説明

状況認識を用いた戦闘の選択

ゲーム環境におけるプレイヤーの状況認識に基づいてアクションが自動的に選択されるゲーム環境が開示される。状況認識は、ゲーム環境におけるプレイヤー、対象物及び他のキャラクターの条件に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
幾つかのビデオゲームにおいては、プレイヤーはキャラクターとして提示され、仮想環境を往来する。仮想環境内では、プレイヤーは幾つかの異なる状況に遭遇することができる。戦闘の状況においては、プレイヤーは対抗者を損傷させ、破壊するように、一人又は複数の対抗者と交戦する。プレイヤーは色々な戦闘アクションによって対抗者を損傷させ及び/又は破壊する。こうした戦闘アクションの制御は狭くて退屈な動作を生じる結果となり、ユーザーをゲーム経験から遠ざけてしまう。例えば、こうしたアクションは対抗者に対する単純なパンチ又はキックである。現在のビデオゲームでは、ユーザーは、一層刺激的なアクションを取るようにゲーム・コントローラーから幾つかの入力を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかし、入力の中には、学ぶのが難しく且つ直感的ではないものがあるので、ビデオゲーム内では一層複雑なアクションがプレイヤーによって十分に活用されないでいる。なお上記の検討は一般的な背景情報を提供するものであり、特許請求された主題を決定するための補助として用いてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
プレイヤーの状況認識に基づいてアクションが自動的に選択されるゲーム環境が開示される。状況認識は、ゲーム環境におけるプレイヤー、対象物及び他のキャラクターに基づいて決定される。
【0004】
この概要は、単純な形で概念の選択を導入するために設けられているが、概念の選択については後で詳細な説明で更に説明される。この概要は、特許請求された主題の特徴を特定することを意図していないし、特許請求された主題の範囲を決定する補助として用いられることも意図していない。特許請求された主題は、背景において述べた全部の又はいずれかの欠点を解消する実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、視覚ゲーム及びメディア・システムの例の等角図である。
【図2】図2は、図1に示すゲーム及びメディア・システムの構成要素の例示的な機能ブロック図である。
【図3】図3は、ゲーム環境におけるアクションを選択するためのコンポーネントのブロック図である。
【図4】図4は、アクションを選択する方法の流れ図である。
【図5】図5は、例示のゲーム環境を示す図である。
【図6】図6は、例示のゲーム環境を示す図である。
【図7】図7は、例示のゲーム環境を示す図である。
【図8】図8は、例示のゲーム環境を示す図である。
【図9】図9は、例示のゲーム環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、例示のゲーム及びメディア・システム100を示している。図1の以下の検討は、本発明が提示する概念を実現する最適な環境についての簡単且つ一般的な記述を提供することを意図している。図1に示すように、ゲーム及びメディア・システム100はゲーム・メディアコンソール(以下、コンソールという)102を備える。一般に、コンソール102は一種のコンピューティング・システムであるが、これについては後に詳述する。コンソール102は、コントローラー104(1)、104(2)によって表されているように、1つ又は複数の無線コントローラーを対応するよう構成される。コンソール102には、内部ハードディスク・ドライブ(図示せず)と、光記憶媒体108によって表される種々の形態の携帯型記憶媒体をサポートする携帯型メディア・ドライブ106とが設けられている。最適な携帯型記憶媒体の例には、DVD、CD−ROM、ゲーム・ディスク等が含まれる。また、コンソール102は、着脱可能なフラッシュ型のメモリー・ユニット140を受けるための2個のメモリー・ユニット・カードのレセプタクル125(1)、125(2)を備える。コンソール102上の指令ボタン135により、無線周辺サポートが動作可能に又は不可能にされる。
【0007】
また、図1に示すように、コンソール102は、1つ又は複数の装置と無線通信するための光ポート130と、追加のコントローラーや他の周辺機器のための有線接続をサポートする2個のUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ポート110(1)、110(2)とを備える。実施形態によっては、追加のポートの数及び配置が修正され得る。ゲーム・コンソール102の前面には、電源ボタン112及び取り出しボタン114も配置される。電源ボタン112はゲーム・コンソールへの電力供給のために選択され、また、他の特徴や制御へのアクセスを提供する。取り出しボタン114は、記憶ディスク108の挿入と取り出しを可能にするよう、携帯型メディア・ドライブ106のトレイを開閉する。
