説明

特異性を改変した抗体

【課題】 改変前の抗体が有する抗原との親和性を低下させずに特異性のみを改善した抗体、および前記抗体の作製方法を提供すること。
【解決手段】 抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換して作製した抗体により、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特異性を改変(改善)した抗体およびその作製方法に関するものである。具体的には、甲状腺ホルモンやステロイドホルモン等の低分子ホルモンを認識する抗体における、類似抗原との交差反応性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体はその特異性と親和性の高さから、実験用試薬としてだけではなく、免疫診断薬、治療用医薬品など幅広く利用されている。これらの用途で使用する抗体は特に高い特異性が要求されるが、特異性の高い抗体を単離するのは一般に難しく、特に低分子抗原を高い特異性で認識する抗体の単離は難しい。その理由として、低分子抗原では抗体と相互作用(結合)可能な部分が限られており、前記抗体と相互作用(結合)可能な部分と類似した化学構造を有する化合物が多く存在するからである。低分子抗原の例としては、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)、3,5−ジヨード−L−サイロニン(T2)などに代表される甲状腺ホルモン、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、プロゲステロン、コルチゾールなどに代表されるステロイド骨格を有したステロイドホルモン、各種薬物およびその代謝物(ジクロフェナク代謝物など)があげられる。
【0003】
遺伝子工学的手法により、酵素の特定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することで、酵素の特異性を向上させたり、耐熱性を向上させたりすることは広く行なわれている。また、モノクローナル抗体の特異性の改変に関しては、非特許文献1に記載のプロテインエンジニアリングという手法を用いて行なうことができることがよく知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、CDR(complementarity−determining region、相補性決定領域)にランダム変異を導入した組換Fab断片をファージ上に表示させ、競合的特異性パニング法を用いることで、類似抗原への交差反応性を減少させている。競合的特異性パニング法を簡単に述べると、
(1)ファージ表面で表示される変異体Fab断片ライブラリーを、交差反応を示す物質と共存させて不活化し、
(2)抗原が固定化された水不溶性担体をライブラリーに接触させて、抗原に結合した抗体を回収し、
(3)抗原に結合した抗体を何らかの方法で増幅させ新たなライブラリーを作製し、
(4)さらに交差反応物質による不活化、抗原が固定化された水不溶性担体への反応操作を繰り返すことで、
最終的に交差反応性が低下した(特異性の高い)抗体を得る方法である。しかしながら、抗原抗体反応が平衡反応である以上、抗原と抗体との結合は濃度の影響を受ける。例えば、ライブラリー中に微量しか存在しない、特異性の高い抗体を選択的に濃縮することは原理的に不可能である。
【0005】
パニング法以外で抗体機能を改変した例として、特許文献2が報告されている。特許文献2では、抗体可変領域をアラニン走査(アラニンスキャニング)することで、アラニン置換した時に抗原結合能が上昇するアミノ酸の位置を見出し、その位置のアミノ酸を無作為化(アラニン以外のアミノ酸に置換)することで、抗原結合能が上昇した変異型抗体を得ている。しかしながら、前記方法では、アラニン置換で抗原結合能が変化しなかった位置における、アミノ酸の無作為化および交差反応性の評価は行なわない。
【0006】
ランダム変異以外の方法で、抗体への変異導入により交差反応性を改善した例として、特許文献3に記載の分子シミュレーションソフトを用い、アミノ酸変異を導入する部位を特定し、前記部位のアミノ酸を置換して特異性を改善した方法が報告されている。しかしながら、目的抗原への親和性を変化させずに、交差反応性を改善した抗体を得るには至っていない。
【0007】
つまり、これまでは、選択工程で偏りが生じる可能性のあるランダム変異を用いた方法を除き、改変前の抗体が有する親和性を低下させずに、特異性のみを改善(交差反応性のみを低下)させる方法は報告されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2001−515921号公報
【特許文献2】特表平9−509835号公報
【特許文献3】特開平9−241300号公報
【特許文献4】特開2009−240300号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Protein Engineering、5、343、1992
