説明

特に伝染性ネコ腹膜炎に対する、ネコヘルペスウイルス1型をベースとした組換え生ワクチン

【課題】ポリペプチドをコードする少なくとも一つのヌクレオチド配列を含み且つ表現するネコヘルペスウイルスをベクターとして含む組換え生ワクチンと、多価ワクチン処方と、ネコヘルペスウイルスDNA断片。
【解決手段】ヌクレオチド配列がORF5および/またはORF2部位中に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組換えネコヘルペスウイルス(herpesvirus felins)から製造される猫用のワクチンと、この組換えウイルスの製造方法に関するものであり、特に、一つまたは複数の異種遺伝子の表現カセットを含むネコヘルペスウイルス組換型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネコの伝染性鼻気管炎はネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)が原因となって起こる。このネコヘルペスウイルス(FHV-1)はアルファヘルペスウイルス属に分類される。ネコ伝染性鼻気管炎は猫の間で流行する疾病であり、実際に、医療を施されたネコには全てこのウイルスの予防接種がなされている。この伝染性鼻気管炎の予防ワクチンはいくつか存在する。これらのワクチンは弱毒された生タイプか、 不活性化タイプ(ウイルス全体または精製サブユニット)のいずれかである。現 在使用されている生ワクチンの弱毒化は細胞株を数世代通過させる繰り返しによって行われるが、その 弱毒化の原因はわかっていない。さらに、これらのワクチンは一般に残留毒性を示し、そのために鼻腔内投与(ウイルスの局部複製の点からこれが好ましい経路であるが)よりも非経口(皮下または筋肉)投与される。不活性化ワクチンは安全性が優れているが、免疫原性が弱いため、満足のゆく防御を誘導するには複数回の注射することが必要である。
【0003】
イエネコはその他の多くの病原にさらされており、ネコ病原体の種々の抗原を表現できるワクチンのベクターの開発で予防接種プログラムを単純化され、効果が改善されてきた。
家ネコの病原の中で従来のワクチンに対して耐性があるものがあり、最もよく知られているものはコロナウイルス(ネコ伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスまたはFIPV)を原因とするネコ伝染性腹膜炎である。
FHV-1ベクターの弱毒化度は局部および/または全体的病状を引き起こさずに口鼻腔経路で猫に投与可能な程度で、ネコの伝染性鼻気管炎および他の病原体の両方に対して防御免疫応答を誘導できるので、このベクターはイエネコの予防接種の分野で目覚ましい進歩を遂げてきた。
多くのFHV遺伝子が挿入部位として提案されている:
【0004】
下記文献にはFHVを含むアルファヘルペスウイルスのRR2部位への挿入を提案している。この特許は七面鳥ヘルペスウイルス(HVTウイルス)のRR2部位への挿入手段を開示している。
【特許文献1】欧州特許出願第0,447 ,303号公報
【0005】
下記文献はヘテロ構造遺伝子表現用のFHV TK-ベクターを提案している。
【特許文献2】国際特許出願第WO-A-90 01547号公報
【0006】
下記文献はFHVウイルスのTK遺伝子中にFeLV遺伝子を挿入したFHVベクターから成るネコ白血病に対するワクチンを提案している。
【特許文献3】国際特許出願第WO-A-93 09238号公報
【0007】
下記文献も参照のこと。
【非特許文献1】R.C .ワードレイ達のJ. Gen. Virol、第73号、1811〜1818頁、1992年およびG.E.Cole達のJ. Virol、第64号、4930〜4938頁、1990年
【0008】
下記文献はgI、gE、US9、US10およびUS11遺伝子中への挿入を提案している。
【特許文献4】国際特許出願第WO-A-94 03621号公報
【0009】
下記文献はgIおよびgE遺伝子から成るゲノム領域に標識の役目をするDNAを挿入することを提案している。
【特許文献5】国際特許出願第WO-A-95 00172号公報
【0010】
下記文献はFHVゲノム中への挿入のための好ましい部位としてgC遺 伝子とHSV-1 UL46遺伝子の相同遺伝子との間に位置するオープンリーディングフレーム(ORF)を提案している。
【特許文献6】欧州特許出願第0,576,092号公報
【0011】
下記文献も参照のこと。
【非特許文献2】M.J.ウィレムス達の1994年遺伝子ウイルス学第75号の3107〜3116頁
【0012】
商業的に入手可能なものを含めて上記従来技術では種々のプロモ ーターが使用されてきており、その中にはHCMV IE(ヒトCMV即時早期型)プロモーター、RSVウイルス(ラウス肉腫ウイルス)のLTR領域のプロモーター配列およびSV40ウイルス早期プロモーターがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は伝染性鼻気管炎に対して猫を免疫化するための生体内で複製可能な弱毒された生FHVワクチンを提供することにある。
本発明の他の目的はFHVをベースとした猫の他の病原体に対しても有効な組換え生ワ クチンを提供することにある。特に、不活性化または弱毒化生ワクチンによるネコ伝染性腹膜炎に対する予防接種の失敗、主として「促進」現象(病状の悪化)による失敗が多く認められているため、FIPに対して本当に有効なワクチンが依然として求められている。ネコ伝染性腹膜炎に対しては満足のゆくワクチンは市販されていないので、本当に有効な組換えFHV-1をベースとするワクチンができれば、それはさらに、例えばネコ白血病、FI Vによるネコ免疫不全症候群あるいはネコ全白血球減少症のような他の猫の疾病に対する有効なワクチンへの道を開くことになる。
本発明のさらに他の目的はネコに口鼻腔経路で有効な予防接種ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願人はFHVゲノムの新しい部分の特性を決定した。これはFHVウイルスゲノムの新しい領域(以後、FHV ORF2およびFHV ORF5とよぶ。実施例3参照)の特性を決定した。これらの領域は上記の目的を満たすことを可能な条件下で異種遺伝子を挿入するのに使用できることが証明された。
従って、本発明の対象はORF5部位および/またはORF2部位中に挿入される、ポリペプチドをコード化する少なくとも一つのヌクレオチド配列を含みかつ表現するネコヘルペスウイルスをベクターとして用いた組換え生ワクチンにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
挿入される配列は抗原性ポリペプチド、さらに好ましくは猫の病原体の抗原性ポリペプチドをコード化するのが好ましい。シトキン等の免疫賦活タンパク質をコード化する配列を挿入することもできる。有利な態様では、シトキン等をコード化する配列と、抗原をコード化する配列とを組み合わせることもできる。必要な場合には、複数のシトキン配列を組み合わせることができ、場合によっては抗原をコードする一つまたは複数の配列と組み合わせることもできる。
【0016】
本発明で新たに特性決定された上記二つの部位への挿入は単純挿入(欠失なしの挿入)にするか、挿入部位として用いたORFを部分的または完全に欠失した後に行うことができる。
本発明の特に好ましい態様では上記二つの部位で挿入および/または欠失を行う。これは組換え型獲得用のFHV-1の有毒な野生型菌株の使用時に特に適している。すなはち、少なくとも一つのヌクレオチド配列を各部位に挿入したり、必要な場合には一つの部位、好ましくはORF5のみに挿入し、他方の部位は全部または一部を欠失することができる。
【0017】
弱毒化ワクチン菌株に多く適用される別の態様では、挿入が二つの部位の一方、好ましくはORF5のみで行われる。 しかし、これに限定されるものではない。
本発明によるネコヘルペスウイルスはFHVウイルス1型が好ましい。
