説明

特定の脱フィブリノーゲンパターンを達成するために脱フィブリノーゲン剤投与を用いる脳卒中の治療方法

本発明は、最適化した効能と著しく改良した安全性とに結びついた、脱フィブリノーゲンとその後の再フィブリノーゲンとの特定の速度及びパターンに基づく急性虚血性脳卒中の治療方法を提供する。最適な脱フィブリノーゲン速度を達成するための単回用量の脱フィブリノーゲン剤投与は、長期の低フィブリノーゲン血症を回避し、随伴する副作用(例えば、頭蓋内出血)を回避する。脱フィブリノーゲン剤を単回用量で投与する。そして単に脱フィブリノーゲン剤の投与を止めることにより、時間加重した治療終了時フィブリノーゲンレベル>70mg/dLが達成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、単回用量の脱フィブリノーゲン剤(defibrinogenating agent)を投与し、更なる脱フィブリノーゲン剤投与を伴なわずに、フィブリノーゲンレベルを正常化させる、脳卒中の治療方法に関する。より詳細には、本発明は、脳卒中関連の神経損傷を最小化し、そして、脳卒中関連重度副作用(例えば、症候性頭蓋内出血及び死亡)の可能性及び発生を減少させる方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
脳卒中は、脳につながる動脈及び脳内動脈に影響する心臓血管疾患の一種である。虚血性脳卒中は、米国において3番目の主要死亡原因であり、身体障害の主要原因である。急性虚血性脳卒中は、70%〜80%の患者において、血管造影的に目に見える塞栓性又は血栓性の閉塞に起因するものである。閉塞に続いて、エネルギー産生低下、神経グルタミン酸受容体の過剰刺激、ナトリウムイオン、塩素イオン及びカルシウムイオンの神経内蓄積、ミトコンドリアの損傷、並びに最終的には細胞死により特徴付けられる時間依存性の病態事象カスケードが存在する。重篤な虚血は、低酸素だが潜在的に救える組織に囲まれた死んだ脳組織の核を産生する。治療の目的は、事象カスケードを防ぐか又は遅くすること、及びできるだけ速やかに正常血流を回復することである。状況によっていくつかの選択肢がある。
【0003】
急性虚血性脳卒中の治療のためのアンクロド(ancrod)静脈内投与が報告された(Sherman et al.;JAMA 283(18):2395−2403)。アンクロド(ARWIN(登録商標)、ARVIN(登録商標)、及びVIPRINEX(登録商標)の商品名で商業上知られている)は、平均分子量約38,000ダルトン及び炭水化物含有量約38%を有する高度にグリコシル化されたセリンプロテアーゼであるが、これはマレーマムシ (Calloselasma rhodostoma、以前はAgkistrodon rhodostoma又はAncistrodon rhodostomaとして知られていた)の毒から得られたフィブリノーゲン分解酵素であり、抗凝血特性と血餅溶解能力を有する(J.Biochem;131:799,1973)。
【0004】
正常な血液凝固はトロンビンによりもたらされる。トロンビンはフィブリノーゲン分子からフィブリノペプチドAとBを除去して、その結果、例えば赤血球や血小板に加えて血栓の主成分であるフィブリン形成を引き起こす(EP−B−0556906)。トロンビンとは対照的に、アンクロドは、フィブリノーゲン分子のα−(“A”)鎖中のアルギニン−グリシン結合だけを切断してフィブリノペプチドA、AP及びAYを遊離する(Cole et al.,J. Vascular.Surgery,17:288−292 1993)。フィブリノーゲン分子のβ−(B)鎖はアンクロドにより攻撃されないので遊離されない。アンクロドによるフィブリノペプチドの脱離後に生じるフラグメント(脱−“A”−フィブリンモノマー)は最終的に重合することができ細いフィラメントになる(図1)。第XIII因子(架橋活性を有する)にも、他の凝固因子にも、又血小板にも影響しないので(表1)11−13、得られるフィブリンポリマーはプラスミンにより速やかに消化されて、細網内皮系を経由して循環から除去される14,15。得られた分子がトロンビンの基質ではないので、トロンビンによる脱−“A”−フィブリノーゲン分子の更なる切断による天然フィブリンの生成はもはや起こらない。
【表1】

【0005】
アンクロドは、用量依存性の血液フィブリノーゲン濃度低下を引き起こす。治療的に誘導され制御された低フィブリノーゲン血症は、血漿粘度を減少させ、そして、血液の流動性が決定的に改善される程度にまで赤血球凝集傾向を減少させる。これが狭窄した血管を通る血流増加の条件を提供する。アンクロドは現在、例えば慢性的な末梢動脈血流障害及びヘパリン誘発の血小板減少症の治療が承認されており、そして、急性虚血性脳卒中についての第III相臨床試験を行なっている。
【0006】
