説明

牽引式キャンピングハウス

【課題】 牽引式キャンピングハウスの容積拡張作業を容易化し、重心を安定性させることを課題とする。
【解決手段】 牽引式キャンピングハウス1は、一側部が開口した主箱体2と、一側部が開口した拡張部箱体3と、から構成され、主箱体3が牽引台車4に固定され、主箱体2の側端部の下部に連結が可能でジャッキ62により支持されるレール状部材6を備え、主箱体2又は拡張部箱体3にガイド部材7を設け、キャンピングのときには、拡張部箱体3が側方向へスライドし、ガイド部材7、レール状部材6に沿って移動することにより、容積を拡張でき、側板32は、揺動部材5を備え、開閉でき、搬送時は主箱体2に拡張部箱体3を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に脱着して牽引移動可能な牽引式キャンピングハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明は、第1に、移動,運搬が容易であり、第2に、設置も簡単であり、第3に、保管,移動,運搬に場所を取らないと共に、より広いスペースにて設置,使用でき、第4に、住居,店舗,事務所,作業所,宿舎,休憩所,その他各種の用途に活用可能な、トレーラーハウスを提案する。そして、このトレーラーハウスは、牽引されて移動され、シャーシフレーム1と、シャーシフレーム1下に配設された車輪と、シャーシフレーム1上に乗せられたハウス部3と、を有している。ハウス部3は、シャーシフレーム1上に連結固定された親ユニット4と、親ユニット4に入れ子式に組み付けられた子ユニット5と、を備えている。そして親ユニット4下にレール部22を、シャーシフレーム1外側方に延長フレーム23と延長レール24を、子ユニット5下にローラー25を、更にシャーシフレーム1等に連結部と昇降脚を、付設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平9−284463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1の発明は、子ユニット5の親ユニット3からの引き出し・収容作業と、後付けでの延長レールの連結固定、子ユニット5の支持作業が困難であった。また、昇降脚27の高さ調整が面倒で困難であり、移動中は邪魔になるという問題があった。
【0005】
そこで、牽引式キャンピングハウスの作業を容易化し、安定性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、請求項1の発明は、一側部が開口した主箱体と、一側部が開口した拡張部箱体と、前記主箱体の下部から延び出しジャッキで支持するレール状部材と、を備え、前記拡張部箱体が側方向へスライドするよう、前記主箱体又は拡張部箱体にガイド部材を設け、前記主箱体が牽引台車に固定され、前記拡張部箱体が側方向へスライドしながら、前記レール状部材上を移動することにより、容積を拡張することを特徴とする牽引式キャンピングハウスである。
【0007】
ここでいう「レール状部材」は、その上で拡張部箱体が前後に移動できる機能を備えたものであれば良く、細長い剛性部材の他に、複数のローラが整列したもの、あるいは、無端状に配置したローラを備えたコンベアなどでもよい。配置する個数は単数、複数いずれでもよい。また、例えば、ハンドル又はモータ駆動で駆動するコンベアでもよい。コンベアは手動、駆動いずれも含まれる。「レール状部材」は主箱体からスライド可能な構造でもよい。また、主箱体に底板に収容できる構造でもよい。例えば、主箱体の底板に収納パイプを設け、その収納パイプにスライド可能に収容されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上説明したように構成されているので、容積の拡張作業、ハウスの支持作業が容易である。また、床の安定性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の牽引式キャンピングハウス1の平面図である。
【図2】牽引式キャンピングハウス1の背面図である。
【図3】牽引式キャンピングハウス1の右側面図である。
【図4】牽引式キャンピングハウス1の主箱体の平面図である。
【図5】(a)は主箱体と拡張部箱体の背面図、(b)は同じく正面図である。
【図6】牽引式キャンピングハウス1の主箱体から拡張部箱体が引き出された状態の左側面図である。
【図7】牽引式キャンピングハウス1の主箱体から拡張部箱体が引き出され、さらに、拡張部箱体の側壁が上方に移動し開放された状態の左側面図である。
【図8】牽引台車の平面図である。
【図9】(a)は牽引台車の正面図、(b)は牽引台車の右側面図である。
【図10】牽引式キャンピングハウス1の平面図である。
【図11】牽引式キャンピングハウス1の右側面図である。
【図12】牽引式キャンピングハウス1のレールを取り付けた状態を示す右側面図である。
【図13】牽引式キャンピングハウス1のレールを取り付けた状態を示す平面図である。
【図14】牽引式キャンピングハウス1の拡張時の平面図である。
【図15】牽引式キャンピングハウス1の拡張時の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態である牽引式キャンピングハウス1について図面を参照して説明する。