特に、ゲノム領域の配列(ORF1〜ORF8)が配列一覧表で基準となる配列番号SEQ ID No.1で表されるFHV-1 CO菌株を使用することができる(実施例3の表1を参照) 。ORF2部位はヌクレオチド1655から2596の間に位置する。ORF5部位はヌクレオチド5 869から7113の間に位置する。
【0018】
本発明に従ってFHV-1ゲノム中に挿入された異種遺伝子を表現するためには、CM V即時早期型(IE)プロモーターのような強力な真核生物のプロモーターを使用するのが好ましい。CMV IEプロモーターとは実施例に示すような断片および同じプロモーター活性を保存したそのサブユニットを意味する。このCMV IEプロモ ーターはヒトプロモーター(HCMV IE)またはネズミプロモーター(MCMV IE)にするか、その他、例えばラット、モルモットまたはブタから得られたCMV IEプロ モーターにすることができる。
各種プロモーターの制御下でORF2またはORF5部位の一方に少なくとも二つのヌクレオチド配列を挿入することができる。特に種々の種から得られたCMV IEにすることができる。
【0019】
本発明の有利な態様ではCMV IEプロモーターと組み合わせて、別のプロモーターを両プロモーターの5' 末端が互いに隣接する直列構成か、これらプロモーターからの転写が逆方向に行われる構成で挿入領域に二つのヌクレオチド配列を、一つはCMV IEプロモーターの制御下、他方はそれと組み合わせたプロモーターの制御下に、挿入することができる。この構成はCMV IEプロ モーター、特にそのエンハンサー部の存在によって、それと組み合わせたプロモーターによって誘導される転写を強化し得る点において優れている。組み合わせるプロモーターとしては、例えば第1のプロモーターとは異なる種から得られたCMVプロモーターを挙げることができる。また、マレック病ウイルス(MDV)からのRNA1.8のような他のプロモーターの使用も考えられる(G.ブラッドレイ達、J. Virol, 第63号、2534〜2542頁、1989年)。
【0020】
FHVベクター中に挿入される表現すべきヌクレオチド配列は、本発明の好ましい条件下で表現されたときに予防接種を受けた動物に病原体に体する有効な防御を誘導する免疫作用を与えることができる任意の猫病原体の抗原性ポリペプチドコード化配列にすることができる。従って、所与の疾病に有効な抗原をコード化するヌクレオチド配列を本発明に記載の条件下で挿入することができる。
本発明の典型的態様は、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPまたはFIPV)のポリペプチド、好ましくはFIPV Mポリペプチドまたは変更FIPV Sポリペプチドをコード化する少なくとも一つのヌクレオチド配列の挿入である。これによって得られる組換え生ワクチンはネコ伝染性鼻気管炎に対する防御、ネコ猫伝 染性腹膜炎に対する防御ができる。所望であれば、Nタンパク質、7bタンパク質および/またはFIPウイルスのポリメラーゼ(po1B)遺伝子によってコード化されたポリペプチド等のFIPウイルスの別の抗原をコード化する配列を上記配列に加えて、あるいはこれに代えて挿入することもできる。
【0021】
本発明の別の態様では、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、特にネコ免疫不全症ウイルス(FIV)(ジャロット O.達、AIDS、1990年、第4号(付録1)、S163〜S165頁;宮沢T.達、Arch ウイルス学、1994年、第134号、221〜234頁;ドゥ・ロンド A.達、ウイルス 学、1994年、第198号、257〜264頁)のenv、gagおよびpol遺伝子(オスターハウス A.達 、免疫学ジャーナル、1985年、第135号、591〜596頁;クラーク N.達、JAVMA、1991年、 第199号、1433〜1443頁;トムセン D.達、遺伝子ウイルス学、1992年、第73号、1819〜1 824号)、特に、ネコ全白血球減少症ウイルス(FPV)のenv、gagおよびpol遺伝子(カー ルソン J.達、ウイルス学ジャーナル、1985年、第55号、574〜582頁;マーティン J.達、遺伝子ウイルス学ジャーナル、1990年、第71号、2747〜2753頁)、特に、ネコカリシ ウイルス(FCV)のVP2キャプシド遺伝子(ネイル J.達、ウイルス学ジャーナル1991年第 65号5440〜5447頁;カーター M.達、ウイルス学、1992年、第190号、443〜448頁)、特 にキャプシド遺伝子の抗原または抗原の断片をコード化するヌクレオチド配列を挿入する。
【0022】
本発明の典型的な態様は、CMV IEの制御下でFIPウイルスの抗原をコードするヌクレオチド配列と、別のプロモーターの制御下で別のネコウイルス性疾病の抗原(特に上記のもの)をコード化するヌクレオチド配列とからなるワクチンにある。
【0023】
本発明の他の対象は、上記の少なくとも二つの組換え生ワクチンを混合物または混合すべき形態で含む多価ワクチン処方、特に異なる病原体からの異なる挿入配列からなる多価ワクチン処方にある。
本発明のさらに他の対象は、既に述べたように、ORF2およびORF5部位の一方または両方で変更されたFHVウイルスにある。
本発明のさらに他の対象は、上記ワクチンの有効量を非経口または局部経路、好ましくは口鼻腔経路で投与することを特徴とする猫の予防接種方法にある。ワクチンの投与量は、102 CCID50〜107 CCID50の間とする。既に述べたように、ワクチンは一般に口鼻腔経路の1回の投与で有効であるが、複数回の投与を必要とする場合もある。
【0024】
本発明のさらに他の対象は、SEQ ID No.1の位置1〜8193で定義される配列の全部または一部、特に、定義されたORF2およびORF5部位および/またはこれら部位の上流および下流に位置する側面配列(sequences flanquantes)の全部または一部を含むDNA断片にある。この断片は非経口FHVウイルスのゲノムとの相同組換えのための側面アームとして利用できる。本発明はさらに、その他のFHV菌株の同等な配列に相当するそれらの断片の変形例にも関するものである。当業者は選択した挿入(欠失の有無にかかわらず)もしくは欠 失(一部または全部)のタイプに応じて、側面アームの役目をする領域を任意に選択することができる。一般に、側面アームは100〜800の塩基対を有することができる。
以下、図面を参照して本発明を非制限的な実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0025】
ORF2およびORF5部位での構造のためのSEQ IDの配列一覧
SEQ ID No.1 図1に示したFHV-1 ORF1-->ORF8の完全配列
SEQ ID No.2 図1の部分アミノ酸配列ORF FHV-1 ORF1
SEQ ID No.3 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF2
SEQ ID No.4 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF3
SEQ ID No.5 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF4
SEQ ID No.6 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF5
SEQ ID No.7 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF6
SEQ ID No.8 図1のアミノ酸配列ORF FHV-1 ORF7
SEQ ID No.9 図1の部分アミノ酸配列ORF FHV-1 ORF8
SEQ ID No.10 オリゴヌクレオチドJCA054
SEQ ID No.11 オリゴヌクレオチドJCA055
SEQ ID No.12 オリゴヌクレオチドPB080
SEQ ID No.13 オリゴヌクレオチドPB081
SEQ ID No.14 オリゴヌクレオチドPB082
SEQ ID No.15 オリゴヌクレオチドPB083
SEQ ID No.16 オリゴヌクレオチドPB084
SEQ ID No.17 オリゴヌクレオチドPB085