【非特許文献2】J.Biol.Chem.、267、6776、1992
【非特許文献3】J.Biochem.、108、673、1990
【非特許文献4】Biotechnol.Lett.、17、135、1995
【非特許文献5】J.Ferm.Bioeng.、79、405、1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改変前の抗体が有する抗原との親和性を低下させずに特異性のみを改善した抗体、および前記抗体の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の態様を包含する。
【0012】
第一の態様は、抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換した、抗原との親和性を低下させることなく、類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体である。
【0013】
第二の態様は、抗体の可変領域が抗体の相補性決定領域(CDR)である、前記第一の態様に記載の抗体である。
【0014】
第三の態様は、抗原が甲状腺ホルモンやステロイドホルモン等の低分子ホルモンである、前記第一または第二の態様に記載の抗体である。
【0015】
第四の態様は、抗原がトリヨードサイロニン(T3)であり、類似抗原がジクロフェナク代謝物である、前記第三の態様に記載の抗体である。
【0016】
第五の態様は、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む抗体のうち、配列番号1の6番目のバリン、および/または7番目のアルギニンを他のアミノ酸に置換した、前記第四の態様に記載の抗体である。
【0017】
第六の態様は、抗原がエストラジオール(E2)であり、類似抗原がエチニルエストラジオール(EE2)である、前記第三の態様に記載の抗体である。
【0018】
第七の態様は、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む抗体のうち、配列番号3の5番目のセリン、および/または6番目のイソロイシンを他のアミノ酸に置換した、前記第六の態様に記載の抗体である。
【0019】
第八の態様は、抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換することで、抗原との親和性を低下させることなく、類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体を作製する方法である。
【0020】
第九の態様は、抗原との結合に関与しないアミノ酸をアラニンスキャニングにより選定する、前記第八の態様に記載の方法である。
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明の抗体は、抗体のアミノ酸配列のうち、可変領域にある抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換した抗体であって、抗原との親和性を低下させることなく、類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体である。可変領域は、抗体間でのアミノ酸配列の違いが極めて大きい(超可変領域である)CDR(complementarity−determining region、相補性決定領域)と、抗体間でのアミノ酸配列の違いが比較的少ないFr(framework region、フレームワーク領域)との二つの領域にわかれるが、抗原との結合に直接関与する領域であるCDRのアミノ酸に対して一つ以上のアミノ酸置換を行なった抗体が、本発明の効果をより発揮できる点で好ましい。なお、他のアミノ酸への置換は、軽鎖の可変領域にあるアミノ酸に対してのみ行なってもよいし、重鎖の可変領域にあるアミノ酸に対してのみ行なってもよいし、重鎖および軽鎖の可変領域にあるアミノ酸に対して行なってもよい。
【0023】
本発明において、抗原との親和性を低下させることなく、とは、実験用試薬、免疫診断薬、治療用医薬品などで要求される抗原との親和性を少なくとも有していればよく、抗原との親和性の絶対値はアミノ酸置換前の抗体と比較して低下してもよい。親和性低下の割合は、アミノ酸置換前の抗体が有する抗原との親和性の大きさに依存するが、一般的には20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内である。
【0024】
本発明における、類似抗原とは、本来抗体と結合すべき抗原と類似した化学構造を有する化合物のことをいい、例として、本来抗体と結合すべき抗原がトリヨードサイロニン(T3)の場合は、ジクロフェナク代謝物、サイロキシン(T4)、3,5−ジヨード−L−サイロニン(T2)、リバースT3(rT3)などがあげられ、本来抗原と結合すべき抗原がプロゲステロンの場合には、コルチコステロン、プレグネノロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンなどがあげられ、本来抗体と結合すべき抗原がエストラジオール(E2)の場合は、エストロン(E1)、エストリオール(E3)、エチニルエストラジオール(EE2)などがあげられる。
