説明

獣進入防止装置

【課題】鳥獣害防止柵(金網)の獣に対して弱い箇所、防ぎようのない箇所を補助し、獣の進入を防ぐ。
【解決手段】獣が装置上面を踏んだ場合、獣の足6の爪の間に横材1、もしくは縦材2が食い込む状況を経験させる。
獣が装置上面を踏まなかった場合、獣の足誘導方向7に足が誘導され、獣の足6の側面が、縦材2に押し付けられ、
結果的に獣の足6が挟まったのと同様な状況、もしくは獣に足が曲げられバランスを崩す状況を経験させる。
このことにより獣に不快感、恐怖心を与え、獣の装置への進入をためらわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状(平面状)の獣進入防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鹿、猪等獣の被害が増加し、各自治体で鳥獣害防止柵の設置工事が行われているが、
これは、獣の飛び越しによる進入、下を掘っての進入等、獣の能力に対処するための柵(金網)である。
【0003】
山中の流水のある場所や、降雨時に雨水が集まる場所では、その箇所を堅固な柵で完全に止めてしまうと、
流れて来た木の枝葉等が柵をふさぎ、増水時に柵自体を破壊する恐れや、更には土砂崩れ等の災害の発生も予想される。
このような場所の柵は、完全に固定することができないので、獣に柵の下から容易に進入される。
【0004】
また、鳥獣害防止柵でふさぐことの出来ない車道は、獣を止める術が無い。
更に、人々の中には、鳥獣害防止柵の各所に設置された門扉を開いても、閉めない人がいるため、
利用の多い門扉は開きっぱなしになる可能性が高く、防止柵の効果が減じられてしまう。
【0005】
従来より、パイプを獣の足が確実に落ちる幅で設置し、その下に深い空間を設けた装置はあるが、
当該装置は規模が大きくなるため、高価になりやすく、
またパイプ間隔が広いため車、自転車が通行する際には振動が大きくなってしまったり、
人(特に子供)の通行には危険で適さない等の問題がある。
このように従来の装置では、上記のような箇所を効果的に防ぐ術は無いのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流水のある場所や、雨水が集まる場所の、完全に固定できない鳥獣害防止柵は獣に破られ易い点。
【0007】
鳥獣害防止柵の設置できない車道を通ってくる獣は、止めるすべが無い点。
【0008】
鳥獣害防止柵の門扉が開けっ放しになった場合、鳥獣害防止柵の効果が減じられてしまう点。
【課題を解決するための手段】
【0009】
獣には爪の間に物が挟まったり、足自体が挟まる可能性があるものを嫌う習性がある。
また、前足は見えるが後ろ足は見えないため、後足を下ろす位置は自分では意識してコントロールすることができない。
本発明は獣のこのような習性・特性を利用するものである。
【0010】
本装置に獣が進入を試みた場合、
前足の爪の間に部材が挟まる、前足自体が挟まる、足が曲げられバランスを崩す等の現象を高い確率で経験することになる。
これらのことを嫌う獣は、本装置に進入することをためらう。
【0011】
仮に、前足が無事に進入、着地できたとしても、死角であり意識して着地場所をコントロールできない後足は、
前足より更に高い確率で、爪の間に部材が挟まる、足自体が挟まる、足が曲げられバランスを崩す等の状況を経験することになる。
目に見えない後足に起こる異変のため、前足の場合以上に獣を驚かすことになり、
その結果、さらに本装置への進入、通過をためらわせることになる。
【発明の効果】
【0012】
流水のある場所や、降雨時に雨水が集まる場所等、
鳥獣害防止柵を最良の状態で設置することが困難な場所の下に本装置を設置することにより、
流水を妨げることなく、獣の進入を防ぐことができる点。
【0013】
車道に、獣が飛び越えられない長さ、幅で、本装置を設置することにより、門扉が無くても獣の進入を防ぐことができ、
人、自転車、車等の通行を妨げない点。
【0014】
鳥獣害防止柵の、門扉で開きっぱなしになる可能性の高い箇所に設置することにより、鳥獣害防止柵の効果を維持できる点。
【0015】
本装置は安全、短期間、容易に設置でき、構造が簡単であるため、安価に実現できる点。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
獣が踏む装置上面を網状とし、かつ、装置下面までの間に空間を設ける。
獣が、装置に踏み込んだ時、装置上面の網状の部材が爪の間に挟まる可能性が生じる。
【0017】
より効果を増すため、装置内部に獣の足を斜め下方に誘導する構造(請求項2)を設けるか、
もしくは、下面に突起を設けた構造にするのが望ましい。
【0018】
獣の足が装置上面の網状の部材を踏まなかった場合、獣は
(イ)装置内部に獣の足を斜め下方に誘導する構造(請求項2)の場合、足が斜め下方に誘導され、