SEQ ID No.18 オリゴヌクレオチドJCA056
SEQ ID No.19 オリゴヌクレオチドJCA057
SEQ ID No.20 オリゴヌクレオチドPB088
SEQ ID No.21 オリゴヌクレオチドPB089
SEQ ID No.22 オリゴヌクレオチドJCA058
SEQ ID No.23 オリゴヌクレオチドJCA059
SEQ ID No.24 オリゴヌクレオチドJCA060
SEQ ID No.25 オリゴヌクレオチドJCA061
SEQ ID No.26 オリゴヌクレオチドJCA062
SEQ ID No.27 オリゴヌクレオチドJCA063
SEQ ID No.28 オリゴヌクレオチドJCA064
SEQ ID No.29 オリゴヌクレオチドJCA065
SEQ ID No.30 オリゴヌクレオチドJCA066
SEQ ID No.31 オリゴヌクレオチドJCA067
SEQ ID No.32 オリゴヌクレオチドJCA068
SEQ ID No.33 オリゴヌクレオチドJCA069
【実施例】
【0026】
プラスミドの構成は全てサンブルック J.らによって記載された標準分子生物学技 術(分子クローニング:研究所便覧第2版、コールドスプリングハーバー研究所、コールドハーバー、ニューヨーク、1989年)を用いて実施した。本発明で使用した制限断片は全て「遺伝子洗浄(Geneclean)」キット(BIO101社、La Jolla、カリフォルニア州 )を用いて分離した。
親ウイルスとして使用するウイルスは、ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)のCO菌株 である。このウイルスは、伝染性鼻気管炎の母親を持つ新生猫からの腎細胞から分離した(C.ブノワ・ジャニン、博士課程第3期論文、リヨン大学、1983年)。このウイルスを培養するための条件は既に記載した(Fargeaud D.達、Arch.ウイルス学、1 984年、第80号、69〜82頁)。簡単に言えば、イーグルの最少必須培地(MEM培地)で培 養されたCRFK細胞(クランデル・リーズネコ腎臓細胞)を感染多重度1を用いたFHV-1 C O菌株で予防接種し、次に、完全な細胞病理作用が現れるまで、感染した細胞を37℃に 約36時間保温する。
【0027】
実施例1
ネコヘルペスウイルス1型からのDNAの抽出
培養後、上澄みと分離した細胞とを回収し、ウイルス懸濁液全体を1000gで10分間+4 ℃で遠心分離して細胞屑を除去する。次に、400,000gで1時間+4℃ の超遠心分離によってウイルス粒子を回収する。最小量の緩衝剤(10mM Tris、1mM E DTA)中でペレットを溶解する。硫酸ナトリウムドデシル(SDS)の存在(最終0.5%)下 で37℃で2時間、この濃縮ウイルス懸濁液をプロテイナーゼK(最終100μg/ml)で 処理する。フェノール/クロロフォルム混合物でウイルスDNAを抽出した後、2容量の無 水エタノールを用いて沈殿させた。−20℃で一晩放置した後、DNAを10,000gで15分間+4℃で遠心分離にかけた。DNAペレットを乾燥させ、最小容量の無菌超純水中で溶解する 。
【0028】
実施例2
FIPV 79-1146菌株からのゲノムRNAの分離と相補DNAのクローニング
FIPV 79-1146菌株をDMEM培地(Gibco)中のCRFKセルで培養した。チオシアン酸グアニ ジウム/フェノール/クロロフォルム抽出方法(Chomczynski P.およびSacchi N.、分析 生物化学、1987年、第162号、156〜159頁)を用いてゲノムウイルスRNAを分離した。特 定のオリゴヌクレオチド(5'末端に、増幅断片のクローニングを促進するための制限部 位を備える)を合成し、これらが、増幅すべき遺伝子の暗号付け領域(それぞれM、S およびN)を完全に覆うようにする。逆転写(RT)反応およびポリメラーゼ鎖反応(PCR )を標準的方法(サンブルック J.ら、1989年)に従って実施した。各RT-PCR反応を特定 アンプリマーを用いて、また、鋳型として、抽出したゲノムRNAを使用することによって 実施した。フェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコール(25:24:1)によっ て、増幅した相補DNAを抽出した後、これを制限酵素で消化した。
【0029】
実施例3
FHV-1 ORF1〜ORF7領域のクローニングと特性決定(EcoRI DおよびEcoRI F断片)
FHV-1ウイルスのCO菌株から精製したゲノムDNAは、EcoRIで消化し、D(約9200bp)お よびF(7600bp)断片をベクターpBlueScript SKII+中でクローニングすることにより、 それぞれプラスミドpFHVEcoRIDおよびpFHVEcoRIFを得た。プラスミドpFHVEcoRIDは、Eco RIおよびPstIで消化し、979bpのEcoRI-PstI断片を分離して、予めEcoRIおよびPstIで消 化していたベクターpBS-SKII+によって連結反応を起こすことにより、プラスミドpPB050 を得た。プラスミドpFHVEcoRIDをPstIで消化し、2388bp PstI-PstI断片を分離して、予 めPstIで消化していたベクターpBS-SKII+によって連結反応を起こすことにより、プラスミドpPB051を得た。プラスミドpFHVEcoRIF、pPB050およびpPB051に含まれるインサート を両ストランド上に完全に配列することにより、図1の配列が得られた(SEQ ID No.1) 。
【0030】
この配列上に、大きさが65個以上のアミノ酸から成るオープンリーディングフレームを確認した(図1)。
第1オープンリーディングフレーム(ORF1)(位置1〜1587)は不完全で、529個のアミノ酸から成る平頭タン パク質をコードする(SEQ ID No.2)。
第2オープンリーディングフレーム(ORF2)(位置1655〜2596)は、314個のアミノ酸から成るポリペプチドを コードする(SEQ ID No.3)。
第3オープンリーディングフレーム(ORF3)(位置2733〜4094)は相補ストランド上に位置し、454個のアミノ 酸から成るポリペプチドをコードする(SEQ ID No.4)。
第4オープンリーディングフレーム(ORF4)(位置4476〜5660)は、395個のアミノ酸から成るポリペプチドを コードする(SEQ ID No.5)。
第5オープンリーディングフレーム(ORF5)(位置5869〜7113)は、415個のアミノ酸から成るポリペプチドを コードする(SEQ ID No.6)。
第6オープンリーディングフレーム(ORF6)(位置7449〜8900)は、484個のアミノ酸から成るポリペプチドを コードする(SEQ ID No.7)。
図1の配列に確認される第7オープンリーディングフレーム(ORF7)(位置9153〜9731)は、193個のアミノ酸 から成るタンパク質をコードする(SEQ ID No.8)。
図1の配列に確認される第8の最後のオープンリーディングフレーム(ORF8)(位置9908〜10803)は不完全である。これは相補ストランド上に位置し、298個のアミノ酸から成る平頭タンパク質をコ ードする(SEQ ID No.9)。
各オープンリーディングフレームは下記の表にまとめてある(表1):
【0031】
【表1】

【0032】
新たに特性決定されたオープンリーディングフレームFHV ORF2は、HSV-1 UL40(RR2)と相同であると考えられる。
【0033】
実施例4
FHV-1 ORF2部位(pPB107)用のドナープラスミドの製造(図2)
プラスミドpFHVEcoRIDをEcoRIおよびSacIIで消化して、1509bpのEcoRI-S acII断片を得た。下記の2つの合成オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成によってPme I部位を含むKpnI-EcoRIアダプターが得られた:
JCA054(24mer)(SEQ ID No.10):
5' CTTGCCGGGGTTTAAACCGGTTCG 3'
およびJCA055(32mer)(SEQ ID No.11):
