説明

獣の捕獲方法及びそれに使用する括り罠用仕掛け補助器具

【課題】獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪の径を小さく設定する場合も、捕獲可能な範囲をより広くできるようにすることにより、括り罠による捕獲対象獣の捕獲率を低下させないようにする。
【解決手段】括り罠用仕掛け補助器具は、落とし穴部(6)と、落とし穴部(6)へ通じており罠の作動時に括りワイヤを通すことができる貫通切欠部(5)を備え、落とし穴部(6)の上側には落とし穴部(6)につながり上部側が拡がった傾斜誘導板(2)が設けられている。落とし穴部(6)の近傍には落とし穴部(6)を囲むようにして配された括り輪設定板(3)が設けられている。括り輪設定板(3)は落とし穴部(6)の内方へ向け上り傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣の捕獲方法及びそれに使用する括り罠用仕掛け補助器具に関するものである。更に詳しくは、獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪を小さく設定しても、捕獲可能な範囲をより広くできるようにして、括り罠による捕獲対象獣の捕獲率を低下させないようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
イノシシやニホンジカなどの捕獲対象獣を捕獲するために、括り罠が使用されている。このような括り罠は、本来、イノシシやニホンジカなどを捕獲する目的で仕掛けたものでも、捕獲が禁止されているヒグマ、ツキノワグマが罠を作動させてしまい、罠にかかったり損傷を与えてしまう、いわゆる錯誤捕獲が起こることがある。
この錯誤捕獲を防止するために、ヒグマやツキノワグマの足が括り輪に入らないように、括りワイヤの括り輪の径を小さくすることが考えられる。しかし、この場合も、むやみに径を小さくしても足を括ること自体ができなくなるので、括り輪の径を、錯誤捕獲を防止できると共に捕獲に好適な形や径に設定する必要がある。
【0003】
括り罠の括りワイヤの括り輪形状を所定の形状に設定することができる補助器具としては、本願発明者が提案した特許文献1記載のものがある。
特許文献1の「括り罠用空作動防止器具」は、一対の空作動防止体を備えている。空作動防止体には、括り輪を離脱できるようにして嵌め入れるための嵌入部が設けられており、両空作動防止体の間隔は調節可能である。また、括り輪を嵌入部に嵌め入れることにより輪の形状を所定の形状に自動的に設定できる。空作動防止体は、仕掛け時の括り輪の内側または外側に配置されるようになっており、捕獲獣の足が括り輪を踏んだときには、その荷重を受けることにより括り罠を作動させないようにする。
なお、この括り罠用空作動防止器具においては、空作動防止体の下面側に嵌入部を設けたタイプも開示している(特許文献1の図8、図9参照)。
【0004】
【特許文献1】特願2003−363802
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の「括り罠用空作動防止器具」は、括り罠の空作動を防止して、結果的に捕獲率を向上させるという、この発明の目的は達成できる。
この器具を使用し、括り輪の直径をさらに小さく設定できるように嵌入部を形成して括り罠を仕掛けると、括り輪が小さいため一定以上の大きな足は入らないので、例えばイノシシを捕獲するつもりで仕掛けた罠にツキノワグマがかかってしまうというような、いわゆる錯誤捕獲を防止することは可能である。しかしながら、括り輪が小さくなった分だけイノシシなどの足が入る確率が下がり、捕獲率が低下することは容易に想像できる。
【0006】
また、前記したように、前記器具には空作動防止体の下面側に嵌入部を設けたタイプもあり、これによればワイヤが踏まれた状態で罠が作動することがなく、結果的に足を括れずに空作動になってしまうことを防止できる利点がある。しかし、嵌入部の上面が水平になっているので、罠作動時に括り輪が斜め上方向へ引っ張られて瞬時に移動するときに、括り輪が上面に当たって強い抵抗になり、スムーズに移動できずに、捕獲対象獣の足を括るタイミングが遅れてしまう可能性がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪を小さく設定したときに、捕獲対象獣の捕獲可能な範囲をより広くできるようにすることにより、括り罠による捕獲対象獣の捕獲率を低下させないようにすることである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記に加えて、括り罠が作動し、ワイヤの括り輪が斜め上方向へ引っ張られて瞬時に移動するときに、従来のように括り輪が上面に当たることにより強い抵抗が生じて移動を阻害するようなことがなく、捕獲対象獣の足を括るタイミングが遅れてしまうのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、設置された括り罠用仕掛け補助器具に設けられた落とし穴部につながる傾斜誘導部に入った獣の足を、落とし穴部を囲むように配されている括り輪側へ滑らせて誘導し、踏板を踏ませて括り罠を作動させ、括り輪で足を括って捕獲する、獣の捕獲方法である。
【0010】
本発明は、
括り罠を仕掛けるときに使用する補助器具であって、
落とし穴部と、
側方から該落とし穴部へ通じており、罠の作動時に作動部を通すことができる貫通切欠部と、
を備えており、
前記落とし穴部の上側には、落とし穴部につながり上部側が拡がった傾斜誘導部が設けられ、