【0011】
この牽引式キャンピングハウス1は、一側部が開口した主箱体2と、一側部が開口した拡張部箱体3と、から構成され、主箱体2の側端部の下部に連結が可能なレール状部材6を備え、拡張部箱体3が側方向へスライドするよう、主箱体2又は拡張部箱体3にガイド部材を設け、記主箱体3が牽引台車4に固定され、拡張部箱体3が側方向へスライドしながら、レール状部材6上を移動することにより、容積を拡張することを特徴とする。主箱体2に拡張部箱体3が収容された状態で固定するためのロックが牽引式キャンピングハウス1に設けてある(図示略)。
【0012】
以下に、本発明の好適な実施形態である牽引式キャンピングハウス1について図面を参照して説明する。
【0013】
図1〜図15に示す通り、この牽引式キャンピングハウス1は、側部が開口した主箱体2と、一側部が開口した拡張部箱体3と、から構成されている。
【0014】
主箱体2が牽引台車4に固定されている。
【0015】
主箱体2の側部の下部にレール状部材6を結合し、拡張部箱体3が短手方向側方へスライドするよう、主箱体2と拡張部箱体3とにスライドのためのガイド部材7を設けている。
【0016】
そして、牽引式キャンピングハウス1が移動するときには、拡張部箱体3が主箱体2内に収納される。
【0017】
一方、牽引式キャンピングハウス1が容積を拡張するときには、レール状部材6を取り付け、拡張部箱体3が側方向へスライドするとともに、レール状部材6上を移動することを特徴とする。以下、形状、構造等を詳細に説明する。
【0018】
図10〜図15図(適宜、牽引台車4の図示は略す)等に示す通り、主箱体2は、底板20、前板21、側板22、天板24、後板25、開放面26を備えている。天板24の上面には補強部材28が設けてある。
【0019】
拡張部箱体3は底板30、後板31、側板32、天板34、前板35、開放面36を備えている。天板34の上面、後板31の側面には補強部材38が設けてある。
【0020】
図7に示す通り、側板32は底板30、後板31、天板34、前板35とは分離されていて、揺動部材5により開閉できるようになっている。揺動部材5は、ヒンジ50と、伸縮部材51とから構成されている。ヒンジ50は天板34の端部と、側板32の上端部とを連結するものである。ダンパー51は、後板31又は前板35と側板32とを連結し、軸方向に伸縮するものであり、所定の角度で停止し、側板32を所定の角度で固定できるようになっている。側板32の角度は水平が好ましい。こうした構成により、側板32を開けたときには、屋根の代用とし、廻りは防虫ネット、または、カヤ等で囲み、専有面積を拡張し、陰Sの部分が形成される。例えば、防虫ネットを側板32の三方からぶら下げて専有空間を作る。このように、バーベキュー等を屋外でも可能とする。就寝時は側板32を閉めて安全を確保する。なお、伸縮部材51は油圧シリンダ、ガスダンパー等が挙げられる。
【0021】
なお、キャンプに必要とされる最小限の設備(例えば、水槽、洗い場、簡易ベッド、洗面台等)は予め主箱体2及び/又は拡張部箱体3にセットしてあり、それらの説明は割愛する。
【0022】
レール状部材6は、図12等に示す通り、脱着式であり、主箱体2の底板20に取り付けて連結される。レール状部材6は、レール60と、レール60の上部に設けて、レール60に連結し支持するジャッキ62を備えている。このジャッキ62は、高さ方向に伸縮可能である。ジャッキ62は、ねじジャッキ(普通形ねじジャッキ、ラチェット式ねじジャッキ、軸受付ねじジャッキ、ラック駆動ジャッキ)、液体作動式(油圧ジャッキ、ポンプ一体型、ポンプ分離型)、空気式(エアージャッキ)のいずれでもよい。ここではねじジャッキを使用する。
【0023】
レール状部材6は、拡張部箱体3の引き出し、収容の際の安定性のため、間隔を設けて複数本、例えばここでは一対が設けてある。また、レール状部材6は、主箱体2の底板20の収納パイプ29にスライド可能に収容される構造である。レール状部材6をスライド可能に収納パイプ29に収容した時にロックし、牽引式キャンピングハウス1に収容された状態で運搬してもよい。レール状部材6は主箱体2に対してスライド可能な構造である。また、主箱体に底板に収容できる構造である。
【0024】
さらに、レール部材6を主箱体2の底板20に対して取り付け、取り外し可能な脱着式でもよく、取り外して運搬してもよい。例えば、レール状部材6にフック(図示略)を設け、主箱体2の底板20の穴又は突出部に係合させてもよい。レール状部材6はこれに限定されず、同様の機能を達成できる構造であればよく、例えば、ハンドル又はモータで駆動するコンベア、ローラ構造物等でもよい。コンベアであればチェーン駆動が好ましい。
【0025】
ガイド部材7は、図12、図15に示す通り、スライドレール70を誘導する、主箱体2の底板20の上面に形成されたスライドレール70と、拡張部箱体3の底板30の裏面に形成したローラ73と、を備え、ローラ73がスライドレール70上を走行するようになっている。主箱体2の底板20の上面に形成されたローラ73と、拡張部箱体3の底板30の裏面に形成したスライドレール70と、を備え、ローラ73上をスライドレール70が走行するようにしてもよい。スライドする場合に、スライドレール70の動きを規制するガイド部材を主箱体2の底板20の上面に設けてもよい。スライドレール70をなくしローラ73のみを設けてもよい。