5' AATTCGAACCGGTTTAAACCCCGGCAAGGTAC 3'
EcoRI-SacII断片と二重ストランドのオリゴヌクレオチドとを予めKpnIおよびSacI Iで消化したベクターpBS-SKII+中で連結反応させることによって、プラスミドpPB106(4 407bp)を得た。下記の二つのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成によりクローニ ング部位HindIII、ClaIおよびApaIを含む二重ストランド合成オリゴヌクレオチドが得られた:
PB080(32mer)(SEQ ID No.12):
5' TGCAAAGCTTATCGATCCCGGGGCCCGGTGCA 3'
およびPB081(32mer)(SEQ ID No.13):
5' CCGGGCCCCGGGATCGATAAGCTTTGCATGCA 3'
このようにして得られたオリゴヌクレオチドを、予めPstI(pPB106上の唯一の部位)で消化したプラスミドpPB106で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することによってプラスミドpPB107(4439bp)を得た(図2)。このプラスミドは、FHV-1 ORF 2部位の5'(SacII-PstI 530bp)および3'(PstI-EcoRI 979bp)側面アームと、表現カセ ットの挿入を可能にする多重クローニング部位とを含んでいる。
【0034】
実施例5
FHV-1 ORF5部位(pPB110)用のドナープラスミドの製造(図3)
プラスミドpFHVEcoRIF(図3参照のこと)をSacIおよびSmaIで消化することによって 、1367bpのSacI-SmaI断片を分離した。下記の二つのオリゴヌクレオチドのハイブリッド 形成により、PmeI部位を含むSalI-KpnIアダプターが得られた: PB082(21mer)(SEQ ID No.14):
5' GGGGGCCGTTTAAACCGGTAC 3'
およびPB083(17mer)(SEQ ID No.15):
5' CGGTTTAAACGGCCCCC 3'
このようにして得られた二重ストランドオリゴヌクレオチドおよびSacI-SmaI断片を、 予めKpnIおよびSacIで消化したプラスミドpBS-SKII+で連結反応させ、プラスミドpPB109 (4247bp)を得た。下記の二つの合成オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成により多重クローニング部位が得られた:
PB082(28mer)(SEQ ID No.16):
5' TCGAGAAAGCTTATCGATCCCGGGCCCG 3'
およびPB085(28mer)(SEQ ID No.17):
5' TCGACGGGCCCGGATCGATAAGCTTTC 3'
このようにして得られた二重ストランドオリゴヌクレオチドを予めSalIで消化したプラスミドpPB109で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することによってプラスミドpPB110(4275bp)を得た(図3参照)。
このプラスミドは、FHV-1 ORF5部位の5'(SacI-SalI 699bp)および3'(SalI-SmaI 66 8bp)側面アームと、表現カセットの挿入を可能にする多重クローニング部位とを含んでいる。
【0035】
実施例6
FIPV M遺伝子用の表現カセットの製造(図4)
FIPV 79-1146菌株からのゲノムRNAと下記オリゴヌクレオチドとを用いて、RT-PCR反応 を実施した:
JCA056(40mer)(SEQ ID No.18):
5' TTTGAGCTCGCGGCCGCATGAAGTAATTTTGCTAATACTC 3'
JC057(27mer)(SEQ ID No.19):
5' TTTGGTACCGTTTAGTTACACCATATG 3'
これによって、SacI-KpnIカセットの形態で膜糖タンパク質(FIPV M)をコードする遺 伝子を精密に分離した。精製後、823bpのRT-PCR生成物をKpnIおよびSacIで消化して、81 3bpのKpnI-SacI断片を分離した。この断片をアームKpnIおよびSacIで予め消化したベクターpBS-SKII+で連結反応させることによってベクターpJCA080(3668bp)を得た。M 遺伝子の配列をシークエンシングで確認し、M遺伝子の配列は既に 発表されているもの(ベヌマ H達、ウイルス学、1991年、第181号、327〜335頁)と同 一であることがわかった。この配列は、本出願に参照として含まれる。
プラスミドpCMVβ(CLONTECH)をEcoRIおよびNotIで消化し、ヒトシトメガロウイルス 即時早期遺伝子のプロモーター領域を含む819bpのEcoRI-NotI断片(断片A)を分離した 。プラスミドpJCA080をKpnIおよびNotIで消化し、804bpのNotI-KpnI断片(FIPV M遺伝 子)(断片B)を分離した。次に、AおよびB断片を予めEcoRIおよびNotIで消化したベ クターpGEM-7Zf+(プロメガ)で連結反応させることによりプラスミドpPB104(4614bp )を得た。
下記オリゴヌクレオチドを用いてPCR反応を実施した:
PB088(30mer)(SEQ ID No.20)
5' TTGGGTACCGCCTCGACTCTAGGCGGCCGC 3'
PB089(32mer)(SEQ ID No.21)
5' TTGGGTACCGGATCCGAAAAAACCTCCCACAC 3'
鋳型pCMVβでSV40ウイルス早期遺伝子のポリアデニル化信号を含む252bp断片を作った。この断片をKpnIで消化し、233bpのKpnI-KpnI断片(断片B)を分離した。次に、この断片をKpnIで予め消化したプラスミドpPB104で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することによりプラスミドpPB105(4847bp)を得た(図4)。このプラスミドは、表現カセットHCMV-IEプロモーター-FIPV M遺伝子-SV40 polyAを含んでおり、このカセットはApaI-ClaIまたはApaI-HindIII消化によって可動化することができる。
【0036】
実施例7
FIPV S遺伝子用の表現カセットの製造(図5)
FIPV 79-1146菌株からのゲノムRNAと下記オリゴヌクレオチドとを用いてRT-PCR反応 を実施した:
JCA058(39mer)(SEQ ID No.22):
5' TTTGAGCTCGCGGCCGCATGATTGTGCTCGTAACTTGCC 3'
JCA059(38mer)(SEQ ID No.23):
5' TTTGGTACCGTTTAGTGGACATGCACTTTTTCAATTGG 3'
これによってスパイク糖タンパク質(FIPV S)をコードする遺伝子(以後“S"と呼 ぶ)を精密分離した。精製後、4387bpのRT-PCR生成物をKpnIおよびSacIで消化して43 75bpのKpnI-SacI断片を分離した。この断片を予めKpnIおよびSacIで消化したベクター pBS-SKII+で連結反応させることによりベクターJCA081(7234bp)を得た。S遺伝子の 配列をシークエンシングによって確認したところ、M遺伝子の配列は既に発表されているもの(グルート R.ら、遺伝子ウイルス学ジャーナル、1987年、第68号、2639〜26 46頁)と同一であることがわかった。この配列は、本出願に参照として含まれる。
プラスミドpCMVβをEcoRIおよびNotIで消化し、ヒトシトメガロウイルス即時早期遺伝 子のプロモーター領域を含む819bpのEcoRI-NotI断片(断片A)を分離した。プラスミド pJCA081をKpnIおよびNotIで消化して、4372bpのNotI-KpnI断片(FIPV S遺伝子)(断片B )を分離した。次に、AおよびB断片を予めEcoRIおよびNotIで消化したベクターpGEM -7Zf+で連結反応させることにより、プラスミドpJCA082(8180bp)を得た。