足の側面が装置部材に押し付けられ、はさまれたのと同じ効果になるか、足が曲げられバランスを崩すことになる。
(ロ)装置下面に突起を設けた構造の場合、上面の網状の部材を通り抜けた分、高い確率で下面の突起が爪の間に挟まることになる。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明装置の1実施例の斜視図である。
【0020】
装置は、底材3の上部に固定された縦材2が、上面で横材1と網目を形成した板状の構造で、
固定用アンカー4により、地盤に固定する。
【0021】
獣に踏まれても、縦材2が厚みを保持し、内部は空洞であるため、水流5を妨げない構造になっている。
【0022】
図2は、獣の足6が装置上面の部材を踏んだ場合の図で、
縦材2が獣の足6の爪の間に食い込んでいる。踏み入った方向によっては、横材1が食い込むことになる。
【0023】
図3は、獣の足6が装置上面の部材を踏まなかった場合の図で、獣の足6が傾斜した縦材2の方向(獣の足誘導方向7)に導かれ、
結果として、獣の足6の側面が、縦材2に押し付けられることとなるか、獣の足6が曲げられる。
【実施例2】
【0024】
図4は、本発明装置の1実施例の斜視図である。
【0025】
横材1、縦材2、底板3の組み合わせは、図1と同様であるが、この例では、下面突起8を設けている。
【0026】
図5は、獣の足6が装置上面の部材を踏んだ場合の図で、実施例1の図2と同様である。
【0027】
図6は、獣の足6が装置上面の部材を踏まなかった場合の図で、獣の足6の爪の間に下面突起8が食い込んでいる。
獣の足6と縦材2との間に隙間が少ない分、装置上面より高い確率で、爪の間に部材が食い込むことになる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
通常の柵が、打ち込み等の方法により、一度設置すると撤去が難しいのに対し、
本発明は、獣の通り道に敷設、固定するだけなので、設置、撤去が容易である。
この特性を生かし、獣の他、家畜(牛、羊等)の一時的な誘導にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】獣進入防止装置の構造を示した説明図である。(実施例1)
【図2】獣の足が装置上面を踏んだ場合の説明図である。(実施例1)
【図3】獣の足が装置上面を踏まなかった場合の説明図である。(実施例1)
【図4】獣進入防止装置の構造を示した説明図である。(実施例2)
【図5】獣の足が装置上面を踏んだ場合の説明図である。(実施例2)
【図6】獣の足が装置上面を踏まなかった場合の説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0030】
1 横材
2 縦材
3 底材
4 固定用アンカー
5 水流
6 獣の足
7 獣の足誘導方向
8 下面突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
獣(鹿、猪)が本装置上面を踏んだ場合、獣の爪の間に装置の部材が食い込む構造とする。
獣には爪の間に物が挟まるのを嫌う習性があるので、獣が本装置を踏んだ場合、
その習性により、不快感、恐怖心を抱くことになり、本装置上を通過できなくなる。
板状の本装置は、敷設、固定するだけで、設置が完了することから、安全、短期間、容易に獣の進入を防止することができる
獣進入防止装置である。
【請求項2】
獣(鹿、猪)が本装置上面を踏まなかった場合、装置内部を、獣の足の爪側面が装置部材に片当りし、
足が誘導され、隣の装置部材に押し付けられる構造とする。
獣には、爪の側面に横方向の力が加わり、足が曲げられたり、足が挟まれたりすることを嫌う習性がある。
獣が本装置上面を踏まなかった場合、獣は足の爪に横方向の力が加わり、足が曲げられバランスを崩すか、
または、足が装置部材に押し付けられ、挟まれたような状況になる。これらのことを嫌う獣は本装置上を通過できなくなる。
内部にこのような構造を持つ、請求項1の獣進入防止装置。
【請求項3】
装置上面の部材の間隔を、平均的な獣(鹿、猪)の足の直径程度とし、人、自転車、車等の通行に支障をきたさない間隔とした、
請求項1の獣進入防止装置。
【請求項4】
内部の部材を、水の流れを妨げないように配置した、請求項1の獣進入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−11201(P2009−11201A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174671(P2007−174671)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(706001684)
【出願人】(506368095)
【出願人】(506368109)
【出願人】(506367917)
【Fターム(参考)】