説明

特に内燃機関の吸気に用いられる流体濾過用のフィルターエレメント

a.中空筒状、特に星形に畳まれた、フィルター媒体(2)と、b.排出側端部ディスク(3)及び第2端部ディスク(4)と、c.前記フィルター媒体の内部(6)に設けられた中空筒状の支持格子(5)とからなる流体濾過用のフィルターエレメント(1)、特に内燃機関の吸気に用いられるエアーフィルターエレメントであって、前記フィルター媒体の排出側端部の前記支持格子が、前記フィルターエレメントをフィルターハウジング、特にフィルターハウジングの排出ソケットに接合するためのカップリング要素(7)が設けられた接合区域(11)を有し、前記支持格子(5)が、前記接合区域(7)に、径方向外側に突出するとともに前記フィルター媒体の排出側端面(9)を部分的に越えて突出する環(8)を有し、前記排出側端部ディスク(3)が、前記フィルター媒体(2)の前記排出側端面(9)及び前記環(8)を取り囲むとともに環状の軸シール(10)を有する
ことを特徴とするフィルターエレメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーム1の前提部に記載の流体濾過用のフィルターエレメント、特に内燃機関の吸気に用いられるもの、及びエアーフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2008/015100A1公報は、径方向に分割されたハウジング内のフィルターエレメントであって、前記フィルターエレメントの端部ディスクには前記フィルターエレメントをハウジング部に接合するための接合要素が設けられるとともに、前記ハウジング部が前記フィルターエレメントによってそれぞれの位置に固定されているフィルターエレメントを開示している。この構成によれば、部品の許容値の要求度、特に軸方向の許容長さが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、許容値条件を改善し、信頼性のある封止動作を確実のものとするフィルターエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は請求項1の特徴を有するフィルターエレメントによって達成される。
【0005】
本発明のフィルターエレメントは、中空筒状、特に星形に畳まれたフィルター媒体と、排出側端部ディスクと、第2端部ディスクと、前記フィルター媒体の内部に配置された中空筒状の支持格子(中央管と記載する場合もある)とからなる。前記支持格子は、好ましくは前記中空筒状のフィルター媒体の内壁に支持され、排出側端部ディスクから第2ディスクに延伸する。
【0006】
本発明によれば、前記支持格子は、前記フィルターエレメントの前記排出側端部に接合区域を有し、その中では前記フィルターエレメントをフィルターハウジング、特にフィルターハウジングの排出ソケットに接合するためのカップリング要素が前記支持格子に設けられる。前記カップリング要素は、好ましくは内側径方向に配置され、特に、例えばねじ山またはバヨネット式の閉塞のような緩み止めされた態様とされる。また、外部のねじ山または外方向に配置されたバヨネット式の閉塞も可能である。代わりに、スナップ式接合または挟持式接合を設けてもよい。
【0007】
本発明によれば、前記支持格子は前記接合区域に、径方向外側に突出するとともに前記フィルター媒体の前記排出側端面を部分的に超えて突出する環を有する。前記環は、前記フィルター媒体の排出側端面とともに、前記排出側端部ディスクによって取り囲まれ、端部ディスクの材料としては弾性的に変形可能なプラスチック材料、特にポリウレタン(PUR)が用いられる。前記排出側端部ディスクは、フィルターハウジング内にて未処理側と清浄側とを分離する環状軸シールを有する。前記軸シールは、好ましくは環状軸方向突起として前記排出側端部ディスクと一体的な態様とされ、前記フィルターエレメントの組み立ての際にはハウジング内で圧縮される。
【0008】
本発明においては、前記フィルター媒体の排出側端面は、前記フィルターエレメント内で前記環に直接支持されず、反対に、好適な態様として、それからわずかに離間させることができる(例えば、約0.5〜5mm、特に0.5〜2mm)。これには前記フィルター媒体の許容長さがフィルターエレメント全体の長さに影響を与えないという利点がある。さらには、前記端部ディスク材料による前記環の完全な取り囲みが提供されるというところに利点がある。
【0009】
好適な態様では前記フィルターエレメントは、支持格子の端部ディスク区域内にまたは端部ディスクに直接、カップリング要素としてのねじ山の突起、特に円錐形のねじ山を有している。ねじ山の突起の円錐形の態様及びそれに対応するねじ山が設けられたハウジング内の孔により、前記エアーフィルターエレメントが前記ハウジング要素に押し当てられた際に自己センタリング機能が提供される。そのため、複数のねじ山をお互いに係合させ、これにより軸力に対してねじ山接合による高い強度を提供するに際して、比較的小さな角度の回転で十分となる。
