説明

状況推定システム、状況推定方法、状況推定プログラム

【課題】ユーザ端末に搭載させる複数のセンサとして多種多様なセンサを搭載させることを許容する状況推定システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る状況推定システムは、ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、ユーザ端末200に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、それら複数のセンサから状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集手段101と、収集したセンサ観測値から、各状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の確率分布として生成して確率分布記憶部104に記憶するセンサデータ管理手段102と、ユーザ端末200のセンサ観測値と、確率分布記憶部105に記憶された確率分布に基づいて、ユーザ端末200のセンサ観測値を受信した場合にユーザが各状況に存在する条件付確率を推定する特徴ベクトル生成手段103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが存在する状況を推定するための状況推定システム、状況推定方法、状況推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが所持しているユーザ端末(携帯電話など)にセンサを内蔵し、該センサから観測される観測値を用いてユーザの状況を推定することで、推定したユーザの状況に適応したサービス(例えば、情報推薦サービス)を提供する技術が開発されている。
【0003】
関連する技術として、例えば特許文献1に記載の情報提供システムがある。特許文献1記載の情報提供システムの全体構成図を図9に示す。図9において、位置検出装置11は、ユーザの所在位置を検出する装置であり、例えばGPS(グローバルポジショニングシステム)装置を用いた装置である。移動履歴データ生成部21は、位置検出部10からユーザの現在の所在位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて移動履歴データを生成して、移動履歴記録部22に記録する。移動履歴記録部22には、他の複数の登録ユーザそれぞれに関する移動履歴データが予め情報提供サーバからダウンロードされている。ユーザ間類似性判定処理部31は、情報提供対象となるユーザと他のユーザそれぞれとの間の関心や性質の類似性を判定する目的で、情報提供対象となるユーザに関する移動履歴データと他のユーザそれぞれに関する移動履歴データとの類似性を算出し、結果として得られたユーザ間類似性データをユーザ間類似性記録部32に記録する。誘導情報生成部40と誘導情報提供部50による処理では、ユーザ間類似性判定処理部31によって得られたユーザ間類似性データと情報提供対象となるユーザの現在位置とに基づいて、情報提供対象となるユーザに提供すべき情報を決定して、その情報を表示もしくは再生する。
【0004】
また、他の関連する技術として、例えば特許文献2に記載の類似状況検索システムがある。特許文献2に記載の類似状況検索システムは、ユーザの状況を認識するために、加速度センサなどの所定のセンサを用いて、そのセンサが特定の状況において示す特徴的な情報を記録しておき、ユーザの状況を推定する際にユーザ端末で観測するセンサ観測値の特徴と過去に記録した各状況における特徴とを直接比較することで、ユーザの状況がどの状況に近いかを判断する。
【特許文献1】特開2002−140362号公報
【特許文献2】特開2007−188287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、位置検出のためのセンサをユーザ端末に搭載していないユーザが存在する場合には、そのユーザの状況を認識することが困難であった。また、特許文献2に記載の技術においても、予め定めた特定のセンサをユーザ端末に搭載していないユーザについては、ユーザの状況を認識することが困難であった。
【0006】
従って、本発明の目的は、ユーザの状況を推定するための状況推定システムにおいて、ユーザが所持するユーザ端末に搭載させる複数のセンサを特定のセンサに限定せずに、多種多様なセンサを搭載させることを許容する状況推定システム、状況推定方法、状況推定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る状況推定システムは、ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定システムであって、前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集手段と、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理手段と、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成手段と、を備えるものである。
【0008】
本発明の第2の態様に係る状況推定方法は、ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定方法であって、前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集ステップと、前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理ステップと、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成ステップと、を備えるものである。
【0009】
本発明の第3の態様に係る状況推定プログラムは、ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定プログラムであって、前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集ステップと、前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理ステップと、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成ステップと、をコンピュータに対して実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの状況を推定するための状況推定システムにおいて、ユーザが所持するユーザ端末に搭載させる複数のセンサを特定のセンサに限定せずに、多種多様なセンサを搭載させることを許容する状況推定システム、状況推定方法、状況推定プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡潔化がなされている。各図面において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る状況推定システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、状況推定システムは、プログラム制御により動作するサーバ100と、ユーザ端末200により構成される。