PCR反応を下記オリゴヌクレオチドを用いて実施した:PB088(SEQ ID No.20)とPB089(SEQ ID No.21)(図6参照)と鋳型pCMVβ。
これによってSV40ウイルス早期遺伝子のポリアデニル化信号を含む252bp断片を作った。この断片をKpnIで消化して、233bpのKpnI-KpnI断片(断片B)を分離した。
次に、この断片を、KpnIで予め消化したプラスミドpJCA082で縛り、アルカリホスファ ターゼで処理することによってプラスミドpPB055(8413bp)を得た(図5)。このプラ スミドは、表現カセットHCMV-IEプロモーター-FIPV S遺伝子-SV40 polyAを含んでおり 、このカセットは、ApaI-ClaI消化によって可動化することができる。
【0037】
実施例8
変性スパイク遺伝子(FIPV S*)の製造
FIPV S遺伝子の配列を突然変異生成にかけ、S糖タンパク質の機能を変えることなく 、抗体の促進誘導の原因となる領域を変更するようにする。この変更は、フランス国特許出願第94 10379号(公開番号2,724,385号、参照として本発明に含まれる)に記 載されており、以下のように実施する。
8.1. A1部位の突然変異生成(図6)
1723bpのHindIII-HindIII FIPV S遺伝子中央断片(ヌクレオチド1696〜3418)を予めH indIIIで消化したベクターpBS-SKII+中にクローニングし、アルカリホスファターゼで処理することによってプラスミドpJCA083(4678bp)を得た。A1部位をこの断片のHindII I-SspI小断片(位置1696〜1845)に位置させる。
A1部位を下記の方法を用いたPCRによって突然変異にかけた。
下記のヌクレオチドを合成した:
JCA060(95mer)(SEQ ID No.24)
5'ATGAAGCTTAGTGGTTATGGTCAACCCATAGCCTCGACACTAAGTAACATCACACTACCAATGCAGGATAACAA TACTGTTGTGTACTGTATTCG 3'
JCA061(88mer)(SEQ ID No.25)
5'AAAAATATTGTACCATAAAGAACTTTTGCAAGTGGAATGAACATAAACTGAGAATTGGTTAGAACGAATACAGT ACACAACAGTATTG 3'
JCA062(20mer)(SEQ ID No.26)
5' ATGAAGCTTAGTGGTTATGG 3'
JCA063(20mer)(SEQ ID No.27)
5' AAAAATATTGTACCATAAAG 3'
【0038】
オリゴヌクレオチドJCA060およびJCA061を、これら共通の23塩基対の相補配列を用いて互いにハイブリッド形成した。このようにして得られたハイブリッドの3' 末端の延長後、オリゴヌクレオチドJCA062およびJCA063を用いたPCR反応用の鋳型として使用した。このPCR増幅反応によって159bp断片を得ることができた。この断片をHindI IIおよびSspIで消化することにより、149bpのHindIII-SspI断片を製造した(断片A)。 この断片は、二つの位置で変更されたA1部位(位置568でAspに代わりVal、位置591でAsp に代わりTyr)を含んでいる。プラスミドpJCA083をHindIIIで消化し、SspIで部分的に消 化して、ジーンクリーン(Geneclean)(BIO101社、La Jolla.、カリフォルニア州)により1569bpのSspI-HindIII断片(断片B)を分離した。
ベクターpBS-SKII+をHindIIIで消化し、アルカリホスファターゼで処理することによ り、C断片(2960bp)を生成する。
【0039】
次に、A、BおよびC断片を一緒に連結反応させてプラスミドpJCA084(4678bp)を 製造した(図6)。このプラスミドはA1部位の二つのアミノ酸について変更されたFIP V S遺伝子のHindIII-HindIII断片を含んでいる。次に、自然HindIII-HindIII断片(位置 1696〜3418)の代わりにプラスミドpJCA084に含まれるHindIII-HindIII断片を用いることによって、FIPV S遺伝子を再構成することができる。このようにして、A1部位で変 更された完全なFIPV S遺伝子を表現プラスミドまたは組換えウイルスの製造のために使用することができる。
【0040】
8.2. A2部位の突然変異生成(図7)
下記のオリゴヌクレオチドを合成した:
JCA064(20mer)(SEQ ID No.28)
5' GGACAATATTTTTAATCAAG 3'
JCA065(36mer)(SEQ ID No.29)
5' TTTAACAACCTGCTCATTGGTTCCTGTACGTGCAGC 3'
JCA066(36mer)(SEQ ID No.30)
5' AAGTTTTATGTTGCTGCACGTACAGGAACCAATGAG 3'
JCA067(36mer)(SEQ ID No.31)
5' ATCACTAACATTTTTAAAGC 3'
【0041】
オリゴヌクレオチドJCA064およびJCA065と、鋳型としてプラスミドpJCA083を用いて、PCR反応(PCR A)を実施し、199bpのPCR断片を合成した(断片A)。
オリゴヌクレオチドJCA066およびJCA067と、鋳型としてプラスミドpJCA083を用いて、PCR反応(PCR B)を実施し、273bpのPCR断片を合成した(断片B)。
46bpの相補領域を用いて、PCR AおよびB断片を互いにハイブリッド形成し、ハイブリ ッド形成によって得られた生成物を3'末端の延長後、オリゴヌクレオチドJCA064およびJ CA067を用いたPCR反応(PCR C)によって増幅することにより、424bpのPCR断片を得た。 このPCR断片をSspIおよびDraIで消化し、402bpのSspI-DraI制限断片(断片C)を得た。
【0042】
プラスミドpJCA083をHindIIIおよびSspIで消化し、149bpのHindIII-SspI断片(断片D )を分離した。
プラスミドpJCA083をHindIIIおよびDraIで消化し、1170bpのDraI-HindIII制限断片( 断片E)を分離した。
ベクターpBS-SKII+をHindIIIで消化し、アルカリホスファターゼで処理することにより断片F(2960bp)を分離した。
【0043】
次に、C、D、EおよびF断片を一緒に連結反応させプラスミドpJCA085(4678bp)を得た(図7)。pJCA085に含まれるFIPV S遺伝子の1723bpのHindIII-HindIII中央断片は、三つのアミノ酸(位置643でAspに代わりTyr、位置649でArgに代わりGly、位置656で Argに代わりにLys)のレベルで変更されたA2部位を備えている。
次いで、天然HindIII-HindIII断片(位置1696〜3418)の代わりにプラスミドpJCA085 に含まれるHindIII-HindIIIを用いることによって断片FIPV S遺伝子を再構成することができる。また、A2部位で変更された完全FIPV S遺伝子を表現プラスミドもしくは組換えウイルスの製造用に使用することも可能である。
【0044】
8.3. A1およびA2部位の突然変異生成(図8)
断片A(実施例8.1)、CおよびE(実施例8.2)を、予めHindIIIで消化したベ クターpBS-SKII+で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することによりプラスミドpJCA085を得た。pJCA085に含まれるFIPV S遺伝子のHindIII-HindIII 中央断片は、 A1部位(実施例8.1)のレベルでの2アミノ酸変更と、A2部位(実施例8.2)のレベルでの3アミノ酸変更を示す。
プラスミドpJCA081(実施例7)をHindIIIで消化し、5511bpのHindIII-HindIII断片( 断片A)を分離した。プラスミドpJCA085をHindIIIで消化し、1723bpのHindIII-HindIII 断片(断片B)(菌株79-1146の配列に対して5アミノ酸変更を示す)を分離した。AおよびB断片を一緒に連結反応させることによりプラスミドpJCA087(7234bp)を得た( 図8)。このプラスミドは、A1およびA2部位のレベルで変更されたFIPV S遺伝子(=FIP V S*遺伝子)を含む。