【0025】
本発明の抗体は、可変領域にあるアミノ酸を他のアミノ酸に置換して作製する。可変領域は抗原との結合に関与する領域であるため、他のアミノ酸に置換するには、あらかじめ抗原との結合に関与しない位置のアミノ酸を見出してから置換する必要がある。特定位置のアミノ酸が、抗原との結合に関与しないアミノ酸であるかを見出すには、アミノ酸の置換により生じる効果が予想が付かないことが多いため、可変領域にあるすべてのアミノ酸について、他のアミノ酸への置換を試み、その効果を確認するのが好ましい。なお、抗体の立体構造解析が可能な場合は、効果が期待されるアミノ酸の種類をあらかじめ選定してから置換してもよい。
【0026】
特定位置のアミノ酸が、抗原との結合に関与しないアミノ酸であるかを見出す方法の一例として、アラニンスキャニングなどの系統学的解析があげられる。アラニンスキャニングはアラニンが物理的・化学的に中性であることを利用する方法であり、置換しようとする位置のアミノ酸をアラニンに置換し、タンパク質の活性変化を調べることで、置換位置の活性への寄与を評価する方法であり、酵素の活性部位解析などに利用されている(非特許文献2)。具体的には、置換しようとする位置のアミノ酸をアラニンに置換した変異型抗体を作成し、前記変異型抗体の抗原への親和性を評価することで、置換した位置のアミノ酸が抗原との結合に関与しないアミノ酸であるか判定すればよい。なお、置換するアミノ酸は必ずしもアラニンである必要はなく、例えば、側鎖を有しないアミノ酸であるグリシンや、それ以外のアミノ酸に置換した変異型抗体を作製し、評価してもよい。
【0027】
抗体の可変領域における特定位置のアミノ酸を他のアミノ酸に置換した変異型抗体を作製するには、当業者が通常用いる遺伝子工学的方法を用いて作製すればよい。前記変異型抗体をコードするポリヌクレオチドを作製する方法の一例として、天然型抗体をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、可変領域の特定位置にアミノ酸置換が起きるよう変異を導入したプライマーを用いて、PCR法にてポリヌクレオチドを増幅し作製する方法があげられる。前記変異型抗体をコードするポリヌクレオチドを発現させるためのベクターとしては、これまで報告されているベクターの中から適宜選択すればよいが、好ましいベクターの一つとしてpECEdhfr(非特許文献3)があげられる。なお、本発明の作製方法では特許文献1のようなパニングによるファージ上への発現を必要としないため、変異型抗体の発現形式としては、抗体の可変領域を含んでいればよく、抗体全領域であってもよいし、可変領域(Fv)そのもの、scFv(Single chain Fv)、Fab(Fragment,antigen binding)領域、またはFabが2つ結合したF(ab’)であってもよい。前記変異型抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、適切なホスト細胞に導入することにより、前記変異型抗体を発現させることができる。一過的に前記変異型抗体を高発現させる場合は、ホスト細胞としてSV40 large T抗原タンパク質発現細胞を用いると好ましく、一例として、COS1細胞(非特許文献4および5)や、293T細胞、COS7細胞をあげることができる。
【0028】
発現した変異型抗体の性能の評価方法としてはELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法、RIA(Radioimmunoassay)法、蛍光偏光法などがあげられる。また、実施例で使用のAIA−600II(東ソー社製)といったエンザイムイムノアッセイ装置を用いて評価してもよい。
【0029】
本発明の抗体の一例として、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む可変領域を有したトリヨードサイロニン(T3)に対する抗体のうち、T3との結合に関与しない、6番目のバリン、および/または7番目のアルギニンを、他のアミノ酸に置換した抗体があげられ、前記抗体はT3の類似抗原であるジクロフェナク代謝物に対する交差反応性が低下している。本発明の抗体の別の例として、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む可変領域を有したエストラジオール(E2)に対する抗体のうち、E2との結合に関与しない、5番目のセリン、および/または6番目のイソロイシンを、他のアミノ酸に置換した抗体があげられ、前記抗体はE2の類似抗原であるエチニルエストラジオール(EE2)に対する交差反応性が低下している。
【発明の効果】
【0030】