前記落とし穴部の近傍に落とし穴部を囲むようにして配され、罠の作動時には括り輪の離脱が可能な括り輪設定部が設けられている、
括り罠用仕掛け補助器具である。
【0011】
本発明の括り罠用仕掛け補助器具は、貫通切欠部に、土止めのために貫通切欠部の一部を塞いで土止め部が設けられているのがより好ましい。
【0012】
本発明の括り罠用仕掛け補助器具は、括り輪設定部が、括り罠の括りワイヤの括り輪を合わせることにより所定の大きさまたは形状に設定できる手段を有するものも好適に採用できる。
【0013】
本発明の括り罠用仕掛け補助器具は、落とし穴部が、括り輪設定部より上側に位置すると共に括り輪設定部と同じ径か、または括り輪設定部より径小になるように形成されており、括り輪設定部が落とし穴部の内方へ向け上り傾斜しているものも好適に採用できる。
【0014】
本発明の括り罠用仕掛け補助器具は、落とし穴部が、括り輪設定部より上側に位置すると共に括り輪設定部と同じ径か、または括り輪設定部より径小になるように形成されており、括り輪設定部は落とし穴部の内方へ向けて開口し、括り輪を嵌め入れ可能な溝であるものも好適に採用できる。
【0015】
括り罠用仕掛け補助器具は、全体を一体ものとした構造でもよいし、複数のパーツで構成し、各パーツの分離と接合が可能な構造、あるいは蝶番などを使用して接合し、折り畳みが可能な構造としてもよい。このような構造とすることにより、運搬時や保管時に補助器具をコンパクトにすることができる。
【0016】
傾斜誘導部を構成する斜面は、上下方向において表面の縦断面線が直線状であってもよいし、上へ膨らむか下へ凹むように湾曲した曲線または折れ線であってもよい。
また、傾斜誘導部と、括り輪設定部の角度は特に限定するものではなく、適宜設定することができる。
【0017】
落とし穴部の平面視形状は特に限定しないが、最大径に制限を設ければ口面積が最大になる円形の他、楕円形、多角形状などである。
また、貫通切欠部の形状は特に限定するものではないが、例えば括り罠が跳上げ式である場合は、跳上げアームが跳ね上がるときに、括りワイヤの括り輪が、例えば補助器具の下側から上側へ通り抜けることができる幅や形状を有している。
【0018】
括り輪設定部の形態(構造)は、括り罠のワイヤの括り輪を当接させるなどして合わせて所定の大きさまたは形状に設定する基準となるものであれば特に限定しないが、例えば落とし穴部を円形状に囲む傾斜面、同じく円形状に囲む嵌入溝、括り輪を当接させたり掛けて円形状になるようにする複数の爪や掛合部などである。括り輪設定部で設定できる括り輪の直径は特に限定しないが、例えば12cmである。
【0019】
括り罠用仕掛け補助器具の外形は、平面視で四角形などの各種多角形状、円形状、楕円形状、特に規則性のない異形状などであり、限定はされない。
また、括り罠用仕掛け補助器具をつくる材料は特に限定するものではないが、例えば鉄やアルミニウムなどの金属、合成樹脂、木(各種自然木の他、合板や集成板あるいは木チップを固めたような加工材料なども含む)などである。
【0020】
(作用)
本発明の括り罠用仕掛け補助器具(この作用の説明の項では、便宜上、仕掛け補助器具という)の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0021】
仕掛け補助器具は、獣道に括り罠を仕掛けるときに、括り罠のトリガー具に係止された踏板の上部または上方に配される。
括り罠が有しているワイヤの括り輪を仕掛け補助器具の括り輪設定部(3)に設定する。括り輪設定部(3)は、括り輪を所定の大きさまたは形状(例えば、直径12cmのほぼ円形状)に設定する基準となるものであり、例えば落とし穴部(6)を円形状に囲む傾斜面に括り輪を当接させるなどして合わせるようにすれば、括り輪の大きさまたは形状は、あらかじめ括り輪設定部(3)で決められている大きさまたは形状に設定される。
【0022】
落とし穴部(6)の上側には、落とし穴部(6)につながり上部側が拡がった傾斜誘導部(2)が設けられているので、例えば捕獲対象獣の足が、落とし穴部(6)より拡がった傾斜誘導部(2)に入ると、足は傾斜面で滑り、落とし穴部(6)へ誘導されるようにして落ちる。
これによって、落とし穴部(6)の下方にある踏板が踏まれ、括り罠が作動し、捕獲対象獣の足がワイヤの括り輪によって括られ、捕獲対象獣は捕獲される。
【0023】
このように、仕掛け補助器具によれば、捕獲対象獣の足が必ずしも落とし穴部(6)に直接入らなくても、少なくとも、落とし穴部(6)より拡がった傾斜誘導部(2)に入れば足を括ることが可能になるので、獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪を直径12cm以下に設定しても、捕獲可能な範囲をより広くできる。
【0024】
また、獣道は、イノシシなどの捕獲対象獣だけではなく、例えばツキノワグマなどの対象外の獣も通るので、仕掛け補助器具の傾斜誘導部には、これらの前足や後足が入る場合がある。しかし、例えばツキノワグマの場合では、足の掌部が大きいために直径12cm程度の落とし穴部(6)には入らないので、落とし穴部(6)下方の踏板が踏まれることはなく、したがって括り罠も作動しない。また、仮に足の掌部で押された傾斜誘導部内のカムフラージュ用の土が下方へ落ち、踏板を落とした場合も、足が深く落ちないうちに括り罠が作動するので、結果的にほとんど足を括ることはできない。
このように、仕掛け補助器具は、錯誤捕獲を防止するための機能性についても何ら問題はない。なお、例えばツキノワグマの子供や、その他の捕獲対象外の小獣の足が落とし穴部に入ることもあるが、この点については括り罠の踏板の作動感度を調節して対応することができる。