【0010】
なお、移動用のねじとしてよく適しており、汚れ耐性があり、そして特に容易に動かせる鋸歯ねじ山を採用することが好適であることが見出されている。例えば、円錐状の鋸歯ねじ山においては、直径約100mmであれば2から5、好ましくは3周のねじ山を有するものが適している。1つの態様では、ねじ山が円錐の角度で約3〜12度、好ましくは3+/−0.5度で配置される。
【0011】
好適な態様においては、前記接合区域は一方の端部にフィルターハウジングに当接するための軸方向当接面を有している。このため、組み立て時に前記フィルターエレメントの端部位置が前記支持管の大きさにより実質的に決定される。前記シールは接合区域の形状により許容される程度に正確に変形される。このため、前記フィルターエレメントの位置は軸シールの許容硬さや許容サイズに依存しない。
【0012】
1つの態様においては、前記排出側端部ディスクの材料は前記支持格子の材料よりもショア硬さが小さい。
【0013】
好適な態様では、前記軸シールは径方向位置に関して前記環の区域に配置される。このため、ハウジング内のフィルターエレメントを挟持することにより発生する力が環に働きそれに支持される。このため、前記端部ディスク材料と前記フィルター材料または支持格子材料との間の接合箇所におけるせん断力を回避することができる。
【0014】
別の好適な態様では、環とフィルター媒体の端面との間に空隙が設けられ端部ディスク材料によって埋められている。この場合、軸シールで発生した力がフィルター媒体に伝達することを最小にすることができる。
【0015】
1つの態様では、前記環は格子として形成される。このため、前記端部ディスク材料は前記環に浸透することができる。これは環と端部ディスク材料との間の接合の耐荷重を改善するという利点を有する。
【0016】
1つの態様では、軸シールは、挟持されていない状態では、軸方向当接面を越えて突出している。フィルターエレメントを組み立てる時、前記シールは、非挟持状態におけるその高さに依存せず、前記当接面の高さにまで圧縮される。
【0017】
1つの態様では、前記ハウジングのシール面は、同時に、支持格子の当接面のための受け部として働く。
【0018】
好適な態様では、環は、中心軸と平行に延びる第1セクションと、中心軸から直角に延びて前記第1セクションに隣接する第2セクションとからなる。このため、これらのセクションはフィルター媒体の排出側端面の内側端部を取り囲む角部を形成する。
【0019】
別の好適な態様では、前記第1セクションが支持格子の接合区域に対して平行に、かつ空間を保ちながら延伸する。このとき、環状に延伸する網、または周方向に配置された複数の網を用いて接合することが好適となる。この場合、端部ディスクの材料が支持格子の主部と接触しない、または接合区域と接触しないように前記環を前記排出側端部ディスク内に埋め込むことができる。これは、例えばポリウレタン(PUR)のように未加工状態では流動性がある材料から、鋳造、特に鋳型により製造され、このようにフィルター媒体と環に接合された端部ディスクにおいては特に好適である。
【0020】
1つの態様では、第2端部ディスクは閉塞された態様である。
【0021】
好適な態様では、第2端部ディスクはフィルターエレメントをハウジング部と接合するための接合要素を有している。接合要素は、特にバヨネット式の閉塞、ねじ山、スナップ式、または固定式接合の態様とされる。第2端部ディスクは、好ましくは排出側端部ディスクと比較して硬い材料(例えばPP、PE、PA)から、好ましくは射出成型により製造される。
【0022】
スナップ式接合を設けることも可能であり、特に環状のスナップ式接合ではフィルターエレメントとハウジング底部またはカバーとがサービスの際には非分離式のユニットとして交換される場合には特に好適となる。その場合、フィルターエレメントは、分離可能または分離不可能に、ハウジング部に固定されることが好ましい。
【0023】
本発明はさらに、前記請求項の1つに基づく、径方向に分割可能なハウジングとこれに挿入されうるフィルターエレメントを有するエアーフィルターユニットであって、前記ハウジングが固定アンカー要素によって相互に軸方向に接合される少なくとも二つのハウジング部を有し、前記固定アンカー要素がフィルターエレメント、特に支持格子により形成されることを特徴とするエアーフィルターユニットに関する。
【0024】
フィルターエレメントとエアーフィルターユニットの好ましい態様では、ハウジング底部またはカバー上の接合要素の区域に、接合要素と係合する少なくとも1つの径方向に摺動可能な固定要素が設けられ、接合要素は、エアーフィルターエレメントの端部ディスク上の棚部に形成された溝、逃げ溝、その他の係合凹部であり、フィルターエレメントがハウジング部と緩まないように固定される。
【0025】
エアーフィルターエレメント上の係合凹部が連続的な溝として設けられた限りにおいては、ハウジング部に対するフィルターエレメントの位置取りはどのような位置でも可能となる。