本発明の抗体は、抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換して得られる抗体であり、アミノ酸置換前の抗体と比較し、抗原との親和性を低下させることなく、抗原と類似した構造を有した類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体である。また本発明により、特にこれまで単離が困難であった、甲状腺ホルモンやステロイドホルモン等の低分子ホルモンに代表される低分子抗原を高い特異性で認識する(低分子抗原に対する親和性が高く、前記抗原の類似抗原に対する交差反応性が低い)抗体を容易に取得することができる。
【0031】
本発明の抗体は、抗原との親和性の高さ、および類似抗原に対する交差反応性の低さから、前記抗原を迅速・高感度に検出するための実験用試薬および免疫診断薬、ならびに副作用が少ない治療用医薬品の構成成分として、好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】抗体UT2AY−5Hのうち5番目のアスパラギン(5N)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の黒丸はUT2AY−5Hの検量線を示す。
【図2】抗体UT2AY−5Hのうち8番目のアスパラギン酸(8D)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の黒丸はUT2AY−5Hの検量線を示す。
【図3】抗体UT2AY−5Hのうち10番目のアルギニン(10R)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の黒丸はUT2AY−5Hの検量線を示す。
【図4】抗体UT2AY−5Hのうち10番目のアルギニン(10R)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の交差反応性を評価した結果。縦軸はジクロフェナクナトリウム服用前後の測定値の比(Ratio)を示す。
【図5】変異型抗体UT2AY−5mu1のアラニンスキャニングによるスクリーニング結果(ELISA)。横軸はアラニン置換を行なった位置、縦軸はELISA測定時の蛍光強度をそれぞれ示す。
【図6】変異型抗体UT2AY−5mu1のアラニンスキャニングによるスクリーニング結果(競合特性)。図中の黒丸はUT2AY−5mu1の検量線を示す。
【図7】変異型抗体UT2AY−5mu1のうち9番目のバリン(9V)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の黒丸はUT2AY−5mu1の検量線を示す。
【図8】変異型抗体UT2AY−5mu1のうち9番目のバリン(9V)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の交差反応性を評価した結果。縦軸はジクロフェナクナトリウム服用前後の測定値の比(Ratio)を示す。
【図9】抗体UT2AY−5Hおよび変異型抗体UT2AY−5mu2を用いて、ジクロフェナクナトリウム服用前後の、ヒト血清中のトリヨードサイロニン(T3)濃度を測定した結果。
【図10】抗体U16A14のアラニンスキャニングによるスクリーニング結果(競合特性)。図中の黒丸はU16A14の検量線を示す。
【図11】抗体U16A14のうち5番目のセリン(5S)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の白ひし形はU16A14の検量線を示す。
【図12】抗体U16A14のうち6番目のイソロイシン(6I)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の競合特性を示す検量線。図中の白ひし形はU16A14の検量線を示す。
【図13】抗体U16A14のうち、(a)5番目のセリン(5S)または、(b)6番目のイソロイシン(6I)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体の交差反応性を評価した結果。縦軸はエチニルエストラジオール(EE2)を含まないヒト血清の測定値と、前記血清にEE2を2ng/mL添加したヒト血清の測定値との比(Ratio)を示す。
【図14】二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)の競合特性を示す検量線。図中の白ひし形はU16A14の検量線を示す。
【図15】二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)の交差反応性を評価した結果。縦軸はエチニルエストラジオール(EE2)を含まないヒト血清の測定値と、前記血清にEE2を2ng/mL添加したヒト血清の測定値との比(Ratio)を示す。
【図16】二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)の交差反応性を評価した結果。縦軸は、(a)エストロン(E1)または(b)エストリオール(E3)を含まないヒト血清の測定値と、前記血清に(a)E1または(b)E3を20ng/mL添加したヒト血清の測定値との比(Ratio)を示す。
