の開口部に物干竿が入ると該挟持部材が上方に回動して該鉤部が空間部を通りストッパー受部を越えることで該押え部は物干竿の径に応じた位置で固定され、風などによる物干し用フックの上下のガタつきが防止される効果が発揮される。
【0010】
また、物干竿から取り外す時は、上方に回動固定した該挟持部材の押え部を下方へ移動すると該吊下げ部材のストッパー受部を乗り越えて挟持部材が回動して開口部が開き物干竿から容易に外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面に基づいてこの発明に係る物干し用フックについての最良の形態を詳細に説明する。
合成樹脂からなる素材で成型した吊下げフック部材10は、湾曲した鉤部7の中央のストッパー受部11を膨出するように施し、下方の曲部の両側面に突起ピン14を設け、この突起ピン14より垂直に延びる延長部13と前記の曲部から傾斜する支柱部9の根元部6には鍔部26を設けその下部に軸頭部21を形成してあり、この吊下げフック部材10の鉤部7に略横U字型状した挟持部材15の空間部17を嵌め込んで該吊下げフック部材10に突設した突起ピン14を挟持部材15の軸孔18に回動自在に嵌着する。
【0012】
該空間部17の幅は吊下げフック部材10の厚み幅より極わずかに広くして回動操作を妨げないようにしてあり、該挟持部材15の押え部16は傾斜した支柱部9より下方に回動しないようにその断面を逆凹状にして該支柱部9に嵌まるように装備されて物干し用フックAを構成する。
【実施例1】
【0013】
合成樹脂からなる素材の吊下げフック部材10は、湾曲した鉤部7の中央に滑り止部11aを成型して下方の曲部の両側面に突起ピン14を設け、この突起ピン14の近傍にはストッパー受部11′を施し垂直に延びる延長部13と前記の曲部から傾斜する支柱部9の根元部6には鍔部26を設けて、下部に軸頭部21を形成する。
【0014】
該軸頭部21を弾性片23のある旋回筒25の挿入孔24に差込んだ後、該旋回筒25に設けた左右の回転軸22を箱状の連結基台20に嵌装し、前記のストッパー受部11′との接触面に小突起ストッパー12を施した略横U字型状の挟持部材15の空間部17を該鉤部7に嵌め込んで軸孔18に該吊下げフック部材10に設けた突起ピン14を回動自在に嵌着する。
【0015】
該空間部17の幅は吊下げ部材10の厚み幅より極わずかに広くして上下の回動操作を妨げないようにしてあり、該挟持部材15の押え部16は傾斜した支柱部9より下方に回動しないようにその断面を逆凹状にして支柱部9に嵌まるように装備されて物干し器用吊下げ部材Bが構成される。
【0016】
物干し具用吊下げ部材Bの連結基台20には左右前後に長孔19を穿設し、洗濯バサミを多数吊るしてなる長方形状の物干器本体Cを鎖やワイヤー27で以って前記の長孔に通して吊るせるようにして図5の洗濯物干し器を得る。
【0017】
洗濯物干し器を使用する時は、物干し器用吊下げ部材Bの開口部5に物干竿を掛けると該挟持部材15の押え部16が上方に回動し、該空間部17が湾曲した鉤部7を通り、該挟持部材15に設けた小突起ストッパー12がストッパー受部11′に接触しながら該スットパー受部11′を乗り超え、該押え部16が持ち上がり物干竿の下半径の周面を抱えるような状態で保持される。
【0018】
該挟持部材15の空間部17幅を鉤部7より極わずかに広くし、その長さを軸孔18の位置を通り抜けたところまでにして押え部16を形成してあるので、挟持部材15は無理なく回動し小突起ストッパー12を施してあるので風などで押え部16が下方に戻り開口部5が開いて物干竿に掛けた場所から移動したり外れたりする心配がなくなる。
【0019】
また、吊下げフック部材10の下方の曲部から垂直に延びる延長部13は先端にある引掛部8を鋭角状にして鴨居などに掛けられようにしてある。
【0020】
物干竿から取り外す時は、上方に回動固定した該挟持部材15の押え部16を下方へ移動すると小突起ストッパー12はストッパー受部11′を乗り越えて挟持部材15が回動して開口部5が開き、物干竿から簡単に外すことができる。
【実施例2】
【0021】
この発明に係る他の実施例は、衣服ハンガーや洗濯物ハンガーに使用するものであって、ハンガー本体(図示せず)に中央部に弾性片を有する挿入孔を設け、物干し用フックAの軸頭部21を前記の挿入孔に回転自在に装着して使用する。
【0022】
物干し用フックAを一体成型したハンガー本体に装着することで、特許文献1のようなV字状に形成した係着部材における鋭角な状態で物干竿を挟持することはなくなるので弾性力で弾き返されたりして物干竿から外れる虞も全くなく、また鋼線などのバネ材を用いたり、部品を多くすることなくコストアップなどの問題も解消される。
【0023】
この発明は、合成樹脂で成型した凹凸のみによるストッパー受部と小突起ストパーを設け、鉤部などに滑り止め部を施したから、金属バネによる錆なども発生せず部品数を少なくし同時に物干竿への掛け外しを操作を簡単にして物干竿との挟持幅を一定に保ち、洗濯物に当る風で吊るした場所から移動して洗濯物が互いに密着して乾燥を遅くしたり、物干竿から外れて洗濯物を汚したりしない物干し用フックを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る物干し用フックの全体斜視図。
【図2】連結基台を取付けた物干し器用吊下げ部材の全体斜視図。
【図3】挟持部材の空間部を背面から見た斜視図。
【図4】各部材の連結状態を示した物干し器用吊下げ部材の部分断面図。
【図5】この発明に係る物干し用フックを使用した洗濯物干し器の全体斜視図
【符号の説明】
【0025】
5 開口部
7 鉤部
8 引掛部
9 支柱部
10 吊下げフック部材
11 ストッパー受部
12 小突起ストッパー
14 突起ピン
15 挟持部材
16 押え部
17 空間部
18 軸孔
20 連結基台
21 軸頭部
22 回転軸
23 弾性片
25 旋回筒
A 物干し用フック
B 物干し器用吊下げ部材
C 物干器本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂からなる素材で成型した吊下げフック部材の鉤部に略横U字型状した挟持部材の空間部を嵌め込んで回動自在に取付けた挟持部材と吊下げフック部材において、該鉤部の側壁若しくは下方の曲部に突設した突起ピンの近傍にストッパー受部を設け、該突起ピンを前記挟持部材の軸孔に嵌めることで挟持部材が上方に回動することができ、該挟持部材の内側には前記ストッパー受部に接触する位置にストッパーを施して挟持部材が物干竿との挟持幅を一定に保てるようにしたことを特徴とする物干し用フックである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−181301(P2006−181301A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382753(P2004−382753)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000108351)ソーコー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】