【0026】
好ましい態様では、ハウジング部間の境界面では繋止または固定要素は設けられない。このため、摺動可能な固定要素によっては、フィルターエレメントの挿入なしではハウジングを保持することができず、したがってエアーフィルターエレメントなしではフィルターユニットの作動が不可能となる。
【0027】
別の好適な形態では、例えば、糊付け、ねじ止め、スナップ式、溶接による接合、また好ましくは、硬化時に第2端部ディスクをフィルター媒体及び支持格子に緩まないように接合するとともに、フィルター媒体の第2端面を密封するポッティング混合物、例えば、溶融接着剤またはポリウレタン(UR)フォームにより、第2端部ディスクは支持格子に対し、固定的に接合され、その軸方向位置が定められる。この場合、端部ディスクの内側が支持格子に直接支持されることが好適である。
【0028】
支持格子を第2端部ディスクに固定的に接合することには、フィルターエレメントの支持格子を、径方向、すなわちフィルターエレメントの中心軸に対して垂直方向に分割されて、分離したハウジング部を有するフィルターハウジングの固定アンカーとして用いることができるという利点がある。このため、ハウジングの閉塞要素または固定アンカー要素は不要となる。このため、ハウジング部が分かれ落ちてしまうために、本発明のフィルターエレメントの挿入なしではハウジング部の接合が不可能であるということが、利点として効果的に保証される。したがって、意図的にまたは不注意によってエアーフィルターエレメントが挿入されていないエアーフィルターユニットを作動させることは全く不可能である。
【0029】
さらなる利点としては、第2端部ディスクを支持格子に固定的に接合することにより、フィルターエレメントの全長、したがって特に軸方向当接面と第2端部ディスクの接合要素との間隙を、排出側端部ディスクの端部ディスク材料の材質の変動やフィルター媒体の許容長さには依存せずに最小の許容値をもって設けることができる。
【0030】
このため、支持管の軸長のみが第2端部ディスクと接合されたハウジング部の位置に対して影響を与えることとなる。第1排出側端部ディスクまたはフィルター媒体の許容長さは、何の影響もないままである。なぜなら、第1に、フィルターエレメントの軸方向位置はカップリング要素または支持格子の接合区域によって定められ、また、第2に、第2端部ディスクの接合要素の軸方向位置は支持格子の長さによって定められるからである。
【0031】
本発明の他の特徴は、明細書と図面によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明のフィルターエレメントの1つの態様の断面図である。
【図2】図2は、本発明のエアーフィルターユニットの1つの態様の部分断面図である。
【図3】図3は、本発明のエアーフィルターエレメントの詳細な断面図である。
【図4】図4は、本発明のエアーフィルターユニットの接合区域についての詳細図である。
【図5】図5は、本発明のエアーフィルターユニットの等角投影断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示されるフィルターエレメント1は、星形に畳まれた中空筒状のフィルター媒体2と、排出側端部ディスク3と、第2端部ディスク4と、フィルター媒体2の内部6に配置された中空筒状の支持格子5とからなる。支持格子5は、好ましくは中空筒状のフィルター媒体2の内壁に支持され、排出側端部ディスク3から第2端部ディスク4まで延伸している。支持格子5はフィルターエレメント1の排出側端部に接合区域11を有しており、そこが内側のねじ山として形成されたカップリング要素が設けられた支持格子の端となっている。
【0034】
支持格子は、例えばPP、PE、PAなどのプラスチック材料から射出成型で製造され、接合区域11には環8を有し、それは径方向外側に延び、フィルター媒体2の排出側端面9を部分的に越えて突出している。この環は、フィルター媒体の排出側端面9とともに、好ましくは弾性変形可能なプラスチック材料、特にPURフォームからなる排出側端部ディスク3によって取り囲まれている。排出側端部ディスク3は、フィルターハウジング内の清浄側から未処理側を分離するための環状軸シール10を有している。軸シール10は好ましくは排出側端部ディスク3とともに一体的に形成された環状軸方向突起であり、フィルターエレメントの組み立て時にはハウジング内で圧縮される。
【0035】
フィルター媒体の排出側端面9は環に直接支持されてはいない。これには端部ディスクの製造によるフィルター媒体の許容長さを相殺できるという利点がある。好適なことに環8とフィルター媒体の端面9との間には空隙が設けられ、それは端部ディスク材料で埋められている。このため、軸シールで発生し、フィルター媒体に伝達される力を最小にすることができる。
【0036】