血漿プラスミノーゲン及びα−アンチプラスミンレベルの低下は、アンクロド治療による血漿フィブリノーゲンの減少に平行しており、内因性の線維素溶解系が強く活性化することを示す。実際、ヒトボランティアの研究で、Prentice et al.は、アンクロド治療が、プラスミノーゲン及びα−アンチプラスミンレベルを低下させただけでなく、フィブリン(フィブリノーゲン)分解産物及びフィブリノペプチドBβ15−42、即ちプラスミン仲介の線維素溶解の明瞭な指標、の上昇を引き起こしたことを実証した。Sozka et al.19は、同様に臍静脈内皮モデルにおける間接的な線維素溶解作用を示した。
【0007】
Berliner et al.20は、アンクロドによる脱フィブリノーゲン(defibrinogenation)が白血球接着性及び凝集の状態を低下させることを実証した。Chang and Huang21は、微小循環における血小板プラグ形成の誘導に対して、用量依存性の時間経過延長を観察した。これら両研究の結果は、アンクロド注入後の血液粘度低下によるヘモレオロジー改善により説明することができる。現在の治療方法は、長期間にわたる複数回用量のアンクロド投与を用いて、初期フィブリノーゲンレベルを低下させ、そして、低フィブリノーゲン血症の状態を維持する。その方法は時には、副作用(例えば、症候性頭蓋内出血)と結びつく。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、最適化した効能と著しく改良した安全性と結びついた、脱フィブリノーゲンとその後の再フィブリノーゲン(refibrogenation)との特定の速度とパターンとに基づく虚血性脳卒中の改良した治療方法を提供する。定義されたパラメーター内で脱フィブリノーゲン剤を単回用量で投与することによって、最適な脱フィブリノーゲン速度を達成し、そして、長期の低フィブリノーゲン血症と随伴する副作用(例えば、頭蓋内出血)とを回避する。
【0009】
従って、或る観点において、本発明は、所望パターンの速やかな脱フィブリノーゲンに続く血液フィブリノーゲンレベルの正常化を達成する脱フィブリノーゲン剤の投与方法を用いる脳卒中の治療方法に関する。
【0010】
その他の観点において、本発明は、その治療を必要とする患者に、アンクロドのような脱フィブリノーゲン剤を速やかな初期の脱フィブリノーゲンを達成するのに十分な速度で投与することを含む、脳卒中の治療方法に関する。脱フィブリノーゲン剤の投与は、約30分〜12時間の投与時間後に終了し、そして、その後に、更なる脱フィブリノーゲン剤の投与なしで患者のフィブリノーゲンレベルの正常化を起こさせる。
【0011】
関連する態様において、本発明は脳卒中を治療する方法であって、その方法が、アンクロドの単回連続用量約0.05〜1.25IU/kg/hr、より好ましくは約0.1〜0.2IU/kg/hr、更により好ましくは約0.14〜0.175U/kg/hrを含む脱フィブリノーゲン組成物をその治療を必要とする患者に投与することを含み、その方法において一旦脱フィブリノーゲン組成物の投与を停止したら、更なる又は追加的な脱フィブリノーゲン剤の投与なしで患者のフィブリノーゲンレベルの正常化を起こさせる方法に関する。
【0012】
更に別の関連する態様において、本発明は、脱フィブリノーゲン剤がアンクロド又はその機能的誘導体である脳卒中を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】アンクロド及びトロンビンのフィブリノーゲンに対する作用メカニズムを比較する模式図である。
【0014】
【図2】脱フィブリノーゲン速度30mg/dL/hr未満(暗灰色棒)に比較した脱フィブリノーゲン速度30mg/dL/hr以上(淡灰色棒)についての機能的応答、死亡率及び症候性頭蓋内出血(ICH)への効果を示す。
【0015】
【図3】機能的応答、死亡率及び症候性頭蓋内出血(ICH)に対する、治療終了時の平均フィブリノーゲンレベル60mg/dL以上(暗灰色棒)と60mg/dL未満(淡灰色棒)との違いを示す。
【0016】
【図4】12時間の時間的経過にわたり単回用量として投与される、異なる3用量のアンクロドの平均血漿フィブリノーゲン濃度に対する効果の代表的グラフである。破線は、現在技術的に用いられている複数日投与パラダイムの効果(低フィブリノーゲン血症の誘導)を表す。
【0017】
【図5】目標フィブリノーゲンレベルが40〜69mg/dLであった場合の、頭蓋内出血発生を表すグラフである。
【0018】
【図6】目標フィブリノーゲンレベルが70〜100mg/dLであった場合の、頭蓋内出血発生を表すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0019】
以下の記載において、用語の用法に関しては、特定の慣用されているものに従うものとする。
