犬猫用歯磨き具
【課題】 一人でも犬猫の歯磨きが容易に行うことができ、犬猫の口角を開けずに歯の表裏面を磨くことができ、歯根も良好に磨くことができ、歯磨き行為によるストレスを感じさせない犬猫用の歯磨き具を提供する。
【解決手段】 磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする。また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるのが良い。また、磨き部材が収縮可能な材料やスポンジ状材料で形成されていても良い。また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていても良い。
【解決手段】 磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする。また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるのが良い。また、磨き部材が収縮可能な材料やスポンジ状材料で形成されていても良い。また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬猫の歯を磨くための歯磨き具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間と同様に犬や猫も歯周病になることがある。歯周病とは、歯肉炎及び歯周炎の総称であり、歯肉炎及び歯周炎となる過程は次の通りである。まず、唾液や食物の食べ滓等が歯に蓄積し、細菌が増殖して歯垢となる。この歯垢をそのまま放置すると、石灰沈着して歯石となる。歯石を放置すると、歯肉炎となる。この炎症が更に進行すると、歯周炎となる。歯周炎まで症状が悪化すると、歯肉や歯を支えている組織が破壊され、痛みを感じるようになったり、酷い時には歯が抜け落ちる。また、歯周炎は歯槽骨にまで及ぶ炎症であり、治療が遅れると口腔内の細菌が血液を通じて全身に運ばれ、感染症を引き起こすこともある。痛みを伴う歯周病は、食欲があっても食べられなかったり、痛みによるストレスで健康状態に悪影響を及ぼすこともある。また、炎症によって細くなった顎骨は、骨折をおこしやすくなり、鼻や目に炎症が波及することもある。この歯周病は、成熟した犬と猫がかかりやすい病気とされているが、3歳に達するまでに多くの犬猫が何らかの歯に関する病気にかかるとされており、犬猫のデンタルケアが重視されている。そして、歯周病予防及び歯に関する病気予防は、人間と同様に歯磨きが最も効果的とされている。
【0003】
従来、犬猫に歯磨きをする場合は、人用の歯ブラシを用いることが多かったが、犬猫にとって人用歯ブラシはブラシ部分が大きすぎて、磨きにくく、効果的な歯磨きが行えないという問題を有していた。しかし、近年のペットブームにより、多くのペット関連製品が発売されるようになった。それに伴い、ペット用デンタルケア製品が製造販売されるようになったり、犬猫のデンタルケア関連の発明も提案されるようになった。
【0004】
犬猫のデンタルケア関連の出願の中に、特開2005−151882号公報(特許文献1)、実用新案登録第3132021号公報(特許文献2)がある。特開2005−151882号公報は、歯ブラシ本体の先端部にブラシ部を設け、基端部を把持部とした犬用歯ブラシに関する発明が記載されている。また、実用新案登録第3132021号公報は、幼犬・小型犬・中型犬・大型犬など、犬種別や犬の成長段階に応じて歯ブラシ本体の湾曲率、形状を変化させたペット用歯ブラシに関する考案が記載されている。
【0005】
上記した以外には、コットンやガーゼを指サック型に形成し、人の指に嵌めて、犬猫の歯を磨く歯磨き具等も製造販売されている。また、食物繊維や繊維質を多量に含有させたペットフードやサプリメント等も製造販売されている。
【特許文献1】特開2005−151882号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特開2005−151882号公報及び実用新案登録第3132021号公報に記載された発明・考案は、いずれもスティック状の本体にブラシ部を直角に植毛した構造をしており、従来から使用されている一般的な人用歯ブラシと同じような構造をしている。この様な歯ブラシは、ブラシ部を歯に接触させた状態で、歯ブラシを上下・左右に動かす必要があるため、犬猫の前歯側や歯の表面側(唇側)は磨きやすいが、奥歯等は磨きにくいという問題を有している。特に、奥歯の裏面側(口腔内側)は、歯ブラシを口腔内に突っ込まなければならないため、犬猫が嫌がりやすい。また、歯磨き中に突然犬猫が口を閉じたり、暴れたりして、手を噛まれたり、歯ブラシをかみ砕くおそれがある。
【0007】
また、指サック型の歯磨き具は、人の手を犬猫の口内に入れる必要がある。大型犬は人の手を入れることも可能であるが、小型犬や猫では非常に難しい。特に、歯の裏(口腔内側)は磨きにくいという問題を有している。また、食物繊維や繊維質を多く含んだペットフードやサプリメント等は、歯の先端や中腹は綺麗になりやすいが、歯根(歯茎との境目)には食べ物等が残りやすいという問題を有している。また、これらのペットフードやサプリメントは、長期間の継続使用によって効果が得られるものであり、コストがかかってしまうという問題も有している。
【0008】
また、近年のペットブームは、一人暮らしの人がペットを飼うケースが非常に多いという特徴を有している。そのため、毎日の歯磨きを行う場合は、一人で行う必要がある。しかし、一人でペットの歯磨きを行うのは、片手で犬猫の口を開ける又は体を押さえ、別の手で歯ブラシを操作しなければならず、非常に大変で容易に歯磨きができないという問題を有していた。
【0009】
また、犬猫が歯磨き行為を嫌がるようになってしまうと、歯磨き具を見ただけで逃げ出したり、過度な拒否反応を示したり、ストレスによって体調を崩すこともある。そのため、ストレスを感じさせないように歯磨き行為を行うことが大切である。しかし、歯磨き行為は、歯磨きする者の技術や能力による処が大きく、誰もがストレスを感じさせずに行えるわけでは無い。
【0010】