【実施例】
【0033】
以下、実施例1から10では抗トリヨードサイロニン(T3)ウサギモノクローナル抗体(以下、単に抗T3抗体という)のジクロフェナク代謝物に対する交差反応性改善を、実施例11から21では抗エストラジオール(E2)ウサギモノクローナル抗体(以下、単に抗E2抗体という)のエチニルエストラジオール(EE2)に対する交差反応性改善を、それぞれ例として、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例1 抗T3ウサギモノクローナル抗体の単離
抗T3抗体は、特許文献4に記載の方法に従い、抗原を免疫したウサギから抗体産生細胞を単離し、目的とする抗体遺伝子を保有する細胞を選別し、選別した細胞から重鎖および軽鎖の抗体遺伝子を単離・増幅し、重鎖および軽鎖の抗体遺伝子を発現ベクターに導入後、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することで単離した。
【0035】
実施例2 抗T3抗体アミノ酸配列の比較
同一ウサギ個体から得られた2種類の抗T3抗体(UT2AY−4H、UT2AY−5H)の、重鎖(H鎖)CDR3領域のアミノ酸配列を解析し、比較した。それぞれのH鎖CDR3領域の配列を表1に示す。
【0036】
【表1】

UT2AY−5H(配列番号1)とUT2AY−4H(配列番号2)とを比較すると、5番目のアスパラギン(5N)、8番目のアスパラギン酸(8D)、10番目のアルギニン(10R)が特徴的なアミノ酸であることがわかる。5NはUT2AY−4Hでは単純な骨格のアラニン(A)であるのに対しUT2AY−5Hでは極性アミノ酸のアスパラギン(N)に、8DはUT2AY−4Hではグリシン(G)に対してUT2AY−5Hでは酸性アミノ酸のアスパラギン酸(D)に、10RはUT2AY−4Hでは欠損しているのに対してUT2AY−5Hでは塩基性アミノ酸のアルギニン(R)に、それぞれなっている。
【0037】
実施例3 変異型抗T3抗体の作製
実施例2で見出した、UT2AY−5Hの特徴的なアミノ酸(5N、8D、10R)に対して、アミノ酸の点変異導入を行なった。点変異導入はKOD−Plus−Mutagenesis Kit(東洋紡績社製)を用いて行ない、得られた変異型抗T3抗体遺伝子を特許文献4に記載の方法に従いCOS1細胞に遺伝子導入し、培養上清中に変異型抗T3抗体を得た。
【0038】
実施例4 変異型抗T3抗体の競合特性評価
実施例3で得た変異型抗体の競合特性を、東ソー社製全自動免疫診断装置(AIA−600II)を用いて測定し、横軸にT3濃度(pg/mL)、縦軸に競合特性(B/B0;T3とアルカリホスファターゼで標識したT3とを共存させ、横軸濃度のT3が共存したときの値をT3濃度がゼロの時の値で割った値)をプロットした検量線を作成して評価した。
【0039】
結果を図1から3に示す。5N(図1)または8D(図2)に変異を導入(アミノ酸置換)すると、野生型と比較し競合特性が劣っていることがわかる。一方、10R(図3)に変異を導入した場合、蛋白質の主鎖骨格に影響をあたえるプロリン(Pro)を除き、競合特性の変化がなかった。以上より、UT2AY−5Hのうち10番目のアルギニン(10R)は目的抗原(T3)との結合には関与しないことが明らかとなった。
【0040】
実施例5 変異型抗T3抗体の交差反応性評価
10Rに変異を導入(アミノ酸置換)した抗体に対して、ジクロフェナク代謝物との交差反応性を評価した。交差反応性の評価は、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン(商品名))服用前後におけるヒト血清のT3濃度を東ソー社製AIA−600IIを用いて測定し、服用前後の測定値の比をとることで評価した。
【0041】
結果を図4に示す。図4において、ジクロフェナク代謝物との交差反応性が大きいほど、服用後のヒト血清中のT3濃度の測定値が小さくなるため、Ratioは小さくなる。図4の結果より、10番目のアルギニン(10R)を実施例4で評価したアミノ酸(セリン、グリシン、バリン、リジン、プロリン、ヒスチジン、チロシン)に置換することにより、ジクロフェナク代謝物との交差反応性が低下していることが示された。実施例4および5の結果より、10番目のアルギニン(10R)をグリシン(Gly)に置換した変異型抗体が、交差反応性が少なく、かつ競合特性も変化しない抗体であることがわかる。
【0042】
実施例6 目的抗原(T3)との結合に関与しないアミノ酸のスクリーニング(その1)
実施例4および5の結果から、目的抗原の結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に置換する(変異を導入する)ことで、目的抗原への親和性を低下させることなく、交差反応性の低下(特異性の改善)が可能であることが明らかとなった。次に、交差反応性の更なる低下(改善)をねらい、実施例5で得られた、UT2AY−5Hのうち10番目のアルギニン(10R)をグリシン(Gly)に置換した変異型抗体(以下、UT2AY−5mu1とする)について、H鎖CDR3領域の他のアミノ酸の置換試験を行なった。なお効率的な置換試験を行なうため、アラニンスキャニングにより目的抗原の結合に関与しないアミノ酸のスクリーニングを行なった。