【0020】
用語「速やかな初期の脱フィブリノーゲン」は、20mg/dL/hrを超える、より好ましくは25mg/dL/hrを超える、最も好ましくは30mg/dL/hrを超えるフィブリノーゲンの時間当たり低下である、脱フィブリノーゲン速度を指す。
【0021】
フィブリノーゲンレベルに関してここに使用する用語「正常化」は、追加的介入のない、つまり、脱フィブリノーゲン剤の継続的投与がない場合での、ベースラインレベルまでの自然な生理的回復を指す。しかしながら、使用する用語は、治療を受けていない対象における自然な生理的速度と再フィブリノーゲン速度とが同等であることを必ずしも意味しない。
【0022】
ある実施態様において、本発明の方法を実施する脱フィブリノーゲン剤としてアンクロドを使用する。ここに使用する用語「アンクロド」は、マレーマムシの毒から単離したアンクロドプロテアーゼから調製した生成物だけでなくその機能的誘導体をも包含する。その機能的誘導体は組換え技術で得たアンクロドタンパク質を含有する生成物を含むがそれに限定されない。機能的誘導体の例は、1個以上のアミノ酸の付加、置換又は欠失を含有するアンクロドタンパク質を含む。ヘビ毒からアンクロドの調製方法はよく知られており、以下に限定されないが、米国特許第6,200,791;6,015,685;3,743,722及び3,879,369号明細書;英国特許文献1,094,301;1,177,506及び1,293,793;並びにドイツ特許文献2,428,955及び2,734,427に教示される方法を挙げることができる。遺伝子操作によるアンクロド生成物の調製方法は、例えば米国特許第5,759,541号明細書に教示されている。
【0023】
本発明は、脱フィブリノーゲンとその後の再フィブリノーゲン(refibrogenation)の特定の速度とパターンに基づく、増加した効能と安全性と結びついた、虚血性脳卒中の治療方法を提供する。約15分〜12時間までの時間にわたる、より好ましくは約30分〜6時間までの時間にわたる、通常静脈内注入による脱フィブリノーゲン剤の単回用量の投与が、最適な脱フィブリノーゲン速度を達成する。その結果、所望時間後の脱フィブリノーゲン剤投与停止により、長期の低フィブリノーゲン血症及び随伴する副作用(例えば、頭蓋内出血)を回避する。
【0024】
従って、本発明の方法は、脱フィブリノーゲン剤を単回連続用量として投与する虚血性脳卒中の治療方法を提供する。単に脱フィブリノーゲン剤の投与を止めることにより、投与後9時間〜72時間の間に、50mg/dLを超える、より好ましくは60mg/dLを超える、最も好ましくは70mg/dLを超える平均フィブリノーゲンレベルが達成される。
【0025】
本発明の方法を実施するために、アンクロドの投与は、いったん脳卒中の診断がなされたら可及的速やかに開始しなければならない。当業者は、速やかな初期の脱フィブリノーゲンの目的を達成するために有用なアンクロド又は関連する脱フィブリノーゲン剤の投与量が、投与前の患者のフィブリン(フィブリノーゲン)レベルを含むいくつかの因子によって決まることを認識しているであろう。
【0026】
脱フィブリノーゲン剤としてアンクロド投与を受ける患者において、血液粘度は徐々に治療前レベルの20〜30%だけ低下する。粘度低下は直接にフィブリノーゲンレベル低下に原因があり、血流と微小循環の改善につながる。アンクロドを止めた後、粘度は非常にゆっくりと(およそ10日で)治療前のレベルに近づいていく。
【0027】
4件の臨床薬理研究において、84名の健康な成人ボランティアがアンクロドの単回用量の投与を受けた。3〜24時間にわたり投与された異なる用量(0.125〜1.0IU/kg)の単回注入は、注入停止の6時間以内に現れている最下点レベルとともに、用量依存性の血漿フィブリノーゲン低下を生じた(図4)。注入終了後血漿フィブリノーゲンのベースラインへの緩やかな回復は、二相性であった。血漿フィブリノーゲンは、12時間用量に依存して、72時間以内に100mg/dLのレベルまで回復し、6〜12日以内にベースラインレベルまで回復した。
【0028】
アンクロド用量と脱フィブリノーゲン効果との間の関係は、調べた全用量範囲にわたって非線形として最もよく記述されるように見えた。脱フィブリノーゲンの速度と程度は、アンクロドを投与した速度によって変化した。用量が等しい場合、注入速度が速いほど脱フィブリノーゲン活性がいくらか大きいという結果になった。12時間にわたり投与したアンクロド用量1.0IU/kgでは、調査対象の100%において20〜70mg/dLのフィブリノーゲンレベルが達成された。同様に、より短い3時間にわたり注入したより低用量0.75IU/kgは全対象において同じようなフィブリノーゲンレベルを生じた。
【0029】
北米脳卒中プログラム(North American stroke program)のデータに基づきフィブリノーゲンプロフィールをモデル化する試みがドイツのKnoll AGにより行なわれた。当時、所望のプロフィールは、初期に速やかな脱フィブリノーゲン(≧30 mg/dL/hr)を達成することであったが、その後、治療の5日間、40〜69mg/dLの目標範囲に低フィブリノーゲン血症を維持することであった。得られた投与パラダイムは、mg/dLで表した治療前フィブリノーゲンレベルを100で徐して結果を切り捨てて決定される一定時間に投与する初期注入速度が0.167IU/kg/hrであることを要求し、更にまた、前記時間数の後に注入を止めることを要求した(例えば、治療前フィブリノーゲンレベル375mg/dLに対しては3時間注入し、治療前フィブリノーゲンレベル415mg/dLに対しては4時間注入することになる)。低フィブリノーゲン血症を目標範囲に維持するために、12時間時点で、初期速度の10分の1(即ち、0.0167IU/kg/hr)で注入を再開しなければならなかった。
【0030】
これらの観察は、6〜12時間までの時間にわたりアンクロドの単回の比較的速やかな静脈内投与(用量と持続時間は治療前フィブリノーゲンレベルにより決定される)が、特に症候性頭蓋内出血の可能性を減少することに関して、効能を最適化し、著しく安全性を改善するであろうという結論に導く。
【0031】
上記の後期データに加えて、動物の脳卒中モデルにおける前臨床試験は、アンクロド単回投与の効能と安全性を更に支持している。ヒトの第I相試験は、様々な用量で様々な持続時間(30分、1時間、2時間、4時間、6時間及び24時間)で投与したアンクロドの単回投与が、一貫して脱/再フィブリノーゲンの所望パターンを生じ、長期の低フィブリノーゲン血症を回避するという事実を支持している。特に、速やかな初期の脱フィブリノーゲンを達成することができ、次いで薬物を止め数日間にわたりフィブリノーゲンレベルが自然に回復させることにより、最適に安全かつ有効な治療終了時フィブリノーゲン平均値を達成することができる。
【0032】
急性虚血性脳卒中におけるアンクロドの試験結果は有益な効果を示す。脳卒中開始6時間以内に与えたアンクロドは、患者132名の二重盲検、プラシーボ対照試験においてスカンジナビア脳卒中スケール(Scandinavian Stroke Scale)(SSS)で評価した神経機能改善に有効であることを示した(その後患者加重の再分析が記されている)。
【0033】
90日生存と機能的自立(バーセル指数(Barthel Index)[BI]スコア95〜100又は少なくとも脳卒中前(prestroke)BIと同程度)と定義される効能も、脳卒中開始3時間以内にアンクロド又はプラシーボに対してランダム化した患者500名についてのその後の二重盲検、プラシーボ対照試験において実証された
【0034】
第II相の多施設、二重盲検、ランダム化試験(脳卒中研究者におけるアンクロド(Ancrod in Stroke Investigators)[1992]多施設試験とその後の再分析)において、患者132名を急性虚血性脳卒中開始6時間以内にプラシーボと比較してIVアンクロドで治療した。治療前CTスキャンで出血証拠を有する患者は除外したが、脳梗塞発生のCT徴候を有する患者は除外しなかった。患者は歩行を除く治療前SSSスコア40未満を有するべきであり、これは軽度脳卒中の患者を除外したことを意味する。初期注入は6時間にわたり0.5IU/kg(0.083IU/kg/h)であり、その後毎日30分注入し、フィブリノーゲンを70〜100mg/dLに維持した。主要評価項目(endpoint)は3カ月時点でSSSスコア22,23により評価した神経障害の改善であった。
【0035】
主要評価項目、即ちベースライン補正した3カ月SSSスコアは、アンクロド治療患者(39)においてプラシーボ治療患者(35)より高く(より良く)、統計的に有意差があった(p=0.044、患者加重した分析);公表された有意差のないp値は施設加重した分析に基づいており、その分析では、他の肯定的な結果が、交絡している結果を有する一つの施設により希釈された。3カ月BIの中央値はアンクロド患者(85)においてプラシーボ患者(65)より良かった(p=0.07);完全な(又は脳卒中前の)BIの達成(即ち完成した機能回復)として定義された断定的な成功指標が、アンクロドで治療した患者の45%により達成され、プラシーボを受けた患者では28%だけに達成された(p<0.05)4,6
【0036】
中央値130mg/dL以下の6時間フィブリノーゲンレベルを達成しているアンクロド患者は、3カ月時点でのBI中央値95(この試験における完全スコア)を示した。これに対して前記中央値を超えるフィブリノーゲンレベルを有するアンクロド患者に対する中央値は75であった。
【0037】