【0013】
サーバ100は、中央処理装置、記憶装置、通信装置などから構成され、センサデータ収集手段101と、センサデータ管理手段102と、特徴ベクトル生成手段103を備える。
【0014】
ユーザ端末200は、複数のセンサ(センサu、...、センサv)と、サーバ100との通信を行うための通信装置(不図示)を備えている。ユーザ端末200が備える複数のセンサ(センサu、...、センサv)は、センサデータ収集手段101が備えるセンサ集合(センサ1、センサ2、...、センサn)の部分集合に該当する。すなわち、ユーザ端末200は、センサデータ収集手段101が備えるセンサ集合(センサ1、センサ2、...、センサn)に含まれるセンサと同種のセンサ(センサu、...、センサv)を備えている。ここで、本実施の形態1においては、ユーザ端末200が搭載する各センサは、理想的な環境下において観測が可能であるものとする。尚、以下の説明においては、ユーザ端末200が備える複数のセンサ(センサu、...、センサv)に含まれるセンサをセンサu(1≦u≦n)と呼称し、センサデータ収集手段101が備えるセンサ集合(センサ1、センサ2、...、センサn)に含まれるセンサをセンサi(1≦i≦n)と呼称することがある。
【0015】
センサデータ収集手段101は、予め仮定する複数の状況下において、複数のセンサ(センサ1、センサ2、...、センサn)によりそれぞれ観測される観測値を収集する。各センサ(センサ1、センサ2、...、センサn)は、センサを設置した周辺の状況から、それぞれのセンサの特性に応じた形で物理量や信号を観測する。ここで、予め仮定する複数の状況は有限の状況ωj(1≦j≦m)であり、各状況下において、ユーザ端末200を所持するユーザが存在するものと仮定する。また、複数のセンサiは、これら有限の状況ωj下に予め設置されており、かつ、ユーザ端末200に搭載する可能性のあるセンサuと同種のセンサを含むのとする。すなわち、センサデータ収集手段101は、ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況ωjにおいて、ユーザ端末200に搭載されうるセンサuと同種のセンサを含む複数のセンサiが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサiから、各所定の状況ωjごとにセンサ観測値xi(1≦i≦n)を収集する。
【0016】
図2を参照して、センサデータ収集手段101によるセンサ観測値の収集についてより具体的に説明する。図2に示す例では、状況Cと、状況C下におけるセンサからの出力Xとの関係を示している。図2に示す例では、センサデータ収集手段101は、ユーザが存在する3つの状況ω1、ω2、ω3を仮定し、それぞれの状況下において、8つの異なるセンサ1〜センサ8により、センサの出力値x1〜x8をそれぞれ収集する。
【0017】
センサデータ管理手段102の確率分布生成部104は、センサデータ収集手段101により状況ごとに収集した各センサiによる観測値xiをもとに、状況ωjにおけるセンサの観測値xiの出力確率を所定の確率分布により近似することで条件付き確率分布Pr(xi|ωj)として生成し、その生成した出力確率を確率分布記憶部105に記憶する。所定の確率分布としては、例えば、正規分布、対数正規分布、ガンマ分布などをシステムに用いることができる。
【0018】
図3を参照して、センサデータ管理手段102による条件付き確率分布Pr(xi|ωj)の生成についてより具体的に説明する。尚、ここでは、図2に示したように、ユーザが存在すると仮定しうる3つの状況ω1〜ω3において、8つの異なるセンサ1〜センサ8によりそれぞれ観測値x1〜x8が得られた場合について説明する。まず、センサデータ収集手段101により各状況ω1〜ω3において、各センサ1〜センサ8のセンサ観測値x1〜x8が収集される。そして、収集されたセンサ観測値x1〜x8を受信したセンサデータ管理手段102の確率分布生成部104は、収集したセンサ観測値の確率分布を、例えば正規分布により近似して、確率分布記憶部105に記憶する。図3は、確率分布記憶部105に記憶した各観測値に関する条件付き確率分布を例示する図である。尚、図3においては、センサ観測値x1に基づく条件付確率分布Pr(x1|ωj)と、センサ観測値x8に基づく条件付確率分布Pr(x8|ωj)を代表して例示しているが、センサデータ管理手段102は、他のセンサ観測値x2〜x7に関しても同様にして出力確率を近似して、確率分布記憶部105に記憶する。
【0019】
特徴ベクトル生成手段103は、確率分布記憶部105に記憶された確率分布Pr(xi|ωj)と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)と、ユーザの状況推定を行う時点でのユーザ端末200に搭載された複数のセンサuからの観測値xu(1≦u≦n)の集合であるセンサ観測値集合Xとから、ベイズの定理に基づいて、ユーザの状況を示す特徴ベクトルを生成する。
【0020】
具体的には、まず、特徴ベクトル生成手段103の特徴ベクトル生成処理部107は、ユーザ端末200に搭載された複数のセンサuから、それらセンサuの観測値xuの集合である観測値集合Xを受信する。尚、本実施の形態1では、観測値集合Xを次に示すように定義する。
X={ xu | u∈{i} }
ここで、iは、センサデータ収集手段101に搭載するセンサ(センサ1、センサ2、...、センサn)の識別子を示し、uは、ユーザ端末200に搭載するセンサ(センサu、...、センサv)を識別するための識別子を示すものとする(すなわち、ユーザ端末200に搭載されるセンサ(センサu、...、センサv)は、センサデータ収集手段101に搭載するセンサ(センサ1、センサ2、...、センサn)の部分集合に該当する)。
また、以下の説明においては、センサデータ収集手段101が備えるセンサiとユーザ端末200が備えるセンサuについて、識別子が同一のセンサは同種のセンサであるものとして説明を行うものとする。
【0021】
そして、ユーザ端末200から観測値集合Xを受信した特徴ベクトル生成処理部107は、記憶された確率分布Pr(xi|ωj)と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)と、受信した観測値集合Xをもとに、ベイズの定理に基づいた推定を行い、ユーザ端末200からセンサの観測値集合Xを得たときの状況ωjの取り得る確率Pr(ωj|X)を推定する。ベイズの定理に基づいた確率Pr(ωj|X)の推定は、以下の式(1)に示す計算式を用いて行う。尚、ベイズの定理についての詳細な説明は、例えば文献「金明哲(著)、"Rによるデータサイエンス"、森北出版、2007年、pp.179」に記載されている。
Pr(ωj|X)=f(ωj,X)/Σ[j]f(ωj,X)・・・(1)
ここで、式(1)において、f(ωj,X)は以下の式により示される。
f(ωj,X)=Pr(ωj,X)=Π[u]Pr(xu|ωj)Pr(ωj)
また、Σ[x]f(x)は、変数xについて、xが取り得る全ての値におけるf(x)の総和を意味する。さらに、Π[x]f(x)は、変数xについて、xが取り得る全ての値におけるf(x)の総積を意味する。
【0022】
これにより、ユーザ端末200毎にそれぞれ異なるセンサが搭載された場合においても、各ユーザ端末200のセンサから得られたセンサ観測値Xのみから、事前に仮定する状況ωjにユーザがどの程度存在するかを示す確率Pr(ωj|X)を算出することができる。
【0023】
従って、ユーザが存在すると仮定しうる全ての状況を対象に、ユーザ端末200に搭載される可能性のある全てのセンサの出力を、条件付き確率分布として予め生成して記憶しておき、その記憶した確率分布をもとに、ユーザ端末200の複数のセンサから得られた観測値のみを用いて、各状況にユーザが存在する確率を推定することにより、ユーザ端末200に搭載させるセンサを特定のセンサに限定せずに、多様なセンサの搭載を許容する状況推定システムを実現することができる。
【0024】
さらに、特徴ベクトル生成処理部107は、各状況について確率Pr(ωj|X)をそれぞれ算出することで、ユーザの状況を示す特徴ベクトルを、以下の(2)に示すように構成することができる。これにより、異なるユーザ間で共通のセンサを所持することを仮定することができない場合においても、ユーザ間の状況を比較可能な共通の特徴量を算出することができる。ここで、ユーザ状況の特徴ベクトルは、m個の状況ω1〜ωmの取り得る確率を特徴量とする、m次元の特徴ベクトルである。
{Pr(ω1|X),Pr(ω2|X),Pr(ω3|X),...,Pr(ωm|X)}・・・(2)
【0025】
尚、上述した式(1)の計算において、予め仮定する状況ωjが、それぞれどの程度発生しやすいかを示す確率、すなわち、状況ωjの発生確率Pr(ωj)を使用する。状況ωjの発生確率Pr(ωj)に関する知識をシステムが有している場合には、その知識に基づいた値が確率Pr(ωj)として採用され予めシステムに設定される。一方で、システムが状況ωjの発生確率Pr(ωj)に関する知識を有していない場合には、各状況ωjにおいて確率Pr(ωj)を例えば等確率として、システムに設定するようにしてもよい。
【0026】
また、上述した式(1)における確率Pr(ωj|X)の計算結果が、所定の確率値以上となる場合には、状況ωjが発生したものと判断し、システムはこれを知識として学習するようにしてもよい。すなわち、システムは、状況ωjの発生により確率Pr(ωj)を更新して、以降の式(1)の計算においてこの更新した値を使用するようにしてもよい。
【0027】
尚、本実施の形態1に係る状況推定システムのサーバ100による処理結果を、外部に設ける類似状況判定処理システム300に対して出力し、類似状況判定処理システム300が、サーバ100による処理結果を用いてサービスを実施するようにしてもよい。類似状況判定処理システム300としては、例えば、上述した特許文献1に記載のユーザ間類似性判定部30、誘導情報生成部40、誘導情報提供部50に類する機能部を備えたシステムを採用することができ、類似状況判定処理システム300とサーバ100の特徴ベクトル生成手段103とを、通信装置を介して連動させるとより好適である。
【0028】
類似状況判定処理システム300は、類似状況に基づいてサービスを実施する外部システムであり、特徴ベクトル生成処理部107において生成した特徴ベクトルを用いることで、ユーザ間の類似状況を測定することができる。より具体的には、例えば、ユーザ間の類似性判定において、生成した特徴ベクトル空間上の2点間の距離を、類似度として用いることができる。従って、本実施の形態1に係る状況推定システムによれば、ユーザの状況を認識することで、類似状況にあるユーザを認識することができる。
【0029】
図4は、本実施の形態1に係る状況推定システムによる処理動作を示すフローチャート図である。以下、図4を参照して、状況推定システムによる処理動作の流れについて説明する。尚、ここでは、図2に示したように、ユーザが存在すると仮定しうる3つの状況ω1〜ω3において、8つの異なるセンサ1〜センサ8によりそれぞれ観測値x1〜x8が得られた場合について説明する。
【0030】
まず、センサデータ収集手段101は、各状況ω1〜ω3において、各センサ1〜センサ8を用いてセンサ観測値x1〜x8を収集する(ステップS101)。尚、ここでは、各センサによる観測は、そのセンサの前提とする理想的な観測環境下のもとで行われる。
【0031】
次いで、センサデータ管理手段102は、各状況ω1〜ω3毎に、センサデータ収集手段101が収集したセンサ観測値x1〜x8を、例えば正規分布により近似して、近似した出力確率を確率分布記憶部105に記憶する(ステップS102)。
【0032】
次いで、特徴ベクトル生成手段103の特徴ベクトル生成処理部107は、ユーザ端末200のセンサuから、当該センサuの観測値集合Xの受信を待つ(ステップS103)。一方で、ユーザ端末200は、自身の備えるセンサuから観測値を取得して(ステップS201)、取得した観測値集合Xをサーバ100に対して送信する(ステップS202)。
【0033】
ユーザ端末200から観測値集合Xを受信した特徴ベクトル生成処理部107は、センサデータ管理手段102の確率分布記憶部105に記憶された条件付確率分布と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)と、受信した観測値集合Xから、上述した式(1)に基づいて、各状況ω1〜ω3の取り得る確率Pr(ω1|X)、Pr(ω2|X)、Pr(ω3|X)をそれぞれ計算して、ユーザ状況の特徴ベクトル{Pr(ω1|X),Pr(ω2|X),Pr(ω3|X)}を生成する(ステップS104)。
【0034】
従って、本実施の形態1に係る状況推定システムによれば、ユーザが所持するユーザ端末200に搭載させる複数のセンサuを特定のセンサに限定せずに、多種多様なセンサを搭載させることを許容することができる。
【0035】
実施の形態2.
続いて、本発明の実施の形態2に係る状況推定システムについて説明する。実施の形態1に係る状況推定システムでは、ユーザ端末200が搭載するセンサuは、理想的な環境下において観測が可能であるものとして説明した。しかし、観測環境の不備などに起因して、ユーザ端末200に搭載したセンサuが状況を正確に反映していない観測値xuを出力する場合が想定される。このような場合には、ユーザが存在する状況ωjを精度良く推定することができない可能性がある。すなわち、ユーザ端末200に搭載されたセンサuから理想的な観測値xuを常に取得可能であるとは限らない。従って、ユーザが存在する状況ωjの推定を行う際に、観測環境の不備により、状況ωjにおいて、予め与えた確率分布Pr(xu|ωj)に似つかわしくないようなセンサ観測値xu(例えば、平均から離れたセンサ観測値xu。)がシステムに入力された場合には、正しい推定結果を得ることができないおそれがある。このため、ユーザ側のユーザ端末200に搭載させるセンサuを用いて観測値xuを推定に使用する場合には、ユーザ端末200に搭載したセンサuのうち有効なセンサのみを判別して推定を行うことが強く求められる。そこで、本実施の形態2に係る状況推定システムは、以下に説明するように、ユーザ端末200に搭載させるセンサuのうち、有効なセンサのみを判別して推定を行う。
【0036】
図5は、本実施の形態2に係る状況推定システムの全体構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施の形態2に係る状況推定システムは、図1に示した実施の形態1に係る状況推定システムと比べて、更に、未影響確率分布記憶部102を備える。
【0037】
サーバ100は、中央処理装置、記憶装置、通信装置などから構成され、センサデータ収集手段101と、センサデータ管理手段102と、特徴ベクトル生成手段103とを備える。
【0038】
ユーザ端末200は、複数のセンサ(センサu、...、センサv)と、サーバ100との通信を行うための通信装置(不図示)を備える。ユーザ端末200の複数のセンサ(センサu、...、センサv)は、センサデータ収集手段101が備えるセンサ集合(センサ1、センサ2、...、センサn)の部分集合に該当する。尚、本実施の形態2に係る状況推定システムでは、センサデータ収集手段101が備える各センサと、ユーザ端末200が備える各センサに対して、そのセンサによる観測値が状況を良く反映しているか否かを示す影響度が対応付けられている。例えば、ユーザ端末200に搭載させるセンサuについて、その観測値xuが状況を良く反映しているか否かを示す影響度auが対応付けられている。影響度auには所定の値が予め割り当てられており、例えばノイズなどの環境の影響によりセンサuの観測値xuが状況を良く反映していない場合には、影響度auに対して値falseが割り当られ、環境による影響があまり見られず、センサuの観測値xuが状況を良く反映している場合には、影響度auに対して値trueが割り当てられている。影響度auは、各状況と各センサに応じて、予め想定される所定の値が設定されているものとする。
【0039】
センサデータ収集手段101は、予め仮定する複数の状況下において、複数のセンサ(センサ1、センサ2、...、センサn)によりそれぞれ観測される観測値を収集する。各センサ(センサ1、センサ2、...、センサn)は、センサを設置した周辺の状況から、それぞれのセンサの特性に応じた形で物理量や信号を観測する。ここで、予め仮定する複数の状況は有限の状況ωj(1≦j≦m)であり、各状況下において、ユーザ端末200を所持するユーザが存在するものと仮定する。また、複数のセンサiは、これら有限の状況ωj下に予め設置されており、かつ、ユーザ端末200に搭載する可能性のあるセンサuと同種のセンサを含むのとする。すなわち、センサデータ収集手段101は、ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況ωjにおいて、ユーザ端末200に搭載されうるセンサuと同種のセンサを含む複数のセンサiが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサiから、各所定の状況ωjごとにセンサ観測値xi(1≦i≦n)を収集する。
【0040】
図6を参照して、センサデータ収集手段101によるセンサ観測値の収集についてより具体的に説明する。図6に示す例では、状況Cと、状況C下におけるセンサからの出力Xと、センサの出力Xの影響度Aとの関係を示している。図6に示す例では、センサデータ収集手段101は、ユーザが存在する3つの状況ω1、ω2、ω3を仮定し、それぞれの状況下において、8つの異なるセンサ1〜センサ8により、センサの出力値x1〜x8をそれぞれ収集する。ここで、本実施の形態2においては、各センサの出力値x1〜x8に対して、推定対象である状況からの影響度を示す影響度a1〜a8が関連付けられている。影響度は、推定対象である状況からの影響を大きく受けているか否かを示す二値が予め割り当てられており、例えば、"true"と"false"の二値が割り当てられている。"true"は状況からの影響を大きく受けていること(例えば、ノイズの影響は小さく、センサの観測値が状況をよく反映している状態。)を示し、"false"は状況からの影響を小さく受けていること(例えば、ノイズの影響が大きいために、センサの観測値が状況をよく反映していない状態。)を示す。センサデータ収集手段101は、センサデータ管理手段102に対して、各センサの観測値x1〜x8に加えて、そのセンサについての影響度a1〜a8についても併せて送信する。尚、影響度a1〜a8については、各状況と各センサに応じて、予め想定される所定の値が設定されているものとする。
【0041】
センサデータ管理手段102の確率分布生成部104は、理想的な観測環境下のもと(すなわちai=trueである場合)で、センサデータ収集手段101により状況ごとに収集した各センサiによる観測値xiを受信する。センサデータ管理手段102は、影響度の値がtrueにより示されるセンサの観測値xiについては(すなわち、センサiの観測値xiが状況ωjをよく反映しており、ai=trueである場合。)、これらの観測値xiをもとに、状況ωjにおけるセンサの観測値xiの出力確率を所定の確率分布により近似することで条件付き確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)として生成し、その生成した出力確率を確率分布記憶部105に記憶する。所定の確率分布としては、例えば、正規分布、対数正規分布、ガンマ分布などをシステムに用いることができる。
【0042】
一方で、センサデータ管理手段102の確率分布生成部104は、影響度の値がfalseにより示されるセンサの観測値xiについては(センサiの観測値xiが状況ωjをよく反映しておらず、ai=falseである場合。)、これらの観測値xiから出力確率を生成せずに、各センサxiは取り得る値の範囲内においてランダムな値を出力するものと見なす。そして、確率分布生成部104は、状況ωjにおけるセンサの観測値xiの出力確率を所定の確率分布により近似することで条件付き確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)として生成し、その生成した出力確率を未影響確率分布記憶部106に記憶する。所定の確率分布としては、例えば、一様分布などをシステムに用いることができる。
【0043】
図7を参照して、センサiの観測値xiが状況ωjをよく反映していない場合の、センサデータ管理手段102による条件付き確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)の生成についてより具体的に説明する。尚、ここでは、図2に示したように、ユーザが存在すると仮定しうる3つの状況ω1〜ω3において、8つの異なるセンサ1〜センサ8によりそれぞれ観測値が得られると共に、各センサに関する影響度a1〜a8が予め設定されているものとする。まず、センサデータ収集手段101により各状況ω1〜ω3において、各センサ1〜センサ8のセンサ観測値x1〜x8と、センサに関する影響度a1〜a8が収集される。そして、センサ観測値x1〜x8を受信した確率分布生成部104は、センサの観測値は使用せずに、影響度の値がfalseであるセンサからはランダムな値が出力されたものと見なして、センサ観測値の確率分布を、例えば一様分布により近似して、未影響確率分布記憶部106に記憶する。図7は、未影響確率分布記憶部106に記憶した各観測値xiに関する条件付き確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)を例示する図である。尚、図7においては、センサ観測値x1に基づく確率分布Pr(x1|ωj,ai=false)と、センサ観測値x8に基づく確率分布Pr(x8|ωj,ai=false)を代表して例示しているが、センサデータ管理手段102は、他のセンサ観測値x2〜x7に関しても同様にして出力確率を近似して、未影響確率分布記憶部106に記憶する。
【0044】
特徴ベクトル生成手段103は、最初に、ユーザ端末200のセンサuによる観測値集合Xに含まれる観測値xkが、ノイズの影響を受けて、状況からの影響を良く受けていない値である確率Pr(ak=false|X)を推定する。より具体的には、確率分布記憶部105に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)と、未影響確率分布記憶部106に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)と、影響度auの各値の発生確率を示すPr(au)(確率Pr(au)は、ユーザが利用可能な個々のセンサuについて、センサuの観測値xuがよく状況を反映しない確率Pr(au=false)と、センサuの観測値xuが状況を反映する確率Pr(au=true)=1-Pr(au=false)から構成される。)と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)と、ユーザが存在する状況の推定を行う時点でのユーザ端末200に搭載された複数のセンサuからの観測値Xとから、ベイズの定理に基づいて、ユーザ端末200のセンサuによる観測値集合Xに含まれる観測値xkが、状況からの影響を良く受けていない値である確率Pr(ak=false|X)を推定する。すなわち、確率Pr(ak=false|X)は、観測値集合Xを得た場合における、ユーザ端末200のセンサkによる観測値xkの影響度akの値がfalseであるときの確率を示す。尚、kは、ユーザ端末200に搭載されるセンサの識別子であり、次に示すように定義する。
k∈{ u | uはユーザ端末200に備えるセンサの識別子を示す。}
【0045】
特徴ベクトル生成手段103は、ベイズの定理に基づいた以下の式(3)に示す計算式を用いて、確率Pr(ak=false|X)の推定を行う。
Pr(ak=false|X)={Σ[j]Σ[u(≠k)]Σ[au]f(ωj,A',X)}/{Σ[j]Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X)}・・・(3)
ここで、式(3)において、f(ωj,A,X)は以下の式により示される。
f(ωj,A,X)=Pr(ωj,A,X)=Π[u]{Pr(xu|ωj,au)Pr(au)}Pr(ωj)
尚、観測値集合Xは次に示すように定義し、
X={ xu | u∈{i} }
iは、センサデータ収集手段101に搭載するセンサiの識別子を示し、uは、ユーザ端末200に搭載するセンサuを識別するための識別子を示す。
また、影響度集合Aは次に示すように定義する。
A={ au | u∈{i} }
尚、影響度集合Aに関して、その要素auの値がfalseである集合を、影響度集合Aと区別するため、次に示すようにA'として定義する。
A'={ au | u∈{i} ,ak=false(k∈{u}) }
また、Σ[x(≠y)]f(x)は、変数xについて、xが取り得る値のうち値yを除いた他の全ての値におけるf(x)の総和を意味する。
【0046】
そして、特徴ベクトル生成手段103は、上述した式(3)を用いて計算した確率Pr(ak=false|X)の値が、システムが定める所定の閾値θ以上であるか否かを判定し、判定の結果、確率Pr(ak=false|X)の値が所定の閾値θ以上であるセンサkについては、ユーザ端末200のセンサuから得られた観測値集合Xからそのセンサkによる観測値を除去する。ここで、確率Pr(au=false|X)に関する閾値θは、例えば、50%とすることができる。
【0047】
これにより、特徴ベクトル生成手段103は、上述した式(3)における推定結果に基づいて、ユーザ端末200に搭載されるセンサuのうち、ユーザの状況推定のために無効なセンサkを判断することができるため、ユーザの状況推定のために有効なセンサの観測値のみを選択して推定を実施することができる。
【0048】
次いで、特徴ベクトル生成手段103は、無効なセンサ値を除去した結果得られる観測値集合X'から、ベイズの定理に基づいた推定を行い、センサの観測値集合X'を得たときの状況ωjの取り得る確率Pr(ωj|X')を推定する。ベイズの定理に基づいた確率Pr(ωj|X')の推定は、以下の式(4)に示す計算式を用いて行う。
Pr(ωj|X')={Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X')}/{Σ[j]Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X')}・・・(4)
【0049】
そして、特徴ベクトル生成処理部107は、各状況について確率Pr(ωj|X')をそれぞれ算出することで、ユーザの状況を示す特徴ベクトルを、以下の(5)に示すように構成することができる。これにより、無効なセンサ値を除去して、ユーザ間の状況を比較可能な共通の特徴量を算出することができる。ここで、ユーザ状況の特徴ベクトルは、m個の状況ω1〜ωmの取り得る確率を特徴量とする、m次元の特徴ベクトルである。
{Pr(ω1|X'),Pr(ω2|X'),Pr(ω3|X'),...,Pr(ωm|X')}・・・(5)
【0050】
尚、上述した式(3)の計算においては、予め仮定する状況ωjが、それぞれどの程度発生しやすいかを示す確率(すなわち、状況ωjの発生確率Pr(ωj)。)と、ユーザが利用可能な個々のセンサkについて、センサkの観測値xkが状況をどの程度反映しやすいかを示す確率(すなわち、観測値xkの影響度akがtrueである確率Pr(ak=true))を使用する。これら確率Pr(ωj)とPr(ak=true)に関する知識をシステムが有している場合には、その知識に基づいた値がそれぞれの確率として採用され予めシステムに採用される。知識を有していない場合には、各状況ωjと各センサkについてこれらの確率を例えば等確率として、システムに設定するようにしてもよい(すなわち、Pr(ak=true)及びPr(ak=false)の値を共に50%と設定する)。
【0051】
また、上述した式(3)における確率Pr(ak=false|X)の計算結果が、所定の確率値以上となる場合には、ak=falseが発生したものと判断し、システムはこれを知識として学習するようにしてもよい。すなわち、システムは、ak=falseの発生により確率Pr(ak=false)と確率Pr(ak=true)を更新して、以降の式(3)の計算においてこの更新した値を使用するようにしてもよい。
さらに、上述した式(4)における確率Pr(ωj|X')の計算結果が、所定の確率値以上となる場合には、状況ωjが発生したものと判断し、システムはこれを知識として学習するようにしてもよい。すなわち、システムは、状況ωjの発生により確率Pr(ωj)を更新して、以降の式(4)の計算においてこの更新した値を使用するようにしてもよい。
【0052】
尚、本実施の形態2に係る状況推定システムのサーバ100による処理結果を、実施の形態1で説明した場合と同様にして、外部に設ける類似状況判定処理システム300に対して出力し、類似状況判定処理システム300が、サーバ100による処理結果を用いてサービスを実施するようにしてもよい。これにより、本実施の形態2に係る状況推定システムによれば、ユーザの状況を認識することで、類似状況にあるユーザを認識することができる。
【0053】
図8は、本実施の形態2に係る状況推定システムによる処理動作を示すフローチャート図である。以下、図8を参照して、状況推定システムによる処理動作の流れについて説明する。尚、ここでは、図2あるいは図7に示したように、ユーザが存在すると仮定しうる3つの状況ω1〜ω3において、8つの異なるセンサ1〜センサ8によりそれぞれ観測値が得られると共に、各センサに関する影響度a1〜a8が予め設定されているものとして説明する。
【0054】
まず、センサデータ収集手段101は、各状況ω1〜ω3において、各センサ1〜センサ8を用いてセンサ観測値x1〜x8を収集する(ステップS301)。
【0055】
次いで、センサデータ管理手段102は、各状況ω1〜ω3毎に、理想的な観測環境下のもと(すなわちai=trueである場合)で、センサデータ収集手段101が収集したセンサ観測値x1〜x8について、所定の確率分布により近似して、近似した出力確率を確率分布記憶部105、あるいは、未影響確率分布記憶部106のいずれかに記憶する(ステップS302)。ここで、センサデータ管理手段102の確率分布生成部104は、その影響度の値がtrueであるセンサの観測値に関しては、例えば正規分布により出力の確率分布を近似して、近似した出力確率を確率分布記憶部105に記憶する。一方で、確率分布生成部104は、その影響度の値がfalseであるセンサの観測値に関しては、例えば一様分布により出力の確率分布を近似して、近似した出力確率を未影響確率分布記憶部106に記憶する。
【0056】
次いで、特徴ベクトル生成手段103の特徴ベクトル生成処理部107は、ユーザ端末200のセンサuから、当該センサuの観測値集合Xの受信を待つ(ステップS303)。一方で、ユーザ端末200は、自身の備えるセンサuから観測値を取得して(ステップS401)、取得した観測値集合Xをサーバ100に対して送信する(ステップS402)。
【0057】
ユーザ端末200から観測値集合Xを受信した特徴ベクトル生成処理部107は、受信した観測値集合Xと、確率分布記憶部105に記憶された条件付確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)と、未影響確率分布記憶部106に記憶された条件付確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)と、影響度auの発生確率を示すPr(au)と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)から、上述した式(3)に基づいて、観測値集合Xの観測値を観測した全てのセンサuについて、影響度の値がfalseであるときの確率Pr(au=false|X)を計算し、計算した確率Pr(au=false|X)が、例えば50%(閾値θ)を上回っているか否かを判定する。そして、閾値θを上回っているセンサuについては無効なセンサであるものと見なして、観測値集合Xから無効なセンサにより観測された観測値を除去する(ステップS304)。すなわち、観測値集合Xから無効なセンサ値を除去した観測値集合X'を算出する。
【0058】
次いで、特徴ベクトル生成処理部107は、ステップS304において無効な観測値を除いた後の観測値集合X'と、確率分布記憶部105に記憶された条件付確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)と、未影響確率分布記憶部106に記憶された条件付確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)と、状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)から、上述した式(4)に基づいて、各状況ω1〜ω3の取り得る確率Pr(ω1|X')、Pr(ω2|X')、Pr(ω3|X')をそれぞれ計算して、ユーザ状況の特徴ベクトル{Pr(ω1|X'),Pr(ω2|X'),Pr(ω3|X')}を生成する(ステップS305)。
【0059】
従って、本実施の形態2に係る状況推定システムによれば、ユーザが所持するユーザ端末200に搭載させる複数のセンサを特定のセンサに限定せずに、多種多様なセンサを搭載させることを許容し、さらには、ユーザ端末200に搭載させたセンサのうち有効なセンサのみを判別してユーザ状況を推定することができる。
【0060】
尚、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、同じ場所によく訪問するユーザは嗜好が似ていることを想定し、ユーザに情報を推薦するシステムに対して応用可能である。このとき、従来であれば、同種のセンサを備えたユーザ端末を所持するユーザ間の類似度のみしか測ることができなかったのに対して、本発明によれば、異なる種類のセンサを備えたユーザ端末を所持するユーザ間の類似度についても精度良く測ることが可能となり、適用ユーザの拡大を見込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る状況推定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る状況推定システムによるセンサ観測値の収集について説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る状況推定システムによる条件付き確率分布の生成について説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る状況推定システムによる処理動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る状況推定システムの全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る状況推定システムによるセンサ観測値の収集について説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る状況推定システムによる条件付き確率分布の生成について説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る状況推定システムによる処理動作を示すフローチャート図である。
【図9】関連する技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
100 サーバ、
101 センサデータ収集手段、
102 センサデータ管理手段、
103 特徴ベクトル生成手段、
104 確率分布生成部、
105 確率分布記憶部、
106 未影響確率分布記憶部、
107 特徴ベクトル生成処理部、
200 ユーザ端末、
300 類似状況判定処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定システムであって、
前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集手段と、
前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理手段と、
前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成手段と、
を備える状況推定システム。
【請求項2】
前記特徴ベクトル生成手段は、各前記所定の状況ごとに前記第1の条件付確率を算出し、当該算出した第1の条件付確率から構成される前記ユーザが存在する状況を示す特徴ベクトルを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の状況推定システム。
【請求項3】
前記センサデータ管理手段は、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を正規分布により近似して生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の状況推定システム。
【請求項4】
前記特徴ベクトル生成手段は、前記受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布から、ベイズの定理に基づいて、前記第1の条件付確率を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の状況推定システム。
【請求項5】