(1)H鎖CDR3領域のアミノ酸のうち、10R以外のアミノ酸をアラニンに置換した変異型抗体を実施例3に記載の方法で作製した。
(2)アラニンに置換した変異型抗体の反応性の一次評価を、以下に示すELISAにより行なった。
(2−1)抗ウサギ抗体(0.5g/mL)をELISAプレートに固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2−2)各変異型抗体とアルカリホスファターゼで標識したT3(標識T3)を同時に反応させた。
(2−3)変異型抗体と未反応の標識T3をB/F分離後、酵素基質である4−メチルウンベリフェリルリン酸(4−MUP)を分注し、蛍光強度を測定することで検出した。
【0043】
ELISAの結果を図5に示す。6番目のフェニルアラニン(6F)または7番目のロイシン(7L)をアラニンに置換した変異型抗体では、目的抗原への親和性が低下することが確認され、これらの位置にあるアミノ酸は目的抗原(T3)との結合に関与していることが明らかとなった。
【0044】
実施例7 目的抗原(T3)との結合に関与しないアミノ酸のスクリーニング(その2)
実施例6で目的抗原の結合にあまり関与していない、4番目のアルギニン(4R)、9番目のバリン(9V)、および11番目のアスパラギン(11N)をそれぞれアラニンに置換した変異型抗体の競合特性を、東ソー社製AIA−600IIを用いて測定し、横軸にT3濃度(pg/mL)、縦軸に競合特性(B/B0)をプロットした検量線を作成して評価することで、変異型抗体の二次スクリーニングを行なった。
【0045】
図6に結果を示す。競合特性はアラニン置換した位置が11N、4R、9Vの順に劣っており、実施例6におけるELISAの結果(図5)を反映していた。なお、9番目のバリン(9V)をアラニンに置換した変異型抗体は、アラニン置換前の抗体(UT2AY−5mu1)と同等の検量線を示しており、UT2AY−5mu1(UT2AY−5H)のうち9番目のバリン(9V)は目的抗原(T3)との結合に関与しないことが示唆された。
【0046】
実施例8 変異型抗T3抗体(二置換体)の作製
実施例7より、9番目のバリン(9V)は目的抗原の結合に関与しないことが示唆されたため、UT2AY−5mu1のうち9番目のバリン(9V)をアラニン以外の他のアミノ酸に置換した変異型抗体を作製した。変異型抗体の作製は実施例3に記載の方法で行なった。
【0047】
実施例9 変異型抗T3抗体(二置換体)の競合特性評価
実施例8で得た、9番目のバリン(9V)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体について、競合特性を、東ソー社製AIA−600IIを用いて測定し、横軸にT3濃度(pg/mL)、縦軸に競合特性(B/B0)をプロットした検量線を作成して評価した。結果を図7に示す。いずれのアミノ酸を置換した場合でも、競合特性に変化はなく、UT2AY−5mu1(UT2AY−5H)のうち9番目のバリン(9V)は目的抗原(T3)との結合に関与しないことが明らかとなった。
【0048】
実施例10 変異型抗T3抗体(二置換体)の交差反応性評価
9番目のバリン(9V)を他のアミノ酸に置換した変異型抗体に関して、ジクロフェナク代謝物との交差反応性を評価した。交差反応性の評価は、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン(商品名))服用前後におけるヒト血清のT3濃度を東ソー社製AIA−600IIを用いて測定し、服用前後の測定値の比をとることで評価した。
【0049】
結果を図8に示す。図8において、ジクロフェナク代謝物との交差反応性が大きいほど、服用後のヒト血清中のT3濃度の測定値が小さくなるため、Ratioは小さくなる。図8の結果より、9番目のバリン(9V)を実施例9で評価したアミノ酸(プロリン、トリプトファン、ヒスチジン、イソロイシン、セリン、アルギニン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、メチオニン、アラニン)に置換することにより、ジクロフェナク代謝物との交差反応性が、アミノ酸置換前の抗体(UT2AY−5mu1)と比較し低下していることが示された。特に、9番目のバリン(9V)をトリプトファン(Trp)に置換した変異型抗体が、交差反応性の少ない抗体であることがわかる(以降、当該抗体をUT2AY−5mu2とする)。
【0050】
野生型抗体(UT2AY−5)と、9番目のバリン(9V)をトリプトファンに、10番目のアルギニン(10R)をグリシンに、それぞれ置換した変異型抗体(UT2AY−5mu2)を用いて、ジクロフェナクナトリウム服用前後のヒト血清のT3濃度の測定を行った結果を図9に示す。野生型抗体(UT2AY−5)を用いてT3濃度測定を行なうと、ジクロフェナク代謝物との交差反応により、服用後の測定値が大きくなっているのが分かる。一方、変異型抗体(UT2AY−5mu2)では交差反応性が改善されているため、服用前後で測定値に大きな差はなかった。