1年以内の死亡もアンクロド投与を受けた患者(8/64)においてプラシーボを受けた患者(14/68)よりも低く、死亡までの平均日はプラシーボの14±12に対してアンクロドは43±45(SD)であった。プラシーボ群の患者1名は、治療の状況において症候性頭蓋内出血を発病し、更に2名のプラシーボ患者が数カ月後に外傷性硬膜下血腫を罹った;アンクロド患者で症候性頭蓋内出血を経験した者はなかった。1つの施設が不釣り合いなアンクロド死亡数を明らかにした。この施設を分析から除外すれば、アンクロドはp<0.01で利益を示した。
【0038】
第III相北米試験(North American Trial)、即ち急性虚血性脳卒中開始後3時間以内に投与した静脈内(IV)アンクロドの安全性と効能についての多施設、平行群間、逐次、二重盲検、ランダム化、プラシーボ対照試験が患者500名で実施された。
【0039】
患者は男女両性を含み、年齢は少なくとも18歳で、治験薬投与前3時間以内に起こり、30分よりも長く持続した神経障害とともに急性又は進行性の虚血性(非出血性)脳梗塞を有する者であった。患者は歩行を除く治療前SSSスコア40未満を有するべきであり、これは軽度脳卒中の患者を除外したことを意味する。血圧に基づく主要除外基準は、治療前収縮期血圧≦185mmHgであり且つ治療前拡張期血圧≦105mmHgであることを要求した。
【0040】
アンクロド(70IU/mL)又はプラシーボは、各250mL正常生理食塩水に1アンプルの割合で希釈した。脱フィブリノーゲンは、治療前フィブリノーゲンレベルに基づき3つの初期注入速度(0.083IU/kg/h、0.125IU/kg/h、及び0.167IU/kg/h)のうちの1つで誘導した。注入を72時間持続した後、盲検治療開始後96(±6)時間及び120(±6)時間に投与する間欠的注入をした。投与処方計画は、40〜69mg/dLのレベルまでの脱フィブリノーゲン制御を達成するためにフィブリノーゲンレベルに基づき注入速度の頻繁な調節を容認した。フィブリノーゲンレベルは、用量を調節する責任がある各現場の非盲検投与管理者にだけ与えられた。非盲検投与管理者は次のように速度を調節した:目標値を超えるフィブリノーゲンレベルに対してはアンクロド注入速度を20〜25%増分で増加させ、目標値より低いフィブリノーゲンレベルに対してはアンクロド注入速度を同様の減分だけ減少させるか又は生理食塩水で置き換えた。プラシーボ(正常生理食塩水)は、以前治療したアンクロド患者から得られるスケジュールに従い投与した。
【0041】
主要効能変数(治療成功)は、バーセル指数(BI)95〜100又は少なくとも脳卒中前のBIと同じ高さで90日生存と定義した。二次効能変数は、BI数値(3カ月時点)、SSSスコア(3日及び3カ月時点)、及びCT梗塞容量(7〜10日時点)であった。
【0042】
主分析は、包括解析(intent-to-treat)(ITT)原理に従い全患者500名について行なった。主要効能変数は、年齢、ベースラインSSSスコア、プールした施設及び治療に対する項(terms)を有するロジスティックモデルを用いて分析した。二次及び三次効能パラメーターは、主要効能パラメーターと同じ項(terms)(交互作用を含む)を用いて、Wilcoxonの順位和検定及び一般線形モデル法の両方で分析した。
【0043】
検定はすべて両側検定で、0.10水準で行なった交互作用の検定以外は0.05水準で行なった。主要効能変数の最終検定は、2つの中間分析を説明するために0.0472水準で行なった。
【0044】
この試験における患者の平均年齢は72.8歳であり、51%が男性、89%が白色人種、63.8%がスカンジナビア脳卒中スケールスコア0〜29で示される中程度から重度の脳卒中に罹っていた。患者の大多数(85%)は、脳卒中開始≦3時間以内に治験薬投与を始めた。八十二名(82)の患者は、開始後>3時間で治療し、これらの患者82名中12名は、開始後>3.5時間で(最も遅い患者は脳卒中開始後4.8時間で)治療した。これら「遅い」患者の大多数は、スポンサーからリアルタイムの許可を得て3時間の時間枠後すぐに登録された。少数の患者についての、より遅い治療までの時間(later time-to-treat)は、後に得られた症状開始のより早い時間を示す情報によるものである。
【0045】
アンクロドは急性虚血性脳卒中を有する患者における機能的転帰の改善に有効であることを示した1,24。予め特定した主要効能評価項目に基づき、アンクロドはプラシーボより優れていた(p=0.041)。なお、施設による治療の項(term)をモデルに保持した場合のp=0.012であった。年齢と治療前SSSスコアは脳卒中からの転帰の予知因子であることが知られており、この試験におけるプラシーボの治療成功率に基づいて、実際その通りであった。従って、共変量調整した治療成功割合は、年齢と治療前SSSスコアを共変量として、真の治療効果のよりよい評価を与えることが計算された。共変量調整した治療成功割合はアンクロド患者で42.2%、プラシーボ患者で34.4%であった。不均衡に有利な治療効果を招いた現場はただの一つもなかった。