【0045】
8.4 :FIPV S*遺伝子用の表現カセットの製造(図9)
プラスミドpCMVβをEcoRIおよびNotIで消化し、ヒトシトメガロウイルス即時早期遺伝 子のプロモーター領域を含む819bpのEcoRI-NotI断片(断片A)を分離した。プラスミド pJCA087(実施例8.3)をKpnIおよびNotIで消化し、4372bpのNotI-KpnI断片(FIPV S 遺伝子)(断片B)を分離した。次に、AおよびB断片を予めEcoRIおよびNotIで消化したベクターpGEM-7Zf+で連結反応させることによりプラスミドpJCA088(8180bp)を得た。
PCR反応を下記オリゴヌクレオチドを用いて実施した:
PB088(SEQ ID No.20)とPB089(SEQ ID No.21)(実施例6参照)および鋳型pCM Vβ。
これによってSV40ウイルス早期遺伝子のポリアデニル化信号を含む252bp断片を作った。この断片をKpnIで消化して、233bpのKpnI-KpnI断片(断片B)を分離した。次に、この断片を、KpnIで予め消化したプラスミドpJCA088で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することによりプラスミドpPB056(8413bp)を得た(図9)。 このプラスミドは表現カセットHCMV-IEプロモーター-FIPVS*遺伝子-SV40 polyAを含 んでおり、このカセットは、ApaI-ClaI消化によって可動化できる。
【0046】
実施例9
FIPV N遺伝子用の表現カセットの製造(図10)
FIPV 79-1146菌株からのゲノムRNAと下記オリゴヌクレオチドとを用いて、RT-PCR反応 を実施した:
JCA068(37mer)(SEQ ID No.32):
5' TTTGAGCTCGCGGCCGCATGGCCACACAGGGACAACG 3'
JCA069(33mer)(SEQ ID No.33):
5' TTTGGTACCGTTTAGTTCGTAACCTCATCAATC 3'
これによってヌクレオチドタンパク質“N”(FIPV N)をコードする遺伝子を精密分離した。精製後、1161bpのRT-PCR生成物をKpnIおよびSacIで消化して、1148bpのSac I-KpnI断片を分離した。この断片を、KpnIおよびSacIで予め消化したベクターpBS-SKII+ で連結反応させることによりベクターpJCA089(4007bp)を得た。N遺伝子の配列をシ ークエンシングによって確認したところ、既に発表されているもの(ベヌマ H.ら、ウ イルス学、1991年、第181号、327〜335頁)と同一であることがわかった。この配列は本出願に参照として含まれる。
【0047】
プラスミドpCMVβ(CLONTECH)をEcoRIおよびNotIで消化し、ヒトシトメガロウイルス 即時早期遺伝子のプロモーター領域を含む819bpのEcoRI-NotI断片(断片A)を分離した。プラスミドpJCA089をKpnIおよびNotIで消化し、1137bpのNotI-KpnI断片(FIPV N遺伝子)(断片B)を分離した。次に、AおよびB断片を、予めEcoRIおよびNotIで消化した ベクターpGEM-7Zf+で連結反応させることによりプラスミドpPB090(4953bp)を得た。
PCR反応を下記オリゴヌクレオチドを用いて実施した:
PB088(SEQ ID No.20)と、PB089(SEQ ID No.21)(実施例6)ならびに鋳型pCMV β。
これによってSV40ウイルス早期遺伝子のポリアデニル化信号を含む252bp断片(断 片B)を製造した。この断片をKpnIで消化して、233bpのKpnI-KpnI断片(断片B)を分離した。次に、この断片をKpnIで予め消化したプラスミドpPB090で連結反応させ、アルカリホスファターゼで処理することにより、プラスミドpPB091(5186bp)を得た(図1 0)。このプラスミドは表現カセットHCMV-IEプロモーター-FIPV N遺伝子-SV40 polyA を含んでおり、このカセットはApaI-ClaIまたはApaI-HindIII消化によって起動することができる。
【0048】
実施例10
ドナープラスミドpPB117の製造とvFHV01の分離(図11)
プラスミドpPB105(実施例6、図4)をApaIおよびHindIIIで消化して、1925bpのHindII I-HindIII断片(断片A)を分離した。pPB107プラスミド(実施例4、図2)をApaIおよ びHindIIIで消化して、4419bpのApaI-HindIII断片(断片B)を分離した。次に、Aおよび B断片を一緒に連結反応することにより、プラスミドpPB111(6332bp)を得た(図11) 。プラスミドは、FHV ORF2部位における表現カセットHCMV-IE/FIPV N遺伝子/SV40 pol yAを含む。
プラスミドpPB111をPmeIで消化することによって線状化し、フェノール−クロロホル ム混合物で抽出し、無水エタノールで沈殿させた後、無菌水中に溶解させる。
ペトリ皿(直径4.5cmのコーニング)中によく定着した細胞芝(lawn)を形成するCRFK 細胞のトランスフェクションを下記混合物を用いて実施した:
1μgの線状化プラスミドpPB111と、300μlのMEM培地中のFHV-1からの5μgのウイル スDNAと、300μlの培地で希釈した100μgのリポフェクトアミン(Gibcl-BRL Cat # 1832 4-012)(混合物の最終容量は600μl)。
【0049】
次に、この600μlを3ml(最終容量)のMEM培地 で希釈し、3×106 CRFK細胞に塗布した。混合物を細胞と接触させたまま5時間放置した後に除去し、5mlの培地に代える。次に、細胞を培地中に+37℃で24時間放置する。2 4〜48時間の培養後、1mlの培養上澄みを回収し、この上澄みの希釈溶液を用いて、新しいCRFK細胞(直径4.5cmのコーニングペトリ皿で培養)を感染させ、分離したプラークを 得た。尚、各皿は、初期上澄みの1mlの希釈によって感染している。37℃で1時間接触 させた後、感染培地を除去し、1%のアガロースを含む5mlのMEM培地に代える。このと き、培地は42℃で注ぎ続ける。アガロースが凝固したら、プラークが現れるまで、皿を3 7℃で48時間CO2中で保温した。次に、アガロース層を除去し、培養基として働くペトリ皿と同じ無菌ニトロセルロース膜上にウイルスプラークを移す。この膜自体を、別の ニトロセルロース膜上に移し、第1移動の逆「コピー」を得る。次に、このコピー上に移したプラークに対して、当業者には公知の従来の方法によって、ジゴキシジェニン(D NA標識付けキット、Boehringer Mannheim、CAT# 1175033)で標識付けしたFIPV M遺伝子 の断片とのハイブリッド形成を行った。ハイブリッド形成し、洗浄し、露出培養基との接触後にニトロセルロース膜を放射能写真フィルムと接触させた。この膜上の正の ハイブリッド形成像はどのプラークがFIPV Mカセットを挿入した組換えFHVウイルスを含んでいるかを示していた。これら正のプラークに対応するプラークを第1ニトロセルロース膜から無菌状態で切り取り、0.5mlのMEM培地を含むエッペンドルフ管に入 れ、超音波処理することによって、膜からビリオンを放出させた。次に、エッペンドルフ管に含まれる培地を希釈し、このようにして得た希釈溶液を用いて、CRFK細胞の新しい培養物を感染させた。このようにして、ORF2部位中に挿入したカセットHCMV-IE/FIPV M/polyAを含む組換えウイルス(100%純粋)は、3回の生成サイクル後に分離し、vFH V01と呼ぶ。組換えの相同性を、挿入部位のいずれかの側に位置するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRによって確認した。組換え領域以外での組換えウイルスvFHV01のゲノム上の再配列の不在は、サザンブロット(Southern blot)法により確認した。