【0051】
実施例11 抗E2ウサギモノクローナル抗体の単離
抗E2抗体は、特許文献4に記載の方法に従い、抗原を免疫したウサギから抗体産生細胞を単離し、目的とする抗体遺伝子を保有する細胞を選別し、選別した細胞から重鎖および軽鎖の抗体遺伝子を単離・増幅し、重鎖および軽鎖の抗体遺伝子を発現ベクターに導入後、発現ベクターを宿主細胞に導入することで単離した。
【0052】
実施例12 抗E2抗体アミノ酸配列の解析
抗E2抗体(U16A14)の、重鎖(H鎖)CDR3領域のアミノ酸配列を解析した。H鎖CDR3領域の配列を配列番号3および表2に示す。表2に示すようにU16A14のH鎖CDR3領域は6アミノ酸からなる。
【0053】
【表2】

実施例13 アラニンスキャニングによる抗E2抗体のスクリーニング
実施例12で解析した6アミノ酸それぞれに対し、アラニン置換試験(アラニンスキャニング)を行なった。点変異導入はKOD−Plus−Mutagenesis Kit(東洋紡績社製)を用いて行ない、得られた変異型抗E2抗体遺伝子を特許文献4に記載の方法に従いCOS1細胞に遺伝子導入し、培養上清中に変異型抗E2抗体を得た。以降、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるH鎖CDR3領域を有する抗体のうち、配列番号3のN番目のアミノ酸をアラニンに置換した抗体をmutNとする。
【0054】
実施例14 変異型抗E2抗体の競合特性評価(その1)
実施例13で得た変異型抗体(mut1からmut6)の競合特性を、東ソー社製全自動免疫診断装置(AIA−600II)を用いて測定し、横軸にE2濃度(pg/mL)、縦軸に競合特性(B/B0;E2とアルカリホスファターゼで標識したE2とを共存させ、横軸濃度のE2が共存したときの値をE2濃度がゼロの時の値で割った値)をプロットした検量線を作成して評価した。配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるH鎖CDR3領域のいずれかにアラニン置換を導入した1置換抗体(mut1からmut6)のうち、5番目のセリンまたは6番目のイソロイシンをアラニンに置換した抗体は、アラニン置換前の野生型抗体(U16A14)と同等の競合特性を有していた(図10)。このことから、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるH鎖CDR3領域のうち、5番目のセリン(5S)と6番目のイソロイシン(6I)は目的抗原(E2)との結合には関与しないことが示唆された。
【0055】
実施例15 変異型抗E2抗体の作製
実施例14より、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるH鎖CDR3領域のうち、5番目のセリン(5S)と6番目のイソロイシン(6I)は目的抗原(E2)との結合には関与しないことが示唆された。そこで、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるH鎖CDR3領域のうち、5番目のセリン(5S)をアラニン以外の他のアミノ酸に置換した変異型抗体、および6番目のイソロイシン(6I)をアラニン以外の他のアミノ酸に置換した変異型抗体を作製した。変異型抗体の作製は実施例13に記載の方法で行なった。
【0056】
実施例16 変異型抗E2抗体の競合特性評価(その2)
実施例15で得た、5番目のセリン(5S)と6番目のイソロイシン(6I)をアラニン以外の他のアミノ酸に置換した変異型抗体それぞれについて、東ソー社製AIA−600IIを用いて、横軸にE2濃度(pg/mL)、縦軸に競合特性(B/B0)をプロットした検量線を作成することで、競合特性を評価した。結果を図11および12に示す。5Sの置換においては、ロイシン(Leu)に置換した変異型抗体を除き、競合特性に変化はなかった(図11)。また6Iの置換においては、いずれのアミノ酸に置換した場合でも、競合特性に変化はなかった(図12)。以上より、U16A14のうち5番目のセリン(5S)と6番目のイソロイシン(6I)は目的抗原(E2)との結合への関与が少ないことが明らかとなった。
【0057】
実施例17 変異型抗E2抗体の交差反応性評価
5Sまたは6Iを他のアミノ酸に置換した変異型抗体に関して、エチニルエストラジオール(EE2)との交差反応性を評価した。交差反応性の評価は、EE2未添加のヒト血清と、前記血清にEE2を2ng/mL添加したヒト血清とを、東ソー社製AIA−600IIを用いて測定し、測定値の比をとることで評価した。
【0058】