【0008】
コンソール102は、A/Vインターフェース・ケーブル120を介してテレビジョンその他の表示装置150と接続される。1つの実施形態においては、コンソール102には専用A/Vポート(図示せず)が設けられるが、この専用ポートは、A/Vケーブル120(例えば、高品位モニターその他の表示装置上の高品位マルチメディア・インターフェース「HDMI」ポートに最適なA/Vケーブル)を用いて、コンテンツの保護されたデジタル通信を行うように構成されている。電力ケーブル122は電力をゲーム・コンソールに提供する。更に、コンソール102は、インターネットのようなネットワークへのアクセスを容易にするケーブル又はモデム・コネクター124によって表されるブロードバンド能力を持つよう構成される。また、ブロードバンド能力は、無線忠実度(Wi−Fi)ネットワークのようなブロードバンド・ネットワークを介して無線によって提供されることもできる。
【0009】
それぞれのコントローラー104は有線又は無線のインターフェースを介してコンソール102と結合される。図示の実施形態においては、これらのコントローラーはUSBコンパティブルであり、無線で又はUSBポート110を介してコンソール102と結合される。コンソール102には、広範なユーザー対話機構のうちの任意の対話機構が設けられ得る。図1に示す例においては、それぞれのコントローラー104には、2個のサムスティック132(1)、132(2)とDパッド134とボタン136と2個のトリガー138とが設けられている。これらのコントローラは単なる代表であって、図1に示すコントローラーを他の公知のコントローラーで置換してもよいし、他の公知のコントローラーを追加してもよい。
【0010】
(図示しない)1つの実施形態においては、追加の携帯型ストレージを提供するように、メモリー・ユニット(MU)140がコンソール102に挿入され得る。携帯型MUは、他のコンソールでプレイするときに使うようにユーザーがゲーム・パラメーターを格納するのを可能にする。この実施形態では、それぞれのコントローラーは2個のMU140に対応するよう構成されているが、2個のMUよりも多い又は少ないMUを採用することもできる。
【0011】
一般に、ゲーム及びメディア・システム100は、メモリー媒体に記憶されたゲームをプレイするように、及び、ゲームをダウンロードしてプレイしたり、予め記録された音楽やビデオを電子的なソース又はハードディスク・ソースから再生したりするように構成される。異なるストレージが提供されるので、タイトルはハードディスク・ドライブから、光ディスク媒体(例えば108)から、オンライン・ソースから、又はMU140からプレイすることができる。ゲーム及びメディア・システム100がプレイすることにできる媒体のタイプの例には、
CD、DVDディスクから、ハードディスク・ドライブから、又はオンライン・ソースからプレイされるゲーム・タイトル、
携帯型メディア・ドライブ106におけるCDから、ハードディスク・ドライブ上のファイル(例えば、ウィンドウズ(登録商標)・メディア・オーディオ(WMA)フォーマットの音楽)から、又はオンライン・ストリーミング・ソースからプレイされるデジタル音楽、
携帯型メディア・ドライブ106におけるDVDディスクから、ハードディスク・ドライブ上のファイル(例えば、アクティブ・ストリーミング・フォーマット)から、又はオンライン・ストリーミング・ソースからプレイされるデジタル・オーディオ/ビデオ
が含まれる。
【0012】
動作期間に、コンソール102は、コントローラー104から入力を受け取って表示装置150上に表示するように構成される。例えば、コンソール102はユーザー・インターフェースを表示装置150上に表示することができるので、ユーザーは対話型ゲーム・タイトルを操作して対話することができる。
【0013】
図2は、ゲーム及びメディア・システム100の機能ブロック図であり、ゲーム及びメディア・システム100の機能コンポーネントを一層詳細に示している。コンソール102は中央処理装置(CPU)200とメモリー・コントローラー202と携帯型メディア・ドライブ106とを備え、メモリー・コントローラー202は、フラッシュ・リード・オンリー・メモリ(ROM)204、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)206及びハードディスク・ドライブ208を含む種々のタイプのメモリーへのプロセッサー・アクセスを容易にする。1つの実施形態においては、CPU200は、一時的にデータを格納して、ハード・ドライブ208によって行われるメモリー・アクセス・サイクルの数を低減して処理速度とスループットとを改善するよう、レベル1キャッシュ210とレベル2キャッシュ212とを備える。
【0014】
CPU200、メモリー・コントローラー202及び種々のメモリー装置は1つ又は複数のバス(図示せず)によって相互接続される。この実施形態において使用されるバスの詳細は、ここで検討されている主題を理解するのに特に関係があるわけではないが、理解されるとおり、こうしたバスは、シリアル・バス及びパラレル・バス、メモリー・バス、ペリフェラル・バス、プロセッサー・バス又はローカル・バスのうちの、種々のバス・アーキテクチャーを用いる1つ又は複数のバスを含むことができる。例えば、こうしたアーキテクチャーは産業標準アーキテクチャー(ISA)バス、マイクロチャネル・アーキテクチャー(MCA)バス、機能強化ISA(EISA)バス、ビデオ・エレクトロニクス標準協会(VESA)バス、及びメザニン・バスとして知られているペリフェラル・コンポーネント・インターコネクツ(PCI)バスを含むことができる。
【0015】
1つの実施形態においては、CPU200、メモリー・コントローラー202、ROM204及びRAM206は共通のモジュール214に統合される。この実施形態においては、ROM204はフラッシュROMとして構成されており、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクツ(PCI)バス及びROMバス(図示せず)を介してメモリー・コントローラー202と接続される。RAM206は、個別のバス(図示せず)を介してメモリー・コントローラー202によって独立に制御される多重ダブル・データレート・シンクロナス・ダイナミックRAM(DDR SDRAM)モジュールとして構成される。ハードディスク・ドライブ208及び携帯型メディア・ドライブ106は、PCIバス及びATアッタチメント(ATA)バス216を介してメモリー・コントローラーと接続されるように図示されている。しかし、他の実施形態においては、異なるタイプの専用データ・バス構造を代わりに適用することができる。
【0016】
3次元グラフィックス処理装置(GPU)220及びビデオ・エンコーダー222は、高速・高解像度(例えば高品位)グラフィックス処理のためのビデオ・パイプラインを形成する。データはグラフィックス処理装置220からデジタル・ビデオ・バス(図示せず)を介してビデオ・エンコーダー222へ運ばれる。オーディオ処理装置224とオーディオ・コーデック(コーダー/デコーダー)226は、種々のオーディオ・フォーマットの多チャンネルオーディオ処理のための、対応するオーディオ処理パイプラインを形成する。オーディオ・データは通信リンク(図示せず)を介してオーディオ処理装置224とオーディオ・コーデック226との間で運ばれる。ビデオ・パイプライン及びオーディオ・パイプラインは、テレビジョン又は他の表示装置へ伝送するために、データをA/V(オーディオ/ビデオ)ポート228へ出力する。図の実施形態においては、ビデオ処理コンポーネント220及びオーディオ処理コンポーネント228はモジュール214上に設けられる。
【0017】
図2は、USBホスト・コントローラー230とネットワーク・インターフェース232とを備えるモジュール214を示している。USBホスト・コントローラー230はバス(例えばPCIバス)を介してCPU200及びメモリー・コントローラー202と通信し、ペリフェラル・コントローラー104(1)〜104(4)のためのホストとして機能する。ネットワーク・インターフェース232はネットワーク(例えばインターネット、ホーム・ネットワーク等)へのアクセスを提供するもので、イーサネット(登録商標)・カード、無線アクセス・カード、ブルーツース・モジュール、ケーブル・モデム等々を含む種々の有線及び無線インターフェース・コンポーネントのうちの任意のものであってよい。
【0018】
図2に示す実施形態においては、コンソール102は、4つのコントローラー104(1)〜104(4)をサポートするためのコントローラー・サポート・サブアセンブリー240を備える。コントローラー・サポート・サブアセンブリー240は、メディア及びゲーム・コントローラーのような外部装置との有線及び無線の動作をサポートするのに必要なハードウェア及びソフトウェアのコンポーネントを備える。前面パネルI/Oサブアセンブリー242は電源ボタン112や取り出しボタン114ばかりでなく、コンソール102の外面に露出しているLED(発光ダイオード)その他のインジケーターの種々の機構をサポートする。サブアセンブリー240、242は1つ又は複数のケーブル・サブアセンブリー244を介してモジュール214と通信する。他の実施形態においては、コンソール102は追加のコントローラー・サブアセンブリーを備えることができる。また、図示の実施形態は、モジュール214へ伝えられることができる信号を送受信するよう構成された光I/Oインターフェース235を示している。
【0019】
MU140(1)、140(2)はそれぞれ、MUポート“A”130(1)及びMUポート“B”130(2)と接続可能であるように図示されている。追加のMU140(例えば、MU140(3)〜140(6))はコントローラー104(1)及び104(3)と接続可能であるように、すなわち、各コントローラーに対して2個のMUが設けられるように図示されている。コントローラー104(2)、104(4)もMU(図示せず)を受け取るように構成される。それぞれのMU140は、ゲーム、ゲーム・パラメーター及び他のデータを格納する追加の記憶装置を提供する。実施形態によっては、他のデータは、デジタル・ゲーム・コンポーネント、実行可能なゲーム・アプリケーション、ゲーム・アプリケーションを拡張するための命令セット、メディア・ファイルのうちの任意のものを含むことができる。MU140は、コンソール102又はコントローラーへ挿入されると、メモリー・コントローラー202によってアクセスされることができる。
【0020】
システム電源モジュール250はゲーム・システム100のコンポーネントへ電力を供給する。ファン252はコンソール102内を冷却する。マシン命令を含むアプリケーション260はハードディスク・ドライブ208に格納される。コンソール102が電源供給されると、CPU200上で実行されるために、アプリケーション260の種々の部分がRAM206及び/又はキャッシュ210、212にロードされるが、アプリケーション260は一例である。CPU200での実行のために、種々のアプリケーションをハードディスク・ドライブ208に格納することができる。
【0021】
ゲーム及びメディア・システム100は、システムを表示装置150(図1)、テレビジョン、ビデオ・プロジェクター及び他の表示装置に単に接続することによりスタンドアロンのシステムとして動作することができる。このスタンドアロンのモードでは、ゲーム及びメディア・システム100により、映画を観たり音楽を聴いたりすることによって一人又は複数のプレイヤーがゲームをプレイし、デジタル・メディアを楽しむことができる。しかし、ネットワーク・インターフェース232によって利用可能にされたブロードバンド接続可能性を統合することにより、ゲーム・メディアシステム100は大規模なネットワーク・ゲーム・コミュニティの参加者として動作することができる。
【0022】
図3は、ゲーム・システム100のようなゲーム・システムにおいて実行されることができるゲーム環境300のブロック図である。ゲーム環境300内では、ユーザーは環境世界でプレイヤー・キャラクターを操作する。ゲーム環境300はプレイヤー・キャラクターや、他のキャラクター(例えば、対抗者や友人)及び(例えば、移動可能な、静止した)対象物を表示することができる。ゲーム環境300は、環境監視モジュール302及びアクション選択モジュール304と対話して、ユーザーからの入力306に基づいてゲーム環境300内でアクションを選択する。
【0023】
ユーザーからの入力306は、ゲーム環境300に設けられているジョイスティックの方向性の動きが付随する押しボタン式の簡単な「戦闘」ボタン(例えば、ボタン136のうちの1つ)のようなゲーム・コントローラー(例えばコントローラー104)の特定の動作を含むことができる。また、ゲーム・コントローラーの動作は、所望により、トリガー、ジョイスティック、傾斜感知、位置感知等を含むことができる。この場合には単一の戦闘ボタンであるゲーム・コントローラーの動作を用いて、プレイヤーの状況認識に基づいてゲーム環境300内で実施されるよう、特定のアクションが選択されることができる。また、方向性の動きは、攻撃すべき特定の対抗者や、攻撃を行うときに用いるべき特定の対象物を決定するのに用いられる。入力306が受信されると、環境監視モジュール302は対象物条件308及びキャラクター条件310にアクセスしてプレイヤー・キャラクターの状況認識を決定する。状況認識は、プレイヤーがゲーム環境300を移動するにつれて変化するステータスであってよい。現在の状況認識ステータスが与えられると、ユーザーにとって面白く且つ更なる入力から独立したアクションを選択することができる。こうして、ユーザーは、面白いアクションを表現するように複雑な入力を提供する必要がない。攻撃ボタンが押されるたびに、プレイヤーの状況認識が、決定された状況認識ステータスに基づいてアクションを選択するように決定される。
【0024】
対象物条件308は、環境内の対象物の位置と状態とに関係する。例えば、対象物は、武器、家具、壁、崖、車両、及び/又は、ゲーム・プレイ環境内で移動可能な及び静止した他の対象物を含むことができる。プレイヤーが武器を持っているならば、その武器は戦闘のためにプレイヤーによって使用されることができる。また、武器は特定の攻撃領域と関連付けられる。更に、家具がプレイヤーの近くにあるならば、その家具は、対抗者と交戦するためにプレイヤーによってアクションにおいて使用されることができる。また、対象物は対抗者へ向けて投げられ及び/又は蹴られる。キャラクター条件310はプレイヤー・キャラクターばかりでなく、対抗者や友人のような、環境内の他のキャラクターを参照する。また、キャラクター条件310はゲーム環境300内のそれぞれのキャラクターの条件を参照する。例えば、或る攻撃アクションは、対抗者が地面に横たわっているとき又は気絶しているときにのみ利用可能である。更に、プレイヤー・キャラクターは、その姿勢に依存して、右手又は左手でパンチを食らわせることができる。環境監視モジュール302は対象物条件308とキャラクター条件310とをアクション選択モジュール304へ送る。
【0025】
アクション選択モジュール304は、多数の異なるアクション312と、それぞれのアクションの前提条件314と、それぞれのアクションの優先順位316とにアクセスする。アクション312はゲーム環境300内で実行される結果となる多数のアクションであり得、その中には、対抗者を打つ、対抗者をつかむ、対抗者の攻撃をかわして反撃する、対抗者を打ち又は対抗者と組み合って対象物にぶつける又は対象物から離す、対抗者の方へ対象物を投げ又は蹴る、一層入念で劇的な動きのために対象物を武器として用いる、パンチ攻撃をする、蹴る、武器を用いる等々が含まれるが、これらに限定されない。また、アクションは、左手及び右手のパンチ、ジャンプキック、まわし蹴り等のバリエーションを含み得る。
【0026】
それぞれのアクション312は、その実行のための1つ又は複数の前提条件を含んでおり、それらは前提条件314に記される。アクション選択モジュール304は、対象物条件308及びキャラクター条件310に基づいてアクション312が有効であるか否かを決定する。対象物条件308及びキャラクター条件310が1つ又は複数のアクションに対する前提条件に合致すると、こうしたアクションが有効なアクションとして留意される。前提条件は、環境監視モジュール302によって決定された、対象物条件とキャラクター条件とに対応する。例えば、対抗者が近接領域にいるならば(キャラクター条件)、ゲーム・コントローラーの動作の受け取り時にパンチが実行される。対抗者が遠くにいて近接領域の外にいるならば、対抗者が近接領域にいるというパンチ・アクションの前提条件が満たされないので、対抗者はキック領域内におり、ゲーム・コントローラーの動作の受け取り時に蹴りのアクションが用いられる。また、対抗者が対象物の近接領域内にいるならば、プレイヤーはその対象物を武器として用いて対抗者を攻撃してもよい。また、前提条件は組み合わせ攻撃を生成するのにも用いることができ、その場合、入力動作は短い間隔で与えられる。こうした組み合わせ攻撃は、ブロックした後のパンチ、パンチの後にプレイヤーが対抗者に膝蹴りを送る、ブロックの後にプレイヤーが対抗者を壁に投げつける、及び/又は、パンチと蹴りの組み合わせを含むことができる。
【0027】
優先順位316は、それぞれのアクション312に対して種々の異なる方法で優先度を割り当てる。例えば、優先順位316はゲーム・タイトルのゲーム開発者によって予め設定され、またはユーザーによって選択されることができる。優先順位は任意の数のユニークな値、例えば2(即ち、高、低)、3(即ち、低、中、高)、5、10その他の所望の数を含み得る。状況認識ステータスが与えられ且つアクション選択モジュール304により決定された有効なアクションは、ゲーム環境300における選択のために分析される優先順位を有する。1つの実施形態においては、入念で劇的なアクションほど高い優先度を受け取り、あまり劇的ではない他のアクションに優先して選択される。例えば、対象物条件308とキャラクター条件310とに基づいて、単純なパンチ・アクションと家具を投げるアクションとが前提条件を満たす場合、家具を投げるアクションの方がパンチ・アクションよりも高い優先順位を与えられているならば、家具を投げるアクションが選択される。更に、アクションに対する優先順位は、選択されたアクションに変化を与えるように、ランダムに選択されても、アクションが用いられるたびに連続的に変更されてもよい。例えば、プレイヤーは左手のパンチを連続的に繰り出した後、右手のパンチを食らわすことができる。アクション312と前提条件314と優先順位316とに基づいて、アクション選択モジュール304は、ゲーム環境300内で実行されるべく選択されたアクション318を出力する。
【0028】
図4は、ゲーム環境内でアクションを実行するための方法400のフロー図である。この方法は、ユーザーがゲーム・コントローラーの動作を与えるとき、例えば、戦闘ボタンを押したとき、プレイヤーの状況認識が与えられてアクション(例えば、第1アクション、第2アクション、第3アクション)を選択して実行するように、所望により複数回反復されることができる。プレイヤーの状況認識に基づいて、同一のアクションが、異なるアクションを生成することができる。方法400はステップ402で開始し、動作を表すプレイヤー入力(即ち、戦闘ボタン)が受け取られる。再び、戦闘ボタンは、ユーザーからの複雑な入力を必要としないように単一のボタンであり得る。また、戦闘ボタンは方向性の動き及び/又は他のボタンを伴ってもよい。1つの実施形態においては、アクションの選択は、ユーザーによって与えられる任意の他の入力から独立している。別の実施形態においては、戦闘ボタンを伴う方向性の動きは、攻撃対象となる特定の対抗者を決定するための手引きとして用いられることができる。
【0029】
ステップ404において、プレイヤー・キャラクターのための位置と状態を含むプレイヤー・キャラクター条件がアクセスされる。例えば、条件は、プレイヤーが他の対象物及びキャラクターに対してどこにいるか、プレイヤーは特定の武器を保持しているか、プレイヤーはどの方向に面しているか等に関係する。次いで、ステップ406において、対抗者の位置と状態を含む対抗者キャラクター条件がアクセスされる。例えば、対抗者は、特定の領域内にいる、地面に横たわっている、気絶している、プレイヤーを攻撃している等であり得る。ステップ408において、ゲーム環境内の対象物の位置と状態を含む対象物条件がアクセスされる。例えば、これらの条件は、他のキャラクター及び/又は対象物に対する対象物の関係、対象物は静止しているか動いているか、対象物の大きさ、対象物が武器である場合の攻撃範囲等を含むことができる。ステップ404、406、408は、適切なアクションが選択されるように、プレイヤーのための状況認識ステータスを提供する。
【0030】
次いで、410において、決定された条件がアクションの前提条件を満たすかどうかに基づいて、有効なアクションが決定される。有効なアクションは、プレイヤー条件、対抗者条件及び対象物条件がアクションに対する前提条件を満たすかどうかに基づいて決定されるリストに記録される。例えば、特定の対象物がアクションの範囲内にない場合、当該アクションに対する前提条件は満たされない。ステップ412において、優先順位に基づいて、そのゲームにおいて実行される最終アクションが選択される。例えば、対抗者は、プレイヤーが対抗者にパンチを加え、又は対抗者を掴まえて対象物から離れるように投げることのできる範囲内にいる。対抗者を対象物から離れるように投げるための優先順位が高いので、そのアクションがパンチ・アクションよりも優先して選択される。次いで、方法400は、ユーザーによって与えられる同一の動作に基づいて、ゲーム環境内でその後のアクションを反復する。
【0031】
図5〜図9は、戦闘アクションを行うための例示の環境を提供する。単なる例であるが、こうした環境で行うアクションは、パンチ、キック、攻撃のために武器を使用する、対抗者の顔面に対象物をぶつける、対抗者を対象物へ投げ込む、対抗者を対象物に蹴り込むという6個のアクションを含む。例えば、対象物を投げる、反撃する等の、更に多くの又は少ないアクションを提供することができる。こうしたアクションのそれぞれは、例えば単一のボタンの押し下げ等の、ゲーム・コントローラーの動作によって実行されるが、プレイヤーの状況認識に依存して各アクションに対して同一のボタンが用いられる。動作の実行の際に、環境における対象物条件及びキャラクター条件に基づいて、状況認識が決定される。
【0032】
例示のアクションと、それらの各前提条件及び優先順位が下記の表に与えられている。
【0033】
【表1】

【0034】
理解されるとおり、環境300内において、更に多くの又は少ないアクション、条件及び優先順位を利用することができる。図5〜図9においては、環境監視モジュール302を用いて条件を決定することができ、アクション選択モジュール304は、条件と優先順位とに基づいてアクションを選択するように当該テーブルを使用することができる。また、図5〜図9は、プレイヤー、対抗者、他のキャラクター及び/又は対象物の特性に基づいて調整し得る、プレイヤーの領域を含むことができる。例えば、プレイヤーが武器を保持しているならば、その武器を用いるプレイヤーのための攻撃領域は、武器を持っていないときのプレイヤーの攻撃領域よりも大きい。
【0035】
図5は、プレイヤーが対抗者504と交戦している場合の環境500の図である。環境500はプレイヤー502の第1領域506と第2領域508を含む。この環境において、選択されるアクションは、プレイヤー・キャラクター502と対抗者504との距離によって測定される攻撃領域(即ち、特定の領域)に基づいている。環境500においては、対抗者504は第1領域506内にいる。この場合、プレイヤーは対抗者504に十分に近いので、攻撃ボタンが押されるとパンチ・アクション(アクション1)が実行される。その結果、パンチが選択され、環境内で実行される。他のアクション2〜6が選択されないのは、それらの前提条件が満たされないからである。アクション4及び5は合致する1つの前提条件(即ち、対抗者が第1領域にいる)を有するが、その他の前提条件が満たされないので、有効なアクションを形成しない。
【0036】
図6において、プレイヤー602が環境500よりも対抗者604から離れている環境600が図示されている。環境600はプレイヤー602の第1領域606と第2領域608を含む。この状況においては、対抗者604は第2領域608内にいる。更に遠ざかると、対抗者602は、戦闘ボタンの押し下げ時に、環境500において実行されるパンチよりも、対抗者604を蹴ろうとする。これは、(第1領域606内にいるという)パンチ・アクションの前提条件が満たされないからである。表1を参照すると、アクション2、3及び6は対抗者が第2領域にいることを必要とする。しかし、アクション3及び6は合致しない他の前提条件を有するので、アクション2が選択される。
【0037】
図7は、プレイヤー702と対抗者704を示す環境700を図示している。環境700もプレイヤー702の第1領域706と第2領域708を含む。この状況においては、プレイヤー702は武器を保持しており、これは対象物条件である。アクション2(キック)とアクション3(武器の使用)とは、合致する前提条件を有しており、対象物条件及びキャラクター条件に基づいて有効なアクション・リストを形成する。しかし、アクション3は高い優先順位を有するので、そのアクションが、低い優先順位を持つキック・アクションよりも優先して実行されるように選択される。また、武器のための領域710は聞く領域よりも大きいので、第2領域708は図6の第2領域608よりも大きいことに留意することも価値がある。
【0038】
図8は、プレイヤー802が対抗者804と交戦している環境800を示している。第1領域806と第2領域808も環境800内に設けられる。更に、対象物810もプレイヤー802の第1領域806内に設けられる。対象物条件は、1)対象物が第1領域にあること、及び2)対象物の高さが小さいことを含む。キャラクター条件は対抗者が第1領域にいることを含む。コマンド・ボタンを押すと、プレイヤー802が対抗者804にパンチを加えるのではなく、プレイヤー802は対象物810を用いて一層劇的な動きを提供することができる。アクション1及び4は、合致する前提条件を有する。アクション4が選択される。これは、その優先順位が高く、アクション1の優先順位は低いからである。こうして、ユーザーがゲーム・コントローラーを動作させると、プレイヤー802は対抗者の顔面を対象物810にぶつける。
【0039】
図9は、プレイヤー902と対抗者904を含む環境900である。環境900はプレイヤー902の第1領域904と第2領域906を含む。更に、対象物910が第1領域906内に設けられる。対象物910の高さは大きい。表1を参照すると、アクション1及び5は、合致する前提条件を有する。しかし、アクション5は高い優先順位を持ち、アクションとして選択される。こうして、プレイヤー902は、ユーザーからの攻撃ボタンの作動時に、対象者904を対象物910に投げ込む。
【0040】
これまで、構造上の特徴及び/又は方法論的動作に特有の言語で主題を説明してきたが、理解されるように、添付の請求項で定義される主題は、上で記述された特定の特徴及び動作に必ず限定される訳ではない。むしろ、上で記述した特定の特徴及び動作は、請求項を実施するための形態の例として開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム環境を動作させる方法であって、
ゲーム・コントローラーの動作を示す第1の入力をユーザーから受け取るステップと、
前記ゲーム環境における少なくとも1つのプレイヤー条件と、少なくとも1つの対抗者条件と、少なくとも1つの対象物条件とを含む、プレイヤーの第1の状況認識ステータスにアクセスするステップと、
前記動作と前記第1の状況認識とに基づいて、前記ゲーム環境において実行するために複数のアクションの中から第1のアクションを選択するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のアクションが、前記複数のアクションのそれぞれに対する優先順位に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の状況認識ステータスに基づいて、前記複数のアクションから有効なアクションのリストを決定するステップと、
有効なアクションの前記リストとそれぞれの有効なアクションの優先順位とに基づいて、前記第1のアクションを選択するステップと
を更に備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のアクションが、前記ゲーム環境において前記プレイヤーが対抗者を攻撃することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のアクションが、前記ゲーム環境において対象物を用いて対抗者を攻撃することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のアクションの選択後に、前記ゲーム・コントローラーの動作を示す第2の入力をユーザーから受け取るステップと、
前記第1の状況認識ステータスとは異なる、前記プレイヤーの第2の状況認識ステータスにアクセスするステップと、
前記動作と前記第2の状況認識ステータスとに基づいて、前記第1のアクションとは異なる第2のアクションを選択するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲーム・コントローラーの動作が単一のボタンを押すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンピューター上で実行されるとき、前記コンピュータに、ユーザーとの対話インターフェースを動作させるための命令を有するコンピューター読み取り可能媒体であって、
前記命令が、
ゲーム・コントローラー上の動作を示す第1の入力をユーザーから受け取るようになされ、プレイヤーと少なくとも1つの対象物と少なくとも1つの対抗者とを含むゲームのコンテンツを表示するゲーム環境と、
前記第1の入力を受け取ると、前記ゲーム環境内の前記少なくとも1つの対象物のそのときの対象物条件と、前記プレイヤーと前記少なくとも1つの対抗者とのそのときのキャラクター条件とを監視するようになされた環境監視モジュールと、
前記対象物条件と前記キャラクター条件とに基づいて、前記ゲーム環境に対する複数のアクションの中から第1のアクションを選択するようになされたアクション選択モジュールと、
を含む、コンピューター読み取り可能媒体。
【請求項9】
前記アクション選択モジュールが、前記複数のアクションのそれぞれに対する前提条件にアクセスして、前記対象物条件と前記キャラクター条件とに基づいて有効なアクションを決定するように更になされる、請求項8に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項10】
前記アクション選択モジュールが、前記複数のアクションのそれぞれに対する優先順位にアクセスして、それぞれの有効なアクションに対する優先順位に基づいて、前記有効なアクションから前記有効なアクションを選択するように更になされる、請求項9に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項11】
前記アクションが、前記ゲーム環境において前記プレイヤーが前記少なくとも1つの対抗者を攻撃することを含む、請求項8に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項12】
前記対象物条件が、前記少なくとも1つの対象物の位置を含み、前記キャラクター条件が、前記少なくとも1つの対抗者の位置を含む、請求項8に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項13】
前記ゲーム環境が、前記アクション選択モジュールが前記アクションを選択した後に、前記ゲーム・コントローラーの動作を示す第2の入力をユーザーから受け取るようになされ、
前記アクション選択モジュールが、前記第2の入力が受け取られると、前記環境監視モジュールによって決定された、そのときの対象物条件とそのときのキャラクター条件とに基づいて、前記第1のアクションとは異なる第2のアクションを選択する、
請求項8に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項14】
前記動作が、前記ゲーム・コントローラー上で単一のボタンが押されることである、請求項13に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
【請求項15】
ゲーム環境において戦闘アクションを実行するための方法であって、
プレイヤーと対抗者と対象物とを前記ゲーム環境において特定するステップと、
前記プレイヤーによる前記対抗者に対する攻撃を示すユーザー入力を受け取るステップと、
前記プレイヤーと前記対抗者と前記対象物との位置を決定するステップと、
前記プレイヤーと前記対抗者と前記対象物との位置に基づいて、複数の攻撃アクションの中から、前記プレイヤーによって前記対抗者に対して実行される戦闘攻撃アクションを選択するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記戦闘攻撃アクションが、前記プレイヤーが前記対象物を武器として用いて前記対抗者を攻撃することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記戦闘攻撃アクションが、前記対抗者を前記対象物に向けて投げることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記プレイヤーによる第2の攻撃を示しており、前記攻撃を開始するのと同じユーザー入力を受け取るステップと、
前記複数の戦闘攻撃アクションの中から前記ユーザーによって実行される第2の戦闘攻撃アクションを選択するステップと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザー入力が単一のボタンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対抗者の状態を決定するステップと、
前記対抗者の状態に基づいて前記戦闘攻撃アクションを選択するステップと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−530285(P2010−530285A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513335(P2010−513335)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066532
【国際公開番号】WO2009/002706
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】