以上のことから、一人でも犬猫の歯磨きが容易に行うことができ、犬猫の口角を開けずに歯の表裏面を磨くことができ、歯根も良好に磨くことができ、歯磨き行為に対してストレスを感じさせない犬猫用の歯磨き具の開発が切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る犬猫用歯磨き具は、磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるのが良い。また、磨き部材が収縮可能な材料で形成されていても良い。また、磨き部材が、スポンジ状材料で形成されていても良い。
【0013】
また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていても良い。
【0014】
また、磨き部材縁部及び凹部開口部縁部は湾曲状に形成されていても良い。
【0015】
また、磨き部材と支持部材が着脱可能に連結固定されていても良い。また、磨き部材は、凹部を含む第一磨き部と、第一磨き部を支持固定する第二磨き部とからなり、第一磨き部と第二磨き部は、着脱可能に連結固定されていても良い。
【0016】
また、支持部材は、モーターと、モータによって軸回転する回転支持部を有していても良い。この回転支持部には、磨き部材が設けられ、回転支持部の回転軸は、磨き部材の凹部と略同軸に位置するのが良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る犬猫用歯磨き具は、磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられているため、凹部内に犬猫の歯を挿入し、把持部を回転させるだけで磨き部材が軸回転し、容易に歯を磨くことができる。更に、犬猫の口を開けずに唇間から磨き部材を挿入し、軸回転させるだけで歯の表裏面及び歯根を磨くことができるため、犬猫に歯磨き行為によるストレスを感じさせず、一人でも安全且つ速やかに歯磨きを行うことができる。
【0018】
また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるため、凹部内壁と歯が密接しやすくなり、歯根近傍の食べ滓、歯垢、歯石等を効果的に除去できる。
【0019】
また、磨き部材が、スポンジ状材料で形成されているため、凹部内壁を歯に接触させた状態で磨き部材が回転しても、歯表面のエナメル質・歯茎・唇の裏側等を損傷させるおそれが無い。
【0020】
また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられているため、より効果的に歯磨きが可能となる。
【0021】
また、磨き部材縁部及び凹部開口部縁部は湾曲状であるため、磨き部材を軸回転させても歯茎を損傷させるおそれが無い。
【0022】
また、磨き部材と支持部材が着脱可能に連結固定されているため、用途に応じて磨き部材を適宜変更することができると共に、清潔な磨き部材と取り替えることもでき、非常に高い汎用性を有することができる。
【0023】
また、磨き部材は、凹部が設けられた第一磨き部と第二磨き部とからなり、第一磨き部と第二磨き部は着脱可能に連結固定されているため、第一磨き部の取り替えや第一磨き部材を取り外しての洗浄が可能となり、非常に衛生的な歯磨き具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る犬猫用歯磨き具2について図を参照にしながら説明する。図1及び図2は、本発明に係る犬猫用歯磨き具2の一実施の形態を示した説明図である。なお、これらの図は本発明を説明するためだけのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0025】
本発明に係る犬猫用歯磨き具2は、磨き部材4と、磨き部材4を支持固定する支持部材10とからなる。
【0026】
本発明に係る磨き部材4は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状をしていることを特徴とする。また、図1に示されたように、磨き部材4の穴又は窪み部分を凹部6とする。磨き部材4の材料としては、歯14表面のエナメル質を損傷しない様な滑らかさで、歯14の付着物や歯垢等の除去が可能な摩擦を有する材料で形成されるのが良い。また、収縮性を有する材料を使用しても良い。具体例としては、スポンジ、ウレタン等が好ましく、各種ゴム、樹脂等も使用可能である。なお、凹部6についての詳細な説明は後述する。本発明に係る歯磨き具2は、磨き部材4の凹部6に歯14を挿入して歯14を磨くものであるが、歯14を磨く方法としては、磨き部材4内壁面を歯14に接触させて歯14を磨く方法と、磨き部材4内壁面に歯14を磨くための補助部材8を設けて歯14を磨く方法の二通りが挙げられる。
【0027】
図3〜図6は、歯14に凹部6内壁を接触させて歯14を磨く場合の歯磨き具2を示した断面図である。図3(a)は磨き部材4が臼状、図3(b)は磨き部材4が筒状、図4(c)は磨き部材4がリング状の歯磨き具2を示している。また、大型犬は図13に示されたように、犬歯の歯根近傍が太くなっている。そこで、図2及び図4(d)に示されたように、磨き部材4の側面に切り込み部を設けても良い。図中では、切り込み部が一つしか図示されていないが、切り込み部の形状や形成位置については、適宜設定すれば良い。また、図5(e)に示されたように、凹部6の内壁面に段差を設けても良い。図13に示されたように、大型犬の犬歯は歯根近傍が他の箇所よりも太くなっている。そこで、凹部6の内壁面に段差を設け、凹部6を大型犬の犬歯と密接する形状にしようとするものである。また、磨き部材4に収縮材料を用いる場合は、磨き部材4全体を収縮材料で形成しても良いし、図5(f)に示されたように、凹部6開口部近傍部分を収縮材料で形成しても良い。図12及び図13は、犬の歯の状態を示した図であるが、図中A部の歯根近傍は、特に食べ滓が残存しやすく、歯垢・歯石が生じやすい。そこで、凹部6開口部近傍を収縮材料で形成することで、歯根近傍と凹部6内壁をより密接させ、歯根近傍を効果的に磨こうとするものである。この時、凹部6開口部近傍以外は、収縮材料以外の材料で形成しても良い。また、図6(g)に示されたように、凹部6のみを収縮材料で形成しても良い。この時、収縮材料で形成された部位と、他材料で形成された部位を一体化しても良いが、着脱可能に連結しても良い。
【0028】
また、磨き部材4は、凹部6内壁に歯14を磨くための補助部材8を設けても良い。図7〜図9は、凹部6内壁に補助部材8を設けた場合の歯磨き具2を示した断面図である。図7(a)は磨き部材4が臼状、図7(b)は磨き部材4が筒状、図8(c)は磨き部材4がリング状の歯磨き具2を示している。なお、図中では補助部材8としてブラシを設けているが、この他にもガーゼやコットン等を使用しても良い。また、図8(d)に示されたように、磨き部材4の外周にも補助部材8を設けても良い。ブラシを設ける場合は、図示されているように、凹部6中心軸と垂直に設けられているのが良い。また、図7(a)では、ブラシ間に略円錐状の間隙が設けられているが、必ずしも間隙を設ける必要は無い。また、図7(b)でも、ブラシ間に略円錐状の間隙が設けられているが、間隙の形状は適宜設定すれば良い。ブラシは、豚毛などの動物の毛を使用するのが良いが、人用歯ブラシで使用されているものや、犬・猫用に特別製造したものでも良く、適宜設定すれば良い。また、凹部6内に補助部材8を設けた場合も、磨き部材4に収縮性能を有する材料で形成しても良い。また、図4内では凹部6内壁面全面にブラシ等の補助部材8を設けているが、図9(d)に示されたように、凹部6開口部近傍部分のみ補助部材8を設けても良い。また、図9(e)に示されたように、補助部材8が設けられた部位と、他の部位を別材料で形成しても良い。この時、補助部材8が設けられた部位と、他の部位が着脱可能に連結されていても良い。
【0029】
また、図1中では、凹部6開口部が円形に設けられているが、凹部6に歯14を差し込むことができれば、円形、楕円形、角形等どの様な形状であっても良い。また、窪み・穴を凹部6としているが、スリットであっても良い。凹部6の形状については、磨き部材4の材料等にもよるが、図3(a)に示されたように、略円錐状又は略台錐状が良い。また、図3(b)に示されたように、筒状であっても良い。ただし、図12及び図13に示されたように、犬歯は先端が鋭利状になっているため、凹部6が筒状であると歯14の先端と凹部6内壁面が接しないおそれがある。そこで、凹部6が筒状の場合は、凹部6内壁が収縮する構造であるのが良い。また、図3内の凹部6内壁は平滑に示されているが、凹部6内壁に凹凸や溝等を設けても良い。
【0030】
また、凹部6の寸法については、犬猫の種類や大きさ、磨き部材4の材料等を考慮して適宜設定すれば良いが、一つの歯磨き具2で全ての犬猫に対応させるのは非常に困難であるため、犬猫の種類や大きさに応じて、凹部6の寸法が異なる歯磨き具2を使用するのが良い。例えば、小型(体重2kg程度)の犬は、犬歯の長さが5〜10mm、歯根の胴回りが10mm〜20mmとなっている。中型(体重10kg程度)の犬は、犬歯の長さが10〜20mm、歯根の胴回りが20mm〜40mmとなっている。大型(体重25kg程度)の犬は、犬歯の長さが20〜30mm、歯根の胴回りが30mm〜50mmとなっている。そこで、小型犬用としては、凹部6の深度を15mm程度、凹部6開口部周囲を3mm〜7mmとし、中型犬用としては、凹部6の深度を25mm程度、凹部6開口部周囲を15mm〜30mmとし、大型犬用としては、凹部6の深度を40mm程度、凹部6開口部周囲が25mm以上とした歯磨き具2をそれぞれ用意すれば、どの様な種類・大きさの犬にも対応することができる。上記例では、犬の大きさで3パターンに分類したが、より細分化しても良いし、犬種別に分類しても良い。また、猫の場合も、上記と同様に種類・大きさに応じ、凹部6の寸法を適宜変更した歯磨き具2を使用するのが良い。
【0031】
また、磨き部材4縁部及び凹部6開口部縁部は、湾曲状に形成されていても良い。本発明は、磨き部材4凹部6内に歯14を挿入するため、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部が歯茎16に接触やすい。更に、図11に示されたように、磨き部材4凹部6内に歯14を挿入した後、把持部12を回転させて歯14を磨くため、磨き部材4縁部及び凹部6開口部縁部が鋭利であると、歯茎を損傷するおそれがある。そこで、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部を湾曲状に形成し、接触による違和感や刺激を軽減し、損傷を無くそうとするものである。また、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部の近傍に、歯茎16をマッサージするような凹凸や波形等を形成しても良い。また、歯茎16、舌、唇の裏側等が回転中の歯磨き具2に接触しても損傷しない様に、磨き部材4表面を滑らかに加工しても良い。
【0032】
次に、本発明に係る支持部材10は、磨き部材4を支持固定する部材を指す。支持部材10の形状や、磨き部材4の支持固定法については、後述する把持部12にも関連するが、適宜設定すれば良い。図3(a)や図3(b)に示された支持部材10は、把持部12先端に受け皿状の固定部を設け、磨き部材4と連結固定しているが、図4(c)に示されたように、固定部を器型にして磨き部材4側部も支持固定しても良い。また、磨き部材4が略リング状である場合は、図4(c)に示されたように、磨き部材4と把持部12間に凹部6と繋がる空間を設けるのが良い。これにより、凹部6に歯14を挿通させた時、磨き部材4が歯根近傍まで到達可能になる。また、支持部材10の角部を湾曲状に形成したり、表面を滑らかに加工すると更に良い。
【0033】
また、支持部材10は、略棒状の把持部12を有していることを特徴とする。この把持部12は、磨き部材4の凹部6と略同軸に設けられている。これにより、図11に示されたように、磨き部材4の凹部6内に歯14を挿入させた後、把持部12を軸回転させれば、磨き部材4が回転し、凹部6内壁と接する歯14を磨くことができる。なお、把持部12を磨き部材4と略直角に設けても良いが、凹部6に歯14を挿入した後の把持部12の可動域が狭く、磨き残しのおそれが生じるため、把持部12を凹部6と略同軸に設けた方が良い。把持部12の形状としては、軸回転させやすく、扱いやすければ、どの様な形状でも良い。また、把持部12の材料としては、適度な強度を有する材料が良く、一般的に人用歯ブラシで使用されている樹脂が好ましいが、金属等も使用することができ、適宜設定すれば良い。また、把持部12に滑り止め、グリップ等の加工や部材を設けても良い。
【0034】
また、磨き部材4と支持部材10は、着脱可能に連結固定されていても良い。連結固定方法としては、磨き部材4と支持部材10を容易に取付けでき、取付後は外れにくく、把持部12を軸として回転させても連結が外れないような連結固定方法が良い。例えば、磨き部材4及び支持部材10に嵌合部や係合部を設けても良いし、支持部材10に突起を設けて磨き部材4を差し込んで固定しても良い。また、凹部6の寸法、磨き部材4の形状が異なる複数の磨き部材4を製造し、磨き部材4と支持固定部との連結固定構造をすべて統一すれば、用途に応じて磨き部材4を適宜変更することが可能となる。
【0035】
また、磨き部材4は、第一磨き部4aと、第一磨き部4aを支持固定する第二磨き部4bとからなる構造であっても良い。図10は、第一磨き部4aと第二磨き部4bを備えた磨き部材4を示した図である。第一磨き部4aは、図示されているように、凹部が設けられている。また、この第一磨き部4aと第二磨き部4bは、固着されていても良いが、着脱可能に連結固定されていても良い。第一磨き部4aが着脱可能であれば、凹部内が汚れた時に、第一磨き部4aを取り外して洗浄したり、第一磨き部4aを取り替えることができ、雑菌の繁殖等を防止することができる。第一磨き部4aと第二磨き部4bの連結方法としては、図示されたように、連結手段を設けるのが良い。図中では、第一磨き部aに凸部を設け、第二磨き部4bに凹部を設けているが、その他にもどの様な形状・構造の連結手段でも良い。なお、本発明に係る歯磨き具2は、凹部6内に歯を挿入した後軸回転させて歯を磨くため、軸回転によって第一磨き部4aが第二磨き部4b内で移動・回転しないようにする必要がある。また、図中では連結部が2箇所に設けられているが、設置数や設置箇所等は適宜設定すれば良い。第一磨き部4aと第二磨き部4bの材料は、上記した磨き部材4で説明したものと同じものを使用すれば良い。また、第一磨き部4aと第二磨き部4bが同じ材料である必要は無く、異なる材料で形成されていても良い。また、第一磨き部4aに、ゴム等の高摩擦係数を有する材料を使用すれば、第一磨き部4aが回転するおそれが無くなる。また、図示されていないが、第一磨き部4aに上記した補助部材8を設けても良い。
【0036】
また、上記した歯磨き具2は、手で把持部12を軸回転させて、歯を磨く構造であるが、磨き部材4をモーター等によって回転させる構造であっても良い。例えば、支持部材10に、モーターを内蔵させ、モーターによって軸回転する回転支持部を設け、回転支持部に磨き部材を設ければ、モーターによって磨き部材14を回転させることができる。この時、回転支持部の回転軸は、磨き部材の凹部と略同軸に位置するのが良い。また、回転速度を任意に変更できる構造であると更に良い。モーターの駆動源は、乾電池を使用するのが良いが、充電式電池を使用しても良く、適宜設定すれば良い。また、犬猫の聴力は人間よりも格段に優れているため、モーター音が漏れないように静音構造にすると更に良い。
【0037】
以上が本発明に係る犬猫用歯磨き具2に関する説明であるが、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の条件や設定は変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る歯磨き具の使用状態を示した説明図である。
【図12】小型犬又は中型犬の口内を示した図である。
【図13】大型犬の口内を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
2 歯磨き具
4 磨き部材
4a 第一磨き部
4b 第二磨き部
6 凹部
8 補助部材
10 支持部材
12 把持部
14 歯
16 歯茎
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬猫の歯を磨くための歯磨き具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間と同様に犬や猫も歯周病になることがある。歯周病とは、歯肉炎及び歯周炎の総称であり、歯肉炎及び歯周炎となる過程は次の通りである。まず、唾液や食物の食べ滓等が歯に蓄積し、細菌が増殖して歯垢となる。この歯垢をそのまま放置すると、石灰沈着して歯石となる。歯石を放置すると、歯肉炎となる。この炎症が更に進行すると、歯周炎となる。歯周炎まで症状が悪化すると、歯肉や歯を支えている組織が破壊され、痛みを感じるようになったり、酷い時には歯が抜け落ちる。また、歯周炎は歯槽骨にまで及ぶ炎症であり、治療が遅れると口腔内の細菌が血液を通じて全身に運ばれ、感染症を引き起こすこともある。痛みを伴う歯周病は、食欲があっても食べられなかったり、痛みによるストレスで健康状態に悪影響を及ぼすこともある。また、炎症によって細くなった顎骨は、骨折をおこしやすくなり、鼻や目に炎症が波及することもある。この歯周病は、成熟した犬と猫がかかりやすい病気とされているが、3歳に達するまでに多くの犬猫が何らかの歯に関する病気にかかるとされており、犬猫のデンタルケアが重視されている。そして、歯周病予防及び歯に関する病気予防は、人間と同様に歯磨きが最も効果的とされている。
【0003】
従来、犬猫に歯磨きをする場合は、人用の歯ブラシを用いることが多かったが、犬猫にとって人用歯ブラシはブラシ部分が大きすぎて、磨きにくく、効果的な歯磨きが行えないという問題を有していた。しかし、近年のペットブームにより、多くのペット関連製品が発売されるようになった。それに伴い、ペット用デンタルケア製品が製造販売されるようになったり、犬猫のデンタルケア関連の発明も提案されるようになった。
【0004】
犬猫のデンタルケア関連の出願の中に、特開2005−151882号公報(特許文献1)、実用新案登録第3132021号公報(特許文献2)がある。特開2005−151882号公報は、歯ブラシ本体の先端部にブラシ部を設け、基端部を把持部とした犬用歯ブラシに関する発明が記載されている。また、実用新案登録第3132021号公報は、幼犬・小型犬・中型犬・大型犬など、犬種別や犬の成長段階に応じて歯ブラシ本体の湾曲率、形状を変化させたペット用歯ブラシに関する考案が記載されている。
【0005】
上記した以外には、コットンやガーゼを指サック型に形成し、人の指に嵌めて、犬猫の歯を磨く歯磨き具等も製造販売されている。また、食物繊維や繊維質を多量に含有させたペットフードやサプリメント等も製造販売されている。
【特許文献1】特開2005−151882号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特開2005−151882号公報及び実用新案登録第3132021号公報に記載された発明・考案は、いずれもスティック状の本体にブラシ部を直角に植毛した構造をしており、従来から使用されている一般的な人用歯ブラシと同じような構造をしている。この様な歯ブラシは、ブラシ部を歯に接触させた状態で、歯ブラシを上下・左右に動かす必要があるため、犬猫の前歯側や歯の表面側(唇側)は磨きやすいが、奥歯等は磨きにくいという問題を有している。特に、奥歯の裏面側(口腔内側)は、歯ブラシを口腔内に突っ込まなければならないため、犬猫が嫌がりやすい。また、歯磨き中に突然犬猫が口を閉じたり、暴れたりして、手を噛まれたり、歯ブラシをかみ砕くおそれがある。
【0007】
また、指サック型の歯磨き具は、人の手を犬猫の口内に入れる必要がある。大型犬は人の手を入れることも可能であるが、小型犬や猫では非常に難しい。特に、歯の裏(口腔内側)は磨きにくいという問題を有している。また、食物繊維や繊維質を多く含んだペットフードやサプリメント等は、歯の先端や中腹は綺麗になりやすいが、歯根(歯茎との境目)には食べ物等が残りやすいという問題を有している。また、これらのペットフードやサプリメントは、長期間の継続使用によって効果が得られるものであり、コストがかかってしまうという問題も有している。
【0008】
また、近年のペットブームは、一人暮らしの人がペットを飼うケースが非常に多いという特徴を有している。そのため、毎日の歯磨きを行う場合は、一人で行う必要がある。しかし、一人でペットの歯磨きを行うのは、片手で犬猫の口を開ける又は体を押さえ、別の手で歯ブラシを操作しなければならず、非常に大変で容易に歯磨きができないという問題を有していた。
【0009】
また、犬猫が歯磨き行為を嫌がるようになってしまうと、歯磨き具を見ただけで逃げ出したり、過度な拒否反応を示したり、ストレスによって体調を崩すこともある。そのため、ストレスを感じさせないように歯磨き行為を行うことが大切である。しかし、歯磨き行為は、歯磨きする者の技術や能力による処が大きく、誰もがストレスを感じさせずに行えるわけでは無い。
【0010】
以上のことから、一人でも犬猫の歯磨きが容易に行うことができ、犬猫の口角を開けずに歯の表裏面を磨くことができ、歯根も良好に磨くことができ、歯磨き行為に対してストレスを感じさせない犬猫用の歯磨き具の開発が切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る犬猫用歯磨き具は、磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるのが良い。また、磨き部材が収縮可能な材料で形成されていても良い。また、磨き部材が、スポンジ状材料で形成されていても良い。
【0013】
また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていても良い。
【0014】
また、磨き部材縁部及び凹部開口部縁部は湾曲状に形成されていても良い。
【0015】
また、磨き部材と支持部材が着脱可能に連結固定されていても良い。また、磨き部材は、凹部を含む第一磨き部と、第一磨き部を支持固定する第二磨き部とからなり、第一磨き部と第二磨き部は、着脱可能に連結固定されていても良い。
【0016】
また、支持部材は、モーターと、モータによって軸回転する回転支持部を有していても良い。この回転支持部には、磨き部材が設けられ、回転支持部の回転軸は、磨き部材の凹部と略同軸に位置するのが良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る犬猫用歯磨き具は、磨き部材と、磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、支持部材は、略棒状の把持部を有し、把持部は、磨き部材の凹部と略同軸に設けられているため、凹部内に犬猫の歯を挿入し、把持部を回転させるだけで磨き部材が軸回転し、容易に歯を磨くことができる。更に、犬猫の口を開けずに唇間から磨き部材を挿入し、軸回転させるだけで歯の表裏面及び歯根を磨くことができるため、犬猫に歯磨き行為によるストレスを感じさせず、一人でも安全且つ速やかに歯磨きを行うことができる。
【0018】
また、磨き部材は、少なくとも凹部の開口部近傍が収縮可能であるため、凹部内壁と歯が密接しやすくなり、歯根近傍の食べ滓、歯垢、歯石等を効果的に除去できる。
【0019】
また、磨き部材が、スポンジ状材料で形成されているため、凹部内壁を歯に接触させた状態で磨き部材が回転しても、歯表面のエナメル質・歯茎・唇の裏側等を損傷させるおそれが無い。
【0020】
また、凹部内壁にはブラシが設けられ、ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられているため、より効果的に歯磨きが可能となる。
【0021】
また、磨き部材縁部及び凹部開口部縁部は湾曲状であるため、磨き部材を軸回転させても歯茎を損傷させるおそれが無い。
【0022】
また、磨き部材と支持部材が着脱可能に連結固定されているため、用途に応じて磨き部材を適宜変更することができると共に、清潔な磨き部材と取り替えることもでき、非常に高い汎用性を有することができる。
【0023】
また、磨き部材は、凹部が設けられた第一磨き部と第二磨き部とからなり、第一磨き部と第二磨き部は着脱可能に連結固定されているため、第一磨き部の取り替えや第一磨き部材を取り外しての洗浄が可能となり、非常に衛生的な歯磨き具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る犬猫用歯磨き具2について図を参照にしながら説明する。図1及び図2は、本発明に係る犬猫用歯磨き具2の一実施の形態を示した説明図である。なお、これらの図は本発明を説明するためだけのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0025】