結果を図13に示す。図13において、EE2との交差反応性が大きいほど、測定値が小さくなるため、Ratioは小さくなる。図13(a)の結果より、5Sの位置では、アスパラギン酸(D)またはチロシン(Y)への置換により、野生型抗体(U16A14)と比較し交差反応性が改善することが判明した。また図13(b)の結果より、6Iの位置ではスレオニン(T)への置換により、野生型抗体(U16A14)と比較し交差反応性が改善することが明らかとなった。
【0059】
実施例18 二置換抗E2抗体の作製
実施例17より、5Sまたは6Iを特定のアミノ酸に置換することで、EE2との交差反応性が改善することが示された。そこで、より交差反応性の改善した変異型抗体を得るため、5Sおよび6Iの両方に変異を導入した、二置換抗体mut5D6T(5番目のセリンをアスパラギン酸に、6番目のイソロイシンをチロシンに、それぞれ置換した抗体)と、mut5Y6T(5番目のセリンをスレオニンに、6番目のイソロイシンをチロシンに、それぞれ置換した抗体)をそれぞれ作製した。変異型抗体の作製は実施例13に記載の方法で行なった。
【0060】
実施例19 二置換抗E2抗体の競合特性評価
実施例18で得た2つの二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)の競合特性評価を東ソー社製AIA−600IIを用いて、実施例16に記載の方法により行なった。結果を図14に示す。mut5D6T、mut5Y6Tいずれの二置換抗体でも、E2に対する競合特性は、野生型抗体(U16A14)より大きな変化は見られなかった。
【0061】
実施例20 二置換抗E2抗体の特異性評価(その1)
実施例18で得た2つの二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)のEE2に対する交差反応性評価を東ソー社製AIA−600IIを用いて、実施例17に記載の方法により行なった。結果を図15に示す。今回評価した二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)はいずれも、野生型抗体(U16A14)と比較し、EE2との交差反応性が改善したことが示された。
【0062】
実施例21 二置換抗E2抗体の特異性評価(その2)
EE2以外の類似構造物質に対する交差反応性が悪化していないことを確認するため、エストロン(E1)およびエストリオール(E3)に対する交差反応性の評価を、交差反応性物質未添加のヒト血清と、前記血清にE1またはE3を20ng/mL添加したヒト血清とを準備し、東ソー社製AIA−600IIを用いて、実施例17に記載の方法で行なった。結果を図16に示す。今回評価した二置換抗体(mut5D6T、mut5Y6T)はともに、E1およびE3に対する交差反応性の悪化は確認されなかった。
【0063】
以上、抗T3抗体の結果(実施例1から10)および抗E2抗体の結果(実施例11から21)からもわかるように、目的抗原の結合に関与しないアミノ酸に変異導入(アミノ酸置換)を行なうことで、抗原との親和性を低下させることなく、交差反応性を改善する(低下させる)ことができることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換した、抗原との親和性を低下させることなく、類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体。
【請求項2】
抗体の可変領域が抗体の相補性決定領域(CDR)である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
抗原が甲状腺ホルモンやステロイドホルモン等の低分子ホルモンである、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
抗原がトリヨードサイロニン(T3)であり、類似抗原がジクロフェナク代謝物である、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号1からなるアミノ酸配列を含む抗体のうち、配列番号1の6番目のバリン、および/または7番目のアルギニンを他のアミノ酸に置換した、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
抗原がエストラジオール(E2)であり、類似抗原がエチニルエストラジオール(EE2)である、請求項3に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号3からなるアミノ酸配列を含む抗体のうち、配列番号3の5番目のセリン、および/または6番目のイソロイシンを他のアミノ酸に置換した、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
抗体の可変領域のアミノ酸のうち、抗原との結合に関与しないアミノ酸を他のアミノ酸に一つ以上置換することで、抗原との親和性を低下させることなく、類似抗原に対する交差反応性を低下させた抗体を作製する方法。
【請求項9】
抗原との結合に関与しないアミノ酸をアラニンスキャニングにより選定する、請求項8に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate