説明

犬用ボーロ

【課題】嗜好性の高い犬用ボーロを提供すること。
【解決手段】 原料中澱粉及び/又は穀粉を35質量部以上55質量部以下含み、且つ、澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して、液状卵8質量部以上85質量部、おから3質量部以上50質量部以下を含む原料を使用した犬用ボーロである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬用ボーロに関する。
【背景技術】
【0002】
犬用ボーロは少なくとも澱粉、卵を原料として生地を調製し略球状に成形して焼成した小粒のカリッとした食感を特徴とする犬用のおやつである。
犬用のボーロとして、例えば、澱粉75%と、ブドウ糖3%と、脱脂粉乳1.51%と、重曹0.4%と、無塩バター10%と、リモナイト微粉末と0.1%、液卵10%とを含む混錬物を成型し、これを加熱乾燥し、得られた結果物中に含まれるリモナイトの量が0.1%であるペットフードが知られている(例えば特許文献1参照)。
一方、ペットフードにおからを配合して、おからが有する食物繊維によって便通をよくするとともに糞便臭気を抑制させることが行われている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−51022号公報
【特許文献2】特開2006−94793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の犬用ボーロは水分含有量が低いためビスケット等の他の犬用焼菓子と比較して嗜好性があまり高くなかった。
従って、本発明の目的は、嗜好性の高い犬用ボーロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ボーロの原料におからを使用することにより水分含有量を高めた嗜好性の高い犬用ボーロを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、原料中澱粉及び/又は穀粉を35質量%以上55質量%以下含み、且つ、澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して、液状卵8質量部以上85質量部及びおから3質量部以上50質量部以下を含む原料を使用した犬用ボーロである。
なお、本発明において原料とは、ボーロ用の生地を調製するために使用する全ての原料をいい、例えば、生地を調製するときに加水した場合はその加水も含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の犬用ボーロは、柔らかくしっとりとした食感なので、嗜好性が高く小型犬や老齢犬でも食しやすく食べカスが出にくい。
また、製造工程では生地のまとまりが良く作業性がよい。
また、製品水分含有量が高いため従来の犬用ボーロより製品歩留が高い。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する澱粉及び/又は穀粉は、従来の食用又はペット用ボーロに使用されているものであれば特に限定なく使用でき、例えば、小麦粉、大麦粉、とうもろこし粉、はと麦粉、ライ麦粉、カラス麦粉末等の穀粉や馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ等の澱粉を挙げることができる。
これらの澱粉及び/又は穀粉は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
澱粉及び/又は穀粉の使用量は、原料中35質量部以上55質量部以下である。
35質量部未満では生地の成形が困難になり、55質量部以下を超えるとしっとりとした食感がでない。
【0008】
本発明において使用する液状卵は、液体状の卵であれば特に限定なく使用でき粉末状に加工している卵は加水して液状にして使用できる。
使用できる卵としては、例えば、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄、粉末全卵、粉末卵黄、粉末卵白を挙げることができる。
液状卵の使用量は、澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して8質量部以上85質量部である。
なお、本発明において液状卵の使用量は水分値を45質量%に換算したときの値である。
液状卵の使用量が8質量部未満では、生地の成形が困難になり、85質量部を超えると生地が柔らかくなりすぎてしまう。
【0009】
本発明において使用できるおからには特に限定はなく粉末状のおからパウダーや生おからなどが使用できる。
おからの使用量は澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下である。
なお、本発明においておからの使用量はその水分値を10質量%に換算した値である。
おからの使用量が3質量部未満では柔らかな食感を出せず50質量部を超えると生地に粘りがなく成型困難となる。
【0010】
ボーロの主成分である澱粉及び/又は穀粉は吸水率が低く加水量を増加させることが困難であり、製品サイズが小さいため焼成時に水分が蒸発しやすく水分を多く含んだしっとりとしたボーロを作ることが難しかった。
本発明では、原料に吸水力・保水力の高いおからを使用することで加水量を増加させ、さらに、おからの保水力により焼成時に水分を蒸発し難くしたので柔らかな食感のボーロを得ることができる。
【0011】
本発明の犬用ボーロには必要に応じて糖類、膨張剤、グリセリンなどを使用することができる。
使用できる糖類は、従来の食用又はペット用ボーロに使用されているものであれば特に限定はなく、例えば、単糖、二糖、三糖、多糖、オリゴ糖、糖アルコール、水あめ、はちみつ等を挙げることができる。
糖類の配合比率は、澱粉及び/穀粉100質量部に対して、3〜75質量部が好ましく、 75質量部を超えるとかたい食感となる。
使用できる膨張剤は、従来の食用又はペット用ボーロに使用されているものであれば特に限定はなく、例えば、重曹、ベーキングパウダー等を挙げることができる。
膨張剤の配合率は、澱粉及び/穀粉100質量部に対して1〜3質量部が好ましい。
グリセリンの配合率は、澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して、2〜30質量部が好ましい。
【実施例】
【0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1〜5]
表1に示す配合の原料を低速で10分間縦型ミキサーを使用してミキシングし生地を調製し室温で24時間熟成させた。
なお、表1のおからパウダーの水分値は10質量%、液卵の水分値は45%であった。
前記熟成した生地を低速で10分間縦型ミキサーを使用してミキシングした後、厚さ15mmのシート状に伸ばし、縦8mm横8mmのサイコロ状に切断して、ドラムで5分間転がし丸く成形した。
前記成形した生地を240℃で5分間連続式オーブンを使用して焼成して犬用ボーロを得た。
犬用ボーロの水分値は比較例1は6.8質量%、実施例1は11.9質量%、実施例2は14.1質量%であった。
水分含有量の測定は135℃、1時間常圧乾燥法で行った。
【0013】
【表1】

【0014】
得られたボーロの作業性評価及び嗜好性の確認は以下のとおり行った。
[作業性評価]
作業性(成形性・保形性)をパネラー10名により以下の基準で評価した。
5点 生地の繋がりが非常に良い
4点 生地の繋がりが良い
3点 普通
2点 生地の繋がりが悪い
1点 生地が非常に崩れやすい
[嗜好性の確認]
嗜好性試験は、20頭の犬を1頭ずつ分離して個々の犬舎に収容し、それぞれの犬に、前記被覆組成物で被覆したドッグフードと被覆していないドッグフードを別々の餌皿に同じ量で入れて午後2時から午後4時まで摂餌させる「二者択一」で行った。
同じ試験を2日間実施し摂取したドッグフードの全量に対するドッグフードの摂取量(質量%)の平均値を求めこれを嗜好性の評価指標とした。
結果を表2に示す。
【0015】
【表2】

【0016】
実施例1〜6は、作業性及び嗜好性に優れていた。
比較例2は、嗜好性は優れていたが作業性が悪いため全体としては劣っていた。
比較例5は、作業性は良いが嗜好性が悪いため全体としては劣っていた。
その他の比較例は作業性と嗜好性がともに劣っていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料中澱粉及び/又は穀粉を35質量部以上55質量部以下含み、且つ、澱粉及び/又は穀粉100質量部に対して、液状卵8質量部以上85質量部、おから3質量部以上50質量部以下を含む原料を使用した犬用ボーロ。


【公開番号】特開2012−60904(P2012−60904A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206250(P2010−206250)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000231637)日本製粉株式会社 (144)
【Fターム(参考)】