【0046】
アンクロドで治療した患者は、調整した平均SSSスコア(プラシーボ33.6に対してアンクロド36.7;p=0.159)が数的により高いことによって示されているように、3カ月時点での神経機能の改善がプラシーボで治療した患者よりも大きかった。加えて、アンクロドで治療した患者は、調整した平均BIスコア(プラシーボ66.5に対してアンクロド79.5;p=0.057)が数的により高いことによって示されているように、3カ月時点での機能的自立の程度がプラシーボで治療した患者よりも大きかった。更に、アンクロドで治療した患者は、平均梗塞容量がプラシーボで治療した患者よりも数的に低かった(プラシーボ42.0ccに対してアンクロド31.9cc;p=0.135)。年齢カテゴリー(<65、65〜74、75〜84、>85)、治療前SSSカテゴリー(<20、20〜29、30〜39)、性別、及び治療までの時間(time-to-treat)(<2、2〜3、>3)を含むサブグループ分析の結果は同様であり、年齢カテゴリー、治療前SSSカテゴリー、性別、治療前CTスキャン上の初期梗塞徴候、及び治療までの時間(time-to-treat)により特徴付けられる全患者の小集団において治療成功を達成しているアンクロド患者の割合がプラシーボ患者よりも高かった。
【0047】
観察された評価項目の分析も、2つの治療群において、同様の死亡率の観点で行なわれた。この分析の結果は、調整した平均SSSがアンクロド群(30.0)においてプラシーボ群(27.8)よりも高く(p=0.070);調整した平均3カ月SSSがアンクロド群(40.8)においてプラシーボ群(38.9)よりも高く(p=0.029);3カ月BIがアンクロド群(91.3)においてプラシーボ群(82.9)よりも高かった(p=0.007)。
【0048】
更に、完全な機能回復を達成したものは、アンクロドで治療した患者(BIが100又は脳卒中前のレベル、共変量調整した割合:36.1%)の方がプラシーボ患者(28.4%;p=0.024)よりも多かった。それに対して、3カ月時点での重度障害が、アンクロド治療した患者(BI:0〜40;共変量調整した割合:11.8%)はプラシーボ患者(19.8%;p=0.011)よりも少なかった。
【0049】
アンクロドの利点は、治験薬治療が脳卒中開始後3時間を超えて遅延した患者にまで及んだ。脳卒中開始の3.5時間以内に治療したアンクロド患者は、治療成功の達成がプラシーボよりも多かった(p=0.029)。このように3時間を超えて治療効果が維持されることは、別の6時間アンクロド試験(A−20)における肯定的な結果と合致しており、脳卒中開始時間決定における少しの誤差がアンクロド治療で見られた有益な効果を失わせることはないようであることを示唆する。
【0050】
フィブリノーゲンレベルと効能との間の関係が観察された。治療成功と早期の速やかな脱フィブリノーゲン(絶対フィブリノーゲンレベルではなく)との間に強い関連性が存在し、年齢及び治療前脳卒中の重症度の効果に関係なく、6時間でのフィブリノーゲンレベルは≦130mg/dL(p=0.079)又は9時間でのフィブリノーゲンレベルは<70mg/dL(目標フィブリノーゲン;p=0.073)であった。
【0051】
総合した北米経験の分析は、早期の速やかな脱フィブリノーゲンとその後の長期の脱フィブリノーゲン(低フィブリノーゲン血症)の回避との組み合わせが、一貫して最適に安全且つ有効な転帰を生じることを明らかにした。
【0052】
ランダム化、二重盲検、プラシーボ対照の欧州の試験(欧州アンクロドによる脳卒中治療試験(European Stroke Treatment with Ancrod Trial)、未公表)においては、1222名の患者が急性虚血性脳卒中開始の6時間以内に登録された。アンクロドでの治療段階は、北米の試験と同様に、72時間の連続注入及び治療開始後96時間と120時間の2回間欠的注入からなる5日間であった。注入速度は、目標範囲40〜69mg/dLを達成するために頻繁にモニターしたフィブリノーゲンレベルに従い調節した。主要評価項目は、機能的成功(STATにおけるような)を達成している患者の割合であり、副次評価項目は、バーセル指数及びSSSスコアにおける改善、並びに、3カ月での死亡率及び安全性パラメーターの判定であった。いくつかの登録基準(血圧など)は北米プログラムと異なっていた。
【0053】
患者の一小集団、即ち最も速やかな注入速度でアンクロドを投与した患者において、効能はプラシーボよりも統計的有意に良好であった。重要なことには、最も速やかな注入速度でアンクロド投与を受けたその同じ患者群は、また最も低いICHの割合(4.4%)を有していた。