【0025】
貫通切欠部(5d)に、土止めのために貫通切欠部の一部を塞いで土止め部(66)が設けられている仕掛け補助器具は、地面に掘った仕掛け用の穴(8)に仕掛け補助器具を設置する際に、土止め部(66)によって、貫通切欠部(5d)から穴に土が入り込むことを防止できる。これにより、穴(8)の底に土がたまって、穴が浅くなってしまう不都合も起こらず、穴(8)の底の土を掻き出す手間もかからないので、より迅速に罠を仕掛けることができる。
【0026】
落とし穴部(6)が、括り輪設定部(3)より上側に位置すると共に括り輪設定部(3)と同じ径か、または括り輪設定部(3)より径小になるように形成されており、括り輪設定部(3)が落とし穴部(6)の内方へ向け上り傾斜している仕掛け補助器具は、まず、括り輪設定部(3)すなわちそこに収まるワイヤの括り輪が、上方から見て、落とし穴部(6)の縁部で隠れることになる。つまり、捕獲対象獣の足で踏まれたり、足の爪が引っ掛かったりすることがなく、これらに起因する罠の空作動も防止することができる。
【0027】
また、括り輪設定部(3)が前記のように傾斜するよう形成されているので、罠が作動してワイヤの括り輪が捕獲対象獣の足を括りながら斜め上方向に瞬時に動くときに、括り輪が括り輪設定部(3)を擦る力を括り輪設定部(3)の傾斜によって逃がすことができる。したがって、括り輪が括り輪設定部(3)から離脱するときの抵抗を軽減することができる。
【0028】
落とし穴部(6)の内部に着脱可能で、上から所要の荷重がかかると落とし穴部(6)から下方へ抜け外れるワイヤ止め具(61)を有し、該ワイヤ止め具(61)は装着位置でワイヤの括り輪(710)を設定部に固定する手段(613)を備えている仕掛け補助器具は、ワイヤの括り輪(710)が設定部から外れたり、括り輪(710)の形が歪になったりすることを防止できるので、罠が作動したときの前記理由による捕獲率の低下を未然に防止できる。また、ワイヤ止め具(61)の上から所要の荷重がかかってワイヤ止め具(61)が落とし穴部(6)から下方へ抜け外れると、罠の踏板を押し下げて罠を作動させる。
【発明の効果】
【0029】
(a)本発明は、獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪の径を小さく(例えば直径12cm)して設定したときに、上部側が拡がった傾斜誘導部によって捕獲可能な範囲をより広くすることにより、括り罠による捕獲対象獣の捕獲率を低下させないようにすることができる。
【0030】
(b)括り輪設定部が落とし穴部の内方へ向け上り傾斜しているものは、括り罠が作動してワイヤの括り輪が斜め上方向へ引っ張られて瞬時に移動するときに、従来のように括り輪が上面に当たることにより強い抵抗が生じて移動を阻害するようなことがなく、捕獲対象獣の足を括るタイミングが遅れてしまうのを防止することができる。
【0031】
(c)貫通切欠部に、土止めのために貫通切欠部の一部を塞いで土止め部が設けられているものは、地面に掘った仕掛け用の穴に仕掛け補助器具を設置する際に、土止め部によって、貫通切欠部から穴に土が入り込むことを防止できる。これにより、穴の底に土がたまって、穴が浅くなってしまう不都合も起こらず、土を掻き出す手間もかからないので、より迅速に罠を仕掛けることができる。
【0032】
(d)落とし穴部の内部に着脱可能で、上から所要の荷重がかかると落とし穴部から下方へ抜け外れるワイヤ止め具を有し、ワイヤ止め具は装着位置でワイヤの括り輪を設定部に固定する手段を備えているものは、ワイヤの括り輪が設定部から外れたり、括り輪の形が歪になったりすることを防止できるので、罠が作動したときの前記理由による捕獲率の低下を未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
図1は括り罠用仕掛け補助器具の第1実施形態の斜視図、
図2は図1に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図、
図3は図1に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図である。
【0034】
括り罠用仕掛け補助器具A1は、括り罠を仕掛けるときに使用する補助器具である。括り罠用仕掛け補助器具A1は、アルミニウム製の板で形成され、プレス成形と溶接を組み合わせてつくられている。
【0035】
括り罠用仕掛け補助器具A1は、外縁部の形状がほぼ正方形状である上面板1を有している。上面板1の四隅部は、取り扱い時の安全を図るため円弧状に形成されている。上面板1の四隅部近傍には、それぞれ固定用の杭を差し込むための差込孔10が設けられている。また、上面板1の外縁部の四辺のうち一辺の中央部は、貫通切欠部5を形成するために、後で説明する傾斜誘導板2、括り輪設定板3及び崩れ防止板4と共に切り欠かれている。
【0036】
貫通切欠部5を形成する両側部(傾斜誘導板2、括り輪設定板3及び崩れ防止板4の周方向の両側端部)には、それぞれ縦板50が垂直に、かつ互いに平行になるように設けられている。なお、貫通切欠部5の幅(両縦板50の間隔)は、罠作動後に括り罠用仕掛け補助器具A1が捕獲対象獣の足からより確実に抜け外れることができるように、足が通り抜けることができる幅に設定することもできる。
【0037】
上面板1の中央には、上面板1と所定の角度で傾斜し、下方へ向け円形に窄まるように形成された傾斜誘導板2が設けられている。傾斜誘導板2の上下の端縁部は、平面視でほぼ円形(貫通切欠部5の部分を除く)であり、下端縁部が落とし穴部6を形成している(なお、各図において円(円弧)を表した部分が一部折れ線状に表された部分があるが、これはソフトウェアの仕様であり、実際形状がそうであるわけではない)。
【0038】
使用落とし穴部6の内径は、括り輪設定板3の下に直径12cmに設定される括り罠の括り輪710が上方から見て隠れるように、12cmよりやや径小に形成されている。なお、傾斜誘導板2の傾斜角度は、本実施形態では上面板1に対し45°であるが、これに限定するものではなく、適宜設定できる。
【0039】
傾斜誘導板2の下端縁部で形成された落とし穴部6の下側には、傾斜誘導板2と連続して括り輪設定板3が設けられている。括り輪設定板3は、上端縁部が傾斜誘導板2の下端縁部(すなわち落とし穴部6)と同じ内径を有しており、下方へ向け円形に拡がるように形成され、下端縁部はほぼ円形(貫通切欠部5の部分を除く)となっている。
【0040】
括り輪設定板3の直径線方向の幅は、括り輪710のワイヤが収まることができる幅に設定されている(図2参照)。括り輪設定板3は、括り輪710を12cmの直径に設定する基準となるものであり、括り輪710のワイヤが、図2に示すように括り輪設定板3の下側に幅方向のほぼ中央に収まると、その直径(外径)が12cmとなる。
【0041】
なお、括り輪設定板3の傾斜角度、すなわち落とし穴部6の中心(すなわち内方)に向かって上り傾斜する角度は、本実施形態では上面板1に対し40°であるが、これに限定するものではなく、適宜設定できる。また、括り輪設定板3は、全部の場所で同じ角度に設定してもよいし、例えば貫通切欠部5に近い側を高角度にしてワイヤが通りやすいようにするなど、場所によって角度を変えてもよい。
【0042】
さらに、括り輪設定板3の下端縁部には、上下にやや短いほぼ円筒形(貫通切欠部5の部分を除く)の崩れ防止板4が、括り輪設定板3と連続して設けられている。崩れ防止板4は、括り罠を仕掛けるときに掘られる仕掛け用の穴8に嵌め入れることによって、穴8の内壁が崩れるのを防止できるものである。また、崩れ防止板4は、括り罠用仕掛け補助器具A1の全体の強度を確保するための補強材としての機能を併せ持つものである。
【0043】
なお、前記上面板1、傾斜誘導板2、括り輪設定板3及び崩れ防止板4の平面視(または底面視)の形状は、貫通切欠部5の部分を除きほぼ円形であると説明したが、具体的には、前記各板のうち、貫通切欠部5へ向かう貫通切欠部5近傍の面は、図3(a)、(b)で示されているように、円形である場合よりも縦板50に対してより緩やかな角度で当たるように形成されている。
【0044】
(作用)
図4は図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠の分解斜視説明図、
図5は図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の一部断面説明図、
図6は図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の要部平面説明図である。
図1ないし図6を参照して括り罠用仕掛け補助器具A1の作用を説明する。
【0045】
仕掛け補助器具A1は、獣道に括り罠7を仕掛けるときに、括り罠7のトリガー具73に係止された踏板72の上方に配される。
ここで、跳上げ式の括り罠7の構造を簡単に説明する。括り罠7は、基アーム75と跳上げアーム70を有し、両アームはバネ76の付勢力で拡がる構造である。74は固定用の杭である。基アーム75の先端にはトリガー具73が設けられ、トリガー具73には、金属板で形成されたほぼ円形の踏板72が取り付けられている。
【0046】
踏板72の基部側には、周方向へ所要の間隔で爪板720、721、722が立設されている。爪板720、721、722には、括りワイヤ71の括り輪710が掛けられる。括り輪710は、締め金具711を中央の爪板720に内掛けをし、さらにその両側のワイヤを爪板721、722に外掛けすることにより、ほぼ円形に形成される(図4、図6参照)。この括り罠7は、踏板72が捕獲対象獣の足で踏まれると、トリガー具73が外れて跳上げアーム70が跳ね上がり、括りワイヤ71の括り輪710が絞られて足が括られる。
【0047】
図5に示すように、括り罠7を仕掛けるときは、括り罠7は獣道に掘られた穴8の側に杭74で固定されている。また、踏板72は穴8の上部側に位置させてあり、括り輪710は踏板72の上方に置かれている。括り輪710は、前記のように爪板720、721、722にセットすることにより、おおよそ直径12cmの円形になるように調節しておく。なお、括り輪710は、図示は省略しているが、穴8の上部開口部近傍に盛ってある土や草、枯れ葉などの上に載せられている。
【0048】
そして、仕掛け補助器具A1は、括り輪710に括り輪設定板3を被せるようにして載置する。このとき、括りワイヤ71の締め金具711が貫通切欠部5内に位置するように調節する(図6参照)。これによると、括り輪710が括り輪設定板3の下面に接することにより、括り輪710の形が整えられて、獣の錯誤捕獲を防止することができる直径12cmの円形になる。また、括り輪710が落とし穴部6の縁部に隠れているので、捕獲対象獣の足が落ちたときも、足が括り輪710を踏むことがない。
【0049】
なお、場合によっては、穴8の上部開口部が崩れにくいように、崩れ防止板4を穴8の上部開口部に嵌め入れることもできる。そして、上面板1の高さを地面の高さに合わせ、杭9を差込孔10に差し込んで地面に打ち込み、最後に、仕掛け補助器具A1が見えにくいように、草や枯れ葉などでカムフラージュする。
【0050】
前記仕掛けの完了後、イノシシなどの捕獲対象獣が獣道を移動してきて、足が落とし穴部6より拡がった傾斜誘導板2の範囲に入ると、足は斜面を滑るようにして落ちて落とし穴部6へ誘導され、落とし穴部6に入る。なお、前記したように、括り輪設定板3でその下側に形成される括り輪設定部に収まる括り輪710が、上方から見て、落とし穴部6の縁部で隠れることになるので、仕掛けたときの括り輪710が捕獲対象獣の足で踏まれたり、括り輪710に足の爪が引っ掛かったりすることがなく、これらに起因する罠の空作動も防止することができる。
【0051】
これによって、落とし穴部6の下方にある踏板72が足で踏まれて回動し、括り罠7のトリガー具73が外れて跳上げアーム70が矢印a方向(図5参照)へ跳ね上がる。同時に括り輪710も矢印b方向(図5参照)へ引っ張られて絞られ、捕獲対象獣の足が括り輪710によって括られて、捕獲対象獣は捕獲される。
【0052】
このとき、つまり括り罠7が作動して括り輪710が捕獲対象獣の足を括りながら斜め上方向(矢印b方向)に瞬時に動くときに、括り輪710が括り輪設定板3の下面を擦る力を、この下面の傾斜によって逃がすことができるので、括り輪710が括り輪設定部である括り輪設定板3の下側から離脱するときの摩擦などによる抵抗を軽減することができる。
【0053】
なお、括り罠用仕掛け補助器具A1の傾斜誘導部2には、イノシシなどの捕獲対象獣ではなく、獣道を通るヒグマやツキノワグマの前足や後足が入る場合がある。しかし、一般にヒグマやツキノワグマの前足の掌部は大きすぎて、直径12cm程度の落とし穴部6には入らないので、踏板72が踏まれることはなく、したがって括り罠7も作動しない。
また、クマの前足や後足は大きいだけでなく、各指には鋭い爪がある。この爪が、傾斜誘導部2の上端縁に引っ掛かると落ちにくいので、この点でも錯誤捕獲の防止ができる。
【0054】
さらに、例えばクマの前足が落ちるとカムフラージュ用の土が下へ移動し、この土で押された踏板72が落ちて括り罠7を作動させることがあるが、この場合は足が深く落ちないうちに作動するためタイミングがずれて結果的に括ることができないことからも錯誤捕獲の防止ができる。これに対し、イノシシの足は接地面積が小さく、傾斜誘導部2内部のカムフラージュ用の土に刺さるようにして深く踏み込むので、問題なく足を括ることができる。このように、括り罠用仕掛け補助器具A1は、錯誤捕獲も問題なく防止することができる。
【0055】
このように、仕掛け補助器具A1によれば、捕獲対象獣の足が必ずしも落とし穴部6に直接入らなくても、少なくとも、落とし穴部6より拡がった傾斜誘導板2の範囲に入れば足を括ることが可能になる。したがって、獣の錯誤捕獲を防止するために、括り罠のワイヤの括り輪を直径12cm以下に小さく設定しても、捕獲可能な範囲をより広くすることができるので、捕獲率の低下を防ぐことができる。
【0056】
図7は括り罠用仕掛け補助器具の第2実施形態の斜視図、
図8は図7に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図、
図9は図7に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図である。
なお、図7ないし図9において、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と同等箇所には同一または同等の符号を付し、それらの構造について括り罠用仕掛け補助器具A1と重複する説明は省略する。
【0057】
括り罠用仕掛け補助器具A2は、次の点において括り罠用仕掛け補助器具A1と相違している。
まず、傾斜誘導板2aの上部に上面板1が設けられておらず、括り輪設定板3aの下部に崩れ防止板4が設けられていない。括り輪設定板3aの下部には、崩れ防止板4の代わりに上面板1とほぼ同様の形状の下面板1aが設けられている。
【0058】
図10は括り罠用仕掛け補助器具の第3実施形態の斜視図、
図11は図10に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図、
図12は図10に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図である。
なお、図10ないし図12において、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と同等箇所には同一または同等の符号を付し、それらの構造について括り罠用仕掛け補助器具A1と重複する説明は省略する。
【0059】
括り罠用仕掛け補助器具A3は、次の点において括り罠用仕掛け補助器具A1と相違している。
まず、傾斜誘導板2の下部に括り輪設定板3が設けられておらず、括り輪設定板3の代わりに括り輪設定溝3bが設けられている。括り輪設定溝3bは、開口側を落とし穴部6の中心方向へ向けた断面ほぼ半円形状に形成されている。
【0060】
図13は括り罠用仕掛け補助器具の第4実施形態の斜視図、
図14は図13に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図、
図15は図13に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図である。
なお、図13ないし図15において、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と同等箇所には同一または同等の符号を付し、それらの構造について括り罠用仕掛け補助器具A1と重複する説明は省略する。
【0061】
括り罠用仕掛け補助器具A4は、次の点において括り罠用仕掛け補助器具A1と相違している。
まず、上面板1cの外縁部には、補強のフランジ11が垂下して設けられている。傾斜誘導板2cの上端部は、括り罠用仕掛け補助器具A1の傾斜誘導板2の円形の上端部とは相違して、正方形の四隅を円弧状に丸めたような形状を有している。傾斜誘導板2cの下部には括り輪設定板3が設けられておらず、括り輪設定板3の代わりに、前記括り罠用仕掛け補助器具A3の括り輪設定溝3bとほぼ同様の構造の括り輪設定溝3cが設けられている。さらに、括り輪設定溝3cの下側には、括り輪設定溝3cよりやや径大の崩れ防止板4cが設けられている。
【0062】
なお、前記括り罠用仕掛け補助器具A2、A3、A4の仕掛けの方法や作用は、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と大体において同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0063】
図16は括り罠用仕掛け補助器具の第5実施形態及び土止め筒の分解斜視図、
図17は図16に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示し、(a)は縦断面図、(b)は平面図、
図18は崩れ防止板の係合凹部の構造を示し、(a)は平面視説明図、(b)は断面説明図、
図19はワイヤ止め具の爪板の括りワイヤに対する掛かり状態を示し、(a)は爪板先端が直線的なもの、(b)は緩やかに湾曲させてあるもの、(c)は食い込むように湾曲させてあるものの説明図、
図20はワイヤ止め具の基板に設けられている切欠部の作用を示し、(a)は側面視説明図、(b)は平面視説明図である。
【0064】
なお、図16ないし図20において、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と同等箇所には同一または同等の符号を付し、それらの構造について括り罠用仕掛け補助器具A1と重複する説明は省略する。
【0065】
括り罠用仕掛け補助器具A5は、次の点において括り罠用仕掛け補助器具A1と相違している。
まず、傾斜誘導板2dの上部に上面板1が設けられておらず、傾斜誘導板2dの下部に下面板1dが設けられている。貫通切欠部5dの下部側には、崩れ防止板4dと連続してつながるように平面視で円弧形状の土止め板40が設けられている。土止め板40のうち周方向中間の下部には、罠7を仕掛けるときに基アーム75を差し入れるための切欠部41が設けられている。
【0066】
また、傾斜誘導板2dと崩れ防止板4dの内面側境界部には、貫通切欠部5dを除く全周にわたり括り輪設定溝3dが設けられている。括り輪設定溝3dの両側の端部31(貫通切欠部5dへ続く部分)は、緩やかに湾曲させてある。これにより、罠が作動してワイヤ71の括り輪710が括り輪設定溝3dから離脱するときに、引っ掛かりにくいようにして円滑に作動できるようにする。
【0067】
括り輪設定溝3dの下側には、周方向へ等間隔で五箇所に係合凹部46が設けられている。係合凹部46には、後述するワイヤ止め具61の爪板613の縦部外面側が係合し、これによりワイヤ止め具61の周方向の装着位置が決まる。また、図18、図19に示すように、括りワイヤ71の括り輪710を内側から押さえて固定する際に、係合凹部46が凹んでいる分だけ、括り輪設定溝3dの下側の縁部30よりやや入った位置から直接的に確実に押さえることができる。なお、図18において、縁部30の内径L1は120mm、係合凹部46の深さL2は1mmに設定されている。
【0068】
貫通切欠部5dのうち下面板1dよりやや低い位置に、土止め板40の上部側と連続してワイヤ載置部42が水平に設けられている。ワイヤ載置部42にさらに連続して一段低い締め金具載置部43が設けられている。締め金具載置部43の幅方向中間には、罠7を仕掛けるときに跳上げアーム70を差し入れるための切欠部44が設けられている。
【0069】
また、括り罠用仕掛け補助器具A1は、ワイヤ止め具61を備えている。ワイヤ止め具61は、図17に示すように落とし穴部6の内部、つまり崩れ防止板4dの内面側に着脱可能である。
ワイヤ止め具61は、崩れ防止板4dの内径よりやや径小で外形がほぼ円形の基板610を有している。基板610の中央近傍二箇所には、ワイヤ止め具61を指で摘んで持つことができるように指穴611が設けられている。また、基板610には、その外周部から内側へほぼ台形状に切れ込む切欠部612が一箇所に設けられている。
【0070】
図20を主に参照して、切欠部612の構造及び作用を説明する。
括り罠7の踏板72は、図に示すようにワイヤ止め具61の基板610より径小な円板状に形成されている。ワイヤ止め具61の装着時には、基板610の切欠部612をトリガー具73のアーム730(踏板72につながる部分)に対応させる。切欠部612の大きさ(形状)は、アーム730より幅広で奥端部が基板610上方に位置するように形成されている。
【0071】
図20に示す装着状態のワイヤ止め具61に、上方から図において特に左寄りに荷重がかかったとき、仮に切欠部612が設けられていない場合は接点P1でアーム730に当たるのとは相違し、本実施の形態のように切欠部612が設けられている場合は二箇所の接点P2で基板610に当たることになる。つまり、接点P2が接点P1よりトリガー具73の回転中心から離れている分だけ、より軽い荷重で踏板72を落とすことができる。
なお、切欠部612の形状は前記形状に限定されず、前記と同等の機能を有する形状であれば、例えばU字形、半円形など他の形状でもよい。また、切欠部612を設ける代替として、基板610の中央近傍に下方へ向けボルトの螺着などにより突起(図示省略)を設けて、常に踏板72の中央近傍を押すことができるようにしてもよい。突起は踏板72側に設けることもできる。