本発明に係る犬猫用歯磨き具2は、磨き部材4と、磨き部材4を支持固定する支持部材10とからなる。
【0026】
本発明に係る磨き部材4は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状をしていることを特徴とする。また、図1に示されたように、磨き部材4の穴又は窪み部分を凹部6とする。磨き部材4の材料としては、歯14表面のエナメル質を損傷しない様な滑らかさで、歯14の付着物や歯垢等の除去が可能な摩擦を有する材料で形成されるのが良い。また、収縮性を有する材料を使用しても良い。具体例としては、スポンジ、ウレタン等が好ましく、各種ゴム、樹脂等も使用可能である。なお、凹部6についての詳細な説明は後述する。本発明に係る歯磨き具2は、磨き部材4の凹部6に歯14を挿入して歯14を磨くものであるが、歯14を磨く方法としては、磨き部材4内壁面を歯14に接触させて歯14を磨く方法と、磨き部材4内壁面に歯14を磨くための補助部材8を設けて歯14を磨く方法の二通りが挙げられる。
【0027】
図3〜図6は、歯14に凹部6内壁を接触させて歯14を磨く場合の歯磨き具2を示した断面図である。図3(a)は磨き部材4が臼状、図3(b)は磨き部材4が筒状、図4(c)は磨き部材4がリング状の歯磨き具2を示している。また、大型犬は図13に示されたように、犬歯の歯根近傍が太くなっている。そこで、図2及び図4(d)に示されたように、磨き部材4の側面に切り込み部を設けても良い。図中では、切り込み部が一つしか図示されていないが、切り込み部の形状や形成位置については、適宜設定すれば良い。また、図5(e)に示されたように、凹部6の内壁面に段差を設けても良い。図13に示されたように、大型犬の犬歯は歯根近傍が他の箇所よりも太くなっている。そこで、凹部6の内壁面に段差を設け、凹部6を大型犬の犬歯と密接する形状にしようとするものである。また、磨き部材4に収縮材料を用いる場合は、磨き部材4全体を収縮材料で形成しても良いし、図5(f)に示されたように、凹部6開口部近傍部分を収縮材料で形成しても良い。図12及び図13は、犬の歯の状態を示した図であるが、図中A部の歯根近傍は、特に食べ滓が残存しやすく、歯垢・歯石が生じやすい。そこで、凹部6開口部近傍を収縮材料で形成することで、歯根近傍と凹部6内壁をより密接させ、歯根近傍を効果的に磨こうとするものである。この時、凹部6開口部近傍以外は、収縮材料以外の材料で形成しても良い。また、図6(g)に示されたように、凹部6のみを収縮材料で形成しても良い。この時、収縮材料で形成された部位と、他材料で形成された部位を一体化しても良いが、着脱可能に連結しても良い。
【0028】
また、磨き部材4は、凹部6内壁に歯14を磨くための補助部材8を設けても良い。図7〜図9は、凹部6内壁に補助部材8を設けた場合の歯磨き具2を示した断面図である。図7(a)は磨き部材4が臼状、図7(b)は磨き部材4が筒状、図8(c)は磨き部材4がリング状の歯磨き具2を示している。なお、図中では補助部材8としてブラシを設けているが、この他にもガーゼやコットン等を使用しても良い。また、図8(d)に示されたように、磨き部材4の外周にも補助部材8を設けても良い。ブラシを設ける場合は、図示されているように、凹部6中心軸と垂直に設けられているのが良い。また、図7(a)では、ブラシ間に略円錐状の間隙が設けられているが、必ずしも間隙を設ける必要は無い。また、図7(b)でも、ブラシ間に略円錐状の間隙が設けられているが、間隙の形状は適宜設定すれば良い。ブラシは、豚毛などの動物の毛を使用するのが良いが、人用歯ブラシで使用されているものや、犬・猫用に特別製造したものでも良く、適宜設定すれば良い。また、凹部6内に補助部材8を設けた場合も、磨き部材4に収縮性能を有する材料で形成しても良い。また、図4内では凹部6内壁面全面にブラシ等の補助部材8を設けているが、図9(d)に示されたように、凹部6開口部近傍部分のみ補助部材8を設けても良い。また、図9(e)に示されたように、補助部材8が設けられた部位と、他の部位を別材料で形成しても良い。この時、補助部材8が設けられた部位と、他の部位が着脱可能に連結されていても良い。
【0029】
また、図1中では、凹部6開口部が円形に設けられているが、凹部6に歯14を差し込むことができれば、円形、楕円形、角形等どの様な形状であっても良い。また、窪み・穴を凹部6としているが、スリットであっても良い。凹部6の形状については、磨き部材4の材料等にもよるが、図3(a)に示されたように、略円錐状又は略台錐状が良い。また、図3(b)に示されたように、筒状であっても良い。ただし、図12及び図13に示されたように、犬歯は先端が鋭利状になっているため、凹部6が筒状であると歯14の先端と凹部6内壁面が接しないおそれがある。そこで、凹部6が筒状の場合は、凹部6内壁が収縮する構造であるのが良い。また、図3内の凹部6内壁は平滑に示されているが、凹部6内壁に凹凸や溝等を設けても良い。
【0030】
また、凹部6の寸法については、犬猫の種類や大きさ、磨き部材4の材料等を考慮して適宜設定すれば良いが、一つの歯磨き具2で全ての犬猫に対応させるのは非常に困難であるため、犬猫の種類や大きさに応じて、凹部6の寸法が異なる歯磨き具2を使用するのが良い。例えば、小型(体重2kg程度)の犬は、犬歯の長さが5〜10mm、歯根の胴回りが10mm〜20mmとなっている。中型(体重10kg程度)の犬は、犬歯の長さが10〜20mm、歯根の胴回りが20mm〜40mmとなっている。大型(体重25kg程度)の犬は、犬歯の長さが20〜30mm、歯根の胴回りが30mm〜50mmとなっている。そこで、小型犬用としては、凹部6の深度を15mm程度、凹部6開口部周囲を3mm〜7mmとし、中型犬用としては、凹部6の深度を25mm程度、凹部6開口部周囲を15mm〜30mmとし、大型犬用としては、凹部6の深度を40mm程度、凹部6開口部周囲が25mm以上とした歯磨き具2をそれぞれ用意すれば、どの様な種類・大きさの犬にも対応することができる。上記例では、犬の大きさで3パターンに分類したが、より細分化しても良いし、犬種別に分類しても良い。また、猫の場合も、上記と同様に種類・大きさに応じ、凹部6の寸法を適宜変更した歯磨き具2を使用するのが良い。