【0054】
アンクロドデータの遡及的な多変量の再調査を行ない、安全性及び効能の両方に影響するフィブリノーゲンレベルへの効果と、アンクロドの投与とに関する変数を特定した。北米脳卒中試験のデータは、規定したパラメーター以内でのアンクロド投与が再フィブリノーゲンに先立つ脱フィブリノーゲンの特定パターンを提供すること、並びに、再フィブリノーゲンに先立つ脱フィブリノーゲンの前記パターンが頭蓋内出血、死亡率及び他の望ましくない副作用のリスクを劇的に低下しながら効能を最大化することを明らかにした。年齢及び治療前脳卒中の重症度の重要な共変量に対する調整後でさえ、初期の脱フィブリノーゲン速度は効能と正の相関関係があり、長期の低フィブリノーゲン血症の深度は症候性頭蓋内出血を予測した。これら二つの変数はそれ自体相関する必要がないので、この分析は、アンクロド投与停止に先立つ速やかな初期の脱フィブリノーゲンが最適な効能と安全性を生じることを示唆している。表2において分かるように、速やかな初期の脱フィブリノーゲン(≧30mg/dL/hr)を有するアンクロド患者は、死亡率も症候性ICHも増加せずに50%を超える機能的応答割合を有していた。更に、時間加重した治療終了時(end-of-treatment)(EOT)フィブリノーゲンレベルが9時間からアンクロド治療の終了までずっと60mg/dLを超えていた患者は、プラシーボに類似した症候性ICHの割合を有したが効能に関する何ものをも犠牲にせず、そして、EOTフィブリノーゲンレベルが平均して≧70mg/dlであった場合、症候性ICHは存在しなかった。
【表2】

【0055】
注目すべきなのは、北米データベース全体を通して、維持フィブリノーゲンレベルが70mg/dLを超える患者220名の中に症候性ICHが存在しなかったことである。これらの効果は年齢と治療前脳卒中重症度との効果に無関係であった。
【0056】
理論に縛られたいとは思わないが、この投与パラダイムにおいて意味があるのは絶対フィブリノーゲンレベルではないように見える;むしろ、それは、脱フィブリノーゲン剤投与の特定速度によって達成される脱フィブリノーゲンと再フィブリノーゲンとの特定の速度及びパターンである。脱フィブリノーゲンの速度及び程度は脱フィブリノーゲン剤(例えば、アンクロド)を投与する速度によって変化する。等しい用量では、注入速度が速い方が、脱フィブリノーゲン活性がいくらか大きい結果となる。治療成功と早期の速やかな脱フィブリノーゲン(絶対フィブリノーゲンレベルではなく)との間にほぼ直線的な関係が観察され、年齢及び治療前脳卒中の重症度の効果に関係なく、6時間でのフィブリノーゲンレベルは≦130mg/dL(p=0.079)又は9時間でのフィブリノーゲンレベルは<70mg/dL(目標フィブリノーゲン;p=0.073)であった。更に、分析は、速やかな初期の脱フィブリノーゲンと長期の低フィブリノーゲン血症の回避との組み合わせが最適に安全且つ有効な転帰を生じることを明らかにした。
【0057】
表3において、名目の時間当たり脱フィブリノーゲン速度を計算し、これを30で除した。その結果、速度<1.00は、30mg/dL/hr以上の脱フィブリノーゲンをしなかった患者を反映し、速度≧1.00は30mg/dL/hr以上の脱フィブリノーゲンした患者を反映する。症候性ICHを経験している患者1名は当該欄に1を有し、他のすべては0を有する。値は脱フィブリノーゲン速度により分類され、この場合もやはり、転帰に関連しているのは注入速度であって、絶対フィブリノーゲン値ではないという点を強調する。
【表3】

【0058】
表3に示すように、0.167IU/kg/hrの速度で注入した患者36名中31名(86.1%)が初期の脱フィブリノーゲン≧30mg/dl/hrを達成した。目標脱フィブリノーゲンを達成した患者31名中15名は、肯定的な効能の転帰(小さいNについて驚くべき48.4%)を有したことに注意されたい。一方、所望範囲の外側にある患者5名中ただ1名(20%)が治療成功であった(しかしながらその群中の1名の成功は事実上「時間当たり速度/30」が0.97であり、所望限界点1.00に非常に近かったことに注意されたい)。この母集団において1名のICH発生は同等の大きさのプラシーボ群で期待されるべきものと同じである。
【0059】
最大の効能はフィブリノーゲンの時間当たり低下が20mg/dL/hrを超えること、より好ましくは25mg/dL/hrを超えること、更により好ましくは30mg/dL/hrを超えることから生じるように見える。そのために、約0.05〜1.0IU/kg/hr、より好ましくは約0.1〜0.5IU/kg/hr、最も好ましくは約0.16〜0.25IU/kg/hrのアンクロド注入速度が、一貫して≧30mg/dl/hrの速度での初期の脱フィブリノーゲンをもたらす。そのことは肯定的な効能の転帰と相関関係がある(即ち脳卒中前スコア5点以内のバーセル指数スコアを有する正の機能的応答割合50%生存)。