接合区域11は、その端部にフィルターハウジングに支持される軸方向当接面12を有している。このため、フィルターエレメント1を組み立てる際、その端部位置が支持格子の大きさによって実質的に定められる。シール10は接合区域11の形状によって許される程度に変形する。このため、フィルターエレメント1の位置は軸シールの許容硬さ及び許容サイズには依存しない。
【0037】
軸シール10は環8の区域内で径方向位置に対して位置決めされる。このため、フィルターエレメントをハウジング内で挟持することにより発生した力は環8に働き、後者により支持される。このため、端部ディスク材料3とフィルター材料または支持格子材料との間のせん断力を回避することができる。
【0038】
環は、中心軸と平行に延びる第1セクション13と、前記第1セクションに隣接して中心軸と垂直に延びる第2セクション14とからなる。このため、これらのセクションは、フィルター媒体の排出側端面9の内側端部を取り囲む角部を形成する。
【0039】
環8は格子の態様である。このため、端部ディスク材料が環8に浸透することができる。これには環と端部ディスク材料との間の接合の耐荷重を改善するという利点がある。
【0040】
第1セクション13は、支持格子の接合区域11と平行かつ空間を保って延伸している。この状況では、環状で周方向に延びる網または接合区域11に対して周方向に配置された複数の網によって好適に接合される。このため、端部ディスクの材料が支持格子5の主部や接合区域11に接合しないように環を排出側端部ディスク3の中に埋め込むことができる。これは、このようにしてフィルター媒体及び環と接合されるとともに、ポリウレタン(PUR)のように未加工状態では流動性がある材料から、鋳造、特に鋳型によって製造された端部ディスクの場合に特に好適である。環の第2セクション14は第1セクション13に隣接し、径方向外側に延びている。
【0041】
環の第1セクション13及び第2セクション14は、端部ディスク材料または端部ディスク3内に埋め込まれているにも関わらず、支持格子に対する環の第1セクション13の径方向の空間により、端部ディスクと支持格子との間には接合がない。このため、端部ディスクは単純な環状鋳型で鋳造することができる。
【0042】
軸シール10は、非挟持状態では軸方向当接面12を越えて突出している。フィルターエレメントの組み立て時には、シールは、非挟持状態でのその高さには依存せず、当接面の高さにまで圧縮される。
【0043】
この場合、ハウジングのシール面は、同時に支持格子の当接面12の受け部として機能する。
【0044】
第2端部ディスク4は閉塞された態様となっており、フィルターエレメントをハウジング部と接合するための接合要素15を有し、接合要素15はフィルターエレメント1の第2端部ディスク4の棚部に形成されている。接合要素は特に、径方向に摺動可能となるようにハウジングに配置された固定要素によって係合されうるとともに、少なくとも部分的に周方向に延びる溝16という態様にすることができる。この場合、第2端部ディスクは、好ましくは排出側端部ディスクと比較して硬い材料(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PEs)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA))で作ることができ、好ましくは射出成型により作られる。
【0045】
別の好適な態様では、第2端部ディスク4は、例えば、接着または溶接、好ましくは、硬化時に第2端部ディスクをフィルター媒体及び支持格子に緩まないように接合するとともに、フィルター媒体の第2端面を密封するようなポッティング混合物、特に清浄側端部ディスクと同じ材料のものにより、支持格子に固定的に接合される。
【0046】
支持格子と第2端部ディスクとの接合には、フィルターエレメントの支持格子を軸方向に分離されたハウジング部を有するフィルターハウジング内の固定アンカーとして用いることができるという利点がある。このため、ハウジングの閉塞要素または固定アンカー要素が省略できる。このため、ハウジング部が分かれ落ちてしまうために、本発明の態様のフィルターエレメントの挿入なしではハウジング部の接合が不可能であることが効果的に保証される利点がある。したがって、意図的または偶然であってもエアーフィルターエレメントの挿入なしではエアーフィルターユニットを作動させることができない。さらなる利点としては、第2端部ディスクと支持格子との固定的な接合により、フィルターエレメントの全長、したがって特に軸方向当接面と第2端部ディスクの接合要素との間の空隙を、排出側端部ディスクの端部ディスク材料の材質の変動に依存せず、かつフィルター媒体の許容長さに依存せずに、最小の許容値をもって設けることができる。
【0047】
