説明

物干装置の取付装置

【課題】物干装置のベースをベース座に取り付ける作業において、コスト低減や施工性の向上を図ると共に、強固な取付状態を得ることを課題とする。
【解決手段】物干装置のベース1を、ベース座2の前面から被せるようにあてがい、ベース1上部の外止具6の両側の側板26・26とベース1の両側の側板18・18との間の締付ねじ8・8がベース座2の上端面を通過すると共に、ベース1下部の外止具7の両側の側板29・29とベース1の両側の側板18・18との間の締付ねじ10・10がベース座2の切欠部21・21を通過するようにし、締付ねじ8・8を受部24・24の上方に、締付ねじ10・10を受部22・22の上方にそれぞれ位置させ、ベース1を下方へ移動し、締付ねじ8・8を受部24・24に当接させると共に、締付ねじ10・10を受部22・22に当接させ、締付ねじ8・8及び締付ねじ10・10を締め付けて取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダ手摺や建物壁面等の被取付体に物干装置を取り付けるための物干装置の取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被取付体に物干装置を取り付けるための物干装置の取付装置として、特開平10−137497号発明のように、ベースに設けた取付孔から、ベース座のねじ孔にボルトを螺合して取り付けるものは存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−137497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例においては、物干装置のベースをベース座に取り付ける際に、仮止めできるようにしたとしても、ねじを取り出して螺合して取り付けるのは、作業に手間がかかるという問題や、ねじを落下させて紛失してしまうことがあるという問題があり、また、取付後に物干装置にかかる荷重は、ねじ及びベース座のねじ孔周辺部分が受けることになるが、大きな荷重がかかった場合には、そのねじやベース座のねじ孔周辺部分が変形したり破損したりするという問題があり、本発明は、この問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために、ベースを有する物干装置を、被取付体に固定したベース座に取り付ける物干装置の取付装置において、ベース座は、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状で、両側の側板は、それぞれ内側に傾斜し、相対向する先端縁に開口する切欠部を設けると共に、その下部に切欠部と連続する略U字状の受部を設けて成り、ベースは、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状の取付部を有し、ベースに取り付けられる外止具は、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状で、ベースの底板の内部に、外止具の底板を取り付けて、外止具の両側の側板外面とベースの両側の側板内面との間に隙間を設けるように成し、ベースの両側の側板から締付ねじを挿通して、外止具の両側の側板に設けたねじ孔に螺合し、締付ねじを締め付けることによって外止具の両側の側板を変形させ得るように構成し、被取付体に固定したベース座に、外止具を取り付けたベースを被せるようにしてあてがい、予め外止具に螺合してある締付ねじを、ベース座の切欠部から挿入して下方へ移動させ受部に当接させると共に、両側の隙間にベース座の両側の側板を位置するように成し、締付ねじを締め付けることによって外止具の両側の側板を変形させて、ベース座の両側の側板に圧接させてベースを固定するようにして成るものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明によれば、予め外止具に螺合してある締付ねじを締め付けることによって外止具の両側の側板を変形させて、ベース座の両側の側板に押し付けてベースを固定するように構成したので、物干装置の取付の手間が簡略化されると共に、締付ねじを落下させて紛失してしまうという心配がなく、コスト低減や施工性の向上に資することができるという効果がある。
【0007】
また、ベース座は、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状で、両側の側板を内側に傾斜させてあり、締付ねじを締め付けると、外止具の両側の側板外面がそのベース座の内側に傾斜した両側の側板の内面に接触するので、外れる方向(被取付面から離れる方向)に摩擦だけでなく、斜面により、かかりが生じることになり、使用時に締付ねじやベース座のねじ孔周辺にかかる力が低減され、変形や破損する恐れが減少し、より強固な取付状態が得られるという効果がある。
【0008】
さらに、締付ねじを外さずに緩めるだけで、物干装置を取り外すことができるので、物干装置を着脱するいずれの場合にも、締付ねじを落下させる心配がないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】使用状態を示す全体側面図である。
【図2】ベースとベース座が離れている状態を示す分解斜視図である。
【図3】ベースとベース座が離れている状態を示す縦断面図である。
【図4】ベースをベース座に被せるようにしてあてがった状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の状態からベースを下方へ移動して、締付ねじが受部に当接している状態を示す縦断面図である。
【図6】図5のA−A線拡大断面図(締付ねじを締め付けていない状態)である。
【図7】図6の状態から締付ねじを締め付けた状態の横断面図である。
【図8】ベース部分の分解斜視図である。
【実施例1】
【0010】
本発明は、ベランダ手摺Tに固着ねじ15・15で固着されるベース座2に物干装置のベース1を取り付ける物干装置の取付装置に関するものであり、物干装置は、ベース1に支柱3を摺動可能に取り付け、さらに支柱3上端部に固定した支持具4に、竿受部35・・・35を設けた腕杆5を回動可能かつ摺動可能に取り付けて成るものである。なお、物干装置の詳細な構造については、説明を省略する。
【0011】
ベース1は、押し出し材で、前部に両側外方に突出する被抱持突条33・33を設け、後部にベース座2への取付部16を設けてある。取付部16は、横断面略コ字状で、底板17の両側から側板18・18をそれぞれ外側に傾斜させて立ち上げて構成されている。
【0012】