前記センサデータ収集手段は、前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況ωj(1≦j≦m)において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサu(1≦u≦n)と同種のセンサを含む複数のセンサi(1≦i≦n)が予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサiから各前記所定の状況ωjごとにセンサ観測値xi(1≦i≦n)を収集し、
前記センサデータ管理手段は、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値xiから、各前記所定の状況ωjごとにセンサ観測値の出力確率を前記所定の第1の確率分布Pr(xi|ωj)として生成して、当該生成した確率分布Pr(xi|ωj)を確率分布記憶部に記憶し、
前記特徴ベクトル生成手段は、前記ユーザ端末に搭載されたセンサuによるセンサ観測値xu(1≦u≦n)の集合であるセンサ観測値集合Xと、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布Pr(xi|ωj)と、前記所定の状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)から、ベイズの定理に基づく以下の式(1)を用いて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサuのセンサ観測値集合Xを受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況ωjに存在する前記第1の条件付確率Pr(ωj|X)を推定する
ことを特徴とする請求項4記載の状況推定システム。
Pr(ωj|X)=f(ωj,X)/Σ[j]f(ωj,X)・・・(1)
ここで、f(ωj,X)=Pr(ωj,X)=Π[u]Pr(xu|ωj)Pr(ωj)であり、Σ[x]f(x)は、変数xについて、xが取り得る全ての値におけるf(x)の総和を意味し、Π[x]f(x)は、変数xについて、xが取り得る全ての値におけるf(x)の総積を意味する。
【請求項6】
前記特徴ベクトル生成手段は、各前記所定の状況ωjごとに等確率分布として予め設定された発生確率Pr(ωj)を用いて、前記第1の条件付確率Pr(ωj|X)を推定する
ことを特徴とする請求項5記載の状況推定システム。
【請求項7】
前記所定の状況において設置される複数のセンサに対して、各センサが前記所定の状況からの影響をどの程度受けているのかを示す影響度情報が予め設定さており、
前記センサデータ収集手段は、各前記所定の状況ごとに、前記予め設置された複数のセンサによるセンサ観測値を収集し、
前記センサデータ管理手段は、前記影響度情報に基づいて、前記収集したセンサ観測値の有効性を判定し、
前記収集したセンサ観測値が有効であると判定した場合には、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第2の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を前記確率分布記憶部に記憶し、
前記収集したセンサ観測値が有効でないと判定した場合には、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第3の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を未影響確率分布記憶部に記憶し、
前記特徴ベクトル生成手段は、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に当該センサ観測値が有効でない第2の条件付確率を推定して、当該推定した第2の条件付確率に基づいて、前記受信した前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値のうち有効でないセンサ観測値を除外し、前記受信したセンサ観測値のうち有効なセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第3の条件付確率を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の状況推定システム。
【請求項8】
前記影響度情報は、各センサが前記所定の状況からの影響を適切に反映していることを示すtrue値、または、各センサが前記所定の状況からの影響を適切に反映していないことを示すfalse値のいずれか一つを含み、
前記センサデータ管理手段は、前記影響度情報が前記true値を含む場合には、前記収集したセンサ観測値が有効であるものと判定し、前記影響度情報が前記false値を含む場合には、前記収集したセンサ観測値が有効でないものと判定する
ことを特徴とする請求項7に記載の状況推定システム。
【請求項9】
前記センサデータ管理手段は、前記収集したセンサ観測値が有効であると判定した場合には、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を正規分布により近似して生成して、当該生成した確率分布を前記確率分布記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の状況推定システム。
【請求項10】
前記センサデータ管理手段は、前記収集したセンサ観測値が有効でないと判定した場合には、当該有効でないと判定したセンサ観測値をランダムな出力値とみなし、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を一様分布により近似して生成して、当該生成した確率分布を未影響確率分布記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項に記載の状況推定システム。
【請求項11】
前記特徴ベクトル生成手段は、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布から、ベイズの定理に基づいて、前記第2の条件付確率を推定する
ことを特徴とする請求項7乃至10いずれか1項に記載の状況推定システム。
【請求項12】
前記センサデータ収集手段は、前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況ωj(1≦j≦m)において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサu(1≦u≦n)と同種のセンサを含む複数のセンサi(1≦i≦n)が予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサiから各前記所定の状況ωjごとにセンサ観測値xi(1≦i≦n)を収集し、
前記センサデータ管理手段は、前記影響度情報ai(1≦i≦n)に基づいて、前記収集したセンサ観測値xiの有効性を判定し、
前記収集したセンサ観測値xiが有効であると判定した場合には、前記センサデータ収集手段により収集したセンサ観測値xiから、各前記所定の状況ωjごとにセンサ観測値xiの出力確率を前記所定の第2の確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)として生成して、当該生成した確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)を前記確率分布記憶部に記憶し、
前記収集したセンサ観測値xiが有効でないと判定した場合には、各前記所定の状況ωjごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第3の確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)として生成して、当該生成した確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)を未影響確率分布記憶部に記憶し、
前記特徴ベクトル生成手段は、前記ユーザ端末に搭載されたセンサuによるセンサ観測値xu(1≦u≦n)の集合であるセンサ観測値集合Xと、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)と、前記影響度auの値の発生確率を示すPr(au)と、前記所定の状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)から、ベイズの定理に基づく以下の式(3)を用いて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサuのセンサ観測値集合Xを受信した場合に当該センサ観測値xuが有効でない第2の条件付確率Pr(ak=false|X)を推定する