図2は、エアーフィルターユニット内に取り付けた状態のフィルターエレメント1を示す。エアーフィルターユニット100は、フィルターエレメント1と、第2エアーフィルターエレメント17と、さらに、エレメントが収容されるハウジング101とからなる。ハウジング101は、ハウジング底部要素103とハウジングカバー102とからなる。ハウジングカバー102はハウジング底部要素103に押し込んで取り付けることができる。ハウジング底部要素は、好適な態様では、底部103aと、排出ソケット105が配置された排出部103bとからなる。ソケット部103aと排出部103bは、射出成型部として一体的な態様であっても、分離した部品であって、溶接、特にレーザー、摩擦、回転、または振動溶接によって密封的に接合された態様であってもよい。第2エアーフィルターエレメント17は、好ましくは中央管18からなり、排出ソケット105に挿入され、これに対して径方向シール20によって密封される。
【0048】
接合要素15の区域では、対向して配置され、径方向に摺動可能な2つの固定要素104がハウジングカバー102に設けられ、フィルターエレメントがハウジングカバー102に緩まないように固定されるように接合要素15の溝16と係合している。好ましくは、固定要素104はレバー106によって動かされ、固定される。
【0049】
溝16が連続的に延びるように構成される限りにおいては、フィルターはハウジングカバー102に対してどのような位置にも配置することができる。
【0050】
図3は、フィルターエレメント1の、ハウジングカバー102との接合区域の部分図を示す。2つの固定要素104は互いに反対に配置され、図示された終端位置で第2端部ディスク4の溝16に係合している。ハウジングカバー102は、この目的のため、それぞれの固定要素104用のスロット状開口部107を有し、これにより固定要素104がハウジングの内部に突出できる。接合を外すにあたっては、レバー106は持ち上げられ、これにより、固定要素104が溝16より引き出される。ハウジングカバー102は、フィルターエレメントに対向するとともに、組み立て時はその中に接合要素が挿入されうる環状凹部108を内部に有する。好適な態様では、径方向に延びる網が凹部108に配置され、接合要素の対応する溝と係合させることができる。この場合、フィルターエレメント1を初めにハウジングカバー102に挿入して固定し、続いてハウジング底部要素103にねじ込むことができる。
【0051】
図4は、フィルターエレメント1の接合区域とハウジング底部要素103及び第2エアーフィルターエレメント17の詳細図である。第2エアーフィルターエレメント17は取付ソケット109に押し込まれ、取付ソケットに対して密封する径方向シール20を有している。フィルターエレメント1の接合区域11では、支持格子5が、内側の面にカップリング要素7としてわずかに円錐状の鋸歯ねじ山を有している筒状突起という態様となっている。フィルターエレメントの組み立てのために、ハウジング底部要素103には、同じく筒状でハウジングの内部に延びるとともに対応する円錐状の鋸歯ねじ山を有する組み立てソケット109が設けられている。ねじ山の円錐状の構成と、接合面が端面9に対して平角(約0から20度)である鋸歯ねじ山とした態様とにより、フィルターエレメントの取り付け及び取り外しが、特に必要な力という面で、容易になる。フィルターエレメント1は取り付けられた状態が示されており、支持格子5の端部を形成する当接面12がハウジング底部要素103の内側の面に支持され、ハウジング底部要素103の内側の面は、軸シール10が支持されるハウジングのシール面にもなっている。端部ディスク3に一体的に形成された軸シール10の圧縮の程度は、当接面12の位置のみによって決定される。そのため、支持格子5との関係及び環の第2セクション14またはフィルター媒体2の端面9との関係におけるシールの取り得る許容高さは、第2端部ディスク4及びそこに配置された接合要素15(図4には図示していない)の位置には影響を与えない。この配置により、フィルター媒体が、水が導入されたのちに乾燥したことによって長さ方向に縮んだ場合に、一方で軸シールの密封機能が保証されるとともに、他方で第2端部ディスク4と支持管5とが固定的に接合されているため、第2端部ディスクに配置された接合要素15の位置も位置的に固定されている。そのためハウジング底部要素103へのハウジングカバー102の信頼性のある取り付けが達成される。さらには、どの許容位置においても固定要素104が第2端部ディスク4の溝16に係合できることが保証される。
【0052】
図5は、フィルターエレメント1とハウジング101を有する本発明のエアーフィルターユニット100の等角投影断面図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.中空筒状、特に星形に畳まれた、フィルター媒体(2)と、
b.排出側端部ディスク(3)及び第2端部ディスク(4)と、
c.前記フィルター媒体の内部(6)に設けられた中空筒状の支持格子(5)と
からなる流体濾過用のフィルターエレメント(1)、特に内燃機関の吸気に用いられるエアーフィルターエレメントであって、