【0031】
また、磨き部材4縁部及び凹部6開口部縁部は、湾曲状に形成されていても良い。本発明は、磨き部材4凹部6内に歯14を挿入するため、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部が歯茎16に接触やすい。更に、図11に示されたように、磨き部材4凹部6内に歯14を挿入した後、把持部12を回転させて歯14を磨くため、磨き部材4縁部及び凹部6開口部縁部が鋭利であると、歯茎を損傷するおそれがある。そこで、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部を湾曲状に形成し、接触による違和感や刺激を軽減し、損傷を無くそうとするものである。また、磨き部材4縁部や凹部6開口部縁部の近傍に、歯茎16をマッサージするような凹凸や波形等を形成しても良い。また、歯茎16、舌、唇の裏側等が回転中の歯磨き具2に接触しても損傷しない様に、磨き部材4表面を滑らかに加工しても良い。
【0032】
次に、本発明に係る支持部材10は、磨き部材4を支持固定する部材を指す。支持部材10の形状や、磨き部材4の支持固定法については、後述する把持部12にも関連するが、適宜設定すれば良い。図3(a)や図3(b)に示された支持部材10は、把持部12先端に受け皿状の固定部を設け、磨き部材4と連結固定しているが、図4(c)に示されたように、固定部を器型にして磨き部材4側部も支持固定しても良い。また、磨き部材4が略リング状である場合は、図4(c)に示されたように、磨き部材4と把持部12間に凹部6と繋がる空間を設けるのが良い。これにより、凹部6に歯14を挿通させた時、磨き部材4が歯根近傍まで到達可能になる。また、支持部材10の角部を湾曲状に形成したり、表面を滑らかに加工すると更に良い。
【0033】
また、支持部材10は、略棒状の把持部12を有していることを特徴とする。この把持部12は、磨き部材4の凹部6と略同軸に設けられている。これにより、図11に示されたように、磨き部材4の凹部6内に歯14を挿入させた後、把持部12を軸回転させれば、磨き部材4が回転し、凹部6内壁と接する歯14を磨くことができる。なお、把持部12を磨き部材4と略直角に設けても良いが、凹部6に歯14を挿入した後の把持部12の可動域が狭く、磨き残しのおそれが生じるため、把持部12を凹部6と略同軸に設けた方が良い。把持部12の形状としては、軸回転させやすく、扱いやすければ、どの様な形状でも良い。また、把持部12の材料としては、適度な強度を有する材料が良く、一般的に人用歯ブラシで使用されている樹脂が好ましいが、金属等も使用することができ、適宜設定すれば良い。また、把持部12に滑り止め、グリップ等の加工や部材を設けても良い。
【0034】
また、磨き部材4と支持部材10は、着脱可能に連結固定されていても良い。連結固定方法としては、磨き部材4と支持部材10を容易に取付けでき、取付後は外れにくく、把持部12を軸として回転させても連結が外れないような連結固定方法が良い。例えば、磨き部材4及び支持部材10に嵌合部や係合部を設けても良いし、支持部材10に突起を設けて磨き部材4を差し込んで固定しても良い。また、凹部6の寸法、磨き部材4の形状が異なる複数の磨き部材4を製造し、磨き部材4と支持固定部との連結固定構造をすべて統一すれば、用途に応じて磨き部材4を適宜変更することが可能となる。
【0035】
また、磨き部材4は、第一磨き部4aと、第一磨き部4aを支持固定する第二磨き部4bとからなる構造であっても良い。図10は、第一磨き部4aと第二磨き部4bを備えた磨き部材4を示した図である。第一磨き部4aは、図示されているように、凹部が設けられている。また、この第一磨き部4aと第二磨き部4bは、固着されていても良いが、着脱可能に連結固定されていても良い。第一磨き部4aが着脱可能であれば、凹部内が汚れた時に、第一磨き部4aを取り外して洗浄したり、第一磨き部4aを取り替えることができ、雑菌の繁殖等を防止することができる。第一磨き部4aと第二磨き部4bの連結方法としては、図示されたように、連結手段を設けるのが良い。図中では、第一磨き部aに凸部を設け、第二磨き部4bに凹部を設けているが、その他にもどの様な形状・構造の連結手段でも良い。なお、本発明に係る歯磨き具2は、凹部6内に歯を挿入した後軸回転させて歯を磨くため、軸回転によって第一磨き部4aが第二磨き部4b内で移動・回転しないようにする必要がある。また、図中では連結部が2箇所に設けられているが、設置数や設置箇所等は適宜設定すれば良い。第一磨き部4aと第二磨き部4bの材料は、上記した磨き部材4で説明したものと同じものを使用すれば良い。また、第一磨き部4aと第二磨き部4bが同じ材料である必要は無く、異なる材料で形成されていても良い。また、第一磨き部4aに、ゴム等の高摩擦係数を有する材料を使用すれば、第一磨き部4aが回転するおそれが無くなる。また、図示されていないが、第一磨き部4aに上記した補助部材8を設けても良い。
【0036】
また、上記した歯磨き具2は、手で把持部12を軸回転させて、歯を磨く構造であるが、磨き部材4をモーター等によって回転させる構造であっても良い。例えば、支持部材10に、モーターを内蔵させ、モーターによって軸回転する回転支持部を設け、回転支持部に磨き部材を設ければ、モーターによって磨き部材14を回転させることができる。この時、回転支持部の回転軸は、磨き部材の凹部と略同軸に位置するのが良い。また、回転速度を任意に変更できる構造であると更に良い。モーターの駆動源は、乾電池を使用するのが良いが、充電式電池を使用しても良く、適宜設定すれば良い。また、犬猫の聴力は人間よりも格段に優れているため、モーター音が漏れないように静音構造にすると更に良い。
【0037】
以上が本発明に係る犬猫用歯磨き具2に関する説明であるが、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の条件や設定は変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る歯磨き具の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る歯磨き具の一実施の形態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る歯磨き具の使用状態を示した説明図である。
【図12】小型犬又は中型犬の口内を示した図である。
【図13】大型犬の口内を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
2 歯磨き具
4 磨き部材
4a 第一磨き部
4b 第二磨き部
6 凹部
8 補助部材
10 支持部材
12 把持部
14 歯
16 歯茎
【特許請求の範囲】
【請求項1】
犬猫の歯を磨く磨き部材と、該磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、該磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、該支持部材は、略棒状の把持部を有し、該把持部は、該磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする犬猫用歯磨き具。
【請求項2】
前記磨き部材は、少なくとも前記凹部の開口部近傍が収縮可能であることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項3】
前記磨き部材は、収縮材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項4】
前記磨き部材は、スポンジ状材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項5】
前記凹部は、略円錐状又は略台錐状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項6】
前記凹部内壁にはブラシが設けられ、該ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項7】
前記磨き部材縁部及び前記凹部開口部縁部が湾曲状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項8】
前記磨き部材と前記支持部材が着脱可能に連結固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項9】
前記支持部材は、モーターと、該モータによって軸回転する回転支持部を有し、該回転支持部には、前記磨き部材が設けられ、該回転支持部の回転軸は、該磨き部材の凹部と略同軸に位置することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項10】
前記磨き部材は、前記凹部を含む第一磨き部と、該第一磨き部を支持固定する第二磨き部とからなり、該第一磨き部と該第二磨き部は、着脱可能に連結固定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項1】
犬猫の歯を磨く磨き部材と、該磨き部材を支持固定する支持部材とからなり、該磨き部材は、リング状、臼状又は筒状のいずれかの形状を有し、該支持部材は、略棒状の把持部を有し、該把持部は、該磨き部材の凹部と略同軸に設けられていることを特徴とする犬猫用歯磨き具。
【請求項2】
前記磨き部材は、少なくとも前記凹部の開口部近傍が収縮可能であることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項3】
前記磨き部材は、収縮材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項4】
前記磨き部材は、スポンジ状材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項5】
前記凹部は、略円錐状又は略台錐状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項6】
前記凹部内壁にはブラシが設けられ、該ブラシは凹部中心軸と垂直に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項7】
前記磨き部材縁部及び前記凹部開口部縁部が湾曲状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項8】
前記磨き部材と前記支持部材が着脱可能に連結固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項9】
前記支持部材は、モーターと、該モータによって軸回転する回転支持部を有し、該回転支持部には、前記磨き部材が設けられ、該回転支持部の回転軸は、該磨き部材の凹部と略同軸に位置することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【請求項10】
前記磨き部材は、前記凹部を含む第一磨き部と、該第一磨き部を支持固定する第二磨き部とからなり、該第一磨き部と該第二磨き部は、着脱可能に連結固定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の犬猫用歯磨き具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−189290(P2009−189290A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32731(P2008−32731)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(508047244)合資会社 家庭動物総合研究所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(508047244)合資会社 家庭動物総合研究所 (3)
【Fターム(参考)】
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