【0072】
基板610の上面側の外周縁部寄りには、周方向へ等間隔で五箇所に爪板613がネジ着されている(爪板613の数は特に限定せず、例えば1または複数である)。爪板613は、バネ性(弾性、撓み性)を有する部材(例えば金属材料または合成樹脂材料など)で形成され、ほぼL字状に曲げられている。各爪板613の先部は、装着位置(図17参照)で括り輪設定溝3dに嵌め入れられたワイヤ71の括り輪710を内側から押さえて、そのバネ性を利用して固定することができる。各爪板613の先部は、ワイヤの丸みに沿うように外側へ緩やかに湾曲させてある(図19(b)参照)。なお、爪板613は、板状体に限定するものではなく、線材など他の押さえ部材で代替してもよい。
【0073】
図19(a)に示すように、爪板613の先端を直線的に形成して掛かりがないようにしたもの、または図19(c)に示すように、前記(b)に示したものと比べて爪板613の先端の湾曲部がさらに食い込むように湾曲させてあるものを採用することもできる。爪板613の先端の括り輪710に対する掛かりは、(a)、(b)、(c)の順でより強くなり、上方から荷重が掛かったときに下方へ落ちる感度は(a)、(b)、(c)の順でより鈍くなる。なお、前記感度は、爪板613の厚さ、素材(撓み性に優れたバネ鋼にするなど)を適宜設定することによっても調節が可能である。
【0074】
なお、ワイヤ止め具61は、各爪板613が外方向へ拡がろうとする力(バネ性による)により崩れ防止板4dの内面を押すことによって、所要位置に止まって装着状態となっている。ワイヤ止め具61に捕獲対象獣などの足によって上から荷重がかかると、ワイヤ止め具61の装着状態は解除され、下方へ移動して崩れ防止板4dから抜け外れる。
【0075】
(作用)
図21は図16に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の斜視説明図、
図22は図16に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態を示し、(a)は縦断面説明図、(b)は要部平面視説明図である。
図16ないし図22を参照し、括り罠用仕掛け補助器具A5の作用を説明する。なお、前記括り罠用仕掛け補助器具A1と同等の作用については説明を省略し、相違する点を主に説明する。
【0076】
括り罠用仕掛け補助器具A5を地面に掘った仕掛け用の穴8に被せて設置する際には、崩れ防止板4dに合成樹脂製の土止め管45をあらかじめ装着しておく。土止め管45には、周方向の一箇所に所要の幅の切欠部450が全長にわたり設けられており、材料の撓み性を利用して径が拡縮可能である。これにより、土止め管45は崩れ防止板4dに容易に外嵌めすることができる。
【0077】
貫通切欠部5dには、貫通切欠部5dの一部を塞いで土止め板40が設けられている。これにより、仕掛け用の穴8に括り罠用仕掛け補助器具A5を設置する際に、土止め板40によって、貫通切欠部5dから穴に土が入り込むことを防止できる。したがって、穴8の底に土がたまって、穴が浅くなってしまう不都合も起こらない。また、穴8の底の土を掻き出す手間もかからないので、より迅速に罠を仕掛けることができる。
【0078】
また、ワイヤ止め具61は、落とし穴部6に装着されているときには、括り輪設定溝3dに嵌め入れられたワイヤ71の括り輪710を各爪板613で内側から押さえて、そのバネ性を利用して固定している。これにより、ワイヤの括り輪(710)が設定部から外れたり、括り輪(710)の形がいびつになったりすることを防止できるので、罠が作動したときの前記理由による捕獲率の低下を未然に防止できる。
【0079】
そして、ワイヤ止め具61に捕獲対象獣などの足によって上から荷重がかかると、ワイヤ止め具61の装着状態は解除され、下方へ移動して崩れ防止板4dから抜け外れ、踏板72を落として括り罠7を作動させることができる。
【0080】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまで説明上のものであって限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示されている実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】括り罠用仕掛け補助器具の第1実施形態の斜視図。
【図2】図1に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図。
【図3】図1に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図。
【図4】図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠の分解斜視説明図。
【図5】図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の一部断面説明図。
【図6】図1に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の要部平面説明図。
【図7】括り罠用仕掛け補助器具の第2実施形態の斜視図。
【図8】図7に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図。
【図9】図7に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図。
【図10】括り罠用仕掛け補助器具の第3実施形態の斜視図。
【図11】図10に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図。
【図12】図10に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図。
【図13】括り罠用仕掛け補助器具の第4実施形態の斜視図。
【図14】図13に示す括り罠用仕掛け補助器具の要部拡大縦断面図。
【図15】図13に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示す説明図。
【図16】括り罠用仕掛け補助器具の第5実施形態及び土止め筒の分解斜視図。
【図17】図16に示す括り罠用仕掛け補助器具の構造を示し、(a)は縦断面図、(b)は平面図。
【図18】崩れ防止板の係合凹部の構造を示し、(a)は平面視説明図、(b)は断面説明図。
【図19】ワイヤ止め具の爪板の括りワイヤに対する掛かり状態を示し、(a)は爪板先端が直線的なもの、(b)は緩やかに湾曲させてあるもの、(c)は食い込むように湾曲させてあるものの説明図。
【図20】ワイヤ止め具の基板に設けられている切欠部の作用を示し、(a)は側面視説明図、(b)は平面視説明図。
【図21】図16に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態の斜視説明図。
【図22】図16に示す括り罠用仕掛け補助器具と括り罠を仕掛けた状態を示し、(a)は縦断面説明図、(b)は要部平面視説明図。
【符号の説明】
【0082】
A1 括り罠用仕掛け補助器具
1 上面板
10 差込孔
11 フランジ
2 傾斜誘導板
3 括り輪設定板
4 崩れ防止板
5 貫通切欠部
50 縦板
6 落とし穴部
7 括り罠
70 跳上げアーム
71 括りワイヤ
710 括り輪
711 締め金具
72 踏板
720、721、722 爪板
73 トリガー具
74 杭
75 基アーム
76 バネ
8 穴
9 杭
A2 括り罠用仕掛け補助器具
1a 下面板
2a 傾斜誘導板
3a 括り輪設定板
A3 括り罠用仕掛け補助器具
3b 括り輪設定溝
A4 括り罠用仕掛け補助器具
1c 上面板
2c 傾斜誘導板
3c 括り輪設定溝
4c 崩れ防止板
A5 括り罠用仕掛け補助器具
1d 下面板
2d 傾斜誘導板
3d 括り輪設定溝
30 下側縁部
31 端部
4d 崩れ防止板
40 土止め板
41 切欠部
42 ワイヤ載置部
43 締め金具載置部
44 切欠部
45 土止め管
450 切欠部
46 係合凹部
5d 貫通切欠部
61 ワイヤ止め具
610 基板
611 指穴
612 切欠部
613 爪板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置された括り罠用仕掛け補助器具に設けられた落とし穴部(6)につながる傾斜誘導部(2)に入った獣の足を、落とし穴部(6)を囲むように配されている括り輪(710)側へ滑らせて誘導し、踏板(72)を踏ませて括り罠を作動させ、括り輪(710)で足を括って捕獲する、
獣の捕獲方法。
【請求項2】
請求項1記載の獣の捕獲方法に使用する括り罠用仕掛け補助器具であって、
落とし穴部(6)と、
側方から該落とし穴部(6)へ通じており、罠の作動時に作動部(71)を通すことができる貫通切欠部(5,5d)と、
を備えており、
前記落とし穴部(6)の上側には、落とし穴部(6)につながり上部側が拡がった傾斜誘導部(2)が設けられ、
前記落とし穴部(6)の近傍に落とし穴部(6)を囲むようにして配され、罠の作動時には括り輪(710)の離脱が可能な括り輪設定部(3)が設けられている、
括り罠用仕掛け補助器具。
【請求項3】
貫通切欠部(5d)に、土止めのために貫通切欠部(5d)の一部を塞いで土止め部(66)が設けられている、
請求項2の括り罠用仕掛け補助器具。
【請求項4】
括り輪設定部(3)は、括り罠の括りワイヤの括り輪(710)を合わせることにより所定の大きさまたは形状に設定できる手段を有している、
請求項2記載の括り罠用仕掛け補助器具。
【請求項5】
落とし穴部(6)が、括り輪設定部(3)より上側に位置すると共に括り輪設定部(3)と同じ径か、または括り輪設定部(3)より径小になるように形成されており、括り輪設定部(3)は落とし穴部(6)の内方へ向け上り傾斜している、
請求項2の括り罠用仕掛け補助器具。
【請求項6】
落とし穴部(6)が、括り輪設定部(3b)より上側に位置すると共に括り輪設定部(3b)と同じ径か、または括り輪設定部(3b)より径小になるように形成されており、括り輪設定部(3b)は落とし穴部(6)の内方へ向けて開口し、括り輪(710)を嵌め入れ可能な溝である、
請求項2の括り罠用仕掛け補助器具。
【請求項7】
落とし穴部(6)の内部に着脱可能で、上から所要の荷重がかかると落とし穴部(6)から下方へ抜け外れるワイヤ止め具(61)を有し、該ワイヤ止め具(61)は装着位置でワイヤの括り輪(710)を設定部に固定する手段(613)を備えている、
請求項2の括り罠用仕掛け補助器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−178383(P2008−178383A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119832(P2007−119832)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(591181023)
【Fターム(参考)】