前記フィルター媒体の排出側端部の前記支持格子が、前記フィルターエレメントをフィルターハウジング、特にフィルターハウジングの排出ソケットに接合するためのカップリング要素(7)が設けられた接合区域(11)を有し、
前記支持格子(5)が、前記接合区域(7)に、径方向外側に突出するとともに前記フィルター媒体の排出側端面(9)を部分的に越えて突出する環(8)を有し、
前記排出側端部ディスク(3)が、前記フィルター媒体(2)の前記排出側端面(9)及び前記環(8)を取り囲むとともに環状の軸シール(10)を有する
ことを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルターエレメントであって、前記軸シール(10)が前記排出側端部ディスク(3)とともに一体的に形成されていることを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項3】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記接合区域(11)が、その端部にフィルターハウジングと当接するための軸方向当接面(12)を有することを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項4】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記軸シール(10)が前記径方向に関して前記環(8)の区域に配置されていることを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項5】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記軸シール(10)が変形可能(特に前記フィルターエレメントの組み立て時に挟持されうる)であって、非挟持状態では前記軸方向当接面(12)を軸方向に越えて突出することを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項6】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記環(8)が、中心軸に平行に延伸する第1セクション(13)と、前記第1セクション(13)に隣接して前記中心軸に垂直に延伸する第2セクション(14)とを有することを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項7】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記第2端部ディスク(4)が閉塞された構成としたことを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載のフィルターエレメントであって、前記第2端部ディスク(4)が、前記フィルターエレメント(1)をハウジング部、特にハウジングカバー(102)に接合するための接合要素(15)を有することを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルターエレメントであって、前記接合要素が、少なくとも部分的に周方向に延伸してハウジング側の径方向に摺動可能な固定要素(104)との係合用の径方向の溝(16)であることを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項10】
径方向に分離可能なハウジング(101)とその中に挿入可能な前記いずれかの請求王に記載のフィルターエレメントとを有するエアーフィルターユニットであって、
前記ハウジングが、固定アンカー要素によって軸方向に相互に係合される少なくとも2つのハウジング部(102、103)からなり、
前記固定アンカー要素が、前記フィルターエレメント(1)、特に支持格子(5)によって形成されていることを特徴とするエアーフィルターユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のエアーフィルターユニットであって、前記フィルターエレメント(1)の内部に第2のエアーフィルターエレメント(17)が配置されていることを特徴とするエアーフィルターユニット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−521439(P2013−521439A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556517(P2012−556517)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053594
【国際公開番号】WO2011/110619
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(505229863)マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (86)
【Fターム(参考)】