【0060】
安全性については、9〜72時間の平均フィブリノーゲンレベルが50mg/dL又はそれより高く、より好ましくは60mg/dL、更により好ましくは70mg/dLであることが、最適の安全性転帰と関連する。注目すべき発見であるが、北米の経験中に、9時間から治療終了時までのフィブリノーゲンレベルが>70mg/dLを達成したアンクロド患者220名のいずれにも症候性ICHの発生がなかった(図6)。
【0061】
更に、50mg/dLを超える維持段階の間、平均フィブリノーゲンレベルを維持することにより、打撲傷、及び、特に症候性頭蓋内出血(ICH)と関連しない出血を最も良く回避することもできるように見える。従って、最適化した安全性と関連する所望の脱フィブリノーゲン速度≧30mg/dl/hrを、約30分〜数時間の時間にわたる特定注入速度で達成することができるのに対して、所望の時間加重した治療終了時フィブリノーゲンレベル>50mg/dLは、単に注入を止めることにより一貫して達成することができる。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳卒中を治療する方法であって、前記方法が、
a) 治療を必要とする患者に、速やかな初期の脱フィブリノーゲンを達成するのに十分な速度で脱フィブリノーゲン剤を含む組成物を投与すること;
b) 約15分〜12時間後に前記脱フィブリノーゲン剤の投与を止めること;及び
c) 前記脱フィブリノーゲン剤の更なる投与なしで患者のフィブリノーゲンレベルの正常化を起こさせること:
を含む方法。
【請求項2】
初期の脱フィブリノーゲンが≧20mg/dL/hrの速度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期の脱フィブリノーゲンが≧30mg/dL/hrの速度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
脱フィブリノーゲン剤がアンクロドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
脱フィブリノーゲン剤を約0.05〜1.25IU/kg/hrの単回用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脱フィブリノーゲン剤を約0.1〜0.2IU/kg/hrの単回用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脱フィブリノーゲン剤を約0.14〜0.175IU/kg/hrの単回用量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
脱フィブリノーゲン剤を静脈内に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
脳卒中を治療する方法であって、前記方法が、
a) 治療を必要とする患者に、0.10〜1.5IU/kg/hrの速度で脱フィブリノーゲン剤を含む組成物を投与すること;
b) 約15分〜12時間後に前記脱フィブリノーゲン剤の投与を止めること;及び
c) 前記脱フィブリノーゲン剤の更なる投与なしで患者のフィブリノーゲンレベルの正常化を起こさせること:
を含む方法。
【請求項10】
脱フィブリノーゲン剤を約30分〜6時間の間で投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脱フィブリノーゲン剤を静脈内に投与する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−531759(P2007−531759A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506521(P2007−506521)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/010769
【国際公開番号】WO2005/097262
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506329546)ニューロバイオロジカル テクノロジーズ インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NEUROBIOLOGICAL TECHNOLOGIES,INC.
【出願人】(307009920)
【氏名又は名称原語表記】PETTI STEPHEN J.
【出願人】(307009931)
【氏名又は名称原語表記】PETTI SAMN RAFFANIELLO
【Fターム(参考)】