【0026】
主箱体2又は拡張部箱体3に適宜、窓58、換気扇、ドア59を備えることが好ましい。ここでは主箱体2は、窓58、換気扇(図示略)、ドア59及び水槽(図示略)等を備え、拡張部箱体3には窓88を1か所、明かり取り窓89を前後に各1ヶ所備えている。
【0027】
牽引台車4は、台部40、台部40の下面に取り付けられる車輪部41、台部40の前方に取り付けられる牽引部42、牽引部42の下方に取り付ける小車輪43、及び台部40の上面に設ける補強部材44を備えている。
【0028】
なお、図示は略すが、主箱体2の開口側端面と拡張部箱体3の開口側端面とは、夫々の当接部にパッキング材が付設されており、主箱体2及び拡張部箱体3は、それぞれがパッキング材に圧接している。このため、移動中で拡張部箱体3を主箱体2内に収納しているときも、あるいは、拡張部箱体3を主箱体2内から引き出しているときも、風雨に対して水密構造となっている。
【0029】
実施形態の動作、作用効果を説明する。牽引式キャンピングハウス1が移動するときには、拡張部箱体3を主箱体2の短手方向に移動させて、主箱体2に拡張部箱体3が収容され、トレーラーに連結して牽引される。このとき、レール状部材6はそのまま主箱体2の底部の収納パイプ29へ収納され、適宜ロックされて、搬送されるので、装着作業、移動作業は円滑に簡単に行うことができる。
【0030】
一方、キャンプするときには、トレーラーを停止し、トレーラーから牽引式キャンピングハウス1を分離し、レール状部材6を側方向に引き出し、ジャッキ62で支持する。レール状部材6はジャッキ62で支持され、常に水平を維持すべく高さを調整しながら地面に設置されているので、牽引式キャンピングハウス1の重心位置も問題ない。
【0031】
つぎに拡張部箱体3を主箱体2から側方向に引き出すと、レール状部材6のローラ73がスライドレール70、レール60上を移動し、拡張部箱体3が側方向へとスライドし、外部に引き出され、レール状部材6の上に支持される。このように、拡張部箱体3がレール状部材6上を移動し支持されるので、牽引式キャンピングハウス1の容積拡張を重心バランスが保たれながら円滑かつ容易にできる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。たとえば、ローラ73を底板30に設けたが、スライドレール70、レール60に設けてもよい。たとえば、主箱体2または拡張部箱体3に簡易トイレを設けることができる。これにより、外部に設ける必要がなくなり、室内に居たままで用を足すことができ、大変便利である。また、糞尿を内部に貯留するため、環境面でも大変良好である。なお、簡易トイレを主箱体2又は拡張部箱体3に設けることができるので、糞尿の取り出しに便利である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・牽引式キャンピングハウス
2・・・主箱体
20・・・底板
21・・・前板
22・・・側板
24・・・天板
25・・・後板
26・・・開放面
28・・・補強部材
29・・・収納パイプ
3・・・拡張部箱体
31・・・後板
32・・・側板
34・・・天板
35・・・前板
36・・・開放面
38・・・補強部材
4・・・牽引台車
5・・・揺動部材
6・・・レール状部材
7・・・ガイド部材30・・・底板58・・・窓
59・・・ドア
60・・・レール
62・・・脚部
70・・・スライドレール
73・・・ローラ
88・・・窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側部が開口した主箱体と、
一側部が開口した拡張部箱体と、
前記主箱体の下部から延び出しジャッキで支持するレール状部材と、
を備え、
前記拡張部箱体が側方向へスライドするよう、前記主箱体又は拡張部箱体にガイド部材を設け、
前記主箱体が牽引台車に固定され、前記拡張部箱体が側方向へスライドしながら、前記レール状部材上を移動することにより、容積を拡張することを特徴とする牽引式キャンピングハウス。
【請求項2】
前記主箱体の底板に収納パイプを設け、前記スライド部材がスライド可能に前記収容パイプに収容される構造を備える請求項1の牽引式キャンピングハウス。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記主箱体の底板に設けたレールと、前記拡張部箱体の底板に設けたローラと、を備え、前記ローラが前記レール上を走行する請求項1の牽引式キャンピングハウス。
【請求項4】
前記拡張部箱体の側板が開閉できる構造となっている請求項1の牽引式キャンピングハウス。
【請求項5】
前記牽引台車の前部に小車輪を有する脚部を備える請求項1の牽引式キャンピングハウス。
【請求項6】
前記レール状部材の端部をジャッキで支持する請求項1の牽引式キャンピングハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−101767(P2012−101767A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254344(P2010−254344)
【出願日】平成22年11月13日(2010.11.13)
【出願人】(310007759)株式会社テクノミズホ (9)