【0050】
実施例11
ドナープラスミドpPB112の製造とvFHV02の分離(図12)
プラスミドpPB056(実施例8.4、図9)をApaIおよびClaIで消化し、5466bpのApaI- ClaI断片(断片A)を分離した。pPB107プラスミド(実施例4、図2)をApaIおよびCla Iで消化し、4426bpのApaI-ClaI断片(断片B)を分離した。次に、AおよびB断片を一 緒に連結反応することによりプラスミドpPB112(9898bp)を得た(図12)。プラスミ ドは、FHV-1 ORF2部位における表現カセット(HCMV-IE/FIPV S*遺伝子/SV40 polyA)を含む。
CRFK細胞のトランスフェクションを、プラスミドpPB112(PmeIで線状化)とFHV-1から のウイルスDNAとの混合物を用いて実施した。カセットHCMV-IE/FIPV S*遺伝子用の正の ウイルスプラークを、相同プローブFIPV S*の使用を除いて実施例10と同様に精製し、増 幅して、組換えウイルスvFHV02を得た。
【0051】
実施例12
ドナープラスミドpPB113の製造とvFHV03の分離(図13)
プラスミドpJCA091(実施例9、図10)をApaIおよびHindIIIで消化し、2244bpのApaI- HindIII断片(断片A)を分離した。pPB107プラスミド(実施例4、図2)をApaIおよび HindIIIで消化し、4419bpのApaI-HindIII断片(断片B)を分離した。次に、AおよびB 断片を一緒に連結反応させることにより、プラスミドpPB113(6671bp)を得た(図13)。このプラスミドは、FHV-1 ORF2部位における表現カセット(HCMV-IE/FIPV N遺伝子/ SV40 polyA)を含む。
CRFK細胞のトランスフェクションを、プラスミドpPB113(PmeIで線状化)とFHV-1から のウイルスDNAとの混合物を用いて実施した。カセットHCMV-IE/FIPV N遺伝子用の正の ウイルスプラークを、相同プローブFIPV Nの使用を除いて実施例10と同様に精製し、増 幅して、組換えウイルスvFHV03を得た。
【0052】
実施例13
ドナープラスミドpPB114の製造とvFHV04の分離(図14)
プラスミドpPB105(実施例6、図4)をApaIおよびHindIIIで消化し、1925bpのApaI-H indIII断片(断片A)を分離した。pPB110プラスミド(実施例5、図3)をApaIおよびH indIIIで消化し、4256bpのApaI-HindIII断片(断片B)を分離した。次に、AおよびB 断片を一緒に連結反応させることによってプラスミドpPB114(6169bp)を得た(図14) 。このプラスミドは、FHV-1 ORF5部位における表現カセット(HCMV-IE/FIPV M遺伝子/ SV40 polyA)を含む。
実施例10と同様に、プラスミドpPB114(PmeIで線状化)と、FHV-1からのウイルスDNA との混合物を用いて、CRFK細胞のトランスフェクションを実施した。カセットHCMV-IE/ FIPV M遺伝子用の正のウイルスプラークを、実施例10と同様に精製し、増幅して、組換えウイルスvFHV04を得た。
【0053】
実施例14
ドナープラスミドpPB115の製造とvFHV05の分離(図15)
プラスミドpPB056(実施例8.4、図9)をApaIおよびClaIで消化し、5466bpのApaI- ClaI断片(断片A)を分離した。pPB110プラスミド(実施例5、図3)をApaIおよびCla Iで消化し、4263bpのApaI-ClaI断片(断片B)を分離した。次に、AおよびB断片を一 緒に連結反応させることによりプラスミドpPB115(9735bp)を得た(図5)。このプ ラスミドは、FHV-1 ORF5部位における表現カセット(HCMV-IE/FIPV S*遺伝子/SV40 polyA)を含む。
実施例10と同様に、プラスミドpPB115(PmeIで線状化)と、FHV-1からのウイルスDNA との混合物を用いて、CRFK細胞のトランスフェクションを実施した。カセットHCMV-IE/ FIPV S*遺伝子用の正のウイルスプラークを、相同プローブFIPV S*の使用以外は実施例1 0と同様に精製し、増幅して、組換えウイルスvFHV05を得た。
【0054】
実施例15
ドナープラスミドpPB116の製造とvFHV06の分離(図16)
プラスミドpJCA091(実施例9、図10)をApaIおよびHindIIIで消化し、2244bpのApaI- HindIII断片(断片A)を分離した。pPB110プラスミド(実施例5、図3)をApaIおよび HindIIIで消化し、4256bpのApaI-HindIII断片(断片B)を分離した。次に、AおよびB 断片を一緒に連結反応させることにより、プラスミドpPB116(6508bp)を得た。このプラスミドは、FHV-1 ORF5部位における表現カセット(HCMV-IE/FIPV N遺伝子/SV40 pol yA)を含む。
実施例10と同様に、プラスミドpPB116(PmeIで線状化)とFHV-1からのウイルスDNAと の混合物を用いて、CRFK細胞のトランスフェクションを実施した。カセットHCMV-IE/FI PV N遺伝子用の正のウイルスプラークを、相同プローブFIPV Nの使用を除いて実施例10 と同様に精製し、増幅して、組換えウイルスvFHV06を得た。
【0055】
実施例16
FHV-1のORF2部位への表現カセットの挿入用ドナープラスミドの製造
前述したものと同じORF2部位への表現カセット(HCMV-IEまたはMCMV-IEプロモーターも しくは二重プロモーターMCMV-IE/RNA 1.8kbpの制御下に置かれる遺伝子)挿入方法に従 って、ネコカリシウイルス(FCV)、ネコ全白血球減少症ウイルス(FPV)、ネコ白血病 ウイルス(FeLV)、ネコ免疫不全症ウイルス(FIV)、もしくはその他のネコ病原体、あ るいはまたネコサイトカンを高レベル免疫原で表現する組換えネコヘルペスウイルスを 製造することができる。
【0056】
実施例17
FHV-1のORF5部位への表現カセットの挿入用ドナープラスミドの製造
前述したものと同じORF5部位への表現カセット(HCMV-IEまたはMCMV-IEプロモーターも しくは二重プロモーターMCMV-IE/RNA 1.8kbpの制御下に置かれる遺伝子)挿入方法に従って、FCV、FPV、FeLVまたはFIVウイルス、もしくはその他のネコ病原体、あるいはまたネコサイトカンを高レベル免疫原で表現する組換えネコヘルペスウイルスを製造することができる。
【0057】
実施例18
ワクチンの製造
ワクチンを製造するために、本発明により得られた組換えウイルスをCRFK細胞で培養 する。細胞病理学上の作用が完全になったとき、組換えウイルスを回収する。溶解した細胞と培養上澄みを回収する。細胞溶解物を洗浄して細胞屑を除去した後、ウイルス溶液を滴定する。次に、ウイルス溶液を凍結乾燥用の安定溶液で希釈し、容器ごとに1回のワクチン投与量(102 CCID50〜107 CCID50)を注ぎ、最後に凍結乾燥する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】FHV-1領域(10803の塩基対)の配列と、この配列(ORF2〜ORF8)に存在する各オープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳
【図2】図1の続き
【図3】図1の続き
【図4】図1の続き
【図5】図1の続き
【図6】図1の続き
【図7】図1の続き
【図8】プラスミドpPB107(FHV-1 ORF2部位への表現カセット挿入のためのドナープラス ミド)
【図9】プラスミドpPB110の構成(FHV-1 ORF5部位における表現カセット挿入のためのドナープラスミド)
【図10】FIPV M遺伝子(プラスミドpPB105)用の表現カセットの構成
【図11】FIPV S遺伝子(プラスミドpPB055)用の表現カセットの構成
【図12】FIPV S遺伝子(プラスミドpJCA084)のA1部位の突然変異生成