ことを特徴とする請求項8乃至11いずれか1項に記載の状況推定システム。
Pr(ak=false|X)={Σ[j]Σ[u(≠k)]Σ[au]f(ωj,A',X)}/{Σ[j]Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X)}・・・(3)
ここで、f(ωj,A,X)=Pr(ωj,A,X)=Π[u]{Pr(xu|ωj,au)Pr(au)}Pr(ωj)であり、Σ[x(≠y)]f(x)は、変数xについて、xが取り得る値のうち値yを除いた他の全ての値におけるf(x)の総和を意味し、Π[x]f(x)は、変数xについて、xが取り得る全ての値におけるf(x)の総積を意味し、前記ユーザ端末に搭載された各センサの影響度au(1≦u≦n)の集合を影響度集合Aとし、当該影響度集合Aに含まれる影響度auからなる集合であって、センサ観測値xuが有効でない影響度auからなる集合をA'とする。
【請求項13】
前記特徴ベクトル生成手段は、前記推定した第2の条件付確率Pr(ak=false|X)が所定の閾値を上回っているか否かを判定し、前記所定の閾値を上回っている観測値xiを有効でないセンサ観測値として前記観測値集合Xから除外し、前記観測値集合Xから有効でない観測値xiを除外した観測値集合X'と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=true)と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布Pr(xi|ωj,ai=false)と、前記影響度auの発生確率を示すPr(au)と、各前記所定の状況ωjの発生確率を示すPr(ωj)から、ベイズの定理に基づく以下の式(4)を用いて、前記センサ観測値集合X'を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況ωjに存在する第3の条件付確率Pr(ωj|X')を推定する
ことを特徴とする請求項12記載の状況推定システム。
Pr(ωj|X')={Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X')}/{Σ[j]Σ[u]Σ[au]f(ωj,A,X')}・・・(4)
【請求項14】
ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定方法であって、
前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集ステップと、
前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理ステップと、
前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成ステップと、
を備える状況推定方法。
【請求項15】
前記所定の状況において設置される複数のセンサに対して、各センサが前記所定の状況からの影響をどの程度受けているのかを示す影響度情報が予め設定されており、
前記影響度情報に基づいて、前記収集したセンサ観測値の有効性を判定する判定ステップを更に備え、
前記判定の結果、前記収集したセンサ観測値が有効であると判定した場合には、前記センサデータ管理ステップにおいて、前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第2の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を前記確率分布記憶部に記憶し、
前記収集したセンサ観測値が有効でないと判定した場合には、前記センサデータ管理ステップにおいて、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第3の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を未影響確率分布記憶部に記憶し、
前記特徴ベクトル生成ステップにおいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に当該センサ観測値が有効でない第2の条件付確率を推定して、当該推定した第2の条件付確率に基づいて、前記受信した前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値のうち有効でないセンサ観測値を除外し、前記受信したセンサ観測値のうち有効なセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第3の条件付確率を推定する
ことを特徴とする請求項14に記載の状況推定方法。
【請求項16】
ユーザが所持するユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値に基づいて、前記ユーザが存在する状況を推定する状況推定プログラムであって、
前記ユーザが存在するものと仮定しうる所定の状況において、前記ユーザ端末に搭載されうるセンサと同種のセンサを含む複数のセンサが予め設置されており、当該予め設置された複数のセンサから各前記所定の状況ごとにセンサ観測値を収集するセンサデータ収集ステップと、
前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第1の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を確率分布記憶部に記憶するセンサデータ管理ステップと、
前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第1の条件付確率を推定する特徴ベクトル生成ステップと、
をコンピュータに対して実行させる状況推定プログラム。
【請求項17】
前記所定の状況において設置される複数のセンサに対して、各センサが前記所定の状況からの影響をどの程度受けているのかを示す影響度情報が予め対応付けられており、
前記予め設置された複数のセンサによるセンサ観測値と共に収集した前記影響度情報に基づいて、前記収集したセンサ観測値の有効性を判定する判定ステップを更に備え、
前記判定の結果、前記収集したセンサ観測値が有効であると判定した場合には、前記センサデータ管理ステップにおいて、前記収集したセンサ観測値から、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第2の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を前記確率分布記憶部に記憶し、
前記収集したセンサ観測値が有効でないと判定した場合には、前記センサデータ管理ステップにおいて、各前記所定の状況ごとにセンサ観測値の出力確率を所定の第3の確率分布として生成して、当該生成した確率分布を未影響確率分布記憶部に記憶し、
前記特徴ベクトル生成ステップにおいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値を受信し、当該受信したセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に当該センサ観測値が有効でない第2の条件付確率を推定して、当該推定した第2の条件付確率に基づいて、前記受信した前記ユーザ端末に搭載されたセンサによるセンサ観測値のうち有効でないセンサ観測値を除外し、前記受信したセンサ観測値のうち有効なセンサ観測値と、前記確率分布記憶部に記憶された確率分布と、前記未影響確率分布記憶部に記憶された確率分布に基づいて、前記ユーザ端末に搭載されたセンサのセンサ観測値を受信した場合に前記ユーザが各前記所定の状況に存在する第3の条件付確率を推定する
ことを特徴とする請求項16に記載の状況推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122751(P2010−122751A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293560(P2008−293560)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】