ベース1の上部に取り付けられる外止具6は、横断面略コ字状の短い部材で、底板25の両側から側板26・26をそれぞれ外側に傾斜させて立ち上げ、両側の側板26・26には、それぞれねじ孔27・27を設けてある。ベース1の下部に取り付けられる外止具7も、同じく、横断面略コ字状の短い部材で、底板28の両側から側板29・29をそれぞれ外側に傾斜させて立ち上げ、両側の側板29・29には、それぞれねじ孔30・30を設けてある。
【0013】
ベース1の上端部にベース上キャップ12を被せ、外止具6を、ベース1の上部に、両側の側板26・26の外側面とベース1の両側の側板18・18の内側面との間に隙間31・31を設けて、底板25をベース1の底板17に固定ねじ9でベース上キャップ12と共に固定する。また同じく、ベース1の下端部にベース下キャップ13を被せ、外止具7を、ベース1の下部に、両側の側板29・29の外側面とベース1の両側の側板18・18の内側面との間に隙間32・32を設けて、底板28をベース1の底板17に固定ねじ11でベース下キャップ13と共に固定する。
【0014】
そして、ベース1の上端部においては、ベース上キャップ12の両外側から、締付ねじ8・8をねじ孔27・27に螺合し、ベース1の下端部においては、ベース下キャップ13の両外側から、締付ねじ10・10をねじ孔30・30に螺合しておく。
【0015】
その後、ベース1の被抱持突条33・33を支柱3の抱持溝34・34で抱持させて支柱3をベース1にスライド可能に取り付け、支柱下キャップ14を固定して物干装置が組み立てられる。
【0016】
ベース座2は、押し出し材で、横断面略コ字状で、底板19の両側から側板20・20をそれぞれ内側に傾斜させて立ち上げて構成されており、底板19には、上下部に被取付体への固着用孔36・36を設け、両側の側板20・20には、上端部に上方に開口するU字状に切り欠いた受部24・24を設け、下部に前方に開口する切欠部21・21を設けると共に、切欠部21・21に連続して上方に開口するU字状の受部22・22を設けてある。さらに、切欠部21・21の上面には下方に突出し内方に折り曲げた当接部23・23を設けてある。なお、上端部の受部24・24は必ずしも必要なものではないし、また、下部の切欠部21・21及び受部22・22を複数設けてもいいものである。
【0017】
ベース座2を被取付体であるベランダ手摺Tに固着ねじ15・15で固着し、組み立てられた物干装置のベース1を、ベース座2の前面から被せるようにあてがい、ベース1上部の外止具6の両側の側板26・26とベース1の両側の側板18・18との間の締付ねじ8・8がベース座2の上端面を通過すると共に、ベース1下部の外止具7の両側の側板29・29とベース1の両側の側板18・18との間の締付ねじ10・10がベース座2の切欠部21・21を通過するようにし、締付ねじ8・8を受部24・24の上方に、締付ねじ10・10を受部22・22の上方にそれぞれ位置させる(図4参照)。
【0018】
そして、そのままベース1を下方へ移動し、締付ねじ8・8を受部24・24に当接させると共に、締付ねじ10・10を受部22・22に当接させ(図5及び図6参照)、締付ねじ8・8及び締付ねじ10・10を締め付けることによって、外止具6の両側の側板26・26及び外止具7の両側の側板29・29を変形させ、ベース座2の両側の側板20・20に圧接させると、ベース座2の両側の側板20・20を、外止具6の両側の側板26・26及び外止具7の両側の側板29・29と、ベース1の両側の側板18・18とで、ベース座2の両側の側板20・20を挟んで、ベース1がベース座2に取り付けられる。
【0019】
また、締付ねじ8・8及び締付ねじ10・10を緩め、下部の外止具7の両側の側板29・29が当接部23・23に当接するまで、物干装置のベース1を上方へ移動させてから、前方へ移動させれば、上部の締付ねじ8・8はベース座2の上方を、下部の締付ねじ10・10はベース座2の切欠部21・21を、それぞれ通過して、物干装置のベース1をベース座2から取り外すことができる。
【0020】
当接部23・23がないと、下部の締付ねじ10・10が切欠部21・21の上端面に当接するまで、ベース1が上方へ移動してしまい、その状態から前方へ移動させると、外止具7の両側の側板29・29の上部の外面がベース座2の両側の側板20・20の内側面に接触し、取り外すことができない。
【0021】
なお、本発明は、物干装置の取付装置に関するものであり、物干装置は、本実施例のものに限定されるものではなく、種々の物干装置に適用できるものであり、例えば、ベースに腕杆を回動可能かつ摺動可能に取り付けたものや、ベースが腕杆と一体になったものでもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 ベース
2 ベース座
7 外止具
10 締付ねじ
17 底板
18 側板
19 底板
20 側板
21 切欠部
22 受部
28 底板
29 側板
30 ねじ孔
32 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースを有する物干装置を、被取付体に固定したベース座に取り付ける物干装置の取付装置において、ベース座は、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状で、両側の側板は、それぞれ内側に傾斜し、相対向する先端縁に開口する切欠部を設けると共に、その下部に切欠部と連続する略U字状の受部を設けて成り、ベースは、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状の取付部を有し、ベースに取り付けられる外止具は、底板の両側から側板を立ち上げた横断面略コ字状で、ベースの底板の内部に、外止具の底板を取り付けて、外止具の両側の側板外面とベースの両側の側板内面との間に隙間を設けるように成し、ベースの両側の側板から締付ねじを挿通して、外止具の両側の側板に設けたねじ孔に螺合し、締付ねじを締め付けることによって外止具の両側の側板を変形させ得るように構成し、被取付体に固定したベース座に、外止具を取り付けたベースを被せるようにしてあてがい、予め外止具に螺合してある締付ねじを、ベース座の切欠部から挿入して下方へ移動させ受部に当接させると共に、両側の隙間にベース座の両側の側板を位置するように成し、締付ねじを締め付けることによって外止具の両側の側板を変形させて、ベース座の両側の側板に圧接させてベースを固定することを特徴とする物干装置の取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−239730(P2012−239730A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114455(P2011−114455)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000148070)株式会社川口技研 (48)