【図13】FIPV S遺伝子(プラスミドpJCA085)のA2部位の突然変異生成
【図14】FIPV S遺伝子(=FIPV S*)(プラスミドpJCA087)のA1+A2部位の突然変異生成
【図15】変更FIPV S*遺伝子(A1およびA2部位における突然変異)(プラスミドpPB056)用 の表現カセットの構成
【図16】FIPV N遺伝子(プラスミドpJCA091)用の表現カセットの構成
【図17】FHV-1 ORF2部位(pPB111)中へのFIPV M遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成
【図18】FHV-1 ORF2部位(pPB112)中へのFIPV S*遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成
【図19】FHV-1 ORF2部位(pPB113)中へのFIPV N遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成
【図20】FHV-1 ORF5部位(pPB114)中へのFIPV M遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成
【図21】FHV-1 ORF5部位(pPB115)中へのFIPV S*遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成
【図22】FHV-1 ORF5部位(pPB116)中へのFIPV N遺伝子表現カセット挿入のためのドナー プラスミドの構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチド配列がO RF5および/またはORF2部位中に挿入されるヌクレオチド配列であることを特徴とする、ポリペプチドをコードする少なくとも一つのヌクレオチド配列を含み且つ表現するネコヘルペスウイルスをベクターとして有する組換え生ワクチン。
【請求項2】
ヌクレオチド配列がORF5および/またはORF2部位中に単純挿入またはこれら部位の全部もしくは一部を欠失した後に挿入されたものである請求項1に記載の組換え生ワクチン。
【請求項3】
ヌクレオチド配列がORF5またはORF2部位のいずれか一方に挿入され、他方の部位では欠失が行われたものである請求項1に記載の組換え生ワクチン。
【請求項4】
挿入された配列を表現するためにベクターが強い真核生物のプロモーターを有する 請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え生ワクチン。
【請求項5】
強いプロモーターがCMV即時早期プロモーター、好ましくはネズミまたはヒトCMV即時早期プロモーターである請求項4に記載の組換え生ワクチン。
【請求項6】
異なる真核生物プロモーターの制御下でORF5またはORF5中に挿入される少なくとも2つのヌクレオチド配列を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換え生ワクチン 。
【請求項7】
真核生物プロモーターが異なる動物から得られたCMV即時早期プロモーターである 請求項6に記載の組換え生ワクチン。
【請求項8】
CMV即時早期プロモーターと組み合わされた第1のヌクレオチド配列と、別のプロモー ターと組み合わせたもう一つのヌクレオチド配列とを備え、これらプロモーターの5'末 端が互いに隣接する請求項6記載の組換え生ワクチン。
【請求項9】
抗原ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、この配列がORF5および/またはORF2部位中に挿入されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換え生ワク チン。
【請求項10】
ネコ病原体の抗原ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、この配列 がORF5および/またはORF2部位中に挿入される請求項9に記載の組換え生ワクチン。
【請求項11】
ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全症ウイルス、ネコ伝染性全白血球減少症ウイルス、ネコカリシウイルスの抗原からなる群の中から選択される抗 原をコードする配列を含み、この配列がORF5および/またはORF2部位中に挿入される 請求項10に記載の組換え生ワクチン。
【請求項12】
FIPVから得られたポリペプチドM、変性SまたはNをコードするヌクレオチド配列の中から選択されるヌクレオチド配列を含み、この配列がORF5および/またはORF2部位中 に挿入される請求項10に記載の組換え生ワクチン。
【請求項13】
ネコ白血病ウイルスの env、gag および pol抗原、ネコ免疫不全症ウイルスのenv、gag およびpol抗原、ネコ伝染性全白血球減少症ウイルスのカプシド抗原、ネコカリシウイル スのカプシド抗原、ネコ伝染性腹膜炎ウイルスの抗原M、変性S、N、7b、ポリメラーゼに対応する各配列からなる群の中から選択される少なくとも一つのヌクレオチド配列を含む請求項10に記載の組換え生ワクチン。
【請求項14】
CMV即時早期プロモーターの制御下で挿入されるヌクレオチド配列が、FIPVウイルスから得られたM、Nまたは変性Sポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であり、組み合わせたプロモーターの制御下で挿入されるヌクレオチド配列が別の疾病に対する抗原をコードするヌクレオチド配列である請求項8および12を組み合わせた組換え生ワクチン。
【請求項15】
免疫賦活ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含み、この配列がORF5お よび/またはORF2部位中に挿入される請求項1〜14のいずれか一項に記載の組換え生ワクチン。
【請求項16】
上記ヌクレオチド配列がサイトカンをコードする配列を含む群から選択される 請求項15に記載の組換え生ワクチン。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に定義の少なくとも2つの組換え生ワクチンを混合物または混合される形態で含む多価ワクチン処方物。
【請求項18】
配列SEQ ID No.1上の位置1〜8193で定義される配列の全部または一部を含むことを特徴とするDNA断片。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項に記載のワクチンまたはワクチン処方物の有効量を非経口または局部経路で投与することを特徴とする猫の予防接種方法。
【請求項20】
口鼻腔経路で投与する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
102〜107DICC50のワクチン投与量を投与する請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
ワクチンの投与が1回だけである請求項19〜21に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列SEQIDNo.1のヌクレオチド1〜8193中の100のヌクレオチドを含む単離されたDNA分子
【請求項2】
配列SEQIDNo.1のヌクレオチド1〜8193を含む単離されたDNA分子
【請求項3】
配列SEQIDNo.1のヌクレオチド1〜8193である単離されたDNA分子

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−320337(P2006−320337A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221192(P2006−221192)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【分割の表示】特願平9−520224の分割
【原出願日】平成8年11月19日(1996.11.19)
【出願人】(503365659)
【Fターム(参考)】